JP2001026960A - 水洗便器 - Google Patents

水洗便器

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JP2001026960A
JP2001026960A JP11201018A JP20101899A JP2001026960A JP 2001026960 A JP2001026960 A JP 2001026960A JP 11201018 A JP11201018 A JP 11201018A JP 20101899 A JP20101899 A JP 20101899A JP 2001026960 A JP2001026960 A JP 2001026960A
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JP11201018A
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Takayuki Otani
孝幸 大谷
Shuho Miyahara
秀峰 宮原
Noboru Niihara
登 新原
Koichi Miyagami
浩一 宮上
Shinji Shibata
信次 柴田
Masaki Kitamura
正樹 北村
Shinsuke Matsuo
信介 松尾
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水洗便器において、1回の洗浄により使用さ
れる水の量の減少を、鉢面への汚れの固着や汚物の排出
性能の低下等の不具合を生じさせることなく実現するこ
とを目的とする。 【解決手段】 便器10のボール部20の周壁は、左右
のリム21の下方から便器10の中心方向に向かって緩
やかな傾斜で延出された後、封水FWの通常水位線WL
よりもやや上に位置する第1曲部53において、凹部2
6方向に大きく曲げられる。このような曲げ方向に延出
された周壁は、通常水位線WLを超えてまもなく、第2
曲部54で内側方向に大きく曲げられ、緩やかな下向き
の傾斜で、便器10の中心方向に約40mm延出され
る。この周壁の延出により、ボール部20には、通常水
位線WLを跨ぐ段部58が形成される。つまり、ボール
部20は、少なくとも、便器10の左側の第2曲部54
から40mm,右側の第2曲部54から40mm、便器
中心方向に張り出す。一方、水底面50から通常水位線
WLまでの高さを約113mmという値とし、封水FW
の十分な水位を確保している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水洗便器に関し、
詳しくは、汚物を受ける鉢部と、該鉢部の底部に形成さ
れた排出口と接続された接続路と、該接続路に連通し、
該連通位置から上方向に延出する上昇路を備え、前記鉢
部,前記接続路および前記上昇路に溜められた貯溜水に
より封水を形成し、該鉢部への洗浄水の供給に伴って、
前記排出口から流路である前記接続路および前記上昇路
に水を送り込み、該上昇路を通過した水や汚物を排水管
の位置する下方へと導く水洗便器に関する。
【0002】
【従来の技術】便器の洗浄時に使用される水量は、資源
保護の観点から、少ない方が望ましい。特に、水資源の
貴重な地域にとっては、各住宅に設けられる便器の洗浄
水量が大きいと、地域全体の水不足にも大きな影響があ
り、この問題は重要である。
【0003】従来の水洗便器では、一回の大洗浄によ
り、約8リットルないし10リットル程度の水を使用し
ていた。この水の使用量を減らすためには、便器に供給
される水の量を減らすことが必要となり、例えば、便器
とタンクが便器の後部に密結されたいわゆるロータンク
密結型の便器の場合には、タンクから1回の洗浄動作で
流れ出す水の量を少なくすることが必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、流れ出す水の
量を少なくするために、タンクの貯水量を少なくする
と、便器内に供給される水の量だけでなく、タンク内の
水位の低下により、便器内に供給される水の勢いも低下
する。従って、タンクの貯水量を少なくし、一回の大洗
浄で8リットルよりも少ない水を使用した場合には、便
器の鉢面の洗浄や汚物の排出を確実に行うことができな
かった。
【0005】一方、便器には、排水管からの臭気の逆流
や害虫の侵入を防止するために、便器の底部に所定の高
さの封水を設けられている。この封水は、便器の洗浄の
度ごとにタンクからの新たな水に置換される。従って、
封水の量を減らすことにより、タンクの貯水量を少なく
することも可能である。
【0006】しかし、封水の量を単純に少なくすると、
鉢部における溜水も減少し、汚物を溜水で充分に大気と
遮断することができず、用便後の室内に臭気が発散した
り、鉢面に汚物の汚れが固着しやすくなるという欠点が
あった。
【0007】また、上下に屈曲した排水路を備え、この
排水路の屈曲部分を満水状態としたときの便器の鉢部内
との水位差によって生じるサイホン作用を利用して汚物
を排出するサイホン便器の場合においては、封水の量を
少なくするためには、排水路の屈曲部分の高さを低くす
る必要がある。しかし、高さを低くすれば、便器の鉢部
内との水位差が小さくなる。このため、サイホン作用に
よって生じる排水方向への引き力が弱まり、汚物を確実
に排出できないおそれがあった。
【0008】そこで、本発明は、以上の課題を解決し、
1回の洗浄により使用される水の量の減少を、鉢面への
汚れの固着や汚物の排出性能の低下等の不具合を生じさ
せることなく実現することを目的として、以下の構成を
採った。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の第一の水洗便器は、汚物を受ける鉢部と、該鉢部
の底部に形成された排出口と接続された接続路と、該接
続路に連通し、該連通位置から上方向に延出する上昇路
を備え、前記鉢部,前記接続路および前記上昇路に溜め
られた貯溜水により封水を形成し、該鉢部への洗浄水の
供給に伴って、前記排出口から流路である前記接続路お
よび前記上昇路に水を送り込み、該上昇路を通過した水
や汚物を排水管の位置する下方へと導く水洗便器におい
て、前記鉢部,前記接続路および前記上昇路を、前記封
水の形成時における貯溜水の量が1.1リットル以上
1.45リットル以下となる形状とし、主として汚物落
下の位置となるボウル面から前記貯溜水の水面までの前
記封水の垂直高さを、少なくとも85ミリメートル以上
の値としたことを要旨とする。
【0010】本発明の水洗便器によれば、鉢部,前記接
続路および前記上昇路を、前記封水の形成時における貯
溜水の量が1.1リットル以上1.45リットル以下と
なる形状とする。この構成により、一回の洗浄によって
置換される水の量が少なくなるので、洗浄時に使用され
る水の量を減らすことが可能となる。
【0011】一方、汚物落下の位置となるボウル面から
前記貯溜水の水面までの封水の垂直高さを、少なくとも
85ミリメートル以上の値とする。この構成により、鉢
部の封水との接触面積が確保されるので、鉢面への汚れ
の固着や用便後の臭気の発散を助長することがない。即
ち、封水の高さを確保しながら封水の量を減らすので、
汚れにくい鉢面と節水との双方を実現することができ
る。
【0012】本発明の第二の水洗便器は、汚物を受ける
鉢部と、該鉢部の底部に形成された排出口と接続された
接続路と、該接続路に連通し、該連通位置から上方向に
延出する上昇路と、該上昇路と連続し、該上昇路の終端
から排水管の位置する下方向に延出する下降路とを備
え、前記鉢部,前記接続路および前記上昇路に溜められ
た貯溜水により、前記上昇路の高さに対応する高さに封
水を形成し、該鉢部への洗浄水の供給に伴って、前記排
出口から流路である前記接続路および前記上昇路に水を
