JP2000350395A - 回転電気機械の円筒形回転子 - Google Patents

回転電気機械の円筒形回転子

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JP2000350395A
JP2000350395A JP11148746A JP14874699A JP2000350395A JP 2000350395 A JP2000350395 A JP 2000350395A JP 11148746 A JP11148746 A JP 11148746A JP 14874699 A JP14874699 A JP 14874699A JP 2000350395 A JP2000350395 A JP 2000350395A
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shaped
saddle
winding
conductor
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JP11148746A
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Tsutomu Yamamoto
勉 山本
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】回転子巻線端部の導電体が持つ円弧状部の温度
上昇の低減を図った回転電気機械の円筒形回転子を提供
する。 【解決手段】回転電気機械の円筒形回転子1は従来例に
対し、各極毎の回転子巻線2に合計6個が用いられてい
る鞍形コイルの内、外側に配設される2個の鞍形コイル
に鞍形コイル3が用いられている。鞍形コイル3は、端
部89における導電体の長さが相対的に長いために導電
体中の発熱量が相対的に大きくなる鞍形コイルに適用さ
れており、巻回層4には直線状部51Aの幅寸法WA
りも大きな幅寸法W4 を持つ円弧状部41が用いられて
いる。この円弧状部41は直線状部51Aとは別部材と
して作製され、直線状部51Aの長さ方向の端部にろう
付け法によって接合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、タービン発電機
などの回転電気機械の円筒形回転子に係わり、回転子巻
線端部の導電体が持つ円弧状部の温度上昇の低減に好適
なその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】円筒形回転子を持つ回転電気機械は各種
の用途に用いられているが、大容量のものとしてはター
ビン発電機が著名である。以下に、タービン発電機に代
表させて、従来例の回転電気機械の円筒形回転子の説明
を行うことにするが、まずは、一般例の円筒形回転子を
持つ回転電気機械の構成の概要について図12を用いて
説明する。ここで図12は、一般例の回転電気機械の主
要部を模式化して示す縦断面図である。図12におい
て、X−Xは回転軸部の中心軸線であり、Z−Zは回転
子鉄心部の軸長方向に関する中心線である。
【0003】図12において、9は、円筒形回転子8,
固定子7,冷媒ガス99の通流路を持つケーシング6,
軸流ファン69,69と、図示しない冷却装置とを備え
た円筒形回転子を有する一般例の2極の回転電気機械で
ある。円筒形回転子8の外周面と固定子7の内周面と間
には空隙部91が介在されている。円筒形回転子8は、
回転軸部81,回転軸部81と一体に構成されて回転軸
部81と同心の円柱状の外径を持つ回転子鉄心部82,
2極機に対応した1対の回転子巻線5および保持体83
とを備え、図示しない軸受部を介して回転自在に支持さ
れている。
【0004】回転電気機械9では、両回転子巻線5は断
面が平角状の導電体(平角銅線)を巻回して形成された
鞍形コイルの複数個を用いて構成されている。それぞれ
の鞍形コイルは、回転子鉄心部82の外周の円周方向に
沿わせて形成されている図示しない複数のコイルスロッ
トに、互いに同心状となる配置関係で装填されている。
回転子巻線5の各鞍形コイルがコイルスロットに装填さ
れている部位には、回転軸部81の軸長方向に分布して
多数の通気孔88が形成されている。回転子巻線5のコ
イルスロット内に収納されないことで回転子鉄心部82
の両端部から突き出されて配置される部位である端部8
9,89は、円筒状をした保持体83によってその外周
側が保持され、円筒形回転子8が回転することで発生さ
れる強大な遠心力に対して保持されている。
【0005】両軸流ファン69は円筒形回転子8,固定
子7を冷却する冷媒ガス(例えば、空気や水素ガス)9
9を回転電気機械9内に循環させるために設けられ、こ
の事例の場合には、図示のように回転子巻線5の両端部
89の回転軸部81の軸長方向に関する外側の位置のそ
れぞれに配設されている。固定子7は、多数の薄板材製
の鉄心板を積層して形成されて回転軸部81と同心の円
形の内径を持つ固定子鉄心71と、固定子鉄心71に形
成されている図示しない複数のコイルスロットに装填さ
れた固定子巻線72とを備える。固定子鉄心71の鉄心
板の積層方向の要所には、冷媒ガス99を通流させるた
めの通風ダクト73の複数個が形成されている。
【0006】回転電気機械9では、ケーシング6は固定
子鉄心71の外周面に外接させて合計4枚の仕切板が固
定子鉄心71の鉄心板の積層方向に間隔を隔てて配設さ
れ、端部側の仕切板と内側の仕切板とを接続するように
して複数の円筒状の連絡ダクトが配設されている。この
4枚の仕切板により区切られることで、固定子鉄心71
の外周側の空間には鉄心板の積層方向に関する中央部に
中央給気ダクト61が、鉄心板の積層方向の中央部を除
く両端部のそれぞれには排気ダクト62,62が形成さ
れている。またケーシング6の両端部には、それぞれの
軸流ファン69に対応させて吸気ダクト63,63が備
えられている。冷却装置は、円筒形回転子8,固定子7
を冷却することで高温となった冷媒ガス99から熱を除
去する図示しない冷却器を備えている。
【0007】一般例の回転電気機械9は上述のごとくに
構成されているので、それぞれの軸流ファン69で加圧
されたそれぞれの冷媒ガス99の流れは、まず保持体8
3が配置されている付近で大きく3つに分岐される。す
なわち、それぞれの保持体83の外周部を経て両端部か
ら空隙部91に直接流入する冷媒ガス流99Aと、固定
