JP2001002626A - 硝酸エステル体の製造法 - Google Patents

硝酸エステル体の製造法

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JP2001002626A
JP2001002626A JP2000114509A JP2000114509A JP2001002626A JP 2001002626 A JP2001002626 A JP 2001002626A JP 2000114509 A JP2000114509 A JP 2000114509A JP 2000114509 A JP2000114509 A JP 2000114509A JP 2001002626 A JP2001002626 A JP 2001002626A
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nitric acid
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JP2000114509A
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Masahiro Sagawa
征博 佐川
Hisao Sato
久夫 佐藤
Hitoshi Sato
仁 佐藤
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Nippon Kayaku Co Ltd
Sankyo Co Ltd
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Nippon Kayaku Co Ltd
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強酸や危険性の高い反応または試薬を用いる
ことなく、安価な試薬のみを用いて穏和な反応条件下
で、硝酸エステル体を安全に工業的レベルで製造する方
法を提供すること。 【解決手段】 1個以上の水酸基を有す化合物のニトロ
化反応において、該化合物、酸無水物、カルボン酸およ
び有機溶媒を含む溶液に硝酸を添加することを特徴とす
る、該化合物の硝酸エステル体の製造法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1個以上の水酸基
を有する化合物のニトロ化反応による硝酸エステル体の
製造法に関する。更に詳細には、1個以上の水酸基を有
する化合物、酸無水物、カルボン酸および有機溶媒を含
む溶液に硝酸を滴下することによりニトロ化する、安全
で工業的にも製造可能な硝酸エステル体の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】水酸基を有する化合物から硝酸エステル
体を製造する方法としては、(1)硫酸と硝酸を用いた
混酸による方法[Synthesis,22,65(1
942)]、(2)無水酢酸と硝酸から硝酸アセチルを
調製し、それによりニトロ化する方法[Chemist
ry and Industry(September
26,1953)1035]、(3)ヨウ素、トリフ
ェニルホスフィン、イミダゾールにより水酸基をヨウ素
化した後、硝酸銀によりニトロ化する方法[Synth
esis Commun.,22(5),677(19
92)]、(4)三フッ化ホウ素と硝酸カリウムによる
方法[Synthesis,207(1993)]、
(5)硝酸テトラブチルアンモニウムと無水トリフルオ
ロ酢酸、ピリジンによる方法[J.Heterocyc
lic Chem.,31(6),1589(199
4)]、(6)硝酸銀と塩化チオニルによりチオニルナ
イトレートあるいはチオニルクロライドナイトレートを
調製し、ニトロ化する方法[Helv.Chem.Ac
ta,67(3),906(1984)]、(7)N−
ニトロ−2,4,6−コリジニウムフルオロボレートに
よる方法[Synthesis,452(1978)]
などがあげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法により工業的に硝酸エステル体の製造を行う場
合、(1)の混酸による方法では、非常に強い酸性条件
下での反応となるため、原料である水酸基を有する化合
物が、酸に対して安定なものに限られ、またニトロ化条
件としても強いため、水酸基部分だけでなくニトロ化さ
れやすい炭素原子もニトロ化されてしまう可能性があ
る。(2)の硝酸アセチルによる方法では、調製される
硝酸アセチル自体が非常に不安定であり、室温以下でも
発熱分解が始まり、さらに温度上昇することにより爆発
的に分解するため、かなり微妙な温度コントロールが要
求され、大量に調製するのは非常に危険である。(3)
の硝酸銀を用いる方法では、硝酸銀自体が非常に高価で
あること、昇華性があり、毒性の強いヨウ素を使用する
こと、さらに反応後のトリフェニルホスフィンの処理等
を考慮すると、工業的製法としては不適当である。
(4)の三フッ化ホウ素と硝酸カリウムによる方法で
は、強酸条件下での反応となるため、(1)の方法と同
様、原料である水酸基を有する化合物が、酸に対して安
定なものに限られてしまう。(5)の方法では、試薬自
体が非常に高価であること、また−50℃という低温条
