JP2000337776A - 溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上方法 - Google Patents

溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上方法

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JP2000337776A
JP2000337776A JP11144724A JP14472499A JP2000337776A JP 2000337776 A JP2000337776 A JP 2000337776A JP 11144724 A JP11144724 A JP 11144724A JP 14472499 A JP14472499 A JP 14472499A JP 2000337776 A JP2000337776 A JP 2000337776A
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secondary combustion
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oxygen
oxygen gas
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Yoshiteru Kikuchi
良輝 菊地
Ryo Kawabata
涼 川畑
Toshio Takaoka
利夫 高岡
Toshio Ishii
俊夫 石井
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精錬炉の操業性や耐火物損傷を悪化させず、
当該炉で生成した一次燃焼ガス特にCOを効率よく二次
燃焼させ、溶融メタルへの着熱効率を上げる。 【解決手段】 鉄を溶解及び/又は精錬する転炉、電気
炉及び高周波溶解炉もしくは低周波溶解炉、並びに、金
属鉱石を製錬する溶融還元炉において、二次燃焼用の支
燃性ガスとして60%以上の酸素ガス含有ガスを用い
る。酸素ガス含有ガスを高温に予熱する。望ましくは3
00℃以上とする。ノズルから吐出される流速を、15
0m/s以上とする。高温に予熱された酸素ガス含有ガ
スを、溶融スラグ中に吹き込む。更に、完全溶解してい
ない原料充填部に吹き込む。当該酸素ガス含有ガス供給
系内で、燃料をたいて当該酸素ガス含有ガスを直接加熱
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、転炉及び電気炉
等の金属精錬炉、又は鉄鉱石の溶融還元炉等の金属製錬
炉において、溶解原料や燃料中の被燃焼物質を燃焼させ
ることにより、炉内に装入された原料の加熱、溶解及び
精錬ないし製錬を行なう時期に、当該炉の操業性や耐火
物の損傷を悪化させることなく、当該炉で生成した一次
燃焼ガス、特にCOガスを効率よく二次燃焼させ、こう
して発生した二次燃焼熱を当該炉内の溶解原料ないし溶
融メタルに効率よく着熱させ、かくして、燃料や支燃性
ガスの使用量を低減させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】転炉においては、鋼屑やマンガン鉱石等
の溶解速度や還元速度を増大させるための燃焼技術が検
討されてきた。これには、主として溶鉄の脱炭用上吹き
ランスが用いられ、このランスには、脱炭用のメインノ
ズル並びにその周囲やランス外周部に二次燃焼用酸素ガ
スを噴射さるためのノズルが設けられる。即ち、上記ラ
ンスには、メインノズルの他に、上記脱炭反応により発
生した一次燃焼ガスであるCOガスを燃焼させるための
酸素ガスを噴射させるためのノズルが設けられている。
これら二次燃焼用ノズルで浴から発生したCOガスの一
部をCO2ガスまで二次燃焼させる。しかしながら、二
次燃焼させる場所的領域を制御することが困難であるた
めに、溶融メタルや溶融スラグよりなる浴への着熱を十
分に高めることが難しい。そして上記二次燃焼を効率よ
く行なわせ、また二次燃焼熱を効率よく浴に着熱させよ
うとすると、過度の二次燃焼用の支燃性ガスを供給しな
ければならず、その結果、炉壁の損傷を引き起こす。
【0003】一方、電気炉においては、炉側壁に設置さ
れたランスや排滓用のゲートから挿入された水冷ランス
等を用いて、スラグ中に酸素ガスを吹き込み、メタル浴
の脱炭とその脱炭で生成したCOガスの二次燃焼を同時
に行なわせる。上記酸素ガス吹き込み時にコークス粉等
のいわゆる加炭材も吹き込んで、COガスの発生を増大
させたり、スラグを泡立ててスラグ中で二次燃焼させた
りすることも行なわれている。この場合における加炭材
吹込みは、元来、アーク熱等電気エネルギーの代替を目
的に行なう一次燃焼熱の発生手段である。いずれにして
も、O2ガスの吹き込みによるメタル浴の直接酸化によ
るCOガス生成も二次燃焼を起こさせるためには不可欠
であるが、この二次燃焼を起こさせる場所の制御が困難
