JP2001018692A - パンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置 - Google Patents
パンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置Info
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Abstract
した誤差の少ない接触力測定が可能なパンタグラフの接
触力測定方法及び接触力測定装置を提供する。 【解決手段】 パンタグラフ10の舟体12には、3個
の加速度計35が取り付けられている。3個の加速度計
35により舟体12の曲げ1次振動モードが把握され
る。このようにして振動モードを把握した上で、パンタ
グラフ10の舟体12の慣性力Finaを求める。そし
て、別途求めた舟体12にかかっている力から慣性力F
inaを差し引きすることにより、トロリ線9とパンタグ
ラフ10との間に作用する接触力を求める。
Description
トロリ線とパンタグラフとの間に作用する接触力を測定
する方法及び装置に関する。特には、高い周波数成分を
含む接触力変動現象に対応した誤差の少ない接触力測定
が可能なパンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定
装置に関する。
営業用の電気鉄道においては、トロリ線からパンタグラ
フを介して電力を車体に送る方式が一般的である。この
トロリ線とパンタグラフの舟体との接触力は、トロリ線
の高さ変動や振動、あるいは車両やパンタグラフの振動
等によって変動する。この接触力の変動が大きすぎる
と、パンタグラフの舟体がトロリ線から離れることがあ
る(これを離線という)。この離線が頻発すると、両者
の間にスパークが生じて、摺り板の損傷が促進され、問
題となる。また、離線に至らない場合でも、パンタグラ
フの接触力は極力変動の小さい方がよい。
グラフとの接触力を測定し、得られた測定結果を離線の
抑制対策の参考としたいとの要請がある。あるいは、将
来的には、接触力をアクティブにリアルタイムでコント
ロールすることも考えられている。
としては、以下が公知である。 (1)特開平7−291001号公報には、舟体支持ば
ねの伸縮量を測定し、この量から同バネの押圧力を計算
して接触力を求める方法が開示されている。舟体支持ば
ねの伸縮量は、舟体と舟体支持パイプの間の寸法を渦電
流式や光学式の距離センサを用いて測定する。ところ
が、この方法では、舟体(摺り板を含む)の慣性力が無
視されることとなり、接触力の測定誤差が生じる。
会講演論文集No.97−1、(I)、2149、p.
699〜700には、舟体と摺り板との間にロードセル
を設けるとともに、摺り板に加速度計を取り付けたパン
タグラフ接触力測定装置が開示されている。この装置に
おいては、ロードセルで測定した力を、摺り板の等価質
量に加速度を掛けた慣性力で補正する。したがって、比
較的正確な接触力が求められる。ところが、この装置に
おいては、パンタグラフは非通電であり、ロードセル組
み込みという特殊な加工を施したものであるため、通常
の営業列車に応用できるものではない。
大会講演論文集No.96−51、1115、p.12
7〜130には、舟体の歪みならびに加速度を測定する
方法が開示されている。この方法では、舟体にかかって
いる力(慣性力を除く静的な力)を舟体の歪みから計算
する。そして、この力を舟体の等価質量に加速度を掛け
た慣性力で補正する。この場合も、比較的正確な接触力
が求められる。ところが、この方法では、舟体が単なる
質点として振動するのではなく、梁として振動するた
め、等価質量の同定が難しい。また、舟体の固有振動数
(例えば100Hz、200Hz付近)近傍において
は、接触力の測定誤差が著しい。
それぞれ欠点を有している。さらに、これらの上記
(1)〜(3)では、慣性力を求める際に舟体の弾性変
形やローリングを考慮していないため、測定可能な周波
数範囲が約40Hz程度までに限られている。本発明
は、上記の課題を解決するためになされたものであっ
