JP2000281430A - 黒色SiO2質耐食性部材及びその製造方法 - Google Patents

黒色SiO2質耐食性部材及びその製造方法

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JP2000281430A JP11091781A JP9178199A JP2000281430A JP 2000281430 A JP2000281430 A JP 2000281430A JP 11091781 A JP11091781 A JP 11091781A JP 9178199 A JP9178199 A JP 9178199A JP 2000281430 A JP2000281430 A JP 2000281430A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】腐食性ガス等に晒された場合においても優れた
耐食性を有し、熱処理のエネルギー効率を向上できる高
純度の黒色を呈した緻密な黒色SiO2 焼結体を得る。 【解決手段】Si以外の金属の総量が0.1重量%以
下、水酸基含有率が20ppm以下および平均粒径5μ
m以下のSiO2 粉末に、有機結合剤を添加して所定形
状に成形し、酸化雰囲気中にて250〜450℃の温度
で有機結合剤を分解して炭素を生成させた後、非酸化雰
囲気中にて1100〜1600℃で焼成し、炭素含有量
が0.05〜1.0重量%、密度が2.03〜2.21
g/cm3 、水酸基含有量が5ppm以下、Si以外の
金属の総量が0.5重量%以下であり、且つ波長200
〜16000nmの直線透過率が1%以下の非晶質焼結
体からなる耐食性部材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腐食性ガス等に晒
される熱処理用の耐食性部材として、特に半導体及び液
晶製造の分野で有用な高純度黒色SiO2 質耐食性部材
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、半導体素子や液晶などの高集積回路
形成プロセスでは不純物の混入が素子特性に影響を与え
るため、比較的容易に高純度の部材を作製できる石英ガ
ラス部材が多用されてきた。しかし、特に赤外線加熱等
熱処理プロセスにおいて、透明な石英ガラス部材を利用
する上でのエネルギーロスが近年注目されるようになっ
ており、赤外線を透過しない黒色の高純度材料が求めら
れている。
【0003】従来、石英ガラスの黒色化は、石英ガラス
中にV2 5 等、Va金属あるいはFe2 3 のような
遷移金属酸化物を着色剤として添加することによって作
製されている(特開昭54−157121号公報、特開
平7−196335号公報、特開平4−254433号
公報等参照)。しかし、このような材料は高温熱履歴に
よって変色しやすい上に、半導体に対して悪影響を及ぼ
す恐れのある着色用金属類が比較的多量に含有されてい
るため、特に半導体製造における熱処理プロセス用部材
としては好ましいとは言えなかった。
【0004】これに対し、炭化けい素や炭素を添加する
ことで不純物金属を添加することなく石英ガラスを均質
に黒色化する方法が提案されている(特開平5−170
477号公報、特開平5−306142号公報、特開平
6−122533号公報参照)。
【0005】また、石英ガラス粉体に炭素成分を添加
し、焼成することによって1〜5重量%の炭素含有黒色
石英ガラスを作製することが特開平5−306142号
公報にて提案されている。
【0006】さらに、炭素粉末とシリカ粉末の混合物を
焼成した炭素含有石英ガラスも特開平3−279209
号公報にて提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平5−1
70477号公報等に開示されるように炭化けい素を添
加すると緻密化が阻害され低密度の多孔体となるため、
熱間静水圧プレス等を用いて緻密化する必要があった。
また、ガラス化の過程で色調が変化するため、安定した
材料を得ることが困難であった。
