JP2001031695A - 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法 - Google Patents

多層サンドイッチ錯体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001031695A
JP2001031695A JP11205625A JP20562599A JP2001031695A JP 2001031695 A JP2001031695 A JP 2001031695A JP 11205625 A JP11205625 A JP 11205625A JP 20562599 A JP20562599 A JP 20562599A JP 2001031695 A JP2001031695 A JP 2001031695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
complex
organometallic complex
multilayer sandwich
metal atom
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11205625A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Kaya
幸二 茅
Atsushi Nakajima
敦 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Society for Promotion of Science
Keio University
Japan Society For Promotion of Machine Industry
Original Assignee
Japan Society for Promotion of Science
Keio University
Japan Society For Promotion of Machine Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Society for Promotion of Science, Keio University, Japan Society For Promotion of Machine Industry filed Critical Japan Society for Promotion of Science
Priority to JP11205625A priority Critical patent/JP2001031695A/ja
Publication of JP2001031695A publication Critical patent/JP2001031695A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法に関
し、あらゆる金属原子と有機配位子との組合せの多層サ
インドイッチ一次元錯体の生成を可能にする。 【解決手段】 単層の有機金属錯体と接着金属原子と
を、交互に連結して多層サインドイッチ一次元錯体を構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層サンドイッチ錯
体及びその製造方法に関し、特に、単層の有機金属錯体
と接着金属原子とが交互に連結した一次元の規則的配列
性を有する新規な多層サンドイッチ錯体及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機金属錯体は、伝導性高分
子や有機反応の触媒試薬などに高い有用性を示している
が、有機金属錯体の多層サンドイッチ化は、金属原子の
機能を複合的に錯体内で活性化させる点で、極めて注目
されている。特に、多層有機金属錯体の低次元化とその
規則的配列は、触媒機能、光応答機能或いは磁性等の特
性において特異性を持つと予想され、新たな素材や化学
物質の供給源になると考えられている。
【0003】例えば、d8 金属のジオキシム錯体を垂直
配向させて一次元構造とすることによって、隣接する分
子間で錯体を構成する中心金属の電子軌道が大きく重な
り合い、それによって電子が非局在化した一次元電子系
が構成されて、極めて優れた三次非線形光学特性を示す
ことが知られている(必要ならば、T.Kamatae
t al.,Chem.Phys.Lett.,Vo
l.221,p.194,1994参照)。
【0004】この様な従来の多層化された低次元有機金
属の錯体を合成するためは、溶液中での配位子の置換反
応等の合成法が主流であり、気相による合成法はあまり
注目されていなかった。しかし、溶液中での錯体合成で
は、金属原子のスピン状態の制約から生成物が安定して
反応が停止してしまうために反応性が乏しく、また、溶
媒分子との反応によって目的とする生成物が得られない
という問題がある。
【0005】また、この様な置換反応によって合成する
場合、限られた選択肢の有機配位分子の中から選択して
置換することによって生成されており、中心金属となる
金属原子と有機配位子の組合せは限られたものであっ
た。
【0006】近年、本発明者等は、この様な溶媒を用い
た合成法の問題を解決するために、レーザ蒸着法を用い
た気相反応により多層サンドイッチ錯体を合成すること
に成功したので以下に説明する(必要ならば、The
Journal of Physical Chemi
stry,Vol.99,No.10,pp.3053
−3055,1995参照)。
【0007】まず、V(バナジウム)ターゲットにNd