子巻線72の両端部のそれぞれを冷却した後に連絡ダク
トを経て中央給気ダクト61に流入する冷媒ガス流99
Bと、それぞれの回転軸部81の外周面と保持体83と
の間の空間のそれぞれから円筒形回転子8に流入する冷
媒ガス流99Cとである。
【0008】これ等の冷媒ガス流の内冷媒ガス流99C
は、回転子巻線5の端部89を強制対流により冷却しつ
つ回転子鉄心部82の端部に到り、冷媒ガス流99Cの
内の多くの部分はこの端部からコイルスロット部に流入
し、回転子巻線5および回転子鉄心部82を強制対流に
より冷却した後、通気孔88から空隙部91に順次流入
する。このようにして、空隙部91で合流されたそれぞ
れの冷媒ガス99は、排気ダクト62,62に連通して
いる通風ダクト73中を通流し、固定子鉄心71および
固定子巻線72を冷却しつつ排気ダクト62,62に到
る。排気ダクト62,62に到達した冷媒ガス99は、
円筒形回転子8,固定子7を冷却したので比較的に高温
になっているが、この高温の冷媒ガス99は図示しない
排気風胴(前記冷却装置が備える)を経て冷却器に流入
して除熱される。冷却器で除熱されて再び低温に戻った
冷媒ガス99は、図示しない吸気風胴(前記冷却装置が
備える)を経て軸流ファン69に流入される。
【0009】すなわち一般例の回転電気機械9は、冷却
器を介して冷媒ガス99を循環させることで比較的に安
定な運転状態を得ることができているが、この種の回転
電気機械に採用されている円筒形回転子8では、回転子
巻線5の最高温度が端部89で発生し易いので、端部8
9の温度低減に関する検討が種々行われてきている。次
に、このような検討の結果得られた従来例の回転電気機
械の円筒形回転子を説明する。
【0010】まず、従来の一例の回転電気機械の円筒形
回転子を図13〜図15を用いて説明する。なお、以降
の説明では、図12に示した一般例の回転電気機械9と
同一部分には同じ符号を付しその説明を省略する。ここ
で、図13は図12のQ部に対応した部位における従来
の一例の円筒形回転子の斜視図であり、図14は図12
のR部に対応した部位の図13に示した円筒形回転子の
要部の断面図であり、図15は図12のS部に対応した
部位の図13におけるA−A断面図である。なお、図1
3は保持体およびその周辺部を取り除いて回転子巻線の
外周部が露出された状態として図示している。
【0011】図13〜図15において、8Aは、回転軸
部81,回転子鉄心部82A,1対の回転子巻線5A,
それぞれ複数のスペーサ54および54A,隔壁体5
5,仕切壁体56,外周部絶縁体57,複数の楔58お
よび楔下絶縁層59,保持体83とを備えた2極の円筒
形回転子である。円筒形回転子8Aでは、回転子巻線5
Aには、それぞれの磁極毎に平角銅線を用いた複数層の
巻回層51により構成とされた6個の鞍形コイル52が
用いられ、回転子鉄心部82に形成された異なるコイル
スロット84に、互いに同心状となる配置関係で装填さ
れている。この鞍形コイル52を構成するそれぞれの巻
回層51は、中央部分がコイルスロット84内に装填さ
れる1対の直線状部51Aと、直線状部51Aの長さ方
向の端部の間を接続して配置される1対の円弧状部51
Bとを組み合わせて形成されている。
【0012】直線状部51Aは長さ方向の中央部分でコ
イルスロット84に装填され、円弧状部51Bは回転子
巻線5Aの端部89の主要部分を構成している。直線状
部51Aのコイルスロット84内に収納される部分に
は、回転軸部81の軸長方向に沿って多数の貫通孔51
aが形成されており、回転子巻線5Aでは鞍形コイル5
2を構成する全ての巻回層51が持つ貫通孔51aの位
置は合致している(図15参照)。回転子巻線5Aで
は、直線状部51Aと円弧状部51Bとは長尺の平角銅
線を直角状に曲げ加工することで一体に形成されてお
り、したがって、円弧状部51Bの幅寸法WB は直線状
部51Aの幅寸法WA と等しい。そうして、同一の鞍形
コイル52に属すこれ等の巻回層51は、回転子鉄心部
82Aの径方向,すなわちコイルスロット84の高さ方
向に、図示しない電気絶縁層を介して互いに積層される
ようにして配設されている。
【0013】端部89における鞍形コイル52の相互間
にはスペーサ54が、最外位置の鞍形コイル52の外側
面と最内位置の鞍形コイル52の内側面とにはスペーサ
54Aがそれぞれ配置されて、円筒形回転子8Aの加減
速時に発生する加速度などに対応して端部89に働く強
大な応力に対処している。スペーサ54は、電気絶縁材
からなるほぼ平板状の基板部と、基板部の両側面のそれ
ぞれに一定の厚さを持たせて形成された電気絶縁材製の
複数の突起部とで構成されている。この突起部は端部8
9における鞍形コイル52の側面に沿わせて冷媒ガス9
9を通流させる通流路を確保するために設けられてい
る。スペーサ54Aのスペーサ54に対する相異点は、
複数の突起部が基板部の一方の側面のみに備えられてい
ることである。
【0014】スペーサ54,54Aによって端部89に
おける鞍形コイル52を構成する導電体51の側面に
は、冷媒ガス流99Cが通流される通流路が突起部によ
ってジグザグ状とされて形成されることになる。この通
流路を後記する貫通孔55aと関連付けて視察すると、
貫通孔55aから鞍形コイル52の直線状部51Aに沿
って冷媒ガス流99Cが通流する通流路と、貫通孔55
aから鞍形コイル52の円弧状部51Bに沿って冷媒ガ
ス流99Cが通流する通流路として把握することができ
る。
【0015】円筒形回転子8Aでは、それぞれの端部8
9に配置される隔壁体55は、複数の部材を用いて全体
として円筒を構成するようにして電気絶縁材を用いて作
製されており、端部89における鞍形コイル52の内周
側に回転軸部81の外周面との間に空間を隔てて配置さ
れている。隔壁体55には冷媒ガス通流路として、鞍形
コイル52の直線状部51Aと円弧状部51Bとの結合
部位のそれぞれの近傍に、各鞍形コイル52の両側面に
連通する貫通孔55aが、また後記する排気室56Xに
対向する部位に貫通孔55bが、それぞれ形成されてい
る。仕切壁体56は1対が1組になって合計2組が用い
られており、排気室56Xを形成すべき部位を仕切るよ
うにして隔壁体55の内周面に当接されて配置されてい
る。
【0016】両側を仕切壁体56,56で仕切られるこ
とで隔壁体55の内周側に形成される4個の空間の内、
