JP2000343704A - 液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ、液体吐出装置、および前記液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ、液体吐出装置、および前記液体吐出ヘッドの製造方法

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JP2000343704A
JP2000343704A JP15836599A JP15836599A JP2000343704A JP 2000343704 A JP2000343704 A JP 2000343704A JP 15836599 A JP15836599 A JP 15836599A JP 15836599 A JP15836599 A JP 15836599A JP 2000343704 A JP2000343704 A JP 2000343704A
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Masahiko Kubota
雅彦 久保田
Yoshiyuki Imanaka
良行 今仲
Akihiro Yamanaka
昭弘 山中
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
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    • B41J2/01Ink jet
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    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
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  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子基板と天板の互いの機能素子あるいは電
気回路同士が電気的に接続されるように素子基板と天板
とを接合する際に、素子基板と天板との位置合わせが容
易で、製造する際の歩留りの向上が可能な液体吐出ヘッ
ドを実現する。 【解決手段】 天板3では、天板3の機能素子あるいは
電気回路と電気的に接続された接続用コンタクトパッド
18の面上に金バンプ95が形成される。素子基板1
に、発熱体および接続用コンタクトパッド14が形成さ
れ、接続用コンタクトパッド14の周囲に形成された壁
部92と、接続用コンタクトパッド14と、接続用コン
タクトパッド14面上のAu膜とから、凹部93を備え
た凹電極部94が構成される。素子基板1と天板3とを
接合する際に凹部93内に金バンプ95を入り込ませ、
接続用コンタクトパッド14上のAu膜と金バンプ95
を溶融して、金バンプ95とそのAu膜との間で、金属
の共晶を利用した接合を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、ワープロ、ホストコンピュータ等の出力用端末と
してのプリンタ、ビデオプリンタ等に用いられる液体吐
出ヘッド、およびその液体吐出ヘッドを有する液体吐出
装置に関し、特に記録のために液体を吐出させるエネル
ギーとして利用される熱エネルギーを発生する電気熱変
換体が形成された素子基板を有する液体吐出ヘッド、そ
の液体吐出ヘッドを有するヘッドカートリッジ、液体吐
出装置、およびその液体吐出ヘッドの製造方法に関す
る。すなわち、記録用のインク等の液体を飛翔液滴とし
て吐出口(オリフィス)から吐出させて、その液体を記
録媒体に付着させることによって記録を行う液体吐出記
録装置に用いられる液体吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】液体吐出装置、特にインクジェット記録
装置は、ノンインパクト記録として、静けさ(サイレン
ト)の要求される現代のビジネスオフィスやその他の事
務処理部門において強く望まれている傍ら、高密度で高
速記録が可能であるという点で、さらに、保守が比較的
容易である、あるいはメンテナンスフリーになりうると
いう点において、開発、改良が計られているものであ
る。
【0003】そのようなインクジェット記録装置の中
で、特開昭54−59936号公報に開示されているイ
ンクジェット記録装置は、記録媒体の小滴が所定の方向
に吐出するためのオリフィスを有するノズルと、該ノズ
ル内に記録媒体を供給するための手段と、熱変換エネル
ギーを発生する手段とを有するものである。そのインク
ジェット記録装置では、その構造的な特徴から高密度で
高速記録が充分可能であり、かつ、被記録媒体の全幅と
ほぼ同じ幅のノズル列を有する記録ヘッド、いわゆるフ
ルライン記録ヘッドの設計および製造が極めて容易であ
る。従って、そのような記録ヘッドおよびインクジェッ
ト記録装置が熱望されている。
【0004】さらに、従来のインクジェットヘッド、す
なわち従来の液体吐出ヘッドとしては、特公平62−4
8585号公報に記載されているように、ノズル内に複
数の発熱素子を設けた多値出力のカラーインクジェット
ヘッドがある。この多値出力のカラーインクジェットヘ
ッドは、例えば、ノズル内にn個の発熱素子を設けてそ
れぞれの発熱素子を個別に駆動ドライバに接続し、発熱
素子を独立に駆動できるように構成されており、さら
に、1つのノズル内で発熱素子の発熱量がそれぞれ異な
るように各発熱素子のサイズが異なっている。この時、
n個の発熱素子による記録ドットがそれぞれ異なり、同
時に駆動させる発熱素子の組み合わせにより、{nn-1
nn-2+・・・+n2n1+1}通りの記録ドット
を形成することができる。つまり、1つのノズルで、{
nn-1nn-2+・・・+n2n1+1}値の階調性
を得ることができる。
【0005】さらに、特開平5−155037号公報に
は、発熱素子の配列およびインク流路の配列を低密度で
形成し、インクジェットヘッドのインターレース駆動に
より高密度の記録を達成する方法が記載されている。
【0006】従来の液体吐出ヘッドは一般的に、電気熱
変換体などの発熱体が複数形成された第1の基板として
の素子基板と、その素子基板に接合された第2の基板と
しての天板とから主に構成されている。それら素子基板
と天板との間に、共通液室、および共通液室とそれぞれ
連通した複数の液流路が形成されている。複数の液流路
にはそれぞれ、素子基板に形成された発熱体が配置され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような、発熱
体が形成された素子基板と、その素子基板に接合された
天板とから構成された液体吐出ヘッドでは、発熱体の駆
動条件を制御するための、機能が異なる複数の素子ある
いは電気回路をそれぞれ、その機能に応じて素子基板と
天板とに振り分けることにより、液体吐出ヘッドを小型
化することが可能である。このように、機能素子あるい
は電気回路を素子基板と天板とに振り分けた場合、素子
基板および天板の互いの素子あるいは電気回路同士を確
実に電気的に接続した状態で素子基板と天板とを接合す
る必要がある。具体的な方法としては、素子基板および
天板のそれぞれに接続用コンタクトパッドを形成してお
き、素子基板と天板の互いの接続用コンタクトパッド同
士を接触させた状態で素子基板と天板とを接合する方法
がある。これにより、素子基板および天板の互いの機能
素子あるいは電気回路同士を、それらの接続用コンタク
トパッドを介して電気的に接続することができる。この
方法を用いた場合、素子基板と天板の互いの接続用コン
タクトパッド同士が接触して電気的に接続された状態で
素子基板と天板とを接合するために、素子基板と天板と
の位置合わせを所定の位置精度で行う必要がある。
【0008】本発明の目的は、エネルギー変換素子の駆
動条件を制御するための、機能が異なる複数の素子ある
いは電気回路がそれぞれ、その機能に応じて素子基板と
天板とに振り分けられた液体吐出ヘッドで、素子基板と
天板の互いの機能素子あるいは電気回路同士が電気的に
接続されるように素子基板と天板とを接合する際に、素
子基板と天板との位置合わせが容易で、製造する際の歩
留りの向上が可能な液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッ
ドを有するヘッドカートリッジや液体吐出装置、および
液体吐出ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、液体を吐出する複数の吐出口と、互いに
接合されることでそれぞれ前記吐出口と連通する複数の
液流路を構成するための第1の基板および第2の基板
と、電気エネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネル
ギーに変換するために前記各液流路内に配された複数の
エネルギー変換素子と、前記エネルギー変換素子の駆動
条件を制御するための、機能が異なる複数の素子あるい
は電気回路とを有し、前記素子あるいは電気回路がその
機能に応じて前記第1の基板と前記第2の基板とに振り
分けられた液体吐出ヘッドであって、前記第1の基板ま
たは前記第2の基板のうちいずれか一方の基板に、前記
第1および第2の基板の互いの素子あるいは電気回路同
士を電気的に接続するための複数の凸電気接続部が形成
され、前記第1の基板または前記第2の基板のうちの他
方の基板に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合
した際に前記複数の凸電気接続部とそれぞれ係合すると
共に前記凸電気接続部と電気的に接続される複数の凹電
気接続部が形成されている。
【0010】また、上記の液体吐出ヘッドでは、前記凸
電気接続部と前記凹電気接続部とが共晶接合されている
ことが好ましい。具体的には、前記凸電気接続部が、前
記一方の基板に備えられた電極上に形成された金属バン
プであり、かつ、前記凹電気接続部の、前記凸電気接続
部と接触する部分における少なくとも一部が金属部分で
あり、前記金属バンプと前記金属部分とが共晶接合され
ている。
【0011】さらに、前記凹電気接続部の側壁部が、前
記液流路を構成するための液流路形成部材の一部から構
成され、前記凹電気接続部が、前記液流路を形成するた
めに前記液流路形成部材の、前記液流路に対応する部分
を除去する際に前記液流路形成部材の所定の部分を除去
することにより形成されたものであることが好ましい。
【0012】さらに、前記凸電気接続部の材料、および
前記凹電気接続部の少なくとも一部の材料として、金、
銅、白金、タングステン、アルミニウムまたはルテニウ
ムのうちいずれかの金属、あるいは金、銅、白金、タン
グステン、アルミニウムまたはルテニウムのうちいずれ
かの金属を含む合金を用いることができる。
【0013】さらに、前記第1基板および前記第2の基
板がシリコン材料で構成され、前記素子あるいは電気回
路が、半導体ウェハプロセス技術を用いて前記第1の基
板および前記第2の基板に形成されていることが好まし
い。
【0014】さらに、前記エネルギー変換素子が、液体
に熱エネルギーを作用させることで液体に気泡を発生さ
せるものであり、前記液流路には、前記エネルギー変換
素子に面して配され、前記吐出口に向かう下流側が自由
端となる可動部材が設けられていてもよい。前記エネル
ギー変換素子としては発熱抵抗素子を用いることができ
る。
【0015】上記の通りの発明では、エネルギー変換素
子の駆動条件を制御するための、機能が異なる複数の素
子あるいは電気回路がそれぞれ、その機能に応じて第1
の基板と第2の基板とに振り分けられた液体吐出ヘッド
で、第1の基板または第2の基板のうちいずれか一方の
基板に複数の凸電気接続部が形成され、他方の基板に、
それら複数の凸電気接続部とそれぞれ係合すると共に凸
電気接続部と電気的に接続される複数の凹電気接続部が
形成されていることにより、第1と第2の基板を接合す
る際に凸電気接続部と凹電気接続部とを係合させること
で、第1と第2の基板の、ある程度の位置決めを行うこ
とが可能となる。また、凹電気接続部の側壁部を構成す
る側壁が、例えばシリコンを含む堅い側壁である場合
に、凸電気接続部と凹電気接続部とにおける金属間の溶
融を伴う共晶結合を行うことで、その堅い側壁によって
第1の基板と第2の基板との位置精度を向上させること
ができる。さらに、このように第1および第2の基板に
凸電気接続部および凹電気接続部を設けて、凸電気接続
部と凹電気接続部との共晶接合を利用して第1の基板と
第2の基板とを接合することにより、第1および第2の
基板としてウェハを用いた場合にウェハ間での接合が可
能になり、液体吐出ヘッドを製造する際の歩留りが向上
する。その結果、液体吐出ヘッドの製造コストを下げる
ことができる。また、本発明は、液体を吐出する複数の
吐出口と、互いに接合されることでそれぞれ前記吐出口
と連通する複数の液流路を構成するための第1の基板お
よび第2の基板と、電気エネルギーを前記液流路内の液
体の吐出エネルギーに変換するために前記各液流路内に
配された複数のエネルギー変換素子と、前記エネルギー
変換素子の駆動条件を制御するための、機能が異なる複
数の素子あるいは電気回路とを有し、前記素子あるいは
電気回路がその機能に応じて前記第1の基板と前記第2
の基板とに振り分けられた液体吐出ヘッドであって、前
記第1の基板および前記第2の基板は、前記第1および
第2の基板の互いの素子あるいは電気回路同士を電気的
に接続するための電気接続部をそれぞれ備えると共に、
前記第1の基板の電気接続部と前記第2の基板の電気接
続部とが共晶接合されている。
【0016】上記の発明では、第1および第2の基板
に、互いの素子あるいは電気回路同士を電気的に接続す
るための電気接続部が備えられ、第1および第2の基板
の互いの電気接続部同士が共晶接合されていることによ
り、その共晶接合を利用して第1の基板と第2の基板と
を接合することができる。これにより、第1および第2
の基板としてウェハを用いた場合にウェハ間での接合が
可能になり、液体吐出ヘッドを製造する際の歩留りが向
上する。その結果、液体吐出ヘッドの製造コストを下げ