+3−YAGレーザの二次高調波を照射して高温のV原子
を発生させたのち、10気圧程度のパルス状高圧Heガ
スで室温まで冷却し、次いで、このパルス状高圧Heガ
スによってV原子を開管反応室へ搬送するとともに、こ
れと同期するようにHeガスによって希釈されたベンゼ
ン(benzene)蒸気を注入する。そして、6.4
2eVに対応する波長のArFエキシマレーザを照射し
てイオン化することによって、多層サンドイッチ状クラ
スタ〔Vn (benzene) m :但し、m=n−1,
n,n+1〕が生成される。例えば、V2 (benze
ne)3 からV5 (benzene)6 或いはV6(b
enzene)5 までの各種の安定な生成物が得られ
た。
【0008】この様な、一次元に配列された有機金属錯
体は、一次元導電性を有しており、この電気伝導の方向
と格子運動の方向が厳密に一致するので、高温超伝導性
が期待されるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のよう
に、気相合成によって多層サンドイッチ錯体を生成する
ことはできるものの、金属原子と有機化合物蒸気との反
応で金属錯体を合成する反応であるので、多層化の程度
には限界があるものと考えられる。また、有機化合物蒸
気からの有機配位子の生成では、有機分子ラジカルの配
位子への利用が不可能であるという問題がある。
【0010】また、中心金属となる金属原子も、ターゲ
ットを単一金属とすると金属元素の種類が単一になり、
一方、ターゲットとして合金を用いた場合には、金属元
素は複数種になるものの、その配列はランダムになるの
で生成物の組成を制御することが困難になるものと考え
られる。
【0011】したがって、本発明は、あらゆる金属原子
と有機配位子との組合せの多層サインドイッチ一次元錯
体の生成を可能にすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理的構
成の説明図であり、この図1を参照して本発明における
課題を解決するための手段を説明する。なお、図は、多
層サンドイッチ錯体の構造図である。 図1参照 (1)本発明は、多層サンドイッチ錯体において、単層
の有機金属錯体1と接着金属原子4とが、交互に連結し
て多層サインドイッチ一次元錯体を構成していることを
特徴とする。
【0013】この様に、単層の有機金属錯体1と接着金
属原子4とによって多層サインドイッチ一次元錯体を構
成しているので、単層の有機金属錯体1の種類及び接着
金属原子4の種類を選択することによって、置換反応に
よらず任意の金属元素と有機配位子2との組合せの多層
サインドイッチ一次元錯体の生成が可能になる。
【0014】(2)また、本発明は、上記(1)におい
て、単層の有機金属錯体1が、それ自体がサンドイッチ
構造を有する有機金属錯体1であることを特徴とする。
【0015】この様に、有機配位分子ではなく、単層の
有機金属錯体1としてそれ自体がサンドイッチ構造を有
する有機金属錯体1、例えば、フェロセン(Fe(C5
52 )等を原料として用い、これらの単層の有機金
属錯体1を接着金属原子4によって接着することによっ
て、層数のより多い多層サンドイッチ錯体を得ることが
可能になる。また、サンドイッチ構造を有する有機金属
錯体1の有する通常の特性以外に、一次元配列させたこ
とによる特異性を期待することができる。
【0016】(3)また、本発明は、上記(2)におい
て、単層の有機金属錯体1を構成する金属原子3と接着
金属原子4とが、異なった金属元素からなることを特徴
とする。
【0017】この様に、単層の有機金属錯体1を構成す
る金属原子3と接着金属原子4とを、異なった金属元素
とすることによって、従来の合成法によっては得られな
い規則正しく交互に配列した2種類の金属元素を用いた
多層サンドイッチ錯体を構成することができ、また、金
属元素の組合せを任意に選択することによって生成物の
特性を制御することが可能になる。
【0018】(4)また、本発明は、多層サンドイッチ
錯体の製造方法において、単層の有機金属錯体1と接着
金属原子4とを気相で反応させることによって多層サイ
ンドイッチ一次元錯体を合成することを特徴とする。
【0019】この様に、多層サインドイッチ一次元錯体
を合成する際に、気相反応を利用することによって、溶
媒等の環境因子の影響を受けることがないので、効率的
に多層サインドイッチ一次元錯体を生成することができ
るとともに、反応を抑制する要因が少なくなるので、よ
り一層の多層化が期待できる。
【0020】(5)また、本発明は、上記(4)におい
て、単層の有機金属錯体1と接着金属原子4とを別個に
レーザ蒸発させたのち、気相で反応させることを特徴と
する。
【0021】この様に、気相で反応させる場合には、有
機金属錯体1からなるターゲットにレーザ光を照射させ
て有機金属錯体1の蒸気を発生させるとともに、金属タ
ーゲットにも別個にレーザ光を照射して接着金属原子4
を気相中に発生させれば良い。
【0022】(6)また、本発明は、上記(5)におい
て、単層の有機金属錯体1をレーザ蒸発させる際のレー
ザ光のエネルギーを、1パルス当たり試料面上で300
mJ/mm2 以下にすることを特徴とする。
【0023】この様に、単層の有機金属錯体1をレーザ
蒸発させる際のレーザ光のエネルギーを1パルス当たり
試料面上で300mJ/mm2 以下にすることによっ
て、有機金属錯体1の光解離を抑制することができ、そ
れによって、所望の生成物を効率良く生成することがで
きる。
【0024】
【発明の実施の形態】ここで、図2乃至図4を参照し
