JP2000313697A - 酸化物単結晶の作製方法 - Google Patents

酸化物単結晶の作製方法

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JP2000313697A
JP2000313697A JP11369613A JP36961399A JP2000313697A JP 2000313697 A JP2000313697 A JP 2000313697A JP 11369613 A JP11369613 A JP 11369613A JP 36961399 A JP36961399 A JP 36961399A JP 2000313697 A JP2000313697 A JP 2000313697A
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Hiroyuki Kawanaka
博之 川中
Hiroshi Fukuyama
博 福山
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属Gaを用いて、製造コストが安価で、化
学量論的組成を有した酸化物単結晶の作製方法を提供す
る。 【解決手段】 粉末状の金属Ga及び酸化化合物からな
る原料混合物3を乾式混合した後、白金るつぼ5内に原
料混合物3を入れ、空気中で熱処理温度約500℃で熱
処理し、引き続いて、酸素中で熱処理温度約1000℃
で熱処理を行って、原料混合物3中にGa23を形成す
ると共に粉末状の原料酸化物4を作製した後、この原料
酸化物4を焼成して粉末結晶7を作製し、チョクラルス
キー法により、粉末結晶7を融液13として用いて、酸
化物単結晶14の引き上げを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学材料として用
いられる酸化物単結晶の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックや酸化物単結晶等の酸化物材
料は、電子デバイス分野には、不可欠となっている。セ
ラミックは、パッケージや圧電セラミック等に、酸化物
単結晶は、圧電デバイス、レーザ素子及びその他の光学
応用等といった幅広いエレクトロニクスのキーデバイス
として利用されている。一般的に、前記酸化物単結晶
は、酸素を含む複合酸化物からなり、高品質化や従来と
は性質の異なる新機能化を目ざした研究開発が盛んに行
われている。例えば、Y−Alガーネット(以下、YA
Gという)、Li−Ta−O(以下、LTという)及び
Li−Nb−O(以下、LNという)といった酸化物単
結晶は、その代表的なものである。
【0003】また、「Sov.Phys.Dokl.2
7(6),June 1982,434.B.V.Mi
ll et al」に記載されているように、Ca3
2Ge414と同じ構造を有する多数の置換体材料が見
出され、新機能を有する圧電材料としての応用が期待さ
れる。特に、La3Ga5SiO14やLa3Ta0.5Ga
5.514、La3Nb0.5Ga5.514等のGaを含む酸化
物単結晶は、デジタル応用の通信デバイスとして開発が
急がれている。通常、これらの酸化物単結晶を作製する
ためには、La23、Ga23、SiO2、Ta25
びNb酸化物が原料として用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の酸化物単結晶の作製においては、Ga23を多量に消
費する。Ga23は、単価が高いので、これらの酸化物
単結晶の製造コストを上昇させるといった問題を生じて
いた。一方、金属Gaは、比較的安価であるため、この
金属Gaを酸化させてGa23を作製して酸化物単結晶
を作製すれば、製造コストを低下させることができる。
