JP2000290674A - 冷凍機油および冷凍システム - Google Patents

冷凍機油および冷凍システム

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JP2000290674A
JP2000290674A JP9631599A JP9631599A JP2000290674A JP 2000290674 A JP2000290674 A JP 2000290674A JP 9631599 A JP9631599 A JP 9631599A JP 9631599 A JP9631599 A JP 9631599A JP 2000290674 A JP2000290674 A JP 2000290674A
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JP
Japan
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machine oil
oil
ester
refrigerant
refrigerating machine
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JP9631599A
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Akihiro Nozue
章浩 野末
Toshikazu Sakai
寿和 境
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エステル系冷凍機油の加水分解を抑制し、か
つ、潤滑性の向上させ、冷凍システムの長期信頼性が維
持することを目的とする。 【解決手段】 冷凍機油にエステル系合成物を主成分と
し、モノカーボネート化合物を冷凍機油1cm3あたり
2.8×10-6〜2.8×10-4モル量、添加した冷凍
機油を用いることにより、モノカーボネート化合物が潤
滑表面に吸着することで潤滑性の向上を図り、かつ、モ
ノカーボネート化合物が優先して加水分解することでエ
ステル系冷凍機油の加水分解によるカルボン酸の生成を
抑制し、冷凍システム中の閉塞現象を防ぐことで冷凍シ
ステムの長期信頼性が維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫,家庭用エ
アコン等の冷凍システムおよび冷凍システムに用いられ
る圧縮機および冷凍機油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、オゾン層保護の観点より冷凍シス
テムの冷媒の代替化や冷凍システム用圧縮機の高効率化
が進められている。この過程において、従来の塩素を含
有する冷媒から塩素を含有しないハイドロフルオロカー
ボン系代替冷媒に変更するに当たり、冷媒との相溶性を
確保したエステル等の極性の強い基油を主成分とする冷
凍機油が使用されている。
【0003】しかし、エステル系合成油は、加水分解に
よりカルボン酸を発生させるため、カルボン酸による金
属の腐蝕摩耗あるいは銅メッキ現象が起こるという弱点
があるため、圧縮機の水分管理や温度管理に注意する必
要がある。
【0004】この課題に対し、カルボン酸金属塩の生成
を抑制するために、酸捕捉剤としてエポキシ化合物やカ
ルボジイミド化合物を配合することが提案されている
(例えば、特開平9−189453号公報)。
【0005】以下図面を参照しながら従来のエポキシ系
酸捕捉剤を添加した冷凍機油を用いた冷凍システムの一
例について説明する。
【0006】図3は冷媒としてハイドロフルオロカーボ
ン系冷媒HFC−134aを用いた従来の冷凍システム
の回路図である。図3において、1は圧縮機,2は凝縮
器,3はキャピラリチューブからなる減圧装置,4は蒸
発器,5は酸捕捉剤としてエポキシ化合物を添加したエ
ステル系冷凍機油である。圧縮機1にて圧縮された冷媒
ガスが凝縮器2にて放熱しながら液化し、減圧装置3に
て減圧された液冷媒が蒸発器4にて吸熱しながら蒸発
し、気化された冷媒ガスが圧縮機1に環流する。
【0007】エステル系冷凍機油5は圧縮機1の摺動部
の潤滑と各部のシールを確保する。エポキシ系酸捕捉剤
は、システム内の水分あるいはエステル系冷凍機油5が
