JP2001008941A - 光計測試料、その作製方法およびこれを利用した光計測装置 - Google Patents

光計測試料、その作製方法およびこれを利用した光計測装置

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JP2001008941A
JP2001008941A JP11184980A JP18498099A JP2001008941A JP 2001008941 A JP2001008941 A JP 2001008941A JP 11184980 A JP11184980 A JP 11184980A JP 18498099 A JP18498099 A JP 18498099A JP 2001008941 A JP2001008941 A JP 2001008941A
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Takeshi Yamamoto
剛 山本
Atsushi Maki
敦 牧
Hideaki Koizumi
英明 小泉
Yukio Yamada
幸生 山田
Yukari Tanigawa
ゆかり 谷川
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Hitachi Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成人の生体の構造や光学特性を模擬し、かつ
取扱に優れた光計測装置の開発。 【解決手段】 光計測試料の本体部に中空部を形成し、
ここに入れる充填部内に光学物性値を異にする固体を選
択して任意の光計測試料を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光計測装置の試料お
よびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内の光の伝播特性を模擬するため
に、生体模擬試料が提案されている。ここで光とは、一
般的な可視光のみならず、紫外線、近赤外線、赤外線な
どを含む。生体模擬試料の概要は、1997年に米国光
計測協会の学会プロシーディングスであるエス・ピー・
アイ・イー(The Society of Photo-Optical Instrumen
tation Engineers :SPIE)の第1888巻ページ264
〜270に、エム.フィアバンク(M.Firban
k)他が紹介している。
【0003】光を用いて生体を計測する場合、光の伝播
特性に対して与える影響が大きい光学物性は、散乱と吸
収である。これらを模擬することが可能な光学物質とし
て以下の物質が例として挙げられる。
【0004】(1)散乱体・・・イントラリピッド(光
学定数は既知であるが、豆を原料としているのでその値
は不安定である欠点を有する);牛乳(安価であるが、
再現性が低い);ポリスチレン粒子(水に混合すると散
乱の表現は容易であるが、取扱は煩雑である欠点を有し
ている);セラミックス粒子を混合したプラスチックバ
ルク(取扱いが容易で安全であり、光学定数も安定であ
るが、作製可能なサイズは10cmオーダーである) (2)吸収体・・・ハム(生体組織に等しい吸収特性を
有し、安価に入手可能であるが、再現性が低い。取扱い
も容易でない);血液(生体組織に等しい吸収特性を有
し、比較的入手も容易であるが、感染症など安全性の問
題がある。取扱いも容易でない);有機色素(保存性に
優れ、再現性が高いが、溶解度が溶媒に大きく依存す
る)。
【0005】「画像診断のための脳解剖と機能系」(久
留 裕他訳、医学書院(1995年))などによると、
人の頭部の構成は、その外側から内側へ向けて、順に、
毛髪を含む頭皮、頭蓋骨、硬膜・軟膜、脳脊髄液層、大
脳皮質(灰白質)、白質の順に層状構造を成すとしてい
る。このような脳の構造を模擬することが可能なファン
トムの作製方法が、1997年に米国光計測協会の学会
プロシーディングスであるエス・ピー・アイ・イー(Th
e Society of Photo-Optical InstrumentationEngineer
s :SPIE)の第2979巻ページ4210−436に谷
川(高橋)ゆかり(Yukari Tanikawa-Takahashi)他
や、また特開平10−222055に山田幸生他がまと
めている。しかし、本作製方法で得られるサンプルのサ
イズは10cm程度の半球であり、成人のサイズの解剖
学的な脳の構造を模擬することが可能な生体模擬試料は
実現されていない。