件が必要なことから、工業的製法としては不適当であ
る。(6)の方法では、(3)の方法と同様、高価な硝
酸銀を一当量以上使用するため工業的製法としては不適
当である。(7)の方法では、試薬の調製に必要なニト
ロニウムテトラフルオロボレートが非常に高価なため、
やはり工業レベルでの製造には不適当である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの問
題について鋭意検討した結果、強酸や危険性の高い試薬
を用いることなく穏和な条件下で、安価な試薬を用いる
ことにより工業レベルでの製造にも有利で、かつコスト
的にも有利な、1個以上の水酸基を有する化合物の硝酸
エステル化の方法を見出した。すなわち、1個以上の水
酸基を有する化合物、酸無水物、カルボン酸および有機
溶媒を含む溶液に硝酸を滴下することによりニトロ化す
る、安全で工業的にも製造可能な硝酸エステル体の製造
法を見出し本発明を完成した。すなわち、本発明は次の
〔1〕〜〔21〕の製造法に関する。
【0005】[1] 1個以上の水酸基を有する化合物
のニトロ化反応において、該化合物、酸無水物、カルボ
ン酸および有機溶媒を含む溶液に硝酸を添加することを
特徴とする、該化合物の硝酸エステル体の製造法。 [2] 硝酸の添加が、徐々に滴下するか又は2回以上
に分割して滴下して行われる上記[1]の製造法。 [3] カルボン酸、有機溶媒、酸無水物および1個以
上の水酸基を有する化合物を含む溶液に硝酸を滴下し、
次いで有機溶媒に溶解されていてもよい1個以上の水酸
基を有する化合物の添加又は滴下と硝酸の滴下を、順次
必要により繰り返し行う、1個以上の水酸基を有する化
合物の硝酸エステル体の製造法。 [4] 1個以上の水酸基を有する化合物の添加又は滴
下と硝酸の滴下が、1回又は2〜5回繰り返して行う上
記[3]の製造法。 [5] 1個以上の水酸基を有する化合物の水酸基1当
量に対して、酸無水物1〜5当量、硝酸1〜3当量用い
て反応を行う、上記[1]〜[4]のいずれかの製造
法。
【0006】[6] 1個以上の水酸基を有する化合物
の水酸基1当量に対して、酸無水物1〜3当量、硝酸1
〜2当量用いて反応を行う、上記[1]〜[4]のいず
れかの製造法。 [7] 1個以上の水酸基を有する化合物が窒素、酸素
あるいは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜18の
炭化水素残基を有する化合物である上記[1]〜[6]
のいずれかの製造法。 [8] 1個以上の水酸基を有する化合物が、アルコー
ル化合物である上記[1]〜[7]のいずれかの製造
法。 [9] アルコール化合物がアシル基又はウレタン形成
保護基で保護されたアミノアルコール化合物である上記
[8]の製造法。 [10] 酸無水物が炭素数4〜14の酸無水物である
上記[1]〜[9]のいずれかの製造法。
【0007】[11] 酸無水物が無水酢酸である上記
[10]の製造法。 [12] カルボン酸が炭素数1〜10のカルボン酸で
ある上記[1]〜[11]のいずれかの製造法。 [13] カルボン酸が酢酸である上記[12]の製造
法。 [14] 1個以上の水酸基を有する化合物に対して、
重量比でカルボン酸を1〜5倍量用いて反応を行う、上
記[1]〜[13]のいずれかの製造法。 [15] 有機溶媒が脂肪族飽和炭化水素、エステル系
炭化水素溶媒、ハロゲン系炭化水素溶媒、又はそれらの
混合溶媒である上記[1]〜[14]のいずれかの製造
法。 [16] 脂肪族飽和炭化水素がn−ペンタン、n−ヘ
キサン、n−ヘプタン又はn−オクタンであり、エステ
ル系炭化水素溶媒が酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エ
チル又は酢酸メチルであり、ハロゲン系炭化水素溶媒が
塩化メチレン又はクロロホルムである上記[15]の製
造法。 [17] 有機溶媒が酢酸エチルである上記[15]の
製造法。
【0008】[18] 1個以上の水酸基を有する化合
物に対して、重量比で有機溶媒を1〜20倍量用いて反
応を行う、上記[1]〜[17]のいずれかの製造法。 [19] 反応温度が−20〜60℃で行われる上記
[1]〜[18]のいずれかの製造法。 [20] 反応温度が5〜30℃で行われる上記[1]
〜[18]のいずれかの製造法。 [21] 1個以上の水酸基を有する化合物が(1S)
−N−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチル−2−
ヒドロキシエチルアミンである上記[1]〜[20]の
いずれかの製造法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、1個以上の水酸
基を有する化合物とは、アルコール性水酸基またはフェ
ノール性水酸基を1個以上有する化合物を指す。水酸基
の数は、ニトロ化を必要とする多くの水酸基を有する化
合物にも本発明の製造法は適応できるため、1個に限定
されるものではないが、通常は1〜6個程度である。具
体的にはモノオール体、ジオール体、トリオール体、テ
トラオール体、ペンタオール体、ヘキサオール体があげ
られる。
【0010】1個以上の水酸基を有する化合物としては
具体的には、窒素、酸素あるいは硫黄原子を含んでいて
もよい炭素数1〜18の炭化水素残基を有する化合物が