磁極の中間部の直下に位置している2個の空間が、冷媒
ガス流99Cが流入される流入室55Xであり、また、
磁極の中心位置の直下に位置している2個の空間が排気
室56Xである。この排気室56Xは軸流ファン(例え
ば、軸流ファン69)側の端部は閉塞され、反軸流ファ
ン側の端部は後記する排気溝86に連通されている。な
お、流入室55Xは軸流ファン側の端部は開口され、反
軸流ファン側の端部は後記する通気ダクト84aに連通
されている。外周部絶縁体57は電気絶縁材を用いて円
筒状に形成され、端部89における鞍形コイル52の外
周側と保持体83の内周側との間に配置されている。
【0017】楔58は、コイルスロット84に装填され
た部分の回転子巻線5Aが円筒形回転子8Aが回転する
ことで発生される強大な遠心力によってコイルスロット
84から飛び出さないようにするなどのために、それぞ
れのコイルスロット84の最外周部の付近に装着されて
いる。楔58には回転軸部81の軸長方向に沿って多数
の貫通孔58aが形成されており、それぞれの貫通孔5
8aは鞍形コイル52に形成されている貫通孔51aに
対向して形成されている。楔下絶縁層59は鞍形コイル
52を楔58に対して電気絶縁する役目を担っており、
貫通孔51aと対向する部位には、貫通孔51aとほぼ
同一形状の貫通孔59aが形成されている。
【0018】したがって、貫通孔51a,58aおよび
59aは冷媒ガス流99Cに関して互いに連通し合って
おり、通気ダクト84aに連通されている。この通気ダ
クト84aは、各コイルスロット84の底部に回転軸部
81の軸長方向に沿って形成されており、通気ダクト8
4aの両端部はそれぞれ流入室55Xに連通されてい
る。なお、前述通気孔88は円筒形回転子8Aでは、貫
通孔51a,58aおよび59aによって構成されてい
ることになり、冷媒ガス流99Cはこの貫通孔内を鞍形
コイル52の巻回層51の積層方向に沿って通流する。
【0019】回転子鉄心部82Aは、一般例の前記回転
子鉄心部82に対して、1対の回転子巻線5A,5Aが
持つ鞍形コイル52に対応した個数と位置とに従う複数
のコイルスロット84と、同一のハーフ磁極に属すると
共に互いに隣接するコイルスロット84の相互間の部位
である複数の歯部85と、複数の排気溝86とが図示の
如くに形成されている。各コイルスロット84の底部に
は前記したように通気ダクト84aが形成されている。
また、最外,最内位置の鞍形コイル52が装填されるコ
イルスロット84の反歯部85側を形成する回転子鉄心
部82Aの部位,および各歯部85のそれぞれの軸長方
向の両端部には、排気路85aが形成されている。
【0020】従来の一例の円筒形回転子8Aは上述の如
くに構成されているので、回転子巻線5Aの端部89で
は、スペーサ54,54Aが持つ突起部により冷媒ガス
流99Cの通流路がジグザグ状に形成されることによ
り、冷媒ガス流99Cが鞍形コイル52の側面と十分に
接触できることになり、鞍形コイル52を効果的に冷却
することができている。このような冷却構成を備えるこ
とによって、円筒形回転子8Aでは回転子巻線5Aの端
部89に対する冷却性能の向上を図ることができてい
る。
【0021】次に、鞍形コイルを構成する複数の巻回層
51がそれぞれに持つ貫通孔51aの相互位置関係を回
転子巻線5Aとは異ならせるようにした、従来の異なる
例の回転電気機械の円筒形回転子を図16を用いて説明
する。なお、以降の説明では、図13〜図15に示した
従来の一例の円筒形回転子8Aと同一部分には同じ符号
を付しその説明を省略する。ここで、図16は、図12
におけるS部に対応した部位における従来の異なる例の
円筒形回転子の要部の断面図である。図16において、
8Bは図13〜図15に示した従来の一例による円筒形
回転子8Aに対して、回転子巻線5Aに替えて回転子巻
線5Bを用いるようにした円筒形回転子である。
【0022】回転子巻線5Bは、回転子巻線5Aと対比
して鞍形コイルに鞍形コイル52Aを用いることのみが
異なっている。この鞍形コイル52Aは、導電体51を
用いて作製されたそれぞれの巻回層51の直線状部51
Aには鞍形コイル52の場合と同様に多数の貫通孔51
aが形成されるが、鞍形コイル52Aでは複数の巻回層
51がそれぞれに持つ貫通孔51aの軸長方向の形成位
置を、通気ダクト84aに近い巻回層51ほど冷媒ガス
流99Cの流入側に順次ずらすようにしている(図16
参照)。すなわち、回転子巻線5Bでは、導電体51に
貫通孔51aによって形成される冷媒ガス流99C用の
全ての通気孔は、冷媒ガス流99Cの流入側に傾斜して
形成されている。
【0023】従来の異なる例の円筒形回転子8Bは上述
の如くに構成されているので、貫通孔51aにおける冷
媒ガス流99Cの流体抵抗は、曲がり抵抗が減少される
ことで円筒形回転子8Aの場合よりも低減される。これ
により、用いる軸流ファン(例えば、軸流ファン69)
が円筒形回転子8Aの場合と同一であることを前提にす
ると、円筒形回転子8Bでは貫通孔51aを通流する冷
媒ガス流99Cの流量が円筒形回転子8Aの場合よりも
増大され、コイルスロット84内に装填される部位の直
線状部51Aの温度上昇値を低減することができる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術によ
る回転電気機械の円筒形回転子8A,8Bでは、回転子
巻線5A,5Bの端部89に対する冷却性能の向上をあ
る程度は達成することが出来ているが、まだ後記するよ
うな理由で回転子巻線5A,5Bの最高温度は、図17
および後記する図3,図5,図9に点線で示すように多
くの場合に端部89に配設されている円弧状部51Bで
発生している。図17は、発明者らにより従来例の円筒
形回転子に対して得られた回転子巻線の導電体の温度分
布を示すグラフであり、横軸に導電体長に沿う回転子巻
線(鞍形コイル)位置の回転子鉄心中心位置(図12の
中心線Z−Zの位置)からの距離を採り、縦軸に回転子
巻線(鞍形コイル)の主要部の導電体の温度上昇値を採
っている。
【0025】また図17を視察すると、円弧状部51
B,直線状部51A共に、導電体の温度上昇値は鞍形コ
イル52の巻回層51の積層方向にかなりの差が発生し
ていることが分かる。導電体の巻回層51の積層方向に
対するこの温度差の主原因は、導電体を冷却する冷媒ガ
ス流99Cが導電体で発生される熱を吸収することでし
