JP2000290566A - 表示インク - Google Patents

表示インク

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JP2000290566A JP2000026043A JP2000026043A JP2000290566A JP 2000290566 A JP2000290566 A JP 2000290566A JP 2000026043 A JP2000026043 A JP 2000026043A JP 2000026043 A JP2000026043 A JP 2000026043A JP 2000290566 A JP2000290566 A JP 2000290566A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単一の成分組成を有しながら少なくともコン
トラストまたは白色度に優れた2種の着色が可能な表示
インク及び該インクを用いた表示媒体を提供するととも
に、該表示インクを用いた印刷方法及び該印刷方法によ
り得られる印刷物を提供する。 【解決手段】 染料Aと、顔料Bと、該染料Aを実質的
に溶解させる溶媒Xと、該染料Aを実質的には溶解させ
ない溶媒Yとからなり、該溶媒Xと該溶媒Yとは相互に
完全混和しないことを特徴とする表示インク。前記表示
インクを、その少なくとも一方が透明板である2つの平
板間に介在させた構造を有することを特徴とする表示媒
体。前記表示インクを、被印刷物に付着させた後、イン
ク中の溶媒を除去することを特徴とする印刷方法及び該
方法によって得られる印刷物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染料と顔料を含有
する表示インク及びこの表示インクを密閉空間に保持し
た表示媒体に関する。また、本発明は、上記の表示イン
クを用いる印刷方法及び該印刷方法により得られた被印
刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】電界の作用により可逆的に視認状態を変
化させうる表示媒体に用いられる表示要素としては、液
晶、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子、磁気泳
動素子等が知られている。それらを用いた表示媒体の多
くは、一対の電極基板とその間に挿入された表示要素か
らなり、該表示媒体には各電極に画像を表示するための
信号を印加する駆動回路が接続されている。
【0003】これらの表示媒体のうち、電気泳動表示媒
体には、液状媒体に対して染料を溶解させかつ顔料粒子
を非溶解状で分散させた表示インク、または2種の顔料
粒子を分散させた表示インクが用いられる。これらの表
示媒体としては、特公昭50−1519号公報またはU
SP3,668,106号明細書に記載させている。し
かしながら、上記の染料を用いた表示媒体の場合には、
古くは、D.W.Vace,Proc.SID,vol
18/3&4,p267,1977またはJ.Jaco
bson,Nature,vol.394/16,p2
52,1998に示されるように、紙への印刷が困難で
ある上、電子写真等に近づいたコントラストおよび反射
率の獲得が困難である。これは、顔料粒子表面に吸着さ
れた染料や顔料粒子間に存在する染料溶液が純粋な顔料
粒子に固有の着色をさまたげ、その顔料の色に染料の色
が加色されることによるためである。また、上記の2種
の顔料粒子を用いた表示媒体の場合には、そのコントラ
ストは容易に向上できるが、2種の異なる電荷の粒子は
分散安定性に欠けるため、電気泳動時の応答速度が低下
するという問題が生じる。さらには、2種の粒子同士の
凝集による混色によりコントラストの低下が生じるとい
う問題もある。
【0004】また、この電気泳動表示媒体に類似した分
極した粒子を含む液体を用いた表示媒体としては、特公
昭54−15217号、特公昭57−25811号各公
報等に記載されている。しかしながら、これらのものも
コントラストは比較的よいものの、実際の長期安定性、
応答速度、表示ムラ等に問題がある。
【0005】一方、磁界の作用により可逆的に視認状態
を変化させる磁気泳動表示媒体としては、液状媒体に対
して磁性粒子と隠蔽粒子である着色顔料粒子を分散させ
たものを密閉空間に保持しかつこれに磁石により磁界を
作用させることにより磁性粒子を磁気泳動させ可逆的な
表示を可能としたものがあり、子供用玩具や黒板等に用
いられている。この磁気泳動表示媒体は、特公昭51−
10959号、特公昭57−27463号の各公報等に
記載されている。しかしながら、この磁気泳動表示媒体
は、前記の電気泳動性の2種の顔料粒子を用いる表示媒
体の場合と同様に、2種の粒子同士の凝集による混色が
生じてコントラストが低下しやすいという問題を含む。
このため、磁性粒子にかえて磁性流体を使用する表示媒
体が、特開昭51−93827号公報に記載されている
が、この表示媒体の場合、長期的にはこの磁性流体の不
安定さに起因するコントラストの低下が指摘されてい
る。
【0006】上記の磁性粒子あるいは磁性流体を用いた
表示媒体を改良する手段として、特開平10−1160
38号公報には、2種の異なる相分離する分散媒のそれ
ぞれに色の異なる着色顔料粒子を分散してなる表示イン
クが記載されている。これは、着色粒子と隠蔽粒子とを
完全に分離することにより、コントラストを改善しよう
とするものであり、このためにそれぞれの分散媒に色の
異なる着色粒子が分散しており、分散媒同士が互いに二
相分離する物性を有し、かつそれぞれの分散媒に分散す
る着色粒子は各分散媒に対して高い親和性を有すること
を特徴としている。しかしながら、上記表示インクは、
2種の着色を顔料粒子で表示しているため、可逆表示を
おこなった場合には、その位置を入れ替える2種の粒子
間での物理的な衝突が生じやすい。このため、この衝突
による2種の粒子間で凝集が起り、これが応答速度を低
下させると同時に、混色を生じさせてコントラストも低
下させる。とくに、2種の顔料を電気泳動させた場合に
は、その衝突による顔料の特性劣化は非常に大きくな
る。また、2種の顔料粒子の凝集により液体中の顔料粒
子濃度が大きくなるので液状媒体の分散液としての粘性
が増大し、これもまた応答速度を低下させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、単一の成分
組成を有しながら少なくともコントラストまたは白色度
に優れた2種の着色が可能な表示インク及び該インクを
用いた表示媒体を提供するとともに、該表示インクを用
いた印刷方法及び該印刷方法により得られる印刷物を提
供することをその課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、染料Aと、顔料B
と、該染料Aを実質的に溶解させる溶媒Xと、該染料A
を実質的には溶解させない溶媒Yとからなり、該溶媒X
と該溶媒Yとは相互に完全混和しないことを特徴とする
表示インクが提供される。また、本発明によれば、前記
表示インクを、その少なくとも一方が透明板である2つ
の平板間に介在させた構造を有することを特徴とする表
示媒体が提供される。さらに、本発明によれば、前記表
示インクを、被印刷物に付着させた後、インク中の溶媒
を除去することを特徴とする印刷方法及び該方法によっ
て得られる印刷物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の表示インクは、単一の成
分組成でありながら、少なくとも2種の色に着色させる
ことができる。図1に本発明の表示インクを用いた表示
媒体の原理説明図を示す。図1において、X(A)は染
料Aを溶媒Xに溶解させた溶液を示す。斜線は染料Aが
溶解していることを示す。Yは染料Aを実質的に溶解さ
せない溶媒Yを示す。溶液X(A)と溶媒Yとは相分離
しており、溶液X(A)が下層を形成し、溶媒Yが上層
を形成する。Bは顔料Bを示す。4は密閉容器であり、
5はこの容器の上部にある透明な天窓であり、6はこの
天窓から目視観察する人の眼を示しており、8は磁石で
ある。
【0010】図1(a)は、2相に分離する2種の溶媒
Xと溶媒Yとからなる液状媒体に、染料Aと顔料Bを添
加し、撹拌、超音波振動により染料Aを溶解し顔料Bを
分散せしめた表示インクを、密閉容器4に充填した状態
を示す図である。このとき2相に分離する2種溶媒のう
ちの溶媒Xとして油性混合液体を用い、溶媒Yとして水
を用いた。油性混合液体Xにはテトラクロルエチレン3
重量部とn−ヘキサン7重量部を混合したもので比重を
水よりも大きくしてあるものを用い、水及び油性混合液
体とも約2.5ml用いた。また、染料Aには青色のア
ントラキノン系油性染料(Bayer社製、Macro
lex BlueRR)を用いており、その油性混合液
体X中の濃度は約1.0wt%とした。顔料Bとしては
黒色の鉄粉(和光純薬社製)を用い、その溶媒XとYか
らなる液状媒体中濃度は10wt%とした。
【0011】この表示インクは、上部が透明な密閉容器
4に封入され、この透明な密閉容器の上部から目視でそ
の状態を観測することができる。表示インクの密閉容器
への封入直後においては、表示インクは図1(a)の状
態にある。すなわち、染料Aが油性混合液体(溶媒X)
に溶解し、この染料溶液X(A)と水(溶媒Y)とは直
ちに相分離しているが、これらの溶液X(A)中および
溶媒Y(水)中には鉄粉(顔料B)が分散している状態
にある。このとき、天窓5を通して水に分散した黒色の
鉄粉と背景の青色染料により、青をおびた黒色が認識さ
れる。
【0012】10分以上経過後は、表示インクは図1
(b)の状態になる。即ち、容器の下部に鉄粉Bがほぼ
沈降している状態になる。このとき、下層の溶媒Xに溶
解した青色染料Aにより、鉄粉Bは見えず、染料Aの青
色のみが認識される。
【0013】この図1(b)の状態において、強力な磁
石を容器側面に密着させた後、該磁石を容器の上部に少
し離して設置したときに生じる状態を図1(c)に示
す。容器上部に鉄粉Bが付着した状態になり、鉄粉の黒
色が観察され、青色はわずかにしか視認されない。この
若干の青色は、顔料B(鉄粉)に若干に付着した染料溶
液X(A)、または顔料Bに物理吸着した染料Aによる
と考えられる。
【0014】次に、磁石を容器側面に再び密着させた
後、容器の下部に少し離して設置すると、図1(b)と
ほぼ同様の状態すなわち容器下部に鉄粉Bが付着した状
態になり、天窓5を通しては再び鉄粉は見えず、染料A
の青色のみが認識される。本発明の表示インクにおいて
は、図1(b)と図1(c)の状態において、染料Aと
顔料Bとが2相分離液体X、Yにより分離されているた
めに、顔料Bの隠蔽力が十分であるならば、これらの着
色の混色を大いに減少させることができ、その表示品質
を大いに向上させることができる。
【0015】これに対して、従来例の表示媒体の原理説
明図を図11に基づいて以下に説明する。図11におい
て、9は染料を溶解しかつ顔料粒子を分散した溶媒から
なる表示インクであり、斜線は染料が溶解していること
を示す。10は顔料粒子である。
【0016】図11(a)は、1種類の溶媒に染料と顔
料を添加し、撹拌、超音波振動により染料を溶解し顔料
粒子を分散せしめた表示インクを、容器4に充填した状
態図を示す。このとき、溶媒としては図1の説明におい
て使用したのと同じ油性混合液体を約5ml用いた。ま
た、染料には青色のアントラキノン系油性染料を用いて
おり、その濃度は約0.5wt%とし、顔料10として
は黒色の鉄粉を用い、その濃度は5wt%である。この
表示インクは、上部が透明な密閉容器4に封入され、こ
の透明な密閉容器の上部から目視でその状態を観測する
ことができる。表示インクの密閉容器への封入直後にお
いては、表示インクは図11(a)の状態にあり、鉄粉
10が分散している状態になる。このとき、分散した黒
色の鉄粉10と背景の青色染料により、黒みをおびた青
色が認識される。図中、9は染料が溶解している溶媒を
示す。
【0017】10分以上経過後は、表示インクは図11
(b)の状態になり、容器の下部に鉄粉10がほぼ沈降
している状態になる。このとき、溶媒に溶解した青色染
料により、鉄粉は見えず、染料の青色のみが認識され
る。
【0018】この図11(b)の状態において、強力な
磁石を容器側面に密着させた後、容器の上部に少し離し
て設置したときに生じる状態を図11(c)に示す。容
器上部に鉄粉が付着した状態になり、染料によりかなり
青みをおびた鉄粉の黒色が観察される。
【0019】次に、磁石を容器側面に再び密着させた
後、容器の下部に少し離して設置すると、図11(b)
とほぼ同様の状態すなわち容器下部に鉄粉が付着した状
態になり、再び鉄粉は見えず、染料の青色のみが認識さ
れる。
【0020】この図11(c)の状態においては、鉄粉
粒子の隙間には溶媒に溶解した染料が多量に存在し、ま
た鉄粉表面自体にも染料が物理吸着しているため、鉄粉
の黒色だけで黒色を観察することは難しい。この染料の
影響を減少させるためには、染料濃度を小さくすること
により、主に鉄粉粒子の隙間の染料を減少させることが
できる。しかしながら、D.W.Vace,Proc.