あげられる。炭素数1−18の炭化水素残基としては、
飽和、不飽和、直鎖状、分枝状、環状及びそれらの組み
合わせのいずれでもよく、具体的にはアルキル基、シク
ロアルキル基、複素環状基などがあげられる。かかるア
ルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デ
シル、オクタデシルなどの炭素数1−18のアルキル基
があげられ、シクロアルキル基としては、例えば、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシルなどの炭素数3−6のシクロアルキル基があげら
れ、複素環状基としては、ピロリジニル、ピペリジニ
ル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テ
トラヒドロチオフェニル、ピロリジンメチルなどの窒
素、酸素および/又は硫黄原子を含む5又は6員複素環
状基があげられる。これらの炭化水素基は、反応に関与
しない置換基を有していてもよい。かかる置換基として
は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n-ブチ
ル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1−6のアルキル
基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、ペントキシなどの炭素数1
−6のアルコキシ基;アセチル、プロピオニル、ブチリ
ルなどの炭素数2−6のアシル基;アセチルオキシ、プ
ロピニルオキシ、ブチリルオキシなどの炭素数2−6の
アシルオキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル、ブトキシカルボニルなどの炭素数2−6のアルコ
キシカルボニル基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、エ
チルアミノなどの炭素数1−6のアルキル基で置換され
たアミノ基;アセチルアミノ、プロピオニルアミノなど
の炭素数2−6のアシル基で置換されたアミノ基;カル
ボキシル基;カルバモイル基;ニトロ基等があげられ
る。本発明では、上記した1個以上の水酸基を有する化
合物のなかでも、アルコール性水酸基を1個以上有する
化合物、すなわちアルコール化合物が好ましく、特にア
ミノ基を置換基として有するアルコール化合物、すなわ
ちアミノアルコール化合物が好ましい。アミノ基は保護
基等で修飾されていてもよい。アミノアルコール化合物
としては、2−ヒドロキシエチルアミン、1−メチル−
2−ヒドロキシエチルアミン、1−ヒドロキシイソプロ
ピルエチルアミン、3−ヒドロキシプロピルアミンなど
のヒドロキシ炭素数2−8アルキルアミンが好ましい。
【0011】アミノアルコール化合物中のアミノ基の保
護基としては、アシル基またはウレタン形成保護基があ
げられる。これらの保護基は、反応に関与しない保護基
であれば、特に限定はされないが、具体的に例をあげる
と、アシル基としては、ホルミル、アセチル、クロロア
セチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリ
フルオロアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチ
リル、ピバロイル、前記した置換基で置換されたベンゾ
イルまたは非置換ベンゾイル、フタロイルなどの基があ
げらる。ウレタン形成保護基としては、メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボ
ニル、ターシャリーブトキシカルボニル、ベンジルオキ
シカルボニル、シクロブトキシカルボニルなどの基があ
げられる。また、アミノアルコール化合物は、複素環カ
ルボニル基でアシル化されていてもよく、そのような複
素環カルボニル基としては例えばニコチノイル、チアゾ
リルカルボニル、ピラジンカルボニル基を挙げることが
できる。
【0012】本発明における1個以上の水酸基を有する
化合物としては、例えば下記のものがあげられる。 〔1〕2−ヒドロキシエチルアミン 〔2〕1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミン 〔3〕1−ヒドロキシイソプロピルエチルアミン 〔4〕3−ヒドロキシプロピルアミン 〔5〕(1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1
−メチル−2−ヒドロキシエチルアミン 〔6〕(1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1
−イソプロピル−2−ヒドロキシエチルアミン 〔7〕N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ヒドロキ
シエチルアミン 〔8〕エタノールアミン
〔9〕1,6−ヘキサンジオール 〔10〕グリセロール 〔11〕マンニトール 〔12〕イソソルビド 〔13〕N−ニコチノイル−2−ヒドロキシエチルアミ
ン 〔14〕(4R)−N−[(1S)−1−メチル−2−
ヒドロキシエチル]−2−オキソチアゾリジン−4−カ
ルボキサミド
【0013】次に、本発明の製造法において、反応に用
いる溶媒、試薬及び条件とともに詳細に説明する。本発