ることができる。この場合、前記第1の基板と前記第2
の基板には、互いに係合するための、前記電気接続部と
は異なる係合部を備えることが好ましい。さらに、本発
明のヘッドカートリッジは、上記の液体吐出ヘッドと、
該液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器
とを有する。
【0017】さらに、本発明の液体吐出装置は、上記の
液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出さ
せるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有
する。
【0018】さらに、本発明の液体吐出装置は、上記の
液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液
体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と
を有する。
【0019】上記の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッ
ドから液体を吐出して被記録媒体に前記液体を付着させ
ることで記録を行うものである。
【0020】さらに、本発明の液体吐出ヘッドの製造方
法は、液体を吐出する複数の吐出口と、互いに接合され
ることでそれぞれ前記吐出口と連通する複数の液流路を
構成するための第1の基板および第2の基板と、電気エ
ネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネルギーに変換
するために前記各液流路内に配された複数のエネルギー
変換素子と、前記エネルギー変換素子の駆動条件を制御
するための、機能が異なる複数の素子あるいは電気回路
とを有し、前記素子あるいは電気回路がその機能に応じ
て前記第1の基板と前記第2の基板とに振り分けられた
液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記第1の基板ま
たは前記第2の基板のうちいずれか一方の基板に、前記
第1および第2の基板の互いの素子あるいは電気回路同
士を電気的に接続するための複数の凸電気接続部を形成
する工程と、前記第1の基板または前記第2の基板のう
ちの他方の基板に、前記複数の凸電気接続部とそれぞれ
係合すると共に前記凸電気接続部と電気的に接続される
複数の凹電気接続部を形成する工程と、前記第1の基板
と前記第2の基板とを接合させる際に前記複数の凸電気
接続部をそれぞれ対応する前記複数の凹電気接続部に係
合させる工程とを有する。
【0021】また、前記第1の基板と前記第2の基板と
を接合する工程では、前記凸電気接続部と前記凹電気接
続部とを共晶接合する。
【0022】さらに、前記凹電気接続部の側壁部が、前
記液流路を構成するための液流路形成部材の一部から構
成されたものであり、前記液流路形成部材の、前記液流
路に対応する部分を除去して前記液流路を形成する際
に、前記液流路に対応する部分と共に前記液流路形成部
材の所定の部分を除去することで前記凹電気接続部の凹
状の形状を形成する工程から、前記凹電気接続部を形成
する工程が構成されていることが好ましい。
【0023】上記の通りの発明による液体吐出ヘッドの
製造方法では、エネルギー変換素子の駆動条件を制御す
るための、機能が異なる複数の素子あるいは電気回路が
それぞれ、その機能に応じて第1の基板と第2の基板と
に振り分けられた液体吐出ヘッドを製造する際に、第1
の基板または第2の基板のうちいずれか一方の基板に複
数の凸電気接続部を形成し、他方の基板に、それら複数
の凸電気接続部とそれぞれ係合すると共に凸電気接続部
と電気的に接続される複数の凹電気接続部を形成するこ
とにより、第1と第2の基板を接合する際に複数の凸電
気接続部をそれぞれ対応する複数の凹電気接続部とを係
合させることで、第1と第2の基板の、ある程度の位置
決めを行うことが可能となる。また、凹電気接続部の側
壁部を構成する側壁が、例えばシリコンを含む堅い側壁
である場合に、凸電気接続部と凹電気接続部とにおける
金属間の溶融を伴う共晶結合を行うことで、その堅い側
壁によって第1の基板と第2の基板との位置精度を向上
させることができる。さらに、このように第1および第
2の基板に凸電気接続部および凹電気接続部を設けて、
凸電気接続部と凹電気接続部との共晶接合を利用して第
1の基板と第2の基板とを接合することにより、第1お
よび第2の基板としてウェハを用いた場合にウェハ間で
の接合が可能になり、液体吐出ヘッドを製造する際の歩
留りが向上する。その結果、液体吐出ヘッドの製造コス
トを下げることができる。
【0024】さらに、本発明の液体吐出ヘッドの製造方
法は、液体を吐出する複数の吐出口と、互いに接合され
ることでそれぞれ前記吐出口と連通する複数の液流路を
構成するための第1の基板および第2の基板と、電気エ
ネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネルギーに変換
するために前記各液流路内に配された複数のエネルギー
変換素子と、前記エネルギー変換素子の駆動条件を制御
するための、機能が異なる複数の素子あるいは電気回路
とを有し、前記素子あるいは電気回路がその機能に応じ
て前記第1の基板と前記第2の基板とに振り分けられた
液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記第1および第
2の基板の互いの素子あるいは電気回路同士を電気的に
接続するための第1の電気接続部を備えた前記第1の基
板が複数設けられた第1のシリコンウェハを用意する工
程と、前記第1および第2の基板の互いの素子あるいは
電気回路同士を電気的に接続するための第2の電気接続
部を備えた前記第2の基板が複数設けられた第2のシリ
コンウェハを用意する工程と、前記第1のシリコンウェ
ハと前記第2のシリコンウェハとを、前記第1の電気接
続部と前記第1の電気接続部に対応する前記第2の電気
接続部とが対応するように当接させる当接工程と、前記
当接工程の後、前記第1の電気接続部と前記第1の電気
接続部に対応する前記第2の電気接続部とを共晶接合に
より接合する接合工程と、前記接合工程の後、接合され
た前記第1のシリコンウェハおよび前記第2のシリコン
ウェハを一体的に切断する切断工程とを有する。
【0025】上記の発明では、一体化された第1のシリ
コンウェハおよび第2のシリコンウェハを切断する際
に、第1と第2の電気接続部の共晶結合により第1と第
2のシリコンウェハの接合は剥離したり、ずれたりする
ことがないので、同時に複数の液体吐出ヘッド(ヘッド
チップ)を歩留りよく作ることができる。このような製
造方法では、各ヘッドの第1の基板と第2の基板とをヘ
ッド毎に位置合わせする場合に比べ、位置合わせをする
回数を大幅に減らすことできるので、さらに生産性が向
上する。
【0026】上記の発明の液体吐出ヘッドの製造方法で
は、前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部
はそれぞれ複数設けられると共に、前記第1の電気接続
部または前記第2の電気接続部のいずれか一方が凸形状
であり、他方が、前記凸形状の電気接続部と電気的に接
続される凹形状であることが好ましい。
【0027】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(または可動
部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関し
て、またはこの構成上の方向に関しての表現として用い
られる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明に適用可能な一実施
形態として、液体を吐出する複数の吐出口と、互いに接
合されることでそれぞれ吐出口と連通する複数の液流路
を構成するための第1の基板および第2の基板と、電気
エネルギーを液流路内の液体の吐出エネルギーに変換す
るために各液流路内に配された複数のエネルギー変換素
子と、エネルギー変換素子の駆動条件を制御するため
の、機能が異なる複数の素子あるいは電気回路とを有
し、上記素子あるいは電気回路がその機能に応じて第1
の基板と第2の基板とに振り分けられている液体吐出ヘ
ッドの説明を行う。
【0029】図1は、本発明の一実施形態である液体吐
出ヘッドの液流路方向に沿った断面図である。
【0030】図1に示すように、この液体吐出ヘッド
は、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与え
る複数個(図1では1つのみ示す)の発熱体2が並列に
設けられた第1の基板である素子基板1と、この素子基
板1上に接合された第2の基板である天板3と、素子基
板1および天板3の前端面に接合されたオリフィスプレ
ート4と、素子基板1と天板3とで構成される液流路7
内に設置された可動部材6とを有する。
【0031】素子基板1は、シリコン等の基板上に絶縁
および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜または窒化シリ
コン膜を成膜し、その上に、発熱体2を構成する電気抵
抗層および配線をパターニングしたものである。この配
線から電気抵抗層に電圧を印加し、電気抵抗層に電流を
流すことで発熱体2が発熱する。
【0032】素子基板1の面上には、各発熱体2に対応
した複数の液流路7、および各液流路7に液体を供給す
るための共通液室8を構成するための部材が形成されて
おり、その面上には、各発熱体2の間に延びる流路側壁
9が設けられている。素子基板1、および素子基板1上
の部材はシリコン系の材料で構成されており、液流路7
および共通液室8のパターンをエッチングで形成した
り、シリコン基板上にCVD等の公知の成膜方法により
窒化シリコン、酸化シリコン等、流路側壁9となる材料
を堆積した後、液流路7の部分をエッチングして形成す
ることができる。オリフィスプレート4には、各液流路
7に対応しそれぞれ液流路7を介して共通液室8に連通
する複数の吐出口5が形成されている。オリフィスプレ
ート4もシリコン系の材料からなるものであり、例え
ば、吐出口5を形成したシリコン基板を10〜150μ
m程度の厚さに削ることにより形成される。なお、オリ
フィスプレート4は本発明には必ずしも必要な構成では
なく、オリフィスプレート4を設ける代わりに、素子基
板1上に液流路7を形成する際に素子基板1の先端面に
オリフィスプレート4の厚さ相当の壁を残し、この部分
に吐出口5を形成することで、吐出口付きの素子基板1
とすることもできる。あるいは、天板3に液流路7を形
成する際に天板3の先端面にオリフィスプレート4の厚
さ相当の壁を残し、この部分に吐出口5を形成すること
で、吐出口付きの天板とすることもできる。
【0033】可動部材6は、液流路7を吐出口5に連通
した第1の液流路7aと、発熱体2を有する第2の液流
路7bとに分けるように、発熱体2に対面して配置され
た片持梁状の薄膜であり、窒化シリコンや酸化シリコン
等のシリコン系の材料で形成される。
【0034】この可動部材6は、液体の吐出動作によっ
て共通液室8から可動部材6を経て吐出口5側へ流れる
大きな流れの上流側に支点6aを持ち、この支点6aに
対して下流側に自由端6bを持つように、発熱体2に面
した位置に発熱体2を覆うような状態で発熱体2から所
定の距離を隔てて配されている。この発熱体2と可動部
材6との間が気泡発生領域10となる。
【0035】上記構成に基づき、発熱体2を発熱させる
と、可動部材6と発熱体2との間の気泡発生領域10の
液体に熱が作用し、これにより発熱体2上に膜沸騰現象
に基づく気泡が発生し、成長する。この気泡の成長に伴
う圧力は可動部材6に優先的に作用し、可動部材6は図
1に破線で示されるように、支点6aを中心に吐出口5
側に大きく開くように変位する。可動部材6の変位もし
くは変位した状態によって、気泡の発生に基づく圧力の
伝搬や気泡自身の成長が吐出口5側に導かれ、吐出口5
から液体が吐出する。
【0036】つまり、気泡発生領域10上に、液流路7
内の液体の流れの上流側(共通液室8側)に支点6aを
持ち下流側(吐出口5側)に自由端6bを持つ可動部材
6を設けることによって、気泡の圧力伝搬方向が下流側
へ導かれ、気泡の圧力が直接的に効率よく吐出に寄与す
ることになる。そして、気泡の成長方向自体も圧力伝搬
方向と同様に下流方向に導かれ、上流より下流で大きく
成長する。このように、気泡の成長方向自体を可動部材
によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御すること
で、吐出効率や吐出力または吐出速度等の根本的な吐出
特性を向上させることができる。
【0037】一方、気泡が消泡工程に入ると、可動部材
6の弾性力との相乗効果で気泡は急速に消泡し、可動部
材6も最終的には図1に実線で示した初期位置に復帰す
る。このとき、気泡発生領域10での気泡の収縮体積を
補うため、また、吐出された液体の体積分を補うため
に、上流側すなわち共通液室8側から液体が流れ込み、
液流路7への液体の充填(リフィル)が行われるが、こ
の液体のリフィルは、可動部材6の復帰作用に伴って効
率よく合理的かつ安定して行われる。
【0038】また、本実施形態の液体吐出ヘッドは、発
熱体2を駆動したりその駆動を制御するための回路や素
子を有する。これら回路や素子は、その機能に応じて素
子基板1または天板3に分担して配置されている。ま
た、これら回路や素子は、素子基板1および天板3がシ
リコン材料で構成されていることから、半導体ウェハプ
ロセス技術を用いて容易かつ微細に形成することができ
る。
【0039】以下に、半導体ウェハプロセス技術を用い
て形成された素子基板1の構造について説明する。
【0040】図2は、図1に示す液体吐出ヘッドに用い
られる素子基板の断面図である。図2に示すように、本
実施形態の液体吐出ヘッドに用いられる素子基板1で
は、シリコン基板301の表面に、蓄熱層としての熱酸
化膜302および、蓄熱層を兼ねる層間膜303がこの
順番で積層されている。層間膜303としては、SiO
2膜またはSi34膜が用いられている。層間膜303