SID,vol.18/3&4,p267,1977に
も示される様に、ランバートベールの法則に従い、染料
濃度を小さくしてかつ着色力を保持しようとすると、鉄
粉粒子層の厚さを100μm以上と大きくしなければな
らず、これでは高解像度、高応答速度、薄型軽量の表示
媒体を得ることが困難となる。
【0021】これに対して、本発明では、図1に示した
ように、顔料粒子Bを染料Aを溶解し難い溶媒Y中に存
在させた状態で顔料粒子Bの色調を得ているので、上記
の従来の顔料粒子への染料の混色の問題を解消すること
ができる。さらには、2色の顔料粒子を用いていないた
め、顔料粒子同士の衝突や顔料の凝集はなく、その凝集
の結果として生じる混色や応答速度の減少といった問題
を生じることもない。
【0022】本発明の表示インクに用いられる2相以上
に分離する溶媒Xと溶媒Yの組み合せとしては、極性溶
媒と非極性溶媒との組み合せ、極性溶媒同志の組み合
せ、非極性溶媒同志の組合せ等がある。これらの溶媒の
組み合せは、使用する染料の種類により適宜決定され
る。本発明で用いる溶媒X及び溶媒Yは、いずれも、単
一溶媒である必要はなく、複数の溶媒からなる混合溶媒
であることができる。これらの溶媒Xと溶媒Yは、それ
らの溶媒が完全混合せずに2相に相分離するように組み
合せる。
【0023】ここでいう2相に分離する溶媒X、Yの組
み合せとは、お互い相溶性が小さく、室温において所定
の混合比で溶媒Xと溶媒Yを混合した場合に、相溶しな
い部分が必ず存在する2種の溶媒X、Yの組み合せであ
る。たとえば、水とベンゼンの組み合せであるが、ベン
ゼンに対して50ppmの水を組み合せた場合では、水
がベンゼンにほとんど溶解するために2相分離可能な組
み合せとはならない。ところが、ベンゼンに対して1w
t%の水は、ベンゼンに溶解しきれない水が相分離する
ため、本発明でいう2相分離する溶媒の組み合せとな
る。
【0024】本発明では、溶媒X及び/又はYは極性溶
媒であることができる。極性溶媒としては、極性基を有
し、常温で液状を示すものであれば、任意のものを用い
ることができる。この場合、極性基には、水酸基、エー
テル基、ハロゲン基、ケトン基、エステル基、カーボネ
ート基、カルボン酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホン
基、ホスホン基、スルホン酸基、アミド基等が包含され
る。水酸基を有する極性溶媒としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等
が挙げられる。エーテル基を有する極性溶媒としては、
ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタ
ン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−
ジオキソラン等が挙げられる。カーボネート基を有する
極性溶媒としては、ジメチルカーボネート、メチルエチ
ルカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられ
る。ハロゲン基としてフッ素基を有するフッ素化合物の
場合には、フッ素基の有する位置、数により置換前の極
性が必ずしも保持されるわけではなく、場合によって非
極性的な挙動を示すこともあるので注意する必要があ
る。極性溶媒の具体例としては、前記のものの他、γ−
ブチロラクタム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホオキシド、ヘキサメチルホスホアミ
ド、ニトロメタン等が挙げられる。
【0025】本発明では、溶媒X及び/又はYは、非極
性溶媒であることができる。本発明では、常温において
液状を示す非極性溶媒であれば任意のものを用いること
ができる。このような非極性溶媒としては、n−ヘキサ
ン、オクタン、ドデカン、ケロシン、アイソパー(エク
ソン社)、シクロヘキサン等のパラフィン系炭化水素、
ヘキサン、ドデセン等のオレフィン系炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素が挙げられる。さらに、炭素数が12〜22の長
鎖アルキル基又はアルケニル基を有するアルコール、ケ
トン、エステル、グリセリド(ナタネ油、大豆油等)等
が挙げられる。また、フッ素基を有する非極性溶媒とし
ては、完全フッ素化のものとしては、パーフルオロ−n
−オクタン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオ
ロベンゼン、パーフルオロブチルアミン等が挙げられ、
部分フッ素化としては、2H−パーフルオロ−5,8−
ジメチル−3,6−9−トリオキサデカン、ジクロロベ
ンゾトリフロリド等が挙げられる。
【0026】本発明では、染料Aを溶解させ顔料Bを分
散させる液状媒体としては、好ましくは2相に分離する
溶媒Aと溶媒Bとの組合せを用いる。このような溶媒の
組合せとしては、水とテトラクロルエチレン、水とトリ
クロロエチレン、水とヘキサン、水とアイソパー、水と
キシレン、水とパーフルオロオクタン、アセトンとFC
40(フッ素化炭化水素、3M社製)、水とHFE72
00(フッ素化エーテル、3M社製)、水とリン酸トレ
クレシル、さらにはテトラクロルエチレンとパーフルオ
ロオクタン、テトラクロルエチレンとHFE7200、
テトラクロルエチレンとHFE7200、キシレンとF
C40、さらには、水とキシレンとHFE7200、水
とヘキサンとFC40とHFE7200、キシレンとF
C40とHFE7200、トルエンとFC40とHFE
7200等の組み合せが挙げられる。
【0027】本発明では、3相に分離する溶媒の組み合
せを用いることができる。この場合の染料Aを溶解さ
せ、顔料Bを分散させる液状媒体は、溶媒Xと溶媒Yと
溶媒Zとの組み合せからなる。溶媒Zは、溶媒X及び溶
媒Yと完全混合しないものであれば単一溶媒又は複数溶
媒の混合物からなることができる。前記3種の溶媒X、
Y、Zの組み合せを例示すると、ヘキサンとキシレンと
水、キシレンと水とFC40、ヘキサンと水とHFE7
200、水とテトラクロルエチレンとFC40等が挙げ
られる。
【0028】なお、本明細書で溶媒X、Yに関して言う
相互に完全に混和しないという意味は、2種の溶媒X、
Yを攪拌した後、静置したときに、上層と下層の2つの
層に分離した状態を示すことを示す。一方、溶媒X、
Y、Zに関して言う相互に完全に混和しないという意味
は、3種の溶媒X、Y、Zを攪拌した後、静置した時
に、上層と中間層と下層の3つの層に分離した状態を示
すことを示す。
【0029】本発明で用いる染料及び顔料用の液状媒体
を構成する各溶媒の密度(比重)は、それらの各溶媒の
機能に応じて適宜定める。本発明の表示媒体が、図1に
示されているように、上方からその表示インクの着色を
視認する構造のものである場合には、下層に染料Aを溶
解した溶媒Xが位置し、その上層に染料Aを溶解しない
溶媒Yが位置するように、各溶媒X及びYの各密度を定
めることが好ましい。この場合、溶媒Xの密度をd
(X)、溶媒Yの密度をd(Y)及び染料Aを溶媒Xに
溶解させた溶液X(A)の密度をd[X(A)]とする
と、それらの密度の関係は次式(1)及び(2)のよう
になる。 d(X)>=d(Y) (1) d[X(A)]>=d(Y) (2) 前記溶媒XとYとの密度比d(X)/d(Y)は、1.
0〜5.0、特に好ましくは1.0〜2.0である。こ
れは、d(X)/d(Y)が大きすぎると、表示面を上
面から視認する構造でしか表示インクが使用できなくな
る場合が生じる。このため、顔料粒子濃度が与える分散
液の体積固形分比によっても変化するが、表示面の方向
や視認の方向に紙のような自由度を持たせたいときに、
d(X)/d(Y)を1.0近くにすることが好ましく
なる。また、顔料粒子や染料の重量も含めた2相に分離
した状態での密度を考慮することにより、より良好な密
度の最適化を行うことができる。また、溶媒Yに分散す
る顔料粒子の体積固形分比が0.15以上の場合は、分
散液としての粘性が大きくなってくると同時に、顔料粒
子と溶媒Yとが一体で移動する場合が生じてくる。この
ような場合には、d(X)/d(Y)が1.0から大き
く異なってくる2.0以上の場合でも、表示面の方向に
関わらず顔料粒子の密閉空間壁への固着力により、顔料
粒子と溶媒Yの一部分を固定することができる。
【0030】一方、前記の場合とは逆に、下方からその
表示媒体の表示インクの着色を視認する構造のものであ
る場合には、上層に染料Aを溶解した溶媒Xが位置し、
その下層に染料Aを溶解しない溶媒Yが位置するよう
に、各溶媒X及びYの各密度を定める。この場合、溶媒
Xの密度をd(X)、溶媒Yの密度をd(Y)及び染料
Aを溶媒Xに溶解させた溶液X(A)の密度をd[X
(A)]とすると、それらの密度の関係は次式(3)及
び(4)のようになることが好ましい。 d(X)=<d(Y) (3) d[X(A)]=<d(Y) (4) 前記溶媒XとYとの密度比d(Y)/d(X)は、好ま
しくは1.0〜5.0、特に好ましくは1.0〜2.0
である。前記と同様に、表示面の方向や視認の方向に紙
のような自由度を持たせたいときに、d(X)/d
(Y)を1.0近くにすることが好ましくなる。
【0031】本発明で染料及び顔料用の液状媒体が、3
種の溶媒X、Y、Zからなる場合には、溶媒Zの密度
は、溶媒Zが、(i)溶媒XとYとの間の中間層、(i
i)最上層又は(iii)最下層を形成する位置になるよう
に選定する。
【0032】本発明で用いる各溶媒は、前記密度(比
重)の他、その表示インクの用途との関連において、そ
の粘度、誘電率、比抵抗、屈折率、透過率分布、染料の
溶解度等を調整することが望ましい。これらの特性は、
一般的には、各溶媒間においてほぼ同じとすることが好
ましい。この溶媒特性の調整には、単独溶媒を選定して
行うことによる以外にも、複数の溶媒を混合することに
より容易に行うことができる。また、液状媒体又はそれ
を構成する各溶媒の親水性、疎水性、親油性、極性、表
面張力等も適宜調整することが好ましい。さらには、2
相分離した溶媒X、Yの体積分離比は、等比である必要
はなく、好ましくは染料の溶解度の大きい溶媒Xが、も
う一方の染料溶解度の小さい溶媒Yよりも多いこと、特
に2倍以上、さらには10倍以上の量であることがよ
い。溶媒Yの量は、理想的には、顔料粒子Bを容器内に
充填して形成した充填層の隙間を無駄なく埋める状態に
する程度の量であるのがよい。本発明においては、その
溶媒Xの容積V(X)と溶媒Yの容積V(Y)との比V
(X)/V(Y)を、0.50〜20、好ましくは2.
