JP2000345426A - 合成繊維の製造方法 - Google Patents

合成繊維の製造方法

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JP2000345426A
JP2000345426A JP16172399A JP16172399A JP2000345426A JP 2000345426 A JP2000345426 A JP 2000345426A JP 16172399 A JP16172399 A JP 16172399A JP 16172399 A JP16172399 A JP 16172399A JP 2000345426 A JP2000345426 A JP 2000345426A
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JP
Japan
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heating
temperature
zone
synthetic fiber
producing
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Application number
JP16172399A
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English (en)
Inventor
Hiromi Yanase
広美 柳瀬
Hajime Kanbara
肇 神原
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Kansai Research Institute KRI Inc
Original Assignee
Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紡糸直結延伸法によって、非常に簡便な装置
を用いて、簡便な操作で実用的性能を有する熱可塑性合
成繊維を低コストで製造し得る方法を提供する。 【解決手段】 繊維形成性ポリマーを溶融して紡糸口金
3より紡出し、紡糸口金直下の前記ポリマーの溶融温度
(Tm)未満かつ紡出されたポリマーが実質的に結晶化
しない温度範囲(ΔT)の温度に保持された加熱曳糸帯
域4を通過させ、Tm−|ΔT|以上の温度を保ったま
ま紡出糸を加熱帯域7,8,9に導き、加熱帯域におい
て紡出糸を10倍未満、例えば1.5〜8倍に延伸し
て、巻取手段11で延伸糸を巻き取る。繊維の低コスト
化が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紡糸直結延伸法(d
irect spinning drawing) による熱可塑性合成繊維の製
造方法に関し、より詳しくは、非常に簡便な装置を用い
て、1段の延伸操作で実用的性能を有する熱可塑性合成
繊維を低コストかつ簡便に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ナイロン、ポリエステル等の
各種合成繊維はそれぞれ、衣料用、タイヤコード用など
の種々の用途に使用されている。このような熱可塑性合
成繊維の製造は、溶融紡糸法によって行われる場合が多
い。すなわち、例えば、「繊維便覧」(繊維機械学会
編、1994年3月25日、丸善発行)25〜29頁に記載の
ように、溶融ポリマーをエクストルーダ及びギヤポンプ
を用いて口金から押し出して糸条とし、糸条を紡糸筒内
を通過させ冷却風により冷却固化し、オイリングローラ
でオイルを付与し、ゴデットローラを通過させて巻取機
で巻取ることにより、熱可塑性合成繊維が製造される。
ここで得られた未延伸糸は、別工程の加熱延伸工程にお
いて延伸され、実用的な強度を有する延伸糸が得られ
る。冷却風による冷却の代わりに、紡出後の未延伸糸を
冷却水槽中に入れて、急冷することも行われている。
【0003】また、最近では、未延伸糸を巻き取ること
なく、延伸を行う紡糸直結延伸法(direct spinning dra
wing) も提案されている。例えば、ナイロンについて
は、特開平6−73612号公報(1994)に、ポリ
ヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法が記載されて
いる。同号公報には、ポリヘキサメチレンアジパミドと
ポリカプラミドとのブレンドポリマーを溶融押し出し
し、加熱筒で冷却を遅延した後、20℃の冷却風により
冷却固化して糸条を形成し、次いで糸条に非水系油剤を
付与し、2段以上の多段延伸を行うことが記載されてい
る。同号公報によれば、未延伸糸中の球晶の発生を抑制
するために非水系油剤を用いているが、溶融押し出しの
後、糸条を冷却固化しているために、結晶化が進んでし
まう。そのため、1段延伸のみでは十分な延伸操作を行
うことができず、所望の強度の繊維は得られない。多段
階延伸のためには、複雑な製造装置が必要となる。
【0004】特開平3−241008号公報(199
1)には、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の直接紡
糸延伸法が記載されている。同号公報には、ポリヘキサ
メチレンアジパミドを溶融紡糸し、加熱筒を通過させた
後、20℃の冷却風により冷却固化し、減圧下プラズマ
延伸することが記載されている。また同様に、特開平3
−287813号公報(1991)には、ポリカプラミ
ド繊維の直接紡糸延伸法が記載されている。同号公報に
は、ポリカプラミドを溶融紡糸し、加熱筒を通過させた
後、20℃の冷却風により冷却固化し、プラズマ延伸す
ることが記載されている。しかしながら、プラズマ延伸
するための特別の装置が必要となる。
【0005】ポリエステルについては、例えば、特開昭
60−259613号公報(1985)及び特開昭60
−259614号公報(1985)には、溶融ポリエチ
レンテレフタレートを加圧雰囲気紡糸筒内に吐出し、2
5℃の加圧冷却風で冷却固化した後、加熱延伸すること
が記載されている。しかしながら、両公報によれば、得
られた繊維の強度は5g/d程度と低く、製造装置が非
常に複雑である。
【0006】また、特開平3−199423号公報(1
991)にも、ポリエステル繊維の直接紡糸延伸法につ
いて、溶融ポリエチレンテレフタレートを加熱筒内に吐
出し、30℃の冷却風で冷却固化した後、プラズマ延伸
することが記載されている。しかしながら、プラズマ延
伸するための特別の装置が必要となる。
【0007】以上、いずれの直接紡糸延伸法において
も、加熱延伸する前に、糸条を一旦冷却固化しており、
そのため1段階での十分な延伸操作を行うことができ
ず、複雑な装置や複雑な操作を必要とする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記従来技術の欠点を解決し、紡糸直結延伸法によ
って、非常に簡便な装置を用いて、簡便な操作で実用的
性能を有する熱可塑性合成繊維を低コストで製造し得る
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、溶融ポリマーを紡出した後、冷却することなく
加熱延伸することによって、特別な装置及び特別な操作
を必要とせず、延伸することが可能になることを見出
し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、溶融紡糸可能な繊維
形成性ポリマーを溶融して紡糸口金より紡出し、紡糸口
金直下の高温雰囲気に保持された加熱曳糸帯域を通過さ
せ、紡出糸を冷却することなく加熱曳糸帯域下流の加熱
帯域に導き、加熱帯域において紡出糸を10倍未満の延
伸倍率で加熱延伸して、巻取手段を用いて延伸糸を巻き
取ることを含む、合成繊維の製造方法である。
【0011】本発明において、前記製造方法は、溶融さ
れた繊維形成性ポリマーを紡糸口金より紡出し、前記繊
維形成性ポリマーの溶融温度(Tm)未満かつ紡出され
たポリマーが実質的に結晶化しない温度範囲(ΔT)の
温度に保持された加熱曳糸帯域を通過させ、Tm−|Δ
T|以上の温度を保ったまま紡出糸を加熱帯域に導き、
加熱帯域において紡出糸を10倍未満の延伸倍率で加熱
延伸することを含むことが好ましい。
【0012】本発明において、溶融紡糸可能な繊維形成
性ポリマーは、例えば、ナイロン系ポリマー、ポリエス
テル、サーモトロピック液晶性ポリマー、及び前記ポリ
マーのブレンドポリマーからなる群から選ばれる。本発
明において、延伸倍率は10倍未満であり、例えば1.