送り込み、該水を送り込むことによって生じるサイホン
作用を利用して、前記水や汚物を前記上昇路から前記下
降路に導くサイホン式の水洗便器であって、前記鉢部
を、前記封水の形成時において該鉢部内に貯溜する水の
量が0.7リットル以上1.2リットル以下となる形状
とし、主として汚物落下の位置となるボウル面から前記
貯溜水の水面までの前記封水の垂直高さを、少なくとも
85ミリメートル以上の値としたことを要旨とする。
【0013】本発明のサイホン式の水洗便器によれば、
鉢部の形状を、封水の形成時において該鉢部内に貯溜す
る水の量が0.7リットル以上1.2リットル以下とな
る形状とする。この構成により、一回の洗浄によって置
換される水の量が少なくなるので、洗浄時に使用される
水の量を減らすことが可能となる。
【0014】一方、汚物落下の位置となるボウル面から
前記貯溜水の水面までの封水の垂直高さを、少なくとも
85ミリメートル以上の値とするので、サイホン作用を
安定して発生させることができ、汚物を確実に排出する
ことが可能となる。即ち、封水の高さを確保しながら封
水の量を減らすので、便器の排水性能を確保しつつ節水
を図ることができる。
【0015】鉢部の内壁に、該鉢部の略中心部を除いて
水深の浅い段部を設ける構成とすれば、該段部の存在に
より鉢部内の容積が減少するので、鉢部内の封水量を減
らすことが可能となる。この段部を、左側の内壁から鉢
部の中心部に向かって40ミリメートル以上、右側の内
壁から鉢部の中心部に向かって40ミリメートル以上の
長さに設ければ、鉢部内の封水量を大きく減らすことが
できる。
【0016】さらに、封水を形成する貯溜水のうち、鉢
部内に溜められる水の水面の大きさを、奥行き180ミ
リメートル以上および幅140ミリメートル以上の値と
すれば、封水の面積をサイホン式便器並みに広くとるこ
とができ、鉢部への汚物の付着や鉢部からの臭気の発散
を防止することができる。上記水面の大きさを、奥行き
225ミリメートル以上および幅185ミリメートル以
上にまで確保すれば、より効果的である。
【0017】封水を形成する貯溜水のうち、接続路およ
び上昇路内に溜められる水の量を、0.4リットル以上
0.6リットル以下の値とすれば、一回の洗浄によって
置換される水の量が更に少なくなるので、洗浄時に使用
される水の量をより減少させることが可能となる。例え
ば、貯溜水が溜まる部分における接続路から上昇路まで
の内径を略同一に形成する構成を考えることができる。
【0018】便器に供給された洗浄水を排出口に導くた
めの導水路が封水よりも下の位置に設けられ、該導水路
から排出口に向けて洗浄水を噴出するゼット噴出機構を
備え、封水を形成する貯溜水のうち、導水路内に溜めら
れる水の量を、0.6リットル以下の値としてもよい。
導水路内に溜まる水も、洗浄の度ごとに置換されるの
で、この溜まる水の量を少なくすることで、洗浄時に使
用される水の量を減少させることができる。
【0019】上記の封水の量の減少により、一洗浄動作
当たりの洗浄水の排出量を、3リットル以上7リットル
以下の値とすれば、節水効果の高い便器を提供すること
ができる。
【0020】鉢部の内壁の形状を、便器の前後軸に対し
て非対称形状に形成することも好適である。こうすれ
ば、便器の洗浄の際、鉢部内の水に旋回が生じるので、
この旋回力により汚物の排出性能をより向上することが
できる。
【0021】なお、ボウル部の溜水量および形状につい
ては、ボウル部溜水量0.7〜1.2リットル、主とな
る汚物落下位置(ボウル面)と溜水面までの距離85m
m以上が好ましい。この時、棚部以下の最低溜水量は、
0.3リットル、棚部の溜水深さは15mm〜5mmが
好ましい。便器の上に載置された便座部分に人間が座っ
た場合、溜水面に対する肛門位置はその人間の年齢、体
型などによりずれを生じる。(大人の場合:便座取り付
け穴から153mm±前後方向30mm)その際に生じ
る不具合として、肛門から落下する汚物が便鉢内の溜水
面の外への飛び出し、あるいは汚物の形状によっては溜
水面以下に入りきれず、汚物の一部が溜水面より上方に
突出する場合があるからである。
【0022】溜水面外への飛び出しはリムからの吐水に
よるボウル洗浄により除去可能であるが、溜水面内の汚
物の溜水面上方への突出は溜水容積や形状によっては不
可避となってしまう。この場合、汚物が空気にさらされ
ることになるため、その臭いが漏れることとなり大変不
快となる。そこで、本発明では汚物落下位置と溜水容積
形状とその各部の溜水深さを上記の数値に最適化を行っ
た。これにより、汚物が溜水面の中に沈むことにより、
においが外部へ漏れることがなく、極めて快適に***す
ることが可能となる。
【0023】また、各代替汚物に対する洗浄方法を考慮
した場合の溜水量としては、1.1〜1.45リットル
とし、かつ、棚部以下の最低溜水量は、0.3リット
ル、棚部の溜水深さは15mm〜5mmが好ましい。す
なわち、人間から排出される汚物の形状,物性はさまざ
まであり、それら汚物の洗浄を行う便器の洗浄性能はそ
れらすべてに対応しなければならない。汚物はその比
重、形状から大きく2種に分別される。1つは比重が水
より重くボウル底面へ沈む高比重汚物、もう1つは比重
が水より軽く微粒状である浮遊微粒汚物である。
【0024】溜水量を1.1〜1.45リットルとする
本発明では、高比重汚物の容積分を棚部以下の容積で確
保できる。また、棚部以下の最低溜水量が0.3リット
ル、棚部の溜水深さは15mm〜5mmであるから、浮
遊微粒汚物を旋回させ溜水面の中央部分に集めさせるた
めに旋回させやすい。これにより、高比重汚物が完全に
溜水面内に収まることが可能であり、においの発生が無
い。また、棚部分の溜水をリム吐水の洗浄水により旋回
させることにより、より効果的に溜水全体を旋回させる
ことが可能となった。
【0025】また、トラップ内径φ50〜φ60mm、
好ましくは55mmとしてトラップ部容積を0.45リ
ットル〜0.6リットルに低減し、溜水量を溜水面深さ
100mmとすることが好ましい。サイホン便器におい
ては、サイホンの発生を早期に行わせ、サイホンが発生
するまでに使用される水量を減らすために、早期にトラ
ップ内を洗浄水で満たす必要がある。そこで考えられる
のはトラップ内の容積を低減させることである。しか
し、トラップ容積を縮小させると汚物形状によってはト
ラップ内を通過できなくなり洗浄不良を起こすことが考
えられる。
【0026】そこで本発明では、トラップ容積と汚物の
洗浄性の関係について研究を行い、トラップの断面積を
φ50mm〜φ60mmとすることで、各種想定した汚
物の洗浄性能が満足されつつ容積を低減できるという知
見を得ることができた。こうすれば、トラップ入り口の
上縁をボウル底面から50mmとすることができるた
め、吸い込み口に空気が入り込むまで、すなわちサイホ
ンが切れるまでの時間を確保し、サイホンの持続時間が
増え、汚物の洗浄力を向上させることができる。
【0027】従って、本発明によれば、トラップ内の容
積が少なくなり、サイホン発生までの必要水量を減らす
ことが可能となり、節水タイプのサイホン便器を効率よ
く製造することができる。
【0028】また、棚部以下の溜水量を0.3リットル
以上とすることが好ましい。これは、人間の汚物量に関
する研究より最小汚物径1.5cm、最小汚物長さ1
0.0cm、最小汚物容積17.67立方センチメート
ル、そして、最大汚物径4.0cm、最大汚物長さ2
0.5cm、最大汚物容積257.61立方センチメー
トルまた、平均汚物体積143立方センチメートルであ
ることが知られている。
【0029】この最大容積の汚物が溜水面以下に没し、
洗浄の際に自由に動く必要がある必要がある。そこで、
棚部以下の溜水量を少なくとも0.3リットル以上とす
ることが好ましいのである。
【0030】また、おつり防止のために下記する2個所