加水分解して生成するカルボン酸と反応することで金属
の腐食摩耗や銅メッキ現象を抑制する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エポキ
シ系酸捕捉剤は、その反応生成物の作動媒体への溶解性
が十分ではなく、キャピラリチューブを閉塞するおそれ
がある。
【0009】また、エステル系冷凍機油の潤滑性を向上
させるために、リン系の極圧剤等を添加するが、リン系
添加剤と鉄との反応生成物も同様に、作動媒体への溶解
性が十分ではなく、キャピラリチューブを閉塞するおそ
れがあり、冷凍システム機器の長期信頼性の観点で必ず
しも十分とは言えなかった。
【0010】そこで、加水分解反応によるカルボン酸の
生成を抑制することで金属の腐食摩耗や銅メッキ現象を
防止し、また、反応生成物の作動冷体への溶解性を確保
してキャピラリチューブの閉塞現象を防止し、かつ、潤
滑性を向上したエステル系冷凍機油が望まれている。
【0011】本発明は、ハイドロフルオロカーボン系冷
媒を冷媒とする冷凍システムに用いられるエステル系冷
凍機油が、加水分解反応によるカルボン酸の生成を抑制
することで金属の腐食摩耗や銅メッキ現象を防止し、ま
た、反応生成物の作動媒体への溶解性を確保してキャピ
ラリチューブの閉塞現象を防止し、かつ、潤滑性を向上
したエステル系冷凍機油を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで本発明の冷凍機油
は、エステル系合成物を主成分とし、(化1)で表され
るモノカーボネート化合物を冷凍機油1cm3あたり
2.8×10-6〜2.8×10-4モル量を添加したもの
である。
【0013】この発明によれば、冷凍システム中におい
て冷凍機油中のモノカーボネート化合物が、エステル系
合成油よりも優先的に(化2)に示す加水分解反応を起
こすことでカルボン酸の生成を抑制し、極性が高いモノ
カーボネート化合物が摺動表面に吸着することで、他の
極圧剤や油性剤を添加することなくエステル系合成油の
潤滑性を向上させ、かつ、これらの反応生成物は作動流
体中に溶解するため、キャピラリチューブの閉塞現象を
防止し、冷凍システムの長期信頼性を維持する。
【0014】
【化2】
【0015】上記(化2)において、R1およびR2は同
一であっても又は異なっていても良く、炭素数3〜10
の炭化水素鎖である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、ハイドロフルオロカーボン系冷媒を冷媒とする冷凍
システムに用いられる冷凍機油であって、エステル系合
成油を主成分とし、(化1)で表されるモノカーボネー
ト化合物を冷凍機油1cm3あたり2.8×10-6
2.8×10-4モル量を添加したことを特徴とする冷凍
機油であって、モノカーボネート化合物がエステル系合
成油よりも優先的に(化2)に示す加水分解反応を起こ
すことでカルボン酸の生成を抑制するとともに、摺動表
面に吸着することで、極圧剤や油性向上剤を添加するこ
となくエステル系合成油の潤滑性を向上させる。
【0017】なお、カーボネート化合物は、ポリカーボ
ネート化合物だと、ポリカーボネート化合物のモル量に
対し、分子内のカーボネート結合数の倍数分、二酸化炭
素が発生し、冷媒流量低下による性能低下が大きくなる
ため、好ましくない。カーボネート化合物をモノカーボ
ネート化合物にすることで、二酸化炭素の発生量を最大
でも、モノカーボネート化合物と等モル量に抑え、冷媒
流量低下による性能低下の影響をできるだけ小さくし、
カルボン酸の生成を抑制するとともに、潤滑性を向上さ
せることができる。
【0018】また、モノカーボネート化合物は冷凍機油
1cm3あたり2.8×10-6モル量以下ではカルボン
酸生成の抑制および潤滑性の確保が難しく、2.8×1
-4モル量以上では、発生する二酸化炭素が増加し、冷
媒流量が著しく低下し、著しく性能が低下するため好ま
しくない。
【0019】また、モノカーボネート化合物はアルコー
ル系油性剤などと比べて、極性が強く、摺動表面に非常
に吸着しやすいため、油性剤として働き潤滑性を向上さ
せる。また、極圧剤であるリン系添加剤と比べると、リ
ン系添加剤が摺動表面の鉄と反応してリン酸鉄を生成
し、このリン酸鉄がキャピラリチューブを閉塞する恐れ
