JP2000350577A - 核酸断片の分離方法及び核酸シークエンス前処理方法並びに装置 - Google Patents

核酸断片の分離方法及び核酸シークエンス前処理方法並びに装置

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JP2000350577A
JP2000350577A JP11162271A JP16227199A JP2000350577A JP 2000350577 A JP2000350577 A JP 2000350577A JP 11162271 A JP11162271 A JP 11162271A JP 16227199 A JP16227199 A JP 16227199A JP 2000350577 A JP2000350577 A JP 2000350577A
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phenol
aqueous phase
primer
reaction
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JP11162271A
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Hiroshi Kamio
博 神尾
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Aloka Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリメラーゼ存在下で合成された核酸断片を
高効率で回収でき、且つ、混在するヌクレオチドを除去
することができる核酸断片の分離方法を提供する。 【解決手段】 本発明の核酸断片の分離方法は、鋳型核
酸を含む水溶液にプライマー及びヌクレオチドを添加し
ポリメラーゼ存在下で前記プライマーから鎖伸長反応を
行わせて核酸断片から未反応のヌクレオチドを除去す
る。先ず、前記鎖伸長反応終了後の反応液2が収容され
た容器1にフェノール試薬3を供給し、これらを混合攪
拌する。攪拌後、水相5とフェノール層6とを分離さ
せ、このうち水相5を回収する。この水相には、合成さ
れた核酸断片が含まれ、一方、不要な未反応のヌクレオ
チドは中間層7に移行して除去されているため、この水
相5のみを回収することにより核酸断片を未反応のヌク
レオチドから分離することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成核酸断片の精
製方法に関し、特に、プライマーにヌクレオチドを付加
させて伸長させて合成された核酸断片から不要な未反応
のヌクレオチドを除去する方法に関する。また、本発明
は、この精製方法を利用した核酸シークエンス前処理方
法並びに装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子等の特性を解析するため
に、その遺伝子の塩基配列を決定することは不可欠にな
ってきている。この遺伝子等の塩基配列を決定する方法
の一つにサンガ(sanger)法(または、ジデオキシ法と
も言われている)がある。
【0003】このサンガ法では、鋳型DNAと相補する
プライマーとを含む反応液にデオキシリボヌクレオチド
(dNTP;dATP、dCTP、dGTP、dTT
P)を添加したものを4つ準備し、この4つにdNTP
とは別にそれぞれ一種類のジデオキシリボヌクレオチド
(ddNTP)すなわちddATP、ddCTP、dd
GTP又はddTTPを添加して、ポリメラーゼ存在下
で伸長反応を行なわせる。
【0004】この伸長反応では、鋳型DNAの塩基配列
と相補する塩基がプライマーの3’末端に次々付加され
鎖が伸長するが、この伸長過程でジデオキシリボヌクレ
オチドが付加されると、次の塩基が結合できず鎖伸長が
停止する。従って、このジデオキシリボヌクレオチドが
付加された位置の相違から、各反応液中には鋳型DNA
に相補する種々の長さの一本鎖の核酸断片が生成され
る。そして、最終的に各反応液中の各核酸断片を並行に