て、高い周波数成分を含む接触力変動現象に対応した誤
差の少ない接触力測定が可能なパンタグラフの接触力測
定方法及び接触力測定装置を提供することを目的とす
る。
め、本発明の第1態様のパンタグラフの接触力測定方法
は、トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集電装置)と
の間に作用する接触力を測定する方法であって; パン
タグラフの舟体の慣性力を該舟体の弾性変形を考慮した
上で求め、 別途求めた該舟体にかかっている力から該
慣性力を差し引きすることにより、上記接触力を求める
ことを特徴とする。舟体の弾性変形を考慮して慣性力を
求めることにより、接触力測定範囲を増やすことができ
る。さらに、高い振動周波数に対しても誤差の少ない接
触力測定が可能となる。
測定方法は、トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集電
装置)との間に作用する接触力を測定する方法であっ
て;パンタグラフの舟体の慣性力を該舟体の摺り板を含
む2ヶ所の縦断面間の弾性変形を考慮した上で求め、
別途求めた上記2ヶ所の縦断面の剪断力から上記慣性力
を差し引きすることにより、上記接触力を求めることを
特徴とする。トロリ線には舟体の摺り板が接触する。パ
ンタグラフの接触力を測定するためには、この摺り板を
含む2ヶ所の縦断面の剪断力と、これらの断面間におけ
る舟体の慣性力がわかればよい。すなわち、2ヶ所の縦
断面の剪断力の和(但し、両剪断力の符号は互いに逆に
とるため、実際には差となる)から、慣性力を差し引き
することにより、接触力を求めることができる。
測定方法は、トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集電
装置)との間に作用する接触力を測定する方法であっ
て;上記パンタグラフの舟体にn(n≧2)個の加速度
計を取り付け、該加速度計により舟体のn次の振動モー
ドを把握した上で該舟体の慣性力を求め、 別途求めた
該舟体にかかっている力から該慣性力を差し引きするこ
とにより、上記接触力を求めることを特徴とする。
が変化する分布力である。従来は、舟体中央に取り付け
た1個の加速度計により慣性力を求めていた。このた
め、振動周波数が約60Hz以上においては、接触力の
測定誤差が大きかった。本態様では、n(n≧2)個の
加速度計により、舟体のn次の振動モードを把握した上
で慣性力を求めることにより、高い周波数に対しても誤
差の少ない接触力測定を実現することができる。例え
ば、舟体のローリングモード(振動周波数12Hz程
度)を把握するには、最低2個の加速度計を用いるよう
にする。一方、曲げ1次モード(振動周波数80Hz程
度)を把握するには、最低3個の加速度計が必要であ
る。
測定装置は、トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集電
装置)との間に作用する接触力を測定する装置であっ
て;上記パンタグラフの舟体に設けられたn(n≧2)
個の加速度計と、 該加速度計の検出値から上記舟体の
n次の振動モードを把握した上で、該舟体にかかる慣性
力を推定する慣性力推定手段と、 上記舟体の摺り板を
含む2ヶ所の縦断面の歪みを検出する歪み検出手段と、
該歪み検出手段の検出値から該縦断面の剪断力を算出
する剪断力算出手段と、 該剪断力算出手段の算出値か
ら上記慣性力推定手段の推定値を差し引きすることによ
り、上記接触力を算出する接触力算出手段と、 を備え
ることを特徴とする。n(n≧2)個の加速度計を設け
ることで、舟体のn次の振動モードに対応した慣性力を
正確に求めることができる。これにより、高い周波数に
対しても誤差の少ない接触力測定が可能になる。
おいては、上記舟体の底部から垂下するロッドと、 該
ロッドの外周に配置された舟支えと、 該舟支えを支持
する枠組と、 上記舟体底部を上方に付勢する復元ばね
と、 を備え、 上記ロッドと舟支え間にリニアベアリ
ングが介装されていることが好ましい。従来の一般的な
パンタグラフでは、復元ばねが空気抵抗により固渋する