【0008】また、上述した炭素含有黒色石英ガラスで
は耐熱性や耐酸化性には優れるものの腐食性ガス等に対
する耐食性の点では充分でなく、例えば腐食性ガスを系
内に含み、加熱するような装置内にて使用するような場
合においては、前記腐食性ガスにより前記炭素含有黒色
石英ガラスが腐食されるとともに、パーティクルが発生
することにより系内に悪影響を及ぼす等の問題があっ
た。
【0009】特に、特開平5−306142号公報にて
開示されるような1重量%を超える炭素を含有する石英
ガラスでは、腐食性ガスに接触した場合に、腐食性しや
すいという問題があった。
【0010】本発明は、腐食性ガス等に晒された場合に
おいても優れた耐食性を有し、熱処理のエネルギー効率
を向上できる高純度の黒色を呈し、半導体製造プロセス
において重大な影響を及ぼす金属不純物を含有せず、耐
熱性やプラズマ特性を劣化させる水酸基の含有量を低減
した緻密な黒色SiO2 焼結体とそれを安定的に製造す
る製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の黒色SiO2
耐食性部材は、炭素含有量が0.05〜1.0重量%、
密度が2.03〜2.21g/cm3 、水酸基含有量が
5ppm以下、Si以外の金属の総量が0.5重量%以
下であり、且つ波長200〜16000nmの直線透過
率が1%以下の非晶質焼結体からなることを特徴とする
ものである。
【0012】また、本発明の黒色SiO2 質耐食性部材
の製造方法は、Si以外の金属の総量が0.1重量%以
下、水酸基含有率が20ppm以下および平均粒径5μ
m以下のSiO2 粉末に、有機結合剤を添加して所定形
状に成形し、該成形体を酸化雰囲気中にて250〜45
0℃の温度で熱処理して前記有機結合剤を分解して炭素
を生成させた後、非酸化雰囲気中にて1100〜160
0℃で焼成し、密度2.03〜2.21g/cm3 、炭
素含有量0.05〜1.0重量%の焼結体を得ることを
特徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明の黒色SiO2 系耐食性部材は、波長2
00nmから16000nmまでの遠赤外領域までの幅
広い波長領域での直線透過率が1%以下(実質的に測定
装置の検出限界以下)であることから、特に半導体製造
時における熱処理用部材に用いた場合、透明石英ガラス
部材に比較して熱効率の向上に有効である。また、実質
的に非晶質相のみからなるために、少なくとも1400
℃の温度まで結晶化、変色することなく特性を保持する
ことができる。
【0014】さらに、水酸基含有量が5ppm以下であ
るために、腐食性ガスに対して高い耐食性を示すととも
に、熱処理プロセスにおける高温熱履歴に対しても高い
強度を保ち、また、プラズマ処理プロセスにおいても水
酸基の放出によりプラズマに悪影響を与えることはな
い。
【0015】また、上記特性の黒色SiO2 焼結体を製
造するにあたり、Si以外の金属の総量が0.1重量%
以下、水酸基の含有率が20ppm以下、平均粒径5μ
m以下のSiO2 粉末に、有機結合剤を添加して所定形
状に成形し、該成形体を酸化雰囲気中にて250〜45
0℃の温度で熱処理して、有機結合剤を分解させて炭素
を生成せしめることにより、炭素をSiO2 ガラスネッ
トワーク中に固溶しやすい状態に転化することができ、
その後、真空あるいは非酸化雰囲気中にて1100〜1
600℃で焼成することにより、前記優れた特性を有す
る部材を安定して製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の黒色SiO2 質耐食性部
材は、HF、HC1、ClF3 などのハロゲン含有ガス
に代表される腐食性ガスと接触する、例えば半導体素子
や液晶などの高集積回路形成プロセス、特にランプアニ
ール、CVD、拡散炉等熱処理装置のベルジャー、リン
グ、炉心管等の部材として有用であり、特に、波長20
0〜16000nmの直線透過率が1%以下であるため
に、透明な石英ガラスでは光として外部に放出されてい
たエネルギーを逃さず利用することが可能となり、熱効