であり、二次燃焼熱のメタル浴への十分な着熱は実現で
きなかった。また、二次燃焼専用に、横吹きのノズルを
用いる場合もあるが、スラグ中での二次燃焼空間の確保
は難しく、大量に酸素ガスを添加して燃焼を増大させよ
うとすると、メタル浴との反応が避けられず、二次燃焼
率や着熱効率の向上は同様に困難である。
【0004】一方、溶融還元法は、鉄鉱石を高速で加熱
・溶融し、還元して溶銑を生成するものであるから、熱
付加量の向上は還元反応の促進には必須である。種々の
炉形式のプロセスが提案されており、転炉に類似した炉
形式の場合、前述の上吹きランスと同様の方法や、炉上
部の側壁に挿入可能なランスや羽口を設けたりする方法
がある。鉱石が溶融還元されると、鉱石中の酸素はCO
ガスとして除去されるが、そのCOガスを別途設けたラ
ンスや羽口から供給される酸素ガスで二次燃焼させ、そ
の燃焼熱を還元反応に伴なう吸熱分の補償やメタル浴の
加熱のために利用する。溶融還元法で使用される鉄鉱石
中の脈石分がスラグ化し、大量のスラグ量となるため、
二次燃焼時に発熱した熱は、燃焼ガスからスラグへ伝達
され、次いでメタル浴への最終的な着熱が行なわれる。
この二次燃焼率及び着熱効率を高めるためには、燃焼領
域や伝熱面積の増大のため、燃焼、伝熱サイトの分散を
行なう必要があり、一般には羽口やランスの数を増やし
たりすることが行なわれる。しかしながら、吹き込み口
数の過度の増加は、設備が大がかりとなるばかりでな
く、添加される二次燃焼用酸素ガスの制御を行なうこと
にも問題が起きる。
【0005】また、最近、添加する支燃性ガスが空気の
場合、事前に空気を高温にし、吹き込み口から添加され
る空気の制御性を高めようとすることが試みられてい
る。高炉の熱風のように、発生源から炉まで搬送が比較
的容易なこともあり、高温に予熱されたガスの炉内への
吹き込み技術は、空気に限られている。しかしながら、
空気は酸素濃度が低く、燃焼率の増大に関し不利である
ばかりでなく、大量に付帯するN2ガスにまで熱付与し
なければならず、トータルの熱効率の面では必ずしも優
位とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、このよう
な状況に鑑み、精錬用電気炉や転炉、あるいは溶融還元
炉のような溶解炉ないし精錬炉又は製錬炉で、一次燃焼
ガスを二次燃焼させることにより、有効熱を増大させよ
うとするに当たり、操業上の不安定要因となる耐火物等
の寿命を低めずに、また大量のガスを導入することによ
って起こるスラグ等の飛び出しを抑制しつつ、二次燃焼
率及び着熱効率を増大させようとするものである。
【0007】被加熱体への着熱を増加させるためには、
メタル浴の近傍で燃焼させ、直接的な輻射伝熱の効果
を増大させるか、メタル浴上部の溶融スラグから当該
メタル浴への伝熱の増大を狙い、先ず、溶融スラグ中や
スラグ浴の直上で燃焼させて、溶融スラグと燃焼ガス間
の伝熱を促進させることが有効である。
【0008】前者に関しては、このような溶解、精錬に
おける処理では、脱炭によるCOガスの生成を伴なうこ
とが前提であり、また、その処理の促進のため、ガス底
吹き等の浴の強制撹拌を伴なうことも一般的であるた
め、浴面の攪乱は避けられない。そのため、メタル浴の
近傍で燃焼させると、鉄、マンガン等のメタル浴中有効
成分の直接酸化が増え、メタル浴から生成したCOガス
を選択的に二次燃焼させることは難しい。スラグ組成の
制御も困難となり、耐火物損傷等により操業上も不安定
となりやすい。このため、この方法では最終的な着熱量
を増大させることは困難である。
【0009】一方、後者に関しては、溶融スラグ中やス
ラグ浴の直上で燃焼させるものであるから、メタル浴と
酸素ガスとの反応は避けやすくなる。しかしながら、燃
焼空間の確保や燃焼ガスのスラグとの接触面積を増やし
て伝熱を促進させることが必須となる。例えば、前述の
ように、ランス本数の増加やノズルの多孔化等で伝熱面
積を増大させたり、二次燃焼サイトを分散させたり、細
孔ノズルからガスを高速で噴射させ、そのガスの運動エ
ネルギーを利用してスラグの撹拌を高めることが行なわ
れる。しかしながら、このように伝熱を促進させようと
すると、炉壁耐火物への熱負荷が増大したり、溶融スラ
グやメタルの炉外への飛散を多くしたり、また更にノズ
ルの寿命を短くしたりするので、操業の安定性に問題が
ある。更に、このような溶融法においては、品質の制御
も重要であり、特にメタル浴への窒素の吸収問題を解消
するには、窒素を多量に含む空気以外の支燃性ガスの使
用が必須である。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような問題に対して
本発明者等は、適切な限られた空間内での燃焼率を高
め、更にはその燃焼熱の着熱を効率的に実現することが
有効であると考えた。更に鋼材特性に対しても問題のな
い操業を可能とすることが重要であると考えた。即ち、
従来、燃焼用の支燃性ガスとして常温の純酸素ガスが用
いられていたが、その燃焼率を高めるには、予め高温に