ことがあった。復元ばねが固渋すると、定置時と走行時
とで動特性が変化し、慣性力を求める際に誤差が多く含
まれる。本発明では、ロッドと舟支え間に介装されたリ
ニアベアリングにより、復元ばねの固渋が解消される。
測定装置は、トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集電
装置)との間に作用する接触力を測定する装置であっ
て;上記パンタグラフの舟体に設けられたn(n≧2)
個の加速度計と、 該加速度計の検出値から上記舟体の
n次の振動モードを把握した上で、該舟体にかかる慣性
力を推定する慣性力推定手段と、 上記舟体底部を上方
に付勢する復元ばねと、 該復元ばねの振動に伴う上記
舟体の変位を計測するレーザ変位計と、 該レーザ変位
計の計測値と上記復元ばねのばね定数とを掛けることに
より復元ばね荷重を算出する荷重算出手段と、 該荷重
算出手段の算出値から上記慣性力推定手段の推定値を差
し引きすることにより、上記接触力を算出する接触力算
出手段と、 を備えることを特徴とする。
の接触力測定装置は、トロリ線(給電線)とパンタグラ
フ(集電装置)との間に作用する接触力を測定する装置
であって; 上記パンタグラフの舟体に設けられたn
(n≧2)個の加速度計と、該加速度計の検出値から上
記舟体のn次の振動モードを把握した上で、該舟体にか
かる慣性力を推定する慣性力推定手段と、 上記舟体底
部を上方に付勢する復元ばねと、 該復元ばねと上記舟
体底部間に設けられた、該舟体にかかっている力を検出
するロードセルと、 該ロードセルにより検出された検
出値から上記慣性力推定手段の推定値を差し引きするこ
とにより、上記接触力を算出する接触力算出手段と、
を備えることを特徴とする。
る。なお、以下の説明では、通常の鉄道車両の技術にお
けるのと同様に、レールの長手方向(車両の進行方向)
を前後方向、軌道面におけるレール長手方向と直角の方
向を左右方向、軌道面に垂直な方向を上下方向と呼ぶ。
さらに、以下の説明における具体例は、現状のJRの新
幹線の一般的なものが用いられているものとする。この
通常の例では、トロリ線は、直径約15mmの銅線であ
る。トロリ線には、交流約25kVの電圧が印加され
る。トロリ線は、約5mおきに吊架線によって吊られて
いる。この吊架線は、約50mおきに柱によって支えら
れている。
に係る電気鉄道のパンタグラフを示す模式的正面図であ
る。図2(A)は図1のパンタグラフの歪みゲージ部分
を示す裏面側拡大図であり、図2(B)は同表面側拡大
図であり、図2(C)は同側面断面図であり、図2
(D)は歪みゲージの構成図である。図3は舟体の詳細
を示す斜視図である。図4は舟体の具体的な寸法を説明
する説明図である。図5は図1のパンタグラフの支持構
造の詳細を示す模式的側面断面図である。
0は舟体12を備えている。舟体12は、左右方向に沿
って延びている。舟体12は、前後方向に離れて1組ず
つ計2本設けられているものが多いが、1本の舟体のみ
で構成されるものもある。この例の舟体12は、幅40
mm、長さ1.2m、重さ3.5kgの中空の箱状部材
である(図4参照)。舟体12はアルミニウム合金製で
ある。停車時に舟体12がトロリ線9に押し当てられる
力(静接触力)は50〜70Nである。舟体12の上表
面には、摺り板14が貼られている。摺り板14は、鉄
系や銅系の焼結合金製、あるいはカーボン系材料からな
る。この摺り板14がトロリ線に直接接触する。摺り板
14は、トロリ線9との接触により経時摩耗するので、
定期的に交換する。
に示すように、ロッド22が固定されている。ロッド2
2は、舟体12底面から下方に垂下している。ロッド2
2の下端には、ストッパ22aが形成されている。舟支
え18には、前後2つのスリーブ18a、18bが一体
に形成されている。これらスリーブ18a、18bは、
上下方向に開口している。前側のスリーブ18aには前
側の舟体のロッド22が嵌合しており、後側のスリーブ
18bには後側の舟体のロッド22が嵌合している。そ
して、ロッド22とスリーブ18a、18b間の隙間に
は、リニアベアリング24が介装されている。このリニ