【0006】また、プラスチックやガラスを用いた散乱
体の作製方法が特開平5−249319に提案されてお
り、ポリマー、ガラス、または液体媒質中に、固体、液
体、またはマイクロボイドを散乱子として混入させるこ
と、さらには、重合させるモノマーに屈折率が異なるポ
リマー固体粒子、モノマー、または液体を混入して、高
効率に光の散乱が生じる不均一構造を生成し、棒状、板
状、円錐状、直方体状、ファイバー状または球面体状の
散乱体を構成する技法が紹介されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】成人の体の構造および
サイズを模擬得るに十分な大きさ(20cm程度)を持
ち、かつ取扱いが容易な光計測試料およびその作製方法
を提案する。
【0008】
【課題を解決するための手段】固体で構成されるととも
にその一部を中空状態とした本体部と、この中空部に嵌
め合わせる固体で構成された充填部との組み合わせとし
て光計測試料を構成する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の光計測試料の基本
的な構成の実施例を示す図である。図1(a),(b)
は光計測試料の本体部100に中空部101が設けれら
ていることを斜視図で示す。図1(a)は本体部100
が一つの固体で構成された例であり、図1(b)は本体
部100が光学物性値を異にする固体102,103お
よび104の3層で構成されている例である。図1
(c)は充填部110が円柱体とされるとともに光学物
性値を異にする固体111および112の2層で構成さ
れている例、図1(d)は充填部110が先端部がカッ
トされた円推体とされるとともに光学物性値を異にする
固体111および112の2層で構成されている例であ
る。もちろん、中空部101および充填部110の形状
は、本実施例以外にも角柱、角錐に代表される任意の形
状とすることが可能である。ここで、光学物性値とは、
吸光定数、散乱定数、屈折率、吸収断面積、誘導放出断
面積など任意の光学物性値であり、その値は可視光波長
域に限定されるものではなく、紫外線波長域、近赤外線
波長域、赤外線波長域での値も含む。
【0010】図を参照して容易に分かるように、本発明
によれば、本体部および充填部の組み合わせとして光計
測試料が形成されるから、本体部の構成およびその素材
の光学特性の選択および充填部の構成およびその選択に
より、多様な光計測試料を容易に構成することが出来
る。しかも、本体部100に中空部101が設けられて
いると言うことは、本体部100を鋳型により形成する
とき、この中空部101に対応する部分の鋳型の構造部
を本体部100が化学的に重合形成されるときに発生す
る熱の放熱部として利用できるから、大きな光計測試料
を安定に構成することが出来るメリットが有る。
【0011】一例として、ヒトの脳の構造を模擬する場
合を以下に述べる。脳の内部の構造は、頭皮、頭蓋骨、
脳脊髄液、大脳皮質など幾つかの部位に分けられ、これ
らは三次元的に複雑に入り組んでいる。また、各々の構
成物質は異なるため、光学物性値も三次元的に複雑に入
り組んでいる。これらの構造を厳格に模擬する場合と、
近似する場合によって、光計測試料内部の構造は異なる
が、本発明では、本体部の構成および充填部の構成およ
びこれらの組み合わせとしてたような組み合わせが可能
となるから、より希望の形での模擬に近づけることが出
来る。
【0012】本体部100および充填部110の素材と
しては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂に代表される高分
子材料やガラス材料などの任意の光学材料が使用でき
る。これらの材料に対して、模擬する対象に応じて任意
の光学物性値を有している光学材料を添加することが出
来る。添加可能な物質の代表例を以下に示すが、以下の
物質以外にも添加する母剤の誘電率や水素イオン濃度
(pH)に代表される母剤の化学的特性や親和性(相溶
性)により、任意の物質を採用することが可能である。 (A)吸収特性を有する物質・・・インク、アゾ色素光
学物性値。 (B)散乱特性を有する物質・・・酸化チタン、ガラス
の破片、セラミックスの粉末、ポリスチレン粒子。 (C)蛍光特性を有する物質・・・ローダミン、クマリ
ン、エルビウムイオン。
【0013】前述したように、本発明では、大きな光計
測試料が容易に形成できるから、光計測試料のサイズは
任意であり、このため、例えばこの光計測試料を用いて
生体内代謝物質の濃度変化を評価する場合、乳幼児の体
