JP2000279510A - 体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法 - Google Patents

体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2000279510A
JP2000279510A JP11089385A JP8938599A JP2000279510A JP 2000279510 A JP2000279510 A JP 2000279510A JP 11089385 A JP11089385 A JP 11089385A JP 8938599 A JP8938599 A JP 8938599A JP 2000279510 A JP2000279510 A JP 2000279510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer tube
balloon
distal end
lumen
catheter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11089385A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Kumai
裕司 熊井
Kenichi Narai
謙一 成相
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP11089385A priority Critical patent/JP2000279510A/ja
Publication of JP2000279510A publication Critical patent/JP2000279510A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Surgical Instruments (AREA)
  • Endoscopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な湿潤性を付与され、体腔内への挿入性
に優れたバルーンカテーテルを提供する。 【解決手段】 バルーン拡張用ルーメン10が長手方向
に沿って形成してある外チューブ6と、前記バルーン拡
張用ルーメン10と内部が連通するバルーン部4と、前
記バルーン部の内部と前記外チューブ6のバルーン拡張
用ルーメン10の内部とに軸方向に延在する内チューブ
12とを有するバルーンカテーテル。当該バルーンカテ
ーテルの前記外チューブ6の外周は、前記外チューブ6
の表面とジイソシアナート化合物とを接触させ、次に、
ポリエチレンオキサイド及びジシクロアミジン化合物と
接触させることによりポリエチレンオキサイドを被覆し
てある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な湿潤性を付
与されたバルーンカテーテルに関し、詳しくは、体腔内
への挿入性に優れたバルーンカテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】血管の狭窄に由来する疾病には、バルー
ンカテーテルによって、簡便に処置、回復させる経皮的
血管内冠状動脈形成術(Percutaneous T
ransluminal Coronary Angi
oplasty)カテーテル(以下、「PTCAカテー
テル」と記す。)が頻繁に用いられている。
【0003】上記のPTCAカテーテルには、オーバー
・ザ・ワイヤ方式のバルーンカテーテルとモノレール方
式のバルーンカテーテルとがある。オーバー・ザ・ワイ
ヤ方式のバルーンカテーテルは、カテーテルチューブの
全長にわたりガイドワイヤ用ルーメンが形成してあり、
そのルーメン内に沿ってガイドワイヤを挿通し、そのガ
イドワイヤに沿ってバルーン部を狭窄部へと案内するも
のである
【0004】一方、モノレール方式のバルーンカテーテ
ルでは、カテーテルチューブの途中に、開口部を形成
し、その開口部からガイドワイヤ挿通用ルーメンを通し
て、バルーン部の遠位端まで導くものである。このた
め、この方式のバルーンカテーテルでは、バルーンカテ
ーテルの交換のために体外側に延びるガイドワイヤの長
さは、開口部からバルーン遠位端までの長さに相当する
長さよりも少し長い程度で良く、オーバー・ザ・ワイヤ
方式のものに比較して、短くすることができる。
【0005】PTCAカテーテルは、例えば、心臓の冠
状動脈の処置では、まず冠状動脈入り口までガイディン
グカテーテルが挿入され、次に、ガイドワイヤーが狭窄
部を超えて挿入される。そして、バルーンカテーテルが
狭窄部まで押し込まれ、狭窄部を拡張するものである。
このときのバルーンカテーテルの狭窄部への入り易さ
は、狭窄通過性と呼ばれる。
【0006】このような狭窄通過性を良好にするため
に、バルーンカテーテルを体腔内に挿入するときの摩擦
係数を低下させるべく、その材料の表面に、例えばポリ
エチレンオキサイドのような水溶性高分子化合物を固定
し、湿潤時にその表面が潤滑性を有するように処理する
方法が幾つか報告されている。
【0007】例えば、特開昭58−193766号公報
には、ポリ塩化ビニル樹脂製尿道カテーテル等の医療用
器具を、4,4’−ジフエニルメタンジイソシアネート
等のイソシアネート化合物の溶液に浸漬し、次いで、ポ
リエチレンオキサイドを(必要により触媒としてトリエ
チレンジアミン等のジアミン化合物を併用して)溶解し
た溶液に浸漬した後、70℃程度で加熱することによ
り、医療用器具にポリエチレンオキサイド−ポリ尿素共
重合体の親水性表面が形成されるとされている。
【0008】また、特開平1−195863号公報で
は、ポリウレタン樹脂シートを、4,4’−ジフエニル
メタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物の溶
液に浸漬し、次いで、ポリエチレンオキサイド等を溶解
した溶液に浸漬した後、60℃で加熱することにより、
上記シート表面にポリエチレンオキサイドがイソシアネ
ート基等の反応性官能基と共有結合した被覆層が形成さ
れるとされている。
【0009】しかし、これらの従来の方法では、ポリエ
チレンオキサイドを固定化するために、60℃以上ある
いは70℃以上の比較的高温で、かつ、長時間の熱処理
が必要とされる。そのために、例えば、医療用具の材料
としてブロー成形したポリエチレン製バルーンを用いる
バルーンカテーテル等では、長時間の熱処理によって、
ポリエチレン分子の配向が失われ、その機械的特性が低