て、本発明の実施の形態の多層サンドイッチ錯体の製造
方法を説明する。 図2参照 図2は、本発明の実施の形態に用いる製造装置及び生成
物を同定するための飛行時間型質量分析計の概念的構成
図である。製造装置10の主要部を構成する反応室は、
蒸気発生部11と気相反応部12の二段構成となってお
り、蒸気発生部11の一端には高圧のHeガス13をパ
ルス状に送り出すためのパルスバルブ14が設けられて
おり、また、蒸気発生部11の内部には、金属試料ター
ゲット15と有機金属錯体ターゲット16とが別個に収
容されている。この金属試料ターゲット15に対して
は、第1のNd+ −YAGレーザ17が対向するように
配置されており、レンズ18を介してレーザ光が金属試
料ターゲット15に照射され、一方、有機金属錯体ター
ゲット16に対しては、同じく第2のNd+ −YAGレ
ーザ19が対向するように配置されており、レンズ20
を介してレーザ光が有機金属錯体ターゲット16に照射
されるように構成されている。
【0025】また、蒸気発生部11の他端には気相反応
部12が直列に接続されており、この気相反応部12に
送られてきた金属原子と有機金属錯体蒸気とを反応させ
ることによって多層サンドイッチ錯体を生成する。な
お、この気相反応部12は、必要に応じてCOガスやベ
ンゼン蒸気等の反応性ガス21を導入するためのガス導
入口22が設けられており、外側に有機配位分子・ラジ
カルを持たない多層サンドイッチ錯体が生成した場合、
COガスやベンゼン蒸気を流し、CO分子やベンゼン分
子で終端させることによって端部を保護する。
【0026】一方、飛行時間型質量分析計30は、リペ
ラー(Repeller)31、エクストラクタ(Ex
tractor)32、リフレクトロン(Reflec
tron)33、静電偏向器34、及び、マイクロチャ
ンネルプレート(MicroChannel Plat
e)35から構成されており、イオン種の生成物を、リ
ペラー31及びエクストラクタ32にパルス電圧を印加
して飛行時間型質量分析計30に引き込んで質量分析す
るものである。
【0027】即ち、気相反応部12からスキマー(sk
immer)36を介して取り出された反応生成物は、
ArFエキシマレーザ或いは色素レーザの二次高調波等
の紫外光37によってイオン化されたのち、リペラー3
1に印加された電圧VR によって加速され、静電偏向器
34によって質量に応じて偏向されたのち、リフレクト
ロン33に印加された電圧Vr によって反射され、マイ
クロチャネルプレート35によって検出される。なお、
この場合、エクストラクター32にはVR より小さな、
例えば、0.7〜0.9VR の電圧VE を印加して質量
分析の分解能を向上させる。また、Vr >VR とするこ
とによって、VR ,VE で加速されたイオン38は全て
折り返されることになるが、この時、平均速度より速い
イオン38はリフレクトロン33のプレート電極近くま
で深く進入するので折り返しに時間がかかり、一方、平
均速度より遅いイオン38は深く進入せずに折り返すの
で、折り返しに時間がかからず、イオン38の速度分布
が狭くなり、分解能が向上することになる。そして、マ
イクロチャンネルプレート35においては、イオン38
の検出に伴って発生した電気信号を、ディジタルオシロ
スコープ39及びマイクロコンピュータ40を介してプ
ロッタ41或いはレーザプリンタ42によって印字画像
として出力する。
【0028】次に、多層サンドイッチ錯体の製造工程を
説明すると、まず、蒸気発生部11の一端には高圧のH
eガス13をパルス状に送り出すためのパルスバルブ1
4が設けられており、また、蒸気発生部12の内部に有
機金属錯体ターゲット16として市販の純度が99.9
%以上のフェロセン(Fe(C5 5 2 )を十分磨り
潰したのち、油圧プレス機を用いて、例えば、1000
kg/cm2 の圧力で棒状若しくは円盤状に成形したフ
ェロセンターゲットを配置するとともに、金属試料ター
ゲット15としてVターゲットを配置する。
【0029】このフェロセンターゲットに対して第2の
Nd+ −YAGレーザ19から、波長が532nmの二
次高調波で、パルス幅が1〜20nsのパルスレーザ光
を、例えば、焦点距離が20〜100cmのレンズ20
で集光して照射することによって、フェロセン蒸気を発
生させる。なお、この場合のレーザ光のエネルギーは1
パルス当たり15mJ(試料面上で300mJ/m
2 )以下にすることが望ましく、15mJを越えると
フェロセンは光解離によって解離してしまい、所望の多
層サンドイッチ構造が得られにくくなる。
【0030】このフェロセンのレーザ蒸発に同期するよ
うに、Vターゲットに対して第1のNd+ −YAGレー
ザ17から、波長が532nmの二次高調波で、パルス
幅が1〜20nsのパルスレーザ光を、例えば、焦点距
離が20〜100cmのレンズ18で集光して照射する
ことによって、V原子を発生させる。なお、この場合
の、1パルスレーザ当たりのエネルギーは10〜30m
J(試料面上で200〜600mJ/mm2 )とするも
のであり、このエネルギーを調整することによってフェ
ロセンガスとV原子の濃度比を調整することができる。
【0031】また、この様なレーザ蒸発に先立つこと1
00〜200μ秒、例えば、200秒に噴出させた、澱
み圧1〜20気圧、例えば、5気圧で、パルス幅200
〜1000μ秒、例えば、300μ秒のパルス状で高圧
のHeガス13によって冷却するとともに、気相反応部
12へ搬送し、気相反応部12において、単体のフェロ
センとV原子を反応させてフェロセンをV原子で連結さ