の距離の最適値を見出した。第一は、汚物落下のエネル
ギーを小さくするために座面から水面までの距離であ
り、130mm以下とすることが好ましい。第二に、跳
ね返り水量(押しのけられた水)を少なくするために、
ボウル内の主として汚物が落下する位置となるボウル面
の水深を85mm以下と浅くすることが好ましい。この
ような構成により、汚物が溜水面内に収まることが可能
となり、溜水面の外に暴露しないためにおいの発生が無
く快適に***することが可能となる。
【0031】また、トラップ排水口が略垂直に下降する
略逆U字状のトラップを有するサイホン便器(略ラフィ
ン200mm)においては、ゼット導水路がある場合の
溜水量を1.7リットル〜2.2リットルとすれば好ま
しく、この溜水量を1.9リットル〜2.1リットルと
すれば、より好ましい。また、ゼット導水路のない場合
には、溜水量を1.2リットル〜1.7リットルとすれ
ば好ましく、この溜水量を1.4リットル〜1.6リッ
トルとすれば、より好ましい。
【0032】すなわち、略U字状のトラップを有するサ
イホン便器は、圧力損失を少なくしたために強力なサイ
ホン力を得ることが可能となる。しかし、サイホン力が
強くボウル内の溜水を瞬間的に排出するために、溜水量
の最適値に設定しておかないと、瞬間的な溜水の排出に
追いつけず、浮遊微粒汚物のみボウル面内に残るという
不具合を生じる。
【0033】そこで、ゼット導水路がある場合の溜水量
として1.7リットル〜2.2リットルとし、ボウル底
面に沈んだ高比重汚物に関してはゼット口からの強力な
ゼット流とサイホン力の組み合わせで排出し、浮遊微粒
汚物に対してもボール底部からトラップ部へ向かって排
出することができる。溜水量1.9リットル〜2.1リ
ットルの場合には、高比重汚物、浮遊微粒汚物、その混
合汚物についても十分な排出性能が確認された。
【0034】また、ゼット導水路のない場合には、溜水
量1.2リットル〜1.7リットルとし、リム洗浄水量
を増やすことで溜水の十分な旋回時間を確保することが
できるとともに、溜水面の大幅な上昇によって大きな力
のサイホンを発生させることができる。また、この溜水
量であれば、汚物の水没など溜水としての機能も十分に
発揮することができる。特に、溜水量1.4リットル〜
1.6リットルの場合には、高比重汚物、浮遊微粒汚
物、その混合汚物についても十分な排出性能が確認され
た。
【0035】また、タンク実容量4リットル〜6リット
ルであってゼット導水路がある場合には、タンク実容量
と溜水量との比を1.8〜3.5とすれば好ましく、こ
の比を1.9〜3.2、とすれば、より好ましい。この
比を1.9〜2.1とすれば、なお好ましい。また、タ
ンク実容量4リットル〜6リットルであってゼット導水
路がない場合には、タンク実容量と溜水量との比を2.
4〜5.0とすれば好ましく、この比を2.5〜4.3
とすれば、より好ましい。この比を2.5〜2.9とす
れば、なお好ましい。
【0036】この様な構成を有するサイホン便器にあっ
ては、溜水として機能する十分な溜水量を確保しつつ、
しかも高比重汚物、浮遊微粒汚物、その混合汚物など各
種の汚物を確実に排出できるサイホン現象を発生させる
タンク実容量をえることができる。これにより、総排水
量を飛躍的に減少させたサイホン式の節水洗浄が実現で
きる。また、この比を厳守しつつサイホン便器を設計す
ることで、簡単に節水洗浄のサイホン便器を製品化する
ことができる。
【0037】
【発明の他の態様】発明の他の態様として、次のような
設計方法を考えることができる。請求項1または請求項
2記載の水洗便器を設計する方法であって、貯留された
汚水が十分に置換されるよう洗浄水量と貯溜水との体積
比が少なくとも4以上となるよう貯溜水部の形状を決定
する水洗便器の設計方法。
【0038】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成及び作
用を一層明らかにするために、以下本発明の水洗便器に
ついて、その実施の形態を説明する。図1は、本発明の
実施例であるサイホンゼット式の便器10の縦断面を示
す説明図であり、図2は、この便器10の上面を示す説
明図である。このサイホンゼット式の便器10は、洗浄
に伴って、後述するゼット噴出孔22から水を噴出し、
サイホン作用を早期に引き起こすことを特徴とする。以
下、便器10の各部について、図1および図2を参照し
つつ説明する。
【0039】図1に示すように、便器10は、汚物を受
けるボール部20を備える。ボール部20の周壁は、便
器10の非洗浄時でも封水FWと接する接水壁23と、
便器10の非洗浄時には封水FWと接しない乾燥壁24
から構成されている。
【0040】図2に示すように、ゼット噴出孔22は、
この孔22が噴出する水の入口であるゼット給水孔45
と、便器内部を湾曲するように形成されたゼット給水路
46を介して接続されている。ゼット噴出孔22は 図
1に示すように、凹部26を挟んで排出口25とほぼ対
峙する位置に設けられており、洗浄水のエネルギーは、
排出口25以降の排出機構に無駄なく伝達される。従っ
て、サイホン作用をより早期に引き起こすことが可能と
なる。
【0041】この便器10の内部には、ボール部20に
水を供給するための機構(以下、供給機構という)と、
ボール部20内の水を汚物を排水管に向けて排出するた
めの機構(以下、排出機構という)が設けられている。
【0042】まず、供給機構について説明する。便器1
0の後方には、洗浄タンク15の排水口15aを接続す
るための孔である洗浄水給水孔40が設けられており、
洗浄水給水孔40からボール20方向に向かう便器10
の内部には、洗浄タンク15からの洗浄水の流路である
洗浄水給水路41が設けられている。
【0043】洗浄水給水路41には、自由落下により付
勢された多量の水が、洗浄タンク15から一気に供給さ
れる。このため、洗浄水給水路41から斜め下向きに延
出した滞留部41aは、洗浄開始後に満水となり、洗浄
水は分岐孔42からリム給水路43に供給される。リム
給水路43に供給された洗浄水は、リム21の裏側に設
けられた水出し孔44(図2を参照)から吐出される。
【0044】図2に示すように、リム21の裏側には、
7mm径の大孔44a,4mm径の中孔44b,3mm
径の小孔44c,略長方形の長孔44d,eという5種
類の形状の水出し孔44が設けられている。この水出し
孔44は、リム21の成形時に形成されるものである
が、勿論、水出し孔付きのディストリビュータをリム2
1の裏側に装着するものであってもよい。
【0045】このうち、長孔44d,eは、水出し孔4
4からの吐出される洗浄水に旋回成分を付与する。即
ち、便器10の前側方向に付勢されて、左右のリム給水
路43に供給された洗浄水は、水出し孔44の開孔径や
洗浄水の付勢力に対応して分配されて、各孔44a〜e
から吐出される。このとき、分岐孔42に近い位置であ
る右側後方のリム21の裏側に形成された長孔44dか
らは、付勢力の大きな水が、便器の前方のやや左側の乾
燥面24に向けて多量に吐出される。また、便器10前
方のやや左側の位置に形成された長孔44eからは、リ
ム給水路43を右回りに流れてきた洗浄水が、便器10
左後方の乾燥面24に向けて多量に吐出される。この長
孔44d,eから吐出された洗浄水が主流となって、水
出し孔44から吐出される洗浄水に時計廻り方向への旋
回力が付与される。この旋回力は、ボール部20内の封
水FWに伝達される。この結果、ボール部20内の水は
右回りの旋回流となる。
【0046】なお、上記は、水出し孔44から吐出され
る洗浄水に旋回成分を与える手法の一例であり、勿論、
他の手法を用いてもよい。例えば、旋回方向への角度を
つけながら水出し孔44を形成してもよいし、リム給水
路43の流路を片側廻りにしてもよい。
【0047】また、滞留部41aに到達した洗浄水は、