明において、硝酸エステル体の製造は、1個以上の水酸
基を有する化合物、酸無水物、カルボン酸および有機溶
媒を含む溶液に、硝酸を添加してニトロ化することによ
り行われる。
【0014】酸無水物としては、カルボン酸無水物、メ
タンスルホン酸無水物あるいはp−トルエンスルホン酸
無水物などのスルホン酸無水物;プロパンフォスフォン
酸無水物などのリン酸無水物等があげられる。好ましく
は炭素数4〜14の脂肪族または芳香族カルボン酸無水
物であり、具体的に好ましい酸無水物としては、無水酢
酸、無水クロロ酢酸、無水プロピオン酸などの炭素数4
〜6の脂肪族カルボン酸無水物があげられ、特に入手お
よび取り扱いの容易な無水酢酸が好ましい。その使用量
としては、1個以上の水酸基を有する化合物の水酸基1
当量に対して、通常1〜5当量程度であり、好ましくは
1〜3当量使用して反応を行う。本発明のニトロ化反応
においては、無水酢酸等の酸無水物は少量用いること
が、反応の後処理を簡便に行える利点を有し、かつ爆発
性の危険のある硝酸エステルの生成を極力抑えることが
でき、工業化スケールでの生産では特に好ましい。
【0015】硝酸の種類としては、反応が進行すれば特
に限定されるものではないが、例えば濃硝酸、発煙硝酸
などがあげられるが、好ましくは反応速度が速く、硝酸
中の水による加水分解等の副反応の起こらない発煙硝酸
を使用して反応を行う。その使用量としては、1個以上
の水酸基を有する化合物の水酸基1当量に対して、通常
1〜3当量程度であり、反応後の処理などを考慮する
と、好ましくは1〜2当量である。また、本発明の製造
法において、硝酸の添加または滴下は硝酸を単独で用い
る方法が好ましいが、任意に硝酸を溶かす溶媒たとえば
後記するカルボン酸などと、更には有機溶媒などと混合
して用いても差し支えない。なお、硝酸を無水酢酸と混
合して用いるのは生成する硝酸アセチルが爆発性の危険
があり好ましくない。
【0016】カルボン酸の添加は、爆発を回避できると
いう安全性の向上のために用いる利点がある。カルボン
酸としては、例えば炭素数1〜10の脂肪族または芳香
族カルボン酸であり、具体的に好ましいカルボン酸とし
ては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバリン酸等
の炭素数1〜5の脂肪族カルボン酸があげられ、特に入
手容易な酢酸が好ましい。カルボン酸の使用量は、工業
化スケールでの反応後の処理を考慮して必要量用いるこ
とが望ましく、通常は1個以上の水酸基を有する化合物
に対し重量比で1〜5倍量程度、好ましくは1〜3倍量
程度である。
【0017】有機溶媒としては、1個以上の水酸基を有
する化合物を溶解し、反応に関与しない溶媒であれば特
に限定はされないが、例としては脂肪族飽和炭化水素、
エステル系炭化水素溶媒又はハロゲン系炭化水素溶媒が
あげられる。具体的に好ましい脂肪族飽和炭化水素溶媒
としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、n−オクタン等があげられる。エステル系炭化水素
溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エ
チル、酪酸メチル、酪酸エチル等の、アシル基部位が炭
素数1〜4、アルコキシ基部位が炭素数1〜4の低級ア
ルキルエステルがあげられ、特に安価で入手容易な酢酸
エチルが好ましい。ハロゲン系炭化水素溶媒としては、
塩化メチレン、クロロホルムが好ましい。またこれらの
脂肪族飽和炭化水素溶媒、エステル系炭化水素溶媒、ハ
ロゲン系炭化水素溶媒を組み合わせ混合して用いてもよ
い。有機溶媒の使用量は、反応及び後処理への影響がな
ければ少量〜過剰量用いてもさしつかえないが、通常は
1個以上の水酸基を有する化合物に対して重量比で1〜
20倍量、好ましくは2〜6倍量程度である。
【0018】本発明の硝酸エステル体の製造法の好まし
い操作法としては、有機溶媒を含んでいてもよい酸無水
物とカルボン酸との混合溶液へ、1個以上の水酸基を有
する化合物を、該混合溶液が有機溶媒を含んでいる場合
にはそのまま、または有機溶媒に溶解させた溶液として
添加又は滴下し、これに硝酸を滴下し、次いで、必要に
より有機溶媒に溶解した該化合物の添加又は滴下と硝酸
の滴下を順次必要により繰り返し行うことによりニトロ
化を行う。あるいは、カルボン酸、酸無水物および有機
溶媒との混合溶液へ、1個以上の水酸基を有する化合物
を全量添加し、次いで硝酸を連続的にゆっくりと滴下す
る方法、または、硝酸のみを数分割して分割滴下する方
法等がある。
【0019】具体的な例としては、酢酸と無水酢酸との
混合溶液へ、1個以上の水酸基を有する化合物の酢酸エ
チル溶液を全量添加又は滴下し、次いで発煙硝酸を連続
的にゆっくりと滴下する方法、または、酢酸と無水酢酸
との混合溶液へ、1個以上の水酸基を有する化合物の酢
酸エチル溶液を全量添加又は滴下し、発煙硝酸のみを2
〜5分割して分割滴下する方法などがあげられる。好ま
しくは、反応熱が分散し、反応速度が一定となるよう
に、酢酸と無水酢酸との混合溶液へ、酢酸エチルに溶解
させ2〜5分割した1個以上の水酸基を有する化合物溶
液の一部を添加又は滴下した後、2〜5分割した発煙硝
酸の一部を滴下し、次いで該化合物溶液の添加又は滴下
と発煙硝酸の滴下を1回又は複数回繰り返し行う方法が