の表面に部分的に抵抗層304が形成され、抵抗層30
4の表面に部分的に配線305が形成されている。配線
305としては、Alまたは、Al−Si,Al−Cu
等のAl合金配線が用いられている。この配線305、
抵抗層304および層間膜303の表面に、SiO2
またはSi34膜から成る保護膜306が形成されてい
る。保護膜306の表面の、抵抗層304に対応する部
分およびその周囲には、抵抗層304の発熱に伴う化学
的および物理的な衝撃から保護膜306を守るための耐
キャビテーション膜307が形成されている。抵抗層3
04表面の、配線305が形成されていない領域は、抵
抗層304の熱が作用する部分となる熱作用部308で
ある。
【0041】この素子基板1上の膜は半導体の製造技術
によりシリコン基板301の表面に順に形成され、シリ
コン基板301に熱作用部308が備えられている。
【0042】図3は、図2に示す素子基板1の主要素子
を縦断するように素子基板1を切断した模式的断面図で
ある。
【0043】図3に示すように、P導電体であるシリコ
ン基板301の表層にはN型ウェル領域422およびP
型ウェル領域423が部分的に備えられている。そし
て、一般的なMosプロセスを用いてイオンプラテーシ
ョン等の不純物導入および拡散によって、N型ウェル領
域422にP−Mos420が、P型ウェル領域423
にN−Mos421が備えられている。P−Mos42
0は、N型ウェル領域422の表層に部分的にN型ある
いはP型の不純物を導入してなるソース領域425およ
びドレイン領域426や、N型ウェル領域422の、ソ
ース領域425およびドレイン領域426を除く部分の
表面に厚さ数百Åのゲート絶縁膜428を介して堆積さ
れたゲート配線435等から構成されている。また、N
−Mos421は、P型ウェル領域423の表層に部分
的にN型あるいはP型の不純物を導入してなるソース領
域425およびドレイン領域426や、P型ウェル領域
423の、ソース領域425およびドレイン領域426
を除く部分の表面に厚さ数百Åのゲート絶縁膜428を
介して堆積されたゲート配線435等から構成されてい
る。ゲート配線435は、CVD法により堆積した厚さ
4000Å〜5000Åのポリシリコンから成るもので
ある。これらのP−Mos420およびN−Mos42
1からC−Mosロジックが構成されている。
【0044】P型ウェル領域423の、N−Mos42
1と異なる部分には、電気熱変換素子駆動用のN−Mo
sトランジスタ430が備えられている。N−Mosト
ランジスタ430も、不純物導入および拡散等の工程に
よりP型ウェル領域423の表層に部分的に備えられた
ソース領域432およびドレイン領域431や、P型ウ
ェル領域423の、ソース領域432およびドレイン領
域431を除く部分の表面にゲート絶縁膜428を介し
て堆積されたゲート配線433等から構成されている。
【0045】本実施形態では、電気熱変換素子駆動用の
トランジスタとしてN−Mosトランジスタ430を用
いたが、複数の電気熱変換素子を個別に駆動できる能力
を持ち、かつ、上述したような微細な構造を得ることが
できるトランジスタであれば、このトランジスタに限ら
れない。
【0046】P−Mos420とN−Mos421との
間や、N−Mos421とN−Mosトランジスタ43
0との間等の各素子間には、5000Å〜10000Å
の厚さのフィールド酸化により酸化膜分離領域424が
形成されており、その酸化膜分離領域424によって各
素子が分離されている。酸化膜分離領域424の、熱作
用部308に対応する部分は、シリコン基板301の表
面側から見て一層目の蓄熱層434としての役割を果た
す。
【0047】P−Mos420、N−Mos421およ
びN−Mosトランジスタ430の各素子の表面には、
厚さ約7000ÅのPSG膜またはBPSG膜等から成
る層間絶縁膜436がCVD法により形成されている。
熱処理により層間絶縁膜436を平坦化した後に、層間
絶縁膜436およびゲート絶縁膜428を貫通するコン
タクトホールを介して第1の配線層となるAl電極43
7により配線が行われている。層間絶縁膜436および
Al電極437の表面には、厚さ10000Å〜150
00ÅのSiO2膜から成る層間絶縁膜438がプラズ
マCVD法により形成されている。層間絶縁膜438の
表面の、熱作用部308およびN−Mosトランジスタ
430に対応する部分には、厚さ約1000ÅのTaN
0.8,hex膜から成る抵抗層304がDCスパッタ法によ
り形成されている。抵抗層304は、層間絶縁膜438
に形成されたスルーホールを介してドレイン領域431
の近傍のAl電極437と電気的に接続されている。抵
抗層304の表面には、各電気熱変換素子への配線とな
る第2の配線層としての、Alの配線305が形成され
ている。
【0048】配線305、抵抗層304および層間絶縁
膜438の表面の保護膜306は、プラズマCVD法に
より形成された厚さ10000ÅのSi34膜から成る
ものである。保護膜306の表面に形成された耐キャビ
テーション膜307は、厚さ約2500ÅのTa等の膜
から成るものである。
【0049】次に、素子基板1および天板3への回路や
素子の振り分け構成について説明する。
【0050】図4は、図1に示した液体吐出ヘッドの回
路構成を説明するための図であり、同図(a)は素子基
板の平面図、同図(b)は天板の平面図である。なお、
図4(a)および(b)は、互いの対向面を表わしてい
る。
【0051】図4(a)に示すように、素子基板1に
は、前述したように液流路および共通液室を構成する溝
3a,3bが形成される他に、並列に配列された複数の
発熱体2と、画像データに応じてこれら発熱体2を駆動
するドライバ11と、入力された画像データをドライバ
11に出力する画像データ転送部12と、発熱体2の駆
動条件を制御するために必要なパラメータを測定するセ
ンサ13とが設けられている。
【0052】画像データ転送部12は、シリアルに入力
される画像データを各ドライバ11にパラレルに出力す
るシフトレジスタ、およびシフトレジスタから出力され
るデータを一時記憶するラッチ回路で構成される。な
お、画像データ転送部12は、各発熱体2に個別に対応
して画像データを出力するものでもよいし、発熱体2の
並びを複数のブロックに分け、ブロック単位に対応して
画像データを出力するものでもよい。特に、1つのヘッ
ドについて複数のシフトレジスタを備え、記録装置から
のデータの転送を複数のシフトレジスタに振り分けて入
力するようにすることで、印字速度の高速化に容易に対
応することもできる。
【0053】センサ13としては、発熱体2の近傍の温
度を測定する温度センサや、発熱体2の抵抗値をモニタ
するための抵抗センサ等が用いられる。
【0054】噴射される液滴の吐出量を考えた場合、そ
の吐出量は主に液体の発泡体積に関係する。液体の発泡
体積は、発熱体2およびその周辺の温度によって変化す
る。そこで、温度センサによって発熱体2および周辺の
温度を測定し、その結果に応じて液体吐出のためのヒー
トパルスを印加する前に、液体を吐出しない程度の小さ
いエネルギーのパルス(プレヒートパルス)を加え、そ
のプレヒートパルスのパルス幅や、その出力タイミング
を変更することにより発熱体2および周辺の温度を調整
して、一定の液滴を吐出するようにして画像品位を維持
することが行われる。
【0055】また、発熱体2における、液体を発泡させ
るのに必要なエネルギーを考えた場合、放熱条件が一定
であれば、そのエネルギーは発熱体2の必要な単位面積
当たりの投入エネルギーと発熱体2の面積の積で表わさ
れる。これにより、発熱体2の両端にかかる電圧、発熱
体2を流れる電流およびパルス幅を、その必要なエネル
ギーが得られる値に設定すればよい。ここで発熱体2に
印加される電圧については、液体吐出装置本体の電源に
より電圧を供給することにより、ほぼ一定に保持するこ
とができる。一方、発熱体2を流れる電流については、
発熱体2の抵抗値が、素子基板1の製造過程における発
熱体2の膜厚のばらつき等により、ロットにより、ある
いは素子基板1によって抵抗値が異なってくる。従っ
て、印加されるパルス幅が一定で、発熱体2の抵抗値が
設定よりも大きい場合はその流れる電流値が小さくな
り、発熱体2に投入されるエネルギー量が不足してしま
い、液体を適正に発泡させることができなくなる。逆
に、発熱体2の抵抗値が小さくなると、同じ電圧を印加
しても電流値が設定値よりも大きくなる。この場合に
は、発熱体2により過剰なエネルギーが発生され、発熱
体2の損傷や短寿命につながるおそれがある。そこで、
抵抗センサによって発熱体2の抵抗値を常にモニタし、
その値により電源電圧やヒートパルス幅を変化させ、発
熱体2にほぼ一定のエネルギーが印加されるようにする
方法もある。
【0056】一方、図4(b)に示すように、天板3に
は、素子基板1に設けられたセンサ13を駆動するセン
サ駆動部17と、センサ駆動部17により駆動されたセ
ンサからの出力結果に基づいて発熱体2の駆動条件を制
御する発熱体制御部16とが設けられている。なお、天
板3には、外部から共通液室に液体を供給するために、
共通液室に連通する供給口3cが開口している。
【0057】さらに、素子基板1および天板3の接合面
の、互いの対向する部位にはそれぞれ、素子基板1に形
成された回路等と天板3に形成された回路等とを電気的
に接続するための接続用コンタクトパッド14,18が
設けられている。また、素子基板1には、外部からの電
気信号の入力端子となる外部コンタクトパッド15が設
けられている。素子基板1の大きさは天板3の大きさよ
りも大きく、外部コンタクトパッド15は、素子基板1
と天板3とを接合したときに天板3から露出する位置に
設けられている。
【0058】ここで、素子基板1および天板3への回路
等の形成手順の一例について説明する。
【0059】素子基板1については、まず、シリコン基
板上に、上記ドライバ11、画像データ転送部12およ
びセンサ13を構成する回路を半導体ウェハプロセス技
術を用いて形成する。次いで、前述したようにして発熱
体2を形成した後に、接続用コンタクトパッド14およ
び外部コンタクトパッド15を形成し、最後に、上述し
たように、成膜技術およびエッチングによって、液流路
や共通液室を構成する溝3a,3bを形成する。
【0060】天板3については、まず、シリコン基板上
に、上記発熱体制御部16およびセンサ駆動部17を構
成する回路を半導体ウェハプロセス技術を用いて形成す
る。次いで、上述したように、エッチングによって供給
口3cを形成し、最後に、接続用コンタクトパッド18
を形成する。
【0061】上記のように構成された素子基板1と天板
3とを位置合わせして接合すると、各液流路に対応して
発熱体2が配置されると共に、それぞれの接続用パッド
14,18を介して素子基板1および天板3に形成され
た回路等が電気的に接続される。この電気的接続は例え
ば、接続用パッド14,18に金バンプ等を載せて行う
方法があるが、それ以外の方法でもよい。このように、
素子基板1と天板3との電気的接続を接続用コンタクト
パッド14,18によって行うことで、素子基板1と天
板3との接合と同時に、上述した回路同士の電気的接続
を行うことができる。素子基板1と天板3との接合後
に、液流路7の先端にオリフィスプレート4を接合し、
これにより液体吐出ヘッドが完成する。
【0062】なお、図1に示したように本実施形態の液
体吐出ヘッドは可動部材6を有しているが、この可動部
材6についても、上述のようにして素子基板に回路等を
形成した後、フォトリソグラフィプロセスを用いて素子
基板1上に形成される。可動部材6の形成工程について
は後述する。
【0063】このようにして得られた液体吐出ヘッドを
ヘッドカートリッジや液体吐出装置に搭載する場合に
は、図5に示すように、プリント配線基板23が搭載さ
れたベース基板22上に固定し、液体吐出ヘッドユニッ
ト20とされる。図5において、プリント配線基板23
には、液体吐出装置のヘッド制御部と電気的に接続され
る複数の配線パターン24が設けられ、これら配線パタ
ーン24は、ボンディングワイヤー25を介して外部コ
ンタクトパッド15と電気的に接続される。外部コンタ
クトパッド15は素子基板1のみに設けられているの
で、液体吐出ヘッド21と外部との電気的接続は、従来
の液体吐出ヘッドと同様にして行うことができる。ここ
では、外部コンタクトパッド15を素子基板1に設けた
例について説明したが、素子基板1ではなく天板3のみ
に設けてもよい。
【0064】以上説明したように、発熱体2の駆動や制
御のための各種回路等を素子基板1と天板3とに両者の
電気的接合を考慮した上で振り分けることで、これらの
回路等が1つの基板に集中しなくなるので、液体吐出ヘ
ッドの小型化が可能になる。また、素子基板1に設けら
れた回路等と天板3に設けられた回路等との電気的接続
を接続用コンタクトパッド14,18によって行うこと
で、ヘッド外部への電気接続部の数が減り、信頼性の向
上、部品点数の削減、ヘッドのより一層の小型化を実現
することができる。
【0065】また、上述した回路等を素子基板1と天板
3とに分散させることで、素子基板1の歩留まりを向上
させることができ、その結果、液体吐出ヘッドの製造コ
ストを下げることができる。さらに、素子基板1および
天板3を、シリコンという同一材料をベースとした材料
で構成しているため、素子基板1と天板3との熱膨張係
数が等しくなる。その結果、発熱体2の駆動により素子
基板1および天板3が熱膨張しても両者にずれは生じな
くなり、発熱体2と液流路7との位置精度が良好に維持
される。
【0066】本実施形態では上述の各回路等をその機能
に応じて振り分けているが、この振り分けの基準となる
考え方について以下に述べる。
【0067】各発熱体2に個別またはブロック単位に電
気配線接続で対応する回路は、素子基板1に形成する。
図4に示した例では、ドライバ11および画像データ転
送部12がこれに相当する。各発熱体2には駆動信号が
パラレルに与えられるので、その信号分だけ配線の引き
回しが必要となる。従って、このような回路を天板3に
形成すると、素子基板1と天板3との接続数が多くなり
接続不良が発生する可能性が高くなるが、素子基板1に