滞留部41aの側壁に設けられた小径のゼット給水孔4
5に進入する。この進入に伴ってゼット給水路46に洗
浄水が供給される。ゼット給水路46に供給された洗浄
水は、ゼット噴出孔22から噴出される。
【0048】なお、水出し孔44からの吐出量とゼット
噴出孔22からの噴出量との配分は、分岐孔42やゼッ
ト噴出孔22の形状等を変えることにより、任意に設定
することが可能である。
【0049】以上、便器10の供給機構について説明し
た。次に、排出機構について説明する。図1に示すよう
に、汚物溜りとしての凹部26の奥に形成された排出口
25の先には、汚水の流路として、排出口25から斜め
上方向に向けて湾曲する接続路31,接続路31の湾曲
方向に延出した後、横方向へ湾曲する上昇路32,横方
向から下方向に湾曲する下降路33が、それぞれ形成さ
れている。下降路33の終端は、樹脂製の排水ソケット
70を介して、建築側の壁や床に設けられた排水立ち上
げ管90に接続される。
【0050】図1に示すように、本実施例では、流路内
溜水が溜まる接続路31および上昇路32の形状を、接
続路31が上昇路32よりも幅広である従来の形状から
変更し、上昇路32の断面形状を基準として、接続路3
1を上昇路32と同じ形状とする。このため、流路内溜
水が溜まる部分の容積が従来よりも減少する。このよう
に流路内溜水を減らすことで、封水FWの全体量を減ら
すことを実現している。
【0051】これらの流路は、この流路形状を石膏型や
樹脂型に形取ることにより、陶器である便器10と一体
に成形されるが、便器10とは別の部材で流路を形成す
ることも可能である。例えば、これらの全部または一部
の流路を、樹脂等の他の部材で成形し、排出口25に接
続する構成としてもよい。また、排水立ち上げ管90が
建築の壁側に設けられている場合に対応する壁排水仕様
の便器10の場合には、下降路33の終端の形状を、排
水方向が壁向きとなるように変更し、下降路33の終端
に、排水立ち上げ管90方向に向かうベンド管を接続す
る構成とすればよい。
【0052】なお、図1に示すように、洗浄動作前の便
器10においては、通常水位線WLの高さに封水FWが
溜まっている。本実施例では、封水FWの少量化を図る
一方で、幅185mm×奥行き225mmという値の広
い封水面を確保している。この封水FWにより、排水機
構からボール部20への臭気の逆流や害虫の進入が防止
される。
【0053】封水FWは、排出口25に至るまでのボー
ル20の内部に溜まる水(以下、この水をボール部溜水
という)と、排出口25以降の接続路31および上昇路
32に溜まる水(以下、この水を流路内溜水という)か
ら構成されている。本実施例では、このボール部溜水お
よび流路内溜水の量については、後述する。
【0054】なお、通常水位線WLの高さは、上昇路3
2の内壁下側の最も高い位置(以下、路内最高位置とい
う)の高さによって定まる。従って、図1に示すよう
に、便器10の滞留部41aの下部,ゼット給水孔45
およびゼット給水路46は、路内最高位置よりも下方に
あるため、便器10の静止状態においては、滞留部41
aの下部およびゼット給水路46には、所定量の水が溜
まる(以下、この水をゼット溜水という)。なお、路内
最高位置の高さを低くすれば、封水FWの水位も低くな
り、ボール部溜水,流路内溜水,ゼット溜水の量も減少
する。
【0055】このように構成された排水機構により、汚
水や汚物が排出される仕組みについて説明する。洗浄タ
ンク15からの付勢された洗浄水が水出し孔44および
ゼット噴出孔22から噴出されると、封水FWの水位は
通常水位線WLから急激に上昇する。また、ゼット噴出
孔22からの洗浄水は、接続路31に向けて噴出される
ため、上昇路32内における水位は、より急激に上昇す
る。
【0056】上昇路32の水位が上昇し、上昇路32か
ら下降路33にかけての屈曲した部分(以下、屈曲部と
いう)が満水状態になると、下降路33内先端と封水の
ボール部側との間に圧力差が生じて下方向への引き込み
力が生じる。この引き込み力により、屈曲部よりも低い
位置にある汚水が、汚物とともに一気に排水立ち上げ管
90に導かれる。このような作用をサイホン作用とい
う。
【0057】次に、本実施例の便器10が、一回の洗浄
の際に使用する水の量(以下、洗浄水使用量という)に
ついて説明する。まず、使用される水の供給源となる洗
浄タンク15について簡単に説明する。洗浄タンク15
は、便器10後部のタンク密結孔28において便器10
と密接して連結される、いわゆるロータンク型のタンク
である。このタンク内の水位の高さは、タンク内部に設
けられた、排水口15aを塞ぐ弁体を浮子の位置に応じ
て開閉するフロート弁機構により調整される。本実施例
では、洗浄タンク15内に貯水される水の容量(以下、
タンク貯水量という)を、従来よりも少量の約4リット
ルとしている。
【0058】洗浄タンク15に組み付けられたハンドル
は、大小切り替え可能に構成されている。具体的には、
ハンドルで大洗浄が操作された場合には、タンク貯水量
の全てである約4リットルの水が、小洗浄が操作された
場合にはタンク貯水量のうちの約3リットルの水が、そ
れぞれ洗浄水給水孔40に向けて排出される。なお、ハ
ンドル操作によらず、センサによる人体の検知に基づい
て開弁する構成としてもよい。
【0059】また、上記のタンク内に貯められた水のほ
か、一回のハンドル操作に伴って、大洗浄の場合には約
1.8リットルの水が、小洗浄の場合には約1.4リッ
トルの水が、それぞれ洗浄水給水孔40に向けて排出さ
れる。この水には、いわゆる「こぼし水」等が含まれ
る。こぼし水とは、フロート弁の開弁時に洗浄タンク1
5内に新たに供給された水のうち、タンク内に溜まらず
にそのまま洗浄タンク15の排出口から排出されてしま
う水をいう。
【0060】なお、通常水位線WL以下に溜まる一定量
のボール部溜水,流路内溜水,ゼット溜水は、一回の洗
浄によって、溜まっていた量と同量の水に入れ替わるだ
けである。従って、本実施例の便器10では、一回の大
洗浄で5.8リットルの水が、一回の小洗浄で4.4リ
ットルの水が、それぞれ排水立ち上げ管90に排出され
る。このため、洗浄水使用量は、大洗浄で5.8リット
ル、小洗浄で4.4リットルとなる。
【0061】本実施例の便器10では、上記のような少
量の洗浄水を使用しつつ、封水FWの量を減少させると
いう構成を採用し、ボール部20の洗浄,汚物の排出,
ゼット噴出孔22からの洗浄水によるサイホン作用の早
期発生という3つの基本的機能を担保している。即ち、
ボール部溜水,流路内溜水,ゼット溜水の量を少なくす
れば、便器10の洗浄の際に置換される水の量が減少す
るので、この減少分の水をタンク貯水量から差し引くこ
とが可能となり、洗浄水使用量の少量化を実現すること
ができる。
【0062】本実施例では、ボール部溜水の量を約1リ
ットル,流路内溜水の量を約0.45リットル,ゼット
溜水の量を約0.5リットルとしている。従って、便器
10では、上記のボール部溜水,流路内溜水,ゼット溜
水の量を洗浄水使用量から差し引いた量である、大洗浄
で3.85リットル、小洗浄で2.45リットルの水
を、ボール部20の洗浄およびゼット噴出孔22からの
噴出に用いることができる。このように、便器10で
は、ボール部20の洗浄,汚物の排出およびゼット噴出
孔22からの洗浄水によるサイホン作用の早期発生に十
分な水量が確保されている。
【0063】この封水FWの量の減少を、本実施例で
は、ボール部20の内面の形状や、接続路31および上
昇路32の形状により実現する。まず、ボール部20の
内面の形状について、図3ないし図5を参照しつつ説明
する。
【0064】図3は、図2に示した便器10を凹部26
後端の上方から切断した状態を示すA−A´断面図であ
る。図3に示すように、凹部26の後端付近におけるボ
ール部20の周壁は、左右のリム21の直下から便器1