下する等の問題が生じることがあり、その解決策が必要
とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、バル
ーンカテーテルの材料の機械的特性を低下させることな
く、比較的低温で、バルーンカテーテルの外チューブの
外周に効率よくポリエチレンオキサイドを固定化するこ
とによって、バルーンカテーテルを体腔内に挿入すると
きの摩擦係数が低下し、狭窄通過性が良好なバルーンカ
テーテルを提供することにある。
【0011】そこで本発明者は鋭意検討の結果、従来、
イソシアネートの架橋剤として知られているトリエチレ
ンジアミン等にかえて、環状の強塩基性化合物であるジ
アザビシクロウンデセンを添加することにより、室温程
度の熱処理の条件で、ポリエチレンオキサイドがポリエ
チレン製チューブの表面に固定化することを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、下記(1)及び(2)が提供される。 (1)少なくとも一つのバルーン拡張用ルーメンが長手
方向に沿って形成してある外チューブと、前記外チュー
ブの遠位端部にバルーン部の近位端部が接合され、前記
バルーン拡張用ルーメンと内部が連通するバルーン部
と、前記バルーン部の内部に密閉された拡張用空間を形
成するように、バルーン部の遠位端部が内チューブの遠
位端部に接合され、前記バルーン部の内部と前記外チュ
ーブのバルーン拡張用ルーメンの内部とに軸方向に延在
する内チューブとを有するバルーンカテーテルであっ
て、当該バルーンカテーテルの前記外チューブの外周
が、前記外チューブの表面とジイソシアナート化合物と
を接触させ、次に、ポリエチレンオキサイド及びジシク
ロアミジン化合物と接触させることによりポリエチレン
オキサイドを被覆してなるバルーンカテーテル。 (2)少なくとも一つのバルーン拡張用ルーメンが長手
方向に沿って形成してある外チューブの遠位端部に、バ
ルーン部の近位端部を前記バルーン拡張用ルーメンとバ
ルーン部の内部とが連通するように接合するバルーン部
近位端部接合工程と、前記バルーン部の内部と前記外チ
ューブのバルーン拡張用ルーメンの内部とに内チューブ
を軸方向に延在させ、前記内チューブの遠位端部を、前
記バルーン部の内部に密閉された拡張用空間を形成する
ように、前記バルーン部の遠位端部に接合する工程と、
前記外チューブにプラズマ照射を施す工程と、前記外チ
ューブ表面とジイソシアナート化合物とを接触させ、次
に、ポリエチレンオキサイド及びジシクロアミジン化合
物とを接触させる工程を有するバルーンカテーテルの製
造方法。
【0013】本発明のバルーンカテーテルは、前記外チ
ューブの遠位端部から80cm程度まで、前記ポリエチ
レンオキサイドが被覆してなることが好ましい。
【0014】前記バルーンカテーテルの外チューブ表面
に、プラズマ処理を施す場合は、窒素ガス雰囲気下で行
うことが好ましい。また、プラズマ処理の後、上記外チ
ューブの表面にポリウレタン系接着剤をコーティングす
ることが好ましい。
【0015】本発明のバルーンカテーテルは、PTCA
カテーテルであることが好ましい。
【0016】本発明のバルーンカテーテルは、オーバー
・ザ・ワイヤ方式またはモノレール方式のいずれも採用
することができる。オーバー・ザ・ワイヤ方式の場合、
前記バルーン部の内部と前記外チューブ部材のバルーン
拡張用ルーメンの内部とに軸方向に延在する内チューブ
は、その近位端開口部は、当該外チューブの近位端及び
コネクタを貫通して外部に開口する。
【0017】モノレール方式の場合は、前記内チューブ
の近位端開口部が、前記外チューブの長手方向の途中に
位置するチューブ壁を貫通して外部に開口するように、
前記内チューブの近位端開口部と、前記外チューブのチ
ューブ壁とが気密に熱融着してあることが好ましい。
【0018】または、前記外チューブは、第1外チュー
ブ部材と、当該第1外チューブ部材の近位端部に接合さ
れた第2外チューブ部材とで構成されていても良い。こ
の場合、たとえば、第2外チューブ部材を、第1外チュ
ーブ部材に比較して硬度が高い材料で構成したり、第2
外チューブ部材のみに補強材を含有(被着も含む)させ
たりしても良い。または、第2外チューブ部材を、遠位
端から近位端側に向けてテーパ状に外径が小さくなるテ
ーパ状チューブとしても良い。さらには、第2外チュー
ブ部材のみを、円形断面ではない異形断面としても良
い。
【0019】この場合において、第2外チューブ部材
は、第1外チューブ部材に比較して、曲げ剛性(E
I;Eは材料のヤング率、Iは断面二次モーメン
ト)が高くなるように、異なる材料、または異なる断面
形状を有することが好ましい。
【0020】当該バルーンカテーテルの製造方法は、少
なくとも一つのバルーン拡張用ルーメンが長手方向に沿
って形成してある外チューブの遠位端部に、バルーン部
の近位端部を、前記バルーン拡張用ルーメンとバルーン
部の内部とが連通するように接合するバルーン部近位端
部接合工程と、前記バルーン部の内部と前記外チューブ
のバルーン拡張用ルーメンの内部とに内チューブを軸方
向に延在させ、前記内チューブの遠位端部を、前記バル
ーン部の内部に密閉された拡張用空間を形成するよう
に、前記バルーン部の遠位端部に接合する工程と、前記
外チューブにプラズマ照射を施す工程と、前記外チュー
ブ表面とジイソシアナート化合物とを接触させ、次に、
ポリエチレンオキサイド及びジシクロアミジン化合物と
を接触させる工程とを有する。
【0021】
【作用】本発明のバルーンカテーテルは、前記外チュー
ブの外周に効率よくポリエチレンオキサイドが固定化さ
れ、当該バルーンカテーテルを体腔内に挿入するときの
摩擦係数が低下し、例えば、血管内の狭窄通過性が大幅
に改良される。
【0022】本発明によれば、ジシクロアミジン化合物
を触媒として使用することにより、従来の方法と比較し
て低温で加熱処理を行うことで前記バルーンカテーテル
の外チューブの表面に、ポリエチレンオキサイドを固定
化することができる。そのため、例えば、ブロー成形し
たポリエチレン製バルーンを用いるバルーンカテーテル
においてポリエチレン分子の配向が失われる等の問題が
生じることがなく、バルーンの性能を低下させることが
ない。
【0023】なお、本発明のバルーンカテーテルにおい
て、外チューブを、比較的柔軟性のある遠位端側第1外
チューブ部材と、当該第1外チューブに接合される比較
的剛性が高い近位端側製第2外チューブ部材で構成する
場合は、カテーテルチューブの遠位端側が柔軟になり、
曲がりくねった血管などの体腔内での挿入特性がさらに