予熱した純酸素ガスの利用が有効であることを見い出し
た。本発明者等は、COガス等の燃料ガスの気流中に酸
素ガスの添加を行なった場合の当該燃料ガスの燃焼挙動
を詳細に検討した結果、高温に予熱した酸素ガスによ
り、燃焼速度が高まることが確認された。更に、着熱効
率を高めるためにも、予め高温に予熱した酸素ガスの利
用が有効であることを見い出した。
【0011】着熱効率を高めるためには、燃焼ガスと溶
融スラグとの接触・混合が重要であるが、燃焼ガスが反
応系外に出るまでの限られた時間内に接触機会をできる
だけ増やす必要がある。そのためには、二次燃焼用酸素
ガスジェットや燃焼ガスの溶融スラグ内での滞留時間を
増やす手段が有効である。高温のガスジェットのノズル
からの吐出挙動についての詳細は、複雑で詳細には解明
されていないが、本発明者等が詳細に検討した結果、下
記手段によりガスジェットの制御が容易となることを見
い出した。即ち、ノズルを適切に設計することにより、
吐出流速の制御幅を拡げ、極端に増大させたりすること
ができ、また、ジェットの拡がりを制御することが容易
となること等、望ましいノズル特性を得ることができる
ことがわかった。このため、限られた量の溶融スラグ内
での燃焼や酸素ガス及び燃焼ガスでの溶融スラグの撹拌
を高めることも容易になり、燃焼ガスから溶融スラグへ
の伝熱及び溶融スラグからメタル浴への伝熱を効率的に
高めることができる。更に、メタル浴面の位置、スラグ
の量及び流動性等の浴の炉内状況が時々刻々変わる中で
添加される酸素ガスを最適な吐出条件に制御できること
も、二次燃焼熱のメタル浴への伝達効率向上に有効であ
る。
【0012】更に、上述した二次燃焼用酸素ガスジェッ
ト中の酸素ガス濃度は、通常、理論的には100%では
ない。この酸素ガス含有ガス中の酸素ガス濃度に関して
は、二次燃焼率や二次燃焼熱の着熱を高める条件に合致
するものであれば基本的に制限はない。詳細は下記の通
りである。
【0013】二次燃焼時に発生する熱量を溶解炉等内で
利用する場合、燃料の総発熱量を増大させるばかりでは
なく、排気される燃焼ガスの顕熱を極力小さくすること
が必要である。支燃性ガス中の酸素ガス濃度が変化した
場合、酸素量が同一であれば総発熱量自体は変化しない
が、燃焼ガスの顕熱が変化する。酸素ガス濃度が低下す
ると、酸素ガス以外のガス、特に窒素等の実質的に反応
しないガスの昇温に燃焼熱の一部が用いられ、そのガス
は炉内で活用しにくく、そのまま排気されることにな
る。酸素ガス含有ガスとして、酸素ガスと窒素ガスとの
混合ガスを用いて純粋な炭素源物質の所定量を所定量の
酸素ガスで燃焼させた場合、燃焼熱の一部が窒素ガスの
昇温に消費され、窒素ガスの顕熱として持ち去られる。
この損失熱量は、酸素ガス含有ガス中の酸素ガス濃度の
低下につれて増大する。そして、酸素ガス濃度が一定値
以下に下がると、上記損失熱量を無視することができな
くなる。例えば、酸素ガス1モルを含む酸素ガス濃度X
%の混合ガスで純粋な炭素源物質を燃焼させた場合、C
2が1モル生成し、窒素ガスは(1−X/100)モ
ルとなり、これらガスの比熱を考慮して計算される無効
熱は、酸素ガス濃度X%の低下につれて大きくなる。本
発明者等の検討によれば、この無効熱を増大させないた
めには、その酸素ガス濃度は少なくとも60%以上であ
ることが必要であり、できるだけ高い方が有利である。
そして、酸素濃度が90%以上になると、上記無効熱は
実質的に無視できる程度に小さくなる。他方、このよう
な金属の溶解、精錬ないし機能を十分に発揮するための
高温溶融条件の達成の他に、製品品質からの制約を考慮
する必要がある。例えば、鋼の品質に影響する窒素濃度
を低く維持するという実用的観点から、窒素濃度を10
0〜150ppm程度以下に抑えるためには、混合ガス
中窒素濃度を5〜10%以下にするのが望ましい。な
お、工業的な酸素製造法からみると、空気の液化による
分離法(深冷法)により不純物を数10ppm以下とし
た酸素ガスが使えるし、数%の窒素を含む吸着法(PS
A法:Pressure Swing Absorpt
ion法)による酸素ガス等、一般的なものも使用でき
る。しかしながら、大量使用の場合の酸素製造設備が大
型となることや、経済性を重視する場合に、これらの製
造時に酸素ガス濃度を下げる方法や、製造後に純度の高
い酸素に空気を混合する方法等があるが、このような比
較的低濃度の酸素ガス含有ガスも問題なく使えることが
望ましい。
【0014】上述した理由により、本発明において使用
する酸素ガス含有ガス中の酸素ガス濃度は、60%以上
であることが必要であり、できれば90%以上であるこ
とが望ましい。
【0015】次に、酸素ガス含有ガスの温度について説
明する。
【0016】二次燃焼をスラグ内あるいはその近傍で行
なわせる場合、スラグに作用する動圧を高めてスラグの
撹拌流動を高めることや、その燃焼空間を可能な限り広
めることが重要である。撹拌流動を高め燃焼空間を広げ
るための酸素ガス含有ガスの吐出流速を鋭意検討した結
果、酸素ガス含有ガスを予め高温に予熱しておくことに