0の中心方向に向かって緩やかな傾斜で延出される。こ
の傾斜面には、便器10の内側を曲げ中心とし、曲率半
径約500mmの緩やかな曲がりが付与されている。こ
の後、周壁は、封水FWの通常水位線WLよりもやや上
に位置する第1曲部53において、便器10の水底面5
0方向に曲げられる。図3の断面位置においては、第1
曲部53における曲率半径を約50mmとしている。
【0065】このように曲げられた周壁は、通常水位線
WLを超えてしばらく延出された後、第4曲部56で再
び外側方向に曲げられて、水底面50に向かってほぼ真
下に延出される。図3の断面位置においては、第4曲部
56以下の周壁と水底面50とで凹部26の領域を形成
している。
【0066】なお、A−A´断面位置における水底面5
0から通常水位線WLまでの高さは、便器10の封水F
Wの高さの最大値となり、本実施例では、この高さを約
113mm(排出口25の上端までの高さの値55mm
に排出口25の上端から通常水位線WLまでの高さの値
58mmを加えたもの)とし、日本工業規格の基準値で
ある103mm以上という値に適合した水位を確保して
いる。なお、この通常水位線WLまでの高さの値は、上
昇路32の路内最高位置の高さを上下することにより、
適当な値に変更することが可能である。例えば、サイホ
ン式の便器の場合には、日本工業規格における封水FW
の高さの基準値は88mm以上とされているので、本実
施例の便器10よりも更に封水FWの高さを低くするこ
とができる。
【0067】続いて、凹部26前端の位置の上方から便
器10を切断したときの状態を図4のB−B´断面図に
示す。図4に示すように、凹部26の前端付近における
ボール部20の周壁は、左右のリム21の下方から便器
10の中心方向に向かって緩やかな傾斜で延出される。
この傾斜面には、便器10の内側を曲げ中心とし、曲率
半径約500mmの緩やかな曲がりが付与されている。
この後、周壁は、封水FWの通常水位線WLよりもやや
上に位置する第1曲部53において、ゼット導水面51
方向に大きく曲げられる。図4の断面位置においては、
第1曲部53における曲率半径を約30mmとしてい
る。
【0068】このような曲げ方向に延出された周壁は、
通常水位線WLを超えてまもなく、第2曲部54で内側
方向に大きく曲げられる。図4の断面位置においては、
第2曲部54における曲率半径を約20mmとしてい
る。このように曲げられた周壁は、緩やかな下向きの傾
斜で、便器10の中心方向に延出される。この周壁の延
出により、ボール部20には、通常水位線WLを跨ぐ段
部58が形成される。
【0069】なお、B−B´断面位置においては、第2
曲部54の位置を、便器の左側では通常水位線WLから
約8mm下の位置とし、便器の右側では、通常水位線W
Lから約13mm下の位置とする。つまり、第2曲部5
4の垂直位置は、図4に示すように、便器10の左右で
異なっており、便器10の右側の方が左側よりも下方に
設けられている。
【0070】第2曲部54から便器10の中心方向に延
出された周壁は、前述した第4曲部56よりもやや上方
の第3曲部55において、便器10の左側では約40m
m,右側では約45mmの曲率半径で再び外側方向に曲
げられ、水底面50方向にほぼ真下に延出される。図4
の断面位置においては、第3曲部55以下の周壁とゼッ
ト導水面51とから、凹部26の領域が形成される。な
お、本実施例では、図4の断面位置におけるゼット導水
面51から通常水位線WLまでの高さを、約80mmと
いう値としている。
【0071】続いて、凹部26よりも前方の位置の上方
から便器10を切断したときの状態を図5のC−C´断
面図に示す。図5に示すように、凹部26よりも前方に
おけるボール部20の周壁は、図4の場合と同様に、左
右のリム21の下方から便器10の中心方向に向かって
緩やかな傾斜で延出される。この傾斜面には、便器10
の内側を曲げ中心とし、曲率半径約500mmの緩やか
な曲がりが付与されている。この後、周壁は、前述した
第1曲部53において、約30mmの曲率半径で、凹部
26方向に曲げられる。
【0072】このような曲げ方向に延出された周壁は、
図4の場合と同様に、通常水位線WLを超えてまもな
く、前述した第2曲部54において、約20mmの曲率
半径で内側方向に大きく曲げられ、緩やかな下向きの傾
斜で便器10の中心方向に延出される。この周壁の延出
により、ボール部20には、通常水位線WLを跨ぐ段部
58が形成される。このように、段部58の底面を、通
常水位線WLの下側に位置させることで、B−B´断面
位置においては、封水FWの幅として185mmという
値が確保されている。これにより、ボール部20への汚
物の付着や臭気の発散が防止される。
【0073】第2曲部54の垂直位置は、図4のB−B
´断面位置の場合と同様に、便器10の左右で異なり、
便器10の右側の方が左側よりも下方に設けられてい
る。図5に示すように、C−C´断面位置においては、
第2曲部54の位置を、便器10の左側では通常水位線
WLから約7mm下の位置とし、便器10の右側では通
常水位線WLから約13mm下の位置とする。つまり、
図4のB−B´断面および図5のC−C´断面として示
す便器10の凹部26の前側周辺においては、段部58
に7mm以上の封水FWが確保される。
【0074】従って、汚物が段部58に落下した場合に
おいても、ボール部21に汚れが付着し、この汚れが用
便の間にボール部21にこびりついてしまうことがな
い。特に、凹部26の前側周辺は、汚物の落下する頻度
が高い領域であるため、有効である。
【0075】なお、第2曲部54から第3曲部55にか
けて形成された段部58の底面は、図4のB−B´断面
位置においては約60mmの幅を、図5のC−C´断面
位置においては約40mmの幅を有する。つまり、ボー
ル部20は、少なくとも、便器10の左側の第2曲部5
4から40mm,右側の第2曲部54から40mm、便
器中心方向に張り出している。このため、従来の便器と
比べ、ボール部20は小さな容積となっており、封水F
Wの少量化に寄与している。また、段部58の底面を、
通常水位線WLの下側に位置させているので、ボール部
20への汚物の付着や臭気の発散を防止することができ
る。
【0076】なお、本実施例では、封水FWの量の減少
をボール部20の内部の形状、接続路31および上昇路
32の形状を変更することにより実現するが、勿論、こ
れ以外の手法を用いても差し支えない。例えば、ボール
部20の形状を、水底面50の垂直位置を上昇させるよ
うに変更することも可能である。また、排水路における
路内最高位置を低くして通常水位線WLを下降させるこ
とにより、封水FWの量を減少させてもよい。
【0077】C−C´断面位置における第2曲部54の
垂直位置は、図4のB−B´断面位置の場合と同様に、
便器10の左右で異なり、便器10の右側の方が左側よ
りも下方に設けられている。また、便器10の左側の第
2曲部54の垂直位置は、便器10の前側のC−C´断
面位置の方が、前述した図4のB−B´断面位置よりも
1mm高くなっている。即ち、段部58の底面には、便
器の左側の前方から後方ないし便器の右側にかけて勾配
が設けられている。また、段部58の表面積は、第1曲
部53から第2曲部54までの高さの差に対応して、便
器10の左側,後側,右側に進むにつれて次第に大きく
なる。
【0078】一方、図2において説明したように、リム
給水路43に供給された洗浄水は、右側前方のリム21
の裏側に設けられた大孔44aから多量に吐出され、し
かも、この吐出される洗浄水には、時計廻りの方向への
運動エネルギーが付与されている。
【0079】従って、水出し孔44から洗浄水が吐出さ
れると、小孔44cから吐出された洗浄水は、運動エネ
ルギーおよび水量の差に起因して、大孔44aから吐出
された洗浄水に巻き込まれる。この結果、勢いのある洗
