JP2000309818A - 製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物 - Google Patents
製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 強度を向上し、溶鋼流などによる摩耗損耗を
低減する製鋼用転炉の出鋼口スリーブ用耐火物を提供す
る。 【解決手段】 樹脂被覆マグネシア粒子、マグネシア、
カーボンからなることを特徴とする耐火物により、製鋼
用転炉の出鋼口スリーブ耐火物の長寿命化を達成する。
低減する製鋼用転炉の出鋼口スリーブ用耐火物を提供す
る。 【解決手段】 樹脂被覆マグネシア粒子、マグネシア、
カーボンからなることを特徴とする耐火物により、製鋼
用転炉の出鋼口スリーブ耐火物の長寿命化を達成する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鋼用転炉の出鋼
口用スリーブ耐火物に関する。
口用スリーブ耐火物に関する。
【０００２】
【従来の技術】鋼の高級化、清浄化に伴って製鋼用転炉
の出鋼温度が上昇し、出鋼口スリーブ耐火物の寿命に大
きな影響を受けている。また、製鋼用転炉の出鋼口スリ
ーブ耐火物は高温の溶鋼流に激しく曝されることから、
耐熱スポーリング性、耐摩耗性、高強度が要求されてい
る。出鋼開始時は、急激な温度上昇にさらされるために
耐熱スポーリング性を有する材質とする必要がある。出
鋼中は、高温の溶鋼流にさらされ、摩耗や酸化が主体と
なる。耐摩耗性を高めるには、耐酸化性向上や高強度化
をはかる必要がある。
の出鋼温度が上昇し、出鋼口スリーブ耐火物の寿命に大
きな影響を受けている。また、製鋼用転炉の出鋼口スリ
ーブ耐火物は高温の溶鋼流に激しく曝されることから、
耐熱スポーリング性、耐摩耗性、高強度が要求されてい
る。出鋼開始時は、急激な温度上昇にさらされるために
耐熱スポーリング性を有する材質とする必要がある。出
鋼中は、高温の溶鋼流にさらされ、摩耗や酸化が主体と
なる。耐摩耗性を高めるには、耐酸化性向上や高強度化
をはかる必要がある。
【０００３】製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物として
は、不焼成のMgO-C れんがが広く使用されている。MgO-
C れんがは、耐熱スポーリング性に優れるため、熱衝撃
の大きい条件で使用される出鋼口スリーブには適した材
質である。その一方で、カーボンの酸化による損耗が大
きく、出鋼口スリーブの大幅な長寿命化には至っていな
いのが現状である。従来例として、耐酸化性向上や高強
度化のためには、金属アルミニウムやホウ化物などを添
加し、効果を得ている。また、低カーボン化をはかるこ
とによって、酸化後の組織が緻密化し、稼動面にMgO に
富む反応層が形成され、気相酸化、液相酸化が抑制され
る。このような効果を組み合わせて、強固な組織によ
り、溶鋼流による摩耗が抑制される。
は、不焼成のMgO-C れんがが広く使用されている。MgO-
C れんがは、耐熱スポーリング性に優れるため、熱衝撃
の大きい条件で使用される出鋼口スリーブには適した材
質である。その一方で、カーボンの酸化による損耗が大
きく、出鋼口スリーブの大幅な長寿命化には至っていな
いのが現状である。従来例として、耐酸化性向上や高強
度化のためには、金属アルミニウムやホウ化物などを添
加し、効果を得ている。また、低カーボン化をはかるこ
とによって、酸化後の組織が緻密化し、稼動面にMgO に
富む反応層が形成され、気相酸化、液相酸化が抑制され
る。このような効果を組み合わせて、強固な組織によ
り、溶鋼流による摩耗が抑制される。
【０００４】例えば、酸化防止剤としてCaB6を添加した
MgO:91.4% 、C:8.6%よりなる「膨張黒鉛を利用した低黒
鉛質MgO-C れんが」が開発されている（「耐火物」、44
[11]1992，p.640 参照) 。しかし、この場合、マトリッ
クス組織の緻密さが失われるために、耐食性や強度が低
下する問題が生じた。特開平8-259312号公報には、転炉
出鋼口スリーブの酸化損傷を抑制することを目的とし
て、カーボン１〜８質量% でピッチを添加し、酸化防止
剤を特に使用しないMgO-C 質耐火物が開示されている。
この場合、金属添加物量の低減で十分な熱間強度が得ら
れなくなり、十分な耐用が得られない場合がある。特開
平6-2205147 号公報には、クロム合金鋼ファイバーを含