【0005】以下に、金属Gaを用いて、La3Ta0.5
Ga5.514を作製する方法について説明する。まず初
めに、金属Gaを融点(約30℃)以上に加熱して溶融
した後、La23粉末及びTa25粉末を乳鉢に入れ
て、原料混合物を作製する。この後、この原料混合物を
白金るつぼに入れ、空気中で約1000℃に加熱し、金
属Gaの酸化と共に、前記原料混合物間の反応を行っ
て、粉末状のLa3Ta0.5Ga5.514を作製する。更
に、この粉末状のLa3Ta0.5Ga5.514を融液とし
て用いて、チョクラルスキー法により、結晶の引き上げ
を行って、La3Ta0.5Ga5.514単結晶を作製す
る。
【0006】このように金属Gaの酸化を空気中で行っ
た場合、空気中の酸素は、十分多くないため、金属Ga
全体が酸化されず、未反応の金属Gaが形成される。ま
た、Ga23以外にGa2Oが形成され、このGa2
は、揮発性であるので、空気中に放出されてしまう。こ
のため、粉末状のLa3Ta0.5Ga5.514は、Gaが
不足した組成となり、チョクラルスキー法で結晶の引き
上げを行って作製されるLa3Ta0.5Ga5. 514単結
晶は、化学量論的な組成を得ることができなくなるとい
った問題を生じていた。この不具合を解消するために、
金属Gaの酸化と共に前記原料混合物の反応を純粋な酸
素中で行うことが考えられた。この場合、酸素は活性で
あるので、金属Gaと激しく反応して、Ga2Oを形成
することなく、Ga23を加速度的に形成する。この反
応熱によって発生する温度は、約1800℃となり、前
記白金るつぼの融点は、1770℃であるので、この白
金るつぼが溶けてしまうといった問題を生じていた。
【0007】そこで、本発明は、上記のような問題点を
解消するためになされたもので、金属Gaを用いて、製
造コストが安価で、化学量論的組成を有した酸化物単結
晶の作製方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化物単結晶の
作製方法における第1の発明は、粉末状の金属Ga及び
酸化化合物からなる原料混合物を乾式混合した後、空気
中で熱処理温度約500℃で熱処理し、引き続いて、酸
素中で熱処理温度約1000℃で熱処理を行って、前記
原料混合物中にGa23を形成すると共に粉末状の原料
酸化物を作製した後、この原料酸化物を焼成して粉末結
晶を作製し、チョクラルスキー法により、前記粉末結晶
を融液として用いて、酸化物単結晶の引き上げを行うこ
とを特徴とする。第2の発明は、粉末状の金属Ga及び
酸化化合物からなる原料混合物を乾式混合した後、アル
ミナるつぼ内に前記原料混合物を入れ、空気中で熱処理
温度1300℃乃至1400℃で熱処理を行って、前記
原料混合物中にGa23を形成すると共に粉末状の原料
酸化物を作製した後、この原料酸化物を焼成して粉末結
晶を作製し、チョクラルスキー法により、前記粉末結晶
を融液として用いて、酸化物単結晶の引き上げを行うこ
とを特徴とする。第3の発明は、粉末状の金属Ga及び
酸化化合物からなる原料混合物を乾式混合した後、アル
ミナるつぼ内に前記原料混合物を入れ、空気中で熱処理
温度1300℃乃至1400℃で熱処理を行い、前記原
料混合物中にGa23を形成すると共に粉末状の原料酸
化物を作製した後、引き続き、この原料酸化物を酸素中
で熱処理温度1450℃乃至1500℃で焼成して粉末
結晶を作製し、チョクラルスキー法により、前記粉末結
晶を融液として用いて、酸化物単結晶の引き上げを行う
ことを特徴とする。第4の発明は、請求項1乃至3記載
の酸化物単結晶の作製方法において、前記粉末状の酸化
物は、La3Ta0.5Ga5.514、La3Ga5Si
14、La3Nb 0.5Ga5.514のいずれかであること