よりスラグに作用し得る動圧、撹拌動力を高め、燃焼空
間を広げ得ることがわかった。その場合、300℃以上
に酸素ガス含有ガスの温度を上げておくとその効果が大
きく、更に高温にし、実質的に600℃にすると、これ
らの効果は常温酸素をベースとした場合に比べて倍増す
るので、この温度以上に高温にすることが一層望まし
い。このように、酸素ガス含有ガスの温度は高いほど、
この動圧、撹拌動力及び燃焼空間の制御範囲を広げ得る
ので有利であるが、配管の耐熱性、安全性及び圧送圧力
の増大を考慮して、1300℃以下に限定すべきであ
る。特に、実用度の高い高合金製の耐熱配管を用いる場
合、特殊なセラミックスを用いる場合よりやや低温の1
100℃以下が安定しよう条件となり望ましい。一方、
酸素ガス含有ガスの温度が耐火物の溶損に対する影響に
関しては、使用環境により異なるので、酸素ガス含有ガ
スの温度を一義的に限定することは困難である。例え
ば、従来、スラグ内の限られた空間でしか燃焼していな
かった場合、スラグ内の局部高温化が起ったり、あるい
は燃焼がスラグ内で完了せずスラグの上部空間でも起こ
る傾向にあった。この場合、高温スラグによるスラグ部
と接触する耐火物の溶損や、スラグ上部での高温燃焼ガ
スにより耐火物の侵食が増大する傾向にあった。このよ
うな場合、スラグ内での燃焼が均一化し、局部高温化の
抑制により耐火物溶損の低減が可能である。
【0017】酸素ガス含有ガスのノズルからの吐出流速
については、上述した通り二次燃焼では高動圧、高撹拌
流動、遠方への到達性等の作用が必要であるから、所定
の流速を必要とする。実用的な電炉の容量を50トン程
度から200トン程度のものとし、その溶解、燃焼空間
を想定した場合、3mから6m程度の直径を有する炉が
必要となる。このような空間に適用する場合、150m
/s以上であれば、炉内へのガス導入近傍のみとなら
ず、この近傍への局部的な偏熱やそれによる炉内壁損傷
等を防止できる。基本的には、音速以上の流速が適用で
きるので、酸素ガス含有ガスの温度にもよるが、比較的
低温領域での300m/s以上が必要である。吐出ガス
流速の上限は限られた空間内への制御のし易さや、ガス
高圧化等の容易さや経済性等の制約で決まるが、約10
00m/s程度までは問題なく適用できる。一方、酸素
ガス含有ガスのノズルからの吐出流速が耐火物の溶損に
対する影響に関しては、上述した酸素ガス含有ガスの温
度において述べたと同様、使用環境により異なるので、
酸素ガス含有ガスの吐出流速を一義的に限定することは
困難であるが、吐出流速を大きくすることによりスラグ
内の燃焼空間を広げることができるので、耐火物の溶損
を低減することができる。
【0018】なお、使用し得るノズルについては、二次
燃焼用ガスの流速に関しても基本的には、従来のノズル
から吐出されるガス噴流特性と同じであればよいから、
従来の亜音速領域から超音速領域まで問題なく使える。
【0019】以上、溶解炉等での溶融スラグを介して、
二次燃焼熱のメタル浴への熱付加を行なう場合に関して
述べたが、溶解炉等の原料予熱過程にも上述した考え方
を同様に適用できる。この場合、原料充填層へ酸素ガス
を供給することにより二次燃焼を行なうが、その燃焼率
や着熱の増加が必要である。高温に予熱した酸素ガスを
用いることにより、燃焼空間を拡げ、燃焼率を高めるこ
とができ、限られた予熱層内で熱付加を容易に行なうこ
とができることに着眼した。
【0020】本発明の溶解炉等における二次燃焼率及び
着熱効率の向上方法は、上記諸検討及び知見に基づきな
されたものであり、その要旨は下記の通りである。
【0021】請求項1記載の発明は、溶解炉、精錬炉又
は製錬炉で発生した一次燃焼ガスを二次燃焼させて、上
記溶解炉等における有効熱として利用するため、高温に
予熱した酸素ガス含有ガスを上記二次燃焼用の支燃性ガ
スとして用いる方法であって、上記二次燃焼用の支燃性
ガスとして60%以上の酸素ガスを含有するガスを用い
ることに特徴を有するものである。
【0022】請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶
解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上方法にお
いて、溶解炉等として、鉄を溶解及び/又は精錬する転
炉、電気炉及び高周波溶解炉もしくは低周波溶解炉、並
びに、金属鉱石を製錬する溶融還元炉の内のいずれかを
用いることに特徴を有するものである。
【0023】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載の溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の
向上方法において、上記酸素ガス含有ガスの温度を30
0℃以上とすることに特徴を有するものである。
【0024】請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項