5〜8倍である。
【0013】ナイロン系合成繊維を製造するには、ナイ
ロン系ポリマーを紡糸口金より紡出し、前記ナイロン系
ポリマーの溶融温度未満かつ100℃以上の温度に保持
された加熱曳糸帯域を通過させ、100℃以上の温度を
保ったまま紡出糸を加熱帯域に導き、加熱帯域において
10倍未満、例えば1.5〜8倍に加熱延伸するとよ
い。
【0014】前記ナイロン系ポリマーは、例えば、ポリ
カプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド(ナイロン66)、及びカプラミド繰り返し単位及
び/又はヘキサメチレンアジパミド繰り返し単位を80
モル%以上含むナイロン系コポリマーからなる群から選
ばれる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、溶融紡糸可
能な繊維形成性ポリマーのいずれにも適用することが可
能である。このような溶融紡糸可能な繊維形成性ポリマ
ーとしては、特に限定されることなく、例えば、ナイロ
ン系ポリマー、ポリエステル、サーモトロピック液晶性
ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは、ホモポ
リマーでもコポリマーのいずれであっても良い。また、
繊維形成性ポリマーのブレンドポリマーにも、本発明の
製造方法を適用することができる。これら繊維形成性ポ
リマーは、繊維の目的等に応じて種々選択すれば良い。
また、ポリマーに、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤等の公
知の各種添加剤を含ませることも可能である。
【0016】より詳しくは、ナイロン系ポリマーとして
は、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンア
ジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカ
ミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサ
メチレンイソフタラミド、ポリドデカメチレンドデカミ
ド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリパラキシリレ
ンアジパミド等、及びカプラミド繰り返し単位及び/又
はヘキサメチレンアジパミド繰り返し単位を80モル%
以上含むナイロン系コポリマー等が挙げられる。
【0017】ポリエステルとしては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン1,2−ジフェノキシエタンpp’−
ジカルボキシレート、ポリナフタレンテレフタレート、
脂肪族ポリエステル、例えばポリ乳酸等が挙げられる。
【0018】サーモトロピック液晶性ポリマーとして
は、例えば、主鎖にベンゼン環あるいはナフタレン環を
含むポリアリレート類、エステルやエーテル結合を介し
て側鎖を有するサーモトロピック液晶性のセルロース系
高分子等が挙げられる。
【0019】また、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化
エチレン−ポリフッ化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリフェ
ニレンサルファイド(PPS)等の溶融紡糸可能な熱可
塑性ポリマーを用いることもできる。
【0020】本発明の方法では、繊維形成性ポリマーを
溶融して、この溶融ポリマーを紡糸口金より紡出し、高
温雰囲気に保持された加熱曳糸帯域を通過させ、冷却す
ることなく紡出糸を加熱帯域に導き、加熱帯域において
紡出糸を10倍未満の延伸倍率で加熱延伸する。
【0021】ポリマーの溶融、紡糸口金よりの紡出は、
常法により行うことができる。溶融紡糸口金直下の加熱
曳糸帯域は、高温雰囲気に保持されていることが必要で
ある。この高温雰囲気とは、例えば、繊維形成性ポリマ
ーの溶融温度(Tm)未満の温度でかつ紡出されたポリ
マーが実質的に結晶化しない温度範囲(ΔT)の温度雰
囲気である。すなわち、加熱曳糸帯域の温度は、Tm−
|ΔT|(℃)≦加熱曳糸帯域温度<Tm(℃)で表す
ことができる。
【0022】ここで、紡出されたポリマーが「実質的に
