JP2000294937A - 配線基板およびプリント配線板 - Google Patents

配線基板およびプリント配線板

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JP2000294937A
JP2000294937A JP9905099A JP9905099A JP2000294937A JP 2000294937 A JP2000294937 A JP 2000294937A JP 9905099 A JP9905099 A JP 9905099A JP 9905099 A JP9905099 A JP 9905099A JP 2000294937 A JP2000294937 A JP 2000294937A
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JP
Japan
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resin
conductor circuit
wiring board
layer
substrate
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JP9905099A
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English (en)
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Honchin En
本鎮 袁
Toru Nakai
通 中井
Shinichiro Ichikawa
真一郎 市川
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 形成された導体回路角部の温度変化に起因す
る応力の集中を防止することができ、樹脂絶縁層にクラ
ックが発生するのを防止することができるように構成さ
れた配線基板を提供すること。 【解決手段】 単一の金属膜または複数の金属膜の積層
体からなる導体回路を有する配線基板であって、前記導
体回路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲面により構
成されていることを特徴とする配線基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂絶縁層のクラ
ックの発生を防止することができる構造の導体回路を有
する配線基板およびプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】信号の高周波数化に伴って、パッケージ
基板の材料は、低誘電率、低誘電正接であることが求め
られるようになってきている。そのためパッケージ基板
の材料は、セラミックから樹脂へとその主流が移りつつ
ある。
【0003】このような背景の下、樹脂基板を用いたプ
リント配線板に関する技術として、例えば、特公平4−
55555号公報には、回路形成がされたガラスエポキ
シ基板にエポキシアクリレートを層間樹脂絶縁層として
形成し、続いて、フォトリソグラフィーの手法を用いて
バイアホール用開孔を設け、表面を粗化した後、めっき
レジストを設けて、めっきにより導体回路およびバイア
ホールを形成する方法が提案されている。
【0004】従来、上記方法により導体回路およびバイ
アホールを形成した後、これら導体回路等を被覆するC
u−Ni−P合金からなる粗化層を無電解めっきにより
形成し、その上に層間樹脂絶縁層を形成していた。
【0005】しかし、製造されたプリント配線板をヒー
トサイクル試験等に供すると、そのうちの幾つかは、図
9に示すように、金属からなる上層導体回路5と樹脂か
らなる層間樹脂絶縁層2との熱膨張の差に起因して、上
層導体回路5の角部Aから層間樹脂絶縁層2にクラック
2aが発生してその上面および下層導体回路にまで達
し、プリント配線板として用いることができないという
問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これは、図9に示した
ように、上層導体回路5の縁部Aがとがった形に近いも
のとなりやすいため、上層導体回路5の温度の変化にお
ける膨張、収縮により、縁部Aに応力が集中し、その結
果、クラック2aが発生するものと考えられる。
【0007】本発明は、このような従来技術の問題点を
解決するためになされたものであり、その目的は、形成
された導体回路角部の温度変化に起因する応力の集中を
防止することができ、樹脂絶縁層にクラックが発生する
のを防止することができるように構成された配線基板お
よびプリント配線板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構
成とする発明に想到した。即ち、本発明の配線基板は、
単一の金属膜または複数の金属膜の積層体からなる導体
回路を有する配線基板であって、上記導体回路のうち少
なくとも一部の上面縁部が曲面により構成されているこ
とを特徴とする。
【0009】また、本発明のプリント配線板は、樹脂基
板上に、樹脂絶縁層と導体回路とがそれぞれ1層以上形
成された構造を有するプリント配線板であって、上記導
体回路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲面により構
成されていることを特徴とする。さらに、樹脂基板上
に、導体回路およびそれを被覆する樹脂絶縁層が形成さ
れてなり、該樹脂絶縁層にはバイアホールが形成されて
なるプリント配線板において、前記導体回路のうち少な
くとも一部の上面縁部が曲面により構成されてなり、そ
の導体回路にバイアホールが接続されることを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の配線基板は、単一の金属
膜または複数の金属膜の積層体からなる導体回路を有す
る配線基板であって、上記導体回路のうち少なくとも一
部の上面縁部が曲面により構成されていることに特徴が
ある。
【0011】このような本発明の構成によれば、導体回
路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲面により構成さ
れているので、これら導体回路上に樹脂絶縁層が形成さ
れた場合、上記上面縁部の曲面構造に起因して、温度の
