JP2001003896A - 羽根車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製作が容易で、製品の精度が高く、製作後の
調整は不要で、運転音は静かな上に、使用中に変形等を
生ずることもない羽根車を提供する。 【解決手段】 ボスの周囲に設けられた羽根を、ボスを
固定した回転軸により回転させて、流体の軸方向の移動
を起こさせる羽根車であって、この羽根車１は、２枚の
主羽根４と、この主羽根４よりも面積が小さい２枚の補
助羽根５とが十字状に配設されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、流体を移動させる
羽根車に関する。

【０００２】

【従来の技術】流体の移動、例えば、ルームエアコンの
屋内機からの空気の吹出し等に用いられる羽根車は、一
対の端板の間に多数の羽根が環状に並んだ円筒体を設け
たもので、この円筒体は、全体を一度に成形することは
できないため、実開昭５８−１１０４１４号公報に開示
される通り、円筒体を幾つかに分割形成して、これらを
接合して希望する羽根車を得ている。

【０００３】しかしながら、前述した構成の羽根車は、
円筒体を成形する金型が複雑なもので、しかも、成形が
難しく、かつ、成形後は、各円筒体を曲がらないように
治具等を用いて慎重に接合しなければならないため、製
品が高価となり、また、製作された円筒体は形状・寸法
の精度が低いから、回転バランスをとる必要があり、更
には、羽根車が両端を回転軸に支持されるのみで中間部
分は支持されないため、温度変化により変形して騒音を
発し易い問題点がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来の問題点を解消して、製作が容易で、製品の精度が高
く、製作後の調整は不要で、運転音が静かな上に使用中
に変形等を生ずることもない羽根車を提供する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明に係る羽根車は、下記の構成を採用することを特
徴とする。 （１） ボスの周囲に設けられた羽根を、ボスを固定し
た回転軸により回転させて、流体の軸方向の移動を起こ
させる羽根車であって、この羽根車は、２枚の主羽根
と、この主羽根よりも面積が小さい２枚の補助羽根とが
十字状に配設されたものである。 （２） ２枚の主翼と、２枚の補助翼とがボスの周囲へ
軸心と平行するように取り付けられている板状羽根であ
る。 （３） ２枚の主翼と、２枚の補助翼とがボスの周囲へ
軸線に対して傾斜するように取り付けられているねじれ
羽根である。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下に本発明に係る羽根車の実施
形態を図面に基づいて説明する。

【０００７】図１及び図２は、本発明に係る羽根車の板
状羽根タイプを示す。

【０００８】この羽根車１は、回転軸２と、この回転軸
２に固定するボス３と、ボス３の周囲に設けられる主羽
根４と補助羽根５により構成される。

【０００９】主羽根４及び補助羽根５は、ボス３の周囲
へ軸線と平行するように取付けられた板状羽根であり、
２枚の主羽根４と、２枚の補助羽根５とは十字状をなす
ように配置される。そして、主羽根４は、図１及び図２
に示すように巾が広くて、回転方向の前方が凹むように
彎曲されている。これに対して、補助羽根５は、主羽根
４の半分程度の巾として、主羽根４よりも面積を小さく
するとともに、成形時の離型を良くするため、半径線と
一致するように真っ直ぐなものとしてある。

【００１０】前記実施形態の羽根車１は、型成形する場
合、図３に示すような２分割の単純な成形型６による成
形のみで製品を得ることができて、しかも、得られた製
品は形状・寸法の精度が非常に高い。このため、成形の
ままで主羽根４と補助羽根５とは重量バランスがとれて
いて、従来の円筒形羽根車のように回転バランスを取る
必要がない。また、主羽根４と補助羽根５は、その両端
だけでなく、中間部をも回転軸２により支持されるか
ら、温度の変化等による変形を防止されて、回転振れに
よる騒音を発生することがない。

【００１１】更に、前記羽根車１は、面積が小さい補助
羽根５と、面積の大きい主羽根４とが交互に配置され
て、補助羽根５と主羽根４とが羽根面積に応じた流体の
分担給送を行なうため、負荷が減少して運転音は静かで
あり、また、羽根数が少なくても羽根面積が大きいた
め、回転数を上げることによって必要とする風量を得る
ことができる。