3のいずれかに記載の溶解炉等における二次燃焼率及び
着熱効率の向上方法において、上記酸素ガス含有ガスが
ノズルから吐出される流速を、150m/s以上とする
ことに特徴を有するものである。
【0025】請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項
4のいずれかに記載の二次燃焼率及び着熱効率の向上方
法において、高温に予熱された上記酸素ガス含有ガス
を、上記溶解炉等内に形成されたメタル浴面上に存在す
る溶融スラグ中に吹き込むことに特徴を有するものであ
る。
【0026】請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項
4のいずれかに記載の二次燃焼率及び着熱効率の向上方
法において、上記酸素ガス含有ガスを、上記溶解炉等内
に形成された完全溶解していない原料充填部に吹き込む
ことに特徴を有するものである。
【0027】請求項7記載の発明は、請求項1〜請求項
6のいずれかに記載の二次燃焼率及び着熱効率の向上方
法において、酸素ガス含有ガスの予熱工程は、酸素ガス
含有ガス供給装置から上記溶解炉等への酸素ガス含有ガ
ス吹込み口までの間の当該酸素ガス含有ガス供給系内に
おいて、所定の燃料を燃焼させて当該酸素ガス含有ガス
を直接加熱することにより行なうものであることに特徴
を有するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に関し
詳細に説明する。
【0029】図1は、本発明の実施に用いられる溶解炉
の例としてのアーク加熱電気炉設備の概念図である。電
気炉に装入された溶解原料及び造滓材を電極1から供給
されるアーク熱で加熱、溶解し、精錬する。先ず、鋼屑
や冷銑等の固体鉄源原料をバケットから炉内に装入する
ため、炉口は上部が開放できる構造になっている。この
炉口は旋回式の天井蓋で閉じて操業され、排気ダクト口
を通って炉内で発生するガスやダストが排出される。炉
口には石灰等副原料の投入口も設置されており、炉口か
ら溶湯に直接装入可能である。一方、炉口上部から昇降
装置により挿入された電極1の先端が湯面直上で停止さ
れ、装入原料のアーク加熱が行なわれる。炉側壁部に固
定されたランス2の下面側にある単数又は複数個のノズ
ルから、湯面に向けて酸素ガスの吹き付けが可能となっ
ている。また、炉底部には、単数又は複数個の炉底ノズ
ル3を有し、不活性ガス等の撹拌ガスが吹き込まれる。
炉底ノズル3は多孔質の通気媒体からなり、例えば、必
要時にのみガスを吹き込むことができるポーラス煉瓦ノ
ズルや、金属製の単管ノズル又は同心円状の多重管ノズ
ルが用いられる。後者の金属製管状ノズルの場合、ガス
停止時にはノズルへの溶湯の侵入があるため、溶銑装入
時から溶湯を排出するまでの間、常にガスを吹き続ける
必要がある。溶解炉等としては、アーク加熱電気炉以外
に転炉型反応容炉等を用いる場合も、基本的には、送
酸、撹拌、原料装入及び排ガス処理の機能を有するもの
を用いる。
【0030】転炉型反応炉を用いる場合、鋼屑等の被溶
解物の他、溶銑や炉内で予め鉄源原料を溶解して得た溶
湯を、底吹きガスによる撹拌を行ないながら、送酸、発
熱による熱エネルギーで造滓、溶解、メタル浴の昇温を
進行させる。溶解に必要な熱量によっては、熱源供給の
ために加炭材の供給も送酸と同時に行なわれる。送酸方
法は種々の方法が可能であるが、メタル浴面上方からの
送酸にはランスが用いられ、一般に、耐用性を高めるた
めに水冷ランスが用いられ、先端のノズル孔から酸素ガ
スジェットが高速で吐出される。吐出された酸素ガスジ
ェットは、炉内で減衰しながらメタル浴面と衝突し、メ
タル浴と反応しこれを脱炭し、COガスが生成する。こ
のメタル浴面近傍等で発生したCOガスは、当該メタル
浴面上を覆う形で存在する溶融スラグを撹拌し上昇して
抜け出し、炉内空間及び炉口を通って排ガス処理系に吸
引される。
【0031】上述したように、メタル浴の脱炭で発生し
た一次燃焼ガスであるCOガスは、酸素ガスにより二次
燃焼が行なわれる。この二次燃焼はできるだけメタル浴
面に近い領域で行なわせることが、メタル浴への着熱効
率を上げるためには重要である。
【0032】溶解炉等への酸素ガス含有ガスの供給は、
一般的には、前述のメタル浴面上方からの水冷ランス
に、脱炭用酸素ガスの供給ラインと二次燃焼用酸素ガス
の供給ラインとを設けて行なわれる。従って、酸素ガス
噴出ノズルも別々にも設ける。そして、二次燃焼用ノズ
ルの設計としては、その酸素ガスを直接メタル浴に吹き
付けるのではなく、メタル浴面よりやや上部の領域で燃
焼させるように工夫する。
【0033】一方、炉の側壁には別途設けたノズルよ
り、上記と同様、浴面よりやや上部の領域で燃焼させる
ようにする。このような二次燃焼は、前述したように広
い領域で行なわせることが重要であるから、ノズル、ラ
ンス及び羽口等を適切に設ける必要がある。この二次燃
焼用酸素ガスを含有するガスを、ノズルから吐出する前
に高温に予熱する方法としては、酸素ガス含有ガス配管