電気泳動で分画することにより、この分画パターン(シ
ークエンスラダー)から鋳型DNAの塩基配列が決定さ
れる。
【0005】このサンガ法は、操作の簡便さ、解析精度
の高さなどの点から広く用いられ、近年では、このサン
ガ法に基づいたシークエンス決定器などが種々開発され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記サンガ法
において、未反応のヌクレオチド(デキオキシヌクレト
チド、ジデオキシリボヌクレオチド)が、最終的な電気
泳動のパターンを読み取る際に障害となる場合があっ
た。特に、この問題は内部標識法やターミネータ標識法
において顕著であった。
【0007】すなわち、サンガ法において、最終的に電
気泳動を行い、その電気泳動パターンを読み取るために
は、各断片を視覚化する必要がある。この視覚化を行う
ために断片の標識が行われる。この断片の標識法には、
大きく分けて内部標識法とターミネータ標識法とプライ
マー標識法という3つの方法がある。プライマー標識法
では、シークエンス用断片を合成する際に用いられるプ
ライマーをあらかじめ蛍光等で標識し、この標識された
プライマーを用いてシークエンス用断片の合成が行われ
る。
【0008】一方、内部標識法及びターミネータ標識法
では、プライマーは特に標識されている必要はなく、合
成の際の基質であるヌクレオチドとして蛍光等の標識が
されたものが用いられる。このように標識されたヌクレ
オチドを用いて断片の合成を行うことにより、合成され
たシークエンス用断片が結果として標識されることにな
る。この内部標識方法及びターミネータ標識法では、プ
ライマー標識法のように、あらかじめプライマーなどを
標識する必要がないため簡便であり、任意のプライマー
を用いることができるため、決定したい核酸領域に合わ
せたプライマーを用いて自在に核酸シークエンスの決定
を行うことが可能となる。
【0009】しかし、この内部標識法及びターミネータ
標識法では、最終的に電気泳動で核酸断片を分画し読み
取る際に、核酸断片と共に多量に存在する未反応の標識
ヌクレオチドがバックグランドに出現し、その周辺の伸
長断片の電気泳動パターン(シークエンスラダー)の読
み取りを阻害することがあった。
【0010】そのため、このような問題を解決し、より
広範囲に精度の高い塩基配列の決定を行うために、伸長
反応後に未反応のヌクレオチドを除去することが行われ
ている。このヌクレオチドの除去法としては、エタノー
ル沈殿、精製用カラムを用いた方法等がある。
【0011】しかし、エタノール沈殿では、反応液の量
が微量であること、またその中に含まれる核酸量自体も
微量であることから、エタノール沈殿後の回収率が低
く、さらに回収率にばらつきが生じ易いという問題があ
る。特に、上記シークエンス決定においては、4つの塩
基(A、G、C、T)を同時に決定することが必要にな
るため、これら塩基のうちいずれか一つでも、その処理
過程で著しい試料の減少が生じると、全体としてシーク
エンス決定が行えないことにもなる。
【0012】また、エタノール沈殿に代えて精製用カラ
ムを用いる方法もあるが、この方法の場合には、担体に
吸着させた核酸を溶出させる際に、核酸が溶出バッファ
により希釈されることとなる。また、この希釈された核
酸液を濃縮するためには、上記エタノール沈殿を行わざ
るを得ず、上記と同様の問題が生じることとなる。
【0013】そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、上記核酸断片を高効率で回
収でき、且つ、混在するヌクレオチドを除去することが
できる核酸精製方法を提供することである。また、この
精製方法によりシークエンスの前処理方法及び装置を提
供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の核酸断片の分離方法は、鋳型核酸を含む水
溶液にプライマー及びヌクレオチドを添加しポリメラー
ゼ存在下で前記プライマーから鎖伸長反応を行わせて合
成された核酸断片を未反応のヌクレオチドから分離する
方法であって、前記鎖伸長反応終了後の反応液をフェノ
ール試薬と混合攪拌し、水相とフェノール層とを分離さ