有させた耐酸化性及び耐熱衝撃性を向上させた転炉出鋼
口スリーブれんがが開示されている。この場合、ファイ
バー含有量を増加させると組織の緻密さが失われる。ま
た、十分な強度発現を行えない。溶鋼へのクロムの溶出
は、高清浄化での成分調製上好ましくない。
MgO:91.4% 、C:8.6%よりなる「膨張黒鉛を利用した低黒
鉛質MgO-C れんが」が開発されている（「耐火物」、44
[11]1992，p.640 参照) 。しかし、この場合、マトリッ
クス組織の緻密さが失われるために、耐食性や強度が低
下する問題が生じた。特開平8-259312号公報には、転炉
出鋼口スリーブの酸化損傷を抑制することを目的とし
て、カーボン１〜８質量% でピッチを添加し、酸化防止
剤を特に使用しないMgO-C 質耐火物が開示されている。
この場合、金属添加物量の低減で十分な熱間強度が得ら
れなくなり、十分な耐用が得られない場合がある。特開
平6-2205147 号公報には、クロム合金鋼ファイバーを含
有させた耐酸化性及び耐熱衝撃性を向上させた転炉出鋼
口スリーブれんがが開示されている。この場合、ファイ
バー含有量を増加させると組織の緻密さが失われる。ま
た、十分な強度発現を行えない。溶鋼へのクロムの溶出
は、高清浄化での成分調製上好ましくない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、確かに製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物の長寿命
化が可能となる。しかしながら、従来技術を適用するに
あたって、新たに以下に記述するような改善すべき問題
点が判明した。膨張黒鉛を多用すると、マトリックス組
織の緻密さが失われるために、耐食性や強度が低下する
問題が生じた。また、MgO-C れんがのカーボン量低減に
伴う耐熱スポーリング性の著しい低下を金属添加物量の
低減で補うと、十分な熱間強度が得られなくなり、十分
な耐用が得られない場合がある。クロム合金鋼ファイバ
ーを含有させた耐火物では、ファイバー含有量を増加さ
せると組織の緻密さが失われる。また、十分な強度発現
を行えない。溶鋼へのクロムの溶出は、高清浄化での成
分調製上好ましくない。
は、確かに製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物の長寿命
化が可能となる。しかしながら、従来技術を適用するに
あたって、新たに以下に記述するような改善すべき問題
点が判明した。膨張黒鉛を多用すると、マトリックス組
織の緻密さが失われるために、耐食性や強度が低下する
問題が生じた。また、MgO-C れんがのカーボン量低減に
伴う耐熱スポーリング性の著しい低下を金属添加物量の
低減で補うと、十分な熱間強度が得られなくなり、十分
な耐用が得られない場合がある。クロム合金鋼ファイバ
ーを含有させた耐火物では、ファイバー含有量を増加さ
せると組織の緻密さが失われる。また、十分な強度発現
を行えない。溶鋼へのクロムの溶出は、高清浄化での成
分調製上好ましくない。
【０００６】本発明者らは、耐熱スポーリング性などの
諸特性を従来レベルに維持しながらも、特に溶鋼流によ
る損傷を抑制する手段として、 600〜1000℃の温度域に
おける強度の向上をはかることで損傷を抑制しうる製鋼
用転炉の出鋼口スリーブ耐火物について鋭意検討を重ね
た。第一に、低カーボン化では、同様に高弾性率となり
耐熱スポーリング性を著しく低下させることになる。第
二に、金属Alなどの酸化防止剤の過剰な添加は、耐火物
の高弾性率化につながり、耐熱スポーリング性を著しく
低下させるために好ましくない。また、出鋼口スリーブ
耐火物の使用雰囲気である 600〜1000℃の温度域は、こ
れらの金属添加物による強度発現が十分に得られる温度
域よりも低く、溶鋼流の摩耗に対する十分な強度を発現
することが困難である。
諸特性を従来レベルに維持しながらも、特に溶鋼流によ
る損傷を抑制する手段として、 600〜1000℃の温度域に
おける強度の向上をはかることで損傷を抑制しうる製鋼
用転炉の出鋼口スリーブ耐火物について鋭意検討を重ね
た。第一に、低カーボン化では、同様に高弾性率となり
耐熱スポーリング性を著しく低下させることになる。第
二に、金属Alなどの酸化防止剤の過剰な添加は、耐火物
の高弾性率化につながり、耐熱スポーリング性を著しく
低下させるために好ましくない。また、出鋼口スリーブ
耐火物の使用雰囲気である 600〜1000℃の温度域は、こ