率の向上に有効である。
【0017】本発明の黒色SiO2 質耐食性部材は、組
成上、炭素を0.05〜1.0重量%、特に0.2〜
0.8重量%含有し、残部が実質的にSiO2 からなる
焼結体からなるものである。この炭素は、焼結体を黒色
化する成分であるが、炭素含有量が0.05重量%に満
たない場合は、色むらが生じて均質な黒色を呈すること
が困難であり、光透過率が1%よりも増大してこれを部
材として使用した場合、熱効率の向上に効果が認められ
ない。
【0018】また、炭素含有量が1.0重量%を越える
と、焼結性が急激に低下し、所定の密度が得られず多孔
体となる。また、焼成温度を上げても炭素とシリカの反
応によりガスが発生するために発泡体となり強度が大き
く低下する。
【0019】また、この耐食性部材を構成する焼結体
は、密度が2.03〜2.21g/cm3 、特に2.1
0〜2.20g/cm3 である。この密度が2.03g
/cm3 よりも低いと、気孔の残留により強度が低下す
るとともに光透過率が増加し、2.21g/cm3 より
も大きいと、SiO2 が結晶化したり、炭素がSiC化
して耐熱性が低下する。
【0020】さらに、本発明におけるSiO2 焼結体
は、実質的に非晶質のみからなるものである。SiO2
+C系においては、クオーツ、クリストバライトや炭化
けい素などの結晶相が生成されやすいが、本発明では、
X線回折測定などの既知の結晶相検出方法によっても、
これらの結晶相が検出されないものである。これは、結
晶相が存在すると高温熱履歴を繰り返した場合、結晶相
が成長したり、非晶質相と結晶相との熱膨張差により亀
裂が生じる等によって部材の寿命が低下してしまうため
である。
【0021】本発明におけるSiO2 焼結体に含有され
る炭素の存在形態は、上述したように炭化けい素結晶相
が確認されないこと、同程度の炭素含有量を有しながら
も製造方法によっては透明体や結晶相を有する白色体と
なることから、本発明の焼結体では微細なSiO2 粒子
間に均一に分散した炭素源となりうる結合剤が、熱処理
により分解してガラスネットワーク中にとりこまれ、焼
成過程で均一に固溶して黒色化しているものと考えられ
る。
【0022】また、水酸基含有量が5ppm以下、特に
1ppm以下であることが重要である。この水酸基は、
腐食性ガスと接触した場合において、ガスと反応してガ
ラスのネットワークを切断し、さらに反応を促進するた
めに耐食性を著しく低下させてしまう。また、高温での
耐熱性が低く、高温熱履歴を繰り返すことにより部材が
変形するなどの問題がある。さらに、部材をプラズマ中
にて利用する場合、部材表面のプラズマに対する耐食性
が低下し、部材からの水酸基の放出によりプラズマ状態
に悪影響を与えてしまい、プラズマ装置内のエッチング
率分布やバッチ間のばらつきが生じやすくなる。
【0023】なお、上記水酸基の含有率C(ppm)
は、波長2.60μmおよび2.73μmの赤外線の透
過率を測定し、Lambert−Beerの式に基づ
き、下記数1によって算出することができる。
【0024】
【数1】
【0025】また、半導体素子製造時の不純物の混入防
止などを考慮して、Si以外の金属含有量が0.5重量
%以下、特に0.3重量%以下、0.1重量%以下であ
ることが必要である。
【0026】また、腐食性ガスとの接触時における耐食
性を向上させる上で、上記のSiO 2 焼結体からなる部
材表面の平均表面粗さRaが1μm以下、特に0.5μ
m以下、さらには0.1μm以下であることが望まし
い。これは、表面粗さが荒いと腐食性ガスとの接触面積
が大きくなり、腐食の進行を早めてしまうためである。
【0027】次に、上記黒色SiO2 質耐食性部材を製
造する方法としては、原料粉末として、Si以外の金属
の総量が0.1重量%以下、特に0.05重量%以下、
水酸基含有率20ppm以下、特に15ppm以下、平
均粒径5μm以下、特に1μm以下の高純度のSiO2
粉末を準備する。特にこのSiO2 粉末は、天然原料よ
りも合成原料であることが望ましい。
【0028】このSiO2 原料粉末のSi以外の金属の