せ、前記水相を回収することにより、前記未反応のヌク
レオチドから前記核酸断片が分離されることを特徴とす
る。
【0015】すなわち、本発明は、合成反応後の反応液
にフェノール試薬を添加し攪拌することによりヌクレオ
チドを水相とフェノール層との中間層に移行させること
ができることを発見したことに基づいている。従って、
上記本発明によれば、反応後の液にフェノール試薬を添
加し攪拌することにより、未反応のヌクレオチド、例え
ば、デオキシヌクレオチド等を水相から中間層に移行さ
せることが可能となる。一方、合成された核酸断片は水
相に残留するため、この水相を回収することにより、核
酸断片をヌクレオチドから分離することが可能となる。
【0016】本発明は、鋳型核酸を含む水溶液にプライ
マー、デオキシリボヌクレオチド及びジデオキシリボヌ
クレオチドを添加し、ポリメラーゼ存在下で前記プライ
マーから鎖伸長反応を行わせて生成されたシークエンス
用断片を精製する核酸シークエンス前処理方法であっ
て、前記鎖伸長反応終了後の反応液をフェノール試薬と
混合攪拌し、水相とフェノール層とを分離させ、前記水
相を回収することにより、未反応のデオキシリボヌクレ
オチド及びジデオキシリボヌクレオチドが除去されるこ
とを特徴とする。
【0017】本発明によれば、反応液中の未反応のデオ
キシリボヌクレオチド及びジデオキシリボヌクレオチド
を水相からの中間層に移行させることができ、一方、シ
ークエンス用断片は水相に留まるため、この水相を回収
することにより、シークエンス用断片から混在する未反
応のデオキシリボヌクレオチド及びジデオキシリボヌク
レオチドを効率的に除去することが可能となる。その結
果、広範囲において精度の高いシークエンスラダーの読
み取りを行うことができ、また、特に従来の方法では読
み取りが困難であったプライマー配列近傍のシークエン
スの読み取りも容易になる。
【0018】本発明において、前記デオキシリボヌクレ
オチド又はジデオキシリボヌクレオチドが標識されてい
ることを特徴とする。
【0019】このように標識されたデオキシリボヌクレ
オチド又はジデオキシリボヌクレオチドを用いる標識法
では、特に、未反応の標識デオキシリボヌクレオチド等
がシークエンスラダーの読み取りを妨げることとなる。
そのため、本発明により核酸断片を精製することによ
り、電気泳動パターンの読み取りを阻害する未反応の標
識デオキシリボヌクレオチド等が除去され、この結果、
バックグラウンドを低減させ、シークエンスラダーの読
み取りを容易にする。
【0020】本発明の核酸シークエンス前処理装置は、
鋳型核酸を含む水溶液にプライマー、デオキシリボヌク
レオチド及びジデオキシリボヌクレオチドを添加し、ポ
リメラーゼ存在下で前記プライマーから鎖伸長反応を行
わせて生成されたシークエンス用断片を精製する核酸シ
ークエンス前処理装置であって、前記鎖伸長反応終了後
の反応液を含む反応容器にフェノール試薬を供給するフ
ェノール試薬供給手段と、前記フェノール試薬供給後、
前記反応容器内の反応液を攪拌する攪拌手段と、前記攪
拌後に水相とフェノール層とを分離させ、前記水相を回
収する回収手段とを含み、前記反応液から未反応のデオ
キシリボヌクレオチド及びジデオキシリボヌクレオチド
が除去されることを特徴とする。
【0021】本発明によれば、反応容器内で、反応液と
添加されたフェノール試薬とが攪拌され、この攪拌の結
果、反応液中の未反応のデオキシリボヌクレオチド及び
ジデオキシリボヌクレオチドが水相以外に移行する。そ
のため、水相を回収することにより、シークエンスラダ
ーの分画、読み取りを阻害し得る未反応のデオキシリボ
ヌクレオチド等が取り除かれているため、精度が高く、
また、広範囲なシークエンスラダーの読み取りが可能と
なる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面を用いて説明する。
【0023】[第一の実施形態]本実施形態の核酸の分離
方法は、鋳型核酸を含む水溶液にプライマー及びヌクレ
オチドを添加し、ポリメラーゼ存在下で前記プライマー
から鎖伸長反応を行わせて生成された核酸断片を未反応
