JP2000319723A - 鋼材の熱処理方法 - Google Patents

鋼材の熱処理方法

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JP2000319723A
JP2000319723A JP11123371A JP12337199A JP2000319723A JP 2000319723 A JP2000319723 A JP 2000319723A JP 11123371 A JP11123371 A JP 11123371A JP 12337199 A JP12337199 A JP 12337199A JP 2000319723 A JP2000319723 A JP 2000319723A
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furnace
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Kunihiko Marukawa
邦彦 丸川
Toshio Sakamoto
俊夫 坂本
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼材のスケールを除去することなく行う熱処
理における、鋼材での脱炭を有利に回避し得る方途につ
いて提案する。 【解決手段】 鋼材に熱処理を施すに当たり、最終加熱
に先立って、雰囲気のCO濃度を上昇させてからCO濃度を
一旦下降させ、次いで加熱および雰囲気制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼材、特に軸受
鋼などの高炭素鋼を対象とする、熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、脱炭の抑制が必要とされる鋼材
の熱処理では、その前処理として鋼材表面のスケールを
除去するために、酸洗やブラスト等が実施されている。
なぜなら、スケールを除去しないと、熱処理を行った場
合に鋼材中の炭素とスケール中の酸素とが反応し、鋼材
に脱炭現象が生じるからである。
【0003】ところが、酸洗やブラスト等の前処理は作
業が煩雑であり、また熱間圧延後に連続して熱処理を行
えないために、熱処理の効率化を阻害する要因となって
いた。
【0004】一方、この熱処理に先立つ前処理を省略す
ること、すなわちスケールを除去することなく熱処理を
行う手法について、特公昭52−156707号や同57−3730号
各公報には、雰囲気の制御によって熱処理中の鋼材に対
する脱炭を防止する、低炭素鋼を対象とした技術が、記
載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
Cを1.0wt %前後で含有する軸受鋼(JIS G4805に規定
される SUJ2)のような、高炭素鋼では、高温域での雰
囲気制御を行っても、スケール中の酸素が雰囲気ガスの
COと反応する前に鋼中のCと反応してしまう結果、鋼中
の脱炭が生じる。かような場合に脱炭を回避するには、
熱処理前にスケールを除去する必要が依然としてあり、
スケール除去を省略することが困難であった。
【0006】そこで、この発明は、鋼材のスケールを除
去することなく行う熱処理における、鋼材での脱炭を有
利に回避し得る方途について、提案することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明の要
旨構成は、次のとおりである。 (1) 鋼材に熱処理を施すに当たり、最終加熱に先立っ
て、雰囲気のCO濃度を上昇させてからCO濃度を一旦下降
させ、次いで加熱および雰囲気制御を行うことを特徴と
する鋼材の熱処理方法。
【0008】(2) 上記(1) において、最終加熱に先立つ
640 〜720 ℃の温度域で雰囲気の(CO)2 /CO2 を20〜20
0 の範囲に上昇させることを特徴とする鋼材の熱処理方
法。
【0009】(3) 上記(2) において、雰囲気の(CO)2
CO2 を上昇させたのち、(CO)2 /CO 2 を一旦20未満に下
降させることを特徴とする鋼材の熱処理方法。
【0010】
【発明の実施の形態】さて、図1に示すように、鋼材1
の表面には、FeO, Fe3O4またはFe2O3 からなるスケール
2およびγ−FeOOH 等の錆3が生成しているのが一般的
である。このスケール2や錆3(以下、スケール2と総
称する)を除去することなしに、鋼材1に熱処理を施す
と、スケール2中の酸素は、雰囲気のCOと反応するほ