があるのに対し、モノカーボネート化合物は、(化2)
中のR1−OHやR2−OHは炭素数が3〜10のアルコ
ールであるため、作動流体に溶解し、反応生成物による
閉塞現象を起こさず、冷凍システムの長期信頼性が維持
できる。
【0020】本発明の請求項2に記載の発明は、ハイド
ロフルオロカーボン系冷媒を圧縮する圧縮機であって、
エステル系合成油を主成分とし、(化1)で表されるモ
ノカーボネート化合物を冷凍機油1cm3あたり2.8
×10-6〜2.8×10-4モル量、望ましくは前記圧縮
機内に残存する水分量の1〜1.5倍のモル量を添加し
た冷凍機油を用いることを特徴とする圧縮機であって、
モノカーボネート化合物が、エステル系合成油よりも優
先的に(化2)に示す加水分解反応を起こすことでカル
ボン酸の生成を抑制するとともに、摺動表面に吸着する
ことで、極圧剤や油性向上剤を添加することなくエステ
ル系合成油の潤滑性を向上させる。
【0021】また、モノカーボネート化合物はアルコー
ル系油性剤などと比べて、極性が強く、摺動表面に非常
に吸着しやすいため、油性剤として働き潤滑剤を向上さ
せる。また、極圧剤であるリン系添加剤と比べると、リ
ン系添加剤が摺動表面の鉄と反応してリン酸鉄を生成
し、このリン酸鉄がキャピラリチューブを閉塞する恐れ
があるのに対し、モノカーボネート化合物は、(化2)
中のR1−OHやR2−OHは炭素数が3〜10のアルコ
ールであるため、作動流体に溶解し、反応生成物による
閉塞現象を起こさず、冷凍システムの長期信頼性が維持
できる。
【0022】また、モノカーボネート化合物の添加量を
圧縮機内に残存する水分量の1〜1.5倍のモル量にす
ることで、エステル系合成油の加水分解を抑制し、か
つ、過剰なモノカーボネート化合物をなくすことで二酸
化炭素の発生量を最小限に抑え、冷媒循環量低下による
性能低下を著しく小さくする作用を有する。
【0023】本発明の請求項3に記載の発明は、少なく
とも圧縮機と、凝縮器と、乾燥器と、膨張機構と、蒸発
器とを環状に接続して構成される冷凍システムであっ
て、前記圧縮機は、冷媒にハイドロフルオロカーボン系
冷媒用い、エステル系合成油を主成分とし、(化1)で
表されるモノカーボネート化合物を冷凍機油1cm3
たり2.8×10-6〜2.8×10-4モル量を添加した
冷凍機油を用い、前記乾燥器内に乾燥剤として、25℃
の二酸化炭素分圧250mmHgにおける二酸化炭素吸
着容量が、前記モノカーボネート化合物添加量の1〜
1.5倍のモル量であるケイ酸,アルミン酸アルカリ金
属複合塩よりなる合成ゼオライトを充墳していることを
特徴とする冷凍システムであって、モノカーボネート化
合物が、エステル系合成油よりも優先的に(化2)に示
す加水分解反応を起こすことでカルボン酸の生成を抑制
するとともに、摺動表面に吸着することで、極圧剤や油
性向上剤を添加することなくエステル系合成油の潤滑性
を向上させる。
【0024】また、モノカーボネート化合物はアルコー
ル系油性剤などと比べて、極性が強く、摺動表面に非常
に吸着しやすいため、油性剤として働き潤滑剤を向上さ
せる。また、極圧剤であるリン系添加剤と比べると、リ
ン系添加剤が摺動表面の鉄と反応してリン酸鉄を生成
し、このリン酸鉄がキャピラリチューブを閉塞する恐れ
があるのに対し、モノカーボネート化合物は、(化2)
中のR1−OHやR2−OHは炭素数が3〜10のアルコ
ールであるため、作動流体に溶解し、反応生成物による
閉塞現象を起こさず、冷凍システムの長期信頼性が維持
できる。
【0025】また、モノカーボネート化合物が加水分解
や熱分解することで発生する二酸化炭素を乾燥器内の乾
燥剤で吸着することで、冷媒循環量低下による性能低下
を防止する作用を有する。ただし、乾燥剤の二酸化炭素
吸着容量が多くなればハイドロフルオロカーボンの吸着
容量も多くなり、合成ゼオライトと反応して冷媒の分解
を招くため、二酸化炭素吸着容量はモノカーボネート化
合物の1〜1.5倍のモル量にするのが好ましい。
【0026】以下、本発明の実施の形態について、図面
を参照しながら説明する。
【0027】(実施の形態1)エステル系冷凍機油に、
(化3)で表されるモノカーボネート化合物を冷凍機油
1cm3あたり1.0×10-4モル量を配合して調整し
た冷凍機油の加水分解安定性をシールドチューブ試験で