0〜20の範囲に規定するのがよい。
【0033】本発明の表示インクに用いられる染料Aに
は、水性染料及び油性染料のどちらでも使用できるが、
これは上記2相に分離する溶媒Xと溶媒Yの組み合わせ
に応じて決定されるものである。また、同時に用いられ
る顔料Bとの着色の違いからも決定されるものでもあ
る。一般的には、染料Aと顔料Bの粒子との着色のコン
トラストもしくは染料Aと顔料Bとの間のΔL***
を大きくするように組み合わせるのが好ましい。さらに
は、2相に分離する溶媒X、Yのうち少なくとも染料の
溶解度の小さい方の溶媒Yに対して優先的に溶解する第
2番目の染料を組み合わせて用い、これと顔料粒子との
混色で着色することも効果的である。
【0034】通常的には、染料Aとして、油性染料を用
いた場合には、その溶媒Xとして疎水性、親油性または
非極性の溶媒を用いるのが好ましい。一方、水性染料を
用いた場合には、その溶媒Xとして、親水性、疎油性ま
たは極性の溶媒を用いることが好ましい。しかしなが
ら、油性染料でもその種類により、ケトン類、アルコー
ル類といった極性の溶媒に対する溶解度が、非極性の場
合より大きいものもあることから、染料Aと染料Xとの
組み合わせは上記に限られるものではない。染料Aの具
体例としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジ
コイド染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料等
が挙げられる。また、直接染料以外にも、酸性染料また
は塩基性染料を用いてもかまわない。これらの染料は、
同時に複数用いてもかまわない。
【0035】水性染料の具体例としては、Direct
Blue119、DirectRed226といった
一般的なもの以外にも、IJ Red207H(ダイワ
化学社製)、IJ Yellow307H(ダイワ化学
社製)等のインクジェット用染料、青1号、赤2号等の
食用染料等が挙げられるが、これらの染料以外にも、紙
用、皮革用、繊維用等の非常に多数の水性染料または水
溶性染料が挙げられる。
【0036】また油性染料の具体例としては、Macr
olex BlueRR、Sudan BlueII(B
ASF社製)、Oil YellowSS speci
al(白土社製)、Oil RedRR extra
(白土社製)、Diaresin GreenA(三菱
化成社製)、Diaresin BlueG,C,K,
N(三菱化成社製)、Sumisol BlackAR
sol(住友化学社製)等が挙げられるが、これらの染
料以外にも非常に多数の油性染料または油溶性染料が挙
げられる。
【0037】さらに、2相に分離する溶媒XとYと染料
の組み合わせの具体例としては、水とテトラクロルエチ
レンとMacrolex BlueRR、水とキシレン
とMacrolex BlueRR、水とパーフルオロ
オクタンとDirect Blue119、アセトンと
FC40(3M社製)とDirect Blue11
9、アセトンとFC40(3M社製)とMacrole
x BlueRR、水とリン酸トレクレシルとMacr
olex BlueRR、水とリン酸トレクレシルとD
irect Blue119、さらには水とヘキサンと
FC40とHFE7200とMacrolex Blu
eRR等が挙げられる。しかしながらこれらの組み合わ
せは上記に限定されるものではない。
【0038】本発明の表示用インクに用いられる顔料粒
子には、染料と組み合わせるためにほぼすべての色の種
類の粒子を用いることができるが、一般の顔料粒子また
は黒色粒子が好ましく、これらを数種混合して用いても
構わない。その粒子径は、隠蔽力からは0.1から0.
5μmが特に好ましいが、0.05μmから15μmの
範囲であればよく、要求する解像力、隠蔽力、応答速度
等から最適値がさらには決定される。
【0039】顔料粒子の具体例としては、酸化亜鉛、酸
化チタン、カーボンブラック、アイボリーブラック、ア
ニリンブラック、合成黄土、ベンジイエロー、ベンガ
ラ、カーミン6B、フタロシアニンブルー、ビリジアン
グリーン、フタロシアニングリーン、鉄粉、マグネタイ
ト、磁性流体、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン
等が挙げられる。これらは、複数を同時に用いても構わ
ない。またこれらは、着色改質のための表面被覆層を有
していてもかまわない。また、顔料粒子の形状は特に限
定されるものではないが、流体中に粘性抵抗を発現させ
て多数の粒子が平均的に泳動しやすくせしめるために
は、針状形状や直方体形状よりも、球形もしくはそれに
準ずる形状が好ましい。
【0040】溶媒Xと溶媒Yと染料Aと顔料Bの組み合
わせの具体例を示すと、テトラクロルエチレンとMac
rolex BlueRRと水と酸化チタン、テトラク
ロルエチレンとMacrolex BlueRRと水と
ポリエチレン、キシレンとMacrolex Blue
RRと水と酸化チタン、テトラクロルエチレンとMac
rolex BlueRRと水と鉄粉、水とキシレンと
Direct Blue119とポリエチレン、水とキ
シレンとDirect Blue119と酸化FC40
とアイソパーH(エクソン社)とMacrolex B
lueRRとフッ素化酸化チタン、FC40(3M社)
とアイソパーHとMacrolex BlueRRとテ
フロン粒子(三井デュポンフルロケミカル社7A−J)
等が挙げられるが、これらの組み合わせは非常に多く、
これらに限定されるものでは全くない。
【0041】本発明の表示インクにおいて、溶媒Yは、
染料Aを実質的には溶解しない。この場合、染料Aを実
質的には溶解しないということは、その溶媒Yに対する
染料Aの溶解度が0.1wt%以下であることを意味す
る。染料Aを実質的に溶解させない溶解Yを用いること
により、顔料粒子Bと染料Aの混色を減少させることが
できる。特に、この溶解度が0.01wt%であること
が好ましい。また、優先的に染料を溶解する溶媒Xとし
ては、染料Aに対する溶解度が0.3wt%以上である
ことが好ましく、特に0.6wt%以上の溶解度である
ことが好ましい。その上限値は、通常、20%程度であ
る。染料Aの溶解度が0.1wt%以下である溶媒Yを
使用することにより、顔料粒子と染料の混色を減少する
ことができる。この場合の染料Aの溶解度とは、飽和溶
解時の溶媒重量に対する染料重量比(%)であり、密度
の大きい溶媒と吸収係数の大きい染料とを組み合せて
も、染料Aの溶解度が0.1wt%以下であれば、白地
の反射率として紙レベルの反射率を確保することがで
き、良好な白地表示を行うことができる。
【0042】溶媒Xとして油性溶媒を用い、この油性溶
媒中に染料AとしてMacrolex BlueRRを
0.1wt%で溶解させた溶液X(A)は、厚さ1cm
のD65での吸光度約27.2を示し、同様にして、染
料AとしてMacrolexViolet3Rを用いた
場合の溶液X(A)は吸光度52.9を示し、また、M
erck Oil Redを用いた場合の溶液X(A)
は吸光度は62.0を示す。表示インクの厚さは、表示
媒体の解像度300dpiを得るために84.7μmを
最大値として設定し、体積比として1:1に溶媒XとY
とが2相分離し、その分離したときの0.1wt%の溶
液X(A)層は42μmの厚さがあり、この溶液X
(A)の10vol%に相当する溶媒Yの上部に厚さ
4.2μmの顔料Bの粒子層があるとする。この場合の
粒子層の吸光度は0.011となり、このことから、こ
の顔料粒子層の粒子の隙間のみではなく、すべての層厚
部分に染料Aを0.1wt%溶解した溶媒溶液X(A)
が存在したとしても、この染料による顔料粒子への混色
は実質的に問題のない水準にあることがわかる。
【0043】実際に、所定重量の酸化チタンを用いて、
上記染料Aの溶解度の低い方の溶媒Yによる光の吸収の
影響を目視において観察したところ、染料濃度が0.1
wt%以下であれば、染料AとしてMacrolex
BlueRRを用いた場合、顔料粒子への染料の混色が
大きく減少していることが確認された。また、吸光度の
比較的大きいMacrolex Violet3R、M
erck Oil Redを用いた場合にも同様であっ
た。
【0044】また、解像度を大きくするために、表示イ
ンクの厚みを減少させた場合には、顔料粒子の隙間に存
在する染料による混色の程度が少なくなるのはいうまで
もないが、実際には顔料表面へ物理吸着した染料も影響
してくるため、溶媒Y中の染料濃度が0.1wt%より
大きいことは好ましくない。0.01wt%以下では、
この物理吸着量も大きく低減するためか、非常に鮮明な
顔料粒子の着色を観察できた。逆に、染料濃度が0.2
wt%以上では、顔料粒子の色に対する染料による混色
が視認性を劣化させていることが確認された。
【0045】また、染料Aの溶解度の高い方の溶媒X中
の染料濃度が0.3wt%以上であれば、有効な表示イ
ンク厚さが、42−4.2=37.8μmと大きいの
で、下地が100%反射としても吸光度0.792、つ
まりは光学濃度が0.792となり、表示インクとして
の十分な着色特性が得られる。実際に、染料濃度が0.