【００１２】図４及び図５は、本発明に係る羽根車のれ
じれ羽根タイプを示す。

【００１３】この羽根車１は、回転軸２と、この回転軸
２に固定されるボス３と、ボス３の周囲に設けられる主
羽根４と補助羽根５により構成される。

【００１４】主羽根４及び補助羽根５は、ボス３の周囲
へ軸線に対して回転方向の前方よりも後方が上がる傾斜
で取付けられたねじれ羽根であり、２枚の主羽根４と、
２枚の補助羽根５とは十字状をなすように配置される。
そして、主羽根４は、ボス２に接合される基部の巾が狭
く、先端側は回転方向の後方へ向かって巾が広がって、
図１及び図２に示すような形状となる。また、補助羽根
５は主羽根４とほぼ相似の形であって、巾を主羽根４の
半分程度に狭くして主羽根４よりも面積を小さくしたも
のである。

【００１５】前記実施形態の羽根車１は、型成形する場
合、図６に示すような２分割の単純な成形型６による成
形のみで製品が製作できて、しかも、製作された製品は
形状・寸法の精度が非常に高い。従って、成形のままで
主羽根４と補助羽根５とは重量バランスが取れおり、回
転バランスを取る必要がない製品が得られる。

【００１６】更に、前記羽根車１は、面積の小さい補助
羽根５と面積の大きい主羽根４とが交互に配置されて、
補助羽根５と主羽根４とが羽根面積に応じた流体の分担
給送を行なうため、負荷が減少して運転音は静かであっ
て、また、巾の狭い補助羽根５を有しても、回転数を上
げることによって必要とする風量を得ることができる。

【００１７】なお、本発明に係る羽根車１は、前記実施
形態に示す通り、流体の移動に使用されるだけでなく、
船舶等の推進器としても有効に使用することができるも
のである。

【００１８】

【発明の効果】請求項１の効果 （１） 単純な成形型による成形だけで製品が得られ
て、製品の大幅なコストダウンが計れる。 （２） 製品の形状寸法の精度が高くて、回転バランス
を取る必要がない。 （３） 羽根が充分な強度を持つように成形されて、温
度変化等による変形を生じないから、羽根車の回転振れ
による騒音発生が防止される。 （４） 面積が違う主羽根と補助羽根とで流体の分担給
送を行なうため、負荷が減少して運転音が静かになる。 請求項２の効果 （１） 板状羽根の使用により長大な口から平均した流
体の吹出し等が効率よく行われる。 （２） 板羽根は、その両端だけでなく、中間部をも回
転軸に支持されているため、温度変化等があっても原形
を保持して、回転振れによる騒音を発しにくい。 請求項３の効果 （１） ねじれ羽根の使用により送風機等に汎用される
羽根車も性能のよいものを安価に提供できる。 （２） ねじれ羽根を用いる羽根車は、回転により流体
を移動させるだけでなく、静止流体中を移動する機能も
あるため、船舶の推進器として使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る羽根車の板状羽根タイプを示す斜
視図である。

【図２】同上羽根車の縦断側面図である。

【図３】同上羽根車を成形する成形型の断面側面図であ
る。

【図４】本発明に係る羽根車のねじれ羽根タイプを示す
斜視図である。

【図５】同上羽根車の側面図である。

【図６】同上羽根車を成形する成形型を便宜上、一枚の
羽根を成形する状態で示す縦断正面図である。

【符号の説明】

１ 羽根車 ２ 回転軸 ３ ボス ４ 主羽根 ５ 補助羽根

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボスの周囲に設けられた羽根を、ボスを
   固定した回転軸により回転させて、流体の軸方向の移動
   を起こさせる羽根車であって、 この羽根車は、２枚の主羽根と、この主羽根よりも面積
   が小さい２枚の補助羽根とが十字状に配設されたもので
   あることを特徴とする羽根車。
2. 【請求項２】２枚の主翼と、２枚の補助翼とがボスの周
   囲へ軸心と平行するように取り付けられている板状羽根
   であることを特徴とする請求項１記載の羽根車。
3. 【請求項３】２枚の主翼と、２枚の補助翼とがボスの周
   囲へ軸線に対して傾斜するように取り付けられているね
   じれ羽根であることを特徴とする請求項１記載の羽根
   車。