を各種プロセスで使用された高温度の燃焼ガス等の雰囲
気を通し、当該配管を通じて間接的に加熱する方式でも
よく、また、酸素ガス配管内で少量の燃料を燃焼させて
加熱する直接加熱方式でもよい。直接加熱方式として
は、例えば、特公平6−29659号公報に開示された
方法を用いる。ここで、酸素ガス含有ガスの加熱温度と
しては前述した通り、二次燃焼反応面からは高いほど望
ましいが、加熱装置の耐熱性や加熱後ガスの輸送配管等
の制約から、通常は1300℃程度以下にするのが望ま
しい。そして、二次燃焼速度を上げるためには少なくと
も300℃以上にすることが必要であり、望ましくは、
600℃以上にするのがよい。
【0034】二次燃焼熱の着熱効率向上のためには、メ
タル浴とスラグ浴との撹拌が特に重要である。これに関
しては、電気炉のアーク加熱による電磁撹拌を利用した
り、炉底や炉壁に電磁撹拌コイルを設置したりすること
もできる。特に、COガスの二次燃焼による発熱エネル
ギーをメタル浴に効率的に伝達するためには、炉底側か
らの底吹きガス撹拌が効果的であり、種々のタイプのノ
ズルと底吹きガス種との組み合わせが可能である。ノズ
ル孔が多数集合した多孔ノズルによる方式や、酸素ガス
含有ガス用内管と冷却ガス用外管とからなる二重管方式
等がある。酸素ガス含有ガスを用いることにより、低コ
ストで大量のガスを底吹きできる場合もあるが、低い流
量域においては不活性ガスの場合と比べて浴内の反応や
熱的挙動は大差ないので、両方式とも可能である。
【0035】底吹きノズルからのガスジェットに関して
は、ノズルへの溶融メタルによるバックアタックによる
溶損対策とガスの吹き抜け対策上より制御される。ノズ
ルへのバックアタック防止については、ガス吐出流速を
一定速度とすることにより、またガスの吹き抜け防止に
ついては、ノズル1本当たりの流量を浴深さに応じて低
下させることが重要である。本発明においても、この点
に留意してノズルを設計することが必要である。具体的
には、処理炉の容量や溶湯装入時の浴深さに応じてノズ
ル数やノズル径を設計する。
【0036】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。
【0037】〔実施例1〕図1に概要を示した50t規
模の交流式アーク電気炉の側壁に、二次燃焼用酸素ラン
ス2を6本設けて原料の溶解試験をした。試験は、本発
明の範囲内の条件で行なった実施例1〜9と、本発明の
範囲外の条件で行なった比較例1及び2からなる。溶解
用の鉄源原料の装入は、通常の溶解時と同様に、溶解原
料として鋼屑を主体とした鉄源原料50tを、30tと
20tとの2回に分けてバケットで装入した。2回目の
装入後約10分で、装入物が溶落し、メタル7浴面は見
かけ上フラットになった。この段階で炉側壁のランス2
より所定流量の送酸を行ない、メタル7浴から発生して
いるCOガスを二次燃焼させ、メタル7浴の昇温速度を
測定した。炉のほぼ中心を向いている各二次燃焼用ラン
ス2は、先端に2個のノズル孔をもち、噴出角は水平面
に対して下向きに20°とした。ランスとしては、同一
ランスの2個のノズル孔間の角度が、20°及び110
°の2種類とし、20°と110°のノズル孔間角度の
ランスを交互に配置した。また、ノズルから酸素ガス濃
度99.5%の純酸素ガスを噴出させた。但し、当該酸
素ガスジェットは、3本の電極1と干渉しないように、
電極1の位置に対するジェットの噴出方向を調整した。
酸素ガス流量は6本のすべてのランス2からの総量で1
500Nm3/hとした。即ち、ノズル1孔当たりの平
均流量は125Nm3/hである。
【0038】二次燃焼用酸素ガスを高温に予熱するた
め、各ランス2への酸素ガス導入部に、酸素ガス予熱装
置5を設けた。その形式は、酸素ガス配管を小型の電気
ヒーター内を通過させるものである。この予熱装置5で
酸素ガスを約1100℃まで加熱でき、ランス2の吐出
口での酸素ガス温度を950℃以上に確保できる。酸素
ガス温度として、250、450、650、850℃及
び常温の5水準で試験した。また、ノズルから吐出され
る酸素ガス流速は、100、250及び500m/sと
なるように、酸素ガス温度を考慮して各ノズル孔径を決
めた。
【0039】上記条件で二次燃焼用酸素ガスを供給する
と同時に、排滓ゲートから水冷ランスを水平に挿入し、
その先端にある別々のノズルからそれぞれ加炭及び送酸
を行なった。送酸量は1時間当たり1500Nm3で、
加炭はコークス粉を25kg/minの一定とした。定
常的に浴からCOガスを発生させたので、浴面上のスラ
グ4はいわゆるフォーミング状態となり、スラグ4は泡
立ち、その高さは約60cm以上になった。側壁のラン
ス2からの酸素ガスは高速で、このフォーミングスラグ
中に侵入後、スラグ内を進行し、電極1近傍まで到達
し、その間にそのスラグ中を上昇中のCOガスを燃焼さ
せ、一部あるいは大部分のCOガスはCO 2ガスとな
る。その後、CO2ガスはスラグ4から抜け出て炉内上
部空間を通過し、排気ダクトを経て排ガス集塵系で処理
される。