良い。
【0020】反応温度としては、反応が進行する温度で
あれば特に限定されるものではないが、通常−20〜6
0℃程度であり、好ましくは、比較的反応速度が速く、
副反応の少なく、かつ温度調節の容易な5〜30℃で反
応を行うのが良い。
【0021】反応後の後処理としては、常法に従って、
例えば、濃縮、抽出、晶析などの手段を適宜組み合わせ
て処理することにより、硝酸エステル体を得ることがで
きる。具体的な例としては、反応液に水および有機溶媒
を加え、抽出、分液をし、得られた有機層を塩基性水溶
液、好ましくは弱塩基性である炭酸水素ナトリウム水溶
液、水で順次洗浄し、濃縮することにより硝酸エステル
体の生成物を得ることができる。
【0022】本発明の製造法により得られる硝酸エステ
ル体としては、例えば下記のものがあげられる。なお、
〔5〕及び〔6〕に記載の化合物は狭心症予防薬または
治療薬の中間体として利用されるものである(特開平1
0−120566号公報)。 〔1〕2−ニトロキシエチルアミン 〔2〕1−メチル−2−ニトロキシエチルアミン 〔3〕1−ニトロキシイソプロピルエチルアミン 〔4〕3−ニトロキシプロピルアミン 〔5〕(1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1
−メチル−2−ニトロキシエチルアミン 〔6〕(1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1
−イソプロピル−2−ニトロキシエチルアミン 〔7〕N−(t−ブトキシカルボニル)−2−ニトロキ
シエチルアミン 〔8〕2−ニトロキシエチルアミン
〔9〕1,6−ジニトロキシヘキサン 〔10〕ニトログリセリン 〔11〕マンニトール ヘキサニトレート 〔12〕イソソルビドジニトレート 〔13〕N−ニコチノイル−2−ニトロキシエチルアミ
ン 〔14〕(4R)−N−[(1S)−1−メチル−2−
ニトロキシエチル]−2−オキソチアゾリジン−4−カ
ルボキサミド
【0023】本発明の製造法を、1個以上の水酸基を有
する化合物の好ましい例であるN−(t−ブトキシカル
ボニル)−1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミンに
適用すると、上記[5]のN−(t−ブトキシカルボニ
ル)−1−メチル−2−ニトロキシエチルアミンが得ら
れるが、本化合物を出発原料として狭心症の予防または
治療剤として有用であるN−[1−メチル−2−ニトロ
キシエチル]−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキ
サミドを製造することができる。即ち、N−(t−ブト
キシカルボニル)−1−メチル−2−ニトロキシエチル
アミンに溶媒中、脱保護剤を反応させることにより1−
メチル−2−ニトロキシエチルアミンまたはその塩(好
ましくは塩酸塩)を製造し、次いで該生成物と2−オキ
ソチアゾリジン−4−カルボン酸を溶媒中、塩基の存在
下に縮合剤を加えることによりアシル化反応させて、目
的化合物を得ることができる。
【0024】脱保護反応において使用される溶媒は、出
発原料をある程度溶解し、反応に関与しない溶媒であれ
ば特に限定されないが、例えば、n−ペンタン、n−ヘ
キサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族飽和
炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどのエーテル類;ギ酸エチル、酢酸メ
チル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリルな
どのニトリル類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン
などのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−
2−ピロリドンなどのアミド類を挙げることができる。
また、これらを適当に組み合わせた混合溶媒も使用する
ことができる。これらのうち好適なものはエステル類
(特に酢酸エチル)である。
【0025】使用される脱保護剤としては、酸が好適で
あり、通常の反応において酸触媒として使用されるもの
であれば特に限定はなく、例えば塩酸、臭化水素酸、硫
酸、過塩素酸、リン酸などの無機酸類またはギ酸、酢
酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリ
フルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有
機酸等のブレンステッド酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボ
ロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリ
ブロミド、三塩化アルミニウムなどのルイス酸;或いは
酸性イオン交換樹脂を挙げることができる。これらのう
ち好適なものは無機酸(特に塩酸)である。なお、塩酸
を脱保護剤として使用する場合、塩化水素ガスを反応系
内に直接導入して使用するか、または溶剤に溶かして使
用することができる。溶剤は反応溶剤として使用できる
ものであれば特に制限はないが、反応溶媒と同一のもの