総量が0.1重量%よりも多いと、最終的に焼結体中の
Si以外の金属総量を0.5重量%以下とすることが困
難となり、部材から半導体素子への不純物の混入や不純
物のパーティクル化を生じる以外に、焼結体内部で不純
物金属を結晶核とした結晶化が進行して白色化したり、
耐熱性の低下、熱履歴による変質等の問題が発生し目的
とする非晶質焼結体が得られないためである。
【0029】なお、原料の平均粒径が5μmよりも大き
いと、焼結に必要な温度が融点近くまで上昇し、粉末が
溶融して炭素とシリカの反応によりガスが発生し、発泡
体となるため目的の焼結体が得られない。従って、平均
粒径5μm以下の原料粉末を使用することにより、融点
よりも100℃以上低い温度にて溶融することなく緻密
な焼結体を作製することができる。
【0030】また、原料粉末の水酸基含有率が20pp
mを越えると、焼結体中に残留する水酸基を5ppm以
下とすることが困難となる。原料中の水酸基は合成後の
処理によって除去することが困難なため、水酸基含有率
の低い焼結体を得るためには、原料中の水酸基量を極力
無くする必要がある。この水酸基含有率を低減するに
は、例えば酸化可能な珪素化合物をレーザー加熱により
酸素ガスと反応させる方法(特公昭53−2443
号)、水素雰囲気で加熱処理する方法(特開平5−25
4859号公報)等を行えばよい。
【0031】原料の合成法としては、結果として先にあ
げた特性を有するSiO2 粉末を得られるのであればど
のような方法でも構わないが、水酸基含有率の少ない微
粉末を得るという点からすると、SiCl4 の高温加水
分解法、酸素或いは酸素、Ar混合プラズマ中で反応さ
せるプラズマ法、高純度金属Si粉末を酸化気流中で燃
焼させる方法が望ましい。珪酸アルコキシドを原料とす
るゾルゲル法は化学吸着水を多量に含有する場合が多い
ため、本発明の焼結体を作製する原料としては好ましい
とは言えない。
【0032】次に上記粉末に、炭素源となりうるワック
ス、ポリビニルアルコール等の有機結合剤をイソプロピ
ルアルコールや水などの溶媒とともに添加し均一に混合
する。所望により解砕、粉砕処理を別途あるいは同時に
施すことも可能である。
【0033】その後、この混合原料を所定形状に成形す
る。成形法としては、目的とする部材の形状に合わせ適
当な成形方法を選択して構わない。具体的には金型プレ
ス成形、等方静水圧プレス成形等の乾式成形法、鋳込み
成形、押し出し成形、射出成形等の湿式成形法のいずれ
を利用しても構わない。
【0034】なお、湿式にて解砕、粉砕等を行う場合、
溶媒は特に限定しないが、例えば水を利用しても焼結体
の水酸基含有率には何ら影響しない。
【0035】このようにして成形したSiO2 成形体
を、酸化雰囲気中にて250〜450℃の温度で熱処理
することにより、脱脂及び分解処理を行う。このとき、
真空あるいは非酸化雰囲気で処理を行うと、結合剤が分
解しないまま蒸発し、黒色化に必要な残炭量が得られな
い。また、熱処理温度が250℃より低い場合は未分解
のまま残留した結合材が焼成中に分解することなく脱脂
され、焼結体が均一に黒色化されない。また、450℃
を超えると炭素の酸化が顕著となり炭素含有量は0.0
5重量%未満となるため黒色の焼結体が得られない。
【0036】また、この段階で分解し残留した炭素は焼
成によってもほとんど量的に変化しないため、熱処理温
度は本発明にて指定した温度範囲内で、添加した結合剤
等の分解温度に応じて適宜選択し、必要な炭素量を調整
しても構わない。
【0037】このようにして処理したSiO2 成形体
を、真空或いは窒素ガス、アルゴンガス、水素とアルゴ
ンとの混合ガス等による非酸化雰囲気中で1100〜1
600℃、より好ましくは1250〜1450℃の温度
範囲で焼成することにより、焼結の過程で成形体中に均
一に分散している炭素が反応することなくガラスネット
ワーク中に取り込まれ緻密で均一に黒色化したSiO2
焼結体からなる部材を得られる。
【0038】また、焼結体中の水酸基含有率を低減する
上では、真空焼成の方が望ましいが、前記非酸化雰囲気
中でも水酸基含有率5ppm以下は達成可能である。な