【0040】なお、電極1による原料の加熱電力は一定
とし、10分間の操業で、3800kWhの電力を投入
した。このような条件で10分間の操業を行ない、排ガ
ス分析から二次燃焼率を、そしてメタル浴の温度測定か
ら着熱効率を評価した。着熱効率は、通常のフォーミン
グ操作のみを行ない、二次燃焼なしで電極加熱を行なっ
た場合の昇温速度を、15℃/分と見積もり、これをベ
ースとした。二次燃焼を行なったときの着熱量の見積も
りとしては、原料の未溶解が完全になくなった時以降に
おいて昇温速度から上記ベースの昇温速度を差し引き、
この値を二次燃焼によるメタル浴及び溶融スラグの顕熱
増加速度の実績とし、これを上記見積もり値とした。こ
のときの顕熱増加分と、二次燃焼率から求まる二次燃焼
による理論燃焼発熱分との比を、着熱効率とした。な
お、排滓ゲートから水冷ランスを水平にして吹き込んだ
方法による加炭及び送酸条件は、実施例及び比較例に共
通である。
【0041】更に、前述したように、炉内耐火物の溶損
に対する影響を評価した。二次燃焼する場所があまりに
ノズル設置側の側壁に近いと、ノズルを設置した側壁近
傍の耐火物部分が溶損し易い傾向があったので、ノズル
直下の耐火物部分の溶損程度を評価した。
【0042】炉側のランスのノズルから噴出する純酸素
ガスの予熱温度及びその吐出流速を前述した通り変化さ
せ、上記試験を行なった。試験結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】上記結果より、電気炉製鋼操業において本
発明の方法で二次燃焼用酸素を供給すると、二次燃焼率
及び着熱効率の増加が可能となり、耐火物の溶損も少な
くなることがわかった。
【0045】〔実施例2〕300t規模の製鋼用転炉に
おいて、吹錬用ランス(主ランス)を用いて、予熱され
た酸素ガスを二次燃焼用酸素ガスとして用い、二次燃焼
及び着熱効率に関する試験を行なった。試験は、本発明
の範囲内の条件で行なった実施例10〜16と、本発明
の範囲外の条件で行なった比較例3及び4からなる。ラ
ンスは脱炭用酸素ガス配管と二次燃焼用酸素ガス配管と
の2系統をもつダブルフロー式である。脱炭用のノズル
は通常の吹錬ランスと同じで、ランス下端に常温の酸素
ガスを大量に送酸できるノズルを備えている。そのノズ
ル孔は、中心孔1孔とその周囲に4孔があるものを用い
た。ランス下端と湯面との間の距離(以下、ランス高さ
という)を2.0mとし、この計5個のノズルから58
000Nm3/hの送酸を行なった。二次燃焼用には、
同ランスの下端から80cmの高さの外周面に設けた複
数個のノズルを用いた。
【0046】転炉吹錬と同様に、冷銑110t及び溶銑
190tを装入後、吹錬を開始した。吹錬初期から二次
燃焼用のノズルより所定流量の送酸を行ない、脱炭で発
生しているCOガスを二次燃焼させながら、最終的に冷
銑が全量溶解し、更に所定の成分及び温度が得られるま
で吹錬した。使用した送酸用酸素ガスは濃度99.9%
の純酸素ガスである。二次燃焼ノズルは吐出角を水平面
に対して下向き40°とした。二次燃焼用酸素ガス流量
は全ノズルの合計量で12000Nm3/hとした。脱
炭用の酸素ガスが全量COガスとなり、このCOガスの
内、二次燃焼用酸素ガス全量との反応当量分のCOガス
が、二次燃焼によりCO2ガスに変換すると仮定する
と、二次燃焼比CO2/(CO+CO2)は0.21とな
る。実際には脱炭用の酸素ガスも一部が二次燃焼に消費
されるので、二次燃焼用酸素ガス分が完全に燃焼した場
合には、二次燃焼比は上記値0.21よりも高値を示
す。そこで、二次燃焼比の評価としては、絶対値どうし
の比較はせず、各試験条件間で相対的比較により行なう
こととした。
【0047】二次燃焼用の酸素ガスを高温に予熱するた
め、各ランスへの酸素ガス導入部に、酸素ガスの加熱装
置を設けた。形式は、酸素ガス配管の途中で燃料として
のプロパンガスを少量燃焼させて、直接当該酸素ガスを
加熱する方式のものである。この予熱装置で、配管やノ
ズルの損傷はなく、ランス吐出口での酸素ガス温度を9
00°以上に確保することができる。この試験では酸素
ガス温度は、200、400、700、900及び常温
の5水準で行なった。また、各ランスのノズル孔径及び
ノズル孔数は、吐出流速を考慮し、更に耐火物の溶損へ
の影響を少なくするため、二次燃焼する場所をあまり炉
壁近傍としないことを考慮して決めた。
【0048】二次燃焼用酸素ガスの供給と同時に加炭材
を投入した。加炭材にはコークス粉を使用した。定常的
にメタル浴からCOガスが発生するので、メタル浴面上
のスラグはいわゆるフォーミング状態となり、スラグは
泡立ち、その高さは約200〜500cmになった。ラ
ンスからの二次燃焼用酸素ガスは高速で、このフォーミ
ングスラグ中に侵入後、スラグ内を進行し、その間に当
該スラグ内を上昇中のCOガスを燃焼させ、一部がC酸
素ガスとなる。その後、スラグから抜け出し、炉内の上
部空間を通過し、排気ダクトを経て、排ガス集塵系で処
理される。
【0049】上述した条件で、最終の溶鋼C濃度が0.