における一部の場所(部位)もしくは全身から成人男性
の体における一部の場所(部位)もしくは全身のサイズ
を模擬した光計測試料も実現することができる。
【0014】以降、ここで示した光計測試料本体および
そのパーツの構造など詳細に説明する。
【0015】図2(a)は、図1(a)に示した光計測
試料本体部100の構造を示した底面図であり、図2
(b)はA−Aの位置で矢印方向に見た断面図である。
この図は、本体部100がほぼ20cm角の大きさで、
厚さが約4.5cm、中空部101の深さが3.3cm
とされた例である。本実施例では、中空部101は本体
部100を貫通していないが、貫通するものであっても
構わない。
【0016】図3(a)および(b)は、図2に示した
光計測試料の本体部100の作製方法を説明する図であ
り、(a)は鋳型に本体部を構成する素材が注入された
状態の断面図であり、(b)は鋳型の斜視図である。
【0017】図の実施例では、鋳型120は中央部分に
突起121が形成されており、これにより、本体部10
0に中空部101が形成される。本発明では、このよう
に鋳型に突起部を持たせるので、この突起部121を通
して本体部100が化学的な重合反応を起こすことによ
り固まっていく過程で発生する熱が効果的に取り除かれ
る。
【0018】従来の光計測試料が高々10cm角程度に
しか出来なかったのは、この重合反応の過程で発生する
熱の除去が出来なかったことによる。本発明では、光計
測試料の多様性を増すために光計測試料の中央部に中空
部を構成することで、これが鋳型の面では放熱部材を配
置することになり、重合反応の過程で発生する熱の除去
が極めて効率的に行われることになった。したがって、
本発明によれば、従来と同様な素材で、同様な手法で光
計測試料を作製しても、2倍程度までの大きさのものは
容易に作製できる。
【0019】図3で説明した光計測試料は中空部を一つ
とした例であるが、これを、模擬対象に応じて二つ以上
とするときは、さらに鋳型の放熱部が増加することにな
るから、より大形なものが作製しやすいことになる。
【0020】図4に、本発明の光計測試料の本体部10
0の作製方法の基本手順を示す。本実施例では、光計測
試料の本体部100はエポキシ樹脂とし、鋳型120は
エポキシ樹脂に接着せず、熱伝達率の良いポリプロピレ
ンを使用した。
【0021】ステップ200:主剤であるエポキシ樹脂
の中に酸化チタン(TiO2)を混合する。エポキシ樹
脂の種類は数多いが、本実施例では、エポキシ樹脂とし
てビューラー社から発売されているエポキサイドを使用
した。エポキサイド中に光学材料としての酸化チタンを
添加し、超音波洗浄機や攪拌機に代表される攪拌手段を
用いて混合した。
【0022】ステップ201:主剤であるエポキシ樹脂
の重合を開始するために、主剤と重合開始剤である硬化
剤を混合した。混合時にこれらの溶液に気泡が混入しな
いように留意した。主剤と硬化剤の混合比は、各エポキ
シ樹脂によって異なる。硬化剤の比率が高い場合、特に
樹脂内部に存在している気泡の量が多い場合、所望の散
乱係数に代表される光学物性値を有するサンプルが得ら
れない可能性が有る。硬化剤混入比率が高い場合、重合
は高温下で進行する。高温で熱重合が進むと、サンプル
内に存在する気泡の体積が増加する。言いかえれば、泡
のサイズが大きくなる。このようにサンプルが重合し固
化すると、酸化チタンを混入したエポキシ樹脂の場合、
酸化チタンに由来する反射に加えて、内部の気泡による
散乱の影響も無視できなくなり、所望の散乱係数を得る
ことは不可能になる。そのため、主剤と硬化剤の混合比
は樹脂毎に適宜な比とすることが必要である。
【0023】ステップ202:硬化剤を混合した混合し
た溶液を、鋳型120へ流し込む。この鋳型の中で樹脂
を硬化させ、光計測試料本体部101を作製することに
なる。
【0024】ステップ203:硬化剤を混合した段階で
樹脂の硬化すなわち重合は開始している。したがって、
ステップ201から202はすばやく行われなければな
らないが、さらに、ステップ202のまま大気中に放置
すると、重合は高温で速い速度で進行するため、サイズ
が大きくなると放熱が間に合わず、前述したような気泡
の発生等が起こりうる。これを防止するためには反応速
度を下げるのが有用であり、反応速度を下げる簡便な方
法は、鋳型へ流し込んだ樹脂を冷却することである。こ
のためには鋳型を冷蔵庫に入れ、あるいは、鋳型に冷風
を吹き付ける等の方法が挙げられる。主剤がエポキサイ
ドの場合、従来、三辺が10cm程度の立方体のサイズ
までは、大気中に放置しただけでも樹脂が一様に硬化す