のヌクレオチドから分離する際に使用される。
【0024】すなわち、試験管内などで人工的にDNA
合成を行う際に、過剰に添加されたヌクレオチド(dN
TP)が核酸断片の合成終了後に残存し、生成された核
酸断片と混在することとなる。本分離方法は、この混在
する未反応のヌクレオチドを除去するために使用され
る。そのため、このように合成後に核酸断片と未反応の
ヌクレオチドが混在するものであれば、分離対象となる
核酸断片の合成法や核酸断片合成後の使用目的等には限
定はされない。
【0025】例えば、上記「核酸断片」としては、サン
ガ法によりシークエンス決定を行うために鋳型DNAか
ら合成された核酸断片(以下、シークエンス用断片とい
う)や、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により生成さ
れた増幅核酸断片等が含まれ、このようにポリメラー
ゼ、ヌクレオチド存在下で人工的に合成された核酸断片
であれば、一本鎖、二本鎖の別は問わない。
【0026】また、取り除かれることとなる「ヌクレオ
チド」としては、核酸断片合成時に添加されるものであ
れば、デオキシリボヌクレオチド(dNTP)に限られ
ず、ジデオキシリボヌクレオチド(ddNTP)も含ま
れる。また、この「ヌクレオチド」には、放射線や蛍光
で標識されたヌクレオチド等も含まれる。
【0027】以下、本実施形態の分離方法を図1を用い
て説明する。
【0028】先ず、核酸合成後の反応液2を収容した容
器1に、フェノール試薬3が添加される。このフェノー
ル試薬3は、純粋なフェノールを用いてもよいが、好ま
しくは、中性フェノール、フェノール−クロロホルムな
どを用いることができる。
【0029】この中性フェノールは、融解したフェノー
ルに緩衝液(例えば、トリスEDTA緩衝液など)を注
入してpHを調整するとともにフェノールを緩衝液で飽
和させることにより生成される。このような中性フェノ
ールを用いることにより、合成終了後の反応液のpHを
変動させることなく、また反応液の液量を変化させるこ
となくヌクレオチドの除去を行うことができる。
【0030】また、フェノール−クロロホルムは、上記
中性フェノールにクロロホルムを混合することにより調
製される。このようにクロロホルムを添加することによ
り、反応液である水溶液との比重差が大きくなり、水相
とフェノール層との分離能を向上させることができ、水
相中にフェノールの残留を防止することができる。
【0031】また、これら中性フェノール、フェノール
−クロロホルム以外に、ヌクレオチドを除去することが
できるものであれば、例えば、置換フェノール、フェノ
ール樹脂などを用いてもよい。フェノールは揮発性が高
く、また刺激臭を有するため、フェノールに代えて、フ
ェノールに置換基が挿入された置換フェノールや樹脂と
して加工されているフェノール樹脂などを用いることに
より環境面、取扱いの容易さの面から有利となる。
【0032】次に、上記フェノール試薬添加後、容器に
振動を加え、反応液2とフェノール試薬3とを攪拌し、
懸濁液4とする。水溶液である反応液2とフェノール試
薬3とは容易には混合されないため、攪拌により強制的
に反応液2とフェノール試薬3とを混合させる。
【0033】上記攪拌後、ヌクレオチドを反応液2から
除去するために上記混合液を遠心分離し、水相5とフェ
ノール層6とに分離させる。この分離の結果、水相5と
フェノール層6との間に蛋白等を含む中間層7が形成さ
れ、ヌクレオチドはこの中間層7に移行する。なお、こ
の遠心分離の回転数、時間等は、使用するフェノール試
薬の種類により適宜決めることができる。例えば、中性
フェノールを用いる場合には、15000rpm程度で
5分程度、またフェノール−クロロホルムの場合には、
2〜3分程度とすることができる。またフェノール−ク
ロロホルム等の分離能の高いものの場合には、遠心分離
を行うことなく、攪拌後、静置させて分離させてもよ
い。
【0034】最終的に、上記において分離された水相5
とフェノール層6とのうち、水相5を回収する。この水
相5には、合成された核酸断片が含まれ、一方、不要な
未反応のヌクレオチドは中間層7に移行し除去されてい