形成することで、発熱体2と上記回路との接続不良が防
止される。
【0068】制御回路等、アナログ的な部分は、熱の影
響を受け易いことから、発熱体2が設けられていない基
板すなわち天板3に設ける。図4に示した例では、発熱
体制御部16がこれに相当する。
【0069】センサ13は、必要に応じて素子基板1に
設けてもよいし、天板3に設けてもよい。例えば抵抗セ
ンサである場合には、抵抗センサは素子基板1上に設け
ないと意味がなかったり測定精度が低下したりするため
素子基板1に設ける。また、温度センサの場合には、ヒ
ータ駆動回路の異常による温度上昇等を検知する場合に
は素子基板1上に設けることが好ましいが、後述するイ
ンクを介しての温度上昇によりインクの状態を判断した
い場合には、天板3、或いは素子基板1と天板3との双
方に設けることが好ましい。
【0070】その他、各発熱体2に個別にもブロック単
位にも電気配線接続で対応していない回路、必ずしも素
子基板1に設けなくてもよい回路、天板3に設けても測
定精度には影響しないセンサ等は、素子基板1および天
板3のいずれか一方に集中しないように必要に応じて素
子基板1または天板3に形成する。図4に示した例で
は、センサ駆動部17がこれに相当する。
【0071】上記の考え方に基づいて各回路やセンサ等
を素子基板1と天板3とに設けることで、素子基板1と
天板3との電気的接続数をできるだけ少なくしつつも、
各回路やセンサ等をバランスよく振り分けることができ
る。
【0072】以上、本発明の基本的な構成についての実
施形態を説明したが、以下に、上述した回路等の具体的
な例について説明する。
【0073】〈発熱体への印加エネルギーを制御する
例〉図6は、センサ出力に応じて発熱体への印加エネル
ギーを制御する例の素子基板および天板の回路構成を示
す図である。
【0074】図6(a)に示すように、素子基板31に
は、一列に配列された発熱体32と、ドライバとして機
能するパワートランジスタ41と、パワートランジスタ
41の駆動を制御するためのAND回路39と、パワー
トランジスタ41の駆動タイミングを制御するための駆
動タイミング制御ロジック回路38と、シフトレジスタ
およびラッチ回路で構成される画像データ転送回路42
と、発熱体32の抵抗値を検出するセンサとしても用い
られる、吐出ヒータ用のランクヒータ43とが形成され
ている。
【0075】駆動タイミング制御ロジック回路38は、
装置の電源容量を少なくする目的で、全ての発熱体32
を同時に通電するのではなく発熱体32を分割駆動して
時間をずらして通電するためのものであり、この駆動タ
イミング制御ロジック回路38を駆動するイネーブル信
号は、外部コンタクトパッドであるイネーブル信号入力
端子45k〜45nから入力される。
【0076】また、素子基板31に設けられる外部コン
タクトパッドとしては、イネーブル信号入力端子45k
〜45nの他に、発熱体32の駆動電源の入力端子45
a、パワートランジスタ41の接地端子45b、発熱体
32を駆動するエネルギーを制御するために必要な信号
用の入力端子45c〜45e、ロジック回路の駆動電源
端子45f、接地端子45g、画像データ転送回路42
のシフトレジスタに入力されるシリアルデータの入力端
子45iおよびこれに同期するシリアルクロック信号の
入力端子45h、ラッチ回路に入力されるラッチクロッ
ク信号の入力端子45jがある。
【0077】一方、図6(b)に示すように、天板33
には、ランクヒータ43を駆動するためのセンサ駆動回
路47と、ランクヒータ43からの出力をモニタしその
結果に応じて発熱体32への印加エネルギーを制御する
ための駆動信号制御回路46と、ランクヒータ43で検
出された抵抗値データあるいは抵抗値からランク分けさ
れたコード値、および予め測定されている各発熱体32
による液体吐出量特性(一定温度で、所定のパルス印加
における液体吐出量)をヘッド情報として記憶し駆動信
号制御回路46に出力するメモリ49とが形成されてい
る。
【0078】また、接続用コンタクトパッドとして、素
子基板31および天板32には、ランクヒータ43とセ
ンサ駆動回路47とを接続する端子44g,44h,4
8g,48h、外部から上記発熱体32を駆動するエネ
ルギーを制御するために必要な信号用の入力端子45c
〜45eと駆動信号制御回路46とを接続する端子44
b〜44d,48b〜48d、駆動信号制御回路46の
出力をAND回路39の一方の入力端子に入力させるた
めの端子48a等が設けられている。
【0079】以上の構成において、まず、発熱体32の
抵抗値がランクヒータ43で検出され、その結果がメモ
リ43に記憶される。駆動信号制御回路46では、メモ
リ43に記憶された抵抗値データおよび液体吐出量特性
に応じて発熱体32の駆動パルスの立ち上がりデータお
よび立ち下がりデータを決定し、端子48a,44aを
介してAND回路39に出力する。一方、シリアルで入
力された画像データは、画像データ転送回路42のシフ
トレジスタに記憶され、ラッチ信号によりラッチ回路に
ラッチされて、駆動タイミング制御回路38を介してA
ND回路39に出力される。これにより、立ち上がりデ
ータおよび立ち下がりデータに応じてヒートパルスのパ
ルス幅が決定され、このパルス幅で発熱体32への通電
が行われる。その結果、発熱体32にはほぼ一定のエネ
ルギーが印加される。
【0080】上述の説明では、ランクヒータ43を抵抗
センサとして説明したが、例えば、素子基板31の温度
あるいは発熱体32の蓄熱の程度を検知するための温度
センサとし、この温度センサでの検出結果に応じてプレ
ヒートパルス幅を制御することもできる。
【0081】この場合には、液体吐出装置の電源が投入
された後、予め測定されている液体吐出量特性と、ラン
クヒータ43で検出された温度データに応じて、駆動信
号制御回路46は各発熱体32のプレヒート幅を決定す
る。メモリ49には、各発熱体32に対応するプレヒー
ト幅を選択するための選択データが記憶されており、実
際にプレヒートを行う際に、メモリ49に記憶されてい
る選択データに従ってプレヒート信号が選択され、これ
に応じて発熱体32がプレヒートされる。このようにし
て、温度状態にかかわらず液体の吐出量が各吐出口で一
定になるようにプレヒートパルスを設定して印加するこ
とができる。なお、プレヒート幅を決定する選択データ
の保存は、例えば液体吐出装置の起動時等に一度だけ行
えばよい。
【0082】図6に示した例では、1つのランクヒータ
43を設けた例を説明したが、センサとして、抵抗セン
サおよび温度センサの2つのセンサを設け、それぞれの
出力に応じてヒートパルスおよびプレヒートパルスの双
方を制御することで、画像品位をより向上させることも
できる。
【0083】さらに、メモリ49に記憶されるヘッド情
報としては、上述した発熱体の抵抗値データ等の他に、
吐出する液体の種類(液体がインクの場合には、インク
の色等)も含めることもできる。液体の種類によっては
その物性が異なり、吐出特性が異なるからである。これ
らのヘッド情報のメモリ49への記憶は、この液体吐出
ヘッドの組立後に不揮発的に行ってもよいし、この液体
吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置の立ち上げ後に装置
側から転送されることで行ってもよい。
【0084】また、図6に示した例では、ランクヒータ
43を素子基板31に設けているが、ランクヒータ43
が温度センサである場合には、天板33に設けてもよ
い。メモリ49についても、素子基板31側のスペース
が許せは、天板33ではなく素子基板31に設けてもよ
い。
【0085】上述のように、良好な画像品位を得るため
に発熱体32の駆動を制御しても、共通液室内に気泡が
発生し、これが液体のリフィルと共に液流路内に移動し
てくると、共通液室内には液体が存在するにもかかわら
ず、液体が吐出されないという不具合が発生する場合が
ある。
【0086】そこで、これに対処するために、詳細は後
述するが、各液流路内(特に発熱体32の近傍)での液
体の有無を検出するセンサを設け、さらに、このセンサ
で液体がないことが検出されたらその結果を外部に出力
させる処理回路を天板33に設けてもよい。そして、こ
の処理回路からの出力に基づき、液体吐出装置側で、液
体吐出ヘッド内の液体を吐出口から強制的に吸引するよ
うにすれば、液流路内の気泡を除去することができる。
上記の液体の有無を検出するセンサとしては、液体を介
しての抵抗値の変化により検出するものや、液体が存在
しない場合の発熱体の異常昇温を検出するものを用いる
ことができる。
【0087】〈素子基板の温度を制御する例〉図7は、
センサ出力に応じて素子基板の温度を制御する例の素子
基板および天板の回路構成を示す図である。
【0088】この例では、図7(a)に示すように、素
子基板51に、液体の吐出用の発熱体52とは別に、素
子基板51の温度を調節するために素子基板51自体を
加熱する保温ヒータ55と、その保温ヒータ55のドラ
イバとなるパワートランジスタ56とが、図6(a)に
示した素子基板31に対して付加されている。また、セ
ンサ63としては、素子基板51の温度を測定する温度
センサが用いられる。一方、図7(b)に示すように、
天板53には、センサ63を駆動するためのセンサ駆動
回路67と、液体吐出量特性が記憶されているメモリ6
9の他に、センサ63からの出力をモニタし、その結果
に応じて保温ヒータ55の駆動を制御するための保温ヒ
ータ制御回路66が形成されている。保温ヒータ制御回
路66はコンパレータを有しており、素子基板51の必
要とされる温度に基づいて予め決定された閾値とセンサ
63からの出力とを比較し、閾値よりもセンサ63から
の出力が大きい場合に、保温ヒータ55を駆動するため
の保温ヒータ制御信号を出力する。上記の素子基板51
の必要とされる温度とは、この液体吐出ヘッド内の液体
の粘性が安定吐出範囲にあるような温度である。
【0089】そして、保温ヒータ制御回路66から出力
される保温ヒータ制御信号を、素子基板51に形成され
た保温ヒータ用のパワートランジスタ56に入力させる
ための端子64a,68aが、接続用コンタクトパッド
として素子基板51および天板53に設けられている。
その他の構成は図6に示した構成と同様である。
【0090】上記の構成により、センサで63の出力結
果に応じて、保温ヒータ制御回路66により保温ヒータ
55が駆動され、素子基板51の温度が所定の温度に保
たれる。その結果、液体吐出ヘッド内の液体の粘性が安
定吐出範囲に保たれ、良好な吐出が可能となる。
【0091】なお、センサ63には、固体差による出力
値のばらつきがある。より正確な温度調節を行いたい場
合には、このばらつきを補正するために、ヘッド情報と
して出力値のばらつきの補正値をメモリ69に記憶さ
せ、メモリ69に記憶された補正値に応じて、保温ヒー
タ制御回路66に設定された閾値を調整してもよい。
【0092】ところで、図1に示した実施形態では、液
流路7を構成するための溝は素子基板1に形成し、吐出
口5が形成された部材(オリフィスプレート4)は素子
基板1および天板3とは別の部材で構成した例を示した
が、本発明が適用される液体吐出ヘッドの構造は、これ
に限られるものではない。
【0093】例えば、天板の端面にオリフィスプレート
の厚さ相当の壁を残しておき、この壁に、イオンビーム
加工や電子ビーム加工等により吐出口を形成すれば、オ
リフィスプレートを用いずに液体吐出ヘッドを構成する
ことができる。上述したように、素子基板に流路側壁を
形成すれば、発熱体に対する液流路の位置精度が向上
し、かつ、天板の形状を簡易なものとすることができ
る。素子基板に流路側壁を形成することによってではな
く、天板に、液流路となる溝、および共通液室となる溝
を形成してもよい。可動部材はフォトリソグラフィプロ
セスを利用して天板に形成することができるが、このよ
うに素子基板に流路側壁を設けた構成とした場合には、
素子基板への可能部材の形成と同時に素子基板を形成す
ることもできる。これについては後述する。
【0094】次に、温度センサを用いたインク有無検知
および検出結果に伴うヘッド駆動動作について、図8〜
図12を用いて説明する。
【0095】図8〜図12はいずれも本発明の液体吐出
記録ヘッドの素子基板および天板の回路構成の変形例を
説明するための概略説明図であり、各図いずれも(a)
は素子基板の平面図、(b)は天板の平面図を示してい
る。なお、これらの図は、図2と同様、各図の(a)と
(b)とで互いの対向面を図示しており、各図の(b)
における点線部は、素子基板と接合した時の液室および
流路の位置を示している。
【0096】なお、図8〜図12で示されるヘッドは、
素子基板401に流路壁401aが設けられた構造の場
合を例として描いているが、素子基板および天板の構造
に関しては、上述したいずれの形態にも適用できるもの
である。また、以下の各説明において、特に断りのない
限りは、図8〜図12に示す各実施例をそれぞれ組合わ
せた形態も本発明に含まれるものであることは言うまで
もない。なお、以下の説明では、共通の機能を有する部
分については、同じ符号を用いて説明している。
【0097】図8(a)において、素子基板401に
は、前述したように流路に対応して並列に配列された複
数の発熱体402と、共通液室内に設けられたサブヒー
タ455と、画像データに応じてこれら発熱体402を
駆動するドライバ411と、入力された画像データをド
ライバ411に出力する画像データ転送部412が設け
られており、ノズルを形成するための流路壁401a
や、共通液室を形成するための液室枠401bが設けら
れている。
【0098】一方、図8(b)において、天板403に
は、共通液室内の温度を測定するための温度センサ41
3と、温度センサ413を駆動するセンサ駆動部417
と、温度センサの出力に基づいて前記発熱抵抗素子の駆
動を制限または停止する制限回路459と、センサ駆動
部417および制限回路459の信号に基づいて発熱体
402の駆動条件を制御する発熱体制御部416とが設
けられると共に、そして、外部から共通液室に液体を供
給するために、共通液室に連通した供給口403aが開
口している。
【0099】さらに、素子基板401および天板403