変化等が生じた際にも、上記導体層の上面縁部に応力が
集中せず、その結果、上記樹脂絶縁層にクラックが発生
するのを防止することができる。
【0012】図1は、本発明の配線基板の一実施形態を
模式的に示した断面図である。本発明の配線基板では、
絶縁基板21上に第一の金属膜22が形成され、この第
一の金属膜22の上に第一の金属膜22よりも厚い第二
の金属膜23が積層形成されて導体回路が構成され、こ
れらの導体層を覆うように樹脂絶縁層24が形成されて
いる。そして、第二の金属膜23の上面縁部は、曲面
(図1中では、曲線)により構成されている。このよう
に導体回路が樹脂絶縁層により被覆されている場合に本
発明の効果が発揮される。
【0013】絶縁基板21の材料としては特に限定され
ず、セラミック等の無機材料からなる基板でも、樹脂等
の有機材料からなる基板でもよい。また、これら二層構
造の導体層の下に他の金属膜が1層以上形成されていて
もよいが、最上層に位置する金属膜(図1においては、
第二の金属膜23)の上面縁部は、曲面により構成され
るとともに、その表面は、樹脂絶縁層との密着性を高め
るために、エッチングにより粗化面が形成されているこ
とが望ましい。また、上記導体層は単独の金属膜からな
るものであってもよい。
【0014】この場合、第二の金属膜23の表面に粗化
面が形成されているため、樹脂絶縁層24との密着性が
高くなり、しかも、上面縁部の曲面構造に起因して、温
度の変化等が生じた際にも、第二の金属膜23の上面縁
部に応力が集中せず、その結果、樹脂絶縁層24にクラ
ックが発生するのを防止することができる。図1に示し
た構造の導体回路と樹脂絶縁層とは、何層か繰り返して
形成され、これらの導体回路間がバイアホール等により
接続されていてもよい。
【0015】絶縁基板上にこのような導体回路を形成す
る方法としては特に限定されるものではないが、例え
ば、図2に示すような方法が挙げられる。まず、セラミ
ック等からなる基板上や粗化処理を行った樹脂絶縁層等
を有する絶縁基板21上の全面に、第一の金属膜22お
よび第二の金属膜23を積層形成する(図2(a)参
照)。
【0016】続いて、第二の金属膜23の上にフォトリ
メグラフィーの手法を用いて所定パターンのエッチング
レジスト25を形成する(図2(b)参照)。次に、金
属膜をエッチングするためのエッチング処理を行い、エ
ッチングレジスト25と同一パターンの第一の金属膜2
2および第二の金属膜23からなる導体回路を形成する
(図2(c)参照)。続いて、この導体回路にスプレー
等によるエッチング処理を施して粗化面を形成するとと
もに、第二の金属膜23の上面縁部に曲面を形成する
(図2(d)参照)。この後、導体回路を被覆する樹脂
絶縁層24を形成することにより、配線基板の製造を終
了する(図2(d)参照)。
【0017】導体回路に粗化面を形成するとともに、第
二の金属膜23の上面縁部に曲面を形成する方法として
は特に限定されるものではないが、例えば、第二銅錯体
と有機酸とを含むエッチング液を、酸素共存下で導体回
路にスプレーする方法が望ましい。詳しいエッチング方
法については、以下のプリント配線板の製造方法におい
て、説明する。
【0018】次に、本発明のプリント配線板について説
明する。本発明のプリント配線板は、樹脂基板上に、樹
脂絶縁層と導体回路とがそれぞれ1層以上形成された構
造を有するプリント配線板であって、上記導体回路のう
ち少なくとも一部の上面縁部が曲面により構成されてい
ることに特徴がある。
【0019】このような本発明の構成によれば、導体回
路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲面により構成さ
れているので、上記上面縁部の曲面構造に起因して、上
記導体層の上面縁部の一部の箇所のみに応力が集中せ
ず、その結果、温度の変化等が生じた際にも、応力の集
中に起因して、上記導体回路を被覆する樹脂絶縁層のク
ラックの発生を防止することができる。樹脂絶縁層は、
ソルダーレジストまたは層間樹脂絶縁層であってもよ
い。また、このような上面縁部に曲面構造を持つ導体回
路にバイアホールを接続させた構造では、ヒートサイク
ル時に、導体回路の角部を起点として発生するクラック
によってバイアホールが破断することがない。さらに、
曲面構造部分にバイアホールが接触する場合には、バイ
アホールと導体回路との接触面積を増やすことができ、
クラックを防止する。
【0020】上記導体回路の上面縁部に曲面を形成する
ためのエッチング処理方法は特に限定されるものではな
いが、本発明の配線基板を製造する場合と同様に、第二
銅錯体および有機酸からなるエッチング液を酸素共存化
でスプレーする方法を採用した場合に、好適な曲面が得
られ、また、このエッチングにより導体回路表面に粗化
面が形成される。
【0021】この場合、下記の式(1)および式(2)
の化学反応によりエッチングが進行する。
【0022】
【化1】
【0023】上記第二銅錯体としては、アゾール類の第
二銅錯体が望ましい。このアゾール類の第二銅錯体は、
金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。アゾール類
としては、例えば、ジアゾール、トリアゾール、テトラ
ゾールが挙げられる。これらのなかでも、イミダゾー
ル、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニ
ルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール等が望ま
しい。上記エッチング液中のアゾール類の第二銅錯体の
含有量は、1〜15重量%が望ましい。溶解性および安
定性に優れ、また、触媒核を構成するPdなどの貴金属
をも溶解させることができるからである。
【0024】また、酸化銅を溶解させるために、有機酸
をアゾール類の第二銅錯体に配合する。上記有機酸の具
体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン
酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルフ
ァミン酸等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0025】エッチング液中の有機酸の含有量は、0.