る。このように、この回収した水相5には、合成DNA
を電気泳動等により解析する際に泳動像の読み取りを困
難にさせることがある未反応のヌクレオチドが除去され
ているため、この水相5を核酸断片の解析に用いること
により、解析精度の向上等を図ることが可能となる。
【0035】[第二の実施形態]本実施形態では、上記第
一の実施形態の核酸断片の分離方法を核酸シークエンス
の前処理に利用した場合を説明する。なお、図2には、
核酸シークエンスを決定するためのDNA断片の合成か
らシークエンス決定までの一連の工程を模式的に示す。
【0036】先ず、核酸シークエンスを決定するため
に、図2(A)に示すジデオキシ法などによりシークエ
ンス用断片が生成される。
【0037】出発材料として、鋳型DNA、この鋳型D
NAと相補するプライマー、dNTP(デオキシヌクレ
オチド;dATP、dCTP、dGTP、dTTPの混
合物)、さらにポリメラーゼとバッファーが混合され、
この混合液は、例えば96穴プレート10の中の4つの
穴12にそれぞれ添加される。そして、この4つの穴1
2に、さらに異なる一種類のジデオキシヌクレオチド
(ddATP、ddCTP、ddGTP、ddTTPの
いずれか)がそれぞれ添加される。
【0038】なお、ここでは内部標識法と末端標識法の
いずれを用いてもよい。例えば、内部標識法では、上記
dNTPのうち少なくとも一種類の塩基が放射線や蛍光
で標識されたものが用いられる。また、末端標識法で
は、上記プライマーもしくはターミネータがあらかじめ
放射線又は蛍光で標識されたものが用いられる。
【0039】上記において反応液が反応プレート10上
で調製された後、ポリメラーゼによるDNA合成反応が
行われる。このDNA合成反応では、プライマーの3’
末端に鋳型DNAと相補するヌクレオチドが次々組み込
まれ、鎖が伸長する。しかし、この鎖伸長過程で3’末
端に水酸基のないジデオキシヌクレオチドが組み込まれ
ると、次のヌクレオチドが結合できず鎖伸長が特異的に
停止する。このようにジデオキシヌクレオチドが組み込
まれた位置の相違から、図2(B)に示すように各穴1
2内では、種々の長さの核酸断片が生成される。
【0040】次に、ここで生成された核酸断片から混在
するヌクレオチドを除去するために前処理が行われる。
【0041】このヌクレオチドを除去するための前処理
は、上記第一の実施形態に示したフェノール試薬を用い
た核酸分離方法に基づいて行うことができる。ここで
は、この前処理を核酸シークエンス前処理装置により自
動化して行う場合を示す。先ず、核酸シークエンス前処
理装置の構成について図3〜6を用いて説明する。
【0042】装置内の基板13上には、準備ブロック1
4が備えられ、この準備ブロック14には、チップラッ
ク16、フェノール試薬を収容した試薬ラック18及
び、上記シークエンス反応後の反応液を収容したプレー
ト10が載置される。なお、この試薬ラック18に収容
されるフェノール試薬は、上記第一の実施形態と同様に
中性フェノール、フェノール−クロロホルム等を用いる
ことができる。
【0043】上記準備ブロック14に隣接して、基板1
3上には、前記フェノール試薬と反応液とを攪拌するた
めのミキサーラック20が備えられている。このミキサ
ーラック20は、図5に示すように、上部に攪拌用プレ
ート21を保持する保持部20aが備えられ、この保持
部20aの下方には、攪拌軸20bが設けられている。
この攪拌軸20bは、回動幅を規定する固定筒20cの
内壁面に沿って回動可能に基板13に固定されている。
従って、この攪拌軸20bが回転筒20c内を回動する
ことにより、保持部20aに保持された攪拌用プレート
21を水平に保持した状態でプレート内に分注された液
を攪拌することができる。
【0044】また、基板13上には前記ミキサーラック
20に隣接して遠心ラック22が設けられている。この
遠心ラック22は、例えば、図6に示すように攪拌用プ
レート21を直接設置することができるスイング式のロ
ーターを備えることができる。
【0045】一方、前記基板に対向して、装置内の上部
には、分注器24が備えられている。この分注器24