の接合面の、互いの対向する部位にはそれぞれ、素子基
板401に形成された回路等と天板403に形成された
回路等とを電気的に接続するための接続用コンタクトパ
ッド414,418が設けられている。また、素子基板
401には、外部からの電気信号の入力端子となる外部
コンタクトパッド415が設けられている。素子基板4
01の大きさは天板403の大きさよりも大きく、外部
コンタクトパッド415は、素子基板401と天板40
3とを接合したときに天板403から露出する位置に設
けられている。これらは、図4において説明したのと同
様の方法によって回路が形成されている。そして、上記
のように構成された素子基板401と天板403とを位
置合わせして接合すると、それぞれの接続用コンタクト
パッド414,418を介して素子基板401および天
板403に形成された回路等が電気的に接続される。
【0100】第1の基板(素子基板401)と第2の基
板(天板403)との間には、数十μmというスペース
にインクが満たされるようになっている。このため、サ
ブヒータ455による加熱を行なった際に、インクの有
無によって第2基板への熱の伝わりかたに差が生じる。
そこで、この熱の伝わりかたの差をPN接合を利用した
ダイオードセンサ等により構成される温度センサ413
で検知することで、液室内のインクの有無を検知するこ
とが可能となる。そこで、この温度センサ413による
検出結果に応じて、例えば温度センサ413がインクが
あるときと比べて異常な温度を検知した場合には前述の
制限回路459により、発熱体402への駆動を制限、
あるいは停止したり、本体へ異常を知らせる信号を出力
したりすることで、ヘッドの物理的な損傷を防止し、常
に安定した吐出性能を発揮することのできるヘッドを提
供することができる。
【0101】特に、本発明の場合には、上述の温度セン
サ、および制限回路を半導体ウェハプロセスにより製造
することができるので、最適な位置に素子を配置するこ
とができると共に、ヘッド自体のコストアップをするこ
となくヘッドの損傷防止機能を付加することができる。
【0102】図9は、図8の変形例を示す説明図であ
り、図9に示される変形例では、サブヒータではなく、
吐出用のヒータすなわち発熱体402を用いている点が
前述の図8に示す形態と異なっている。図9に示す変形
例では、温度センサ413は発熱体402と対向する天
板403上の領域に設けられており、発熱体402で発
泡しないレベルの短パルス、あるいは低電圧で駆動した
ときの温度を検出することで、インク有無検知を行なう
ようにしたものである。インク有無検知を行う他、液体
の吐出動作を行いながら温度をモニターし、駆動にフィ
ードバックすることも可能である。本変形例の構成は、
共通液室にサブヒータを配置しづらい場合は特に有効で
ある。また、本変形例では、発熱体制御部416によっ
て、温度センサ413の出力に基づくヘッド駆動の制限
あるいは停止が行われている。
【0103】図10に示す変形例は、図9に示す変形例
と比較して、温度センサ413を異なる発熱体402に
対応する複数のグループ(図面上では413a,413
b、413c...と一つ一つのノズルに対応)を形成す
るように配置している点が異なっている。発熱体402
は選択的に駆動できることから、このように複数の温度
センサを設けることで、より細かい部分でのインク有無
等、インクの状態の検知を行うことができる。
【0104】さらに、本実施例のように各発熱体402
に一対一で対応するように温度センサを設けることで、
液体吐出時の温度変化をノズル単位に検出することがで
き、ノズル内のインクの有無、さらには発泡状態を温度
で検出することが可能となる。各ノズル毎のインク切れ
による部分的な不吐出の検知については、図12で説明
するようなメモリを設け、メモリ内に保持される性状吐
出の場合のデータとの比較により行なってもよいし、隣
接する複数のノズルのデータと比較すること(例えば4
13a、413b、413c....で413bだけ異常な
出力となった場合は、413bについて異常と判定す
る)により行なってもよい。
【0105】なお、この場合、発熱体402に対して各
温度センサ413a、413b、413c...は電気配
線接続で対応しているわけではないので、天板403に
設けていても配線が複雑になる等の問題はない。また、
複数のセンサを設ける場合であっても、本発明のように
半導体ウェハプロセスにより製造することで、コストの
上昇を招くことはない。したがって後述するフルライン
ヘッドにおいて採用することは、特に好ましい。
【0106】図11に示す変形例は、図9に示す変形例
と比較して、素子基板401および天板403の両方に
温度センサ413a、413bを備えている点が異なっ
ている。いずれか一方の基板にのみ温度センサが配置さ
れている場合には、外気温やヘッドの状態(例えば印字
終了直後等)によってインク有無のしきい値が変化し、
制御が難しくなる場合であっても、加熱時の2つのセン
サの温度上昇の差を測定することで、一方の基板にしか
センサがない場合に比べより容易かつより正確にインク
有無等のインクの状態の検知をすることができるという
利点がある。
【0107】図12に示す変形例は、図11に示す変形
例に比べて、ヘッドの製造工程においてインクがない場
合とある場合とでの発熱抵抗素子の加熱時の温度変化を
ヘッド情報として記憶し発熱体制御部416に出力する
メモリ469を有している点が異なっている。このよう
にメモリ469を備えて、メモリ469の値とセンサの
出力とを比較することで、より精度の高いインク有無検
知を行うことができる。
【0108】もちろん、このメモリ内には前述の実施例
で説明したように、予め測定されている各発熱体402
による液体吐出量特性(一定温度で、所定のパルス印加
における液体吐出量)や、使用するインク等のヘッド情
報を保持していてもよい。
【0109】次に、図1に示した液体吐出ヘッドの製造
方法について説明する。本実施形態の液体吐出ヘッドで
は、前述したように、エネルギー変換素子すなわち発熱
体2の駆動条件を制御するための、機能が異なる複数の
素子あるいは電気回路がその機能に応じて素子基板1と
天板3とに振り分けられている。そして、以下で説明す
る製造方法では、素子基板1または天板3のうちいずれ
か一方のコンタクトパッド上に、素子基板1と天板3の
互いの複数の素子あるいは電気回路同士を電気的に接続
するための金属バンプが形成され、素子基板1または天
板3のうちの他方には、その金属バンプが係合して金属
バンプと電気的に接続される凹電気接続部が形成されて
いる。
【0110】図13および図14は、素子基板1に可動
部材6および流路側壁9を設けた場合の、フォトリソグ
ラフィプロセスを利用した、可動部材6および流路側壁
9の形成工程の一例について説明するための図である。
なお、図13および図14は、可動部材および流路側壁
が形成される素子基板の液流路方向と直交する方向に沿
った断面を示している。
【0111】また、図15は、素子基板1上に可動部材
6および流路側壁9が形成されてなるものに天板3を接
合する工程を説明するための図である。この図15は、
素子基板1および天板3の液流路方向に沿った断面を示
している。さらに、図16は、プラズマCVD装置を用
いて素子基板1上にSiN膜を形成する方法を説明する
ための図であり、図17は、ドライエッチング装置を用
いてSiN膜をエッチングする方法を説明するための図
である。
【0112】まず、図4(a)に示したように、発熱体
2と、ドライバ11および画像データ転送部12などの
電気回路と、センサ13などの機能素子と、それぞれが
Alからなる接続用コンタクトパッド14および外部コ
ンタクトパッド15とを備えた素子基板1を作製する。
ドライバ11、画像データ転送部12、センサ13、接
続用コンタクトパッド14および外部コンタクトパッド
15が図13および図14には図示されていないが、そ
のような構成の素子基板1が図13および図14に示さ
れている。上述したように、接続用コンタクトパッド1
4は、素子基板1に形成された機能素子あるいは電気回
路等と、天板3に形成された機能素子あるいは電気回路
等とを電気的に接続するためのものであって、素子基板
1の機能素子あるいは電気回路等と電気的に接続されて
いる。外部コンタクトパッド15は、外部からの電気信
号の入力端子となるものである。
【0113】次に、素子基板1の接続用コンタクトパッ
ド14の表面にAu膜を形成する。この、接続用コンタ
クトパッド14上に形成されたAl膜は、後述するよう
に天板3の接続用コンタクトパッド18上に形成された
金バンプ(Auバンプ)を介して接続用コンタクトパッ
ド14と18とを電気的に接続するために、その金バン
プと共晶接合されるものである。
【0114】次に、図13(a)では、素子基板1の発
熱体2側の面全体に、発熱体2との電気的な接続をする
ための接続用パッド、接続用コンタクトパッド14、外
部コンタクトパッド15や、接続用コンタクトパッド1
4上のAu膜を保護するための第1の保護層として、不
図示のTiW膜をスパッタリング法によって厚さ約50
00Å形成する。このTiW膜の表面、すなわち素子基
板1の発熱体2側の面上に、間隙形成部材71を形成す
るためのAl膜をスパッタリング法によって厚さ約4μ
m形成する。形成されたAl膜を、周知のフォトリソグ
ラフィプロセスを用いてパターニングし、図1に示した
発熱体2と可動部材6との間の気泡発生領域10に対応
する位置に、素子基板1と可動部材6との間の間隙を形
成するための、Al膜からなる間隙形成部材71を複数
形成する。それぞれの間隙形成部材71は、後述するよ
うに、可動部材6を形成するための材料膜であるSiN
膜72がエッチングされる領域まで延在されている。
【0115】間隙形成部材71は、後述するようにドラ
イエッチングにより液流路7および可動部材6を形成す
る際のエッチングストップ層として機能する。これは、
素子基板1におけるパッド保護層としてのTiW層や、
耐キャビテーション膜としてのTa膜、および抵抗体上
の保護層としてのSiN膜が、液流路7を形成するため
に使用するエッチングガスによりエッチングされてしま
うからであり、これらの層や膜のエッチングが間隙形成
部材71により防止される。そのため、ドライエッチン
グにより液流路7を形成する際に素子基板1上のTiW
層が露出しないように、それぞれの間隙形成部材71に
おける液流路7の流路方向と直行する方向の幅は、後述
する図14(b)の工程で形成される液流路7の幅より
も広くなっている。
【0116】さらに、ドライエッチング時には、イオン
種およびラジカルが発生し、素子基板1の発熱体2や機
能素子にダメージを与えることがあるが、Alからなる
間隙形成部材71は、これらイオン種やラジカルを受け
止めて素子基板1の発熱体2や機能素子を保護するもの
となっている。
【0117】次に、図13(b)では、間隙形成部材7
1の表面、および素子基板1の間隙形成部材71側の面
上に、プラズマCVD法を用いて、可動部材6を形成す
るための材料膜である厚さ約5.0μmのSiN膜72
を、間隙形成部材71を被覆するように形成する。Si
N膜72は、流路側壁9の一部を構成する液流路形成部
材である。ここで、プラズマCVD装置を用いてSiN
膜72を形成する際には、図16を参照して次に説明す
るように、素子基板1を構成するシリコン基板などを介
して、素子基板1に備えられたTaからなる耐キャビテ
ーション膜を接地する。これにより、プラズマCVD装
置の反応室内でのプラズマ放電により分解されたイオン
種およびラジカルの電荷に対して素子基板1内の発熱体
2やラッチ回路などの機能素子を保護することができ
る。
【0118】図16に示すように、SiN膜72を形成
するためのプラズマCVD装置の反応室83a内には、
所定の距離をおいて互いに対向するRF電極82aおよ
びステージ85aが備えられている。RF電極82aに
は、反応室83aの外部のRF電源81aによって電圧
が印加される。一方、ステージ85aのRF電極82a
側の面上には素子基板1が取り付けられており、素子基
板1の発熱体2側の面がRF電極82aと対向してい
る。ここで、素子基板1が有する、発熱体2の面上に形
成されたTaからなる耐キャビテーション膜は、前述し
たように素子基板1のシリコン基板と電気的に接続され
ているので、間隙形成部材71は、素子基板1のシリコ
ン基板、およびステージ85aを介して接地されてい
る。
【0119】このように構成されたプラズマCVD装置
においては、前記耐キャビテーション膜が接地された状
態で供給管84aを通して反応室83a内にガスを供給
し、素子基板1とRF電極82aとの間にプラズマ86
を発生させる。反応室83a内でのプラズマ放電により
分解されたイオン種やラジカルが素子基板1上に堆積す
ることで、SiN膜72が素子基板1上に形成される。
その際、イオン種やラジカルにより素子基板1上に電荷
が発生するが、上述したように耐キャビテーション膜が
接地されていることにより、素子基板1内の発熱体2や
ラッチ回路などの機能素子がイオン種やラジカルの電荷
によって損傷することが防止される。
【0120】次に、図13(c)では、SiN膜72の
表面に、スパッタリング法によりAl膜を厚さ約600
0Å形成した後、形成されたAl膜を、周知のフォトリ
ソグラフィプロセスを用いてパターニングし、SiN膜
72表面の、可動部材6に対応する部分、すなわちSi
N膜72表面の可動部材形成領域に第2の保護層として
のAl膜73を残す。Al膜73は、ドライエッチング
により液流路7を形成する際の保護層(エッチングスト
ップ層)となる。
【0121】次に、図14(a)では、SiN膜72お
よびAl膜73の表面に、流路側壁9を形成するための
SiN膜74を、マイクロ波CVD法を用いて厚さ約5
0μm形成する。SiN膜74も、SiN膜72と同様
に、流路側壁9の一部を構成する液流路形成部材であ
る。ここで、マイクロ波CVD法によるSiN膜74の
成膜に使用するガスとしては、モノシラン(Si
4)、窒素(N2)およびアルゴン(Ar)を用いた。
そのガスの組み合わせとしては、上記以外にも、ジシラ
ン(Si26)やアンモニア(NH3)などとの組み合
わせや、混合ガスを用いてもよい。また、周波数が2.