れらの金属添加物による強度発現が十分に得られる温度
域よりも低く、溶鋼流の摩耗に対する十分な強度を発現
することが困難である。
【０００７】本発明は、MgO-C れんがの優れた耐熱スポ
ーリング性を低下させることなく、溶鋼流による損傷を
抑制するために、高温で緻密な組織を有し、強度が高
く、かつ耐スラグ浸食性に優れた製鋼用転炉の出鋼口ス
リーブ耐火物を提供することを目的とする。
ーリング性を低下させることなく、溶鋼流による損傷を
抑制するために、高温で緻密な組織を有し、強度が高
く、かつ耐スラグ浸食性に優れた製鋼用転炉の出鋼口ス
リーブ耐火物を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、製鋼用転
炉の出鋼口スリーブ耐火物の長寿命化を目的として、鋭
意検討を重ねてきた。本発明の要旨とは、下記 (1)〜
(5) である。 (1) 樹脂被覆マグネシア粒子とカーボンを含む配合物を
成形してなることを特徴とする製鋼用転炉の出鋼口用ス
リーブ耐火物。
炉の出鋼口スリーブ耐火物の長寿命化を目的として、鋭
意検討を重ねてきた。本発明の要旨とは、下記 (1)〜
(5) である。 (1) 樹脂被覆マグネシア粒子とカーボンを含む配合物を
成形してなることを特徴とする製鋼用転炉の出鋼口用ス
リーブ耐火物。
【０００９】(2) 樹脂被覆マグネシア粒子、マグネシア
粒子及びカーボンを含む配合物を成形してなることを特
徴とする製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物。 (3) 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、マグネシア粒
子の粒度を1mm 以上5mm 以下とすることを特徴とする
(1) 又は（２）記載の製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火
物。
粒子及びカーボンを含む配合物を成形してなることを特
徴とする製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物。 (3) 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、マグネシア粒
子の粒度を1mm 以上5mm 以下とすることを特徴とする
(1) 又は（２）記載の製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火
物。
【００１０】(4) 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、
被覆する樹脂の固定炭素量を20重量% 以上とすることを
特徴とする(1) 又は（２）記載の製鋼用転炉の出鋼口用
スリーブ耐火物。 (5) 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、マグネシア粒
子100 重量部に対して、樹脂が 0.5〜２質量% であるこ
とを特徴とする(1) 又は（２）記載の製鋼用転炉の出鋼
口用スリーブ耐火物。
被覆する樹脂の固定炭素量を20重量% 以上とすることを
特徴とする(1) 又は（２）記載の製鋼用転炉の出鋼口用
スリーブ耐火物。 (5) 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、マグネシア粒
子100 重量部に対して、樹脂が 0.5〜２質量% であるこ
とを特徴とする(1) 又は（２）記載の製鋼用転炉の出鋼
口用スリーブ耐火物。
【００１１】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。樹脂被覆マグネシア粒子を利用した製鋼用
転炉の出鋼口スリーブ耐火物では、マグネシア−黒鉛間
の結合強度を向上させることができる。さらに、バイン
ダーの樹脂、添加金属、黒鉛、樹脂被覆マグネシア粒子
間に強固な組織を形成することができる。また、これ
は、従来例の各種の金属やホウ化物による強度発現効果
と比べても、低い温度域から得ることができ、出鋼口ス
リーブ耐火物に求められる温度域での強度を向上させる
ことができる。また、これは、従来と同様の黒鉛量・金
属種・金属量などで効果を得ることができるために、耐
熱スポーリング性の著しい低下は生じない。被覆する樹
脂としては、カーボン系耐火物のバインダー等にも使用
するノボラック及びレゾール型フェノール樹脂を使用す
ることができる。樹脂の被覆はマグネシア粒子と被覆す