1〜30重量%が望ましい。酸化された銅の溶解性を維
持し、かつ溶解安定性を確保することができるからであ
る。上記式(2)に示したように、発生した第一銅錯体
は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体とな
って、再び銅の酸化に寄与する。
【0026】銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助す
るために、ハロゲンイオン、例えば、フッ素イオン、塩
素イオン、臭素イオン等を上記エッチング液に加えても
よい。また、塩酸、塩化ナトリウム等を添加することに
より、ハロゲンイオンを供給することができる。エッチ
ング液中のハロゲンイオンの含有量は、0.01〜20
重量%が望ましい。形成された粗化面と層間樹脂絶縁層
との密着性に優れるからである。
【0027】エッチング液を調製する際には、アゾール
類の第二銅錯体と有機酸(必要に応じてハロゲンイオン
を有するものを使用)を、水に溶解する。また、上記エ
ッチング液として、市販のエッチング液、例えば、メッ
ク社製、商品名「メック エッチボンド」を使用する。
上記エッチング液を用いた場合のエッチング量は1〜1
0μmが望ましい。エッチング量が10μmを超える
と、形成された粗化面とバイアホール導体との接続不良
を起こし、一方、エッチング量が1μm未満では、その
上に形成する層間樹脂絶縁層との密着性が不充分となる
からである。
【0028】上記方法により形成される粗化面は、イオ
ン化傾向が銅より大きくチタン以下である金属または貴
金属の層(以下、金属層という)で被覆されていてもよ
い。このような金属としては、例えば、チタン、アルミ
ニウム、亜鉛、鉄、インジウム、タリウム、コバルト、
ニッケル、スズ、鉛、ビスマスなどが挙げられる。ま
た、貴金属としては、例えば、金、銀、白金、パラジウ
ムなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、
2種以上を併用して複数の層を形成してもよい。
【0029】これらの金属層は粗化層を被覆し、層間樹
脂絶縁層を粗化処理しても局部電極反応を防止して導体
回路の溶解を防止する。これらの金属の厚さは0.1〜
2μmが望ましい。
【0030】上記金属層を構成する金属のなかでは、ス
ズが望ましい。スズは無電解置換めっきにより薄い層を
形成することができ、粗化層に追従することができるた
らである。スズからなる金属層を形成する場合は、ホウ
フッ化スズ−チオ尿素を含む溶液、または、塩化スズ−
チオ尿素を含む溶液を使用して置換めっきを行う。この
場合、Cu−Snの置換反応により、0.1〜2μm程
度のSn層が形成される。貴金属からなる金属層を形成
する場合は、スパッタや蒸着などの方法を採用すること
ができる。
【0031】上記のようにして形成した粗化面を有する
導体回路を含む基板面に後述する方法で層間樹脂絶縁層
を形成する。本発明のプリント配線板においては、樹脂
基板として、樹脂基板上に直接導体回路が形成された基
板を使用し、その上に樹脂絶縁層と導体回路とがそれぞ
れ1層設けられていてもよく、2層以上設けられていて
もよい。また、導体回路が形成されていない樹脂基板の
上に樹脂絶縁層と導体回路とがそれぞれ1層設けられて
いてもよく、2層以上設けられていてもよい。さらに、
上記樹脂絶縁層と上記導体回路とは、樹脂基板の片面に
設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。
【0032】以下、本発明のプリント配線板を製造する
方法を、多層プリント配線板を一例として説明する。
【0033】(1) まず、コア基板の表面に内層銅パター
ン(下層導体回路)が形成された基板を作製する。この
コア基板に対する導体回路を形成する際には、銅張積層
板を特定パターン状にエッチングする方法、ガラスエポ
キシ基板、ポリイミド基板、セラミック基板、金属基板
などの基板に無電解めっき用接着剤層を形成し、この無
電解めっき用接着剤層表面を粗化して粗化面とした後、
無電解めっきを施す方法、または、上記粗化面全体に無
電解めっきを施し、めっきレジストを形成し、めっきレ
ジスト非形成部分に電解めっきを施した後、めっきレジ
ストを除去し、エッチング処理を行って、電解めっき膜
と無電解めっき膜からなる導体回路を形成する方法(セ
ミアディティブ法)などを用いることができる。
【0034】通常、基板上に導体回路を形成した後、ス
ルーホールおよびコア基板の導体回路間にビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂などの低粘度の樹脂充填剤を充填し
た後、樹脂層および導体回路を研磨することにより樹脂
層と導体回路との平滑性を確保するが、上記樹脂充填剤
を充填する前に導体回路の表面に、粗化面または粗化層
を形成する。
【0035】なお、コア基板には、スルーホールが形成
され、このスルーホールを介して表面と裏面の配線層が
電気的に接続されていてもよい。
【0036】上記粗化面または粗化層は、研磨処理、エ
ッチング処理、黒化還元処理およびめっき処理のうちの
いずれかの方法により形成されることが望ましい。これ
らの処理のうち、黒化還元処理を行う際には、NaOH
(20g/l)、NaClO2 (50g/l)、Na3
PO4 (15.0g/l)を含む水溶液からなる黒化浴
(酸化浴)、および、NaOH(2.7g/l)、Na
BH4 (1.0g/l)を含む水溶液からなる還元浴を
用いて粗化面を形成する方法が望ましい。
【0037】また、めっき処理により粗化層を形成する
際には、硫酸銅(1〜40g/l)、硫酸ニッケル
(0.1〜6.0g/l)、クエン酸(10〜20g/
l)、次亜リン酸ナトリウム(10〜100g/l)、
ホウ酸(10〜40g/l)、界面活性剤(日信化学工
業社製、サーフィノール465)(0.01〜10g/
l)を含むpH=9の無電解めっき浴にて無電解めっき
を施し、Cu−Ni−P合金からなる粗化層を形成する
方法が望ましい。この範囲で析出する被膜の結晶構造は
針状構造になるため、アンカー効果に優れるからであ
る。この無電解めっき浴には上記化合物に加えて錯化剤
や添加剤を加えてもよい。
【0038】上記エッチング処理方法として、上述した
第二銅錯体および有機酸を含むエッチング液を酸素共存
化で作用させ、導体回路表面を粗化する方法が挙げられ
るが、この方法については詳述したので、ここではその
説明を省略する。
【0039】上記方法により形成した粗化面または粗化
層は、通常、側面を残して研磨され、樹脂層と導体回路
との平滑性が確保される。
【0040】この後、再び導体回路に粗化処理を施す
が、この際には、上述した方法、すなわち導体回路に第
二銅錯体および有機酸を含むエッチング液を酸素共存化
でスプレーする方法により粗化面を形成してもよい。な
お、第二銅錯体および有機酸を含むエッチング液をスプ
レーして、導体回路に粗化面を形成するとともに、導体
回路の上面縁部に曲面を形成し、その後樹脂充填剤の充
填や研磨処理を施すことなく、層間樹脂絶縁層を形成し
てもよい。スプレー圧力は、1.5kg/cm2 以上必
要である。これより小さい場合は、粗面形成はできても
曲面形成ができないからである。また、圧力は、1.8
〜2.5kg/cm2 であることが望ましい。この範囲
であれば、図8の光学顕微鏡写真に示すように導体回路
の上面が曲面となって、層間樹脂絶縁層のクラック防止
効果やバイアホールの密着効果も増加するからである。
また配線を必要以上にエッチングすることもなく、接続
信頼性にも優れるのである。エッチング液の温度は、3
0〜40℃が望ましい。また、スプレー時間は、1〜2
00秒であることが望ましいが、曲面形成は、スプレー
圧力が主因子であって、時間は主因子ではない。スプレ
ー圧力が低いと時間をかけても曲面は形成されない。な