結晶化しない」温度範囲とは、紡出された走行中の糸条
を形成するポリマーが「加熱延伸において、高延伸倍率
の加熱延伸が可能な程度までしか結晶化を起こさない」
温度範囲を意味する。この温度範囲(ΔT)は、用いる
繊維形成性ポリマーの種類、加熱曳糸帯域の長さ、紡出
された糸条の走行速度等によって変化する値であり、当
業者が検討し決定することができる。
【0023】加熱曳糸帯域を通過した紡出糸を冷却する
ことなく加熱帯域に導く。従来法のように、紡出糸を冷
却固化してしまうと、ポリマーの結晶化が進んでしまい
所望の加熱延伸操作が不可能となる。ここで「冷却する
ことなく」とは、例えば、Tm−|ΔT|(℃)以上の
温度を保ったままという意味である。この温度を保つこ
とによって、ポリマーが実質的に結晶化することなく加
熱帯域に導かれ、所望の加熱延伸が可能となる。
【0024】加熱帯域に導かれた紡出糸を、加熱帯域に
おいて10倍未満の延伸倍率で加熱延伸する。延伸倍率
は必ずしも高い倍率である必要はない。用いるポリオレ
フィンの種類や使用目的に応じて、実用上十分な物性値
となればよい。しかしながら、ポリマーの種類によって
も異なるが、例えば1.5〜8倍、又は1.5〜6倍程
度の延伸倍率で実用的な物性値が得られやすい。このよ
うな簡便な延伸操作は、溶融紡糸に直結した1段の延伸
操作では従来法では達成できなかった。また、より優れ
た物性値を得るためには、加熱帯域の温度範囲の最適化
を検討することが好ましい。この最適な温度範囲は、ポ
リマーの種類によって異なる。続いて、延伸糸を巻き取
る。
【0025】次に、本方法のナイロン系合成繊維の製造
への適用について説明する。ナイロン系合成繊維を製造
するには、上記方法において、ナイロン系ポリマーを紡
糸口金より紡出し、前記ナイロン系ポリマーの溶融温度
未満かつ100℃以上の温度に保持された加熱曳糸帯域
を通過させ、100℃以上の温度を保ったまま紡出糸を
加熱帯域に導き、加熱帯域において10倍未満の延伸倍
率で加熱延伸するとよい。
【0026】ナイロン系ポリマーの場合には、加熱曳糸
帯域の温度を前記ナイロン系ポリマーの溶融温度未満か
つ一般に100℃以上の温度に保持し、100℃以上の
温度を保持したまま加熱帯域に導入することによって、
ポリマーの実質的な結晶化を防ぐことができ、加熱帯域
において所望の延伸倍率、例えば1.5〜8倍、又は
1.5〜6倍程度の延伸を簡便に行うことが可能とな
る。
【0027】ナイロン系ポリマーとしては、上述したよ
うに公知の種々のナイロン系ポリマーを用いることがで
きるが、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメ
チレンアジパミド(ナイロン66)、カプラミド繰り返
し単位及び/又はヘキサメチレンアジパミド繰り返し単
位を80モル%以上含むナイロン系コポリマーが好まし
い。コポリマーにおける共重合成分は、特に限定されな
い。
【0028】ナイロン系ポリマーの種類によって、加熱
曳糸帯域の好ましい温度、及び加熱帯域の好ましい温度
が異なる。例えば、ナイロン系ポリマーとしてポリカプ
ラミドを用いた場合には、加熱曳糸部の温度を120℃
以上180℃以下の範囲に保持し、加熱帯域の温度を1
20℃以上140℃以下の範囲に保持することが好まし
い。このような温度範囲とすることによって、種々の延
伸倍率が可能となり、繊維物性値の調整も可能となりや
すい。
【0029】また、ナイロン系ポリマーとしてポリヘキ
サメチレンアジパミドを用いた場合には、加熱曳糸部の
温度を140℃以上214℃以下の範囲に保持し、加熱
帯域の温度を170℃以上190℃未満の範囲に保持す
ることが好ましい。このような温度範囲とすることによ
って、種々の延伸倍率が可能となり、繊維物性値の調整
も可能となりやすい。
【0030】ナイロン系ポリマー以外の他のポリマーに
ついても、ポリマーの種類によって、加熱曳糸帯域の好
ましい温度、及び加熱帯域の好ましい温度範囲が異な
が、最適な条件を選択するとよい。
【0031】本発明の方法において、加熱曳糸帯域は、
特に限定されないが、紡糸筒又は曳糸用加熱板により構
成されることが好ましい。また、この帯域に熱風を供給
することも考えられるが、熱風の供給では、雰囲気温度
の制御が難しく、風の流れによっては糸条を冷却してし