浄水が多量に便器10の左側の段部58に供給され、封
水FWに強い旋回成分を確実に与える。この洗浄水は、
便器10の左側から後側,右側にかけての段部53の底
面の傾斜に案内されて、時計廻りに旋回する。この旋回
力が付与された洗浄水により、汚物は排出口25に強く
引き込まれる。従って、汚物の排出をより確実にするこ
とができる。
【0080】また、段部58の表面積は、便器10の右
側に行くほど大きくなっているので、便器10の右側の
段部58では、左側の段部58よりも大きな運動エネル
ギーを受け止めることができる。従って、旋回に連れて
次第に洗浄水の水勢等の運動性能が高くなっても、便器
10の右側の段部58により、洗浄水の旋回成分を旋回
方向に無駄なく伝えることができる。
【0081】第2曲部54から便器10の中心方向に延
出された周壁は、前述した第3曲部55において、約4
0mmの曲率半径で再び外側方向に曲げられ、ボール部
20の底面で合流する。なお、ボール部20の底面から
通常水位線WLまでの高さは、図5の断面位置において
は、約45mmとされている。
【0082】以上の図3ないし図5に示した断面構成に
おいて、リム21の表面から通常水位線WLまでの高さ
は約130mmという値とされており、従来のサイホン
便器よりも座面から水面までの距離が短くなっている。
また、既述したように、図4のB−B´断面位置におけ
るゼット導水面51から通常水位線WLまでの高さは約
80mmであり、図5のC−C´断面位置におけるボー
ル部20の底面から通常水位線WLまでの高さは約45
mmであり、従来のサイホン便器よりも水深が浅く設定
されている。このため、用便の際に落下した汚物は、小
さな速度成分で封水面に到達し、到達後の汚物が封水内
を移動する距離も短くなる。従って、用便直後の封水の
はね返りを低減することができる。
【0083】また、前述したように、凹部26の前側周
辺においては、段部58から7mm〜13mmという高
さに封水FWが溜まっており、この封水面に汚物が到達
した場合には、汚物の封水内の移動距離はさらに短くな
る。このように、本実施例の便器10では、汚物が落下
する可能性のある広い領域にわたり、浅い封水FWが形
成される。従って、封水面汚物の落下位置が、便器10
の中心から左右方向にぶれた場合にも、封水のはね返り
を防止することができる。
【0084】なお、上記実施例において、上述した接続
路31および上昇路32の断面形状を、以下のように構
成することもできる。この構成を、図6および図7に示
す。図6は、接続路31、上昇路32の横断面形状を示
す。図7は、接続路31、上昇路32の縦断面形状を示
し、図7(a)は、図6のP−P´断面、Q−Q´断面
およびR−R´断面を示す。
【0085】図6および図7(a)に示すように、接続
路31の始端31aおよび終端31b、上昇路32の始
端31aおよび中間部32bは、同じ断面を有してい
る。この断面は、下側が半円形状、上側が長方形状とい
う、非円形かつ上下に非対称の形状とされている。この
形状は、図6に示す中間部32bと終端32cとの間の
曲り部においても同じであり、上側の外曲がり部分が長
方形状に、下側の内曲がり部分が半円形状に形成されて
いる。
【0086】つまり、接続路31は、始端31aから終
端31bまで同一の断面積で形成され、上昇路32は、
始端32aから終端32cの手前に至るまで、接続路3
1と同一の断面積で形成されている。
【0087】一方、上昇路32の終端32c付近の断面
は、これ以外の部分における上昇路32の断面とは異な
る形状で形成されている。この断面形状を図7(b)に
示す。図7(b)に示すように、上昇路32の終端32
cの断面は、円形とされている。
【0088】ここで、図7(a)に示した接続路31の
始端31aから上昇路32の終端32cの手前に至るま
での断面において、下側の半円の中心O1からの半径r
1の値は、約27.5mmとされている。従って、上側
の長方形の長辺x1の長さは約55mmとなる。また、
上側の長方形の短辺x2の長さは、半径r1の値と同じ
27.5mmとされている。一方、図7(b)に示した
上昇路32の終端32cの断面においては、下側の半円
の中心O2からの半径r2の値は、約27.5mmとさ
れている。従って、接続路31の始端31aから上昇路
32の終端32cの手前に至るまでの断面と上昇路32
の終端付近32cの断面とは、略同一の断面積となる。
【0089】このように形成された接続路31および上
昇路32を洗浄水および汚物が流れる様子を、図8ない
し図10を参照しつつ説明する。図8は、上昇路32と
下降路33との間の屈曲部が満水状態となり、サイホン
作用が生じた始めたときの便器10の横断面を示す。図
8に示すように、水出し孔44から洗浄水が吐出される
と、ボール部20内の洗浄水の水位が最高水位線WL0
に達する。この後、第1水位線WL1まで水位が下がる
とほぼ同時にサイホン作用が発生する。このサイホン作
用の発生により、上昇路32内および接続路31内に充
満した水は、路内最高位置の方向に引き込まれる。この
引き込み力により、排出口25の水底面50付近に溜ま
った汚物OBは、引き込み力が生じている上昇路32方
向(矢印K1の方向)に移動する。なお、接続路31の
始端31aの流路の内径は、55mmであり、汚物を十
分に流通可能である。
【0090】汚物OBが矢印K1の方向に移動したとき
の様子を図9に示す。図9において、汚物OBは、接続
路31の始端31a付近から終端31b付近にまで移動
している。この始端31aから終端31bまでは、流路
の断面積が同じのため、洗浄水は、流路面積の相違によ
って加速されることがない。従って、水の圧力損失は加
速される場合と比べて小さくなる。
【0091】また、始端31aから終端31bまでは同
じ太さなので、洗浄水は乱流の発生を抑制して流れる。
従来のように、管路の太さが漸減していると、管路の途
中において洗浄水の流動方向が交差し、洗浄水同士が複
雑に重り合うのに比べて、本実施例では、このようなこ
とがなく、始端31aから終端31bまでの間で乱流が
発生しにくくなる。このため、汚物OBは、洗浄水の流
動方向に従って、スムーズに終端31b付近まで移動す
る。
【0092】さらに、サイホン作用が進むと、汚物OB
は上昇路32の路内最高位置に向かい、矢印K2の方向
に移動する。この移動後の様子を図10に示す。図10
において、汚物OBは、接続路31の終端31b付近か
ら上昇路32の終端32c付近にまで移動している。こ
の終端31bから終端32cの手前までは、やはり流路
の断面積が同じのため、矢印K1方向への移動の場合と
同様に、汚物OBは、洗浄水の流動方向に従って、スム
ーズに終端32c付近まで移動する。この後、汚物OB
は、矢印K3の方向に引き込まれて下降路33に進入
し、下降路33内を降下する。
【0093】以上のように接続路31の始端31aから
終端31bまでの断面および上昇路32の始端32aか
ら終端32cの手前に至るまでの断面を、略同一の断面
積に形成すれば、ボール部20の洗浄に伴って接続路3
1,上昇路32内を順に通過する水の速度は、接続路3
1から上昇路32に至るときの横向きから斜め上向きの
方向変換の際や、上昇路32を路内最高位置に向かって
上昇する際に、大きく変化することがない。従って、接
続路31,上昇路32内における水の圧力損失は小さく
抑えられ、乱流の発生も抑止される。この結果、従来よ
り少量の水しか用いなくてもサイホン作用を安定して生
じさせることが可能となり、ボール部20に溜まった汚
物を確実に下降路33まで引き込むことができる。
【0094】以上説明した本発明の実施例である便器1
0によれば、ボール部20において、水底面50から約
113mmという高い水位に封水を確保しつつ、ボール
部20の第2曲部54から第3曲部55にかけての左右
の周壁に段部を形成し、ボール部溜水の量を約1リット