は、ガイドレール26に沿って左右方向に移動可能に固
定され、また、このガイドレール26自体も両端が固定
部28に前後方向にスライド可能に固定されている。こ
れにより分注器24は、装置の内部を前後左右自在に移
動可能に構成され、前記準備ブロック14からミキサー
ラック20への試薬、反応液の運搬、分注及び前処理終
了後の水相の回収を実行する。
【0046】上記の通り構成された核酸シークエンス前
処理装置による処理動作について図7を用いて説明す
る。
【0047】前処理を行うに当たり、準備ブロック14
に、チップラック16及び試薬ラック18が載置され、
さらにシークエンス用断片の合成反応後の反応液を収容
した反応プレート10が載置される(S01)。一方、
ミキサーラック20上にも、処理プレート21が載置さ
れる。これらの準備が完了すると、分注器24はチップ
ラック16の上部に移動し、チップラック16内のチッ
プを分注器24の先端24aに取り付ける。分注器24
の先端24aにチップが取り付けられると、分注器24
は、試薬ラック18の上部に移動し、試薬ラックからフ
ェノール試薬を吸引する。試薬吸引後、分注器24は、
ミキサーラック20上に移動し、ミキサーラック20に
保持されている処理プレート21にフェノール試薬を分
注する(S02)。
【0048】フェノール試薬の分注が完了すると、次に
分注器24により反応プレート10内の反応液の吸引及
び処理プレート21への分注が同様に行われる(S0
3)。フェノール試薬及び反応液が処理プレート21に
分注されると、ミキサーラック20の動作が開始され、
処理プレート内の試薬と反応液とが攪拌され、混合され
る(S04)。
【0049】ミキサーラック20による攪拌が終了する
と、ミキサーラック20上の処理プレート21は、遠心
ラック22に移送され(S05)、遠心分離が行われる
(S06)。この遠心分離により処理プレート21の各
穴内では、水相とフェノール層とに分離されて水相から
ヌクレオチドが除去される。
【0050】上記遠心分離後、核酸シークエンスを行う
ために、処理プレート21の各穴から水相の回収が行わ
れる。この水相の回収は、遠心ラック上で又はミキサー
ラック20に戻された後で分注器24により行われる。
すなわち、分注器24は、チップラック16においてチ
ップを取り付た後、処理プレート21の上部に移動し、
処理プレート21の各穴から水相が吸引、回収される
(S07)。
【0051】なお、上記において攪拌方法として、ミキ
サーラックを用いる場合を示したが、このミキサーラッ
クによる攪拌に代えて、図8に示すような分注器24に
よるピペッティングにより攪拌を行うこともできる。す
なわち、分注器24によりフェノール試薬を供給した際
に、この分注器24により吐出、吸引を繰り返してピペ
ッティングを行うことにより反応液及びフェノール試薬
を攪拌することができる。このように攪拌手段としてピ
ペッティングを用いた場合には、上記ミキサーラック2
0のような構成を備える必要はなく、単に、プレートを
保持する構成のみを備えればよい。
【0052】また、上記においては遠心ラック22によ
り遠心分離を行ったが、フェノール試薬として、例え
ば、分離能の高いフェノール−クロロホルムなどを用い
た場合には、攪拌後、静置させることにより水相をフェ
ノール層とを分離させてもよい。このように遠心ラック
等を省略させることにより低コストで装置を構成するこ
とができる。
【0053】上記前処理が終了し、回収された水相は、
最終的に、エタノール沈殿などにより精製工程を経るこ
となく、直接、次のシークエンス決定工程(図2
(D))に利用することができる。シークエンス決定工
程では、上記回収された水相が、電気泳動用ゲル、例え
ば、アクリルアミドゲルなどにより泳動され、そのラダ
ー状の泳動パターンからシークエンスが決定される。特
に、上記水相からは、ヌクレオチドや蛋白質が取り除か
れているため、鮮明な泳動パターンを得ることができ、
そのため、広範囲な泳動パターンを読み取り、シークエ
ンスを決定することが可能となる。
【0054】
【実施例】本発明の核酸分離方法を実施例を用いてより
詳細に説明する。ここでは、本方法を核酸シークエンス