お、特開平7−292483号、特開平11−5491
9号や特開平10−256736号公報には、エッチン
グにより粗化面を形成する工程が記載されているが、特
開平11−54919号にはスプレーすること自体記載
しておらず、特開平7−292483号、特開平10−
256736号公報にはスプレー条件は記載されていな
い。
【0041】(2) 次に、上記(1) で作製した導体回路を
有する絶縁基板の上に、有機溶剤を含む粗化面形成用樹
脂組成物を塗布、乾燥して粗化面形成用樹脂組成物の層
を設ける。
【0042】上記粗化面形成用樹脂組成物は、酸、アル
カリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる
粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリック
ス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なく
とも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散さ
れたものが望ましい。なお、本発明で使用する「難溶
性」「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸
漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上
「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜
上「難溶性」と呼ぶ。
【0043】上記耐熱性樹脂マトリックスとしては、例
えば、熱硬化性樹脂や熱硬化性樹脂(熱硬化基の一部を
感光化したものも含む)と熱可塑性樹脂との複合体など
を使用することができる。
【0044】上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性
ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。また、上記熱硬
化性樹脂を感光化する場合は、メタクリル酸やアクリル
酸などを用い、熱硬化基を(メタ)アクリル化反応させ
る。特にエポキシ樹脂の(メタ)アクリレートが最適で
ある。
【0045】上記エポキシ樹脂としては、例えば、ノボ
ラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを使用
することができる。上記熱可塑性樹脂としては、例え
ば、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフ
ェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニルエーテル、ポリエーテルイミドなどを使用す
ることができる。
【0046】上記酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれ
る少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質
は、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、ゴム粒子、液相樹
脂および液相ゴムから選ばれる少なくとも1種であるこ
とが望ましい。
【0047】上記無機粒子としては、例えば、シリカ、
アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、ドロマイトなどが
挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。上記アルミナ粒子は、ふっ酸で溶解
除去することができ、炭酸カルシウムは塩酸で溶解除去
することができる。また、ナトリウム含有シリカやドロ
マイトはアルカリ水溶液で溶解除去することができる。
【0048】上記樹脂粒子としては、例えば、アミノ樹
脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂など)、
エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂など挙
げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。なお、上記エポキシ樹脂は、酸や酸化
剤に溶解するものや、これらに難溶解性のものを、オリ
ゴマーの種類や硬化剤を選択することにより任意に製造
することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂をアミン系硬化剤で硬化させた樹脂はクロム酸に
非常によく溶けるが、クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂をイミダゾール硬化剤で硬化させた樹脂は、クロム
酸には溶解しにくい。
【0049】上記樹脂粒子は予め硬化処理されているこ
とが必要である。硬化させておかないと上記樹脂粒子が
樹脂マトリックスを溶解させる溶剤に溶解してしまうた
め、均一に混合されてしまい、酸や酸化剤で樹脂粒子の
みを選択的に溶解除去することができないからである。
【0050】上記金属粒子としては、例えば、金、銀、
銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウムなどが挙げ
られる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。上記ゴム粒子としては、例えば、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、
ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、多硫系剛性ゴム、
フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ABS樹
脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0051】上記液相樹脂としては、上記熱硬化性樹脂
の未硬化溶液を使用することができ、このような液相樹
脂の具体例としては、例えば、未硬化のエポキシオリゴ
マーとアミン系硬化剤の混合液などが挙げられる。上記
液相ゴムとしては、例えば、上記ゴムの未硬化溶液など
を使用することができる。
【0052】上記液相樹脂や液相ゴムを用いて上記感光
性樹脂組成物を調製する場合には、耐熱性樹脂マトリッ
クスと可溶性の物質が均一に相溶しない(つまり相分離
するように)ように、これらの物質を選択する必要があ
る。上記基準により選択された耐熱性樹脂マトリックス
と可溶性の物質とを混合することにより、上記耐熱性樹
脂マトリックスの「海」の中に液相樹脂または液相ゴム
の「島」が分散している状態、または、液相樹脂または
液相ゴムの「海」の中に、耐熱性樹脂マトリックスの
「島」が分散している状態の感光性樹脂組成物を調製す
ることができる。
【0053】そして、このような状態の感光性樹脂組成
物を硬化させた後、「海」または「島」の液相樹脂また
は液相ゴムを除去することにより粗化面を形成すること
ができる。
【0054】上記粗化液として用いる酸としては、例え
ば、リン酸、塩酸、硫酸や、蟻酸、酢酸などの有機酸な
どが挙げられるが、これらのなかでは有機酸を用いるこ
とが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから
露出する金属導体層を腐食させにくいからである。上記
酸化剤としては、例えば、クロム酸、アルカリ性過マン
ガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)の水溶液などを