45[GHz]のマイクロ波のパワーを1.5[kW]と
し、ガス流量としてはモノシランを100[sccm]、窒
素を100[sccm]、アルゴンを40[sccm]でそれぞ
れのガスを供給して、圧力が5[mTorr]の高真空下で
SiN膜74を形成した。また、ガスのそれ以外の成分
比でのマイクロ波プラズマCVD法や、RF電源を使用
したCVD法などでSiN膜74を形成してもよい。
【0122】CVD法によりSiN膜74を形成する際
には、図16に基づいて前述したようなSiN膜72を
形成する方法と同様に、発熱体2の面上に形成されてい
るTaからなる耐キャビテーション膜を素子基板1のシ
リコン基板を介して接地する。これにより、CVD装置
の反応室内でのプラズマ放電により分解されたイオン種
およびラジカルの電荷に対して素子基板1内の発熱体2
やラッチ回路などの機能素子を保護することができる。
【0123】そして、SiN膜74の表面全体にAl膜
を形成した後に、形成されたAl膜を、フォトリソグラ
フィなどの周知の方法を用いてパターニングして、Si
N膜74表面の、液流路7に対応する部分を除く部分に
Al膜75を残す。前述したように、それぞれの間隙形
成部材71における液流路7の流路方向と直行する方向
の幅は、次の図14(b)の工程で形成される液流路7
の幅よりも広くなっているので、Al膜75の側部が間
隙形成部材71の側部の上方に配置されている。
【0124】次に、図14(b)では、誘電結合プラズ
マを使ったエッチング装置を用いてSiN膜74および
SiN膜72をエッチングして流路側壁9および可動部
材6を同時に形成する。そのエッチング装置では、CH
3FとSF6の混合ガスを用いて、Al膜73,25およ
び間隙形成部材71をエッチングストップ層やマスクと
して、SiN膜74がトレンチ構造となるようにSiN
膜74およびSiN膜72のエッチングを行う。このS
iN膜72をパターニングする工程では、図1に示した
ように可動部材6の支持固定部が素子基板1に直接固定
されるようにSiN膜72の不要な部分を除去する。可
動部材6の支持固定部と素子基板1との密着部の構成材
料には、パッド保護層の構成材料であるTiW、および
素子基板1の耐キャビテーション膜の構成材料であるT
aが含まれる。
【0125】また、SiN膜72,74をパターニング
する工程では、図15に基づいて後述するように素子基
板1に凹電気接続部が形成されるように、その凹電気接
続部の側壁部を構成するためのSiN膜72,74を残
す。その凹電気接続部の凹部の底に接続用コンタクトパ
ッド14が配置されている。
【0126】ここで、ドライエッチング装置を用いてS
iN膜72および24をエッチングする際には、図17
を参照して次に説明するように素子基板1などを介して
間隙形成部材71を接地する。これにより、ドライエッ
チングの際に生じるイオン種およびラジカルの電荷が間
隙形成部材71に留まることを防止して、素子基板1の
発熱体2やラッチ回路などの機能素子を保護することが
できる。また、このエッチングの工程で形成される液流
路7の幅よりも間隙形成部材71の幅の方が広くなって
いるため、SiN膜74の不要な部分を除去した際に素
子基板1の発熱体2側の面が露出することがなく、間隙
形成部材71によって素子基板1が確実に保護される。
【0127】図17に示すように、SiN膜72および
24をエッチングするためのドライエッチング装置の反
応室83b内には、所定の距離をおいて互いに対向する
RF電極82bおよびステージ85bが備えられてい
る。RF電極82bには、反応室83bの外部のRF電
源81bによって電圧が印加される。一方、ステージ8
5bのRF電極82b側の面上には素子基板1が取り付
けられており、素子基板1の発熱体2側の面がRF電極
82bと対向している。ここで、Al膜からなる間隙形
成部材71は、素子基板1に備えれたTaからなる耐キ
ャビテーション膜と電気的に接続されており、かつ、そ
の耐キャビテーション膜は、図4に基づいて前述したよ
うに素子基板1のシリコン基板と電気的に接続されてお
り、間隙形成部材71は、素子基板1の耐キャビテーシ
ョン膜やシリコン基板、およびステージ85bを介して
接地されている。
【0128】このように構成されたドライエッチング装
置において、間隙形成部材71が接地された状態で供給
管84bを通して反応室83b内にCH3FとSF6の混
合ガスを供給し、SiN膜74,22のエッチングを行
う。その際、ガスの分解により生じるイオン種やラジカ
ルによって素子基板1上に電荷が発生しても、上述した
ように間隙形成部材71が接地されていることにより、
素子基板1内の発熱体2やラッチ回路などの機能素子が
イオン種やラジカルの電荷によって損傷することが防止
される。
【0129】本実施形態では、反応室83bの内部に供
給するガスとして、CH3FとSF6の混合ガスを用いた
が、CF4ガスまたはC26ガス、あるいはC26とO2
の混合ガスなどを用いてもよい。
【0130】次に、図14(c)では、酢酸、りん酸お
よび硝酸の混酸を用いてAl膜73および25を加温エ
ッチングすることで、Al膜73および25や、Al膜
からなる間隙形成部材71を溶出して除去し、素子基板
1上に可動部材6および流路側壁9を作り込む。その
後、過酸化水素を用いて、素子基板1に形成したパッド
保護層としてのTiW膜の、気泡発生領域10およびパ
ッドに対応する部分を除去する。これより、接続用コン
タクトパッド14上のAu膜、および外部接続用コンタ
クトパッド15が露出される。素子基板1と流路側壁9
との密着部には、パッド保護層の構成材料であるTi
W、および素子基板1の耐キャビテーション膜の構成材
料であるTaが含まれている。
【0131】次に、素子基板1上に可動部材6および流
路側壁9が形成されてなるものに天板3を接合する工程
について図15を参照して説明する。図15(a)に
は、図14(c)に基づいて説明した工程直後の、素子
基板1上に可動部材6および流路側壁9が形成されてな
るものの流路方向に沿った断面が示されている。
【0132】図15(a)に示すように、素子基板1の
発熱体2側の面における可動部材6の自由端側の部分、
すなわち素子基板1表面における前端面側の部分には、
素子基板1の面上に残されたSiN膜72,74から構
成されたオリフィスプレート部91が形成されている。
また、素子基板1の発熱体2側の面における接続用コン
タクトパッド14の周囲にも、素子基板1の面上に残さ
れたSiN膜72,74から構成された側壁部92が形
成されている。このように流路側壁9に加えて、オリフ
ィスプレート部91および側壁部92が素子基板1上に
形成されるように、図14(b)に基づいて上述したエ
ッチングの工程でSiN膜72,74が部分的に除去さ
れる。ここで、SiN膜72,74の、接続用コンタク
トパッド14に対応する部分が除去されることで素子基
板1上に凹部93が形成されており、その凹部93を構
成する側壁部92と、凹部93の底の接続用コンタクト
パッド14、および接続用コンタクトパッド14上のA
u膜の金属部分とから、凹部93を備えた、凹電気接続
部である凹電極部94が構成されている。この凹電極部
94が、第1の基板である素子基板1に備えられた第1
の電気接続部となっている。
【0133】一方、上述した製造工程とは別の工程で、
上述したように接続用コンタクトパッド18などを備え
た天板3を予め作製しておき、天板3を素子基板1に接
合する前に、図15(b)に示すように接続用コンタク
トパッド18の表面に、凸電気接続部として金属バンプ
である金バンプ95を形成する。この金バンプ95が、
第2の基板である天板3に備えられた第2の電気接続部
となっている。
【0134】次に、図15(b)では、接続用コンタク
トパッド18の表面に、凸電気接続部である金バンプ9
5を形成した後に、天板3の金バンプ95側の面を、素
子基板1の凹電極部94側の面に向け、凹電極部94の
凹部93内に金バンプ95を入り込ませて凹電極部94
に金バンプ95を係合させる。そして、金バンプ95、
および接続用コンタクトパッド18上のAu膜を溶融さ
せて、金バンプ95とそのAu膜との間で、金属の共晶
を利用した接合、すなわち共晶接合を行う。このよう
に、金バンプ95と、接続用コンタクトパッド18上の
Au膜の両者の金属種として同種の金属を採用すること
により、接合時の温度および圧力を低減することがで
き、かつ、接合強度を高めることができる。
【0135】ここで、金バンプ95と凹電極部94との
係合関係について図18を参照して説明する。図18に
は、金バンプ95と凹電極部94とが接合される前の状
態が示されている。図18に示される接合前の金バンプ
95の体積をV1とし、凹電極部94の凹部93内の体
積をV2としたとき、体積V1とV2の関係は、 V1 ≦ V2 の関係を満たすようにする。このように金バンプ95の
体積V1よりも凹部93内の体積V2を大きくすることに
より、金バンプ95を溶融して金バンプ95と凹電極部
94とを接合した際に側壁部92の上面と天板3との間
に隙間が形成されることが防止される。このように金バ
ンプ95および凹部93内のそれぞれの体積を設定した
場合、配線の疎密が変化することはあるが、接続用コン
タクトパッド14,18は、信号の送受信に用いられる
ため、その配線の疎密は信号系の送受信に対して問題と
なることはない。
【0136】図4に基づいて上述したように天板3に
は、素子基板1に設けられたセンサ13を駆動するセン
サ駆動部17と、センサ駆動部17により駆動されたセ
ンサからの出力結果に基づいて発熱体2の駆動条件を制
御する発熱体制御部16とが設けられている。よって、
天板3のセンサ駆動部17から素子基板1のセンサ13
への信号の送信や、天板3の発熱体制御部16と、素子
基板1の機能素子あるいは電気回路との信号の送受信が
金バンプ95および凹電極部94を介して行われる。
【0137】次に、図15(c)では、オリフィスプレ
ート部91の、可動部材6側とは反対側、すなわちオリ
フィスプレート部91の前端面側から、その前端面にマ
スク96を介してエキシマレーザ97を照射することに
より、オリフィスプレート部91に複数の吐出口5を形
成する。これにより、図15(d)に示すように液体吐
出ヘッドが製造される。
【0138】以上で説明した製造方法では、発熱体2の
駆動条件を制御するための、機能が異なる複数の素子あ
るいは電気回路がそれぞれ、その機能に応じて素子基板
1と天板3とに振り分けられており、天板3に凸電気接
続部として金バンプ95が形成され、素子基板1に、そ
の金バンプ95と係合して金バンプ95と電気的に接続
される凹電極部94が形成されている。これにより、素
子基板1と天板3とを接合する際に金バンプ95と凹電
極部94とを係合させることで、素子基板1と天板3と
の、ある程度の位置決めを行うことが可能となる。ま
た、凹電極部94の側壁部92が、シリコンを含む堅い
側壁であるので、金バンプ95と凹電極部94とにおけ
る金属間の溶融を伴う共晶結合を行うことで、その堅い
側壁部92によって素子基板1と天板3との位置精度を
向上させることができる。
【0139】さらに、このように素子基板1に凹電極部
94、天板3に金バンプ95を設けて、金バンプ95と
凹電極部94との共晶接合を利用して素子基板1と天板
3とを接合することにより、素子基板1および天板3
間、すなわちウェハ間での接合が可能になり、液体吐出
ヘッドを製造する際の歩留りが向上する。その結果、液
体吐出ヘッドの製造コストを下げることができる。
【0140】また、素子基板1の材料としてシリコンを
用い、可動部材6および流路側壁9の材料として、窒化
シリコン、酸化シリコンまたは炭化シリコンといった、
シリコン系のものを用いることにより、それらの部材の
熱膨張率がほぼ等しくなる。これにより、温度変化によ
って、可動部材6の、素子基板1に対する固定部分の強
度や、流路側壁9と素子基板1との密着性が低下するこ
とが防止される。その結果、液体吐出ヘッドの温度が変
化しても、素子基板1と流路側壁9との密着性、発熱体
2に対する可動部材6および液流側壁9の位置や、さら
には液流路7の流れ抵抗がほとんど変化しない液体吐出
ヘッドを製造することができる。
【0141】さらに、可動部材を形成するためにフォト
リソグラフィプロセスを用いることで、可動部材の吐出
方向の長さおよび幅などの寸法ばらつきに起因する、可
動部材の機械的特性のばらつきを小さくすることができ
る。また、可動部材6や流路側壁9などを高い精度で、
かつ高密度に形成することができる。
【0142】上述した液体吐出ヘッドの製造方法では、
素子基板1上に可動部材6および流路側壁9を形成して
なるものに天板を接合したが、この製造方法とは異な
る、次に説明するような別の製造方法により液体吐出ヘ
ッドを製造してもよい。
【0143】図19は、図1に基づいて説明した液体吐
出ヘッドへの可動部材6の製造方法の一例を説明するた
めの図であり、図19では、図1に示した液流路7の流
路方向に沿った断面が示されている。図19に基づいて
説明する製造方法では、素子基板1上に可動部材6を形
成してなるものと、天板に流路側壁を形成してなるもの
とを接合することで、図1に示した構成の液体吐出ヘッ
ドを製造する。従って、この製造方法では、可動部材6
が作り込まれた素子基板1に天板を接合する前に、天板
に流路側壁が作り込まれる。
【0144】まず、図19(a)では、素子基板1の発
熱体2側の面全体に、発熱体2との電気的な接続を行う
ための接続用パッド部分を保護するための第1の保護層
としてのTiW膜26をスパッタリング法によって厚さ
約5000Å形成する。
【0145】次に、図19(b)では、TiW膜26の
表面に、間隙形成部材71aを形成するためのAl膜を
スパッタリング法によって厚さ約4μm形成する。間隙
形成部材71aは、後述する図19(d)の工程におい
て、SiN膜72aがエッチングされる領域までに延在
されている。形成されたAl膜を、周知のフォトリソグ
ラフィプロセスを用いてパターニングすることで、その
Al膜の、可動部材6の支持固定部に対応する部分のみ
を除去し、TiW膜26の表面に間隙形成部材71aを
形成する。従って、TiW膜26表面の、可動部材6の
支持固定部に対応する部分が露出することになる。この
間隙形成部材71aは、図13および図14に示した間
隙形成部材71と同様に素子基板1と可動部材6との間
の間隙を形成するための、Al膜からなるものである。
しかしながら、間隙形成部材71aは間隙形成部材71
と異なって、図1に示した発熱体2と可動部材6との間
の気泡発生領域10に対応する位置を含む、TiW膜2
6表面の、可動部材6の支持固定部に対応する部分を除
く部分全てに形成されている。従って、この製造方法で
は、図13および図14に基づいて説明した製造方法と
異なり、TiW膜26表面の、流路側壁に対応する部分
にまで間隙形成部材71aが形成されている。
【0146】この間隙形成部材71aは、後述するよう
にドライエッチングにより可動部材6を形成する際のエ
ッチングストップ層として機能する。これは、TiW層
26や、素子基板1における耐キャビテーション膜とし
てのTa膜、および抵抗体上の保護層としてのSiN膜
が、液流路7を形成するために使用するエッチングガス
によりエッチングされてしまうからであり、それらの層
や膜のエッチングを防止するために、このような間隙形
成部材71aを素子基板1上に形成する。これにより、
可動部材6を形成するためにSiN膜のドライエッチン
グを行う際にTiW膜26の表面が露出することがな
く、そのドライエッチングによるTiW膜26および、
素子基板1内の機能素子の損傷が間隙形成部材71aに
よって防止される。
【0147】次に、図19(c)では、間隙形成部材7
1aの表面全体および、TiW膜26の、露出した面全
体に、プラズマCVD法を用いて、可動部材6を形成す
るための材料膜である厚さ約4.5μmのSiN膜72
aを、間隙形成部材71aを被覆するように形成する。
ここで、プラズマCVD装置を用いてSiN膜72aを
形成する際には、図16を参照して説明した方法と同様
に、素子基板1のシリコン基板などを介して素子基板1
の耐キャビテーション膜を接地する。これにより、プラ
ズマCVD装置の反応室内でのプラズマ放電により分解
されたイオン種およびラジカルによって素子基板1上に
電荷が発生するが、素子基板1内の発熱体2やラッチ回
路などの機能素子が損傷することが防止される。
【0148】次に、図19(d)では、SiN膜72a
の表面に、スパッタリング法によりAl膜を厚さ約61
00Å形成した後、形成されたAl膜を、周知のフォト
リソグラフィプロセスを用いてパターニングし、SiN
膜72a表面の、可動部材6に対応する部分に第2の保
護層としてのAl膜(不図示)を残す。その第2の保護