を特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の各実施形態を説明する。本発明の第1実施形態では、
金属Gaを用いた代表的な酸化物単結晶であるLa3
0.5Ga5.514(以下、LTGという)の作製方法に
ついて以下に図1を用いて説明する。図1は、本発明の
第1実施形態の作製方法を示す工程図である。まず初め
に、図1(A)に示すように、純度4N(99.99
%)のLa23粉末、Ta25粉末及び純度6N(9
9.9999%)の金属Ga粉末(粒径1mm〜5m
m)をそれぞれ、146.6g、33.1g及び11
5.0g秤量する。金属Gaを予め約60℃に保たれた
乳鉢1に入れ、Ga融液を作製し、このGa融液にLa
23粉末、Ta25粉末を加える。前述したように、金
属Gaの融点は、約30℃であるので、このGa融液
は、数分程度で完了する。更に、図1(B)に示すよう
に、乳棒2を用いて、乳鉢1内で、Ga融液と共にLa
23粉末、Ta25粉末を乾式混合して原料混合物3を
作製する。
【0010】次に、図1(C)に示すように、白金るつ
ぼ5の中に原料混合物3を入れ、所定雰囲気ガス中で所
定温度の熱処理を行って、原料酸化物4を作製する。な
お、白金るつぼの大きさは、幅10mm、長さ15m
m、深さ5mmである。
【0011】ここで、前記熱処理において、雰囲気ガス
に空気、又は、純粋な酸素(100%)及び空気と純粋
な酸素を併用して用い、熱処理温度を約400℃乃至約
1000℃の範囲で変化させて原料混合物3の熱処理を
行って、試料1乃至試料7の原料酸化物4を作製して、
白金るつぼ5の破損を生じることなく、金属Gaが全て
Ga23に変化する最適な原料酸化物4の作製条件につ
いて調べた。金属Gaが全てGa23に変化したことは
以下のようにしてわかる。即ち、原料混合物3中のLa
23粉末、Ta25粉末は、熱処理によって変化しない
が、金属GaはGa23に変化するので、原料混合物3
と原料酸化物4との間には重量変化を生じる。原料酸化
物4の重量は原料混合物3に対する重量比が+13%と
なることが理論的にわかっているので、原料酸化物4の
重量が原料混合物3の重量よりも+13%増加していれ
ば、金属Gaが全てGa23に変化したことがわかる。
その結果を表1に示す。表1は、原料混合物を処理する
雰囲気ガス及び熱処理温度を変えた時の原料酸化物の重
量比及び白金るつぼの破損状態を示す表である。
【0012】
【表1】
【0013】表1中、重量比とは、原料混合物3の重量
に対する原料酸化物4の重量である。試料1は、雰囲気
ガスに空気を用い、熱処理温度400℃で原料混合物3
の熱処理を行った場合であるが、重量比は変わらず、白
金るつぼ5の破損もなかった。このことから、金属Ga
の酸化は行われず、Ga23は、形成されなかったこと
がわかる。試料2は、雰囲気ガスに空気を用い、熱処理
温度470℃で原料混合物3の熱処理を行った場合であ
るが、重量比は+7%であり、白金るつぼ5の破損もな
かった。試料3は、雰囲気ガスに空気を用い、熱処理温
度500℃で原料混合物3の熱処理を行った場合である
が、重量比は+8%であり、白金るつぼ5の破損もなか
った。このように、試料2及び試料3では、金属Gaの
酸化は行われたが、金属Gaが全てGa23にならず、
未反応の金属Gaがあることがわかる。
【0014】試料4は、雰囲気ガスに空気を用い、熱処
理温度1000℃で原料混合物3の熱処理を行った場合
であるが、重量比は+5%であり、白金るつぼ5の破損
もなかった。試料2及び試料3と同様に未反応の金属G
aがあることがわかるが、試料2及び試料3と比較して
重量比が小さい。これは、金属Gaに酸素が十分供給さ
れなかったためGa2Oが形成され、揮発してしまった
ためと考えられる。試料5は、雰囲気ガスに純粋な酸素
(100%)を用い、熱処理温度500℃で原料混合物