ルとする。このように封水FWの高さを高く保ちつつ、
ボール部溜水を少量とするので、サイホン作用の安定し
た発生を担保しながら、洗浄水使用量の少量化を実現す
ることができる。
【0095】また、本実施例では、段部58を、その底
面が最も短い位置でも約40mmの幅を有するように形
成する。このため、ボール部20の周壁は、この幅の
分、左右の第2曲部54から便器中心方向に張り出す。
従って、ボール部20の容積を大きく少量化することが
できるので、洗浄時の置換水量の大幅な低減が可能とな
る。
【0096】さらに、本実施例では、封水FWの通常水
位線WLの高さにおいて、幅185mm×奥行き225
mmという値の広い封水面を確保する。従って、ボール
部20への汚物の固着や乾燥面24からの臭気の発散を
より効果的に防止することができる。また、前記した段
部58の底面を、通常水位線WLの下側に位置させてい
るので、汚物の固着を従来のサイホン式便器以上に防止
することができる。
【0097】本実施例では、ボール部溜水のみならず、
接続路31や上昇路32の形状等により、流路内溜水や
ゼット溜水の量をも少量とするので、洗浄水使用量のよ
り一層の少量化を実現することができる。この結果、本
実施例では、洗浄水使用量を、一回の大洗浄で5.8リ
ットル、一回の小洗浄で4.4リットルという値に低減
するので、節水効果の高い便器を提供することが可能と
なる。
【0098】また、本実施例の便器10は、左右の段部
58の底面を異なる高さに設けることにより、段部58
の底面に、便器の左側の前方から後方ないし便器の右側
にかけての傾斜を形成し、この傾斜に沿って水出し孔4
4から吐出された洗浄水を案内して、洗浄水に時計廻り
の強い旋回力を確実に付与する。従って、この旋回力が
付与された洗浄水により、汚物は排出口25に強く引き
込まれる。従って、ボール部溜水が少量の場合における
汚物の排出を、より確実にすることができる。
【0099】なお、上述した本実施例では、ボール部溜
水の量を約1リットルという値とするが、実験によれ
ば、この値が少なくとも0.7リットル以上1.2リッ
トル以下の値であれば、ボール部20の洗浄やゼット洗
浄に支障が生じないことが確認されている。ボール部溜
水の量が1.2リットルを下回ることで、従来の便器よ
りも節水を図ることが可能となる。
【0100】また、本実施例では、流路内溜水の量を約
0.45リットルという値とするが、実験によれば、こ
の値が少なくとも0.4リットル以上0.6リットル以
下の値であれば、ボール部20の洗浄やゼット洗浄に支
障が生じないことが確認されている。流路内溜水の量が
0.6リットルを下回ることで、従来の便器よりも節水
を図ることが可能となる。
【0101】また、本実施例では、ゼット溜水の量を約
0.5リットルという値とするが、実験によれば、この
値が少なくとも0.3リットル以上0.6リットル以下
の値であれば、ボール部20の洗浄やゼット洗浄に支障
が生じないことが確認されている。ゼット溜水の量が
0.6リットルを下回ることで、従来の便器よりも節水
を図ることが可能となる。なお、ゼット給水路46を封
水FWの通常水位線WLよりも高い位置に形成する構成
として、ゼット溜水自体をなくしてもよい。
【0102】また、本実施例では、洗浄水使用量を大洗
浄で5.8リットルの値としているが、この値を4リッ
トル以上7リットル以下の値としてもよい。7リットル
以下の値であれば、従来の便器よりも節水を図ることが
可能となる。
【0103】また、この洗浄タンクにポンプを接続し、
このポンプによる加圧された水を便器に給水した場合に
は、洗浄水使用量を大洗浄で3リットル程度とすること
が可能である。この他、洗浄水給水路41を水道管と連
結し、水道圧により便器に給水される水の圧力を高くし
た場合には、洗浄水使用量を大洗浄で3リットル程度と
することが可能である。
【0104】以上説明した本実施例の便器10における
洗浄性能は、次のようにして評価した。洗浄能力は、一
般的に溜水部の汚水が洗浄タンクに貯留された洗浄水を
流すことで、どの程度置換されたかという点で評価する
ことができる。汚物により汚染された溜水が一定以上置
換されないと、汚水に由来する溜水の着色が視認される
からである。この割合は、様々な便器に基づく実験か
ら、98.5パーセントであった。即ち、溜水の98.
5パーセントが置換されれば、汚水に由来する溜水の着
色が視認されることがない。
【0105】そこで、溜水に対してどの程度の割合で洗
浄水を流せば、溜水の置換が生じるかを上記便器10を
用いてテストした。その結果を、図11に示す。テスト
は、ボール部に貯留した溜水に電解質を溶解させ、清浄
な洗浄水をそそぎ込み、電気伝導度の変化を測定するこ
とで、溜水の置換率を測定するという手法で行なった。
図11において、縦軸の濃度比とは、洗浄前の溜水の電
気伝導度に対する洗浄後の電気伝導度の割合を示し、濃
度比が0.015となっている点が、置換率98.5パ
ーセントに相当している。また、横軸は、洗浄水量と溜
水量との比を示しており、この値が大きいほど、溜水に
対して洗浄水量が大きいことを示している。
【0106】図示するように、濃度比が0.015以
下、即ち置換率が98.5パーセント以上となるために
は、洗浄水量/溜水量が4.2以上必要となることが分
かった。したがって、溜水量が0.7〜1.6リットル
の時は、洗浄水量は、3から7リットル必要となる。逆
に、洗浄水量である洗浄タンクの容量が4.5リットル
の場合には溜水量は1.07リットル以下、洗浄タンク
の容量が4.0リットルの場合には溜水量は0.95リ
ットル以下となる。
【0107】以上、本発明が実施される形態を、サイホ
ンゼット式の便器10を例として説明した。本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し
得ることは勿論である。
【0108】例えば、サイホン式便器やサイホンボルテ
ックス式便器のような、洗浄水をゼット孔から噴出しな
い便器にも、本発明を適用することができる。これらの
便器も、サイホンゼット式便器と同様に、上昇路および
下降路により形成された屈曲部を有しており、この屈曲
部を満水状態とすることによりサイホン作用を生じさせ
る。従って、屈曲部に向けて上昇する排水管のの断面積
を均一とすることにより、少量の水で確実にサイホン作
用を実現することができる。
【0109】また、サイホン作用の引き込み力を利用し
ない洗い落とし式便器であっても、本発明を適用するこ
とが可能である。即ち、洗い落とし式便器においては、
サイホン式便器と同様に、上昇路を備え、最も高い位置
における上昇路の管路内壁の下側の高さにより、封水高
さが定められる。従って、洗い落とし式便器において
も、ボール部と上昇路内に封水が貯溜している。
【0110】このため、上昇路の入口の断面積を、上昇
管の出口と同一の狭い断面積とすれば、上昇路内におけ
る水の速度を抑えることができるので、上昇路内におい
て汚物を強い力で圧送することができる。従って、汚物
が、上昇管の出口付近の堰を超えずに戻ってくることが
ない。特に、洗浄タンク15の貯溜水で便器を洗浄する
場合には、洗浄タンク15が十分に満水となっていない
状態でも、確実に汚物を流すことができる。従って、少
ない水で汚物を流すことができ、2度流しによる水の無
駄を生じさせることもない。
【0111】また、本実施例の便器10におけるボール
部20や接続路31,上昇路32の形状を洗い落とし便
器に採用すれば、洗い落とし便器の封水FWの量を、上
記の本実施例におけるボール部溜水および流路内溜水の
量を約1.45リットルという値とすることが可能であ
り、この値を上述した実験による確認値である1.1リ
ットルまでのさらに小さな値とすることも可能である。
【0112】なお、上記実施例では、封水面の大きさ