評価した。すなわち、上記エステル系冷凍機油の初期水
分量が冷凍機油1cm3あたり約5.5×10-5モル
量、初期全酸価が0.01mgKOH/g以下に調整し
たものを2g、HFC−134aを2g、金属触媒とし
て鉄,銅,アルミニウムのワイヤを所定のガラスチュー
ブに封管した。そして、このシールドチューブを200
℃の恒温炉で5日間加熱した後、チューブを開放し、H
FC−134aを除去した後、全酸価を調べたところ、
0.02mgKOH/gと非常に良好な結果を得た。ま
た、加熱後、油中に析出物は見られなかった。
【0028】
【化3】
【0029】上記(化3)において、R1およびR2は同
一であっても又は異なっていても良く、炭素数3〜10
の炭化水素鎖である。
【0030】それに対し、モノカーボネート化合物を配
合しなかったエステル系冷凍機油を、上記同条件でシー
ルドチューブ試験を行ったところ、0.13mgKOH
/gまで全酸価が上昇していた。
【0031】以上のように、実施の形態1では、エステ
ル系冷凍機油にモノカーボネート化合物を配合すること
で、エステル系冷凍機油の加水分解反応を防ぎ、全酸価
の上昇を抑制した。また、冷媒および油中に析出物は見
られず、キャピラリチューブの閉塞現象を起こさないた
め、冷凍システムの長期信頼性が維持できる。
【0032】(実施の形態2)図1は、冷媒としてハイ
ドロフルオロカーボン系冷媒であるHFC−134aを
用いた圧縮機の縦断面図である。
【0033】図1に示す圧縮機では、密閉容器6内に弾
性支持された電動要素7と圧縮要素8を備え、前記電動
要素7の回転力を伝動する、前記圧縮要素8のクランク
軸9,コンロッド10,ピストン11を有している。1
2はシリンダーヘッドで、前記シリンダーヘッド12に
はオイルキャピラリーチューブ20がプラグ22を介し
て圧入固定されており、前記オイルキャピラリーチュー
ブ20の一方の端部は(化4)で表されるモノカーボネ
ート化合物を配合したエステル系冷凍機油21の油面下
に、他端は前記シリンダーヘッド12の吸入室13に開
口している。
【0034】
【化4】
【0035】上記(化4)において、R1およびR2は同
一であっても又は異なっていても良く、炭素数3〜10
の炭化水素鎖である。
【0036】以上のように構成された圧縮機について以
下その動作について説明する。前記電動要素7の回転力
を前記クランク軸9,コンロッド10を介し前記ピスト
ン11を往復運動せしめてHFC−134aガスを吸
入,圧縮させる。このとき前記クランク軸9が回転する
とき給油管23からクランク溝24を通って、各摺動部
に前記エステル系冷凍機油21が供給される。HFC−
134aガスは前記シリンダーヘッド12の吸入室13
からバルブプレート15の吸入孔16を通ってシリンダ
ー18のシリンダー室19に導かれ圧縮される。圧縮さ
れたHFC−134aガスは高温で、前記バルブプレー
ト15の吐出孔17を通って前記シリンダーヘッド12
の吐出室14に送り込まれる。以上のようなHFCガス
の流れによって前記吸入室13での圧力が前記密閉容器
6内の雰囲気圧力より低下し、前記シリンダーヘッド1
2に固着されたオイルキャピラリーチューブ20により
適量の前記エステル系冷凍機油21を前記吸入室13に
送り込み、最終的に前記シリンダー室19に前記エステ
ル系冷凍機油21を送り込むこととなり、前記エステル
系冷凍機油21が蒸発することによって吐出ガス温度を
低減し、かつシール性を向上させている。
【0037】このとき、圧縮機内の残留水分量は約30
mg(1.6×10-3モル量)であり、モノカーボネー
ト化合物を冷凍機油1cm3あたり7.0×10-6モル
量を配合したエステル系冷凍機油を300cm3(モノ
カーボネート化合物の総量2.1×10-3モル量)封入
することで、モノカーボネート化合物が圧縮機内の残留
水分と反応し、エステル系冷凍機油の加水分解が抑制さ
れ、金属の腐食摩耗や銅メッキ現象を抑制する。また、
摺動表面に、モノカーボネート化合物が吸着するため、
潤滑剤が向上する。
【0038】また、モノカーボネートの加水分解生成物
はアルコールと二酸化炭素であり、アルコールは作動流
体に溶解するため、スラッジとしてキャピラリチューブ
内に析出することはない。また、二酸化炭素もモノカー