3の熱処理を行った場合であるが、重量比は+10%で
あり、白金るつぼ5に一部破損があった。金属Gaは、
大部分が酸化されてGa23を形成しているが、未だ不
十分であることがわかる。酸素が多量にあると、金属G
aが急速に酸素と反応して急激な発熱を生じ、この発熱
によって生じた温度が白金るつぼ5の融点(1770
℃)以上になったために白金るつぼ5が破損したと考え
られる。
【0015】試料6は、雰囲気ガスに純粋な酸素(10
0%)を用い、熱処理温度1000℃で原料混合物3の
熱処理を行った場合であるが、重量比は+13%であ
り、白金るつぼ5に一部破損があった。試料7は、最初
に、雰囲気ガスに空気を用い、熱処理温度500℃で原
料混合物3の熱処理を行った後、次に、雰囲気ガスに純
粋な酸素(100%)を用い、熱処理温度1000℃で
原料混合物3の熱処理を行った場合であるが、重量比は
+13%であり、白金るつぼ5の破損もなかった。以上
のことから、原料混合物3を雰囲気ガスとして空気を用
い、熱処理温度約500℃で熱処理し、次に雰囲気ガス
に純粋な酸素(100%)を用い、熱処理温度約100
0℃で熱処理を行うと、白金るつぼ5を破損することな
く、金属Gaが全てGa23に変化した最適な原料酸化
物4を得ることができる。
【0016】次に、図1(D)に示すように、試料7の
条件で作製された原料酸化物4をセラミック皿6内に入
れ、熱処理温度1470℃に上昇させ、空気中で焼成し
て、粉末結晶7を作製した。この粉末結晶7をX線回折
で分析したところ、LTGのピークが観察され。LTG
粉末が得られていることが確認された。更に、後述する
チョクラルスキー法により、粉末結晶7を外径50m
m、高さ50mmのるつぼ12に溶かし込み、結晶の引
き上げを行ってLTG単結晶14を得た。
【0017】本発明の第1実施形態では、原料酸化物4
を作製する際に白金るつぼ5を用いたが、白金るつぼ5
の代わりにアルミナるつぼを用いても良い。アルミナは
白金に比較して、高温でGaと反応しにくく、単価も安
い。このため、生産コストを大幅に下げることができ
る。次に、白金るつぼ5の代わりにアルミナを材料とす
るるつぼを用いた本発明の第2実施形態について図2を
用いて説明する。図2は、本発明の第2実施形態の作製
方法を示す工程図である。
【0018】本発明の第1実施形態に示す図1(A)及
び(B)と同様の工程を行って乳鉢1内に原料混合物3
を作製する。次に、図2に示すように、アルミナるつぼ
16の中に原料混合物3を入れ、所定雰囲気ガス中で所
定温度の熱処理を行って、原料酸化物4を作製する。こ
こで、前記熱処理において、雰囲気ガスに空気を用い、
熱処理温度を1000℃乃至1480℃の範囲で変化さ
せて原料混合物3の熱処理を行って、試料1乃至試料5
の原料酸化物4を作製して、金属Gaが全てGa23
変化する最適な原料酸化物4の作製条件について調べ
た。その結果を表2に示す。表2は、原料混合物の熱処
理温度を変えた時の原料酸化物の重量比及びその状態を
示す表である。原料混合物を処理する雰囲気ガスは空気
であり、熱処理時間は全て2時間とした。
【0019】
【表2】
【0020】表2中、重量比とは、原料混合物3の重量
に対する原料酸化物4の重量である。試料1は、熱処理
温度1000℃で原料混合物3の熱処理を行った場合で
あるが、重量比は+7%であり、原料酸化物4は粉末状
態であった。試料2は、熱処理温度1200℃で原料混
合物3の熱処理を行った場合であるが、重量比は+11
%であり、原料酸化物4は粉末状態であった。このよう
に、試料1及び試料2では、金属Gaの酸化は行われた
が、金属Gaが全てGa23にならず、未反応の金属G
aがあることがわかる。
【0021】試料3は、熱処理温度1300℃で原料混
合物3の熱処理を行った場合であるが、重量比は+13