用いることが望ましい。また、アルカリとしては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液が望まし
い。
【0055】本発明において、上記無機粒子、上記金属
粒子および上記樹脂粒子を使用する場合は、その平均粒
径は、10μm以下が望ましい。また、特に平均粒径が
2μm未満であって、平均粒径の相対的に大きな粗粒子
と平均粒径が相対的に小さな微粒子との混合粒子を組み
合わせて使用することにより、無電解めっき膜の溶解残
渣をなくし、めっきレジスト下のパラジウム触媒量を少
なくし、しかも、浅くて複雑な粗化面を形成することが
できる。そして、このような複雑な粗化面を形成するこ
とにより、浅い粗化面でも実用的なピール強度を維持す
ることができる。
【0056】上記粗粒子と微粒子とを組み合わせること
により、浅くて複雑な粗化面を形成することができるの
は、使用する粒子径が粗粒子で平均粒径2μm未満であ
るため、これらの粒子が溶解除去されても形成されるア
ンカーは浅くなり、また、除去される粒子は、相対的に
粒子径の大きな粗粒子と相対的に粒子径の小さな微粒子
の混合粒子であるから、形成される粗化面が複雑になる
のである。また、この場合、使用する粒子径は、粗粒子
で平均粒径2μm未満であるため、粗化が進行しすぎて
空隙を発生させることはなく、形成した層間樹脂絶縁層
は層間絶縁性に優れている。
【0057】上記粗粒子は平均粒径が0.8μmを超え
2.0μm未満であり、微粒子は平均粒径が0.1〜
0.8μmであることが望ましい。この範囲では、粗化
面の深さは概ねRmax=3μm程度となり、セミアデ
ィテイブ法では、無電解めっき膜をエッチング除去しや
すいだけではなく、無電解めっき膜下のPd触媒をも簡
単に除去することができ、また、実用的なピール強度
1.0〜1.3kg/cmを維持することができるから
である。
【0058】上記粗化面形成用樹脂組成物中の有機溶剤
の含有量は、10重量%以下であることが望ましい。粗
化面形成用樹脂組成物の塗布を行う際には、ロールコー
タ、カーテンコータなどを使用することができる。
【0059】(3) 上記(2) で形成した粗化面形成用樹脂
組成物層を乾燥して半硬化状態とした後、バイアホール
用開口を設ける。粗化面形成用樹脂組成物層を乾燥させ
た状態では、導体回路パターン上の上記樹脂組成物層の
厚さが薄く、大面積を持つプレーン層上の層間樹脂絶縁
層の厚さが厚くなり、また導体回路と導体回路非形成部
の凹凸に起因して、層間樹脂絶縁層に凹凸が発生してい
ることが多いため、金属板や金属ロールを用い、加熱し
ながら押圧して、層間樹脂絶縁層の表面を平坦化するこ
とが望ましい。
【0060】バイアホール用開口は、粗化面形成用樹脂
組成物層に紫外線などを用いて露光した後現像処理を行
うことにより形成する。また、露光現像処理を行う場合
には、前述したバイアホール用開口に相当する部分に、
黒円のパターンが描画されたフォトマスク(ガラス基板
が好ましい)の黒円のパターンが描画された側を粗化面
形成用樹脂組成物層に密着させた状態で載置し、露光、
現像処理する。
【0061】4)次に、粗化面形成用樹脂組成物層を硬化
させて層間樹脂絶縁層とし、この層間樹脂絶縁層を粗化
する。粗化処理は、上記層間樹脂絶縁層の表面に存在す
る、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、ゴム粒子、液相樹
脂、液相ゴムから選ばれる少なくとも1種の可溶性の物
質を、上記した酸、酸化剤、アルカリなどの粗化液を用
いて除去することにより行う。粗化面の深さは、1〜5
μm程度が望ましい。
【0062】(5) 次に、粗化処理が施された基板を過硫
酸塩の水溶液に浸漬してエッチング処理を施し、バイア
ホール用開口内に露出している導体回路の粗化面の脆弱
層を除去する。この後、層間樹脂絶縁層を粗化した配線
基板に触媒核を付与する。触媒核の付与には、貴金属イ
オンや貴金属コロイドなどを用いることが望ましく、一
般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用
する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うこ
とが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムが
好ましい。
【0063】(6) 次に、粗化面全面に無電解めっき膜を
形成する。上記無電解めっき液としては、上述した本発
明の無電解めっき液を用いる。めっき液組成としては、
例えば、EDTA(150 g/l)、硫酸銅(20g
/l)、HCHO(30 ml/l)、NaOH(40
g/l)を含む水溶液が望ましい。無電解めっき膜の
厚みは0.1〜5μmが望ましく、0.5〜3μmがよ
り望ましい。
【0064】(7) ついで、無電解めっき膜上に感光性樹
脂フィルム(ドライフィルム)をラミネートし、めっき
レジストパターンが描画されたフォトマスク(ガラス基
板が好ましい)を感光性樹脂フィルムに密着させて載置
し、露光、現像処理することにより、めっきレジストパ
ターンを形成する。
【0065】(8) 次に、めっきレジスト非形成部に電解
めっきを施し、導体回路およびバイアホールを形成す
る。ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用い
ることが望ましく、その厚みは、1〜20μmが望まし
い。
【0066】(9) さらに、めっきレジストを除去した
後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過
硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化第二銅などのエッ
チング液で無電解めっき膜を溶解除去して、独立した導
体回路とする。この後、クロム酸などでパラジウム触媒
核を溶解除去する。
【0067】(10)次に、上述した第二銅錯体および有機
酸を含むエッチング液を酸素共存化でスプレーすること
により、導体回路の表面に粗化面を形成するとともに、
導体回路の上面縁部に曲面を形成する。
【0068】(11)次に、この基板上に、上記粗化面形成
用樹脂組成物を用い、上述した方法と同様の方法により
層間樹脂絶縁層を形成する。
【0069】(12)次に、 (3)〜(11)の工程を繰り返して
さらに上層の導体回路を設け、その上にはんだパッドと
して機能する平板状の導体パッドやバイアホールなどを
形成する。最後にソルダーレジスト層およびハンダバン
プ等を形成することにより、多層多層プリント配線板の
製造を終了する。なお、以下の方法は、セミアディティ
ブ法によるものであるが、フルアディティブ法を採用し
てもよい。以下、実施例をもとに説明する。
【0070】
【実施例】(実施例1) A.感光性樹脂組成物の調製 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、
分子量:2500)の25%アクリル化物をジエチレン
グリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた
樹脂液34重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社
製、2E4MZ−CN)2重量部、感光性モノマーであ
るカプロラクトン変成トリス(アクロキシエチル)イソ
シアヌレート(東亜合成社製、商品名:アロニックスM
325)4重量部、光重合開始剤としてのベンゾフェノ
ン(関東化学社製)2重量部、光増感剤としてのミヒラ
ーケトン(関東化学社製)0.2重量部、感光性モノマ
ー(日本化薬社製 KAYAMER PM−21)10
重量部、および、エポキシ樹脂粒子( 三洋化成社製 ポ
リマーポール) の平均粒径1.0μmのもの15重量部
と平均粒径0.5μmのもの10重量部を混合した後、