向上する。
【0024】本発明において、外チューブを、円形断面
の第1外チューブ部材と、当該第1外チューブ部材の近
位端部に接合された楕円形断面のフツ素樹脂製第2外チ
ューブ部材とで構成した場合には、外チューブの近位端
側の横断面が楕円形になることにより、例えばキッシン
グメソッドなどのように、血管に同時に二以上のバルー
ンカテーテルを挿入する際に、狭い血管内でも、血管に
負担をかけることなく挿入することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。図1(A)は本発明の1実施形
態に係るバルーンカテーテルの全体構成図、図1(B)
は図1(A)に示すIB−IB線に沿う断面図、図1
(C)は図1(A)に示すIC−IC線に沿う断面図、
図1(D)は図1(A)に示すID−ID線に沿う断面
図、図1(E)は図1(A)に示すIE−IE線に沿う
断面図を示す。
【0026】図2は図1(A)に示すバルーンカテーテ
ルの要部縦断面図、図3(A)は本実施形態に係るバル
ーンカテーテルの製造過程を示す第1外チューブおよび
バルーン部の斜視図、図3(B)はバルーンカテーテル
の製造過程に用いるヒートシール用チューブの斜視図、
図4(A)及び図4(B)、図5(A)及び図5
(B)、図6(A)、図6(B)及び図6(C)はバル
ーンカテーテルの製造過程を示す要部斜視図である。
【0027】図1に示す本実施形態に係るバルーンカテ
ーテル2は、例えば経皮的冠動脈形成術(PTCA)、
四肢等の血管の拡張術、上部尿管の拡張術、腎血管拡張
術などの方法に用いられ、血管あるいはその他の体腔に
形成された狭窄部を拡張するために用いられる。以下の
説明では、本実施形態のバルーンカテーテル2をPTC
Aに用いる場合を例として説明する。
【0028】本実施形態の拡張用バルーンカテーテル2
は、いわゆるモノレール方式のバルーンカテーテルであ
り、バルーン部4と、カテーテルチューブとしての外チ
ューブ6と、コネクタ8とを有する。外チューブ6は、
比較的柔軟性のある第1外チューブ部材6aと、当該第
1外チューブ部材6aに接合部9にて接合される比較的
剛性が高い第2外チューブ部材6bとで構成してある。
【0029】本実施形態は、内チューブの近位端開口部
が、第1外チューブ部材6aの長手方向の途中に位置す
るチューブ壁を貫通して外部に開口し、内チューブの近
位端開口部と、第1外チューブ部材6aのチューブ壁と
が気密に熱融着してある構造を採用することにより、バ
ルーンカテーテルの遠位端部のみが、いわゆる同軸構造
のカテーテルチューブ構造となるものである。
【0030】本実施形態では、図1(C)に示すよう
に、第2外チューブ部材6bの横断面外形形状は、Y軸
方向に細長い楕円形状を有し、外チューブ部材6の断面
で、Y軸と垂直なX軸方向のカテーテルチューブの最大
断面幅xmと、Y軸方向の最大断面幅ymとの比(xm
/ym)が、0.8〜0.1の範囲にあり、断面半円形
の第3ルーメン24および断面円形の第4ルーメン26
が、前記Y軸方向に沿って分離して形成してある。
【0031】第3ルーメン24の半円形の横断面積は、
バルーン拡張用圧力流体が流通するために十分な横断面
積であれば良く、特に限定されないが、好ましくは0.
08〜0.20mmである。また、第4ルーメン2
6の円形の横断面積は、内部に補強ロッド28が挿入さ
れるために十分な面積であれば良く、特に限定されない
が、好ましくは0.05〜0.5mm、さらに好ま
しくは0.1〜0.2mmである。
【0032】本実施形態では、第2外チューブ部材6b
の断面において、Y軸方向の最大断面幅ymは、0.6
〜1.2mm程度が好ましい。第2外チューブ部材6b
の遠位端は、断面円形の第1外チューブ部材6aの近位
端に対して接合されるため、その接合部9付近の横断面
形状は、第1外チューブ部材6aとの円形断面形状と一
致させるために、接合部9に向けて、異形断面から円形
断面に徐々に変化するような断面形状とする。
【0033】この第2外チューブ部材6bの長手方向に
沿って形成された第3ルーメン24は、第1外チューブ
部材6aの第1ルーメン10と連通し、これらを通し
て、バルーン部4の拡張用空間に流体の出し入れを行
う。第2外チューブ6bの第4ルーメン26は、補強ロ
ッド28を挿入するためのルーメンであり、第1外チュ
ーブ部材6aの第1ルーメン10とも連通するが、この
ルーメン26の近位端は、コネクタ8の部分で閉じられ
ており、流体の出入りは行わない。コネクタ8には、第
2外チューブ部材6cの近位端部が連結され、第2外チ
ューブ6bの第3ルーメン24に対して連通するポート
が形成してある。ポートは、圧力流体の出入りを行う部
分であり、第4ルーメン26には連通しないようになっ
ている。
【0034】図1(B)、(C)および(F)に示す補
強ロッド28は、第2外チューブ部材6bの第4ルーメ
ン26の内部に、全長に亘り挿入され、その遠位端部
は、第1外チューブ部材6aとの接合部9を乗り越え
て、第1外チューブ部材6aの第1ルーメン10内に飛
び出している。補強ロッド28の近位端部は、断面円形
であり、途中から遠位端側に向けてテーパ状に細くな
り、さらに遠位端部では、断面平板形状に成るように、
その断面形状が徐々に変化している。断面平板状の補強
ロッド28の遠位端部は、図1(D)および図2に示す
ように、内チューブ12の近位端開口部22をも僅かに
(好ましくは1〜10cm程度)乗り越えた位置で、第
1外チューブ部材6aの内壁に対して熱融着または接着
などの手段で接合してある。
【0035】なお、補強ロッド28の最大外径は、第2
外チューブ部材6bの第4ルーメン26の内部に挿入可
能に決定され、特に限定されないが、好ましくは0.3
〜0.6mmである。
【0036】図1および図2に示すバルーン部4は、両
端部が縮径された筒状の膜体で構成され、その膜厚は、
特に限定されないが、15〜300μm、好ましくは3
0〜150μmである。バルーン部4は、筒状であれ
ば、特に限定されず、円筒または多角筒形状でも良い。
また、拡張時のバルーン部4の外径は、通常1.5〜1
0.0mm程度、好ましくは、3〜7mmである。バル
ーン部4の軸方向長さは、特に限定されないが、15〜
50mm、好ましくは20〜40mmである。拡張する
前のバルーン部4は、内チューブ12の周囲に折り畳ま
れて巻き付けられ、可能な限り外径が小さくなってい
る。
【0037】図2に示すように、第1外チューブ部材6
aの遠位端部外周には、バルーン部4の近位端部5が熱
融着または接着などの手段で接合してあり、第1外チュ