%であり、原料酸化物4は粉末状態であった。試料4
は、熱処理温度1400℃で原料混合物3の熱処理を行
った場合であるが、重量比は+13%であり、原料酸化
物4は粉末状態であった。試料5は、熱処理温度148
0℃で原料混合物3の熱処理を行った場合であるが、重
量比は+13%であり、原料酸化物4は燒結状態であっ
た。ここで、燒結状態とは原料酸化物4が固まった状態
である。燒結状態の原料酸化物4から粉末結晶7を作製
し、この粉末結晶7を後述するLTG単結晶14の引き
上げの際の融液13として用いると、混合ガス中の酸素
が燒結した原料酸化物4の内部に行き渡らないので、異
相を生じる。このため、良質のLTG単結晶14を得る
ことができない。
【0022】以上のことから、原料混合物3を雰囲気ガ
スとして空気を用い、熱処理温度1300℃乃至140
0℃で熱処理を行うと、金属Gaが全てGa23に変化
した最適な原料酸化物4を得ることができ、良好なLT
G単結晶14を作製するのに最適な融液13を得ること
ができる。
【0023】次に、図1(D)に示す本発明の第1実施
形態と同様に、試料3、4の条件で作製された原料酸化
物4をセラミック皿6内に入れ、熱処理温度1470℃
に上昇させ、空気中で焼成して、粉末結晶7を作製し
た。この粉末結晶7をX線回折で分析したところ、LT
Gのピークが観察され。LTG粉末が得られていること
が確認された。更に、後述するチョクラルスキー法によ
り、粉末結晶7を外径50mm、高さ50mmのイリジ
ウム製のるつぼ12に溶かし込み、単結晶の引き上げを
行ってLTG単結晶14を得た。
【0024】この際、大型のLTG単結晶14を得るた
めに多量の粉末結晶7を必要とする場合には、粉末結晶
7の体積は大きくなるので、るつぼ12に入れるために
粉末結晶7を数回作製することが要求される。この粉末
結晶7の作製回数が少ないほど、生産性を向上させるこ
とができる。そこで、これらの試料3、4を図1(D)
に示すセラミック皿6内に入れ、酸素中、熱処理温度1
450℃乃至1500℃で焼成して粉末結晶7を作製し
たところ、粉末結晶7の体積が減少することが実験的に
確かめられた。
【0025】このように、原料混合物3を雰囲気ガスと
して空気を用い、熱処理温度1300℃乃至1400℃
で熱処理を行った後、酸素中、熱処理温度1450℃乃
至1500℃で焼成して粉末結晶7を作製すると、熱処
理温度1300℃乃至1400℃で熱処理を行っただけ
の場合に比較し、粉末結晶7の体積を略1/2にするこ
とができる。この結果、LTG14の単結晶引き上げ用
のるつぼ12に入れる粉末結晶7の回数を減らすことが
できるので、生産性が向上する。
【0026】ここで、チョクラルスキー法によるLTG
単結晶の作製方法について図3を用いて説明する。図3
は、LTG単結晶の作製に用いられる高周波誘導加熱型
のチョクラルスキー炉の断面図である。図3に示すよう
に、チョクラルスキー炉8は、加熱用の高周波コイル1
0が石英管9の外周囲に設けられ、この石英管9の内側
には、複数の保温筒11に囲まれて、融液13を入れる
イリジウム(Ir)製のるつぼ12が配置されている。
高周波コイル10の上端部とるつぼ12の上端部の高さ
は、ほぼ揃えられている。
【0027】るつぼ12の大きさは、例えば、作製しよ
うとする結晶の径の約倍の大きさの内径を有するものを
用いる。石英管9中央上部には、一定速度で回転しなが
ら、かつ、一定速度で引き上げられる引き上げ棒15が
備えられている。LTG単結晶14の作製方法は、以下
のようにして行う。るつぼ12の中に粉末結晶7を入
れ、加熱溶融して、融液13を作製する。この時の加熱
温度は約1500℃とする。次に、LTG14の種結晶
を引き上げ棒15の下端に固定し、引き上げ棒15を1
0rpm〜20rpmの回転速度でゆっくり回転させな