だいに温度が上昇するためである。端部89では、これ
に保持体83からの放熱の影響が加わることで、最外径
側の巻回層51の導電体よりも若干内径側に配設されて
いる中間部の巻回層51の導電体で温度上昇値の最高値
が発生している。
【0026】一般に電気機械の寿命は巻線の電気絶縁の
ために採用されている電気絶縁材の耐熱寿命特性によっ
て決められるので、回転子巻線5A,5Bの端部89の
温度が相対的に高いことは、端部89の温度が使用され
ている電気絶縁材の許容温度を越えないように回転子巻
線5A,5Bの電流密度を設定しなければならないこと
を意味する。この結果として円筒形回転子8A,8B
の、したがって回転電気機械の体格の大形化を招いた
り、または、回転電気機械の定格出力の低減を余儀なく
される。ところで、回転子巻線5A,5Bの最高温度が
いまだに端部89において発生している主な理由は次記
するとおりである。
【0027】円筒形回転子8A,8Bが備える回転子
巻線5A,5Bでは、円弧状部51Bを冷却する冷媒ガ
ス流99Cは、隔壁体55に形成された貫通孔55aか
ら流入して円弧状部51Bの側部端面に沿って通流する
が、その際、冷媒ガス流99Cの流れ方向は軸長方向か
ら円周方向に急激に変化する必要がある。他方、端部8
9における直線状部51Aを冷却する冷媒ガス流99C
では、その流れ方向は貫通孔55aから流入した後も軸
長方向をそのまま維持する。このために、貫通孔55a
部を通流する冷媒ガス流99Cの流体抵抗は、直線状部
51Aと対比して円弧状部51Bの方が相対的に大きく
なり、円弧状部51Bを冷却する冷媒ガス流99Cの流
量が相対的に少なくなる。このことが主因で円弧状部5
1Bの温度上昇が高くなる。
【0028】前記項による問題点を解決するために
幾つかの提案がすでになされており、その一例を図18
に示す。図18は、図13のT部に対応した部位におけ
る従来のさらに異なる例の円筒形回転子の要部の斜視図
である。なお図18では、回転子巻線の円弧状部とスペ
ーサとを直線状に展開して図示している。図18におい
て、8Cは、図13〜図15に示した従来の一例による
円筒形回転子8Aに対して、回転子巻線5Aに替えて、
鞍形コイルの円弧状部に円弧状部51Cを採用した回転
子巻線5Cを用いるようにした円筒形回転子である。す
なわち、回転子巻線5Cに用いられる鞍形コイル52C
を構成するそれぞれの巻回層は、円弧状部51Cと図示
しない直線状部51Aとを組み合わせて形成されてい
る。
【0029】円弧状部51Cは、冷媒ガス流99Cを円
弧状部内にも通流させるための通流路が貫通孔51bと
して形成されていることが、円弧状部51Bと大きく異
なっている。この円弧状部51Cには、貫通孔51bに
対応させ、貫通孔51b内を通流する冷媒ガス流99C
の円弧状部51Cからの出口として、図示しない隔壁体
55に形成されている図示しない貫通孔55bに対向す
る部位に、溝部51cが形成されている。そうして、貫
通孔51b内を通流した冷媒ガス流99Cは、溝部溝部
51cを経て貫通孔55bから図示しない排気室56X
に流入することができる。
【0030】円弧状部51Cはこの部位を通流する電流
の密度値を直線状部51A部の密度値と同等とするため
に、その断面積を直線状部51Aの断面積とほぼ同等に
設定されており、このために円弧状部51Cの幅寸法W
C は直線状部51Aの幅寸法WA とほぼ同一もしくは若
干ではあるが大きく設定されている。そうして、円弧状
部51Cは貫通孔51bと溝部51cの加工が必要なた
めに直線状部51Aとは別部材として作製され、直線状
部51Aの長さ方向の端部で機械的にも電気的にもした
がって熱伝導的にも、ろう付けなどの方法によって接合
されている。この接合部位は回転子巻線5Aの場合の直
線状部51Aと円弧状部51Bとの結合部位と同等の位
置に設定されている。
【0031】このような構造を持つ回転子巻線5Cは、
円弧状部を冷却する冷媒ガス流99Yの流量の増大と,
冷媒ガス流99Yに関する円弧状部の放熱面積の増大と
を同時に得て、円弧状部の冷却性能の増大を意図したも
のである。しかしながらこの回転子巻線5Cが持つ構造
は、貫通孔51b内の流体抵抗が円弧状部51C外面部
の流体抵抗よりも相対的に大きくなってしまうことで、
円弧状部51Cによる放熱面積の増加率に比較して円弧
状部51Cの温度上昇の低減率が多くの場合に小さくな
っていることが、発明者らが調査したところにより分か
ってきている。また、回転子巻線5Cでは円弧状部51
Cに貫通孔51bと溝部51cの加工が必要なために、
その製造原価が高価になることも問題点である。
【0032】この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑
みなされ、その目的は、回転子巻線端部の導電体が持つ
円弧状部の温度上昇の低減を図った回転電気機械の円筒
形回転子を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】この発明では前述の目的
は、 1)複数のコイルスロットを持つ円柱状の回転子鉄心部
と、導電材を複数層巻回して形成されてそれぞれが異な
るコイルスロットに装填されると共に冷媒ガスによって
冷却される複数の鞍形コイルを有する回転子巻線とを備
えた回転電気機械の円筒形回転子において、鞍形コイル
は、平角状断面の導電体を用いて形成され互いにほぼ平
行して配置されると共に長さ方向の中央部分が前記コイ
ルスロットに装填される1対の直線状部と、前記直線状
部に用いられている導電体よりも大きな断面積を持つ平
角状断面の導電体を用いて形成され直線状部の長さ方向
の端部の間を接続して配置される1対の円弧状部とを組
み合わせて用い、直線状部の電流密度よりも円弧状部の
電流密度を低減するようにした構成とすること、また
は、 2)複数のコイルスロットを持つ円形状の回転子鉄心部
と、導電材を複数層巻回して形成されてそれぞれが異な
るコイルスロットに装填されると共に冷媒ガスによって
冷却される複数の鞍形コイルを有する回転子巻線とを備
えた回転電気機械の円筒形回転子において、鞍形コイル
は回転子鉄心部の径方向に積層されて巻回された複数の
巻回層を有し、この巻回層は平角状断面の導電体を用い
て互いにほぼ平行して配置されると共に長さ方向の中央
部分が前記コイルスロットに装填される1対の直線状部
と前記直線状部の長さ方向の端部の間を接続して配置さ