ーブ部材6aの第1ルーメン10がバルーン部4の内部
拡張用空間と連通するようになっている。バルーン部4
の遠位端部7は、内チューブ14の遠位端部外周に対し
て熱融着または接着などの手段で接合してあり、バルー
ン部4の内部拡張用空間は、第1ルーメン10以外で
は、外部に対して密封してある。第1外チューブ部材6
aの第1ルーメン10は、バルーン部4の内部拡張空間
に流体を送り込み、バルーン部4を拡張させたり、流体
をバルーン部4の拡張空間から抜き取りバルーン部4を
収縮させたりするための通路である。
【0038】図2に示すように、内チューブ12は、バ
ルーン部4の拡張空間および第1外チューブ部材6aの
遠位端側第1ルーメン10の内部を同軸状に軸方向に伸
び、いわゆる同軸構造のカテーテルチューブ構造となっ
ている。バルーン部4の内部に位置する内チューブ12
の外周には、造影リング15が装着してあり、バルーン
カテーテル2を生体内に挿入する際に、生体の外部から
X線などで造影リング15の位置を造影が可能になって
いる。造影リング15の材料としては、金、白金、タン
グステンなどの金属が例示される。
【0039】内チューブ12の内部には、第2ルーメン
14が形成してあり、その遠位端開口部20は、バルー
ン部4の遠位端部7で開口している。内チューブ12の
近位端開口部22は、第1外チューブ部材6aの長手方
向の途中に位置するチューブ壁の貫通孔21を貫通して
外部に開口している。内チューブ12の近位端開口部2
2の周縁と、第1外チューブ部材6aのチューブ壁の貫
通孔21の周縁とは、後述する熱融着方法により気密に
接合してある。内チューブ12の近位端開口部22の形
状は、特に限定されず、円形、楕円形など種々の形状を
採り得る。内チューブ12の第2ルーメン14は、バル
ーンカテーテル2を体腔内に案内するための、図2に示
すガイドワイヤ42が挿通するガイドワイヤ挿入用ルー
メンとなる。
【0040】内チューブ12は、第1外チューブ部材6
aと同様な材料の軟質合成樹脂で構成することができる
が、第1外チューブ部材6aよりも硬質の合成樹脂で構
成しても良い。内チューブ12の近位端開口部22が第
1外チューブ部材6aの外側に開口する位置は、第1外
チューブ部材6aの遠位端から長さL1の位置であるこ
とが好ましく、長さL1は、好ましくは150〜350
mm、さらに好ましくは200〜300mmである。
【0041】第1外チューブ部材6aの外径は、特に限
定されないが、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ま
しくは0.5〜1mmである。第1外チューブ部材6a
の肉厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05〜
0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.2mmであ
る。
【0042】内チューブ12の外径は、第1外チューブ
部材6aとの間に隙間が形成されるように決定され、特
に限定されないが、好ましくは0.3〜3mm、さらに
好ましくは0.3〜0.8mmである。内チューブ12
の内径は、ガイドワイヤ42を挿通できる径であれば特
に限定されず、例えば0.15〜1.0mm、好ましく
は0.25〜0.6mmである。
【0043】本実施形態では、開口部22付近から近位
端側の第1外チューブ部材6aの強度を補強するため
に、図2に示すように、補強ロッド28を、開口部22
付近から近位端側の第1外チューブ部材6aの内部に配
置しても良い。この補強ロッド28の近位端部は、断面
円形であり、途中から遠位端側に向けてテーパ状に細く
なり、さらに遠位端部では、断面平板形状に成るよう
に、その断面形状が徐々に変化している。断面平板状の
補強ロッド28の遠位端部は、図2に示すように、内チ
ューブ12の近位端開口部22を僅かに(好ましくは1
〜10cm程度)乗り越えた位置で、第1外チューブ部
材6aの内壁に対して熱融着または接着などの手段で接
合してある。
【0044】なお、補強ロッド28は、ステンレス鋼、
銅、銅合金、チタン、チタン合金などの金属材料、ある
いはポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの合成樹脂で構成してある。補強ロッド28の
最大外径は、第1外チューブ部材6aのルーメン10を
塞がないように決定され、特に限定されないが、好まし
くは0.3〜0.6mmである。
【0045】バルーン部4を構成する材料は、結晶性ポ
リオレフイン系樹脂であることが好ましく、例えば、ポ
リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロ
ピレン共重合樹脂、エチレンと他のα−オレフィンとの
共重合樹脂等が挙げられる。なかでもポリエチレン樹脂
が好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン等を用いることが好まし
い。
【0046】本発明のバルーンカテーテルの前記外チュ
ーブに使用される材料は、通常医療用具の分野で使用さ
れている高分子物質から選ばれるものであればとくに限
定されない。例えば、オレフイン樹脂、フツ素樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂;ポリイミド樹脂
等の熱硬化性樹脂;さらに、シリコーンゴム、天然ゴ
ム、フツ素ゴム等のゴムが挙げられる。
【0047】オレフィン樹脂としては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1等のα−
オレフィン単独重合体;エチレンとプロピレン又はその
他のα−オレフィンとの共重合体等の2種類以上のα−
オレフィンの共重合体等が挙げられる。これらの中で
も、ポリエチレンやポリプロピレンを主成分とする重合
体または共重合体が好ましい。
【0048】また、フツ素樹脂としては、ポリ四フツ化
エチレン樹脂、ポリ四フツ化エチレン−六フツ化プロピ
レン共重合樹脂、ポリ四フツ化エチレン−パーフロロア
ルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリ四フツ化エチレ
ン−エチレン共重合樹脂、ポリ三フツ化塩化エチレン樹
脂、ポリフツ化ビニリデン樹脂、ポリフツ化ビニリデン
共重合樹脂、ポリ四フツ化エチレン樹脂等が挙げられ
る。
【0049】また、ポリエステル樹脂としてはポリエチ
レンテレフタレート、ポリアミド樹脂としてはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、その