を、幅185mm×奥行き225mmという値とした
が、この値を、日本工業規格に定められたサイホン式便
器の封水面の面積の基準値である幅140mm以上×奥
行き180mm以上にの値とすれば、鉢部への汚物の付
着や鉢部からの臭気の発散を、サイホン式便器並みに防
止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施例であるサイホンゼット式の便
器10の縦断面を示す説明図である。
【図2】便器10の上面を示す説明図である。
【図3】図2に示した便器10を、位置A−A´で切断
した状態を示す説明図である。
【図4】図2に示した便器10を、位置B−B´で切断
した状態を示す説明図である。
【図5】図2に示した便器10を、位置C−C´で切断
した状態を示す説明図である。
【図6】便器10の接続路31、上昇路32の横断面形
状を示す説明図である。
【図7】図7(a)は、接続路31、上昇路32を、位
置P−P´、位置Q−Q´、位置R−R´で切断した状
態を示す説明図であり、図7(b)は、上昇路32を、
位置S−S´で切断した状態を示す説明図である。
【図8】上昇路32と下降路33との間の屈曲部が満水
状態となり、サイホン作用が生じた始めたときの便器1
0の横断面を示す説明図である。
【図9】汚物OBが矢印K1の方向に移動したときの様
子を示す説明図である。
【図10】汚物OBが矢印K2の方向に移動したときの
様子を示す説明図である。
【図11】便器における貯溜水部の置換の程度と洗浄推
量/溜水量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…便器 15…洗浄タンク 15a…排水口 20…ボール部 21…リム 22…ゼット噴出孔 23…覆水面 24…乾燥面 25…排出口 26…凹部 28…タンク密結孔 29…便座取付用孔 31…接続路 31a…始端 31b…終端 32…上昇路 32a…始端 32b…中間部 32c…終端 33…下降路 40…洗浄水給水孔 41…洗浄水給水路 41a…滞留部 42…分岐孔 43…リム給水路 44…水出し孔 44a…大孔 44b…中孔 44c…小孔 44d…長孔 44e…長孔 45…ゼット給水孔 46…ゼット給水路 50…水底面 51…ゼット導水面 53…第1曲部 54…第2曲部 55…第3曲部 56…第4曲部 58…段部 70…排水ソケット 90…排水立ち上げ管 FW…封水 WL…通常水位線 WL0…最高水位線 WL1…第1水位線 WL2…第2水位線 WL3…第3水位線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新原 登 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 宮上 浩一 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 柴田 信次 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 北村 正樹 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 松尾 信介 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D039 AA02 AC03 AC04 AD00 DA04 DB04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚物を受ける鉢部と、 該鉢部の底部に形成された排出口と接続された接続路
    と、 該接続路に連通し、該連通位置から上方向に延出する上
    昇路を備え、 前記鉢部,前記接続路および前記上昇路に溜められた貯
    溜水により封水を形成し、該鉢部への洗浄水の供給に伴
    って、前記排出口から流路である前記接続路および前記
    上昇路に水を送り込み、該上昇路を通過した水や汚物を
    排水管の位置する下方へと導く水洗便器において、 前記鉢部,前記接続路および前記上昇路を、前記封水の
    形成時における貯溜水の量が1.1リットル以上1.4
    5リットル以下となる形状とし、 主として汚物落下の位置となるボウル面から前記貯溜水
    の水面までの前記封水の垂直高さを、少なくとも85ミ
    リメートル以上の値とした水洗便器。
  2. 【請求項2】 汚物を受ける鉢部と、 該鉢部の底部に形成された排出口と接続された接続路
    と、 該接続路に連通し、該連通位置から上方向に延出する上
    昇路と、 該上昇路と連続し、該上昇路の終端から排水管の位置す
    る下方向に延出する下降路とを備え、 前記鉢部,前記接続路および前記上昇路に溜められた貯
    溜水により、前記上昇路の高さに対応する高さに封水を
    形成し、該鉢部への洗浄水の供給に伴って、前記排出口
    から流路である前記接続路および前記上昇路に水を送り
    込み、該水を送り込むことによって生じるサイホン作用
    を利用して、前記水や汚物を前記上昇路から前記下降路
    に導くサイホン式の水洗便器であって、 前記鉢部を、前記封水の形成時において該鉢部内に貯溜
    する水の量が0.7リットル以上1.2リットル以下と
    なる形状とし、 主として汚物落下の位置となるボウル面から前記貯溜水
    の水面までの前記封水の垂直高さを、少なくとも85ミ
    リメートル以上の値としたサイホン式の水洗便器。
  3. 【請求項3】 前記鉢部の内壁に、該鉢部の略中心部を
    除いて水深の浅い段部を設けたことを特徴とする請求項
    1または2に記載の水洗便器。
  4. 【請求項4】 前記段部を、左側の内壁から前記鉢部の
    中心部に向かって40ミリメートル以上、右側の内壁か
    ら前記鉢部の中心部に向かって40ミリメートル以上の
    長さに設けた請求項3に記載の水洗便器。
  5. 【請求項5】 前記封水を形成する貯溜水のうち、前記
    鉢部内に溜められる水の水面の大きさを、奥行き180
    ミリメートル以上および幅140ミリメートル以上の値
    とした請求項1ないし4のいずれかに記載の水洗便器。
  6. 【請求項6】 前記鉢部内に溜められる水の水面の大き
    さを、奥行き225ミリメートル以上および幅185ミ
    リメートル以上の値とした請求項5に記載の水洗便器。
  7. 【請求項7】 前記封水を形成する貯溜水のうち、前記
    接続路および前記上昇路内に溜められる水の量を、0.
    4リットル以上0.6リットル以下の値とした請求項1
    または2に記載の水洗便器。
  8. 【請求項8】 前記貯溜水が溜まる部分における前記接
    続路から前記上昇路までの内径を略同一に形成した請求
    項7に記載の水洗便器。
  9. 【請求項9】 請求項2に記載のサイホン式の水洗便器
    であって、 前記便器に供給された洗浄水を前記排出口に向けて噴出
    するゼット噴出機構を備え、 該ゼット噴出機構は、供給された洗浄水を前記排出口に
    導くための導水路を、前記封水よりも下の位置に設ける
    機構であり、 前記封水を形成する貯溜水のうち、前記導水路内に溜め
    られる水の量を、0.6リットル以下の値とした請求項
    2または6に記載の水洗便器。
  10. 【請求項10】 一洗浄動作当たりの洗浄水の排出量
    を、3リットル以上7リットル以下の値とした請求項
    1,2,7若しくは9のいずれかに記載の水洗便器。
  11. 【請求項11】 前記鉢部の内壁の形状を、前記便器の
    前後軸に対して非対称形状に形成した請求項1,2若し
    くは10のいずれかに記載の水洗便器。
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