お、真空焼成時の真空度は、0.2Torr以下が望ま
しい。
【0039】これに対し、空気中等の酸化雰囲気中で焼
成した場合には、先の熱処理過程と同様な理由で黒色化
ができないことに加え、焼結体中の水酸基含有率が10
0ppm以上となり目的とする黒色のSiO2 焼結体を
作製できない。
【0040】また、焼成温度が1100℃より低いと、
焼結性が低下するため緻密な焼結体が得られず、炭素の
固溶も不充分なために白色または灰色あるいは色むらの
ある焼結体となる。さらに、1600℃より高いと、原
料粒径が微細なため溶融を開始し、全体がガラス化して
形状を保てないだけでなく、炭素とSiO2 の反応によ
りガスが生じ、多量の気泡を含有した発泡体となり、黒
色化に必要な炭素が消費されるため目的の黒色のSiO
2 焼結体が得られない。
【0041】このようにして得られた黒色のSiO2
結体は、適用する部材形状に応じて、そのままあるいは
研削加工などによって所望の形状の部材を作成できる。
また、腐食性ガスと接触する部材の目的によりそのまま
洗浄して使用することも可能だが、適宜研削、研磨して
所望の形状に加工することもできる。
【0042】
【実施例】金属Si微粉末を酸素気流中で燃焼させて製
造した、Si以外の金属量が0.01〜0.2重量%、
水酸基含有率10〜25ppm、平均粒径0.2〜15
μmのSiO2 原料粉末を用いて焼結体を作製し物性を
評価した。
【0043】焼結体の作製方法は、まず超純水を溶媒と
してボールミルにて上記原料粉末を湿式解砕し、有機結
合剤として表1の種々の化合物を添加してスラリーを作
製した。湿式解砕時のメディアとしては高純度SiO2
ボールを用いた。このスラリーを造粒した原料粉体を
0.8ton/cm2 の荷重で金型プレスにて成形し、
これを表1の条件で脱脂した。
【0044】このようにして作製した脱脂体を、表1の
焼成条件で焼成し、得られたSiO2 焼結体について以
下の特性を測定した。
【0045】特性評価として、焼結体密度は、嵩密度を
アルキメデス法にて測定した。焼結体の色調は、焼結体
の中心付近を切り出し1mmの厚さに加工したものを目
視にて判断した。光の直線透過率は、1mmの厚さに加
工したものを、200〜16000nmの波長にて光透
過率を測定し、その最大値を示した。水酸基含有率は、
IR(赤外線吸収スペクトル)測定を行い、前記数1に
基づき算出した。
【0046】焼結体の結晶相は、焼結体の中心部を切り
出してを粉砕し、粉末X線回折法にて測定した。材料強
度は、焼結体から4mm×3mm×50mmの試験片を
切り出し、JISR1601に基づき4点曲げ試験によ
って抗折試験を行った。
【0047】耐熱性は、焼結体を1400℃で2時間保
持し、重量、寸法、色調の変化や亀裂の有無を評価し
た。
【0048】さらに、耐食性は、直径が200mmの焼
結体を作製し、その表面を平均表面粗さRaが0.08
μmとなるように鏡面研磨した後、これをRIE(反応
性イオンエッチング)装置にてHFのプラズマに室温で
曝し、エッチングレートを測定した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表1、表2の結果によれば、空気中にて脱
脂した試料No.1〜10のうち、焼成を空気中で行った
試料No.8は焼成過程で炭素成分が酸化されて脱離し、
焼結体中の炭素量が不足したため透明な焼結体となっ
た。また、多量の水酸基が焼結体中に残存していたため
高温で粘性が低下し変形した。
【0052】試料No.9は脱脂温度が低く、結合剤の分
解が進まず遊離炭素を核として結晶化が生じて半透明の
焼結体となった。高温では、内在した微細な結晶が成長
し、マイクロクラックが発生したため部分的に白濁して
しまった。
【0053】試料No.10は脱脂温度が高く、炭素に分
解した結合剤が酸素と反応して脱離し、炭素含有量が少
ない透明体となった。試料No.11は脱脂処理を行わず
成形体をそのまま焼成した結果、焼成中に、結合剤が酸
化分解することなく除去されたため透明体となった。