他ポリアミドエラストマー樹脂等である。
【0050】また、当該第1外チューブ部材6aの硬さ
は、JIS硬度が50A〜90A程度のものを用いるこ
とができる。前記第2外チューブ部材6bは、前記第1
外チューブ部材と同様な材料で構成される。当該第2外
チューブ部材6bの硬さは、JIS硬度が50D〜75
D程度のものを用いることができる。
【0051】次に、本発明のバルーンカテーテルの前記
外チューブの表面にポリエチレンオキサイドを固定化す
る方法について説明する。本発明のバルーンカテーテル
の前記外チューブの材料が、オレフイン樹脂のように、
ジイソシアネート化合物と反応する水酸基等の官能基を
有しない樹脂の場合、またはフツ素樹脂等のように、表
面が不活性な樹脂の場合は、前記外チューブの表面とジ
イソシアナート化合物を接触させる前に、予め、プラズ
マ照射を施すことにより、前記外チューブの表面にアミ
ノ基または水酸基等のイソシアネート基と反応する官能
基を導入することが好ましい。
【0052】さらに、この場合、プラズマ照射後に、ポ
リウレタン系接着剤(2液型)等を上記外チューブの表
面にコーティングし、架橋ポリウレタン膜を形成するこ
とが好ましい。
【0053】プラズマ照射の条件は、特に限定されない
が、通常、真空度が0.5〜1.5トール、出力が50
〜100ワット、時間が1〜15分間の条件下で、例え
ば、窒素ガス等を導入して行う。
【0054】本発明で使用するジイソシアネート化合物
は、分子中にイソシアネート基を2個有する化合物であ
って、通常、炭素数が、2〜13の範囲のものである。
具体例としては、エチレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、
トルエンジイソシアネート、ジフエニルジイソシアネー
ト、ナフタレンジイソシアネート、フエニレンジイソシ
アネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、4,
4’−ジフエニルメタンジイソシアネート等が挙げられ
る。中でも、4,4’−ジフエニルメタンジイソシアネ
ートが好ましい。
【0055】ジイソシアネート化合物には、必要に応じ
て、少量のトリイソシアネート、ポリイソシアネートと
ポリオールとの付加化合物またはプレポリマー等を併用
することができる。その具体例としては、トリフエニル
メタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネー
ト等が挙げられる。また、ポリイソシアネートとポリオ
ールとの付加化合物またはプレポリマーとしては、トリ
レンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付
加化合物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチ
ロールプロパンとの付加化合物及びトリマー等が挙げら
れる。
【0056】ジイソシアナート化合物は、適当な溶媒に
溶解して使用することが好ましい。溶媒は、ジイソシア
ネート化合物と反応しないものであればとくに限定され
ないが、例えば、塩化メチレン、酢酸エチル、アセト
ン、クロロホルム、メチルエチルケトン、エチレンジク
ロライド等が挙げられる。溶液中のジイソシアネート化
合物の濃度は、通常、0.5〜50重量%、好ましくは
5〜30重量%である。
【0057】本発明で使用するポリエチレンオキサイド
は、エチレンオキサイドを単量体とする重合体またはエ
チレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体で
あって、ポリエチレングリコールと言われる比較的分子
量の低いものを含む水溶性樹脂であり、その数平均分子
量は通常5千〜50万の範囲のものである。エチレンオ
キサイドとプロピレンオキサイドの共重合体中のプロピ
レンオキサイドの組成は、通常20モル%以下、好まし
くは10モル%〜1モル%の範囲である。
【0058】ポリエチレンオキサイドは、適当な溶媒に
溶解して使用することが好ましい。溶媒は、非水系のも
のがとくに好ましく、ジイソシアネート化合物を溶解す
るときに使用するものと同様なものを使用することがで
きる。溶液中のポリエチレンオキサイドの濃度は、通
常、0.1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%で
ある。
【0059】本発明で使用するジシクロアミジン化合物
は、6員環と5員環もしくは7員環とを有する強塩基性
第3級アミン化合物である。本発明においては、ジシク
ロアミジン化合物は、ポリエチレンオキサイドの硬化反
応における触媒としてはたらく。具体的には、1,8−
ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5
−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−
ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられ
る。
【0060】ジシクロアミジン化合物は、ポリエチレン
オキサイドと一緒に適当な溶媒に溶解して使用すること
が好ましい。溶媒は、上記と同様なものを挙げることが
でき、ジシクロアミジン化合物の濃度は、通常、0.0
05〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%で
ある。
【0061】本発明のバルーンカテーテルの前記外チュ
ーブにポリエチレンオキサイドを固定化する具体的な方
法としては、例えば、医療用具の表面を、浸漬、スプレ
ーその他の方法によって、ジイソシアナート化合物を溶
解した溶液と接触させる。接触時間は、例えば、浸漬の
場合は5〜60秒間である。
【0062】前述したように、本発明のバルーンカテー
テルの前記外チューブが、オレフイン樹脂またはフツ素
樹脂等から形成されたものである場合は、前記外チュー
ブの表面とジイソシアナート化合物とを接触させる前
に、予めプラズマ照射を行う。さらに、必要により、プ
ラズマ照射後に、ポリウレタン系接着剤(2液型)等を
上記外チューブの表面にコーティングし、架橋ポリウレ
タン膜を形成することも可能である。
【0063】次いで、室温で溶媒を除去する。溶媒を除
去するための時間は、通常、30秒間〜数十分間であ
る。続いて、ポリエチレンオキサイドとジシクロアミジ
ン化合物とを溶解した溶液を、浸漬、スプレーその他の