アベアリング24により、舟支え18がロッド22に沿
って上下に摺動する。舟支え18は、ロッド22のスト
ッパ22aにより抜け止めされている。
ッド22外周には復元ばね15が配置されている。復元
ばね15は、ゴム製ばねあるいはコイルばねである。舟
支え18は、この復元ばね15を介して舟体12を支持
する。舟支え18の下には、パンタグラフ10全体を昇
降するリンク状の枠組26が設けられている。同枠組2
6は、リンク状をしており、コイルばねあるいはエアシ
リンダ(図示されず)等によって上下に昇降する。例え
ば、パンタグラフ10の非使用時は、枠組26は折り畳
まれて下がり、舟体12はトロリ線9から離れる。
られている。2軸用歪みゲージ31は、集電電流による
ノイズの誘導を防ぐため、無誘導型ゲージを用いる。こ
の2軸用歪みゲージ31により、舟体12の断面の剪断
歪みを測定する。この例では、2軸用歪みゲージ31
は、舟体12の両側面に2個ずつ貼られている。したが
って、1本の舟体12に対して計4個の2軸用歪みゲー
ジ31a〜31dが設けられている。これら4個の2軸
用歪みゲージ31a〜31dは、図2(D)に示すよう
にブリッジ接続されている。2軸用歪みゲージ31a〜
31dをブリッジ接続することにより、舟体12の前後
方向の曲げやねじり荷重に対する感度が下がり、上下荷
重に対する剪断歪みのみが測定されやすくなっている。
なお、歪みゲージは、図6に示すように、舟体12の底
部に貼るようにしてもよい。この場合は、舟体12の曲
げ歪みを測定するのに都合がよい。
り付けられている。加速度計35は、この例では1つの
舟体12の左右及び中央に計3個取り付けられている。
加速度計35を3個取り付けたことにより、後述する舟
体12の3次の振動モード(曲げ1次モード)にも対応
できるようになっている。加速度計35の筐体と舟体1
2間には、ベーク板(図示されず)が介装されている。
同ベーク板により、加速度計35の筐体と舟体12間は
絶縁されている。これにより、信号ケーブルのシールド
線に電流が流れず、出力信号のノイズが低減されてい
る。
速度計35は、制御装置(図示されず)に接続されてい
る。この制御装置は、2軸用歪みゲージ31及び加速度
計35の計測値に基づき、以下の原理により舟体12と
トロリ線との接触力を算出する。以下、図7〜図10を
参照して上記の接触力測定原理について説明する。図7
は本発明に係る接触力測定方法を説明するための図であ
る。図8は舟体の慣性力の推定方法を説明するための図
である。図9はトロリ線の偏位の推定方法を説明するた
めの図である。図10は舟体の振動モードについて説明
するための図である。
動モードを説明する。図10(A)は、1次の振動モー
ド(並進モード)である。このモードでは、舟体12の
左右がほぼ同時に上下する。このモードは、舟体12の
振動周波数が7Hz程度で生じる。このモードのとき
は、舟体12の加速度を計測するためには、舟体12に
取り付ける加速度計35は最低1個でよい。図10
(B)は、振動モード2(ローリングモード)である。
このモードでは、舟体12の左右端がそれぞれ逆方向に
上下し、前後方向軸の周りに揺れる。このモードは、舟
体12の振動周波数が12Hz程度で生じる。このモー
ドのときは、舟体12の加速度を計測するためには、舟
体12に取り付ける加速度計35は最低2個必要であ
る。
モード)である。このモードでは、舟体12の左右端と
中央とがそれぞれ逆方向に上下する。このモードは、舟
体12の振動周波数が80Hz程度で生じる。このモー
ドのときは、舟体12の加速度を計測するためには、舟
体12に取り付ける加速度計35は最低3個必要であ
る。図10(D)は、振動モード4(曲げ2次モード)
である。このモードでは、舟体12は波状に変形する。
このモードは、舟体12の振動周波数が200Hz程度
で生じる。このモードのときは、舟体12の加速度を計
測するためには、舟体12に取り付ける加速度計35は
4個以上必要である。
2に3個の加速度計35を取り付けた場合は、振動モー
ド1〜3(すなわち振動周波数100Hz程度まで)に
対する接触力を測定可能である。しかしながら、本発明