まう場合すらある。
【0032】加熱帯域は、加熱曳糸帯域の下流に設けら
れる。加熱曳糸帯域を通過した糸条の温度を下げないた
めに、加熱帯域と加熱曳糸帯域との距離は、なるべく短
い方が好ましい。例えば0〜1000mm程度、実際の
製造装置では例えば200〜1000mm程度である。
あるいは、加熱曳糸帯域及び加熱帯域の全体を加熱筒で
おおって、両帯域を連続的に配置してもよい。この場合
には、両帯域間の距離は実質的に0mmとなる。
【0033】本発明の方法において、加熱帯域は、加熱
帯域において、あるいは加熱帯域と巻取手段との間で延
伸が行われるように構成されていればよく、公知の加熱
手段、例えば、特に限定されないが、ヒートロール、加
熱ピン、ピン、加熱筒、加熱板等の加熱手段によって構
成することができる。
【0034】また、所望の延伸を行うため、加熱帯域が
複数の加熱帯域からなっていてもよく、例えば第1加熱
帯域及び第2加熱帯域からなっていてもよい。このよう
な場合、第1加熱帯域が、ヒートロール、加熱ピン及び
ピンから選ばれる少なくとも1種の加熱手段により構成
されるとよい。また、第2加熱帯域が、加熱筒又は加熱
板により構成されるとよい。
【0035】本発明の方法において、延伸が主として加
熱帯域(加熱帯域が第1帯域及び第2帯域からなる場合
には、主として第1加熱帯域)で行われても良い。ま
た、加熱帯域と巻取手段との間でさらに延伸を行っても
よい。延伸がどこで行われるかは、操作条件によって変
更可能である。
【0036】本発明の方法において、溶融紡糸口金から
加熱帯域(加熱帯域が第1帯域及び第2帯域からなる場
合には、第2加熱帯域)までの間に繊維油剤(オイル)
付与を行わないことが好ましい。繊維油剤付与を行う場
合は、(加熱帯域が第1帯域及び第2帯域からなる場合
には、第2)加熱帯域よりも下流のいずれか、例えば巻
取りの直前で行う。未延伸糸に繊維油剤を付与すると、
繊維が冷却され結晶化が進むので、これを回避するため
に紡糸工程−延伸工程間では繊維油剤(オイル)付与を
行わないことが好ましい。
【0037】また、本方法において、(加熱帯域が第1
帯域及び第2帯域からなる場合には、第2)加熱帯域と
巻取手段との間で、又は延伸糸を巻き取った後に、緊張
又は定長熱処理して熱固定することも可能である。緊張
又は定長熱処理は、常法により行うことができる。
【0038】本発明の製造方法によれば、溶融ポリマー
を紡糸口金より紡出し、高温雰囲気に保持された加熱曳
糸帯域を通過させ、冷却することなく、例えばTm−|
ΔT|(℃)以上の温度を保ったまま紡出糸を加熱帯域
に導き、ポリマーが実質的に結晶化することを防ぐの
で、特別な装置及び特別な操作を必要とせず、加熱帯域
において簡便に加熱延伸することができる。その結果、
実用上十分な性能を有する熱可塑性合成繊維を簡便に製
造することができ、合成繊維の低コスト化が達成され
る。
【0039】次に、図1を参照して、本発明をより具体
的に説明する。図1は、本発明の製造方法を実施するた
めの紡糸延伸装置の一例の概略を示す図である。
【0040】図1において、溶融押し出し機構は主とし
て、溶融ポリマーを供給するためのエクストルーダ(1)
、吐出量を正確に制御するためのギヤポンプ(2) 、及
び紡糸口金(3) により構成されている。紡糸口金(3) 直
下には、加熱曳糸帯域として、長さ200〜1000m
m程度の空気浴加熱筒(4) が設けられている。この加熱
筒(4) は、ヒーター(5) により加熱されるように成され
ている。加熱筒(4) の下方には、20〜200mm程度
の距離(L) をおいて、第1加熱帯域としてのヒートロー
ル(7) 及び(8) が設けられている。距離(L) は、実際の
製造装置では例えば200〜500mm程度であっても
よい。ヒートロール(7)及び(8) は、直径20〜150
mm程度、奥行き100mm程度の円筒形状のものであ
り、通常2個用いる。ヒートロール(8) の直ぐ下方に
は、第2加熱帯域としての長さ300〜2000mm程
度の空気浴加熱筒(9) が設けられている。加熱筒の代わ
りに加熱板を採用してもよい。加熱筒(9) の下方には、
ガイドロール(10)が配され、さらに巻取り機(11)が設け
られている。なお、ガイドロールは、適宜配置すること
ができる。
【0041】このような構成の装置を用いて、溶融ポリ