方法により上記外チューブの表面と接触させ、続いて、
室温で溶媒を除去する。浸漬の場合は、浸漬時間は5〜
60秒間であり、溶媒を除去するための時間は、30秒
〜数十分間である。
【0064】その後、上記外チューブを、20〜50℃
の範囲で、好ましくは30〜40℃の範囲で加熱処理
し、ポリエチレンオキサイドを硬化させる。この場合、
処理時間は、通常1〜120分間である。
【0065】なお、この後、水洗することにより、未反
応のポリエチレンオキサイドまたはジイソシアネートを
除去することが好ましい。
【0066】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき説明する。ま
ず、本実施形態に係るバルーンカテーテル2の製造方法
について説明する。図3(A)に示すように、まず、第
1外チューブ部材6aとバルーン部4とを準備し、第1
外チューブ部材6aの遠位端の外周に、バルーン部4の
筒状近位端部5を被せ、その部分を熱融着する。次に、
第1外チューブ部材6aの軸方向所定位置のチューブ壁
に、後述する内チューブ12が通り抜けられる程度の貫
通孔21を形成する。また、図3(B)に示すヒートシ
ール用チューブ50を準備する。
【0067】ヒートシール用チューブ50の内径は、第
1外チューブ部材6aの外径よりも僅かに大きい程度で
ある。ヒートシール用チューブ50としては、例えばフ
ッ素樹脂チューブが用いられ、その軸方向長さは、例え
ば約20mm程度である。ヒートシール用チューブ50
の軸方向一端には、長さ約3mm程度の切り込み52が
形成してある。
【0068】次に、図4(A)に示すように、造影リン
グ15が装着してある内チューブ12を準備し、その内
チューブ12のルーメン内にワイヤ状マンドレル54を
通して一体化する。マンドレル54が一体化された内チ
ューブ12を貫通孔21から第1外チューブ部材6aの
内部ルーメン内に通し、内チューブ12の遠位端をバル
ーン部4の遠位端部7から突出させ、造影リング15を
バルーン部4の中央部に位置させる。その前後に、ヒー
トシール用チューブ50を第1外チューブ部材6aの外
周に位置させる。
【0069】その後、第1外チューブ部材6aの近位端
部からヒートシール用マンドレル56を内部に挿入し、
マンドレル56の先端部を貫通孔21の付近に位置さ
せ、貫通孔21の付近での第1外チューブ部材6aの潰
れを防止する。マンドレル56の基端部は、第1外チュ
ーブ部材6aの内径と略同一またはそれ以下の外径を有
し、その先端部には、内チューブ12の外周を受けるよ
うに、軸方向凹部57が形成してある。次に、ヒートシ
ール用チューブ50を第1外チューブ部材6aの外周で
軸方向に移動させ、ヒートシール用チューブ50が、貫
通孔21の付近の第1外チューブ部材6aの外周と、貫
通孔21から飛び出す内チューブ12の外側とを、一体
的に覆うようにする。その後、ヒートシール用金型を用
いて、ヒートシール用チューブ50の外側から押圧加熱
し、貫通孔21の孔縁と内チューブ12の外側管壁とを
熱融着する。加熱温度は、特に限定されないが、好まし
くは100〜300°C、特に好ましくは150〜25
0°Cである。
【0070】その後、マンドレル54および56を取り
出すと共に、ヒートシール用チューブ50の切り欠き5
2からチューブ50を軸方向に引き裂き、チューブ50
を第1外チューブ部材6aの外周から除去する。その
後、図5(A)および(B)に示すように、熱融着工程
で熱融着された内チューブ12の外側管壁と貫通孔21
の内縁との熱融着部を残し、当該熱融着部から外側に位
置する内チューブ12の不要部分をカッタなどで切断し
て除去する。その結果、内チューブ12の近位端開口部
22が、第1外チューブ部材6aのチューブ壁の外側に
開口して形成される。近位端開口部22は、この例で
は、略楕円形状となる。ただし、図5では、かなり扁平
な楕円となっているが、実際には円に近い楕円である。
なお、これらの工程の前後、または同時に、図4(A)
に示す内チューブ12の遠位端部は、バルーン部4の遠
位端部に対して、同様なヒートシール方法により熱融着
され、所定長さに切断される。
【0071】次に、図5(A)および(B)に示すよう
に、熱融着工程で熱融着された内チューブ12の外側管
壁と貫通孔21の内縁との熱融着部を残し、当該熱融着
部から外側に位置する内チューブ12の不要部分をカッ
タなどで切断して除去した後、次いで、図6に示す工程
を行う。図6(A)に示すように、第2外チューブ部材
6bの外周に、図4に示すヒートシール用チューブ50
と同様な材料および構造であるが別のヒートシール用チ
ューブ58を被せ、第1外チューブ部材6aの近位端部
のルーメン内に、第2外チューブ部材6bの遠位端部を
押し込む。その後、図6(B)に示すように、第2外チ
ューブ部材6bの第3ルーメン24の内部に、軸方向に
沿ってマンドレル60を挿入し、その先端を第1外チュ
ーブ部材6aの内部まで突出させる。その前後または同
時に、第2外チューブ部材6bの第4ルーメン26の内
部に軸方向に沿って補強ロッド28を挿入し、その先端
部を第1外チューブ部材6aの外周に形成してある近位
端開口部22の下まで位置させる。
【0072】その後、図6(C)に示すように、ヒート
シール用チューブ58を軸方向に移動させ、このヒート
シール用チューブ58で、第1外チューブ部材6aと第
2外チューブ部材6bとの接合部9を覆い、金型を用い
て熱融着を行う。
【0073】その後、ヒートシール用チューブ58を取
り除くと共に、マンドレル60を取り除き、第2外チュ
ーブ部材6bの近位端部に、図1に示すコネクタ8を熱
融着などの手段で接合する。
【0074】続いて、前記バルーンカテーテルの外チュ
ーブ表面にポリエチレンオキサイドを被覆する方法につ
いて説明する。前記バルーンカテーテルの外チューブの
遠位端部から80cm迄の表面をアセトンで洗浄した後
風乾し、プラズマ処理装置により、窒素ガス雰囲気下で
10分間プラズマ照射(条件:出力80W、真空度0.
8〜1.0トール)を行う。次に、上記外チューブの表
面にポリウレタン系接着剤(2液型)をコーティング
し、架橋ポリウレタン膜を形成する。
【0075】次に、前記バルーンカテーテルの外チュー
ブの遠位端部から80cm迄の表面部分を、4,4’−
ジフエニルメタンジイソシアネートの塩化メチレン溶液
(濃度:6重量%)に30秒間浸漬して引き上げ、30
秒間風乾した後、分子量25万のポリエチレンオキサイ
ド(濃度:6重量%)と1,4−ジアザビシクロ[2.
2.2]オクタン(濃度:0.04重量%)の塩化メチ
レン溶液に10秒間浸漬後、2分間風乾した。さらに、