せた多層化サンドイッチ構造の有機金属錯体、即ち、V
n Fen+1 (Cp)2n+2を生成する。なお、Cpは(C
5 5 )を意味する。
【0032】図3参照 図3は、上述の様にして生成した多層サンドイッチ錯体
を、図2に示した飛行時間型質量分析計30によって測
定した質量スペクトル(Mass Spectrum)
であり、目的とするVn Fen+1 (Cp)2n+2の内、n
=1に相当するV1 Fe2 (Cp)4 のピークと、n=
2に相当するV2 Fe3 (Cp)6 のピークが観測され
た。
【0033】また、それ以外に、Vn Fen (Cp)2n
のn=2に相当するV2 Fe2 (Cp)4 の弱いピーク
が観測された。これは、フェロセンの外側に一部の結合
手が終端していない1個のV原子が結合した構造になっ
ており、上述のVn (benzene)m からの類推で
は、Vターゲットを照射するレーザ光のエネルギーが相
対的に大きい場合に発生するものと考えられる。
【0034】さらに、副産物としては、Fen (Cp)
m の内、(2,3)に相当するFe 2 (Cp)3 、及
び、(3,3)に相当するFe3 (Cp)3 のピークも
観測された。これは、多層化を押し進めるためにはフェ
ロセンの濃度を高める必要があるが、そのためには、フ
ェロセンターゲットに照射するレーザ光のパワーを15
mJ/パルス近傍まで上げるので、結果的にフェロセン
の光解離が伴うためである。なお、(1,2)はFe
(Cp)2 、即ち、未反応のフェロセン自体である。
【0035】図4参照 図4は、この様にして質量分析された多層サンドイッチ
錯体の構造図であり、図4(a)はVn Fen+1 (C
p)2n+2の内、n=1のV1 Fe2 (Cp)4 の構造図
であり、2つのフェロセン51が1個のV原子52で連
結された一次元構造を示している。また、図4(b)
は、Vn Fen+1 (Cp)2n+2の内、n=2のV2 Fe
3 (Cp)6 の構造図であり、3つのフェロセン51が
2個のV原子52で連結された一次元構造を示してい
る。なお、図4(c)は、副産物として生成されるFe
n (Cp)m の内、(n,m)=(3,4)のFe
3 (Cp)4 の構造図であり、レーザ照射に伴うフェロ
センの光解離で発生したFe原子53が2つのフェロセ
ン51を連結した構造となっている。
【0036】この様に生成された多層サンドイッチ錯体
n Fen+1 (Cp)2n+2は、一次元構造であるので一
次元導電性を有しており、電気伝導の方向と格子運動の
方向が厳密に一致し、また、隣接する分子間で錯体を構
成する中心金属のd軌道と有機配位分子のπ軌道との相
互作用によって電子が非局在化した一次元電子系が構成
されるので、高温超伝導性が期待されるものである。
【0037】以上、本発明の実施の形態を説明してきた
が、本発明は実施の形態に記載された構成・条件に限ら
れるものではなく、各種の変更が可能である。例えば、
上記の実施の形態においては、有機金属錯体としてフェ
ロセンを用いているが、中心金属のFeを他の金属M
(M:Ti,V,Cr,Co,Ni,Ru,Os,P
d)に置き換えたサンドイッチ構造を有するビス・シク
ロペンタジエニル金属化合物(M(C5 5 2 )、即
ち、メタロセン及びそれらの誘導体を用いても良いもの
である。さらに、メタロセン以外にも、ビス・ベンゼン
クロミウム(Cr(C6 6 2 )或いはウラノセン
(U(C8 8 2 )等をはじめとするサンドイッチ構
造の有機金属化合物及びそれらの誘導体を用いても良い
ものである。
【0038】また、接着金属原子として用いる金属もV
に限られるものではなく、Fe,Coをはじめとする任
意の金属を用いても良いものであり、用いる金属の電子
軌道構造に応じて各種の特性が期待される。
【0039】また、上記の実施の形態の説明において
は、レーザ蒸発に用いるレーザ光としてNd+3−YAG
レーザの二次高調波を用いているが、二次高調波に限ら
れるものではなく、Nd+3−YAGレーザの基本波、三
次高調波、或いは、四次高調波を用いても良いものであ
り、さらには、エキシマレーザ等の他のレーザ光源を用
いても良いものである。
【0040】また、上記の実施の形態の説明において
は、レーザ蒸発させたフェロセンガス及びV原子を冷却
するためにHeガスを用いているが、Heガスに限られ
るものではなく、Ar等の他の希ガスを用いても良いも
のである。
【0041】また、上記の実施の形態の説明において
は、期待される特性として一次元構造を利用した超伝導
特性を挙げているが、その他にも、接着金属としてF
e,Co,Ni等の磁性金属原子を用いることによっ
て、一次元配列した各金属原子の電子軌道が大きく重な
り合い、それによって電子が非局在化してスピンが整列
するので、一次元状に配列された個々の多層サンドイッ
チ錯体が1つのメモリ素子を構成する超高密度磁気メモ
リとしても期待されるものである。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、元々サンドイッチ構造
を有している有機金属錯体を任意の金属原子を接着金属
として用いて多層サンドイッチ化しているので、多層化
が容易になるとともに、任意の金属原子と任意の有機化
合物との組み合わせによる多層サンドイッチ錯体を構成
することができるので、一次元構造の特徴を生かした特
性の向上或いは特異性が期待され、新たな素材、化学物
質の供給源として期待するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に用いる製造装置及び飛行
時間型質量分析計の概念的構成図である。