ボネート化合物が全て分解しても最大0.1g(25
℃、760mmHgで50cm3)程度しか発生せず、
冷媒循環量の低下による性能低下を最小限にした。
【0039】以上のように、実施の形態2では、エステ
ル系冷凍機油にモノカーボネート化合物を配合すること
で、エステル系冷凍機油の加水分解反応を防ぎ、全酸価
の上昇を抑制できる。また、モノカーボネートの加水分
解生成物も、作動流体中に溶解するため、スラッジの析
出を起こさず、また、二酸化炭素の発生量を最小限に抑
えることで、冷媒循環量の低下による性能低下を小さく
し、冷凍システムの長期信頼性が維持できる。
【0040】なお、実施の形態2ではモノカーボネート
化合物を圧縮機内に残存する水分量の1.3倍のモル量
添加したが、1〜1.5倍の範囲内であれば、同様の効
果が得られる。
【0041】(実施の形態3)図2は冷媒としてハイド
ロフルオロカーボン系冷媒HFC−134aを用いた冷
凍システムの回路図である。図2において、25は圧縮
機,2は凝縮器,3はキャピラリチューブからなる減圧
装置,4は蒸発器,26は(化5)で表されるモノカー
ボネート化合物を配合したエステル系冷凍機油、27は
乾燥器である。
【0042】
【化5】
【0043】上記(化5)において、R1およびR2は同
一であっても又は異なっていても良く、炭素数3〜10
の炭化水素鎖である。
【0044】次に動作について説明する。圧縮機25に
て圧縮された冷媒ガスが凝縮器2にて放熱しながら液化
し、乾燥器27で液冷媒中の水分および二酸化炭素を吸
着し、減圧装置3にて減圧された液冷媒が蒸発器4にて
吸熱しながら蒸発し、気化された冷媒ガスが圧縮機1に
環流する。エステル系冷凍機油26は圧縮機25の摺動
部の潤滑と各部のシールを確保する。
【0045】このとき、圧縮機内に残留する水分量は約
30mg(1.6×10-3モル量)であり、モノカーボ
ネート化合物を冷凍機油1cm3あたり7.0×10-6
モル量を配合したエステル系冷凍機油を300cm
3(モノカーボネート化合物の総量2.1×10-3モル
量)、乾燥器内の乾燥剤としてユニオン昭和(株)製の
商品名モレキュラーシーブスXH−7を8g封入するこ
とで、モノカーボネート化合物が残留水分と反応しエス
テル系冷凍機油の加水分解を抑制し、金属の腐食摩耗や
銅メッキ現象を抑制する。
【0046】また、モノカーボネートの加水分解生成物
はアルコールと二酸化炭素であり、アルコールは作動流
体に溶解するため、スラッジとしてキャピラリチューブ
内に析出することはない。また、モノカーボネート化合
物全てが二酸化炭素に分解しても最大0.1g程度で、
モレキュラーシーブスXH−7の二酸化炭素吸着容量が
0.12g(モレキュラーシーブスXH−7の1.5
%)であることから、二酸化炭素はモレキュラーシーブ
スXH−7にほとんど吸着し、冷媒循環量低下による性
能低下は起こらない。
【0047】以上のように、実施の形態3では、エステ
ル系冷凍機油にモノカーボネート化合物を配合すること
で、エステル系冷凍機油の加水分解反応を防ぎ、全酸価
の上昇を抑制できる。また、モノカーボネート化合物の
加水分解生成物も、作動流体中に溶解するため、スラッ
ジの析出を起こさず、また、二酸化炭素も乾燥剤が吸着
することで、性能低下は起こらず、冷凍システムの長期
信頼性が維持できる。
【0048】なお、実施の形態3ではモノカーボネート
化合物を冷凍機油1cm3あたり7.0×10-6モル量
を配合したエステル系冷凍機油を用いたが、冷凍機油1
cm 3あたり2.8×10-6〜2.8×10-4モル量で
あれば、エステル系冷凍機油の加水分解を抑制でき、同
様の効果が期待できる。
【0049】また、実施の形態3ではモレキュラーシー
ブスの二酸化炭素吸着容量は、モノカーボネート化合物
の1.2倍であったが、1〜1.5倍の範囲であれば同
様の効果が得られる。
【0050】また、実施の形態3では乾燥剤としてモレ
キュラーシーブスXH−7を用いたが、Refrige
ration Service & Contract
ing 65,12,P22−25,(1997)にあ
るように、モレキュラーシーブス4AXH−6もHFC
−134aとCompatibleであり、使用しても
かまわない。
【0051】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、冷凍シ