マーを紡糸口金(3) より紡出し、高温雰囲気に保持され
た加熱筒(4) 内を通過させ、冷却することなく紡出糸
(Y) をヒートロール(7) 及び(8) に導き、ポリマーが実
質的に結晶化することを防ぐ。そして、ヒートロール
(7) 及び(8) の間で、あるいはヒートロール(7) 及び
(8)と巻取り機(11)との間で、所望の延伸倍率で加熱延
伸する。
【0042】例えば、ポリカプラミドを用いた場合に
は、加熱筒(4) 内温度を120℃以上180℃以下、例
えば140℃として、ヒートロール(7) (8) の表面温度
及び加熱筒(9) の温度を120℃以上160℃以下、好
ましくは120℃以上140℃以下、特に好ましくは1
27℃以上138℃以下とするとよい。また、ポリヘキ
サメチレンアジパミドを用いた場合には、加熱筒(4) 内
温度を140℃以上214℃以下、例えば200℃とし
て、ヒートロール(7) 及び(8)の表面温度を170℃以
上190℃未満として、加熱筒(9) の温度を170℃以
上200℃以下とするとよい。
【0043】なお、糸をヒートロール(7) 及び/又は
(8) に数回周回させてもよい。また、加熱筒(9) と巻取
り機(11)との間で緊張又は定長熱処理して熱固定しても
よいし、又は延伸糸を巻き取った後に、別工程で緊張又
は定長熱処理して熱固定してもよい。
【0044】また、本発明の製造方法を実施するため
に、図2に示す紡糸延伸装置を用いることも可能であ
る。すなわち、図2は、本発明の製造方法を実施するた
めの紡糸延伸装置の一例の概略を示す図である。
【0045】図2において、エクストルーダ(1) 、ギヤ
ポンプ(2) 、及び紡糸口金(3) により構成される溶融押
し出し機構は図1のものと同じである。紡糸口金(3) 直
下には、加熱曳糸帯域として、ヒーター(16)を備えた加
熱筒(15)が設けられている。第1加熱帯域として、加熱
筒(15)の直ぐ下流に連続的に加熱筒(17)が設けられてい
る。加熱筒(17)は、ヒーター(18)により加熱されるよう
に成され、加熱筒(17)の内部には、熱ローラー(21)(22)
(23)が配されている。そして、第2加熱帯域として、加
熱筒(17)の直ぐ下流に連続的に加熱筒(19)が設けられ、
加熱筒(19)はヒーター(20)を備える。加熱筒(19)の下方
には、ガイドロール(24)が配され、さらに巻取り機(25)
が設けられている。
【0046】このような構成の装置を用いて、溶融ポリ
マーを紡糸口金(3) より紡出し、高温雰囲気に保持され
た加熱筒(15)内を通過させ、直ぐに加熱筒(17)内に導
き、ポリマーが実質的に結晶化することを防ぐ。そし
て、熱ローラー(21)(22)(23)の間で、あるいは熱ローラ
ー(21)(22)(23)と巻取り機(25)との間で、所望の延伸倍
率で加熱延伸する。本発明の製造方法を実施するため
に、2つの紡糸延伸装置例を示したが、この他にも種々
の紡糸延伸装置が考えられる。
【0047】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。実施例においては、図1に示す装置を用いて紡糸延
伸を行った。また、引張強度、引張弾性率及び破断伸度
の測定は、ASTMメソッドD3379−75(197
5)に従って行った。
【0048】[実施例1−ナイロン66の製造]ナイロ
ン66ポリマーチップ(メルトインデックス(MI)=
4.5g/分、市販品(東洋紡社製))を使用して、以
下の条件で紡糸延伸を行った。 (紡糸延伸条件) (1)フィラメントの巻取り速度:200〜600m/
分 (2)フィラメント数:8、単糸繊度:2.1〜6.8
デニール (3)ポリマー吐出量:0.1〜0.6g/分/ホール (4)ギヤポンプ(2) 及び紡糸口金(3) の温度:280
℃ (5)加熱曳糸帯域−加熱筒(4) 温度:200℃、長
さ:400mm (6)距離(L) :50mm (7)第1加熱延伸帯域−延伸ロール(7) 及び(8) (共
に直径30mm、奥行き70mm) 延伸ロール(7) 及び(8) の温度:180℃ 延伸ロール(7) 及び(8) の表面速度:10m/分 (8)第2加熱延伸帯域−加熱筒(9) 温度:200℃、
長さ:500mm (9)延伸倍率:1.5倍、3.5倍又は5.0倍に変