は、加速度計の個数を増やすことにより、振動モード4
あるいはそれ以上の場合であっても適用可能である。
説明する。図7に示すように、舟体12にトロリ線9と
の接触力Fcが作用しているとする。一方、舟体12の
摺り板14を含む区間ABを考えたとき、断面A、B
(区間ABの両端)において剪断力τA、τBが生じる
とする。さらに、区間ABに作用する舟体12の慣性力
の合計をFinaとする。このとき、接触力Fc、剪断力
τA及び慣性力Finaの符号(力の向き)を+と考え、
剪断力τBの符号(力の向き)を−と考えると、次式が
成り立つ;
剪断力τA、τBと区間ABにおける慣性力Finaがわ
かればよい。剪断力τA、τBは、2軸用歪みゲージ3
1により歪みを計測することにより得られる。慣性力F
inaは、加速度計による計測結果から求めることができ
る。
法に関して説明する。最初に、慣性力Finaは分布力で
あることに注意しておく。いま、図8に示すように座標
X、Y(すなわち図8の横方向がX、縦方向がY)を定
め、この座標のX軸上において舟体12の位置lA、l
Bをとる。このとき、区間ABの慣性力は、n次の振動
モードまでを考慮すると、各モードの慣性力の和、すな
わち、
Finaが舟体12のn箇所の位置xj(j=1〜n)に
おける加速度の重み付き加算(加速度と重み係数の線形
和)と等しいとする。
くと、以下が成り立つ。
なwj(j=1〜n)を求めればよい。以上により、慣
性力Finaを求めることができる。
場合、ある区間ABの慣性力Finaは、舟体12のn
箇所の加速度に、重み係数wjと区間ABの質量を掛け
て加算することにより推定可能である。なお、区間AB
の質量ρ(lA−lB)を舟体の等価質量と呼ぶ。
重み係数と等価質量は加振試験により求めるのがよい。
すなわち、既知の加振力により加振を行い、上述した
「数2」式により推定した加振力と実際の加振力とが等
しくなるような加速度重み係数と等価質量を求める。例
えば、図3において、各加速度計35a〜35fの計測
値をそれぞれ順にa5〜a10とし、舟体12A、12
Bの等価質量をそれぞれ順にM1、M2としたとき、各
舟体12A、12Bに対する慣性力Fina,1、Fi na,2の
補正は次式により行う;
12Bに対して2個の加速度計により舟体曲げ1次モー
ドの慣性力を補正してもよい。すなわち、舟体12Aに
おいては加速度計35a、35dの検出値を用い、舟体
12Bにおいては加速度計35b、35eの検出値を用
いる。このとき、各舟体12A、12Bに対する慣性力
Fina,1、Fina,2の補正は次式により行う;
速度計35c、35d;舟体12Bでは加速度計35
e、35f)が左右同じ検出値になると見做しているこ
とに相当する。
に関して説明する。図9に示すように、接触力Fcと剪
断力τA、τBとの間には、慣性力を無視すると次式が
成り立つ;
る。このような推定は、慣性力の無視できるような低い
周波数に限定されるが、車上から見た架線の折れ曲がり
等は、例えば車両速度が270km/hのときに0.7
5Hz(50m径間、2径間1サイクルの場合)である
ため、この方法でも十分推定可能である。
た結果の具体的な事例について述べる。なお、従来の接
触力測定方法では、慣性力を舟体中央に取り付けた1個
の加速度計のみで推定している。 (1)舟体の等価質量の実測値(図3参照) 舟体12Aの等価質量M1=約2.4kg、舟体12B
の等価質量M2=約2.1kgである。
35c、35d;舟体12Bでは加速度計35e、35
f)については同じ値である。これは、舟体の振動モー
ドが左右対称あるいは点対称になっていると仮定するこ
とに相当する。 (b)各重み係数の合計は1である。これは、並進モー
ド(図10(A)参照)が完全な剛体振動であると仮定
することに相当する。この仮定を考慮して求めた重み係
数は、 舟体12Aについて:w1=0.75、w2=w3=
0.125 舟体12Bについて:w4=0.83、w5=w6=
0.083 である。
計を図10(A)のように舟体の中央部の1ヶ所に取り
付けた場合)を示すグラフである。図12は上記の値を