る。しかし、このサイズ以上、すなわち成人の頭部に代
表されるサイズを有する光計測試料を作製する場合、冷
却によっても、樹脂を徐々に硬化させること、別の言い
方をすれば重合速度を抑制することで、樹脂内部の光学
物性値の分布が一様になっている樹脂バルクすなわち光
計測試料本体を作製することが困難であった。本発明に
よれば鋳型の突起部121から主剤の内部から効果的に
重合に伴う熱を除去できるから、成人の頭部のサイズの
レベルでも容易にエポキシ樹脂バルクを得ることができ
る。
【0025】図5は本体部100が2層構造になってい
る場合についての本体部の作製方法の手順を示す。この
場合、図4で説明したと同じ手順で、まず第1層を形成
する。次いで、他の光学材料を主剤に混入し(ステップ
210)、以下第1層と同様に、主剤と硬化材の混合
(ステップ211)、鋳型へ混合液を流し込む(ステッ
プ212)、重合速度を制御しながら樹脂を固体化(ス
テップ213)する。本発明では、鋳型120の中央部
に放熱手段としての突起121があることにより、多層
とする場合でも重合速度の制御が効果的に行われるか
ら、多層化が容易である。
【0026】本体部100を成形後、必要なら、機械加
工により切断し、研磨することが出来る。これにより、
模擬対象、例えば、生体の形状に合わせた光計測試料が
得られる。
【0027】次に、充填部110について説明する。図
1(c)、図1(d)で説明したような単純な円柱体、
錐体である場合には、本体部について説明したのと同様
の手順で鋳型により形成することが出来る。図6(a)
−(c)では、ある光学物性値を持つ円柱体111の内
部にのみ光学物性値を異にする固体112を持つ構造の
充填部110について説明する。
【0028】まず、図6(a)に示すように、円柱体の
鋳型により、図5で説明したような手順で円柱体111
の層、円柱体112の層および円柱体111の層の3層
構造の円柱体を形成する。次に、図6(b)に示すよう
に、上側の円柱体112の層および円柱体111の層を
機械加工により、最下層と同心の細い円柱に加工する。
次いで、これを再び鋳型に戻して、最下層の光学物性値
を持つ材料により同一径の円柱体に形成して充填部11
0を構成する。なお、ここではまず3層構造を作って機
械加工をするものとしたが、最下層111と次の層11
2の2層構造とした後、機械加工をして、鋳型に戻した
後の成形の際、最上層111を形成するものとしても良
いのは明らかであろう。さらに、層112に対応する層
を多数形成して、それぞれの素材の光学特性が少しずつ
異なるものとすれば、吸収率が、実質的に一定の傾きを
持つ充填体110を形成することが出来る。
【0029】本発明では、本体部100と充填部110
とを組み合わせて光計測試料とするので、次に、この組
み合わせについての注意を説明する。
【0030】図7(a)は本体部100の中空部101
に充填部110が組み合わされた状態を示す平面図であ
る。この図では、本体部100と充填部110との間に
残った中空部101の空隙が誇張して描かれているが、
取り外しが可能であるためには、わずかであるとは言
え、空隙が残る。図7(b)は、このような空隙を持っ
た光計測試料の吸光度をB−Bで示す位置で見たときの
特性図である。図に示すように、空隙部で吸光度130
は極端に変化する。ここで、光学系に使用する光の波長
のレベル以下に空隙部が小さく出来れば、この吸光度の
落ち込みはある程度防止できる。図7(c)は、充填部
110を中空部101に挿入する際、空隙部にインデッ
クスマッチングオイルを使用して空隙部を埋めたときの
光計測試料の吸光度をB−Bで示す位置で見たときの特
性図である。このようにインデックスマッチングオイル
の使用で吸光度131は見かけ上は空隙が無いものと同
等程度に改善出来る。
【0031】図8(a)は、先に図6で説明した充填部
110の位置に対応した吸光度を示す図である。132
はそれぞれの光学物性値に応じた吸光度を示す。133
はこの充填部110を持つ光計測試料に、外部からエネ
ルギー、たとえば、電界が付与された場合の吸光度を示
す。すなわち、本発明によれば、光計測試料に外部から
エネルギーを加えることにより、等価的な光学特性を変
えることが出来るから、充填部110の構造が同じ場合
でも、異なった光計測試料として計測することが出来
る。
【0032】図8(b)は、このことについてより具体
的な説明をする図である。本実施例の光計測試料は図1
(a)に示したような本体部100の中空部101に図
6で説明したような充填部110を埋め込んだ例であ