前処理方法に用いた場合を示す。
【0055】1.シークエンス用断片の合成 鋳型DNA、プライマー、蛍光標識されたdNTP、ポ
リメラーゼ、バッファーを混合した混合液を4つ準備
し、これらに異なる1種類のddNTPを添加した。こ
のセットを複数準備し、それぞれポリメラーゼ反応を行
わせてシークエンス用断片を生成した。
【0056】2.前処理 上記において生成されたシークエンス用断片のセットに
ついて前処理を行い、ヌクレオチドの除去を行った。こ
の前処理方法としては、本実施例によるフェノール試薬
による前処理を行った。また同時に、比較対照として従
来のエタノール処理、カラムによる精製処理を行ったも
の、さらに、未処理のものを準備した。
【0057】フェノール試薬による前処理では、上記合
成反応後の反応液に、同量の中性フェノールを添加し、
攪拌後、遠心分離を行い、水相とフェノール層とを分離
させた。このうち、水相を回収して、以下のシークエン
ス決定に用いた。
【0058】また、比較対照としてのエタノール沈殿に
よる前処理は、通常のエタノール沈殿法を利用した。す
なわち、上記反応液に100%エタノールを添加し、氷
上放置し、その後、遠心分離を行い沈さを回収し、その
沈さを緩衝液により懸濁させた。
【0059】同様に他の比較対照であるカラムを用いた
処理では、上記反応液を50μl程度に希釈し、QIA qu
ick カラム(QIAGEN Nucleotide Removal Kit)に添加し
て、一定の時間経過後の溶出液を回収し、この回収液を
濃縮するために上記エタノール沈殿処理を行った。
【0060】3.シークエンス決定工程 シークエンス決定は、自動シークエンサー(LICOR Mode
l 4200 DNAシークエンサー)を用いて行った。上記にお
いて種々の方法で前処理を行ったサンプル液を、シーク
エンサーの電気泳動ゲルのウェルにそれぞれ注入し、電
気泳動を開始して、泳動パターン(シークエンスラダ
ー)を記録した。なお、図9には、プライマーから1〜
300bp付近の泳動パターンを示す。
【0061】図9において、図面に向かって左端に示す
未処理の泳動パターン(サンプル1)では、1〜300
bp付近において、未反応のヌクレオチドによる団子状
のシグナルが複数出現し、周辺のバンドの読み取りが極
めて困難であることが示されている。また、図9には示
されていないが300bp以上の部分では、未処理のヌ
クレオチドによるシグナルは出現しないものの、各バン
ドが尾を引いた像となりバンド間が接近した部分では重
なり合って読み取りが困難であった。
【0062】また、エタノール処理による前処理(サン
プル4、5)では、未反応のヌクレオチドによるシグナ
ルは減少したが、完全に消失するには至らなかった。ま
た、全体的にラダーバンドのシグナル強度も低下し、各
ヌクレオチド(レーン)においてシグナル強度が不均一
なためシークエンス決定可能な範囲を狭める結果となっ
た。また、カラムを用いた前処理(サンプル6、7)で
は、エタノール処理による前処理にも増して、処理後の
断片の回収率が低下し各バンドのシグナル強度が著しく
減少した。また、各ヌクレオチド(レーン)においてシ
グナル強度が不均一なためシークエンス決定が困難であ
る。
【0063】これに対し、本実施例のフェノール試薬を
用いた処理(サンプル2、3)では、1〜300bp付
近における未反応のヌクレオチドによるシグナルは完全
に消失し、かつ、各バンドの分離能が向上し鮮明なラダ
ーバンドが得られた。また、各バンドのシグナル強度が
均一で、その低下率もバンドの読み取りに支障のない範
囲の低下であり、非常に良好な前処理であることが示さ
れた。
【0064】なお、上記未処理の泳動パターンでは、通
常未反応のヌクレオチドは泳動の先端部分に出現するこ
ととなるが、図9に示す結果では、200bp付近に団
子状に出現した。このことは未反応のヌクレオチドとポ
リメラーゼなどの蛋白質が塊となっていることが予想さ
れる。従って、本実施例のフェノール処理では、一つの
操作で、ヌクレオチドと蛋白質とを同時の除去すること
ができることをも示している。