用いた場合の本発明の接触力の測定結果(加速度計を図
10(C)のように舟体に3個取り付けた場合)を示す
グラフである。これらのグラフは、横軸が舟体振動の周
波数(単位Hz)を示し、縦軸が接触推定力を加振力で
割った値を示す。なお、この試験では、加振力を測定可
能な加振器でパンタグラフを振動させた。
に振動周波数40Hz以上において、接触推定力の誤差
が著しくなっている。しかし、図12に示す本発明の方
法では、振動周波数100Hzであっても、接触推定力
の誤差がほとんど生じていないことがわかる。なお、所
見によれば、加速度計が2個の場合であっても、加速度
計が3個の場合より若干精度が低下するが、振動周波数
80Hz程度までは十分に実用的な精度を得ることがで
きる。
2に相当する約40Hz以上の振動周波数においては、
舟体の接触力の推定誤差が大きかった。本発明において
は、加速度計の計測値に基づいた舟体の弾性振動を考慮
することにより、慣性力Fin aを精度良く推定すること
ができる。
る。以下の実施例では、第1実施例と同一構成部分につ
いては説明を省略する。 {第2実施例}以下、本発明の第2実施例について説明
する。図13は、本発明の第2実施例を説明する図であ
る。図13(A)に示すパンタグラフは、舟体42を支
持する枠組が、図13(B)に示すようなシングルアー
ム27となっている。復元ばね15は、舟体42の中央
部底面とシングルアーム27上端間に1個だけ介在して
いる。
は、第1実施例における歪みゲージに代えて、舟体42
の支持ばね15の変形を測定するレーザ変位計32が設
けられている。同レーザ変位計32は、シングルアーム
27の上端に取り付けられている。レーザ変位計32
は、舟体42の底面に向けてレーザ光線を照射して、舟
体42の変位を計測する。そして、この変位に支持ばね
15のばね定数を掛けて舟体42を支持する力を算出す
る。さらに、舟体支持力から慣性力を差し引いてトロリ
線接触力を算出する。
発明の第3実施例について説明する。図14に示すパン
タグラフは、第1実施例における歪みゲージに代えて、
ロードセル34が設けられているものである。ロードセ
ル34は、舟体42底面と復元ばね15間に配置されて
いる。このロードセル34により、舟体42にかかって
いる力を計測する。このロードセル34による力の計測
値が、第1実施例における左右の剪断力の差に相当す
る。したがって、この計測値から舟体の慣性力を差し引
きして、トロリ線接触力を算出する。
発明の第4実施例について説明する。図15に示すパン
タグラフは、2軸用歪みゲージ31が舟体42中央部
(すなわち復元ばね15の取付部)にのみ貼られてい
る。シングルアーム27に対しては、2個の2軸用歪み
ゲージ31で十分な接触力推定を行うことができる。
について説明する。図16及び図17は、本発明の第3
実施例を説明する図である。これらの各図に示す各パン
タグラフは、枠組が図13(B)に示すようなシングル
アーム27となっている。このシングルアーム27の上
端には、天井管19が取り付けられている。復元ばね1
5は、舟体43の上端部と天井管19間に2個介在され
ている。
ゲージ31が舟体43底面に貼られている。この場合
は、舟体43の曲げ歪みを適切に測定できる。一方、図
17に示すパンタグラフは、2軸用歪みゲージ31は舟
体43側面に貼られている。この場合は、舟体43の剪
断歪みを適切に測定できる。
によれば、測定可能な周波数範囲を増やすことにより、
高い周波数成分を含む接触力変動現象(例えば離線現
象)に対応することができる効果がある。さらに、誤差
の少ない正確な接触力を求めることができる効果があ
る。
ラフを示す模式的正面図である。
部分を示す裏面側拡大図であり、図2(B)は同表面側
拡大図であり、図2(C)は同側面断面図であり、図2
(D)は歪みゲージの構成図である。
である。
明する図である。
式的側面断面図である。
図である。
図である。
ある。
である。
である。
る。
る。
気鉄道のパンタグラフを示す模式的正面図であり、図1
3(B)は同側面図である。
グラフを示す模式的正面図である。
グラフを示す模式的正面図である。
グラフを示す模式的正面図である。