れる1対の円弧状部とを組み合わせて形成され、温度上
昇が高くなる部位に配設される前記導電体は前記積層方
向の寸法を大きく設定して電流密度を低減するようにし
た構成とすること、さらにまたは、 3)前記2項に記載の手段において、鞍形コイルの温度
上昇が高くなる部位に配設される前記巻回層は、積層方
向の寸法が同等の直線状部および円弧状部の前記導電体
である構成とすることにより達成される。
【0034】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明に用いる
図には、図12〜図16で付した符号については、極力
代表的な符号のみを記すようにしている。図1は、この
発明の実施の形態の一例による回転電気機械の円筒形回
転子を図14と同様部位に関して示す要部の断面図であ
り、図2は、図1による円筒形回転子が持つ一部の鞍形
コイルを構成している巻回層を示す要部の斜視図であ
る。
【0035】図1,図2において、1は、図13〜図1
5に示した従来例による円筒形回転子8Aに対し、回転
子巻線5Aに替えて回転子巻線2を用いるようにした円
筒形回転子である。回転子巻線2は、円弧状部の温度上
昇の低減を図るために、発熱量が多いために温度上昇が
相対的に高くなる一部の鞍形コイルの円弧状部に用いら
れる導電体の断面積を、直線状部に用いられる導電体の
断面積よりも大きく設定していることが従来例による回
転子巻線5Aと異なっている。すなわち、回転子巻線2
の場合に各極毎の回転子巻線に合計6個が用いられる鞍
形コイルの内、外側に配設される2個の鞍形コイルに鞍
形コイル3が用いられ、残りに従来例と同一の鞍形コイ
ル52が用いられている。
【0036】鞍形コイル3は、端部89における導電体
(平角銅線など)の長さが相対的に長いために端部89
における導電体中の発熱量(回転子巻線2に通流する回
転子電流による)が相対的に大きくなる鞍形コイルに適
用されており、巻回層には巻回層4が用いられている。
巻回層4はこの発明の特長的な構成として、直線状部5
1Aの幅寸法WA よりも大きな幅寸法W4 を持つ円弧状
部41が用いられている(図2を参照)。なお、円弧状
部41の厚さ寸法は、直線状部51Aの厚さ寸法と同一
である。
【0037】換言すると、巻回層4は直線状部51A用
の導電体(平角銅線)よりも大きな断面積を持つ導電体
(平角銅線)を円弧状部41に用いることで形成されて
おり、鞍形コイル3は複数の巻回層4を用いて形成され
ている。そうして、円弧状部41は直線状部51Aとは
別部材として作製され、直線状部51Aの長さ方向の端
部で機械的にも電気的にもしたがって熱伝導的にも、ろ
う付けなどの方法によって接合されている。この接合部
位は従来例の回転子巻線5Aの場合の直線状部51Aと
円弧状部51Bとの結合部位と同等の位置に設定されて
いる。
【0038】図1,図2に示すこの発明の実施の形態の
一例による回転電気機械の円筒形回転子1では前記のよ
うに、端部89内の導電体長さが相対的に長い鞍形コイ
ルである鞍形コイル3では、直線状部51Aよりも大き
な断面積を持つ円弧状部41を用い、回転子巻線2に通
流する回転子電流に関して直線状部51Aの電流密度よ
りも円弧状部41の電流密度を相対的に低減させてい
る。
【0039】従来技術の円筒形回転子用の回転子巻線で
は、鞍形コイルの巻回層51は前述したように多くの場
合に直線状部51Aと円弧状部51Bとを長尺の平角銅
線から一体に形成することが定着している。したがっ
て、直線状部51Aと円弧状部51Bの断面積や電流密
度値を同一値に設定することが当然のこととされてきて
いる。このために、直線状部51Aとは別個の部材とし
て作製される円弧状部51Cを用いる回転子巻線5Cの
場合も、円弧状部51Cと直線状部51Aの電流密度値
を同等値にすることは当然のこととされ、円弧状部51
Cと直線状部51Aの電流密度値とを異ならせるような
ことは全く考慮されていなかった。
【0040】発明者らは従来技術の問題点を詳細に検討
してその盲点を突き、端部89内の導電体長さが相対的
に大きくなる一部の鞍形コイル3の巻回層4の円弧状部
41に用いられる導電体の断面積を、直線状部51Aに
用いられる導電体の断面積よりも大きく設定することに
より、回転子巻線2の巻回層4が持つ円弧状部41の温
度上昇を効果的に低減できることを見出した。すなわ
ち、このことによって円弧状部41の回転子電流に関す
る電流密度値i4 〔A/m2 〕は、直線状部51Aの回
転子電流に関する電流密度値i5A〔A/m2 〕よりも低
減される。導電体(平角銅線など)の抵抗率値をρ〔Ω
・m〕とすると、回転子電流により導電体に発生する単
位体積当たりの発熱量q〔W/m3 〕は、直線状部51
Aに関してはq5A=ρ(i5A2 であり、円弧状部41
に関してはq4 =ρ(i4 2 である。すなわち、i4
<i5Aに設定することによって、q4 はq5Aよりも低減
される。
【0041】また直線状部51A,円弧状部41は冷媒
ガス流99Cによる強制対流によって冷却されているの
で、両者を冷却する冷媒ガス流99Cの流速が同一値で
あると仮定すると、冷媒ガス流99Cに対する両者の温
度上昇値ΔT〔K〕は、単位体積当たりの発熱量q〔W
/m3 〕が低減されるほど小さくなる。すなわち、i 4
<i5Aに設定することによって、円弧状部41の温度上
昇値ΔT4 を効果的に低減できる。
【0042】発明者らがこの発明になる円筒形回転子1
が持つ回転子巻線2の導電体(平角銅線など)の温度上
昇値を、従来例の円筒形回転子8Aが持つ回転子巻線5
Aの導電体の温度上昇値と比較して求めた試験結果例を
図3に示す。すなわち図3は、この発明の実施の形態の
一例の場合の導電体の温度上昇値を従来例の場合と比較
して示すグラフである。図3では横軸に導電体長に沿う
回転子巻線(鞍形コイル)位置の回転子鉄心中心位置
(図12の中心線Z−Zの位置)からの距離を採り、縦
軸に回転子巻線(鞍形コイル)の中間部の巻回層の導電
体の温度上昇値を採っている。また図3では回転子巻線
2の導電体の温度上昇値を実線で、従来例の回転子巻線
5Aの導電体の温度上昇値を点線で示している。
【0043】図3を視察することにより、従来例の円筒
形回転子8Aの場合に円弧状部51Bの中心位置(磁極
中心位置に合致)で最高になっていた中間部の導電体の
温度上昇値が、この発明になる円筒形回転子1が持つ円