がら、1〜3mm/hの速度で種結晶を引き上げて、L
TG単結晶14を作製する。
【0028】以上のように、粉末状の金属Ga及びLa
23粉末及びTa25粉末からなる原料混合物3を乾式
混合した後、この原料混合物3を白金るつぼ5内に入
れ、空気中で熱処理温度約500℃で熱処理し、次に、
純粋な酸素(100%)中で熱処理温度約1000℃で
熱処理を行って、Ga23を形成すると共に原料酸化物
4を作製した後、この原料酸化物4を焼成して粉末結晶
7を作製し、チョクラルスキー法により、粉末結晶7を
融液13して用いて、LTG単結晶14の引き上げを行
うので、高価なGa23を用いる必要がないので、安価
にLTGを作製することができる。このようにして作製
したLTG単結晶14の原料価格は、従来のGa23
原料に用いて作製した場合の約1/2にすることができ
る。
【0029】また、原料混合物3をアルミナるつぼ内に
入れ、空気中で熱処理温度1300℃乃至1400℃で
熱処理を行って、原料混合物3中にGa23を形成する
と共に粉末状の原料酸化物4を作製した後、この原料酸
化物4を焼成して粉末結晶7を作製し、チョクラルスキ
ー法により、粉末結晶7を融液13として用いて、LT
G14の単結晶の引き上げを行うので、高価なGa23
を用いる必要がないので、安価にLTG単結晶14を作
製することができる。
【0030】原料混合物3をアルミナるつぼに入れ、雰
囲気ガスとして空気を用い、熱処理温度1300℃乃至
1400℃で熱処理を行って、原料混合物3中にGa2
3を形成すると共に粉末状の原料酸化物4を作製した
後、引き続いて、この原料酸化物4を酸素中で熱処理温
度1450℃乃至1500℃で焼成して粉末結晶7を作
製し、チョクラルスキー法により、粉末結晶7を融液1
3として用いて、LTG単結晶14の引き上げを行うの
で、粉末結晶7の体積を減らすことができるため、るつ
ぼ12に入れる粉末結晶7の回数を減らすことができ、
生産性が向上する。
【0031】これと同様にして、金属Ga,CaCO3
及びGeO2を用いてCa3Ga2Ge 414、金属Ga,
La23及びSiO2を用いてLa3Ga5SiO14、金
属Ga,La23及びNb25を用いてLa3Nb0.5
5.514を安価に作製することができる。また、金属
GaとGd23を用いてGd−Gaガーネット(GG
G)や金属Ga,Gd23及びY23を用いてGd−Y
−Gaガーネット(GYGG)のガーネット構造を有す
る結晶を安価に作製することもできる。
【0032】
【発明の効果】本発明の酸化物単結晶の作製方法によれ
ば、粉末状の金属Ga及び酸化化合物からなる原料混合
物を乾式混合した後、白金るつぼ内に前記原料混合物を
入れ、空気中で熱処理温度約500℃で熱処理し、引き
続いて、酸素中で熱処理温度約1000℃で熱処理を行
って、前記原料混合物中にGa23を形成すると共に粉
末状の原料酸化物を作製した後、この原料酸化物を焼成
して粉末結晶を作製し、チョクラルスキー法により、前
記粉末結晶を融液として用いて、酸化物単結晶の引き上
げを行うので、高価なGa23を用いる必要がないの
で、安価に酸化物単結晶を作製することができる。ま
た、粉末状の金属Ga及び酸化化合物からなる原料混合
物を乾式混合した後、アルミナるつぼ内に前記原料混合
物を入れ、空気中で熱処理温度1300℃乃至1400
℃で熱処理を行って、前記原料混合物中にGa23を形
成すると共に粉末状の原料酸化物を作製した後、この原
料酸化物を焼成して粉末結晶を作製し、チョクラルスキ
ー法により、前記粉末結晶を融液として用いて、酸化物
単結晶の引き上げを行うので、高価なGa23を用いる
必要がないので、安価に酸化物単結晶を作製することが
できる。更にまた、粉末状の金属Ga及び酸化化合物か
らなる原料混合物を乾式混合した後、アルミナるつぼ内