【図3】本発明の実施の形態によって生成された生成物
の質量スペクトルである。
【図4】本発明の実施の形態によって生成された多層サ
ンドイッチ錯体の構造図である。
【符号の説明】
1 有機金属錯体 2 有機配位子 3 金属原子 4 接着金属原子 10 製造装置 11 蒸気発生部 12 気相反応部 13 Heガス 14 パルスバルブ 15 金属試料ターゲット 16 有機金属錯体ターゲット 17 Nd+3−YAGレーザ 18 レンズ 19 Nd+3−YAGレーザ 20 レンズ 21 反応性ガス 22 ガス導入口 30 飛行時間型質量分析計 31 リペラー 32 エクストラクタ 33 リフレクトロン 34 静電偏向器 35 マイクロチャンネルプレート 36 スキマー 37 紫外光 38 イオン 39 ディジタルオシロスコープ 40 マイクロコンピュータ 41 プロッタ 42 レーザプリンタ 51 フェロセン 52 V原子 53 Fe原子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中嶋 敦 神奈川県横浜市港北区日吉3−14−1 慶 應義塾大学理工学部内 Fターム(参考) 4H050 AA03 AB40 WB11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単層の有機金属錯体と接着金属原子と
    が、交互に連結して多層サインドイッチ一次元錯体を構
    成していることを特徴とする多層サンドイッチ錯体。
  2. 【請求項2】 上記単層の有機金属錯体が、それ自体が
    サンドイッチ構造を有する有機金属錯体であることを特
    徴とする請求項1記載の多層サンドイッチ錯体。
  3. 【請求項3】 上記単層の有機金属錯体を構成する金属
    原子と接着金属原子とが、異なった金属元素からなるこ
    とを特徴とする請求項2記載の多層サンドイッチ錯体。
  4. 【請求項4】 単層の有機金属錯体と接着金属原子とを
    気相で反応させることによって多層サインドイッチ一次
    元錯体を合成することを特徴とする多層サンドイッチ錯
    体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記単層の有機金属錯体と接着金属原子
    とを別個にレーザ蒸発させたのち、気相で反応させるこ
    とを特徴とする請求項4記載の多層サンドイッチ錯体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 上記単層の有機金属錯体をレーザ蒸発さ
    せる際のレーザ光のエネルギーを、1パルス当たり試料
    面上で300mJ/mm2 以下にすることを特徴とする
    請求項5記載の多層サンドイッチ錯体の製造方法。
JP11205625A 1999-07-21 1999-07-21 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法 Pending JP2001031695A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11205625A JP2001031695A (ja) 1999-07-21 1999-07-21 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11205625A JP2001031695A (ja) 1999-07-21 1999-07-21 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001031695A true JP2001031695A (ja) 2001-02-06

Family

ID=16509996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11205625A Pending JP2001031695A (ja) 1999-07-21 1999-07-21 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001031695A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005167119A (ja) * 2003-12-05 2005-06-23 Keio Gijuku 一次元多層有機金属錯体ナノ磁気素子及び一次元多層有機金属錯体
KR100512451B1 (ko) * 2002-02-28 2005-09-05 (주)에프이에이 코퍼레이션 자성체 나노입자에 지지된 재사용가능한 유기금속촉매 및 그 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100512451B1 (ko) * 2002-02-28 2005-09-05 (주)에프이에이 코퍼레이션 자성체 나노입자에 지지된 재사용가능한 유기금속촉매 및 그 제조방법
JP2005167119A (ja) * 2003-12-05 2005-06-23 Keio Gijuku 一次元多層有機金属錯体ナノ磁気素子及び一次元多層有機金属錯体
JP4528941B2 (ja) * 2003-12-05 2010-08-25 学校法人慶應義塾 一次元多層有機金属錯体ナノ磁気素子及び一次元多層有機金属錯体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Talbot et al. Photodissociation spectroscopy of trapped protonated tryptophan