N−メチルピロリドン(NMP)30.0重量部添加し
ながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度7Pa・s
に調整し、続いて3本ロールで混練して感光性樹脂組成
物(層間樹脂絶縁材)を調製した。
【0071】B.プリント配線板の製造方法 (1) 厚さ0.6mmのガラスエポキシ樹脂またはBT
(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両
面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層
板を出発材料とした(図3(a)参照)。まず、この銅
貼積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パ
ターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に
下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0072】(2) スルーホール9および下層導体回路4
を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(1
0g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO
4 (16g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とす
る黒化処理、および、NaOH(19g/l)、NaB
4 (5g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理
を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全
表面に粗化面4a、9aを形成した(図3(b)参
照)。
【0073】(3) ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含
む樹脂充填剤10を、基板の片面にロールコータを用い
て塗布することにより、下層導体回路4間あるいはスル
ーホール9内に充填し、加熱乾燥させた後、他方の面に
ついても同様に樹脂充填剤10を導体回路4間あるいは
スルーホール9内に充填し、加熱乾燥させた(図3
(c)参照)。
【0074】(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面
を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いた
ベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面や
スルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らな
いように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨によ
る傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一
連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。次
いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃
で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充
填剤10を硬化した。
【0075】このようにして、スルーホール9や導体回
路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および
下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下
層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着
し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10
とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た
(図3(d)参照)。
【0076】(5) 上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソ
フトエッチングし、次いで、35℃のエッチング液を基
板の両面に2.0kg/cm2 の圧力で吹きつけて、下
層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内
壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全
表面に深さ3〜4μmの粗化面4a、9aを形成し、さ
らに、この粗化面4a、9aに厚さ0.05μmのSn
層を設けた(図4(a)参照)。但し、Sn層について
は図示しない。
【0077】なお、エッチングの際、エッチング液とし
て、イミダゾール銅 (II)錯体10重量部、グリコール
酸7重量部、塩化カリウム5重量部およびイオン交換水
78重量部を混合したものを使用した。また、Sn層
は、ホウフッ化スズ(0.1mol/l)、チオ尿素
(1.0mol/l)を含むpH=1.2、温度50℃
の無電解スズ置換めっき浴に基板を浸漬することにより
形成した。
【0078】(6) 上記Aに記載の方法により調製した感
光性樹脂組成物を、上記(5) の処理を終えた基板の両面
に、ロールコータを用いて塗布し、水平状態で20分間
放置してから、60℃で30分の乾燥を行い、厚さ60
μmの感光性樹脂組成物層(層間樹脂絶縁層)2を形成
した(図4(b)参照)。さらに、この感光性樹脂組成
物層2上に粘着剤を介してポリエチレンテレフタレート
フィルムを貼付した。
【0079】(7) 上記(6) で感光性樹脂組成物層2を形
成した基板1の両面に、遮光インクによって厚さ5μm
の黒円が描画された厚さ5mmのソーダライムガラス基
板を黒円が描画された側を感光性樹脂組成物層2に密着
させ、超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 強度で
露光した後、DMDG溶液でスプレー現像し、100μ
mの直径のバイアホール用開口6を形成した。この後、
100℃で1時間、150℃で5時間の加熱処理を施
し、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた
バイアホール用開口6を有する厚さ50μmの層間樹脂
絶縁層2を形成した(図4(c)参照)。なお、バイア
ホールとなる開口には、粗化層を部分的に露出させた。
【0080】(8) バイアホール用開口6を形成した基板
を、クロム酸水溶液に浸漬して層間樹脂絶縁層2の表面
に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することによ
り、層間樹脂絶縁層2の表面を粗面(深さ5μm)と
し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから
水洗いした(図4(d)参照)。さらに、粗面化処理し
た該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を
付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバ
イアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0081】(9) 次に、以下の組成の無電解銅めっき水
溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ3μmの無電