グラフを示す模式的正面図である。
ーム 31 2軸用歪みゲージ 32 レーザ変位
計 34 ロードセル 35 加速度計
Claims (6)
- 【請求項1】 トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集
電装置)との間に作用する接触力を測定する方法であっ
て;パンタグラフの舟体の慣性力を該舟体の弾性変形を
考慮した上で求め、 別途求めた該舟体にかかっている力から該慣性力を差し
引きすることにより、上記接触力を求めることを特徴と
するパンタグラフの接触力測定方法。 - 【請求項2】 トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集
電装置)との間に作用する接触力を測定する方法であっ
て;パンタグラフの舟体の慣性力を該舟体の摺り板を含
む2ヶ所の縦断面間の弾性変形を考慮した上で求め、 別途求めた上記2ヶ所の縦断面の剪断力から上記慣性力
を差し引きすることにより、上記接触力を求めることを
特徴とするパンタグラフの接触力測定方法。 - 【請求項3】 トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集
電装置)との間に作用する接触力を測定する方法であっ
て;上記パンタグラフの舟体にn(n≧2)個の加速度
計を取り付け、該加速度計により舟体のn次の振動モー
ドを把握した上で該舟体の慣性力を求め、 別途求めた該舟体にかかっている力から該慣性力を差し
引きすることにより、上記接触力を求めることを特徴と
するパンタグラフの接触力測定方法。 - 【請求項4】 トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集
電装置)との間に作用する接触力を測定する装置であっ
て;上記パンタグラフの舟体に設けられたn(n≧2)
個の加速度計と、 該加速度計の検出値から上記舟体のn次の振動モードを
把握した上で、該舟体にかかる慣性力を推定する慣性力
推定手段と、 上記舟体の摺り板を含む2ヶ所の縦断面の歪みを検出す
る歪み検出手段と、 該歪み検出手段の検出値から該縦断面の剪断力を算出す
る剪断力算出手段と、 該剪断力算出手段の算出値から上記慣性力推定手段の推
定値を差し引きすることにより、上記接触力を算出する
接触力算出手段と、 を備えることを特徴とするパンタグラフの接触力測定装
置。 - 【請求項5】 トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集
電装置)との間に作用する接触力を測定する装置であっ
て;上記パンタグラフの舟体に設けられたn(n≧2)
個の加速度計と、 該加速度計の検出値から上記舟体のn次の振動モードを
把握した上で、該舟体にかかる慣性力を推定する慣性力
推定手段と、 上記舟体底部を上方に付勢する復元ばねと、 該復元ばねの振動に伴う上記舟体の変位を計測するレー
ザ変位計と、 該レーザ変位計の計測値と上記復元ばねのばね定数とを
掛けることにより復元ばね荷重を算出する荷重算出手段
と、 該荷重算出手段の算出値から上記慣性力推定手段の推定
値を差し引きすることにより、上記接触力を算出する接
触力算出手段と、 を備えることを特徴とするパンタグラフの接触力測定装
置。 - 【請求項6】 トロリ線(給電線)とパンタグラフ(集
電装置)との間に作用する接触力を測定する装置であっ
て;上記パンタグラフの舟体に設けられたn(n≧2)
個の加速度計と、 該加速度計の検出値から上記舟体のn次の振動モードを
把握した上で、該舟体にかかる慣性力を推定する慣性力
推定手段と、 上記舟体底部を上方に付勢する復元ばねと、 該復元ばねと上記舟体底部間に設けられた、該舟体にか
かっている力を検出するロードセルと、 該ロードセルにより検出された検出値から上記慣性力推
定手段の推定値を差し引きすることにより、上記接触力
を算出する接触力算出手段と、 を備えることを特徴とするパンタグラフの接触力測定装
置。
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