が好適である。
【0026】反応温度は、通常−10〜50℃であり、
好適には10〜30℃である。反応時間は、使用される
脱保護剤、反応温度等によって異なるが、通常10分〜
10時間であり、好適には1〜5時間である。反応終了
後、常法に従って、例えば、濃縮、抽出、晶出などの手
法を適宜組み合わせて処理することにより、目的物を得
ることができる。無機酸(特に塩酸)を脱保護剤として
使用する場合には、目的物の塩を溶解しない溶剤を加え
ることによって沈殿または結晶として得ることができ
る。過剰の酸を洗浄して除いたのち濾取するか、又は懸
濁液のまま次の工程で使用することもできる。
【0027】次にアシル化反応で使用される溶剤として
は、出発原料をある程度溶解し、反応に関与しない溶媒
であれば特に限定されない。脱保護反応で使用した溶剤
と同様のものを使用することができる。好適にはエステ
ル類(特に酢酸エチル)またはニトリル類(特にアセト
ニトリル)であり、最も好適にはアセトニトリルであ
る。使用される塩基としては、通常の反応において塩基
として使用されるものであれば特に限定はないが、例え
ば、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘ
キシルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−
ピロリジノピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチ
ルアミノ)ピリジン、キノリン、2,6−ジ(t−ブチ
ル)−4−メチルピリジン、N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基を挙げる
ことができる。これらのうち最も好適にはトリエチルア
ミンである。なお、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピ
リジンまたは4−ピロリジノピリジンは、他の塩基と組
み合わせて触媒量を用いることができる。
【0028】使用される縮合剤としては、例えばクロロ
ギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピ
ルなどのハロゲン化ギ酸エステル類;シアノリン酸ジエ
チルなどのシアノリン酸ジエステル類;N−ヒドロキシ
サクシイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N
−ヒドロキシ−5−ノルボネン−2,3−ジカルボキシ
イミドなどのN−ヒドロキシ誘導体;2,2’−ジピリ
ジルジスルフィドなどのジスルフィド化合物類;N,
N’−ジサクシンイミジルカーボネートなどのコハク酸
化合物類;N,N’−ビス(2−オキソ−3−オキサゾ
リジニル)ホッスフィニッククロリドなどのホスフィニ
ッククロリド化合物類;N,N’−ジサクシンイミジル
オキザレート(DSO)、N,N’−ジフタールイミド
オキザレート(DPO)、N,N’−ビス(ノルボルネ
ニルサクシンイミジル)オキザレート(BNO)、1,
1’−ビス(ベンゾトリアゾリル)オキザレート(BB
TO)のようなオキザレート誘導体;N,N’−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(E
DAPC)などのカルボジイミド誘導体;1,1’−オ
キザリルジイミダゾール、N,N’−カルボニルジイミ
ダゾールのようなイミダゾール誘導体;プロパンフォス
フォン酸無水物(T3P)などのアルカンフォスフォン
酸無水物類を挙げることができる。好適にはシアノリン
酸ジエステル類(特にシアノリン酸ジエチル)またはア
ルカンフォスフォン酸無水物類(特にプロパンフォスフ
ォン酸無水物(T3P))であり、最も好適にはプロパ
ンフォスフォン酸無水物(T3P)である。
【0029】アシル化されるアミン成分に対して、カル
ボン酸成分は、通常0.5〜2モル当量使用でき、好適
には1.0〜1.1モル当量である。縮合剤は、通常1
〜10モル当量使用でき、好適には1.0〜1.1当量
である。塩基は、通常1〜10当量使用することがで
き、好適には1.0〜1.2当量であるが、アミン成分
が塩である場合には更に1.0〜1.1モル当量加え
る。反応温度は、通常−10〜50℃であり、好適には
0〜30℃である。反応時間は、使用される縮合剤、塩
基、反応温度等によって異なるが、通常10分〜10時
間であり、好適には0.5〜3時間である。反応終了
後、常法に従って、例えば、濃縮、抽出、活性炭処理、
晶出などの手法を適宜組み合わせて処理することによ
り、目的物を得ることができる。例えば、反応混合物を
適宜中和し、また、不溶物が存在する場合には濾過して
除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶
剤を加え、水洗後、目的化合物を含む有機層を分離し溶
剤を留去することによって得ることができる。目的化合
物は必要に応じて、例えば活性炭処理、再結晶、再沈
殿、カラムクロマトグラフィー等の有機化合物の分離精
製に慣用されている方法によって精製することもでき
る。
【0030】上記した製造法で好適な製造法としては、
N−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチル−2−ニ