ステム中において冷凍機油中のモノカーボネート化合物
が、摺動表面に吸着することで潤滑性を向上し、かつ、
モノカーボネート化合物がエステル系合成油よりも優先
的に加水分解反応を起こすことでカルボン酸の生成を抑
制する。また、モノカーボネート化合物の加水分解生成
物は作動流体に溶解性のあるアルコールであり、反応生
成物による閉塞現象を引き起こさない。また、二酸化炭
素生成量も少量のため、冷媒循環量の著しい低下を起こ
さず、冷凍システムの長期信頼性が維持できるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態2を示す圧縮機の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態3を示す冷凍システムの回
路図
【図3】従来の冷凍システムの回路図
【符号の説明】
2 凝縮器 3 減圧装置 4 蒸発器 25 圧縮機 26 エステル系冷凍機油 27 乾燥器
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 30:00 40:30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハイドロフルオロカーボン系冷媒を冷媒
    とする冷凍システムに用いられる冷凍機油であって、エ
    ステル系合成油を主成分とし、(化1)で表されるモノ
    カーボネート化合物を冷凍機油1cm3あたり2.8×
    10-6〜2.8×10-4モル量を添加したことを特徴と
    する冷凍機油。 【化1】 上記(化1)において、R1およびR2は同一であっても
    又は異なっていても良く、炭素数3〜10の炭化水素鎖
    である。
  2. 【請求項2】 ハイドロフルオロカーボン系冷媒を圧縮
    する圧縮機であって、エステル系合成油を主成分とし、
    (化1)で表されるモノカーボネート化合物を冷凍機油
    1cm3あたり2.8×10-6〜2.8×10-4モル
    量、望ましくは前記圧縮機内に残存する水分量の1〜
    1.5倍のモル量を添加した冷凍機油を用いることを特
    徴とする圧縮機。
  3. 【請求項3】 少なくとも圧縮機と、凝縮器と、乾燥器
    と、膨張機構と、蒸発器とを環状に接続して構成される
    冷凍システムであって、前記圧縮機は、冷媒にハイドロ
    フルオロカーボン系冷媒用い、エステル系合成油を主成
    分とし、(化1)で表されるモノカーボネート化合物を
    冷凍機油1cm3あたり2.8×10-6〜2.8×10
    -4モル量を添加した冷凍機油を用い、前記乾燥器内に乾
    燥剤として、25℃の二酸化炭素分圧250mmHgに
    おける二酸化炭素吸着容量が、前記モノカーボネート化
    合物添加量の1〜1.5倍のモル量であるケイ酸,アル
    ミン酸アルカリ金属複合塩よりなる合成ゼオライトを充
    墳していることを特徴とする冷凍システム。
JP9631599A 1999-04-02 1999-04-02 冷凍機油および冷凍システム Pending JP2000290674A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009298927A (ja) * 2008-06-13 2009-12-24 Mitsubishi Electric Corp 冷凍機油、圧縮機及び冷凍サイクル装置
KR101018379B1 (ko) 2009-06-19 2011-03-03 주식회사 영원신소재 작동유체의 온도차를 이용한 밀폐식 외연기관 및 그 출력방법
JP2014228255A (ja) * 2013-05-27 2014-12-08 三菱電機株式会社 ロータリー圧縮機

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KR101018379B1 (ko) 2009-06-19 2011-03-03 주식회사 영원신소재 작동유체의 온도차를 이용한 밀폐식 외연기관 및 그 출력방법
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