解銅めっき膜12を形成した(図5(a)参照)。 〔無電解めっき水溶液〕 EDT 150 g/l 硫酸銅 20 g/l HCHO 30 ml/l NaOH 40 g/l α、α’−ビピリジル 80 mg/l ポリエチレングリコール(PEG) 0.1 g/l 〔無電解めっき条件〕 70℃の液温度で30分
【0082】(10)市販の感光性ドライフィルムを無電解
銅めっき膜12に熱圧着することにより貼り付け、クロ
ム層によって、めっきレジスト非形成部分がマスクパタ
ーンとして描画された厚さ5mmのソーダライムガラス
基板を、クロム層が形成された側を感光性ドライフィル
ムに密着させて、110mJ/cm2 で露光した後、
0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmの
めっきレジスト3を設けた(図5(b)参照)。
【0083】(11)ついで、以下の条件で電解銅めっきを
施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜13を形成した
(図5(c)参照)。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 180 g/l 硫酸銅 80 g/l 添加剤 1 ml/l (アトテックジャパン社製、カパラシドGL) 〔電解めっき条件〕 電流密度 1.2 A/dm2 時間 30 分 温度 室温
【0084】(12)めっきレジスト3を5%KOHで剥離
除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜
12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して
溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜1
3からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を
含む)5を形成した。さらに、800g/lのクロム酸
を含む溶液に1〜2分間浸漬して、層間樹脂絶縁層2の
表面に残存するパラジウム触媒を除去した(図5(d)
参照)。
【0085】(13)次に、上記(5) の工程で用いた液と同
じ組成のエッチング(第二銅錯体と有機酸とを含むエッ
チング液)を同様の条件でスプレーすることにより、導
体回路(バイアホール7を含む)5に粗化面を形成する
とともに、導体回路の上面縁部に曲面を形成した(図6
(a)参照)。また、この粗化面に厚さ0.05μaの
Sn層を設けた。但し、Sn層については図示しない。
【0086】(14)上記 (6)〜(13)の工程を繰り返すこと
により、さらに上層の層間樹脂絶縁層と導体回路とを形
成し、多層配線板を得た(図6(b)〜図7(b)参
照)。
【0087】(15)次に、ジエチレングリコールジメチル
エーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように
溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日
本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光
性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重
量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品
名:エピコート1001)6.67重量部、同じくビス
フェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品
名:エピコートE−1001−B80)6.67重量
部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E
4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマー(日本化
薬社製 KAYAMER PM−21)6重量部、アク
リル酸エステル重合物からなるレベリング剤(共栄化学
社製、商品名:ポリフローNo.75)0.36重量部
を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、こ
の混合組成物に対して光重合開始剤としてイルガキュア
I−907(チバガイギー社製)2.0重量部、光増感
剤としてのDETX−S(日本化薬社製)0.2重量
部、DMDG0.6重量部を加えることにより、粘度を
25℃で1.4±0.3Pa・sに調整したソルダーレ
ジスト組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計
(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合は
ローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3
によった。
【0088】(16)次に、多層配線基板の両面に、上記ソ
ルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70
℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行
った後、クロム層によってソルダーレジスト開口部のパ
ターンが描画された厚さ5mmのソーダライムガラス基
板を、クロム層が描画された側をソルダーレジスト層に
密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、D
MTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を形
成した。そして、さらに、80℃で1時間、100℃で
1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で
加熱処理してソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有
し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層14を形
成した。
【0089】(17)次に、ソルダーレジスト層14を形成
した基板を、塩化ニッケル(30g/l)、次亜リン酸
ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(10
g/l)を含むpH=5の無電解ニッケルめっき液に2
0分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき
層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリ
ウム(2g/l)、塩化アンモニウム(75g/l)、
クエン酸ナトリウム(50g/l)、次亜リン酸ナトリ
ウム(10g/l)を含む無電解めっき液に93℃の条
件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚
さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0090】(18)この後、ソルダーレジスト層14の開
口にはんだペーストを印刷して、200℃でリフローす
ることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、
はんだバンプ17を有する多層配線プリント基板を製造
した(図7(c)参照)。
【0091】(比較例1)(13)の工程等において、上層
導体回路5(バイアホール7を含む)に、以下の方法に
より厚さ2μmのCu−Ni−Pからなる多孔質な合金
の粗化層を形成したほかは、実施例1と同様にして多層
プリント配線板を製造した。