トロキシエチルアミンを溶媒に溶解し、塩酸を加えるこ
とにより1−メチル−2−ニトロキシエチルアミン塩酸
塩を製造し、次いで該生成物と2−オキソチアゾリジン
−4−カルボン酸を溶媒中、塩基の存在下にシアノリン
酸ジエステル類またはアルカンフォスフォン酸無水物類
を加えることによりN−[1−メチル−2−ニトロキシ
エチル]−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキサミ
ドを製造する方法である。
【0031】
【実施例】次に実施例によって本発明を具体的に説明す
るが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。 実施例1酢酸と無水酢酸との混合溶液へ、酢酸エチルに溶解させ
2分割したアミノアルコール化合物溶液の一部を滴下し
た後、2分割した発煙硝酸の一部を滴下し、次いで該化
合物溶液の滴下と発煙硝酸の滴下を1回を行う方法によ
る(1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1−メ
チル−2−ニトロキシエチルアミンの製造 酢酸50.0gおよび無水酢酸89.96gの混合液中
に、酢酸エチル71.3mlに溶解したBoc−L−ア
ラニノール〔(1S)−N−(t−ブトキシカルボニ
ル)−1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミン〕2
5.0gを滴下し、15℃以下に冷却する。冷却後、発
煙硝酸8.87mlを滴下し、1時間撹拌する。次い
で、酢酸エチル71.3mlに溶解したBoc−L−ア
ラニノール25.0gを添加し、20℃以下にて発煙硝
酸8.87mlを滴下し、1.5時間撹拌する。反応終
了後、冷水200mlと酢酸エチル285mlを加えて
撹拌し、静置後、分液する。分液した酢酸エチル層を5
%重曹水250mlと水200mlで洗浄した後、濃縮
することにより(1S)−N−(t−ブトキシカルボニ
ル)−1−メチル−2−ニトロキシエチルアミンの粗生
成物118.84g(含量55.81g、収率88.8
%)を得た。
【0032】実施例2酢酸と無水酢酸との混合溶液へ、酢酸エチルに全量のア
ミノアルコール化合物を溶解した溶液を滴下した後、4
分割した発煙硝酸の一部を滴下し、次いで発煙硝酸の滴
下を3回を行う方法による(1S)−N−(t−ブトキ
シカルボニル)−1−メチル−2−ニトロキシエチルア
ミンの製造 酢酸10mlおよび無水酢酸10.5mlの混合液中
に、酢酸エチル28mlに溶解したBoc−L−アラニ
ノール10.0gを滴下し、10℃以下に冷却した後、
発煙硝酸2.13mlを滴下する。滴下後、反応の進行
を確認しながら、再度発煙硝酸0.71mlを滴下す
る。更に、これを2回繰り返して反応を完結させる。反
応終了後は、酢酸エチル28mlと水50mlを加え撹
拌し、静置後、分液する。分液した酢酸エチル層を5%
重曹水50mlと水50mlで洗浄した後、濃縮する。
濃縮液に、撹拌しながらn−ヘプタン50mlを加え、
さらに冷却することにより針状結晶が析出する。氷冷
後、これを濾取することにより、(1S)−N−(t−
ブトキシカルボニル)−1−メチル−2−ニトロキシエ
チルアミン7.93g(含率98.3%)を収率62.
0%で得た。
【0033】 1H−NMR(CDCl3) δ(ppm)1.23(3H,d,J=6.9Hz) 1.45(9H,s) 3.92〜4.15(1H,m) 4.29〜4.70(3H,m) 比旋光度[α]20D=−2.657(c 1.016,MeOH) 融点 35〜36℃
【0034】参考例1(2S)−2−アミノプロピルナイトレート塩酸塩の製
(1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチ
ル−2−ニトロキシエチルアミン1.71kgへ酢酸エ
チル1.5Lを加え、0〜10℃に撹拌冷却する。冷却
後、4mol/L塩化水素/酢酸エチル溶液10.2L
を滴下し、15〜20℃で3時間撹拌する。反応終了
後、酢酸エチル7.5Lを添加、撹拌、静置後、上澄液
をデカントする。このデカントを4回繰り返すことによ
り、(2S)−2−アミノプロピルナイトレート塩酸塩
/酢酸エチル懸濁液を得た。本懸濁液をそのまま次の工
程に用いた。懸濁液の一部を抜き取って濾過、乾燥し、
(2S)−2−アミノプロピルナイトレート塩酸塩の粉
末を得た。
【0035】1H−NMR(CDCl3+DMSO−d
6) 融点 134〜135℃
【0036】参考例2(4R)−N−[(1S)−1−メチル−2−ニトロキ
シエチル]−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシ
アミドの製造 参考例1で得られた(2S)−2−アミノプロピルナイ
トレート塩酸塩/酢酸エチル懸濁溶液にアセトニトリル
15L、(R)−2−オキソ−4−チアゾリジンカルボ
ン酸1.26kgを加え、0〜5℃に撹拌冷却する。冷
却後、トリエチルアミン2.64kgを0〜10℃で滴
下、さらに0〜20℃で無水プロパンリン酸5.69k
gを滴下する。15〜20℃で2時間撹拌する。反応終
了後、酢酸エチル13Lを加えて、水6Lで3回洗浄す
る。酢酸エチル層を活性炭処理し、酢酸エチル層を2.
17kgまで減圧濃縮する。濃縮後、酢酸メチル13.