る樹脂を混練することにより行うことができる。
て説明する。樹脂被覆マグネシア粒子を利用した製鋼用
転炉の出鋼口スリーブ耐火物では、マグネシア−黒鉛間
の結合強度を向上させることができる。さらに、バイン
ダーの樹脂、添加金属、黒鉛、樹脂被覆マグネシア粒子
間に強固な組織を形成することができる。また、これ
は、従来例の各種の金属やホウ化物による強度発現効果
と比べても、低い温度域から得ることができ、出鋼口ス
リーブ耐火物に求められる温度域での強度を向上させる
ことができる。また、これは、従来と同様の黒鉛量・金
属種・金属量などで効果を得ることができるために、耐
熱スポーリング性の著しい低下は生じない。被覆する樹
脂としては、カーボン系耐火物のバインダー等にも使用
するノボラック及びレゾール型フェノール樹脂を使用す
ることができる。樹脂の被覆はマグネシア粒子と被覆す
る樹脂を混練することにより行うことができる。
【００１２】配合的に占める樹脂被覆マグネシアの割合
は特に限定する必要はないが、耐摩耗性の向上のために
は20重量% 以上、また、れんがの著しい高弾性率化によ
る耐スポーリング性の大幅な低下を防ぐためには、60重
量% 未満とすることが好ましい。マグネシア原料及びカ
ーボン原料については、本発明では特に限定しない。マ
グネシア原料としては、電融のクリンカー、焼成クリン
カー、天然マグネサイト及び海水マグネシアなどを使用
することができる。また、カーボン原料としては天然の
鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、コークス、仮焼無煙
炭、電極屑などを使用することができる。その他の成分
として、Al、Si、Al-Mg などの金属やB4C などのホウ化
物のような各種酸化防止剤及びバインダーを必要に応じ
添加することができる。
は特に限定する必要はないが、耐摩耗性の向上のために
は20重量% 以上、また、れんがの著しい高弾性率化によ
る耐スポーリング性の大幅な低下を防ぐためには、60重
量% 未満とすることが好ましい。マグネシア原料及びカ
ーボン原料については、本発明では特に限定しない。マ
グネシア原料としては、電融のクリンカー、焼成クリン
カー、天然マグネサイト及び海水マグネシアなどを使用
することができる。また、カーボン原料としては天然の
鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、コークス、仮焼無煙
炭、電極屑などを使用することができる。その他の成分
として、Al、Si、Al-Mg などの金属やB4C などのホウ化
物のような各種酸化防止剤及びバインダーを必要に応じ
添加することができる。
【００１３】また、マグネシア粒子の粒度を1mm 以上5m
m 以下とすることが好ましい。マグネシア粒子の粒度が
1mm 未満では、ハンドリングが困難になるため、樹脂を
マグネシア粒子に均一に被覆することができない。その
ために、十分な強度を得ることができない。一方、マグ
ネシア粒子の粒度が5mm を越えて大きくなると、れんが
を成形する際に、樹脂被覆マグネシア粒子を均一に分散
することが困難になる。そのために、十分な強度を得る
ことができない。
m 以下とすることが好ましい。マグネシア粒子の粒度が
1mm 未満では、ハンドリングが困難になるため、樹脂を
マグネシア粒子に均一に被覆することができない。その
ために、十分な強度を得ることができない。一方、マグ
ネシア粒子の粒度が5mm を越えて大きくなると、れんが
を成形する際に、樹脂被覆マグネシア粒子を均一に分散
することが困難になる。そのために、十分な強度を得る
ことができない。
【００１４】被覆する樹脂の固定炭素量は20重量% 以上
とすることが好ましい。マグネシア粒子に被覆する樹脂
の固定炭素量が20重量% 未満では、マグネシア粒子周囲
に緻密で強固な組織を形成することができず、添加金属
による強度が発現するよりも低い温度域では十分な強度
を得ることができないので、固定炭素量を20重量% 以上
とすることが好ましい。また、固定炭素量の上限は特に
規定する必要はないが、れんがの著しい高弾性率化によ
る耐スポーリング性の大幅な低下を防ぐため、75重量%
未満とすることが好ましい。
とすることが好ましい。マグネシア粒子に被覆する樹脂
の固定炭素量が20重量% 未満では、マグネシア粒子周囲
に緻密で強固な組織を形成することができず、添加金属
による強度が発現するよりも低い温度域では十分な強度