弧状部41の中間部の導電体の最高温度上昇値では、回
転子鉄心82Aの端部における導電体(直線状部51
A)の温度上昇値と同等程度にまで低減されていること
が確認できる。また、この発明による回転子巻線2は導
電体の温度上昇値を低減するに当たって円弧状部41用
の導電体に従来例の回転子巻線5Cの場合のような貫通
孔や溝部などの形成が不要であるので、製造原価が高価
になるとの問題点も解決できる。
【0044】次に、図4を用いてこの発明の実施の形態
の異なる例による回転電気機械の円筒形回転子を説明す
る。ここで図4は、この発明の実施の形態の異なる例に
よる回転電気機械の円筒形回転子を図16と同様部位に
関して示す要部の断面図である。図4において、1A
は、図16に示した従来例による円筒形回転子8Bに対
して、回転子巻線5Bに替えて回転子巻線2Aを用いる
ようにした円筒形回転子である。回転子巻線2Aは、円
弧状部の温度上昇の低減を図るために、各極毎の回転子
巻線に合計6個が用いられる鞍形コイルの内、外側に配
設される2個の鞍形コイルに鞍形コイル3Aが用いら
れ、残りに従来例と同一の鞍形コイル52Aが用いられ
ている。
【0045】そうして回転子巻線2Aの場合にも、前述
したこの発明になる回転子巻線2の場合と全く同様に、
鞍形コイル3Aの巻回層4に用いられる円弧状部には円
弧状部41が,また直線状部には直線状部51Aが用い
られる。したがって、回転子巻線2Aが回転子巻線5B
に対して持つ作用・効果は、回転子巻線2が回転子巻線
5Aに対して持つ作用・効果と同一のため重複を避けて
その説明は省略する。
【0046】図5は、この発明の実施の形態の異なる例
の場合の導電体の温度上昇値を従来例の場合と比較して
示すグラフである。図5では回転子巻線2Aの中間部の
導電体の温度上昇値を実線で、従来例の回転子巻線5B
の中間部の導電体の温度上昇値を点線で示している。図
5を視察することにより、従来例の円筒形回転子8Bの
場合に円弧状部51Bの中心位置で最高になっていた中
間部の導電体の温度上昇値が、この発明になる円筒形回
転子1Aが持つ円弧状部41の導電体の最高温度上昇値
では回転子鉄心82Aの端部における導電体51Aの温
度上昇値と同等程度にまで低減されていることが確認で
きる。
【0047】次に、図6,図7を用いてこの発明の実施
の形態の異なる例による回転電気機械の円筒形回転子を
説明する。ここで図6は、この発明の実施の形態の異な
る例による回転電気機械の円筒形回転子を図14と同様
部位に関して示す要部の断面図であり、図7は図6に示
した回転子巻線の鞍形コイルの要部を示す斜視図であ
る。図6,図7において、1Bは、図13〜図15に示
した従来例による円筒形回転子8Aに対し、回転子巻線
5Aに替えて回転子巻線2Bを用いるようにした円筒形
回転子である。回転子巻線2Bは、従来例において温度
上昇が相対的に高い中間部の巻回層に用いられる導電体
の断面積を、温度上昇が相対的に低い部位の巻回層に用
いられる導電体の断面積よりも大きく設定していること
が従来例による回転子巻線5Aと異なっている。
【0048】すなわち、回転子巻線2Bの鞍形コイル3
Bには、合計10個が用いられる巻回層の内、従来例の
回転子巻線5Bで最高温度上昇が発生していた最外径側
から3番目と4番目にこの発明による特徴的な巻回層4
Bが用いられている。巻回層4Bは用いる導電体(平角
銅線など)の厚さ寸法(巻回層の積層方向の寸法)を、
円弧状部41B,直線状部42B共に、従来例の巻回層
51の直線状部51A,円弧状部51Bに用いられてい
る導電体の厚さ寸法よりも大きく設定している。
【0049】巻回層4Bおよび巻回層51を用いて形成
される鞍形コイル3Bの高さ(巻回層の積層方向の寸
法)Hは、円弧状部と直線状部とで同一である(図6,
図7を参照)。したがって、鞍形コイル3Bに用いられ
る巻回層51では、従来例の鞍形コイル52に用いられ
る巻回層51の場合よりも若干厚さ寸法の小さい導電体
が用いられることになる。そうして、鞍形コイル3Bに
用いられる巻回層51および巻回層4Bは、従来例によ
る鞍形コイル52またはこの発明による鞍形コイル3の
場合と同様な方法によって作製できるのでその説明は省
略する。
【0050】この発明の実施の形態の異なる例による回
転電気機械の円筒形回転子1Bでは前述の構成とするこ
とで、回転子巻線2Bを通流する回転子電流により巻回
層4Bに発生する電流密度は巻回層51の場合よりも低
減される。したがって回転子巻線2Bでは、前述回転子
巻線2について説明したところと同様な理由で、円弧状
部41Bの温度上昇を効果的に低減できる。また回転子
巻線2Bでは、巻回層4Bの円弧状部41Bの側面の面
積などは巻回層51の場合よりも増大されるので、巻回
層4Bに関する放熱量が増大される。さらに回転子巻線
2Bでは、巻回層4Bの直線状部42Bの断面積が大き
いために、円弧状部41Bで発生した熱の一部はこの直
線状部42Bを通流し、コイルスロット84内に装填さ
れた部位などの直線状部42Bから冷媒ガス流99Cに
放熱される。すなわち、回転子巻線2Bは、巻回層4B
部の電流密度の低減および放熱量の増大により、中間部
の温度上昇を低減できる。
【0051】図8はこの発明の回転子巻線2Bの導電体
の温度分布を示すグラフであり、横軸に導電体長に沿う
回転子巻線(鞍形コイル)位置の回転子鉄心中心位置
(図12の中心線Z−Zの位置)からの距離を採り、縦
軸に回転子巻線(鞍形コイル)の主要部の導電体の温度
上昇値を採っている。また図9はこの発明の回転子巻線
2Bの最も外側の鞍形コイル3Bの磁極中心直下の部位
の導電体の巻回層の積層方向に沿う温度分布を従来例の
場合と比較して示すグラフである。図9では回転子巻線
2Bの導電体の温度上昇値を実線で、従来例の回転子巻
線5Aの導電体の温度上昇値を点線で示している。
【0052】図9および図8を従来例に関する図17と
対比して視察することにより、従来例の円筒形回転子8
Bの場合に円弧状部51Bの磁極中心位置で最高になっ
ていた中間部の導電体の温度上昇値が、この発明になる
円筒形回転子2Bが持つ巻回層4Bの円弧状部41Bの
最高温度上昇値では、回転子鉄心82Aの端部における
巻回層51の直線状部51Aの温度上昇値と同等程度に
まで低減されていること、および、回転子巻線2Bの全
体として温度上昇が均等化されていることを確認でき
る。