か、鋼材中のCとも反応して鋼材表面に脱炭現象が生じ
る、不利をまねくのである。
【0011】例えば、軸受鋼の場合は、スケール除去の
前工程を行った後、図2に示すようなパターンで熱処理
されるのが、一般的である。すなわち、次式(1) で示さ
れる平衡状態は、温度によって反応の向きが変わるた
め、炉内雰囲気の脱炭および浸炭の指標となる、炉内雰
囲気における(CO)2 /CO2 比(以下、CP値と示す)を
温度とともに変化させ、脱炭および浸炭が発生しない値
に炉内雰囲気を制御している。 C+CO2 ⇔2CO ---(1)
【0012】ところが、鋼材表面にスケールが残ってい
ると、これらと雰囲気ガスとの間で反応 2CO+O2→2CO2 ---(2) がおこり、上式(1) の反応がそのまま式(2) に進むた
め、図3に示すように、スケール2のO2が雰囲気のCOと
反応してスケール2の脱炭が進行するとともに、スケー
ル2のO2が鋼材1中のCと直接、反応 C+O2→CO2 ---(3) をおこし、その結果鋼材1においても脱炭が生じる。
【0013】これに対して、この発明に従う熱処理パタ
ーンは、図4に示すように、最終加熱に先立つ比較的低
温域において、雰囲気ガスのCO濃度を高くし、つまり浸
炭雰囲気とすることによって、上式(1) が左項に進む反
応より前に、図5に示すように、雰囲気ガスとスケール
2等との間で上式(2) で示す反応を生じさせ、スケール
2中の酸素分を予め除去する。すると、その後の最終加
熱から均熱過程に至る高温域では、O2が炉内のどこにも
ない状態とすることができ、上式(3) の反応が生じるこ
とはないため、スケールを除去することなしに、脱炭を
回避した熱処理を実現できるのである。
【0014】ここで、最終加熱に先立つ雰囲気制御は、
640 〜720 ℃の温度域でCP値を20〜200 の範囲で上昇
させることが好ましい。なぜなら、CP値を上昇させる
温度が640 ℃未満では、例えば雰囲気ガスに吸熱形変成
ガスであるRXガスを使用した場合に、該ガス中に含ま
れるH2 等による爆発を誘発する危険があり、一方720
℃をこえるとCP値の制御が難しくなるとともに、CP
値の制御を行っても鋼材中のCとスケール中のOとが結
びつき易くなるからである。また、CP値が20未満で
は、上記式(2) で示した反応が活発化しないためにスケ
ール中の酸素分の除去が不十分になり、一方200 をこえ
ると、RXガスを用いた場合に低温域で煤が発生してCO
濃度を高くすることが難しい。
【0015】さらに、最終加熱前の低温時に雰囲気のCO
濃度を高くしてから、一旦CO濃度を低減、好ましくはC
P値を20未満、より好ましくはゼロまで低減し、その後
最終加熱を行うことが、肝要である。すなわち、最終加
熱段階での雰囲気制御、つまりCP値の制御は、最終加
熱後の均熱工程における設定CP値に基づいて、温度に
比例して行うことが一般的であるため、加熱開始時点の
CP値が高いと、加熱段階でのCP値が高くなって、雰
囲気が浸炭側に移行し、鋼材に浸炭が生じることにな
る。
【0016】例えば、660 ℃から795 ℃までの加熱を行
って、加熱終了時のCP値を240 に制御する場合、加熱
開始時点のCP値が0のときは、途中の750 ℃でのCP
値は160 であるが、加熱開始時点のCP値が100 のとき
は、途中の750 ℃でのCP値は193 となり、雰囲気が浸
炭側に移行してしまうのである。
【0017】そこで、この浸炭を回避するために、雰囲
気のCO濃度を高くしてから一旦CO濃度を好ましくは20未
満に低減し、その後最終加熱を行う必要がある。とりわ
け、CP値を一旦ゼロまで低減すること、つまり炉内に
例えばN2 ガスの供給にて炉内雰囲気を入れ換えること
は、炉内に生成されたCO2 ガスを残らず排除することに
なる。従って、その後に再度RXガスを導入して炉内の
CP値を制御する際に、RXガスとN2 ガスとの投入比
によってCP値の制御が可能になるため、RXガスの投
入量が従来対比で少なくて済む、利点がある。
【0018】また、CO濃度またはCP値を一旦低くす
るためには、一般的にN2 パージを行うが、この時、炉
内に残留するCO2 を除去することができ、その後の昇温
に伴うさらなるO2の発生を、CO+O2→2CO2 の方向にバ
ランスした反応により鋼中のCをうばうことなくO2を除
去できるというメリットがある。
【0019】なお、雰囲気のCP値を増加したのち一旦
CP値を低減するには、炉内に、例えばN2 ガス等の不
活性ガスを注入すればよい。その後は、再びRXガス等
を炉内に供給し、雰囲気制御を行う。
【0020】