る。したがって、立方体である本体部100の中央部分
に他の光学特性材料112が埋め込まれたように見え
る。301,302は電極であり、光学特性材料112
の部分を挟み付けるように本体部100の対向する両面
に設けられる。303はスイッチ装置、304は電源装
置、305は制御用パソコンである。パソコン305の
信号に応じてスイッチ303の開閉を制御して電源30
4の電圧を電極301,302に加えることにより、光
計測試料をこれに対応した吸光度に制御できる。したが
って、模擬したい対象の特性に合わせて電界の印加を制
御すれば、これに応じた吸光度の変化を模擬出来るか
ら、多様な対象の変化の模擬への対応が可能となる。3
11、312は光ファイバーに代表される光導波路であ
り、光計測試料の吸光度の変化を計測するための光の入
射および出力の計測のために設けられる。なお、この実
施例では、電界の印加の有無のみが制御されるものであ
ったが、パソコン305の信号に応じて電源304の電
圧を変化させるものとすれば、電界の有無および大きさ
を合わせて制御することが出来る。
【0033】ここで、外部から加えるエネルギーは、電
界に限らず、電磁波、光、超音波、エックス線、放射
線、力、熱等種々のものが考えられる。光計測試料の光
学材料と制御のし易さとの兼ね合いで選択するべきもの
である。この材料の一例として、電場に対して光学物性
値が変化する有機材料ポリアゾメチン系高分子や無機材
料LiNbO3、紫外線を照射することにより吸光度が
変化するスピロピランなどが挙げられるが、光学物性値
の制御が可能な光学材料はこれらの限りではない。ま
た、外部エネルギーにより光学物性値の制御が可能な材
料4−1の光学物性値は光学的等方性を有するものでも
数多くの液晶材料に代表される異方性を有するものでも
良い。
【0034】ここで、電界を加える場合の多様な応用例
の一部を説明しておくと次のようである。
【0035】図9(a)および(b)は同心状の正方形
の電極および円形の電極である。これらのそれぞれに加
える電圧の有無および大きさを制御すると、図8の単一
の平面電極とは異なった制御が実現できる。
【0036】図10は、直方体の本体部100に、直方
体の光学物性値の異なる素材の光学材料112を内蔵し
た形に光計測試料を構成するとともに、電極311−3
15を直方体の長さ方向に分割して配置した例を示す
(対向する面の電極は破線で示すのみで参照符号は省略
した)。このように構成して、電極311側から電極3
15側に電界の印加を時間的にずらすように制御する
と、吸光度が時間的に推移する現象を模擬出来ることに
なる。
【0037】ここまでの説明では、電界は、本体部10
0の対向する2面にのみ設けた例であったが、これらの
対向するすべての面に設けて制御をするものとすれば、
より多様な対応が出来る。また、電界に限らず、超音波
でも良いことは前述したが、超音波振動子は、電極と同
様に簡単に扱うことが出来るから、同様に種種の使い方
が出来る。図8(b)に示したように、計測する光信号
の付与と検出は、本体部100の表面にファイバが装着
できれば足りるから、この種のエネルギーの付与手段に
は、何ら制約となるものではない。
【0038】本実施例によれば、外部からのエネルギー
付与の制御の多様化が可能であり、したがって、例えば
生体内の光学物性値を模擬する場合、光計測試料の構造
形態は単純でも、等価的に複雑な形態を模擬することが
可能になる。したがって、毛髪を含む頭皮、頭蓋骨、硬
膜・軟膜、脳脊髄液層、大脳皮質(灰白質)、白質の順
に層状構造を模擬することが可能となる。さらには、血
液の動き等に対応した模擬も可能になる。
【0039】
【発明の効果】本発明により、固体状で取扱が容易であ
り、かつ光学定数の制御が可能である光計測装置を実現
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光計測試料の基本的な構成の実施例を
示す図。
【図2】(a)は、図1(a)に示した光計測試料本体
部100の構造を示した底面図であり、(b)は図1
(a)のA−Aの位置で矢印方向に見た断面図。
【図3】(a)および(b)は、図2に示した光計測試
料の本体部100の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の光計測試料の本体部100の作製方法
の基本手順を示す図。
【図5】本体部100が2層構造になっている場合につ
いての本体部100の作製方法の手順を示す図。
【図6】(a)−(c)は円柱体の内部にのみ光学物性