【0053】最後に、図10を用いてこの発明の実施の
形態のさらに異なる例による回転電気機械の円筒形回転
子を説明する。ここで図10は、この発明の実施の形態
のさらに異なる例による回転電気機械の円筒形回転子の
鞍形コイルを図7と同様部位に関して示す要部の斜視図
である。図10において、3Cは、図6,図7に示した
この発明による円筒形回転子1Bの鞍形コイル3Bに替
えて用いられるこの発明の鞍形コイルである。鞍形コイ
ル3Cは、合計10個が用いられる巻回層の内、最外径
側および最外径側から2番目に巻回層4Cを用い、従来
例の回転子巻線5Bで最高温度上昇が発生していた最外
径側から3番目と4番目に巻回層4Dが用いられてい
る。
【0054】巻回層4Cは、円弧状部に従来例と同じ円
弧状部51Bを用い、直線状部に従来例の巻回層51の
直線状部51Aよりも厚さ寸法が大きな導電体で作製さ
れた直線状部42Cが用いられている。また、巻回層4
Dは、円弧状部に従来例の巻回層51の円弧状部51B
よりも厚さ寸法が大きな導電体で作製された円弧状部4
1Bが用いられ、直線状部に従来例と同じ直線状部51
Aを用いている。巻回層4C,4Dおよび巻回層51を
用いて形成される鞍形コイル3Cの高さ(巻回層の積層
方向の寸法)Hは、円弧状部と直線状部とで同一であ
る。
【0055】したがって、鞍形コイル3Cに用いられる
巻回層51では、従来例の鞍形コイル52に用いられる
巻回層51の場合よりも若干厚さ寸法の小さい導電体が
用いられることになる。そうして、鞍形コイル3Cに用
いられる巻回層51および巻回層4Cは、従来例による
鞍形コイル52またはこの発明による鞍形コイル3の場
合と同様な方法によって作製できるのでその説明は省略
する。
【0056】鞍形コイル3Cを用いたこの発明の実施の
形態のさらに異なる例による回転電気機械の円筒形回転
子では前述の構成とすることで、回転子巻線の鞍形コイ
ル3Cを通流する回転子電流により巻回層4Dの円弧状
部41Bおよび巻回層4Cの直線状部42Cに発生する
電流密度は巻回層51の場合よりも低減される。したが
って鞍形コイル3Cを用いたこの発明の回転子巻線で
は、前述回転子巻線2について説明したところと同様な
理由で、円弧状部41Bの温度上昇を効果的に低減でき
る。
【0057】また鞍形コイル3Cでは、巻回層4Dの円
弧状部41Bの側面の面積は巻回層51の場合よりも増
大されるので、円弧状部41Bに関する放熱量が増大さ
れる。さらに鞍形コイル3Cでは、巻回層4Cの直線状
部42Cの断面積が大きいために、円弧状部51Bで発
生した熱の一部はこの直線状部42Cを通流し、コイル
スロット84内に装填された部位などの直線状部42C
から冷媒ガス流99Cに放熱される。すなわち、鞍形コ
イル3Cを用いた回転子巻線は、円弧状部41B部,直
線状部42C部の電流密度の低減および直線状部42C
部の放熱量の増大により、中間部および中間部よりも外
径側の部位の温度上昇を低減できる。
【0058】図11はこの発明の鞍形コイル3Cを用い
る回転子巻線の導電体の温度分布を示すグラフであり、
横軸に導電体長に沿う回転子巻線(鞍形コイル)位置の
回転子鉄心中心位置(図12の中心線Z−Zの位置)か
らの距離を採り、縦軸に回転子巻線(鞍形コイル)の主
要部の導電体の温度上昇値を採っている。図11を従来
例に関する図17と対比して視察することにより、従来
例の円筒形回転子8Bの場合に円弧状部51Bの磁極中
心位置で最高になっていた中間部の導電体の温度上昇値
が、この発明になる円筒形回転子が持つ鞍形コイル3C
の円弧状部41Bの最高温度上昇値では、回転子鉄心8
2Aの端部における巻回層51の直線状部51Aの温度
上昇値と同等程度にまで低減されていること、および、
鞍形コイル3Cの最外径部の直線状部42Cの温度上昇
値が、回転子鉄心82Aの鞍形コイル52の最外径部の
直線状部51Aの温度上昇値に対して低減されているこ
とを確認できる。
【0059】すなわち、この発明の鞍形コイル3Cを用
いる円筒形回転子は、この発明の鞍形コイル3Bを用い
る円筒形回転子1Bと対比して、円弧状部の最高温度上
昇値をほぼ同等値としながら、回転子巻線全体として温
度上昇の均等化をさらに向上することができている。
【0060】前述の説明では、円筒形回転子の各極毎の
回転子巻線2,2A,2Bなどが持つ鞍形コイルの全個
数は6個であるとしてきたが、これに限定されるもので
はなく、鞍形コイルの全個数は円筒形回転子の仕様など
に対応して適宜に設定することができる。また前述の説
明では、円筒形回転子の各極毎の回転子巻線2,2Aに
用いられる鞍形コイルの内の端部89部分の導電体長が
相対的に長くなる外側に配設される2個に、円弧状部に
断面積が相対的に大きな導電体を用いた鞍形コイル3,
3Aが採用されるとしてきたが、これに限定されるもの
ではなく、例えば、断面積が相対的に大きな導電体を円
弧状部に用いた鞍形コイルの使用個数は、円筒形回転子
の仕様などに対応して適宜に設定することができる。
【0061】また前述の説明では、円筒形回転子1Bな
どが備える全ての鞍形コイルに鞍形コイル3B,3Cが
採用されるとしてきたが、これに限定されるものではな
く、断面積が相対的に大きな導電体を巻回層に用いた鞍
形コイルは、回転子巻線に用いられる鞍形コイルの一部
だけに採用することであってもよい。また前述の説明で
は、円筒形回転子2,2A,2Bなどの鞍形コイルの巻
回層の個数は10個であり、また、鞍形コイルに用いら
れる巻回層の内、厚い導電体を用いた巻回層の個数は2
個であるとしてきたが、これに限定されるものではな
く、鞍形コイルの巻回層の個数や、鞍形コイルの厚い導
電体を用いる巻回層の個数は、円筒形回転子の仕様など
に対応して適宜に設定することができる。
【0062】また前述の説明では、鞍形コイルに用いら
れる導電体の厚さ寸法は2種類であるとしてきたが、こ
れに限定されるものではなく、鞍形コイルに用いられる
導電体の厚さ寸法は3種類以上であってもよい。さらに
また鞍形コイル3Cの巻回層4Cなどに用いられる直線
状部42Cなどの導電体の厚さ寸法は、同一の巻回層で
は同一の厚さ寸法であるとしてきたが、これに限定され
るものではなく、同一の巻回層の直線状部に用いられる
導電体の厚さ寸法は、2種類以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0063】
【発明の効果】この発明による回転電気機械の円筒形回