3wt%以上では、十分な着色が視認されるのに対し
て、0.2%以下では着色が不十分であることが確認さ
れた。
【0046】溶媒X中に染料Aを溶解させた溶液X
(A)中の染料Aの濃度は、ある程度濃い方が好まし
く、実験的には特に好ましかったのは0.6wt%以上
である。これは、計算上は、光学濃度1.5以上に相当
し、視認上十分な光学濃度を与える。また、解像度を視
認上十分な600dpiと2倍で使用するためには、イ
ンクの厚さが2分の1でも十分な着色を有することが必
要であるため、この点から表示インク濃度はある程度濃
い方が好ましく、0.6wt%以上が好ましい。
【0047】本発明の表示インクは、顔料Bに対する溶
媒Xの親和性を、顔料Bに対する溶媒Yの親和性と比較
して小さくすることにより、顔料粒子Bの表面に存在す
る溶媒Xの吸着量を減少させることができ、これにによ
り、顔料粒子と染料との混色を減少させることができ
る。
【0048】本発明の表示媒体の一つの形態を図2に基
づいて以下に説明する。図2は、本発明の表示インクを
用いた表示媒体の概念図である。図2において、Bは酸
化チタンからなる顔料粒子である。X(A)は、染料A
として油性染料Macrolex BlueRRを溶媒
Xとしてのヘキサンとテトラクロルエチレンからなる非
極性の溶媒に溶解させた溶液であり、斜線が染料が溶解
していることを示す。Yは油性染料の溶解度の小さい水
からなる溶媒である。X(A)とYとBにより表示イン
クが構成される。14は密閉容器であり、15はこの容
器の下部にある透明な天窓であり、16はこの天窓から
目視観察する人の眼を示す。
【0049】前記表示インクにおいて、顔料Bとしての
酸化チタン粒子の表面は、酸化物としてのO原子やOH
基による極性を有する。溶媒Xは、油性染料を優先的に
溶解するヘキサンとテトラクロルエチレンからなる非極
性の溶媒であり、溶媒Yは油性染料の溶解度の小さい水
(極性溶媒)である。この表示インクにおいて、顔料B
と溶媒Xとの親和性は、顔料Bと溶媒Yとの親和性より
も小さくなっている。前記顔料Bと溶媒X、Yとの親和
性は、以下のようにして測定されたものである。500
mlビーカー中に、2つの溶媒X、Yを各100mlを
入れ、次いで一次粒子の平均粒径を少なくとも1ミクロ
ン以下、好ましくは0.4ミクロンに十分に微細した顔
料粒子B5gを入れ、攪拌子で10分間攪拌した後、3
0分間静置する。次いで、顔料粒子Bが2つの溶媒X、
Yのうちのいずれの方に主体的に含まれるかを目視によ
り判断する。顔料粒子Bの含有量が溶媒Xの方が多い場
合には、顔料Bに対する親和性は溶媒Yよりも溶媒Xの
方が大きいと判定され、一方、その逆の場合には、顔料
Bに対する親和性は溶媒Xよりも溶媒Yの方が大きいと
判定される。これは、十分に微細にした粒子は、顔料粒
子と溶媒とに密度の差があっても、密度差による沈降よ
りも顔料粒子に対する溶媒同士の親和性の差による分離
能力が大きく影響することに基づく。
【0050】この表示インクは、下部が透明な密閉容器
に封入され、この透明な下部から目視でその状態を観測
する。表示インクの封入直後においては、染料の溶媒溶
液X(A)は直ちに相分離しているが、その下部の溶媒
Yに酸化チタンBが分散している状態になる。30分以
上経過して、表示インクは図2の状態に示されるよう
に、比重が分散媒Yより大きい酸化チタンが沈降した場
合には、青色のほとんど認められない白色が確認され
た。これは、顔料粒子に付着した染料溶液X(A)の付
着量が少ないことによる。
【0051】染料と溶媒との親和性及び顔料と溶媒との
親和性は、その疎水性、親水性、親油性、撥油性の違い
等を組み合わせることにより、また定量的には、その表
面張力、溶解度パラメータ、水素結合力、ファンデルワ
ールス力、さらにはエンタルピー等を一定値以上に異な
らせることにより調節できる。このため、染料、顔料粒
子、および溶媒の組み合わせは、上記に限定されるもの
ではなく、さらにはフッ素化化合物の疎水性、撥油性材
料等を組み合わせたり、長鎖アルキル基を含有するアク
リル系ポリマーのように極性基と非極性基を同時に有す
る材料等を用いることにより、疎水性と親水性といった
だけの単純な組み合わせ以外にも、多くの複雑な組み合
わせが実現可能である。
【0052】続いて、図3に基づいて以下に説明する。
図3は、本発明の表示インクの概念図である。図3
(b)は、顔料粒子に対する溶媒Xと溶媒Yの親和性が
と同じ場合であり、全体としては顔料粒子は溶媒Yに分
散している。顔料に対する溶媒XとYの親和性が同じで
ある故に、染料を含む溶液X(A)が顔料粒子表面をわ
ずかに被覆して、顔料粒子19を包囲する被覆層17が
形成される場合がある。このとき、被覆した染料溶液X
(A)に含まれる染料Aが原因となって、顔料粒子と染
料との混色が生じることになる。しかしながら、顔料粒
子と溶媒Xとの親和性を小さくすることにより、この被
覆層17を生じにくくさせることができる。ただし、こ
の場合、顔料粒子が酸化チタンのような極性部分または
親水性部分を有するときには、油性染料ではあっても、
染料粒子の顔料分子への吸着18がある程度生じて、図
3(c)に示される状態となり、わずかに顔料粒子と染
料との混色が生じる。
【0053】また、本発明における表示インクは、顔料
粒子表面に疎水性部分または非極性部分を存在させるこ
とにより、その顔料粒子表面に染料または染料を溶解し
た非極性の溶媒の付着を低減し、染料と顔料粒子との混
色を低減させることができる。
【0054】図3(a)において、19はポリエチレン
粒子(Merk社製、PE、1.707422.010
0、Charge/Lot L150522747、光
学顕微鏡観察により平均粒径は1μm以下)からなる顔
料粒子であり、顔料Bを形成する。2相に分離する2種
の溶媒X、Yのうちの一つである溶媒Xは、水であり、
この水には水性染料Direct Blue 119を
優先的に溶解させて溶媒X(A)とする。もう一つの溶
媒Yは、水性染料の溶解度の小さいヘキサンとテトラク
ロルエチレンからなる非極性の溶媒であり、顔料粒子と
非極性の溶媒との比重は、ほぼ同じとしている。この表
示インクにおいて、ポリエチレン粒子の表面は、メチレ
ン基による非極性部分でかつ疎水性部分を有する。さら
には、水性染料Direct Blue 119を優先
的に溶解する水は極性溶媒であり、水性染料の溶解度の
小さい溶媒Yは、ヘキサンとテトラクロルエチレンから
なる非極性の溶媒である。この表示インクにおいて、染
料に対する溶解度の大きい溶媒Xと顔料粒子Bとの親和
性が、他の溶媒Y(水)と顔料粒子Bとの親和性よりも
小さい。
【0055】この表示インクは、上部が透明な密閉容器
に封入され、この透明な上部から目視でその状態を観測
することができる。表示インクの封入直後においては、
溶液X(A)は直ちに相分離しているが、その上部の溶
媒Yにポリエチレン粒子が分散している状態になる。3
0分以上経過して、若干比重の小さいポリエチレン粒子
が浮上した場合には(図1(c)に示す状態に近い状
態)、青色の全く認められない白が確認された。これ
は、顔料粒子にわずかに付着した染料を溶解した溶媒溶
液X(A)を低減した以外に、顔料粒子に物理吸着した
染料分子による着色が大きく低減したことによる。これ
は、染料のほとんどがπ結合を有する若干の極性部分も
しくは親水性部分をその分子の一部にもつ材料であるた
め、この部分が極性部分または親水性部分を有する顔料
粒子に吸着しやすくなるのに対して、顔料粒子の表面を
疎水性または非極性染料とすることにより、染料の吸着
量を低減したことによる。
【0056】さらには、染料を溶解させる溶媒Xとし
て、極性の溶媒または撥油性の溶媒を用いた場合には、
顔料粒子を被覆する溶液X(A)の影響を除外できるの
で、合わせて効果的である。また、染料、顔料粒子、お
よび溶媒の組み合わせは、上記に限定されるものではな
い。
【0057】また、本発明における表示インクに用いる
顔料Bとして、表面が疎水性または非極性である粒子を
用い、その表面に被覆層、化学吸着層または物理吸着層
を設けることにより、顔料粒子Bに対する染料Aの吸
着、または染料を溶解した溶媒溶液X(A)の顔料粒子
Bへの被覆層の形成を低減し、染料と顔料粒子との混色
を低減することができる。
【0058】本発明の表示インクを状態図を図4に示
す。図4(a)は、顔料粒子20(顔料B)のそのまま
の状態を示す図であり、染料を溶解した溶媒の顔料粒子
への被覆層の形成や染料の顔料粒子表面への吸着は、顔
料粒子の表面特性に大きく影響され、これを改善するに
は顔料粒子を変更することが必要である。しかしなが
ら、図4(b)に示されるように、顔料粒子20の表面
に無機材料、高分子等からなる被覆層21を設けること
により、この被覆層の親和性を、染料を溶解した溶媒お
よび染料に対応して最適化することができる。
【0059】顔料粒子の表面の溶媒Xに対する親和性を
低減させるための被覆用材料を例示すると、酸化チタン
顔料粒子に対する被覆用材料としては、酸化珪素、酸化
アルミニウム、ポリエチレン、フェノール樹脂、ポリエ
メルアクリレート、メラミン樹脂、ウレア樹脂、テフロ
ン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキシド等が挙げられ、ナイロン粒子
に対する被覆用材料としては、酸化チタン、酸化アルミ
ニウム等が挙げられる。顔料粒子表面に形成する被覆
は、単核の被覆が好ましいが、複数核の被覆でもかまわ
ない。これらの被服には、高分子材料を溶媒に溶解せし
めた後に貧溶媒を添加するか、低温状態にして溶解度を
低減せしめて析出させる方法を用いることができる。ま
た、バリタイザー、コートマイザー等のメカのケミカル
的被服装置を用いることもできる。
【0060】図4(c)は、顔料粒子20の表面に、共
有結合による被覆層を形成せしめた状態を示す図であ
り、この化学物質(A−B)22のイオン、またはその
側鎖または末端基等の特性により、顔料表面の親和性
を、染料を溶解した溶媒および染料に対応して最適化す
ることができる。その化学物質の結合方法としては、チ
タンカップリング、シランカップリング、アルミニウム
カップリング、グラフト重合等が挙げられる。これらの
方法を実施する場合、あらかじめ顔料粒子を処理してお
いてもよいが、反応試薬を溶媒にあらかじめ混合してお
いてもよい。
【0061】チタンカップリング剤としては、具体的に
は、イソプロピル・トリイソステアロイルチタネート、
イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)
チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルフォス
ファイト)チタネート、イソプロピル(N−アミノエチ
ル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロイルビ
ス(ジオクチルホソファイト)トタネート、ビス(ジオ
クチルパイロフォスフェート)エチレンチタネート、ビ
ス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテー
トチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネ
ート等が挙げられる。
【0062】シランカップリング剤としては、具体的に
は、ビニルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン等、さらにはフルオロシランカップリング剤
であるペンタデカフルオロデシリルトリメトキシシラン
等が挙げられる。
【0063】アルミニウムカップリング剤としては、具
体的には、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピ
レートが挙げられる。
【0064】グラフト重合としては、具体的には、酸化
チタンに対しては、メトキシシラン基、クロルシラン基
等を用いたポリエチレンのグラフト重合、ビニルイソシ
アナート基の利用によるポリスチレンのグラフト重合、
さらには酸化珪素に対しては、シラノール基を利用した
種々のグラフト重合、シロキサン基、ハロゲン基を利用
した種々のグラフト重合が挙げられる。
【0065】図4(d)は、顔料粒子20の表面に、界
面活性剤を物理吸着させた状態を示す図であり、物理吸
着物質23のイオン、またはその側鎖または末端基等の
特性により、親和性を、染料を溶解した溶媒および染料
に対応して最適化することができる。その物理吸着物質
としては、アニオン系、カチオン系、両性系、ノニオン
系の界面活性剤を用いることができるが、その他、微量
の有機溶媒が表面に被覆されて効果的な場合があり、こ
のような場合には、その有機溶媒も使用可能である。さ
らには、一部フツ素基により置換した界面活性剤も、そ
の親和性を制御するうえで特に効果的である。
【0066】物理吸着する界面活性剤としては、具体的