Bondybey et al. New developments in matrix isolation spectroscopy
Gahl et al. Ultrafast dynamics of electron localization and solvation in ice layers on Cu (111)
Weis et al. Structures and Energetics of V n (C6H6) m+ Clusters: Evidence for a Quintuple-Decker Sandwich
US9113544B2 (en) Method for producing hyperthermal hydrogen molecules and using same for selectively breaking C—H and/or Si—H bonds of molecules at or on substrate surfaces
Yuan et al. Initial mechanisms for the unimolecular decomposition of electronically excited nitrogen-rich energetic materials with tetrazole rings: 1-DTE, 5-DTE, BTA, and BTH
Hu et al. IR plus vacuum ultraviolet spectroscopy of neutral and ionic organic acid molecules and clusters: Acetic acid
Ganeev et al. High-order harmonic generation during propagation of femtosecond pulses through the laser-produced plasmas of semiconductors
Foster et al. Growth and Photodissociation of Cr x−(Coronene) y Complexes
JP2001031695A (ja) 多層サンドイッチ錯体及びその製造方法
Hu et al. Vibrational and photoionization spectroscopy of biomolecules: Aliphatic amino acid structures
Zhai et al. Polymeric fullerene oxide films produced by decomposition of hexanitro [60] fullerene
Qian et al. Solvated metal cation photochemistry. Electronic state-selective reaction versus evaporation in Sr+ (CH3OH)/Sr+ (CH3OD)
Krechkivska et al. Resonant two-photon ionization spectroscopy of jet-cooled tantalum carbide, TaC
Gutmann et al. Ultrafast Dynamics of Transition Metal Carbonyls: Photodissociation of Cr (CO) 6 and Cr (CO) 6⊙(CH3OH) n Heteroclusters at 280 nm
Chen et al. Electron Impact with the Liquid–Vapor Interface
Cassady et al. Production and fragmentation of molybdenum oxide ions
JPS6184379A (ja) 高硬度窒化ホウ素膜の製法
Wilson et al. Final state distributions of the radical photoproducts from the UV photooxidation of 2-butanone on TiO2 (110)
Lu et al. Dehydration reactions of metal cations (Fe+ and LaO+) with methanol clusters
Hu et al. Coevolution of the interstellar chemistry: gas-phase laboratory formation of hydrogenated fullerene-PAH clusters
JP3803756B2 (ja) クラスターイオン種のソフトランディング方法
Koplitz et al. Laser‐controlled dissociation and ionization pathways in electronically excited AsH3
Castleman Jr 7. PERFORMING ORGANIZATION NAME (S) AND ADDRESS (ES)
Colson Mass and photoelectron studies of UV-multiphoton fragmentation processes in molecules

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031215