2〜0.3%、浴温度が1630〜1640℃となるま
で操業を行ない、全処理時間及び排ガス分析から二次燃
焼率を、そして、装入原料の成分、出鋼時のメタル浴成
分及び出鋼温度を用い、熱収支バランスに基づき二次燃
焼分の発熱量に対する着熱効率を評価した。
【0050】なお、主ランスから噴出させる酸素ガスの
予熱温度及び吐出流速を前述した通り変化させ、上記試
験を行なった。試験結果を、表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】上記結果より、転炉製鋼操業において本発
明の方法により、二次燃焼用酸素ガスを所定の高温に予
熱して用いると、二次燃焼場所を拡大し制御することが
可能になり、二次燃焼率及び着熱効率の増加が可能とな
り、耐火物の溶損も少なくなることがわかった。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
転炉、電気炉等の溶解炉で、原料の溶解を促進したり、
昇温したりする溶解時に、操業性の悪化や耐火物損傷の
悪化をさせずに、しかも二次燃焼熱の着熱効率を高め、
燃料や支燃性ガスの使用量を少なくして溶解できる。従
って、製造コストの低減のみならず、省資源や省エネル
ギーに寄与する。このような、溶解炉における二次燃焼
の向上及び着熱の促進方法を提供することがで、工業上
有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いられるアーク加熱電気炉設
備の説明概念図である。
【符号の説明】
1 電極 2 ランス 3 炉底ノズル 4 スラグ 5 予熱装置 6 酸素ガス供給装置 7 メタル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22B 1/20 C22B 1/20 M 4K056 (72)発明者 高岡 利夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 石井 俊夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA10 BA22 BA23 FA10 GA06 GA16 GA17 GA19 GB03 JA01 4K002 AA01 AB01 AC05 AC07 AD02 BF01 BF03 4K012 CA04 CA06 CA09 CA10 4K014 AC04 AD00 CA01 CB01 CC01 CD18 4K045 AA04 AA05 BA02 DA04 RB02 RB16 RB17 4K056 AA02 BB01 CA02 CA20 FA13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解炉、精錬炉又は製錬炉で発生した一
    次燃焼ガスを二次燃焼させて、前記溶解炉等における有
    効熱として利用するため、高温に予熱した酸素ガス含有
    ガスを上記二次燃焼用の支燃性ガスとして用いる方法で
    あって、前記二次燃焼用の支燃性ガスとして60%以上
    の酸素ガスを含有するガスを用いることを特徴とする、
    溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上方法。
  2. 【請求項2】 前記溶解炉等として、鉄を溶解及び/又
    は精錬する転炉、電気炉及び高周波溶解炉もしくは低周
    波溶解炉、並びに、金属鉱石を製錬する溶融還元炉の内
    のいずれかを用いることを特徴とする、請求項1記載の
    溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上方法。
  3. 【請求項3】 前記酸素ガス含有ガスの温度を300℃
    以上とする、請求項1又は請求項2記載の溶解炉等にお
    ける二次燃焼率及び着熱効率の向上方法。
  4. 【請求項4】 前記酸素ガス含有ガスがノズルから吐出
    される流速を、150m/s以上とすることを特徴とす
    る、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の溶解炉等に
    おける二次燃焼率及び着熱効率の向上方法。
  5. 【請求項5】 高温に予熱された前記酸素ガス含有ガス
    を、前記溶解炉等内に形成されたメタル浴面上に存在す
    る溶融スラグ中に吹き込むことを特徴とする、請求項1
    〜請求項4のいずれかに記載の溶解炉等における二次燃
    焼率及び着熱効率の向上方法。
  6. 【請求項6】 前記酸素ガス含有ガスを、前記溶解炉等
    内に形成された完全溶解していない原料充填部に吹き込
    むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに
    記載の溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上
    方法。
  7. 【請求項7】 前記酸素ガス含有ガスの前記予熱工程
    は、酸素ガス含有ガス供給装置から前記溶解炉等への酸
    素ガス含有ガス吹込み口までの間の当該酸素ガス含有ガ
    ス供給系内において、燃料を燃焼させて当該酸素ガス含
    有ガスを直接加熱することにより行なうものであること
    を特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の
    溶解炉等における二次燃焼率及び着熱効率の向上方法。
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