には、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸、オレイン酸、イ
ノレイン酸、ラルリルアルコール硫酸エステルアンモニ
ウム、ラルリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ア
ルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エアロゾルO
T、ソロミンA、サパミンA、アーコベルA、ラウリル
チルネチルアンモニウムクロライド、ラウルリアミノプ
ロピオン酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリビ
ニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアク
リレート、ノニルフェニルエチレンオキサイド付加物等
が挙げられる。さらには、フッ素系界面活性剤として
は、具体的には、3M社製のFC−93、FC−95、
FC−98、FC−129、FC−135、FC−17
0、FC−171、FC−430、FC−431等が挙
げられる。
【0067】粒子表面に被覆層、化学吸着層または物理
吸着層を形成させるための材料等は上記に限定されるも
のではない。また、被覆層、化学吸着層または物理吸着
層の複数を組み合わせて用いても構わない。
【0068】また、本発明の表示インクにおいて、その
顔料Bは、その少なくとも1部の粒子が磁性粒子である
ことができ、これにより、磁石または電磁石を用いて、
その表示インクの着色を可逆的に容易に変化させること
ができる。この磁石を用いた動作については、先に説明
した通りである。
【0069】また、本発明の表示インクにおいて、その
顔料Bは、その少なくとも1部の粒子が電気泳動粒子で
あることができ、これにより、電圧の印加により表示イ
ンクの着色を可逆的に変化させることできる。本発明の
表示媒体の1つの実施態様を、図5に基づいて以下に説
明する。図5は、本発明の表示媒体の概念図である。図
5において、ポリエチレン粒子(Merck社製、P
E)からなる顔料粒子26であり、顔料Bを形成する。
2相に分離する2種の溶媒X、Yのうち一つは水であ
り、この水には水性染料Direct Blue119
を溶解させて溶液X(A)24とする。もう一つの溶媒
Yは、水性染料の溶解度の小さいヘキサンとテトラクロ
ルエチレンからなる非極性の溶媒25である。27、2
8はITO電極であり、これが直流電源29または30
に接続される。
【0070】ポリエチレン粒子26は、溶媒中でその電
荷を負に帯電しており、図5(a)に示すように、上部
の電極27にプラス10Vを短時間印加すると、ポリエ
チレン粒子が上部に電気泳動し、ポリエチレン粒子のき
れいな白色が観察され、染料の混色は確認されない。ま
た、図5(b)に示すように、上部の電極27にマイナ
ス10Vを短時間印加すると、ポリエチレン粒子26が
下部に電気泳動し、染料のきれいな青色が観察され、ポ
リエチレン粒子の混色は確認されない。
【0071】これらの動作は、電気的に簡単にスイッチ
ングできかつ可逆的である。また、一度電極に付着した
粒子はファンデルワールス力により、印加電圧による電
界が消滅した後もその状態をほぼ維持できる。この場
合、エレクトクロミックと同様の見やすさ(高コントラ
スト、高視野角)を有し、かつ電流がほとんど流れない
ため消費電力が小さいという長所がある。
【0072】また、本発明の表示インクにおいて、その
顔料の少なくとも1部の粒子が磁性粒子でありかつ電気
泳動粒子であることができ、これにより、電圧により表
示インクの着色を可逆的にできると同時に、磁力により
メモリー性を増加させることができる。
【0073】本発明の他の表示媒体を図6に基づいて以
下に説明する。図6は、本発明の表示媒体の概念図であ
る。図6において、50はフェノール樹脂で被覆した鉄
粉からなる顔料粒子であり、顔料Bを形成する。2相に
分離する2種の溶媒X、Yのうち一つ(溶媒X)は水で
あり、この水には水性染料Direct Blue11
9を溶解させて溶液X(A)24とする。もう一つの溶
媒Yは、水性染料の溶解度の小さいヘキサンとテトラク
ロルエチレンからなる非極性の溶媒25である。27、
28はITO電極であり、これが直流電源29または3
0に接続されている。31は上部に設けたリング状永久
磁石であり、32は下部に設けたリング状永久磁石であ
る。
【0074】顔料粒子50は、溶媒中でその電荷を負に
帯電しており、図6(a)に示すように、上部の電極2
7にプラス10Vを短時間印加すると、顔料粒子が上部
に電気泳動し、顔料粒子50の少し黄みを帯びた黒色が
観察された。また、図6(b)に示すように、上部の電
極27にマイナス10Vを短時間印加すると、顔料粒子
50が下部に電気泳動し、染料のきれいな青色が観察さ
れた。図6(a)の状態のときに、この密閉容器全体に
超音波洗浄機により超音波を印加しても、顔料粒子はそ
のままであり、見た目の変化はなかった。これに対し、
磁石31、32を取り外して同様に超音波を印加したと
ころ、ほとんどの顔料粒子が、上部の電極27から剥が
れて沈殿し、図6(b)のようになり、染料の青色が観
察された。このように、電気泳動粒子と磁性粒子を組み
合わせることにより、そのメモリー性を大きく向上させ
ることができる。
【0075】また、本発明における表示媒体は、上記表
示インクが平板間に保持されていることにより、溶媒
X、Yの相分離状態を均一に保つことで、画素ごとに明
瞭な表示を行うことができる。
【0076】本発明のさらに他の表示媒体を図7に基づ
いて以下に説明する。図7は、本発明の表示媒体の概念
図である。図7において、ポリエチレン粒子(Merc
k社製、PE)からなる顔料粒子26が本発明の顔料B
を形成する。2相に分離する2種の溶媒のうち一つ(溶
媒X)は水であり、この水には、水性染料Direct
Blue119を溶解させて、溶液X(A)24とす
る。もう一つの溶媒Yは、水性染料の溶解度の小さいヘ
キサンとテトラクロルエチレンからなる非極性の溶媒2
5である。33、34は表示インクを保持する表示媒体
の一部である平板である。この片面には電極36が設け
られている。35はこれらの平板を支えるピラー兼隔板
である。図7は、直流電源38により、電極36と、表
示媒体上部に設けた書き込み電極37との間の該上部電
極37にプラス電圧を印加している状態を示す。
【0077】図7に示すように、この表示媒体において
は、2つの平板33、34およびこの間に設けたピラー
兼隔板35により、本発明の表示インクが孤立して保持
されるため、2種の相分離した溶媒X、Yの比重が異な
る場合においても、傾けたりした場合に、表示インクの
組成がミクロ的に均一であることができる。また、画像
を形成した場合には、発生する横方向の電界により、顔
料粒子が移動してしまい不均一になることがなくなっ
た。平板な基板材料としては、具体的には、ガラス、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。また、こ
れらは多層構造を有していてもかまわない。
【0078】また、本発明における表示媒体は、上記表
示インクをマイクロカプセルに含有させることにより、
2相分離の溶媒X、Yの混合比を均一に保つことで、画
素ごとに明瞭な表示を行うことができる。
【0079】本発明のさらに他の表示媒体を図8に基づ
いて以下に説明する。図8は、本発明の表示媒体の概念
図である。図8において、表示インクを含有するマイク
ロカプセル39が、平板33、34間に設けられてい
る。この場合、平板は、必ずしも必要ではなく、このマ
イクロカプセルにより、本発明の表示インクが孤立して
保持されているため、2種の相分離した溶媒X、Yの比
重が異なる場合においても、傾けたりした場合に表示イ
ンクの組成がミクロ的に均一であることができる。ま
た、画像を形成した場合には、発生する横方向の電界に
より、顔料粒子が移動してしまい不均一になることがな
くなった。マイクロカプセルの壁材としては、尿素樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ゼラチン、アクリレ
ート等が使用できる。マイクロカプセルは界面重合法、
In−Situ重合法、コアセルベーション法等で形成
される。カプセル径は1〜1000μm、好ましくは5
〜200μmとされる。上記のような方法で形成される
マイクロカプセルは一般に水分を含むスラリー状とな
る。これを乾燥させて粉末状にすることも可能である
が、バインダ材として、ポリビニルアルコール、ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸、尿素−ホルマリン系、
メラミン−ホルマリン系、イソブチレン−無水マレイン
酸系等の水溶性の高分子(またはプレポリマー)材料を
使用する場合には、バインダ材の水溶液にマイクロカプ
セルのスラリーを混合して塗布液を作製すればよい。
【0080】本発明の表示インクは、前記表示媒体用イ
ンクとして適用される他、通常のインクの場合と同様
に、サインペンやマジックインク用インクとしても適用
することができ、さらに、各種の印刷用インク、例え
ば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット
印刷、電子写真法印刷等の印刷等のインクとして適用す
ることができる。本発明の表示インクは、特にインクジ
ェット印刷用インクとして好適のものである。本発明の
表示インクを印刷用インク等として用いる場合には、そ
のインクの具体的用途に応じて2つの手法があり、1つ
は表示インクを表示媒体上で密閉空間に入れたまま利用
する方法であり、2つめは表示インクを直接に表示媒体
に付着せしめる方法である。後者の方法では、さらにそ
の用途に応じて、適当な補助成分、例えば、高分子バイ
ンダ、界面活性剤、発色剤、消色剤等を用いることがで
きる。本発明の表示インクを用いる印刷方法は、該表示
インクを、被印刷物(被印刷媒体)に付着させた後、該
インク中に含まれる溶媒を除去することによって実施さ
れる。被印刷物としては、通常は紙が用いられるが、そ
の他、金属板、高分子フィルム、高分子シート等を用い
ることも可能である。本発明の表示インクをインクジェ
ット印刷用インクとして用いることにより、単一の表示
インクにおいて2色以上の着色を得ることができる。
【0081】本発明の表示インクを用いる印刷方法の1
つの態様を図9および図10に基づいて以下に説明す
る。図9および図10は、本発明の印刷方法の概念図で
ある。図9において、40は、表示インクを保持する容
器であり、上部に不活性ガスまたは別の液体で満たし、
これは41a、41bの矢印に示す方向にピエゾ素子に
より力を加えることにより、水性染料を溶解した水X
(A)24、非極性の分散媒Y25、顔料粒子26から
なる表示インクを紙に向けて噴出させる。このとき、図
12に示すような、従来の単相の液体に染料と顔料を添
加した表示用インクを用いる場合の印刷では、図13に
示すように、紙46のなかに染料47が染み込むと同時
に顔料粒子26を覆うように染料の被覆層49が形成さ
れ、顔料と染料とが混合した色の着色が得られる。
【0082】これに対して、本発明では図9(a)に示
すように、左右から上部電極42a、43aが下部電極
42b、43bに対して正になるように電圧を44a、
44bの直流電源によって印加しながら、41a、41
bの方向に力を印加すると、図10(a)で示されるよ
うに、顔料粒子26の下側に染料の層48が形成され、
その結果、顔料粒子層が最上面に形成され、観察者6か
らは顔料粒子26の着色が視認される。また、図9
(b)に示すように、電圧を逆に印加して、同様に本発
明の表示インクを噴出させると、図10(b)で示され
るように、顔料粒子26を覆うように染料の被覆層49
が形成され、顔料と染料とが混合した色の着色として観
察される。このように、単一の組成の表示インクであり
ながら、複数の着色を表示することができる。
【0083】前記インクジェット方式による印刷の場合
には、紙に対する顔料粒子の付着状態を改善することが
できるため、無色(白色)の染料を用いて紙質の改善を
おこなったり、無色(白色)の顔料粒子を用いて染料に
対するオーバーコートをおこなったり、染料と顔料粒子
の色をほぼ同じにして耐光性を改善する場合にも効果的
である。また、この場合、顔料粒子の一部分が、紙の中
に染み込んでもかまわない。また、一部の染料層が顔料
粒子の上面に形成されても構わない。
【0084】本発明の表示インクは、上記インクジェッ
ト用インクにした表示媒体に限定されるわけではなく、
スクリーン印刷、オフセット印刷、電子写真法、サイン
ペン、マジックインク等におけるインクに用いても構わ
ない。また被印刷物としても、紙以外でも構わなく、具
体的には金属、高分子膜、セラミックス膜などの表面
や、塗膜表面等が挙げられる。また、2相に分離可能な
片方の溶媒をエマルジョン化したり、その界面付近に顔
料粒子を凝集させることも効果的である。