を得ることができないので、固定炭素量を20重量% 以上
とすることが好ましい。また、固定炭素量の上限は特に
規定する必要はないが、れんがの著しい高弾性率化によ
る耐スポーリング性の大幅な低下を防ぐため、75重量%
未満とすることが好ましい。
【００１５】樹脂被覆マグネシア粒子として、マグネシ
ア粒子 100重量部に対して、樹脂が0.5 〜２重量% とす
ることが好ましい。マグネシア粒子に対する被覆する樹
脂の量が0.5 重量% 未満では、マグネシア粒子周囲に緻
密で強固な組織を形成することができず、十分な強度向
上をはかることができない。一方、マグネシア粒子に対
する被覆する樹脂の量が2.0 重量% を越えて多くなる
と、マグネシア−黒鉛間の組織が非常に緻密になるため
に、耐火物の弾性率が著しく高くなり、耐熱スポーリン
グ性を低下させることになる。
ア粒子 100重量部に対して、樹脂が0.5 〜２重量% とす
ることが好ましい。マグネシア粒子に対する被覆する樹
脂の量が0.5 重量% 未満では、マグネシア粒子周囲に緻
密で強固な組織を形成することができず、十分な強度向
上をはかることができない。一方、マグネシア粒子に対
する被覆する樹脂の量が2.0 重量% を越えて多くなる
と、マグネシア−黒鉛間の組織が非常に緻密になるため
に、耐火物の弾性率が著しく高くなり、耐熱スポーリン
グ性を低下させることになる。
【００１６】次に、一般品質や耐食性、耐熱スポーリン
グ性について、まず、実験室レベルで鋭意検討を進め
た。また、300t製鋼用転炉での検討を進めた。溶銑及び
溶鋼の温度は1300〜1700℃で、CO,CO2,O2 の雰囲気下で
脱炭精錬に使用されることを特徴とする製鋼用転炉で
は、雰囲気温度も極めて高く、製鋼用転炉の出鋼口スリ
ーブ耐火物は、出鋼時には溶鋼流に激しくさらされ、ま
た、熱衝撃のレベルも高い環境にある。これまでの出鋼
口スリーブ耐火物では、強度、耐摩耗性、耐熱スポーリ
ング性のバランスをとることは困難であったが、出鋼口
スリーブ耐火物に樹脂被覆マグネシア粒子のMgO-C れん
がを適用することにより、これらを達成することができ
た。
グ性について、まず、実験室レベルで鋭意検討を進め
た。また、300t製鋼用転炉での検討を進めた。溶銑及び
溶鋼の温度は1300〜1700℃で、CO,CO2,O2 の雰囲気下で
脱炭精錬に使用されることを特徴とする製鋼用転炉で
は、雰囲気温度も極めて高く、製鋼用転炉の出鋼口スリ
ーブ耐火物は、出鋼時には溶鋼流に激しくさらされ、ま
た、熱衝撃のレベルも高い環境にある。これまでの出鋼
口スリーブ耐火物では、強度、耐摩耗性、耐熱スポーリ
ング性のバランスをとることは困難であったが、出鋼口
スリーブ耐火物に樹脂被覆マグネシア粒子のMgO-C れん
がを適用することにより、これらを達成することができ
た。
【００１７】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明する。本
発明をMgO-C 質耐火物に適用し、これを製鋼用転炉の出
鋼口スリーブ用耐火物として使用した実施例である。表
１に示す原料組成で、あらかじめ樹脂被覆マグネシア骨
材を製造し、それぞれ液状のフェノール系バインダーを
適量添加して、混練、CIP 成形、乾燥（90℃×24時間)
、硬化処理(250℃×10時間) を施して得た。原料組成
中のマグネシア原料は電融マグネシアを使用し、カーボ
ン原料は純度98% の天然鱗片状黒鉛を使用した。比較例
１は、黒鉛18% 、金属アルミニウムを外掛けで3%添加
し、バインダーとしてフェノール樹脂を用いたMgO-C れ
んがである。
発明をMgO-C 質耐火物に適用し、これを製鋼用転炉の出
鋼口スリーブ用耐火物として使用した実施例である。表
１に示す原料組成で、あらかじめ樹脂被覆マグネシア骨
材を製造し、それぞれ液状のフェノール系バインダーを
適量添加して、混練、CIP 成形、乾燥（90℃×24時間)
、硬化処理(250℃×10時間) を施して得た。原料組成
中のマグネシア原料は電融マグネシアを使用し、カーボ
ン原料は純度98% の天然鱗片状黒鉛を使用した。比較例
１は、黒鉛18% 、金属アルミニウムを外掛けで3%添加
し、バインダーとしてフェノール樹脂を用いたMgO-C れ
んがである。
【００１８】耐熱スポーリング性は40×40×230mm の角
柱状の供試試料の長さ方向の一端から約110mm までを16
00℃の溶銑に浸漬、空冷、水冷を繰り返す方法で行っ
た。表中には、剥落に至るまでの回数と表面及び内部の