【0092】粗化層の形成方法は以下のようである。即
ち、基板をアルカリ脱脂してソフトエッチングし、次い
で、塩化パラジウムと有機酸とからなる触媒溶液で処理
して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した。次
に、硫酸銅(3.2×10-2mol/l)、硫酸ニッケ
ル(2.4×10-3mol/l)、クエン酸(5.2×
10-2mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.7×
10-1 mol/l)、ホウ酸(5.0×10-1 mol
/l)、界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノー
ル465)(1.0g/l)の水溶液からなるpH=9
の無電解めっき浴にて無電解めっきを施し、導体回路の
全表面にCu−Ni−P合金からなる粗化層を形成し
た。 (比較例2)(5) の工程等において、スプレー圧力を
1.4kg/cm2 に調整した。粗化面の深さは3〜4
μmであったが、断面は概ね方形であり、上面縁部が曲
面にはなっていない。 (比較例3)(5) の工程等において、スプレー圧力を
2.6kg/cm2 に調整した。エッチング過剰で断線
が見られた。
【0093】上記実施例1および比較例1、比較例2で
得られたプリント配線板について、−55℃まで冷却し
た後、125℃に加熱するヒートサイクルを1000回
繰り返すヒートサイクル試験を行い、試験後にプリント
配線板をワイヤーソーで切断し、導体回路および層間樹
脂絶縁層の断面を光学顕微鏡で観察した。
【0094】その結果、実施例1で得られたプリント配
線板については、クラックの発生が全く認められなかっ
たが、比較例1、2で得られたプリント配線板では、導
体回路5等の上面縁部を源とするクラックが層間樹脂絶
縁層に生じていたものがあった。
【0095】実施例1で得られたプリント配線板の断面
を示す光学顕微鏡写真を図8に示している。図8に示し
た導体回路の断面より明らかなように、上層導体回路5
を構成する電気めっき膜13の上面縁部が曲面により形
成されているので、この上層導体回路5の構造に起因し
て、導体回路5の上面縁部に応力が集中せず、その結
果、層間樹脂絶縁層2にクラックが発生するのを防止す
ることができたものと考えられる。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように本発明の配線基板に
よれば、導体回路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲
面により構成されているので、これら導体回路の上に樹
脂絶縁層が形成された場合、上記上面縁部の曲面構造に
起因して、温度の変化等が生じた際にも、上記導体層の
上面縁部に応力が集中せず、その結果、上記樹脂絶縁層
にクラックが発生するのを防止することができる。
【0097】また、本発明のプリント配線板によれば、
導体回路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲面により
構成されているので、上記上面縁部の曲面構造に起因し
て、上記導体層の上面縁部の一部の箇所のみに応力が集
中せず、その結果、温度の変化等が生じた際にも、応力
の集中に起因する樹脂絶縁層のクラックの発生を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の一例を模式的に示す断面図
である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の配線基板の製造工
程の一例を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の
製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の
製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明のプリント配線板の
製造工程の一部を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の
製造工程の一部を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明のプリント配線板の
製造工程の一部を示す断面図である。
【図8】実施例1で得られたプリント配線板の断面の構
造および形状を倍率1000倍で示した光学顕微鏡写真
である。
【図9】従来のプリント配線板を模式的に示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2 層間樹脂絶縁層(無電解めっき用接着剤層) 3 めっきレジスト 4 下層導体回路(内層銅パターン) 4a 粗化面 5 上層導体回路 6 バイアホール用開孔 7 バイアホール 8 銅箔 9 スルーホール 9a 粗化面 10 樹脂充填剤 12 無電解めっき膜 13 電気めっき膜 14 ソルダーレジスト層 15 ニッケルめっき層 16 金めっき層 17 はんだバンプ 21 絶縁基板 22 第一の金属膜 23 第二の金属膜 24 樹脂絶縁層 25 エッチングレジスト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 真一郎 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1−1 イビデ ン株式会社内 Fターム(参考) 5E338 AA03 BB13 CC10 CD40 EE31 5E346 AA12 AA42 AA43 CC08 CC09 CC32 DD23 DD44 EE13 FF07 FF09 FF10 FF15 GG06 GG09 GG17 GG18 GG22 HH31

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の金属膜または複数の金属膜の積層
    体からなる導体回路を有する配線基板であって、前記導
    体回路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲面により構
    成されていることを特徴とする配線基板。
  2. 【請求項2】 樹脂基板上に、樹脂絶縁層と導体回路と
    がそれぞれ1層以上形成された構造を有するプリント配
    線板であって、前記導体回路のうち少なくとも一部の上
    面縁部が曲面により構成されていることを特徴とするプ
    リント配線板。
  3. 【請求項3】 樹脂基板上に、導体回路およびそれを被
    覆する樹脂絶縁層が形成されてなり、該樹脂絶縁層には
    バイアホールが形成されてなるプリント配線板におい
    て、前記導体回路のうち少なくとも一部の上面縁部が曲
    面により構成されてなり、その導体回路にバイアホール
    が接続されることを特徴とするプリント配線板。
JP9905099A 1999-04-06 1999-04-06 配線基板およびプリント配線板 Pending JP2000294937A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4884227B2 (ja) * 2004-04-30 2012-02-29 シャープ株式会社 素子配置基板の製造方法
US9059152B2 (en) 2011-10-25 2015-06-16 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Wiring substrate and manufacturing method of the same

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