値を異にする固体を持つ構造の充填部の作製方法を説明
する図。
【図7】(a)は本体部と充填部が組み合わされた状態
を示す平面図、(b)はこのときの光計測試料の吸光度
をB−Bで示す位置で見たときの特性図、(c)は空隙
部にインデックスマッチングオイルを使用したときの特
性図を示す図。
【図8】(a)は図6で説明した充填部の構造と吸光度
を示す図、(b)は光計測試料に外部から電界を付与し
て計測する場合の具体的な構成を説明する図。
【図9】(a)および(b)は同心状の正方形の電極お
よび円形の電極の例を示す図。
【図10】光計測試料の本体部を直方体としたときの電
極配置の例を示す図。
【符号の説明】
100:光計測試料の本体部、101:光計測試料の中
空部、102,103および104:光学物性値を異に
する固体、110:光計測試料の充填部、111および
112:光学物性値を異にする固体、120:鋳型、1
21:突起、200−213:光計測試料の作製手順、
130−133:吸光度特性の例、301,302、3
11−315:電極、303:スイッチ装置、304:
電源装置、305:制御用パソコン、311、312:
光ファイバー、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧 敦 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 小泉 英明 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 山田 幸生 茨城県つくば市並木1丁目2番地工業技術 院 機械技術研究所内 (72)発明者 谷川 ゆかり 茨城県つくば市並木1丁目2番地工業技術 院 機械技術研究所内 Fターム(参考) 2G059 AA02 BB08 BB12 BB15 DD20 EE01 EE02 FF02 HH01 HH02 HH03 JJ30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の光学物性値を持つ素材で形成される
    とともにその一部が切り欠かれている本体部、前記きり
    欠かれた部分と密に結合する構造を有するとともにその
    一部が前記光学物性値とは異なる光学物性値を持つ素材
    で構成されている充填部とよりなることを特徴とする光
    計測試料。
  2. 【請求項2】前記充填部の一部を構成している本体部と
    は異なる光学物性値を持つ素材が光学物性値を異にする
    複数の光学材料である請求項1記載の光計測試料。
  3. 【請求項3】前記充填部の一部を構成している本体部と
    は異なる光学物性値を持つ素材は電磁波、光、超音波、
    エックス線、放射線、外力、熱に代表される外部エネル
    ギーが照射されるとき、該光学物性値が変化する光学材
    料である請求項1あるいは2記載の光計測試料。
  4. 【請求項4】前記本体部と充填部との間に形成される空
    隙に、前記光計測試料の光学定数に対応した物質が充填
    されている請求項1ないし3のいずれかに記載の光計測
    試料。
  5. 【請求項5】所定の光学物性値を持つ素材で形成される
    とともにその一部が切り欠かれている本体部、前記きり
    欠かれた部分と密に結合する構造を有するとともにその
    一部が前記光学物性値とは異なる光学物性値を持つ素材
    で構成されている充填部とよりなる光計測試料の作製方
    法であって、前記本体部は前記切り欠きに対応する突起
    部を有する鋳型により形成され、前記充填部は前記切り
    欠きに対応する鋳型により形成されることを特徴とする
    光計測試料の作製方法。
  6. 【請求項6】所定の光学物性値を持つ素材で形成される
    とともにその一部が切り欠かれている本体部、前記きり
    欠かれた部分と密に結合する構造を有するとともにその
    一部が前記光学物性値とは異なる光学物性値を持つ素材
    で構成されている充填部とよりなる光計測試料の対向す
    る面から光計測試料内部にエネルギーを加える手段を備
    える光計測装置。
  7. 【請求項7】前記エネルギーが電界であり、エネルギー
    を加える手段が電極である請求項6記載の光計測装置。
  8. 【請求項8】前記電極が複数個に分割されており、それ
    らに加える電圧が時系列的に制御される請求項7記載の
    光計測装置。
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