亀裂状態の観察結果を示す。剥落回数が多く、亀裂の少
ないものが耐熱スポーリング性良好と判断される。耐食
性は、高周波溶解炉内張り浸食法により評価を行った。
比較例1 のサンプルの耐食性を100 として、その他の評
価を実施した。
柱状の供試試料の長さ方向の一端から約110mm までを16
00℃の溶銑に浸漬、空冷、水冷を繰り返す方法で行っ
た。表中には、剥落に至るまでの回数と表面及び内部の
亀裂状態の観察結果を示す。剥落回数が多く、亀裂の少
ないものが耐熱スポーリング性良好と判断される。耐食
性は、高周波溶解炉内張り浸食法により評価を行った。
比較例1 のサンプルの耐食性を100 として、その他の評
価を実施した。
【００１９】その他、かさ比重、気孔率、弾性率や強度
などの一般品質を測定した。強度は溶鋼流に対する耐摩
耗性、弾性率は耐熱スポーリング性の因子として特に重
要である。高周波内張り浸食試験の溶損指数及び実機試
験での耐用性の評価については、比較例１の耐用回数を
100 として耐用性の評価を行った。評価結果を表1 に示
す。本発明の耐火物は、いずれも実機においても十分な
効果を発揮した。
などの一般品質を測定した。強度は溶鋼流に対する耐摩
耗性、弾性率は耐熱スポーリング性の因子として特に重
要である。高周波内張り浸食試験の溶損指数及び実機試
験での耐用性の評価については、比較例１の耐用回数を
100 として耐用性の評価を行った。評価結果を表1 に示
す。本発明の耐火物は、いずれも実機においても十分な
効果を発揮した。
【００２０】まず、被覆するマグネシア粒子の粒度を検
討した。No.Cは被覆するマグネシア粒子の粒度で本願第
３発明の被覆マグネシア粒子の粒度の下限を満たしてい
ない。 No.D は、本願第３発明の被覆するマグネシア粒
子の粒度の上限を満たしていない。No.C及びD は実機試
験で十分な耐用は示したものの、本発明例Ａと比べて耐
用性が若干低下した。
討した。No.Cは被覆するマグネシア粒子の粒度で本願第
３発明の被覆マグネシア粒子の粒度の下限を満たしてい
ない。 No.D は、本願第３発明の被覆するマグネシア粒
子の粒度の上限を満たしていない。No.C及びD は実機試
験で十分な耐用は示したものの、本発明例Ａと比べて耐
用性が若干低下した。
【００２１】No.Bは本願第１発明の樹脂被覆マグネシア
粒子とカーボンを含む配合物を成形してなる耐火物であ
る。高強度で耐食性に優れたものの、耐スポーリング性
は十分に向上せず、実機試験で十分な耐用は示したもの
の、本発明例Ａと比べて耐用性が若干低下した。本願第
３発明で規定する条件を全て満たす本発明例A は、強
度、耐食性及び耐スポーリング性の全てにおいて比較例
１を大きく上回り、実機での耐用も大幅に向上させるこ
とができた。
粒子とカーボンを含む配合物を成形してなる耐火物であ
る。高強度で耐食性に優れたものの、耐スポーリング性
は十分に向上せず、実機試験で十分な耐用は示したもの
の、本発明例Ａと比べて耐用性が若干低下した。本願第
３発明で規定する条件を全て満たす本発明例A は、強
度、耐食性及び耐スポーリング性の全てにおいて比較例
１を大きく上回り、実機での耐用も大幅に向上させるこ
とができた。
【００２２】次に、本願第４発明の被覆する樹脂に関し
て検討を行った。No.Eは、本願第４発明の被覆する樹脂
に関する規定の下限を満たしていない。No.Eは、本発明
例Ａと比べて強度が低く耐食性が若干低下した。次に、
本願第５発明のマグネシア粒子に対する樹脂被覆量に関
して検討を進めた。
て検討を行った。No.Eは、本願第４発明の被覆する樹脂
に関する規定の下限を満たしていない。No.Eは、本発明
例Ａと比べて強度が低く耐食性が若干低下した。次に、
本願第５発明のマグネシア粒子に対する樹脂被覆量に関
して検討を進めた。
【００２３】No.Fは、本願第５発明のマグネシア粒子に
対する樹脂被覆量の上限を満たしていない。No.Fは、高
強度で耐摩耗性には非常に優れていたものの、耐熱スポ
ーリング性が本発明例Ａと比べて若干低下し。No.Gは、
本願第５発明のマグネシア粒子に対する樹脂被覆量の下
限を満たしていない。No.Gは、低強度のため溶鋼流によ
る摩耗損耗防止の点で本発明例Ａと比べて若干低下し
た。
対する樹脂被覆量の上限を満たしていない。No.Fは、高
強度で耐摩耗性には非常に優れていたものの、耐熱スポ
ーリング性が本発明例Ａと比べて若干低下し。No.Gは、
本願第５発明のマグネシア粒子に対する樹脂被覆量の下
限を満たしていない。No.Gは、低強度のため溶鋼流によ