上記のチューブを40℃で60分間加熱処理し、その
後、水洗して未反応のポリエチレンオキサイドを除去す
ることにより、前記外チューブ6表面にポリエチレンオ
キサイドが被覆される。
【0076】本実施形態では、上記の方法で処理したバ
ルーンカテーテルは、当該外チューブの表面の静摩擦係
数が0.21であり、ポリエチレオキサイドの処理を施
さない場合の静摩擦係数(0.8)と比較して、きわめ
て小さい値を示す。
【0077】
【発明の効果】かくして本発明によれば、バルーンカテ
ーテルの材料の機械的特性を低下させることなく、比較
的低温で、バルーンカテーテルの外チューブの外周に効
率よくポリエチレンオキサイドを固定化することによっ
て、バルーンカテーテルを体腔内に挿入するときの摩擦
係数が低下し、狭窄通過性が良好なバルーンカテーテル
を得ることができる。
【0078】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変する
ことができる。例えば、PTCAカテーテルとして、オ
ーバー・ザ・ワイヤ方式のものに適用することもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)は、本発明の実施形態に係るバル
ーンカテーテルの全体構成図、図1(B)は図1(A)
に示すIB−IB線に沿う断面図、図1(C)は図1
(A)に示すIC−IC線に沿う断面図、図1(D)は
図1(A)に示すID−ID線に沿う断面図、図1
(E)は図1(A)に示すIE−IE線に沿う断面図、
図1(F)はバルーンカテーテルのカテーテルチューブ
内に挿入される補強ロッドの側面図である。
【図2】 図2は図1(A)に示すバルーンカテーテル
の要部縦断面図である。
【図3】 図3(A)は本実施形態に係るバルーンカテ
ーテルの製造過程を示す外チューブおよびバルーン部の
斜視図、図3(B)はバルーンカテーテルの製造過程に
用いるヒートシール用チューブの斜視図である。
【図4】 図4(A)および図4(B)はバルーンカテ
ーテルの製造過程を示す要部斜視図である。
【図5】 図5(A)および図5(B)はバルーンカテ
ーテルの製造過程を示す要部斜視図である。
【図6】 図6(A)〜図6(B)は図1に示すバルー
ンカテーテルの製造過程において、第1外チューブ部材
と第2外チューブ部材とを接合する工程を示す要部斜視
図である。
【符号の説明】
2… バルーンカテーテル 4… バルーン部 6… 外チューブ 6a… 第1外チューブ部材 6b… 第2外チューブ部材 8… コネクタ 10… 第1ルーメン 12… 内チューブ 14… 第2ルーメン 20… 遠位端開口部 21… 貫通孔 22… 近位端開口部 24… 第3ルーメン 26… 第4ルーメン 28… 補強ロッド 28a… 補強部材 50,58… ヒートシール用チューブ 54,56,60… マンドレル
フロントページの続き Fターム(参考) 4C060 AA10 MM25 4C061 AA22 BB00 CC00 DD04 FF24 FF36 JJ03 JJ06 4C081 AC08 AC10 BB05 BC02 CA021 CA182 CA212 CB011 CE11 DA03 EA05 EA15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つのバルーン拡張用ルーメ
    ンが長手方向に沿って形成してある外チューブと、 前記外チューブの遠位端部にバルーン部の近位端部が接
    合され、前記バルーン拡張用ルーメンと内部が連通する
    バルーン部と、 前記バルーン部の内部に密閉された拡張用空間を形成す
    るように、バルーン部の遠位端部が内チューブの遠位端
    部に接合され、前記バルーン部の内部と前記外チューブ
    のバルーン拡張用ルーメンの内部とに軸方向に延在する
    内チューブとを有するバルーンカテーテルであって、 当該バルーンカテーテルの前記外チューブの外周が、前
    記外チューブの表面とジイソシアナート化合物とを接触
    させ、次に、ポリエチレンオキサイド及びジシクロアミ
    ジン化合物と接触させることによりポリエチレンオキサ
    イドを被覆してなるものであることを特徴とするバルー
    ンカテーテル。
  2. 【請求項2】 少なくとも一つのバルーン拡張用ルーメ
    ンが長手方向に沿って形成してある外チューブの遠位端
    部に、バルーン部の近位端部を前記バルーン拡張用ルー
    メンとバルーン部の内部とが連通するように接合するバ
    ルーン部近位端部接合工程と、 前記バルーン部の内部と前記外チューブのバルーン拡張
    用ルーメンの内部とに内チューブを軸方向に延在させ、 前記内チューブの遠位端部を、前記バルーン部の内部に
    密閉された拡張用空間を形成するように、前記バルーン
    部の遠位端部に接合する工程と、前記外チューブにプラ
    ズマ照射を施す工程と、前記外チューブ表面とジイソシ
    アナート化合物とを接触させ、次に、ポリエチレンオキ
    サイド及びジシクロアミジン化合物とを接触させる工程
    を有するバルーンカテーテルの製造方法。
JP11089385A 1999-03-30 1999-03-30 体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法 Pending JP2000279510A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11089385A JP2000279510A (ja) 1999-03-30 1999-03-30 体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11089385A JP2000279510A (ja) 1999-03-30 1999-03-30 体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000279510A true JP2000279510A (ja) 2000-10-10

Family

ID=13969210

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11089385A Pending JP2000279510A (ja) 1999-03-30 1999-03-30 体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000279510A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003117003A (ja) * 2001-10-11 2003-04-22 Japan Lifeline Co Ltd 可変長バルーンカテーテルおよびその製造方法