【0085】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を具体的に説明す
る。
【0086】実施例1 テトラクロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重量部
を混合した液体(溶媒X)に対して、Macrolex
BlueRR(染料A)を約1.0wt%溶解した。
これは容易に溶解した。一方、水(溶媒Y)に10wt
%鉄粉(顔料B)を加えた。これは沈降が生じ易いた
め、撹拌により分散状態を保持した。これらの溶液X
(A)および分散液Y(B)を2.5mlづつ秤量して
混合し、これを上部がガラスを主とする密閉容器に封入
したのち、超音波を10分印加したのち、さらに激しく
振とうし、ガラス上のテーブルに静置し、目視により上
部から観察した。30分後、ガラス容器の上部付近に、
フェライト系磁石を配置し、鉄粉を上部に移動させて
後、ガラス容器の下部、ガラス上のテーブルの下に磁石
を配置し、鉄粉を下部に移動させた。磁石の配置に際し
ては、一旦、ガラス容器の壁面に磁石を接触させた。以
下に目視による2相分離液体中での着色変化等の観察結
果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】比較例1 テトラクロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重量部
を混合した液体に対して、Macrolex Blue
RRを約0.5wt%溶解した。さらに、これに鉄粉
(和光純薬社)5wt%を加えた。しかし、この混合物
は鉄粉の沈降が生じ易いため、撹拌により分散状態を保
持した。これを上部がガラスを主とする密閉容器に封入
したのち、超音波を10分印加したのち、さらに激しく
振とうし、ガラス上のテーブルに静置し、目視により上
部から着色変化等を観察した。結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】参考例1 染料濃度の小さい方の溶媒Yに対する染料Aの溶解度の
白地の反射率に対する影響を調べる。また、染料濃度の
大きい方の溶媒Xに対する染料Aの溶解度の青地の反射
率に対する影響を調べた。この白地の反射率は、顔料粒
子の十分な量が確保され、十分な隠蔽性がある場合に
は、染料濃度の大きい方の溶媒Yの状態によらないた
め、単一相で調べることができる。また、青地の反射率
は、この染料濃度の大きい方の溶媒Xに対して観察方向
と反対となる部分の白地反射率が十分に大きい場合に
は、染料濃度が十分に小さい方の溶媒Yからなる単一の
相の状態によらないため、単一相で調べることができ
る。このため、従来の単一相において、染料濃度を変化
させることにより、2相分離の状態の白地反射と、青地
反射の状態を調べることができる。テトラクロルエチレ
ン3重量部とn−ヘキサン7重量部を混合した液体(溶
媒X)に対して、染料Aとして、Macrolex B
lueRRを約0.005wt%〜1wt%まで濃度変
化させて溶解した溶液X(A)を作製し、これに酸化チ
タン(顔料B)を10wt%を分散させ、超音波を10
分間印加した後、撹拌して顔料Bの分散を保持した。こ
の分散液を、その高さが約50μmとなる液量を下部が
薄いFEPフィルム(25μm)から成る容器に入れ、
30分間静置した後、下面から光学濃度測定装置(東京
電飾社製、DENSITOMETERTC−6MC)で
白地反射率を測定した。また、上部がガラスからなる容
器を用いて、上面から青地反射率を測定した(大塚電子
社製、:LCD EVALUATIONS SYSTE
M、試料の下面に反射率80%のコピー用紙を配置)併
せて、目視による評価も行った。ただし、大塚電子社製
の測定器は、細い光ビームを特定方向(30度)から入
射させたときの、垂直方向の反射率を硫酸バリウムから
なる標準拡散板に対して比較した相対値であり、さらに
厚い3mmのガラスを用いており、この値はガラスから
の出射の際に全反射や光束角度の広がりが大きく影響す
るため、直接に光学濃度装置と比較することができな
い。例えば、FEPフィルムを使用して光学濃度測定装
置の方で90%以上の反射率となる酸化チタンの粒子
を、透明液体に分散せしめてこの大塚電子社製の測定機
で測定すると45%の反射率となり、絶対的な比較はで
きない。
【0091】なお下面の反射率は、2相分離する溶媒
X、Yを用いた場合において、染料を溶解した溶媒(溶
媒X)が、顔料粒子の周囲に完全に被覆されている場合
に、その影響がどの程度になるかということを測定した
ものである。これは、その反射率の高さまたは白さか
ら、溶解度の小さい方の溶媒(溶媒Y)に対する染料A
の好ましい溶解度を与えることができる。一方、上面の
反射率は、染料を溶解した溶媒Xの反射率がどの程度に
なるかを測定したものである。これは、その反射率の低
さまたは青さから、溶解度の大きい方の溶媒Xに対する
染料Aの好ましい溶解度または溶解濃度を与えることが
できる。結果をまとめて表3に示す。表3中、◎は極め
て良好、○は良好、△はやや不良、×は不良、を表し、
−は未評価である。
【0092】
【表3】
【0093】表3より、2相分離する溶媒のうち溶解度
の小さい方の溶媒Yの染料に対する好ましい溶解度は、
基準となる白地光学濃度を0.13以下とし、特に、
0.1wt%以下にすることが好ましいことが解る。白
地光学濃度が0.13のとき、白地反射率は70%以上
であり、通常のコピー用紙の80%には劣るものの、ほ
ぼ同等の白さを確保できることになる。また、2相分離
する溶媒のうち溶解度の大きい方の溶媒Xに対する好ま
しい溶解度としては、0.6wt%以上であることが、
目視評価の結果よりわかる。この場合の反射率は、相対
的であり、反射率から判断することは難しいが、一般に
は、白地光学濃度で0.8以上を与えるに十分な溶解度
以上であることが好ましく、さらには、白地光学濃度で
1.0以上を与えるに十分な溶解度以上であることが好
ましい。
【0094】実施例2 電気泳動表示セルを作製して評価した。比抵抗約100
Ω/□のITO付き3mm厚の青板ガラス基板30mm
×50mmを用いて、その1枚に2液型エポキシ樹脂の
液晶用室温硬化封止剤を、幅約1.5mm、外側サイズ
約25mmでスクリーン印刷し、また80ミクロンのス
ペーサを両端に用いた。この封止剤の内側に、超音波を
印加後さらに激しく振とうした表示用インクをデスペン
サーで適量を秤量、滴下し、もう1枚のITO付きガラ
スを押し付けて、余分な表示用インクを排除した後、こ
れに約5kgの重量を加えて12時間放置して電気泳動
セルを作製した。一方のITOには、溶媒とのITOと
の親和性を大きくするために、新油処理シランカップリ
ング剤(信越シリコーン社、KBM3103Cを)で前
処理したものを用いた。この電気泳動表示セルに、導伝
ペーストにより配線し、これを直流電源に接続した。ま
た、電気泳動表示セルは、反射率測定機(大塚電子社
製:LCD EVALUATIONS SYSTEM)
の中にセットした。反射率は、硫酸バリウム反射板(公
称反射率99.6%)を基準として評価した。ただし、
この電気泳動表示セルは、拡散反射型であるため3mm
厚のガラスでは、全反射成分によるロスがあり、実際の
目視と異なる直接反射の反射光のみを測定する。染料を
添加しない酸化チタンを測定したところ、白地の反射率
が36.2%であった。電圧をプラスまたはマイナス1
Vまたは10Vで10秒〜10分の間で印加した後、反
射率を、スポット系約3mm、30度入射、0度反射で
測定した。また、同時に目視による確認を行った。実験
データとしては、最も良好な値を用いた。表示用インク
は以下に示すように調製した。テトラクロルエチレン3
重量部とn−ヘキサン7重量部を混合した液体に対し
て、Macrolex BlueRRを約1.0wt%
溶解した。これは容易に溶解した。一方、水に20wt
%酸化チタンを加えた。これは沈降が生じ易いため、撹
拌により分散状態を保持した。これら2つの溶液および
分散液を1:1の重量比で容器中で混合し、この容器に
対して超音波を10分印加したのち、さらに激しく振と
うして表示用インクとした。
【0095】実施例3 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約1.0wt%溶
解した。これは容易に溶解した。一方、テトラクロルエ
チレン2重量部とn−ヘキサン8重量部を混合した液体
にポリエチレン粒子(Merc社製、PE)20wt%
を加えた。これは浮上し易いため、撹拌により分散状態
を保持した。これら2つの溶液および分散液を1:1の
重量比で容器中で混合し、この容器に対して超音波を1
0分印加したのち、さらに激しく振とうして表示用イン
クとした。これ以外は、実施例2と同様である。
【0096】実施例4 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約1.0wt%溶
解した。これは容易に溶解した。一方、テトラクロルエ
チレン2重量部とn−ヘキサン8重量部を混合した液体
にポリエチレン粒子(Merc社製、PE)40wt%
を加えた。これは浮上し易いため、撹拌により分散状態
を保持した。これら2つの溶液および分散液を3:1の
重量比で容器中で混合し、この容器に対して超音波を1
0分印加したのち、さらに激しく振とうして表示用イン
クとした。これ以外は、実施例2と同様である。
【0097】実施例5 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約1.0wt%溶
解した。これは容易に溶解した。一方、テトラクロルエ
チレン2重量部とn−ヘキサン8重量部を混合した液体
にポリエチレン粒子(Merc社製、PE)80wt%
を加えた。これは浮上し易いため、撹拌により分散状態
を保持した。これら2つの溶液および分散液を7:1の
重量比で容器中で混合し、この容器に対して超音波を1
0分印加したのち、さらに激しく振とうして表示用イン
クとした。これ以外は、実施例2と同様である。
【0098】実施例6 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約1.0wt%溶
解した。これは容易に溶解した。一方、テトラクロルエ
チレン2重量部とn−ヘキサン8重量部を混合した液体
にシリル化剤処理した酸化チタン20wt%を加えた。
このシリル化剤処理した酸化チタンは、あらかじめ酸化
チタンを酸性水溶液中にてイソプロピル・トリイソステ
アロイルチタネート(プレーンアクトKRTTS、味の
素社製)1wt%と混合したのち洗浄、乾燥して調製し
たものである。これにより、このシリル化剤処理した酸
化チタンの表面は親油性になっている。この調製した溶
液(分散媒)は沈降し易いため、撹拌により分散状態を
保持した。これら2つの溶液および分散液を1:1の重
量比で容器中で混合し、この容器に対して超音波を10
分印加したのち、さらに激しく振とうして表示用インク
とした。これ以外は、実施例2と同様である。
【0099】実施例7 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約1.0wt%溶
解した。これは容易に溶解した。一方、テトラクロルエ
チレン2重量部とn−ヘキサン8重量部を混合した液体
に酸化チタン(石原産業社製:タイペックR60−2)
20wt%を加えた。この酸化チタンの表面は、表面を
アルミナと有機物で被覆することにより親油性になって
いる。この調製した溶液(分散媒)は沈降し易いため、
撹拌により分散状態を保持した。これら2つの溶液およ
び分散液を1:1の重量比で容器中で混合し、この容器
に対して超音波を10分印加したのち、さらに激しく振
とうして表示用インクとした。これ以外は、実施例2と
同様である。
【0100】実施例8 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約1.0wt%溶
解した。これは容易に溶解した。一方、テトラクロルエ
チレン2重量部とn−ヘキサン8重量部を混合した液体
に酸化チタン20wt%とオレイン酸2.5wt%を加
えた。これにより、この酸化チタンの表面は、親油性に
なっている。オレイン酸は、水に対する溶解性が小さい
ため、相分離した後も水に溶解することはない。この調
製した分散媒は沈降し易いため、撹拌により分散状態を
保持した。これら2つの溶液および分散液を1:1の重
量比で容器中で混合し、この容器に対して超音波を10
分印加したのち、さらに激しく振とうして表示用インク
とした。これ以外は、実施例2と同様である。
【0101】比較例2 表示用インクは、以下に示すように調製した。テトラク
ロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重量部を混合し
た液体に対して、Macrolex BlueRRを約
0.5wt%溶解した。これは容易に溶解した。さら