る摩耗損耗防止の点で本発明例Ａと比べて若干低下し
た。
【００２４】比較例A は、金属アルミニウムの添加量を
増加させ高強度化をはかったものであり、比較例B は、
黒鉛量を低減して高強度化をはかったものである。これ
らは、高強度化による耐摩耗性向上、耐食性向上を達成
したものの、耐熱スポーリング性が大幅に低下し、本発
明例Ａ〜Ｇよりも耐用性は劣る結果となった。本発明例
は、いずれの場合も、比較例１、Ａ，Ｂと比較して長寿
命化を達成することができたものの、その効果の程度を
考慮すると本発明で規定する条件を全て満たす本発明例
A が最も優れた効果を示した。
増加させ高強度化をはかったものであり、比較例B は、
黒鉛量を低減して高強度化をはかったものである。これ
らは、高強度化による耐摩耗性向上、耐食性向上を達成
したものの、耐熱スポーリング性が大幅に低下し、本発
明例Ａ〜Ｇよりも耐用性は劣る結果となった。本発明例
は、いずれの場合も、比較例１、Ａ，Ｂと比較して長寿
命化を達成することができたものの、その効果の程度を
考慮すると本発明で規定する条件を全て満たす本発明例
A が最も優れた効果を示した。
【００２５】
【表１】
【００２６】
【発明の効果】本発明によるマグネシア粒子に樹脂を被
覆することを特徴とする製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐
火物は、出鋼口スリーブの使用環境温度域において、高
強度を示し、溶鋼流による摩耗損耗を従来よりも大幅に
低減することが可能となり、長寿命化を達成することが
できる。同時に、耐熱スポーリング性に関しても、従来
品と同様のレベルを維持することができ、やはり、長寿
命化に有効である。
覆することを特徴とする製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐
火物は、出鋼口スリーブの使用環境温度域において、高
強度を示し、溶鋼流による摩耗損耗を従来よりも大幅に
低減することが可能となり、長寿命化を達成することが
できる。同時に、耐熱スポーリング性に関しても、従来
品と同様のレベルを維持することができ、やはり、長寿
命化に有効である。
フロントページの続き (72)発明者 河野 幸次 千葉県富津市新富20−１ 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 坂本 浩 北海道室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株式 会社室蘭製鐵所内 (72)発明者 犬塚 孝之 千葉県君津市君津１番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 中村 壽志 愛知県東海市東海町５−３ 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 笠原 始 兵庫県姫路市広畑区富士町１番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内 (72)発明者 仲保 真輝 福岡県北九州市戸畑区飛幡町１−１ 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 松井 剛 大分県大分市大字西ノ洲１番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 駿河 俊博 福岡県北九州市八幡西区東浜町１番１号 黒崎窯業株式会社内 Ｆターム(参考） 4G030 AA07 AA60 BA23 BA27 GA29 4K002 BB10 BC03 BC10 BD01 BD02
Claims (5)
- 【請求項１】 樹脂被覆マグネシア粒子とカーボンを含
む配合物を成形してなることを特徴とする製鋼用転炉の
出鋼口スリーブ耐火物。 - 【請求項２】 樹脂被覆マグネシア粒子、マグネシア粒
子及びカーボンを含む配合物を成形してなることを特徴
とする製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物。 - 【請求項３】 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、マ
グネシア粒子の粒度を1mm 以上5mm 以下とすることを特
徴とする請求項１又は２記載の製鋼用転炉の出鋼口スリ
ーブ耐火物。 - 【請求項４】 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、被