【実施例】図4に示したように、軸受鋼の熱処理におい
て、その最終加熱に先立ち炉内にCO濃度の高い雰囲気ガ
ス、すなわちCO:30±10 Vol%、CO2 :0.4 ±0.3Vol
%、H2:30±20 Vol%およびCH4 等の炭化水素:1 Vol
%以下を含み、残部がN2から構成されるRXガスを投入
し、660 ℃の温度において炉内のCP値を100 に調整し
て、この状態を1時間保持したのち、炉内にN2 ガスを
注入して一旦CP値を0まで低減した。その後、図4に
示すところに従って、加熱および均熱処理を所定の雰囲
気下で施した。
【0021】かくして熱処理を終了した軸受鋼につい
て、全脱炭を調査した結果、1/ 100mm〜3/100mm 程
度であり、熱処理前に酸洗したものと、ほぼ同一の品質
を得ることができた。また、軸受鋼の軸と直交する断面
において、その径方向のC含有量の調査を行ったとこ
ろ、鋼材表層と軸芯部分とでC含有量に差異はなかっ
た。
【0022】ここで、上記実施例では、660 ℃の温度に
おいてCP値を100 に1時間保持しているが、640 〜72
0 ℃の温度域でCP値を20〜200 とし、その保持時間を
0.1〜6.0 時間としても、同様の効果が得られることを
確認した。
【0023】また、CP値を上昇して一旦低減した後の
熱処理パターンについても、図4の例に限定されないこ
とは勿論であり、この熱処理パターンはどのような形態
のものであっても、この発明の効果が得られる。従っ
て、この発明は脱炭を抑制する必要のある、あらゆる熱
処理に適用することが可能である。
【0024】
【発明の効果】この発明では、熱処理の最終加熱に先立
って炉内雰囲気のCO濃度を高くして、鋼材表面のスケー
ルや錆中の酸素分を除去するようにしたから、その後の
加熱過程で高温域になっても、スケールや錆中の酸素と
鋼材中の炭素とが結びつくことがないため、脱炭を生じ
ることのない熱処理が浸炭等の異常やRXガスの使用量
増加などの不利をまねくことなしに実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼材表面の模式図である。
【図2】 通常の熱処理パターンを示す図である。
【図3】 図2の領域Aでの反応を示す模式図である。
【図4】 この発明に従う熱処理パターンを示すであ
る。
【図5】 図4の領域Bでの反応を示す模式図である。
【符号の説明】
1 鋼材 2 スケール 3 錆

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材に熱処理を施すに当たり、最終加熱
    に先立って、雰囲気のCO濃度を上昇させてからCO濃度を
    一旦下降させ、次いで加熱を行うことを特徴とする鋼材
    の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、最終加熱に先立つ64
    0 〜720 ℃の温度域で雰囲気の(CO)2 /CO2 を20〜200
    の範囲に上昇させることを特徴とする鋼材の熱処理方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、雰囲気の(CO)2 /CO
    2 を上昇させたのち、(CO)2 /CO2 を一旦20未満に下降
    させることを特徴とする鋼材の熱処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012081229A1 (ja) 2010-12-13 2012-06-21 住友金属工業株式会社 高炭素クロム軸受鋼およびその製造方法
JP2019189942A (ja) * 2018-04-24 2019-10-31 エア・ウォーター株式会社 金属の焼鈍方法

Cited By (3)

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WO2012081229A1 (ja) 2010-12-13 2012-06-21 住友金属工業株式会社 高炭素クロム軸受鋼およびその製造方法
US8808470B2 (en) 2010-12-13 2014-08-19 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation High-carbon chromium bearing steel and production method of the same
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