【0065】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、簡便な操
作により合成後の核酸断片を失うことなく、未反応のヌ
クレオチドを取り除くことが可能となる。その結果、そ
の後のシークエンス決定操作において、鮮明なシークエ
ンスラダーバンドが得られ、より広い領域のシークエン
スの決定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の実施形態の核酸断片分離方法の概略を
示す図である。
【図2】 第二の実施形態の核酸シークエンス前処理方
法を含むシークエンス決定操作の一連の工程を示す図で
ある。
【図3】 第二の実施形態における核酸シークエンス前
処理装置の正面図である。
【図4】 第二の実施形態における核酸シークエンス前
処理装置の平面図である。
【図5】 第二の実施形態における核酸シークエンス前
処理装置に設けられたミキサーラックの斜視図である。
【図6】 第二の実施形態における核酸シークエンス前
処理装置に設けられた遠心ラックの平面図である。
【図7】 第二の実施形態における核酸シークエンス前
処理装置による前処理の工程図である。
【図8】 第二の実施形態における核酸シークエンス前
処理装置に設けられたミキサーラックに代わる攪拌方法
を示す図である。
【図9】 実施例における各前処理操作を行った後のサ
ンプルを電気泳動を行った際の1〜300bp付近のラ
ダーバンドを示す図である。
【符号の説明】
2 反応液、3 フェノール試薬、5 水相、6 フェ
ノール層、10 反応プレート、14 準備ブロック、
16 チップラック、18 試薬ラック、20ミキサー
ラック、22 遠心ラック、24 分注器。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型核酸を含む水溶液にプライマー及び
    ヌクレオチドを添加しポリメラーゼ存在下で前記プライ
    マーから鎖伸長反応を行わせて合成された核酸断片を未
    反応のヌクレオチドから分離する方法であって、 前記鎖伸長反応終了後の反応液をフェノール試薬と混合
    攪拌し、水相とフェノール層とを分離させ、前記水相を
    回収することにより、前記未反応のヌクレオチドから前
    記核酸断片が分離されることを特徴とする核酸断片の分
    離方法。
  2. 【請求項2】 鋳型核酸を含む水溶液にプライマー、デ
    オキシリボヌクレオチド及びジデオキシリボヌクレオチ
    ドを添加し、ポリメラーゼ存在下で前記プライマーから
    鎖伸長反応を行わせて合成されたシークエンス用断片を
    精製する核酸シークエンス前処理方法であって、 前記鎖伸長反応終了後の反応液をフェノール試薬と混合
    攪拌し、水相とフェノール層とを分離させ、前記水相を
    回収することにより、混在する未反応のデオキシリボヌ
    クレオチド及びジデオキシリボヌクレオチドが除去され
    ることを特徴とする核酸シークエンス前処理方法。
  3. 【請求項3】 前記デオキシリボヌクレオチド又はジデ
    オキシリボヌクレオチドが標識されていることを特徴と
    する請求項2記載の核酸シークエンス前処理方法。
  4. 【請求項4】 鋳型核酸を含む水溶液にプライマー、デ
    オキシリボヌクレオチド及びジデオキシリボヌクレオチ
    ドを添加し、ポリメラーゼ存在下で前記プライマーから
    鎖伸長反応を行わせて生成されたシークエンス用断片を
    精製する核酸シークエンス前処理装置であって、 前記鎖伸長反応終了後の反応液を含む反応容器にフェノ
    ール試薬を供給するフェノール試薬供給手段と、 前記フェノール試薬供給後、前記反応容器内の反応液を
    攪拌する攪拌手段と、 前記攪拌後に水相とフェノール層とを分離させ、前記水
    相を回収する回収手段とを含み、 前記反応液から未反応のデオキシリボヌクレオチド及び
    ジデオキシリボヌクレオチドが除去されることを特徴と
    する核酸シークエンス前処理装置。
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