覆する樹脂の固定炭素量を20重量% 以上とすることを特
徴とする請求項１又は２記載の製鋼用転炉の出鋼口スリ
ーブ耐火物。 - 【請求項５】 前記樹脂被覆マグネシア粒子として、マ
グネシア粒子100 重量部に対して、樹脂が 0.5〜２質量
% であることを特徴とする請求項１又は２記載の製鋼用
転炉の出鋼口スリーブ耐火物。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11112647A JP2000309818A (ja) | 1999-04-20 | 1999-04-20 | 製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11112647A JP2000309818A (ja) | 1999-04-20 | 1999-04-20 | 製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000309818A true JP2000309818A (ja) | 2000-11-07 |
Family
ID=14591977
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11112647A Withdrawn JP2000309818A (ja) | 1999-04-20 | 1999-04-20 | 製鋼用転炉の出鋼口スリーブ耐火物 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000309818A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20040049585A (ko) * | 2002-12-06 | 2004-06-12 | 주식회사 포스렉 | 열충격저항성이 우수한 불소성 마그네시아 카본질 내화벽돌 |
| WO2008056655A1 (fr) | 2006-11-06 | 2008-05-15 | Krosakiharima Corporation | Manchons durables |
| KR100916559B1 (ko) * | 2002-07-31 | 2009-09-14 | 주식회사 포스코 | 침적관 외부의 정형연와 내화재 |
| JP2011047007A (ja) * | 2009-08-27 | 2011-03-10 | Kurosaki Harima Corp | 出鋼口スリーブの選定方法及び出鋼口スリーブ |
| CN117069480A (zh) * | 2023-08-15 | 2023-11-17 | 大石桥市冠诚耐火材料有限公司 | 一种转炉生产不锈钢用低碳镁碳砖及其制备工艺 |
-
1999
- 1999-04-20 JP JP11112647A patent/JP2000309818A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100916559B1 (ko) * | 2002-07-31 | 2009-09-14 | 주식회사 포스코 | 침적관 외부의 정형연와 내화재 |
| KR20040049585A (ko) * | 2002-12-06 | 2004-06-12 | 주식회사 포스렉 | 열충격저항성이 우수한 불소성 마그네시아 카본질 내화벽돌 |
| WO2008056655A1 (fr) | 2006-11-06 | 2008-05-15 | Krosakiharima Corporation | Manchons durables |
| US8093169B2 (en) | 2006-11-06 | 2012-01-10 | Krosakiharima Corporation | High-durability sleeve bricks |
| JP2011047007A (ja) * | 2009-08-27 | 2011-03-10 | Kurosaki Harima Corp | 出鋼口スリーブの選定方法及び出鋼口スリーブ |
| CN117069480A (zh) * | 2023-08-15 | 2023-11-17 | 大石桥市冠诚耐火材料有限公司 | 一种转炉生产不锈钢用低碳镁碳砖及其制备工艺 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060704 |