JP2006218208A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Olympus Corp 可撓管及びその製造方法
JP2006218107A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Olympus Corp 可撓管およびその修理方法
JP2009511144A (ja) * 2005-10-11 2009-03-19 インベンド メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク 自己潤滑エレメントを含む医療技術デバイス
WO2017033826A1 (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 テルモ株式会社 カテーテル

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003117003A (ja) * 2001-10-11 2003-04-22 Japan Lifeline Co Ltd 可変長バルーンカテーテルおよびその製造方法
JP2006218107A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Olympus Corp 可撓管およびその修理方法
JP2006218208A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Olympus Corp 可撓管及びその製造方法
JP4668640B2 (ja) * 2005-02-14 2011-04-13 オリンパス株式会社 可撓管及びその製造方法
JP2009511144A (ja) * 2005-10-11 2009-03-19 インベンド メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク 自己潤滑エレメントを含む医療技術デバイス
WO2017033826A1 (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 テルモ株式会社 カテーテル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6841029B2 (en) Surface modification of expanded ultra high molecular weight polyethylene (eUHMWPE) for improved bondability
US7172575B2 (en) Catheter balloon having a lubricious coating
EP2700428B1 (en) Medical balloon and method of making the same
US5484565A (en) Method for making a medical catheter
US20050216047A1 (en) Catheter with expandable body and method of dilating a blood vessel with such catheter
WO1999047203A1 (fr) Catheter a ballonnet
US20070074805A1 (en) Catheters with lubricious linings and methods for making and using them
US20070075452A1 (en) Catheters with lubricious linings and methods for making and using them
IL166908A (en) Balloon catheter with improved balloon attachment
US20070088296A1 (en) Catheters with lubricious linings and methods for making and using them
US20060122642A1 (en) Balloon catheter with a compression member for balloon bonding
JPH0984871A (ja) 医療用チューブおよびその製造方法
US20040020586A1 (en) Method of making a catheter balloon using a polyimide covered mandrel
JP2000279510A (ja) 体腔内挿入性が良好なバルーンカテーテルおよびその製造方法
US20040197501A1 (en) Catheter balloon formed of a polyurethane of p-phenylene diisocyanate and polycaprolactone
JP4397072B2 (ja) 螺旋状バルーンカテーテル及びその製造方法
WO2000059570A1 (fr) Sonde a ballonnet presentant un ballonnet forme par moulage par soufflage a basse temperature
JP4254200B2 (ja) バルーンカテーテル及びその製造方法
JP2002291900A (ja) 医療器具およびその製造方法
JP3687153B2 (ja) バルーンカテーテルおよびその製造方法
JP2000217923A (ja) バルーンカテーテルおよびその製造方法
WO2001005444A1 (fr) Ballonnet pour catheter a ballonnet et procede de fabrication
JPH11244385A (ja) 医療用バルーンカテーテルシャフト及びその製造方法
US20040225280A1 (en) Laminated catheter comprising ultra high molecular weight high density polyethylene
JP2002291898A (ja) バルーンカテーテルおよびその製造方法