に、これに酸化チタン10wt%を加えた。これは沈降
が生じ易いため、撹拌により分散状態を保持した。この
容器に対して超音波を10分印加したのち、さらに激し
く振とうして表示用インクとした。これ以外は、実施例
2と同様である。
【0102】比較例3 表示用インクは、以下に示すように調製した。テトラク
ロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重量部を混合し
た液体に対して、Macrolex BlueRRを約
0.5wt%溶解した。これは容易に溶解した。さら
に、これにポリエチレン粒子(Merc社製、PE)1
0wt%を加えた。これは沈降が生じ易いため、撹拌に
より分散状態を保持した。この容器に対して超音波を1
0分印加したのち、さらに激しく振とうして表示用イン
クとした。これ以外は実施例2と同様である。
【0103】比較例4 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約0.5wt%溶
解した。これは容易に溶解した。さらに、これにポリエ
チレン粒子(Merc社製、PE)10wt%を加え
た。これは浮上し易いため、撹拌により分散状態を保持
した。この容器に対して超音波を10分印加したのち、
さらに激しく振とうして表示用インクとした。これ以外
は、実施例2と同様である。
【0104】比較例5 表示用インクは、以下に示すように調製した。水に対し
て、Direct Blue119を約0.5wt%溶
解した。これは容易に溶解した。さらに、これに酸化チ
タン(関東化学社製)10wt%を加えた。これは浮上
し易いため、撹拌により分散状態を保持した。この容器
に対して超音波を10分印加したのち、さらに激しく振
とうして表示用インクとした。これ以外は、実施例2と
同様である。
【0105】以下に実施例2から8の場合、および比較
例2から5の場合の結果を示す。評価基準は表3と同様
である。Direct Blue119とMacrol
exBlueRRのモル吸光係数、ポリエチレンと酸化
チタンとの隠蔽力とに差があることを留意しなければな
らない。
【0106】
【表4】
【0107】実施例9 マイクロカプセルを用いた電気泳動表示セルを作製して
評価した。表示用インクは、以下に示すように調製し
た。テトラクロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重
量部を混合した液体に対して、Macrolex Bl
ueRRを約1.0wt%溶解した。これは、容易に溶
解した。一方、水にポリエチレン粒子(Merc社製、
PE)80wt%を加えた。さらに、水を一時的にエマ
ルジョン化するために、複数の界面活性剤を加えた。こ
れは沈降が生じ易いため、撹拌により分散状態を保持し
た。これら2つの溶液および分散液を7:1の重量比で
容器中で混合し、この容器に対して超音波を10分印加
したのち、さらに激しく振とうして表示用インクとし
た。さらに、これと予め溶解させてあるポリビニルアル
コール(呉羽化学社製:ポバール)、その他の界面活性
剤、メラミン樹脂のプレポリマーを溶解せしめてある
1.5倍量の水とを混合撹拌し、60〜80℃において
マイクロカプセルを合成した。1時安定的なW/O/W
(水相/油相/水相)の混合液を用い、マイクロカプセ
ル合成後に、W/O構造のWを消失せしめることによ
り、ほぼ仕込みに近い2相分離した表示用インクを含有
するマイクロカプセルを合成できた。次に、ポリビニル
アルコール(関東化学社製:#500)1重量部、水1
0重量部を2時間室温で混合撹拌して完全に溶解した
後、マイクロカプセルのスラリーを9重量部加えて、こ
れをホモジナイザーで5000回転、5分間撹拌した。
これをギャップ250μmのアプリケータを用いて、比
抵抗約200Ω/□のITO付きポリカーボネート基板
に、計量塗工した後、90℃で10分間乾燥した。膜厚
は、約60〜100μmであった。この一部を切り取
り、比抵抗約100Ω/□のITO付き3mm厚の青板
ガラスとで挿んで密着して、テープで張り合わせて電気
泳動セルを作製した。この電気泳動表示セルに対して、
実施例2と同様の測定を行った。
【0108】比較例6 表示用インクは、以下に示すように調製した。テトラク
ロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重量部を混合し
た液体に対して、Macrolex BlueRRを約
0.5wt%溶解した。これは容易に溶解した。さら
に、これにポリエチレン(Merc社製、PE)10w
t%を加えた。これは沈降が生じ易いため、撹拌により
分散状態を保持した。この容器に対して超音波を10分
印加したのち、さらに激しく振とうして表示用インクと
した。これを、実施例9とほぼ同様にしてマイクロカプ
セルを合成後、電気泳動セルを作製し、測定を行った。
【0109】実施例10 表示用インクは、以下に示すように調製した。テトラク
ロルエチレン3重量部とn−ヘキサン7重量部を混合し
た液体に対して、Macrolex BlueRRを約
1.0wt%溶解した。これは、容易に溶解した。一
方、水に鉄粉(和光純薬社製)80wt%を加えた。さ
らに、水を一時的にエマルジョン化するために、複数の
界面活性剤を加えた。これは沈降が生じ易いため、撹拌
により分散状態を保持した。これら2つの溶液および分
散液を7:1の重量比で容器中で混合し、この容器に対
して超音波を10分印加したのち、さらに激しく振とう
して表示用インクとした。この表示用インクを用い、実
施例9とほぼ同様にしてマイクロカプセルを合成後、電
気泳動セルを作製し、測定を行った。ただし、ITO付
きガラス基板とマイクロカプセルとの間に、鉄からなる
金属メッシュ(200メッシュ)を挿んで密着して、テ
ープで張り合わせて電気泳動セルを作製した。さらに、
このメッシュの一部を磁石に接触させた。
【0110】比較例7 金属メッシュを挿まないで電気泳動セルを作製した以外
は、実施例10と同じである。
【0111】以下に実施例9、10の場合、および比較
例6、7の場合の結果を表5に示す。カプセル化によ
り、黒地に相当する染料反射率が上昇した。また、実施
例10において、金属メッシュの影響により、染料反射
率が増加した。メモリー性を、電気泳動セルに超音波を
10分間照射し、その色の変化によって確認した。ただ
し、金属メッシュの色、マイクロカプセルによる散乱白
色は除外した。
【0112】
【表5】
【0113】参考例2(マイクロカプセルの製造例) 約60℃のイソオクタン(2,2,4−トリメチルペン
タン)とフッ素系溶媒(フロリナートFC40、住友3
M社)とを混合して単一の相の混合溶媒とした。混合比
は、容積でイソオクタン:フッ素系溶媒=1:1であ
る。この単一相の溶液約200gを温度を60℃前後に
保ちながら、ポリビニルアルコール(ポパール203:
クラレ社)約3%、その他の界面活性剤、添加剤、さら
にメラミン−ホルムアルデヒドの初期重合物(Sumirez
Resin613:住友化学社)約70gを混合溶解した約60
℃に保持した約300gの水溶液中へ投入し、これを攪
拌機(特殊機械工業社:T.K.ホモミキサー)を用い
て、約60℃を保ちながら約8000rpmで約5分間
攪拌してエマルジョンを形成した後に、低速攪拌機を用
いて約300rpmで約3時間攪拌を続けてマイクロカ
プセルを作製した。
【0114】製作したマクロカプセルを多量の水で洗浄
すると同時に約80℃で乾燥させて、この乾燥したマイ
クロカプセルを室温約25℃で反射型光学顕微鏡におい
て200〜1000倍で観察した。マイクロカプセル
は、直径が約10〜100μmと広い分布であった。ま
た、どのカプセルにも相分離した界面が観察され、かつ
この界面はマイクロカプセル球の中心線付近であり、芯
軸に対して50〜55:50〜45と、ほぼ仕込んでか
つ溶解した比でマイクロカプセル中に分離していること
が確認できた。このマイクロカプセルを、昇温しながら
観察したところ、約47℃より高い温度で単一の相とな
って、界面が消失することが確認できた。
【0115】参考例3(マイクロカプセルの製造例) 参考例2においてイソオクタン:フッ素系溶媒=1:1
の混合溶媒に対して、さらに0.2重量%の青色染料
(マクロレックスブルーRR:バイエル社)と、表面を
Al系材料で処理した平均粒径0.21μmの二酸化チ
タン(CR60:石原産業(株))を15重量%、オレ
イン酸を0.3重量%添加した混合溶媒を使用した以外
は同様である。マイクロカプセルは、分級して50〜1
50μmになるようにした。
【0116】光学顕微鏡で観察すると、マイクロカプセ
ル中で相分離した片方のみが、室温付近で青色に強く着
色しており、もう一方の相はほとんど着色していないこ
とが確認できた。これは、主にイソオクタンとフッ素系
溶媒との青色染料の溶解度の差に起因していることが、
マイクロカプセル化前の混合溶媒を室温で観察すること
により確認できた。また、マイクロカプセルにおいて、
青色の相のほうに多くの二酸化チタンが含有されている
のが確認できた。これは、2相分離により、染料の着色
相と、無着色相という2つの吸光度の異なる状態を1つ
のマイクロカプセル中に包含でき、かつこれに白色粒子
を含包できたことを示す。
【0117】実施例11 表示用インクを、ディスペンサーに100マイクロリッ
トル取った後、これを手動でインクジェット用紙に滴下
して、自然乾燥させた。ディスペンサーのチップの先端
には、あらかじめ上下方向に電圧がかかり電界強度分布
ができるように直流電源に接続した2枚金属板を貼りつ
けてある。また、電圧を上部が正と負に10V印加され
る2種類で、30秒間印加した後に滴下した。表示用イ
ンクは、以下に示すように調製した。テトラクロルエチ
レン3重量部とn−ヘキサン7重量部を混合した液体に
対して、Macrolex BlueRRを約0.5w
t%溶解した。これは容易に溶解した。一方、水にポリ
エチレン粒子(Merc社製、PE)10wt%を加え
た。これは凝集が生じ易いため、撹拌により分散状態を
保持した。これら2つ溶液および分散液を1:1の重量
比で容器中で混合し、この容器に対して超音波を10分
印加したのち、さらに激しく振とうして表示用インクと
した。
【0118】比較例8 表示用インクの調整を比較例3と同様にした以外は、実
施例11とほぼ同様にして、表示用インクをインクジェ
ット用紙に滴下して、自然乾燥させた。
【0119】以下に実施例11の場合、および比較例8
の場合の結果を表6に示す。
【表6】
【0120】
【発明の効果】(1)本発明の表示インクは、染料Aに
対する溶解度が最も大きい溶媒Xと、顔料粒子Bと、溶
媒Yとからなる。この場合、顔料粒子と溶媒Xとの親和
性を、顔料粒子と他の相分離した溶媒との親和性と比較
して小さくしたことにより、顔料粒子表面に存在する染
料に対する溶解度が最も大きい溶媒Xの吸着層を減少さ
せることができ、これにより、顔料粒子と染料との混色
を減少することができる。
【0121】(2)本発明の表示インクは、具体的に
は、染料を優先的に溶解しない溶媒Yとして、染料に対
する溶解度が0.1wt%以下である溶媒を使用するこ
とにより、顔料粒子と染料の混色を減少することができ
る。
【0122】(3)本発明の表示インクは、染料に対す
る溶解度が最も大きい溶媒Xと、顔料粒子Bとの親和性
を、顔料粒子Bと他の相分離した溶媒Yの親和性と比較
して小さくすることにより、顔料粒子表面に存在する染
料に対する溶解度が最も大きい溶媒Xの吸着層を減少す
ることができ、これにより顔料粒子と染料との混色を減
少することができる。
【0123】(4)また、本発明における表示インクは
顔料、粒子表面に疎水性部分または非極性部分を存在さ
せることにより、その顔料粒子表面に染料または染料を
溶解した非極性の溶媒による染料と顔料粒子との混色を
低減できる。
【0124】また、本発明における表示インクは、顔料
Bとして、表面が疎水性または非極性である粒子を用い
るとともに、その粒子の表面に被覆層、化学吸着層また
は物理吸着層を設けることにより、顔料粒子に対する染
料の吸着、または染料を溶解した溶媒の顔料粒子への被
覆層の形成を低減させ、染料と顔料粒子との混色を低減
することができる。
【0125】また、本発明における表示インクは、その
顔料Bの少なくとも1部の粒子が電気泳動粒子であるこ
とにより、電圧により表示インクの着色を可逆的にでき
る。
【0126】また、本発明における表示インクは、その
顔料Bの少なくとも1部の粒子が磁性粒子であることに
より、磁石または電磁石をもちいて、その表示インクの
着色を可逆に容易に変化することができる。
【0127】また、本発明における表示インクは、その
顔料Bの少なくとも1部の粒子が磁性粒子でかつ電気泳
動粒子であることにより、電圧により表示インクの着色
を可逆的にできると同時に、磁力にメモリー性を増加さ
せることができる。
【0128】また、本発明における表示媒体は、上記表
示インクを平板間に介在させることにより、2相分離の