に前記原料混合物を入れ、空気中で熱処理温度1300
℃乃至1400℃で熱処理を行い、前記原料混合物中に
Ga23を形成すると共に粉末状の原料酸化物を作製し
た後、引き続き、この原料酸化物を酸素中で熱処理温度
1450℃乃至1500℃で焼成して粉末結晶を作製
し、チョクラルスキー法により、前記粉末結晶を融液と
して用いて、酸化物単結晶の引き上げを行うので、前記
粉末結晶の体積を減らすことができるため、前記融液を
収納したるつぼ内に入れる前記粉末結晶の回数を減らす
ことができ、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の作製方法を示す工程図
である。
【図2】本発明の第2実施形態の作製方法を示す工程図
である。
【図3】LTG単結晶の作製に用いられる高周波誘導加
熱型のチョクラルスキー炉の断面図である。
【符号の説明】
1…乳鉢、2…乳棒、3…原料混合物、4…原料酸化
物、5…白金るつぼ、6…セラミック皿、7…粉末結
晶、8…チョクラルスキー炉、9…石英管、10…高周
波コイル、11…保温筒、12…るつぼ、13…融液、
14…LTG単結晶、15…引き上げ棒、16…アルミ
ナるつぼ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉末状の金属Ga及び酸化化合物からなる
    原料混合物を乾式混合した後、白金るつぼ内に前記原料
    混合物を入れ、空気中で熱処理温度約500℃で熱処理
    し、引き続いて、酸素中で熱処理温度約1000℃で熱
    処理を行って、前記原料混合物中にGa23を形成する
    と共に粉末状の原料酸化物を作製した後、この原料酸化
    物を焼成して粉末結晶を作製し、チョクラルスキー法に
    より、前記粉末結晶を融液として用いて、酸化物単結晶
    の引き上げを行うことを特徴とする酸化物単結晶の作製
    方法。
  2. 【請求項2】粉末状の金属Ga及び酸化化合物からなる
    原料混合物を乾式混合した後、アルミナるつぼ内に前記
    原料混合物を入れ、空気中で熱処理温度1300℃乃至
    1400℃で熱処理を行って、前記原料混合物中にGa
    23を形成すると共に粉末状の原料酸化物を作製した
    後、この原料酸化物を焼成して粉末結晶を作製し、チョ
    クラルスキー法により、前記粉末結晶を融液として用い
    て、酸化物単結晶の引き上げを行うことを特徴とする酸
    化物単結晶の作製方法。
  3. 【請求項3】粉末状の金属Ga及び酸化化合物からなる
    原料混合物を乾式混合した後、アルミナるつぼ内に前記
    原料混合物を入れ、空気中で熱処理温度1300℃乃至
    1400℃で熱処理を行い、前記原料混合物中にGa2
    3を形成すると共に粉末状の原料酸化物を作製した
    後、引き続き、この原料酸化物を酸素中で熱処理温度1
    450℃乃至1500℃で焼成して粉末結晶を作製し、
    チョクラルスキー法により、前記粉末結晶を融液として
    用いて、酸化物単結晶の引き上げを行うことを特徴とす
    る酸化物単結晶の作製方法。
  4. 【請求項4】前記粉末結晶は、La3Ta0.5Ga5.5
    14、La3Ga5SiO14、La3Nb 0.5Ga5.514
    いずれかであることを特徴とする請求項1乃至3記載の
    酸化物単結晶の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107923069A (zh) * 2015-08-19 2018-04-17 西铁城精密器件株式会社 钽酸镓镧系单晶的制造方法以及钽酸镓镧系单晶

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