転子では、前記課題を解決するための手段の項で述べた
構成とすることで、次記する効果を得られる。 前記課題を解決するための手段の項の第(1)項によ
る構成とすることで、図3,図5に例示したように、回
転子巻線の円弧状部の最高温度上昇値を製造原価をほと
んど増加することなしに低減することが可能になり、ま
たこのことによって、円筒形回転子の許容電流を増加す
ることができて許容出力の増大が可能になる、また、 前記課題を解決するための手段の項の第(2)項,第
(3)項による構成とすることで、図8,図9および図
11に例示したように、前記項による効果を得なが
ら、回転子巻線全体の温度上昇をより均等化することが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による回転電気機
械の円筒形回転子を図14と同様部位に関して示す要部
の断面図
【図2】図1による円筒形回転子が持つ一部の鞍形コイ
ルを構成している巻回層を示す要部の斜視図
【図3】この発明の実施の形態の一例の場合の導電体の
温度上昇値を従来例の場合と比較して示すグラフ
【図4】この発明の実施の形態の異なる例による回転電
気機械の円筒形回転子を図16と同様部位に関して示す
要部の断面図
【図5】この発明の実施の形態の異なる例の場合の導電
体の温度上昇値を従来例の場合と比較して示すグラフ
【図6】この発明の実施の形態の異なる例による回転電
気機械の円筒形回転子を図14と同様部位に関して示す
要部の断面図
【図7】図6に示した回転子巻線の鞍形コイルの要部を
示す斜視図
【図8】この発明の回転子巻線の導電体の温度分布を示
すグラフ
【図9】この発明の回転子巻線の最も外側の鞍形コイル
の磁極中心直下の部位の導電体の巻回層の積層方向に沿
う導電体の温度分布を従来例の場合と比較して示すグラ
【図10】この発明の実施の形態のさらに異なる例によ
る回転電気機械の円筒形回転子の鞍形コイルを図7と同
様部位に関して示す要部の斜視図
【図11】この発明の鞍形コイル3Cを用いる回転子巻
線の導電体の温度分布を示すグラフ
【図12】一般例の回転電気機械の主要部を模式化して
示す縦断面図
【図13】図12のQ部に対応した部位における従来の
一例の円筒形回転子の斜視図
【図14】図12のR部に対応した部位の図13に示し
た円筒形回転子の要部の断面図
【図15】図12のS部に対応した部位の図13におけ
るA−A断面図
【図16】図12におけるS部に対応した部位における
従来の異なる例の円筒形回転子の要部の断面図
【図17】従来例の円筒形回転子の回転子巻線の導電体
の温度分布を示すグラフ
【図18】図13のT部に対応した部位における従来の
さらに異なる例の円筒形回転子の要部の斜視図
【符号の説明】
1 円筒形回転子 2 回転子巻線 3 鞍形コイル 4 巻回層 41 円弧状部 51A 直線状部 89 端部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のコイルスロットを持つ円形状の回転
    子鉄心部と、導電材を複数層巻回して形成されてそれぞ
    れが異なるコイルスロットに装填されると共に冷媒ガス
    によって冷却される複数の鞍形コイルを有する回転子巻
    線とを備えた回転電気機械の円筒形回転子において、 鞍形コイルは、平角状断面の導電体を用いて形成され互
    いにほぼ平行して配置されると共に長さ方向の中央部分
    が前記コイルスロットに装填される1対の直線状部と、
    前記直線状部に用いられている導電体よりも大きな断面
    積を持つ平角状断面の導電体を用いて形成され直線状部
    の長さ方向の端部の間を接続して配置される1対の円弧
    状部とを組み合わせて用い、直線状部の電流密度よりも
    円弧状部の電流密度を低減するようにしたことを特徴と
    する回転電気機械の円筒形回転子。
  2. 【請求項2】複数のコイルスロットを持つ円形状の回転
    子鉄心部と、導電材を複数層巻回して形成されてそれぞ
    れが異なるコイルスロットに装填されると共に冷媒ガス
    によって冷却される複数の鞍形コイルを有する回転子巻
    線とを備えた回転電気機械の円筒形回転子において、 鞍形コイルは回転子鉄心部の径方向に積層されて巻回さ
    れた複数の巻回層を有し、この巻回層は平角状断面の導
    電体を用いて互いにほぼ平行して配置されると共に長さ
    方向の中央部分が前記コイルスロットに装填される1対
    の直線状部と前記直線状部の長さ方向の端部の間を接続
    して配置される1対の円弧状部とを組み合わせて形成さ
    れ、温度上昇が高くなる部位に配設される前記導電体は
    前記積層方向の寸法を大きく設定して電流密度を低減す
    るようにしたことを特徴とする回転電気機械の円筒形回
    転子。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の回転電気機械の円筒形回
    転子において、 鞍形コイルの温度上昇が高くなる部位に配設される前記
    巻回層は、積層方向の寸法が同等の直線状部および円弧
    状部の前記導電体であることを特徴とする回転電気機械
    の円筒形回転子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101756535B1 (ko) * 2015-09-09 2017-07-10 두산중공업 주식회사 개선된 냉각 유로를 갖는 로터 어셈블리
JP2019161752A (ja) * 2018-03-08 2019-09-19 本田技研工業株式会社 回転電機のステータ

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KR101756535B1 (ko) * 2015-09-09 2017-07-10 두산중공업 주식회사 개선된 냉각 유로를 갖는 로터 어셈블리
JP2019161752A (ja) * 2018-03-08 2019-09-19 本田技研工業株式会社 回転電機のステータ
JP7082885B2 (ja) 2018-03-08 2022-06-09 本田技研工業株式会社 回転電機のステータ

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