【0054】試料No.12、13は酸化雰囲気でないた
め脱脂中に、結合剤が分解しないまま融解、脱離し、炭
素含有量の少ない透明な焼結体となった。これらの透明
な焼結体は、高温で熱処理すると、特に不純物金属を含
有しない限り表面から結晶化が進行し、白濁して使用に
耐えない。
【0055】焼成温度をかえた試料14〜17のうち、
試料No.14は焼成温度が低すぎるため緻密化せず、試
料No.17は逆に焼成温度が高すぎるためSiO2 と炭
素が反応してSiC結晶を形成して暗緑色となり、さら
に反応時に発生したガスにより内部に気泡が生じて密度
が低下した。
【0056】原料の純度をかえた場合、試料No.19は
Si以外の金属量が0.1重量%よりも多いために焼結
体中のSi以外の金属量が増加し暗褐色に着色するとと
もにその不純物を核として結晶化がおこり高温ではさら
にそれが進んで白濁した。
【0057】原料中の水酸基含有率については、20p
pmを越える試料No.21では焼成工程にて水酸基が除
去しきれず残留し、高温での変形の原因となっている。
【0058】原料の平均粒径に関しては、5μmを越え
る試料No.25、26では炭素がSiO2 と反応しない
温度では緻密化が困難であった。
【0059】また、炭素源としてグラファイトを添加し
た試料No.28では炭素含有量が1%を越えているため
焼結が阻害され、さらに結晶化が生じて目的とする黒色
SiO2 焼結体を得ることができなかった。また、試料
No.29のように炭素源となる結合剤等を添加しなかっ
た場合には黒色化できなかった。
【0060】それに対し、本発明におけるSiO2 焼結
体である試料No.1〜7、15、16、18、20、2
2〜24、27では、密度2.03〜2.21g/cm
3 、直線透過率が200〜16000nmの波長で最大
1%以下であった。また、水酸基含有率が5ppm以下
であり、結晶相を持たないことから1400℃にて熱処
理を行っても変形、変色を起こさない耐熱性を有し、し
かも、エッチングレート50nm/min以下の優れた
耐食性を示した。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
金属不純物を含有せず、耐熱性やプラズマ特性を劣化さ
せる水酸基含有量を低減し、腐食性ガスとの接触におい
ても高い耐食性を有する緻密な焼結体を耐食性部材とし
て用いることにより、半導体製造プロセスにおいて、部
材の長寿命化とともに、重大な影響を及ぼす金属不純物
の混入がなく、熱処理のエネルギー効率を向上させるこ
とが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 敏幸 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社国分工場内 Fターム(参考) 4G030 AA37 AA60 BA33 GA11 GA27 PA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素含有量が0.05〜1.0重量%、密
    度が2.03〜2.21g/cm3 、水酸基含有量が5
    ppm以下、Si以外の金属の総量が0.5重量%以下
    であり、且つ波長200〜16000nmの直線透過率
    が1%以下の非晶質焼結体からなることを特徴とする黒
    色SiO2 質耐食性部材。
  2. 【請求項2】Si以外の金属の総量が0.1重量%以
    下、水酸基含有率が20ppm以下および平均粒径5μ
    m以下のSiO2 粉末に、有機結合剤を添加して所定形
    状に成形し、該成形体を酸化雰囲気中にて250〜45
    0℃の温度で熱処理して前記有機結合剤を分解して炭素
    を生成させた後、非酸化雰囲気中にて1100〜160
    0℃で焼成し、密度2.03〜2.21g/cm3 、炭
    素含有量0.05〜1.0重量%の焼結体を得ることを
    特徴とする黒色SiO2 耐食性部材の製造方法。
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