化させた。 上記紡糸延伸条件で得られたナイロン66の引張強度、
引張弾性率、破断伸度の各物性値を測定したところ、表
1に示す結果であった。
【0049】
【表1】
【0050】表1から、延伸倍率1.5倍、3.5倍又
は5.0倍によって、異なる物性値を有するナイロン6
6が得られた。いずれも、用途によって実用的な性能で
ある。この実施例では、加熱延伸帯域の温度(延伸ロー
ル(7) (8) の温度):180℃で行ったが、この温度を
最適化することによって、同じ延伸倍率でもより良い物
性値を有するナイロン66が得られるであろう。
【0051】実施例1は、ナイロン系合成繊維の製造例
であり、ポリマーの種類に応じて、加熱曳糸帯域の温度
や長さ、加熱曳糸帯域と加熱帯域との距離(L) 、加熱帯
域の温度等の種々の条件を最適化することによって、さ
らに高物性値を有するナイロン系合成繊維が得られるで
あろう。
【0052】また、本発明の製造方法は、溶融紡糸可能
なすべての繊維形成性ポリマーに適用することが可能で
ある。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例
示にすぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、請
求の範囲の均等範囲に属する変更は、すべて本発明の範
囲内のものである。
【0053】
【発明の効果】本発明の合成繊維の製造方法によれば、
上述のように、ポリマーを実質的に結晶化させることな
く紡出糸を加熱帯域に導き、加熱帯域において加熱延伸
するので、延伸操作の自由度が大きく、所望の延伸倍率
で種々の実用的物性値の繊維を製造することができる。
また、従来法のように紡出糸を冷却固化させないので、
延伸のための特別な装置及び特別な操作を必要とせず、
非常に簡便な装置及び操作で実用的性能を有する熱可塑
性合成繊維を製造することができる。その結果、合成繊
維製造の低コスト化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法を実施するための紡糸延伸
装置の一例の概略を示す図である。
【図2】 本発明の製造方法を実施するための紡糸延伸
装置の一例の概略を示す図である。
【符号の説明】
(1) :エクストルーダ (2) :ギヤポンプ (3) :紡糸口金 (4) :加熱筒(加熱曳糸帯域) (5) :ヒーター (L) :加熱筒(4) とヒートロール(7) との距離 (7) (8) :ヒートロール(第1加熱延伸帯域) (9) :加熱筒(第2加熱延伸帯域) (10):ガイドロール (11):巻取り機 (Y) :糸条
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Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融紡糸可能な繊維形成性ポリマーを溶
    融して紡糸口金より紡出し、紡糸口金直下の高温雰囲気
    に保持された加熱曳糸帯域を通過させ、紡出糸を冷却す
    ることなく加熱曳糸帯域下流の加熱帯域に導き、加熱帯
    域において紡出糸を10倍未満の延伸倍率で加熱延伸し
    て、巻取手段を用いて延伸糸を巻き取ることを含む、合
    成繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融された繊維形成性ポリマーを紡糸口
    金より紡出し、前記繊維形成性ポリマーの溶融温度(T
    m)未満かつ紡出されたポリマーが実質的に結晶化しな
    い温度範囲(ΔT)の温度に保持された加熱曳糸帯域を
    通過させ、Tm−|ΔT|以上の温度を保ったまま紡出
    糸を加熱帯域に導き、加熱帯域において紡出糸を10倍
    未満の延伸倍率で加熱延伸することを含む、請求項1に
    記載の合成繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融紡糸可能な繊維形成性ポリマーが、
    ナイロン系ポリマー、ポリエステル、サーモトロピック
    液晶性ポリマー、及び前記ポリマーのブレンドポリマー
    からなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の合成
    繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 延伸倍率が1.5〜8倍である、請求項
    1〜3のうちのいずれか1項に記載の合成繊維の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ナイロン系ポリマーを紡糸口金より紡出
    し、前記ナイロン系ポリマーの溶融温度未満かつ100
    ℃以上の温度に保持された加熱曳糸帯域を通過させ、1
    00℃以上の温度を保ったまま紡出糸を加熱帯域に導
    き、加熱帯域において加熱延伸することを含む、請求項
    1〜4のうちのいずれか1項に記載の合成繊維の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ナイロン系ポリマーが、ポリカプラミド
    (ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイ
    ロン66)、及びカプラミド繰り返し単位及び/又はヘ
    キサメチレンアジパミド繰り返し単位を80モル%以上
    含むナイロン系コポリマーからなる群から選ばれる少な
    くとも1種である、請求項5に記載の合成繊維の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 ナイロン系ポリマーとしてポリカプラミ
    ドを用いて、加熱曳糸帯域の温度を120℃以上180
    ℃以下の範囲に保持し、加熱帯域の温度を120℃以上
    140℃以下の範囲に保持する、請求項5に記載の合成
    繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 ナイロン系ポリマーとしてポリヘキサメ
    チレンアジパミドを用いて、加熱曳糸帯域の温度を14
    0℃以上214℃以下の範囲に保持し、加熱帯域の温度
    を170℃以上190℃未満の範囲に保持する、請求項
    5に記載の合成繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】 加熱曳糸帯域が、紡糸筒又は加熱板によ
    り構成される、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記
    載の合成繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】 加熱帯域が、第1加熱帯域及び第2加
    熱帯域からなる、請求項1〜9のうちのいずれか1項に
    記載の合成繊維の製造方法。
  11. 【請求項11】 第1加熱帯域が、ヒートロール、加熱
    ピン及びピンから選ばれる少なくとも1種の加熱手段に
    より構成される、請求項10に記載の合成繊維の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 第2加熱帯域が、加熱筒又は加熱板に
    より構成される、請求項10又は11に記載の合成繊維
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 延伸が主として加熱帯域で行われる、
    請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載の合成繊維
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 加熱帯域と巻取手段との間でさらに延
    伸を行う、請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載
    の合成繊維の製造方法。
  15. 【請求項15】 溶融紡糸口金から加熱帯域までの間に
    繊維油剤(オイル)付与を行わない、請求項1〜14の
    うちのいずれか1項に記載の合成繊維の製造方法。
  16. 【請求項16】 加熱帯域と巻取手段との間で、又は延
    伸糸を巻き取った後に、緊張又は定長熱処理して熱固定
    することが可能である、請求項1〜15のうちのいずれ
    か1項に記載の合成繊維の製造方法。
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