溶媒X、Yの混合状態を均一に保つことができ、これに
より画素ごとに明瞭な表示を行うことができる。
【0129】また、本発明における表示媒体は、上記表
示インクをマイクロカプセルに含有させることにより、
2相分離の溶媒X、Yの混合状態を均一に保つことがで
き、これにより、画素ごとに明瞭な表示を行うことがで
きる。
【0130】また、本発明における表示媒体は、上記表
示インクを被印刷表示媒体に付着せしめかつ溶媒を除去
させることにより、単一の表示インクにおいて、2種以
上の着色を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)(b)及び(c)は本発明の表示イ
ンクによって表示がなされる様子を説明するための表示
媒体の概念図である。
【図2】本発明の他の表示インクによって表示がなされ
ることを説明するための図である。
【図3】本発明の他の表示インクによって表示がなされ
る様子を説明するための表示媒体の概念図であり、図3
(a)は顔料にポリエチレン粒子が用いられている図、
図3(b)は顔料粒子表面に染料粒子が吸着されている
状態を表した図である。
【図4】本発明の他の表示インクの概念図であり、図4
(a)はインク中の顔料粒子を表わした図、図4(b)
は顔料粒子の表面に被膜層が形成されている状態を表し
た図、図4(c)は顔料粒子の表面に化学吸着を形成せ
しめた状態の図、図4(b)は顔料粒子の表面に物理吸着
を形成せしめた状態の図である。
【図5】図5(a)及び(b)は本発明の他の表示イン
クによって表示がなされる様子を説明するための図であ
る。
【図6】図6(a)及び(b)は本発明の他の表示イン
クによって表示がなされる様子を説明するための図であ
る。
【図7】本発明の表示媒体の概略図である。
【図8】本発明の他の表示媒体の概略図である。
【図9】図9(a)及び(b)はインクジェット方式に
よって本発明の表示インクを紙などに付着させることの
説明図である。
【図10】図10(a)は図9(b)の方法によって紙
面上に形成された記録、図10(b)は図9(b)の方法
によって紙面上に形成された記録である。
【図11】図11(a)(b)及び(c)は従来の表示
インクによって表示がなされる様子を説明するための表
示媒体の概念図である。
【図12】インクジェット方式によって従来の表示イン
クを紙等に付着させることの説明図である。
【図13】図12の方法によって紙面上に形成された記
録である。
【符号の説明】
1 染料を優先的に溶解した溶媒/分散媒(染着溶媒) 2 染料の溶解度の小さい媒体 3 顔料粒子 4 密閉容器 5 天窓 6 人の眼 8 磁石 10 顔料粒子 11 油性染料の溶解度の小さい水 12 油性染料を優先的に溶解した非極性の溶媒 13 顔料粒子 14 密閉容器 15 天窓 16 人の眼 17 被覆層 18 染料分子の吸着 20 顔料粒子 21 被覆層 23 物理吸着物質 24 水性染料を優先的に溶解した水 26 顔料粒子(ポリエチレン粒子) 29、30 直流電源 31、32 磁石 33、34 平板 35 ピラー兼隔板 36、37 電極 38 電源 39 マイクロカプセル 40 容器 44a、44b 電源 46 紙 47 染料 49 染料の被覆層 50 顔料粒子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月7日(2000.2.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】本発明では、溶媒X及び/又はYは極性溶
媒であることができる。極性溶媒としては、極性基を有
し、常温で液状を示すものであれば、任意のものを用い
ることができる。この場合、極性基には、水酸基、エー
テル基、ハロゲン基、ケトン基、エステル基、カーボネ
ート基、カルボン酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホン
基、ホスホン酸基、スルホン酸基、アミド基等が包含さ
れる。水酸基を有する極性溶媒としては、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン
等が挙げられる。エーテル基を有する極性溶媒として
は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシ
エタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,
3−ジオキソラン等が挙げられる。カーボネート基を有
する極性溶媒としては、ジメチルカーボネート、メチル
エチルカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げ
られる。ハロゲン基としてフッ素基を有するフッ素化合
物の場合には、フッ素基の有する位置、数により置換前
の極性が必ずしも保持されるわけではなく、場合によっ
て非極性的な挙動を示すこともあるので注意する必要が
ある。極性溶媒の具体例としては、前記のものの他、γ
−ブチロラクタム、アセトニトリル、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホオキシド、ヘキサメチルホスホア
ミド、ニトロメタン等が挙げられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】本発明では、染料Aを溶解させ顔料Bを分
散させる液状媒体としては、好ましくは2相に分離する
溶媒X溶媒Yとの組合せを用いる。このような溶媒の
組合せとしては、水とテトラクロルエチレン、水とトリ
クロロエチレン、水とヘキサン、水とアイソパー、水と
キシレン、水とパーフルオロオクタン、アセトンとFC
40(フッ素化炭化水素、3M社製)、水とHFE72
00(フッ素化エーテル、3M社製)、水とリン酸トレ
クレシル、さらにはテトラクロルエチレンとパーフルオ
ロオクタン、テトラクロルエチレンとHFE7200、
テトラクロルエチレンとHFE7200、キシレンとF
C40、さらには、水とキシレンとHFE7200、水
とヘキサンとFC40とHFE7200、キシレンとF
C40とHFE7200、トルエンとFC40とHFE
7200等の組み合せが挙げられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】溶媒Xと溶媒Yと染料Aと顔料Bの組み合
わせの具体例を示すと、テトラクロルエチレンとMac
rolex BlueRRと水と酸化チタン、テトラク
ロルエチレンとMacrolex BlueRRと水と
ポリエチレン、キシレンとMacrolex Blue
RRと水と酸化チタン、テトラクロルエチレンとMac
rolex BlueRRと水と鉄粉、水とキシレンと
Direct Blue119とポリエチレン、水とキ
シレンとDirect Blue119と酸化チタン
C40とアイソパーH(エクソン社)とMacrole
x BlueRRとフッ素化酸化チタン、FC40(3
M社)とアイソパーHとMacrolex BlueR
Rとテフロン粒子(三井デュポンフルロケミカル社7A
−J)等が挙げられるが、これらの組み合わせは非常に
多く、これらに限定されるものでは全くない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】顔料粒子の表面の溶媒Xに対する親和性を
低減させるための被覆用材料を例示すると、酸化チタン
顔料粒子に対する被覆用材料としては、酸化珪素、酸化
アルミニウム、ポリエチレン、フェノール樹脂、ポリエ
メルアクリレート、メラミン樹脂、ウレア樹脂、テフロ
ン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキシド等が挙げられ、ナイロン粒子
に対する被覆用材料としては、酸化チタン、酸化アルミ
ニウム等が挙げられる。顔料粒子表面に形成する被覆
は、単核の被覆が好ましいが、複数核の被覆でもかまわ
ない。これらの被覆には、高分子材料を溶媒に溶解せし
めた後に貧溶媒を添加するか、低温状態にして溶解度を
低減せしめて析出させる方法を用いることができる。ま
た、バリタイザー、コートマイザー等のメカのケミカル
的被服装置を用いることもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 均 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 早川 邦雄 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 森田 充展 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 筒井 恭治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染料Aと、顔料Bと、該染料Aを実質的
    に溶解させる溶媒Xと、該染料Aを実質的には溶解させ
    ない溶媒Yとからなり、該溶媒Xと該溶媒Yとは相互に
    完全混和しないことを特徴とする表示インク。
  2. 【請求項2】 該溶媒Yに対する該染料Aの溶解度が
    0.1wt%以下であることを特徴とする請求項1記載
    の表示インク。
  3. 【請求項3】 該顔料Bに対する溶媒Xの親和性が、該
    顔料Bに対する溶媒Yの親和性よりも小さいことを特徴
    とする請求項1又は2の表示インク。
  4. 【請求項4】 該顔料Bの少なくとも一部は、その表面
    に疎水性部分または非極性部分を有することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の表示インク。
  5. 【請求項5】 該疎水性部分又は非極性部分が、被覆
    層、化学吸着層又は物理吸着層からなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の表示インク。
  6. 【請求項6】 該顔料Bは、その少なくとも一部に磁性
    粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の表示インク。
  7. 【請求項7】 該顔料Bは、その少なくとも一部に電気
    泳動粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載の表示インク。
  8. 【請求項8】 該顔料Bは、その少なくとも一部に磁性
    を有する電気泳動粒子を含有することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載の表示インク。
  9. 【請求項9】 第3溶媒Zを含有し、該溶媒Zは前記溶
    媒X及び溶媒Yとは相互に完全混和しないものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表示イ
    ンク。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の表示
    インクを、その少なくとも一方が透明板である2つの平
    板間に介在させた構造を有することを特徴とする表示媒
    体。
  11. 【請求項11】 該表示インクが、マイクロカプセルに
    含有されていることを特徴とする請求項10の表示媒
    体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれかに記載の表示
    インクからなることを特徴とする印刷用インク。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれかに記載の表示
    インクからなることを特徴とするインクジェット印刷用
    インク。
  14. 【請求項14】 請求項1〜9のいずれかに記載の表示
    インクを被印刷物に付着させた後、該インク中の溶媒を
    除去することを特徴とする印刷方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜9のいずれかに記載の表示
    インクを被印刷物に付着させた後、該インク中の溶媒を
    除去する方法であって、該インク中の染料A含有溶媒X
    を該被印刷物に付着させた後、該インク中の顔料B含有
    溶媒Yを付着させることを特徴とする印刷方法。
  16. 【請求項16】 該印刷方法が、インクジェット印刷法
    である請求項14又は15のいずれかに記載の印刷方
    法。
  17. 【請求項17】 該被印刷物が紙である請求項14〜1
    6のいずれかに記載の印刷方法。
  18. 【請求項18】 請求項14〜17のいずれかに記載の
    印刷方法で得られた印刷物。
  19. 【請求項19】 染料A層の上に顔料B層を有すること
    を特徴とする請求項18の印刷物。
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