層としてのAl膜は、可動部材6を形成するためにSi
N膜72aのドライエッチングを行う際の保護層(エッ
チングストップ層)すなわちマスクとなる。
【0149】そして、誘電結合プラズマを使ったエッチ
ング装置を用い、前記第2の保護層をマスクにしてSi
N膜72aをパターニングすることで、そのSiN膜7
2aの残った部分で構成される可動部材6を形成する。
そのエッチング装置ではCH 3FとSF6の混合ガスを用
いており、SiN膜72aをパターニングする工程で
は、図1に示したように可動部材6の支持固定部が素子
基板1に直接固定されるようにSiN膜72aの不要な
部分を除去する。可動部材6の支持固定部と素子基板1
との密着部の構成材料には、パッド保護層の構成材料で
あるTiW、および素子基板1の耐キャビテーション膜
の構成材料であるTaが含まれる。
【0150】ここで、ドライエッチング装置を用いてS
iN膜72をエッチングする際には、図17を参照して
説明した方法と同様に、素子基板1などを介して間隙形
成部材71aを接地する。これにより、エッチングの際
に生じるイオン種およびラジカルの電荷が間隙形成部材
71aに留まることを防止して、素子基板1の発熱体2
やラッチ回路などの機能素子を保護することができる。
また、このエッチングの工程において、SiN膜72a
の不要な部分を除去することで露出する部分、すなわち
エッチングされる領域には、上述したように間隙形成部
材71aが形成されているため、TiW膜26の表面が
露出することがなく、間隙形成部材71aによって素子
基板1が確実に保護される。
【0151】次に、図19(e)では、酢酸、りん酸お
よび硝酸の混酸を用いて、可動部材6に形成したAl膜
からなる前記第2の保護層や、Al膜からなる間隙形成
部材71aを溶出して除去し、素子基板1上に可動部材
6を作り込む。その後、過酸化水素を用いて、素子基板
1に形成したTiW膜26の、気泡発生領域10および
パッドに対応する部分を除去する。
【0152】そして、素子基板1上に可動部材6を形成
する工程と異なる別の工程で、天板に溝を直接形成して
その天板に流路側壁を形成するか、あるいは天板の一面
に流路側壁を形成して、図1に示した流路側壁9に相当
するものを有する天板を作製する。そして、その天板
を、図19に基づいて説明した方法により素子基板1上
に可動部材6を形成してなるものに接合することで、図
1に示した構成の液体吐出ヘッドを製造する。
【0153】図19に基づいて説明した製造方法では、
図1に示したように可動部材6の支持固定部が素子基板
1に直接固定されているものを製造する場合で説明した
が、この製造方法を適用して、可動部材が台座部を介し
て素子基板に固定された液体吐出ヘッドを製造すること
もできる。この場合、図19(b)に示した間隙形成部
材71aを形成する工程の前に、可動部材の、自由端と
反対側の端部を素子基板に固定するための台座部を素子
基板の発熱体側の面上に形成する。この場合でも、台座
部と素子基板との密着部の構成材料には、パッド保護層
の構成材料であるTiW、および素子基板の耐キャビテ
ーション膜の構成材料であるTaが含まれる。
【0154】このように、素子基板1上に可動部材6を
形成してなるものと、天板に流路側壁を形成してなるも
のとを接合する場合でも、例えば、素子基板1の接続用
コンタクトパッド14上に凸電気接続部として金バンプ
を形成し、また、天板3における接続用コンタクトパッ
ド18の周囲に側壁部を形成して、前記の凹電極部94
と同様な構成の凹電気接続部を天板3に形成する。この
場合では、天板3の接続用コンタクトパッド18の面上
に予めにAu膜を形成しておく。そして、素子基板1上
の金バンプを天板3の凹電気接続部の凹部内に入り込ま
せて金バンプと凹電気接続部とを係合させた後、金バン
プ、および接続用コンタクトパッド18上のAu膜を溶
融させて、金バンプとそのAu膜との間で、金属の共晶
を利用した接合、すなわち共晶接合を行う。
【0155】従って、この場合でも、素子基板1と天板
3とを接合する際に素子基板1上の金バンプと天板3の
凹電気接続部とを係合させることで、素子基板1と天板
3との、ある程度の位置決めを行うことが可能となる。
また、天板3に設けられた凹電気接続部の側壁部を構成
する側壁が、シリコンを含む堅い側壁である場合、凸電
気接続部と凹電気接続部とにおける金属間の溶融を伴う
共晶結合を行うことで、その堅い側壁によって素子基板
1と天板3との位置精度を向上させることができる。
【0156】以上で説明したように本実施形態の液体吐
出ヘッドでは、発熱体2の駆動条件を制御するための、
機能が異なる複数の素子あるいは電気回路がそれぞれ、
その機能に応じて素子基板1と天板3とに振り分けられ
ており、素子基板1または天板3のうちいずれか一方に
凸電気接続部として金バンプが形成され、他方に、その
金バンプと係合して金バンプと電気的に接続される凹電
気接続部が形成されている。これにより、素子基板1と
天板3とを接合する際に金バンプと凹電気接続部とを係
合させることで、素子基板1と天板3との、ある程度の
位置決めを行うことが可能となる。また、凹電気接続部
の側壁部を構成する側壁が、シリコンを含む堅い側壁で
あるので、凸電気接続部と凹電気接続部とにおける金属
間の溶融を伴う共晶結合を行うことで、その堅い側壁に
よって素子基板1と天板3との位置精度を向上させるこ
とができる。
【0157】なお、上述の実施形態では、凸電気接続部
として金属バンプ(具体的な材料としては、金の他、
銅、白金、タングステン、アルミニウムまたはルテニウ
ムのいずれか、あるいは、これらの金属のうちいずれか
を含んだ合金)を用いることで、バンプの形状や体積が
完全に均一でなくとも、凹電気接続部との接続を行うこ
とが可能となる。
【0158】また、凹電気接続部および凸電気接続部の
具体的な構成としては、上述の実施形態のように接合時
に凸電気接続部のみが変形するものに限られるものでは
ない。例えば、第2の基板(天板3)の凸電気接続部に
対応して第1の基板(素子基板1)に予め設けられた各
凹部の表面にそれぞれ個別の導電シートを貼ることで、
凸電気接続部の接合前には平面形状となっており、接合
後に凹型形状になるような構成であれば、素子基板1と
天板3とのある程度の位置決めを行うことが可能である
ので、本発明の電気接続部に含まれるものである。この
条件を満たす構成であれば、凸電気接続部および凹電気
接続部の双方が接合時に互いに変形する構成なども、本
発明の電気接続部に含まれる。
【0159】さらに、このように素子基板1と天板3に
凸電気接続部および凹電気接続部を設けて、凸電気接続
部と凹電気接続部との共晶接合を利用して素子基板1と
天板3とを接合することにより、素子基板1および天板
3としてウェハを用いた場合にウェハ間での接合が可能
になり、液体吐出ヘッドを製造する際の歩留りが向上す
る。その結果、液体吐出ヘッドの製造コストを下げるこ
とができる。
【0160】そこで、図21を参照して、上述の効果に
ついて補足説明を行う。図21は、本発明の液体吐出ヘ
ッドの製造方法の一例を説明するための図である。前述
の実施形態において説明したように、素子基板1および
天板3は、それぞれ図21(a)および図21(b)に
示すように、第1のシリコンウェハ100および第2の
シリコンウェハ101上に複数のヘッドに対応する個数
分だけ、多数個一括して形成される。ここでは、素子基
板1には可動部材6や流路側壁9、凹電極部94がそれ
ぞれ形成され、天板3には凸電気接続部としての金バン
プ95がそれぞれ形成されている。従って、これらが形
成されている第1のシリコンウェハ100と第2のシリ
コンウェハ101とを図21(c)に示すように、金バ
ンプ95および凹電極部94により位置合わせを行った
上で共晶接合により金バンプ95および凹電極部94を
接合することが可能になる。ここで、第1のシリコンウ
ェハ100と第2のシリコンウェハ101とを、凹電極
部94と、凹電極部94に対応する金バンプ95とが対
応するように当接させた後に、凹電極部94と、凹電極
部94に対応する金バンプ95とを共晶接合により接合
する。その後、一体化した第1のシリコンウェハ100
および第2のシリコンウェハ101は切断しても、共晶
結合により素子基板1と天板3との接合は剥離したり、
ずれたりすることがないので、この一体化された第1の
シリコンウェハ100および第2のシリコンウェハ10
1を切断することで、同時に複数の液体吐出ヘッド(ヘ
ッドチップ)を歩留りよく作ることができる。この場
合、各ヘッドの素子基板1および天板3をそれぞれヘッ
ド毎に位置合わせする場合に比べ、位置合わせをする回
数を大幅に減らすことできるので、さらに生産性が向上
するという効果も奏することができる。
【0161】なお、上述の効果は、凹凸形状の組合わせ
により第1のシリコンウェハ100と第2のシリコンウ
ェハ101とが位置決めできるものでもよいが、素子基
板1および天板3の設けられる電気接続部が互いに共晶
結合により接合されるものの方が好適である。共晶結合
により接合される場合、電気接続部の形状は凹凸の組合
わせでなくとも、例えば係合部として、互いに係合する
凹凸部を電気接続部以外に設ける構成など、第1のシリ
コンウェハ100と第2のシリコンウェハ101との間
で他に互いに位置合わせを可能にする手段を備えている
か、あるいは位置合わせを可能とする他の方法により接
合時に位置合わせができればよい。
【0162】<液体吐出装置>図20は、図1に示した
液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置の一例であるイ
ンクジェット記録装置を示す斜視図である。図20に示
されるインクジェット記録装置600に搭載されたヘッ
ドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドと、
その液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容
器とを有するものである。ヘッドカートリッジ601
は、図20に示すように、駆動モータ602の正逆回転
に連動して駆動力伝達ギヤ603および604を介して
回転するリードスクリュー605の螺旋溝606に対し
て係合するキャリッジ607上に搭載されている。駆動
モータ602の動力によってヘッドカートリッジ601
がキャリッジ607と共にガイド608に沿って矢印a
およびbの方向に往復移動される。インクジェット記録
装置600には、ヘッドカートリッジ601から吐出さ
れたインク等の液体を受ける被記録媒体としてのプリン
ト用紙Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備
えられている。その被記録媒体搬送手段によってプラテ
ン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板6
10は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリン
ト用紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0163】リードスクリュー605の一端の近傍に
は、フォトカプラ611および612が配設されてい
る。フォトカプラ611および612は、キャリッジ6
07のレバー607aの、フォトカプラ611および6
12の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転
方向の切り換え等を行うためのホームポジション検知手
段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッドカ
ートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ部
材614を支持する支持部材613が備えられている。
また、ヘッドカートリッジ601から空吐出等されてキ
ャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引するイ
ンク吸引手段615が備えられている。このインク吸引
手段615によりキャップ部材614の開口部を介して
ヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0164】インクジェット記録装置600には本体支
持体619が備えられている。この本体支持体619に
は移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ6
07の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持さ
れている。移動部材618には、クリーニングブレード
617が取り付けられている。クリーニングブレード6
17はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニン
グブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段6
15による吸引回復操作にあたって吸引を開始するため
のレバー620が備えられており、レバー620は、キ
ャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移
動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換
え等の公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカート
リッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、
上記の各機構の駆動制御を行ったりするインクジェット
記録制御部はインクジェット記録装置の本体に設けられ
ており、図20では示されていない。インクジェット記
録制御部には、液体吐出ヘッドから液体を吐出させるた
めの駆動信号を供給する駆動信号供給手段が備えられて
いる。
【0165】上述した構成を有するインクジェット記録
装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラ
テン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘ
ッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわた
って往復移動しながら記録を行う。
【0166】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、エネルギ
ー変換素子が配置された液流路を構成する第1の基板ま
たは第2の基板のうちいずれか一方の基板に凸電気接続
部が形成され、他方の基板に、その凸電気接続部と係合
して凸電気接続部と電気的に接続される凹電気接続部が
形成されていることにより、第1と第2の基板を接合す
る際に凸電気接続部と凹電気接続部とを係合させること
で、第1と第2の基板の、ある程度の位置決めを行うこ
とが可能となる。また、凹電気接続部の側壁部を構成す
る側壁が、例えばシリコンを含む堅い側壁である場合
に、凸電気接続部と凹電気接続部とにおける金属間の溶
融を伴う共晶結合を行うことで、その堅い側壁によって
第1の基板と第2の基板との位置精度を向上させること
ができるという効果がある。さらに、このように第1お
よび第2の基板に凸電気接続部および凹電気接続部を設
けて、凸電気接続部と凹電気接続部との共晶接合を利用
して第1の基板と第2の基板とを接合することにより、
第1および第2の基板としてウェハを用いた場合にウェ
ハ間での接合が可能になり、液体吐出ヘッドを製造する
際の歩留りが向上する。その結果、液体吐出ヘッドの製
造コストを下げることができるという効果がある。
【0167】また、本発明は、第1および第2の基板
に、互いの素子あるいは電気回路同士を電気的に接続す
るための電気接続部が備えられ、第1および第2の基板
の互いの電気接続部同士が共晶接合されていることによ
り、液体吐出ヘッドを製造する際に第1および第2の基
板としてウェハを用いた場合に、電気接続部同士の共晶
接合を利用した、ウェハ間での接合が可能になり、歩留
りが向上するという効果がある。その結果、液体吐出ヘ
ッドの製造コストを下げることができる。
【0168】さらに、本発明の液体吐出ヘッドの製造方
法によれば、液体吐出ヘッドを構成する第1と第2の基
板の位置合わせを、ある程度の精度で行うことができ、
また、歩留りが向上し、液体吐出ヘッドの製造コストを
下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液体吐出ヘッド構造
を説明するための、液流路方向に沿った断面図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドに用いられる素子