9Lを注加し、撹拌、結晶を溶解させた後、4.52k
gまで外温40℃以下で減圧濃縮する。濃縮液に、撹拌
しながら水8.27Lを22〜28℃で1時間以上かけ
て滴下後、0〜5℃まで冷却し、濾過により、(4R)
−N−[(1S)−1−メチル−2−ニトロキシエチ
ル]−2−オキソチアゾリジン−4−カルボキシアミド
1.13kg(含量96.7%)を得た。
【0037】 1H−NMR(アセトン−d6) δ(ppm)1.26(3H,d,J=6.9Hz) 3.53(1H,dd,J=11.3,5.5Hz) 3.76(1H,dd,J=11.3,8.4Hz) 4.3〜4.5(2H,m) 4.51(1H,dd,J=11.2,7.0Hz) 4.64(1H,dd,J=11.2,4.6Hz) 7.27(1H,br,s) 7.60(1H,br,s) IRスペクトル(KBr錠剤) ν(cm−1) 3285,3101,2982−2898,1682, 1665,1624,1564,1452,1301, 1288,1253,1230,992,902,890
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、強酸や危険性の高い反
応または試薬を用いることなく、安価な試薬のみを用い
て穏和な条件下で反応を行うことができ、硝酸エステル
体を安全に工業的レベルで製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 仁 埼玉県北葛飾郡鷲宮町西大輪401,6−404 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC59 BB11 BB12 BB17 BC10 BE02 RA42 RB34

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個以上の水酸基を有する化合物のニト
    ロ化反応において、該化合物、酸無水物、カルボン酸お
    よび有機溶媒を含む溶液に硝酸を添加することを特徴と
    する、該化合物の硝酸エステル体の製造法。
  2. 【請求項2】 硝酸の添加が、徐々に滴下するか又は2
    回以上に分割して滴下して行われる請求項1記載の製造
    法。
  3. 【請求項3】 カルボン酸、有機溶媒、酸無水物および
    1個以上の水酸基を有する化合物を含む溶液に硝酸を滴
    下し、次いで有機溶媒に溶解されていてもよい1個以上
    の水酸基を有する化合物の添加又は滴下と硝酸の滴下
    を、順次必要により繰り返し行う、1個以上の水酸基を
    有する化合物の硝酸エステル体の製造法。
  4. 【請求項4】 1個以上の水酸基を有する化合物の添加
    又は滴下と硝酸の滴下が、1回又は2〜5回繰り返して
    行う請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 1個以上の水酸基を有する化合物の水酸
    基1当量に対して、酸無水物1〜5当量、硝酸1〜3当
    量用いて反応を行う、請求項1〜4のいずれかに記載の
    製造法。
  6. 【請求項6】 1個以上の水酸基を有する化合物の水酸
    基1当量に対して、酸無水物1〜3当量、硝酸1〜2当
    量用いて反応を行う、請求項1〜4のいずれかに記載の
    製造法。
  7. 【請求項7】 1個以上の水酸基を有する化合物が窒
    素、酸素あるいは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1
    〜18の炭化水素残基を有する化合物である請求項1〜
    6のいずれかに記載の製造法。
  8. 【請求項8】 1個以上の水酸基を有する化合物が、ア
    ルコール化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の
    製造法。
  9. 【請求項9】 アルコール化合物がアシル基又はウレタ
    ン形成保護基で保護されたアミノアルコール化合物であ
    る請求項8記載の製造法。
  10. 【請求項10】 酸無水物が炭素数4〜14の酸無水物
    である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法。
  11. 【請求項11】 酸無水物が無水酢酸である請求項10
    記載の製造法。
  12. 【請求項12】 カルボン酸が炭素数1〜10のカルボ
    ン酸である請求項1〜11のいずれかに記載の製造法。
  13. 【請求項13】 カルボン酸が酢酸である請求項12記
    載の製造法。
  14. 【請求項14】 1個以上の水酸基を有する化合物に対
    して、重量比でカルボン酸を1〜5倍量用いて反応を行
    う、請求項1〜13のいずれかに記載の製造法。
  15. 【請求項15】 有機溶媒が脂肪族飽和炭化水素、エス
    テル系炭化水素溶媒、ハロゲン系炭化水素溶媒、又はそ
    れらの混合溶媒である請求項1〜14のいずれかに記載
    の製造法。
  16. 【請求項16】 脂肪族飽和炭化水素がn−ペンタン、
    n−ヘキサン、n−ヘプタン又はn−オクタンであり、
    エステル系炭化水素溶媒が酢酸ブチル、酢酸プロピル、
    酢酸エチル又は酢酸メチルであり、ハロゲン系炭化水素
    溶媒が塩化メチレン又はクロロホルムである請求項15
    記載の製造法。
  17. 【請求項17】 有機溶媒が酢酸エチルである請求項1
    5記載の製造法。
  18. 【請求項18】 1個以上の水酸基を有する化合物に対
    して、重量比で有機溶媒を1〜20倍量用いて反応を行
    う、請求項1〜17のいずれかに記載の製造法。
  19. 【請求項19】 反応温度が−20〜60℃で行われる
    請求項1〜18のいずれかに記載の製造法。
  20. 【請求項20】 反応温度が5〜30℃で行われる請求
    項1〜18のいずれかに記載の製造法。
  21. 【請求項21】 1個以上の水酸基を有する化合物が
    (1S)−N−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチ
    ル−2−ヒドロキシエチルアミンである請求項1〜20
    のいずれかに記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100812622B1 (ko) 2005-11-21 2008-03-13 요셉 마이쓰너 게엠베하 운트 콤파니 카게 1가 알콜의 질산에스테르의 제조방법
JP2012507570A (ja) * 2008-11-14 2012-03-29 ノラム インターナショナル リミテッド モノニトロベンゼンの生産における副産物ジニトロベンゼンの生成を低減する方法
WO2012152438A1 (en) * 2011-05-11 2012-11-15 Nicox S.A. Process for the preparation of nitrate acid ester of organic compounds

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