基板の断面図である。
【図3】図2に示した素子基板の主要素子を縦断するよ
うに素子基板を切断した模式的断面図である。
【図4】図1に示した液体吐出ヘッドの回路構成を説明
するための図であり、同図(a)は素子基板の平面図、
同図(b)は天板の平面図である。
【図5】図1に示す液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドユニットの平面図である。
【図6】センサ出力に応じて発熱体への印加エネルギー
を制御する例の素子基板および天板の回路構成を示す図
である。
【図7】センサ出力に応じて素子基板の温度を制御する
例の素子基板および天板の回路構成を示す図である。
【図8】温度センサの出力を利用してインクの有無を検
知する例の素子基板および天板の回路構成を示す図であ
る。
【図9】図8に示した素子基板および天板の回路構成の
変形例を示す図である。
【図10】図8に示した素子基板および天板の回路構成
の変形例を示す図である。
【図11】図8に示した素子基板および天板の回路構成
の変形例を示す図である。
【図12】図8に示した素子基板および天板の回路構成
の変形例を示す図である。
【図13】素子基板上に可動部材および流路側壁を形成
する方法を説明するための図である。
【図14】素子基板上に可動部材および流路側壁を形成
する方法を説明するための図である。
【図15】素子基板上に可動部材および流路側壁が形成
されてなるものに天板を接合する工程を説明するための
図である。
【図16】プラズマCVD装置を用いて素子基板上にS
iN膜を形成する方法を説明するための図である。
【図17】ドライエッチング装置を用いてSiN膜を形
成する方法を説明するための図である。
【図18】金バンプと凹電極部との係合関係について説
明するための図である。
【図19】素子基板上に可動部材を形成する方法を説明
するための図である。
【図20】図1に示した液体吐出ヘッドを搭載した液体
吐出装置の一例であるインクジェット記録装置を示す斜
視図である。
【図21】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法の一例を
説明するための図である。
【符号の説明】
1、31、51、401 素子基板 2、32、52、402 発熱体 3、33、53、403 天板 3a、3b 溝 3c、403a 供給口 4 オリフィスプレート 5 吐出口 6 可動部材 6a 支点 6b 自由端 7 液流路 7a 第1の液流路 7b 第2の液流路 8 共通液室 9 流路側壁 10 気泡発生領域 11、411 ドライバ 12、412 画像データ転送部 13、63 センサ 14、18、414、418 接続用コンタクトパッ
ド 15、415 外部コンタクトパッド 16、416 発熱体制御部 17、417 センサ駆動部 20 液体吐出ヘッドユニット 21 液体吐出ヘッド 22 ベース基板 23 プリント配線基板 24 配線パターン 25 ボンディングワイヤー 38 駆動タイミング制御ロジック回路 39 AND回路 41、56 パワートランジスタ 42 画像データ転送回路 43 ランクヒータ 44a〜44h、48a〜48d、48g、48h、6
4a、68a 端子 45a、45c〜45e、45h〜45j 入力端子 45b、45g 接地端子 45f 駆動電源端子 45k〜45n イネーブル信号入力端子 46 駆動信号制御回路 47、67 センサ駆動回路 49、69、469 メモリ 55 保温ヒータ 66 保温ヒータ制御回路 71、71a 間隙形成部材 72、72a、74 SiN膜 73、75 Al膜 76 TiW膜 34 支持部材 81a、81b RF電源 82a、82b RF電極 83a、83b 反応室 84a、84b 供給管 85a、85b ステージ 86 プラズマ 91 オリフィスプレート部 92 側壁部 93 凹部 94 凹電極部 95 金バンプ 96 マスク 97 エキシマレーザ 100 第1のシリコンウェハ 101 第2のシリコンウェハ 301 シリコン基板 301 熱酸化膜 303 層間膜 304 抵抗層 305 配線 306 保護層 307 耐キャビテーション膜 308 熱作用部 401a 流路壁 401b 流路枠 413、413a〜413c 温度センサ 420 P−Mos 421 N−Mos 422 N型ウェル領域 423 P型ウェル領域 424 酸化膜分離領域 425、432 ソース領域 426 ドレイン領域 428 ゲート絶縁膜 430 N−Mosトランジスタ 431 ドレイン領域 433、435 ゲート配線 434 蓄熱層 436、438 層間絶縁膜 437 Al電極 455 サブヒータ 459 制限回路 600 インクジェット記録装置 601 ヘッドカートリッジ 602 駆動モータ 603、604 駆動力伝達ギヤ 605 リードスクリュー 606 螺旋溝 607 キャリッジ 607a レバー 608 ガイド 609 プラテン 610 紙押さえ板 611、612 フォトカプラ 613 支持部材 614 キャップ部材 615 インク吸引手段 617 クリーニングブレード 618 移動部材 619 本体支持体 620 レバー 621 カム P プリント用紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 昭弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA23 EA26 FA03 FA10 HA05 HA16 KC22 2C057 AF93 AG30 AG70 AG83 AG86 AG90 AK07 AN01 AP02 AP11 AP26 AP77 AR14 BA05 BA13

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する複数の吐出口と、 互いに接合されることでそれぞれ前記吐出口と連通する
    複数の液流路を構成するための第1の基板および第2の
    基板と、 電気エネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネルギー
    に変換するために前記各液流路内に配された複数のエネ
    ルギー変換素子と、 前記エネルギー変換素子の駆動条件を制御するための、
    機能が異なる複数の素子あるいは電気回路とを有し、 前記素子あるいは電気回路がその機能に応じて前記第1
    の基板と前記第2の基板とに振り分けられた液体吐出ヘ
    ッドであって、 前記第1の基板または前記第2の基板のうちいずれか一
    方の基板に、前記第1および第2の基板の互いの素子あ
    るいは電気回路同士を電気的に接続するための複数の凸
    電気接続部が形成され、前記第1の基板または前記第2
    の基板のうちの他方の基板に、前記第1の基板と前記第
    2の基板とを接合した際に前記複数の凸電気接続部とそ
    れぞれ係合すると共に前記凸電気接続部と電気的に接続
    される複数の凹電気接続部が形成されている液体吐出ヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】 前記凸電気接続部と前記凹電気接続部と
    が共晶接合されている請求項1に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記凸電気接続部が、前記一方の基板に
    備えられた電極上に形成された金属バンプであり、か
    つ、前記凹電気接続部の、前記凸電気接続部と接触する
    部分における少なくとも一部が金属部分であり、前記金
    属バンプと前記金属部分とが共晶接合されている請求項
    1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記凹電気接続部の側壁部が、前記液流
    路を構成するための液流路形成部材の一部から構成さ
    れ、前記凹電気接続部が、前記液流路を形成するために
    前記液流路形成部材の、前記液流路に対応する部分を除
    去する際に前記液流路形成部材の所定の部分を除去する
    ことにより形成されたものである請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記凸電気接続部の材料、および前記凹
    電気接続部の少なくとも一部の材料として、金、銅、白
    金、タングステン、アルミニウムまたはルテニウムのう
    ちいずれかの金属、あるいは金、銅、白金、タングステ
    ン、アルミニウムまたはルテニウムのうちいずれかの金
    属を含む合金が用いられている請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記第1基板および前記第2の基板がシ
    リコン材料で構成され、前記素子あるいは電気回路が、
    半導体ウェハプロセス技術を用いて前記第1の基板およ
    び前記第2の基板に形成されている請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 液体を吐出する複数の吐出口と、 互いに接合されることでそれぞれ前記吐出口と連通する
    複数の液流路を構成するための第1の基板および第2の
    基板と、 電気エネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネルギー
    に変換するために前記各液流路内に配された複数のエネ
    ルギー変換素子と、 前記エネルギー変換素子の駆動条件を制御するための、
    機能が異なる複数の素子あるいは電気回路とを有し、 前記素子あるいは電気回路がその機能に応じて前記第1
    の基板と前記第2の基板とに振り分けられた液体吐出ヘ
    ッドであって、 前記第1の基板および前記第2の基板は、前記第1およ
    び第2の基板の互いの素子あるいは電気回路同士を電気
    的に接続するための電気接続部をそれぞれ備えると共
    に、前記第1の基板の電気接続部と前記第2の基板の電
    気接続部とが共晶接合されている液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第1の基板と前記第2の基板に、互
    いに係合するための、前記電気接続部とは異なる係合部
    を備える請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記エネルギー変換素子が、液体に熱エ
    ネルギーを作用させることで液体に気泡を発生させるも
    のであり、 前記液流路には、前記エネルギー変換素子に面して配さ
    れ、前記吐出口に向かう下流側が自由端となる可動部材
    が設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記エネルギー変換素子が発熱抵抗素
    子である請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体吐出
    ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給される液
    体を保持する液体容器とを有するヘッドカートリッジ。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出
    させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを
    有する液体吐出装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された
    液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    とを有する液体吐出装置。
  14. 【請求項14】 前記液体吐出ヘッドから液体を吐出し
    て被記録媒体に前記液体を付着させることで記録を行う
    ものである請求項12または13に記載の液体吐出装
    置。
  15. 【請求項15】 液体を吐出する複数の吐出口と、 互いに接合されることでそれぞれ前記吐出口と連通する
    複数の液流路を構成するための第1の基板および第2の
    基板と、 電気エネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネルギー
    に変換するために前記各液流路内に配された複数のエネ
    ルギー変換素子と、 前記エネルギー変換素子の駆動条件を制御するための、
    機能が異なる複数の素子あるいは電気回路とを有し、 前記素子あるいは電気回路がその機能に応じて前記第1
    の基板と前記第2の基板とに振り分けられた液体吐出ヘ
    ッドの製造方法であって、 前記第1の基板または前記第2の基板のうちいずれか一
    方の基板に、前記第1および第2の基板の互いの素子あ
    るいは電気回路同士を電気的に接続するための複数の凸
    電気接続部を形成する工程と、 前記第1の基板または前記第2の基板のうちの他方の基
    板に、前記複数の凸電気接続部とそれぞれ係合すると共
    に前記凸電気接続部と電気的に接続される複数の凹電気
    接続部を形成する工程と、 前記第1の基板と前記第2の基板とを接合させる際に前
    記複数の凸電気接続部をそれぞれ対応する前記複数の凹
    電気接続部に係合させる工程とを有する液体吐出ヘッド
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第1の基板と前記第2の基板とを
    接合する工程で前記凸電気接続部と前記凹電気接続部と
    を共晶接合する請求項15に記載の液体吐出ヘッドの製
    造方法。
  17. 【請求項17】 前記凹電気接続部の側壁部が、前記液
    流路を構成するための液流路形成部材の一部から構成さ
    れたものであり、前記液流路形成部材の、前記液流路に
    対応する部分を除去して前記液流路を形成する際に、前
    記液流路に対応する部分と共に前記液流路形成部材の所
    定の部分を除去することで前記凹電気接続部の凹状の形
    状を形成する工程から、前記凹電気接続部を形成する工
    程が構成されている請求項16に記載の液体吐出ヘッド
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 液体を吐出する複数の吐出口と、 互いに接合されることでそれぞれ前記吐出口と連通する
    複数の液流路を構成するための第1の基板および第2の
    基板と、 電気エネルギーを前記液流路内の液体の吐出エネルギー
    に変換するために前記各液流路内に配された複数のエネ
    ルギー変換素子と、 前記エネルギー変換素子の駆動条件を制御するための、
    機能が異なる複数の素子あるいは電気回路とを有し、 前記素子あるいは電気回路がその機能に応じて前記第1
    の基板と前記第2の基板とに振り分けられた液体吐出ヘ
    ッドの製造方法であって、 前記第1および第2の基板の互いの素子あるいは電気回
    路同士を電気的に接続するための第1の電気接続部を備
    えた前記第1の基板が複数設けられた第1のシリコンウ
    ェハを用意する工程と、 前記第1および第2の基板の互いの素子あるいは電気回
    路同士を電気的に接続するための第2の電気接続部を備
    えた前記第2の基板が複数設けられた第2のシリコンウ
    ェハを用意する工程と、 前記第1のシリコンウェハと前記第2のシリコンウェハ
    とを、前記第1の電気接続部と前記第1の電気接続部に
    対応する前記第2の電気接続部とが対応するように当接
    させる当接工程と、 前記当接工程の後、前記第1の電気接続部と前記第1の
    電気接続部に対応する前記第2の電気接続部とを共晶接
    合により接合する接合工程と、 前記接合工程の後、接合された前記第1のシリコンウェ
    ハおよび前記第2のシリコンウェハを一体的に切断する
    切断工程とを有する液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第1の電気接続部および前記第2
    の電気接続部はそれぞれ複数設けられると共に、前記第
    1の電気接続部または前記第2の電気接続部のいずれか
    一方が凸形状であり、他方が、前記凸形状の電気接続部
    と電気的に接続される凹形状である請求項18に記載の
    液体吐出ヘッドの製造方法。
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