JP2000279195A - 細胞内成分の分析法及び試薬キット - Google Patents

細胞内成分の分析法及び試薬キット

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JP2000279195A
JP2000279195A JP11089434A JP8943499A JP2000279195A JP 2000279195 A JP2000279195 A JP 2000279195A JP 11089434 A JP11089434 A JP 11089434A JP 8943499 A JP8943499 A JP 8943499A JP 2000279195 A JP2000279195 A JP 2000279195A
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luminescence
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Noriaki Hatsutori
憲晃 服部
Keiko Yachidate
恵子 谷地舘
Seiji Murakami
成治 村上
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Kikkoman Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 以下の工程を含むことを特徴とする細胞
内成分の分析法及び (1)細胞を含む試料から抗菌性タンパク質または抗菌性
ペプチドを有効成分とする抽出試薬を用いて細胞内成分
を抽出する工程 (2)抽出された細胞内成分を分析する工程 下記の構成成分を含む試薬キット。 a)抗菌性タンパク質または抗菌性ペプチドを有効成分と
する抽出試薬 b)細胞内成分を分析する酵素 【効果】 本発明によれば、抽出試薬を使用して細胞内
成分を抽出し、次いで、該細胞内成分を分析する方法に
おいて、細胞内成分を効率よく抽出でき、且つ分析工程
で用いられる酵素の阻害が少なく細胞内成分を分析する
ことができ、本発明は、産業上有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞内成分の分析
法及び試薬キットに関する。
【0002】
【従来の技術】食品衛生、バイオ、臨床検査、医学、超
純水、環境等の分野では、試料中に含まれる細胞から細
胞内成分を抽出し、該成分を分析することが日常的に行
なわれている。細胞内成分を分析することの目的は、多
種多様であるが、例えば、細胞内成分の有無や含量・活
性の測定、核酸の増幅、試料中の微生物の測定(微生物
の有無や種類の判定、生菌数の測定等)等である。細胞
内成分を分析する方法としては、酵素を用いる方法が一
般的に用いられている。酵素としては、目的とする細胞
内成分を基質として反応する酵素が用いられる。例え
ば、細胞内成分であるATPを測定する場合は、(1)
Mg2 +、ルシフェリン(発光素)及びルシフェラーゼ
(発光酵素)を組み合わせたATP測定用試薬(以下、
ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬という)を作
用させ、放出された生物発光量を定量的に測定し、AT
P量を求める方法(メソッヅ・オブ・エンザイマテック
・アナリシス、第7巻、第357頁、1985年参
照)、(2)グルコースの存在下で被検液中のATPに
ヘキソースキナーゼを作用させてグルコース−6−リン
酸を生成せしめ、このグルコース−6−リン酸にNAD
Pの存在下でグルコース−6−リン酸脱水素酵素を作用
させ、生成したNADPHを340nmによる吸光度に
より測定する方法(同第7巻、第346頁、1985年
参照)、(3)ヘキソキナーゼとピルベートキナーゼと
を併用してD−グルコースからグルコース−6−リン酸
を生成する反応を増幅し1−メトキシ−5−フェナジン
メチルサルフェート及びイソルミノールを使用した発光
によって定量する方法(特開昭64−23900号公報
参照)及び(4)定量すべきATPとアデノシントリフ
ォスファターゼ(ATPase)で代表されるATP分
解酵素によりADPとリン酸に分解し、この分解によっ
て生成したリン酸をモリブデン酸と反応させてリンモリ
ブデン酸を生成し、このリンモリブデン酸をアスコルビ
ン酸と反応させ、還元されて生成するモリブデンブルー
に由来する青色の度合を測定する方法(特開平4−36
0700号公報参照)等の手段が挙げられる。
【0003】細胞内成分の抽出法としては、細胞を含む
試料に、細胞内成分を抽出するための試薬(以下、「抽
出試薬」という)を添加する方法が知られている。抽出
試薬としては、例えば、界面活性剤、トリクロロ酢酸、
有機溶媒等を有効成分とするものが使用されている。こ
れらのうち、トリクロロ酢酸や有機溶媒を有効成分とす
る抽出試薬は、後の分析工程で用いられる酵素を著しく
阻害するため、分析前に抽出液を10〜100倍にまで希釈
する必要がある。従って、その希釈倍率に相当する感度
低下を避けることができないという問題があった。一
方、界面活性剤を有効成分とする抽出試薬は、トリクロ
ロ酢酸や有機溶媒よりも後の分析工程への阻害が比較的
少なく、最も一般的に使用されている。この界面活性剤
を有効成分とする抽出試薬を使用する方法(以下、「界
面活性剤法」という)において、有効成分である界面活
性剤の濃度が高いほど細胞内成分の抽出効率は高まる。
しかしながら、界面活性剤の濃度が高いほど、界面活性
剤が後の分析工程を阻害し、分析感度及び精度の低下を
招くという問題があった。
【0004】例えば、細胞内成分であるATPを分析法
としてルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応法を利用
して測定する方法において、ATPの抽出法として界面
活性剤法を採用した場合、界面活性剤の濃度が高いほど
ATPの抽出効率は高まるが、発光反応が阻害され、測
定感度及び精度の低下につながる。その原因は、界面活
性剤との接触により酵素ルシフェラーゼが失活し、発光
が急激に減衰するためと考えられている。一方、界面活
性剤の濃度が低いと発光反応の阻害を小さくできるが、
ATPの抽出効率が不十分となる。また、PCR法によ
り核酸を増幅する場合、界面活性剤がPCR反応を阻害
し、適当なPCR産物が形成されないという問題があっ
た。さらに、細胞内成分が酵素である場合、界面活性剤
が抽出された酵素を変性あるいは失活させるという問題
があった。上記の通り、細胞内成分を分析する方法にお
いては、後の分析工程で用いられる酵素を阻害せずに、
細胞内成分を効率よく抽出する方法の確立が急務であっ
た。なお、ここでいう「分析工程」とは、細胞内成分を
分析する工程そのもの、及び該分析のための前処理、さ
らには、細胞内成分を抽出する工程の後に実施される処
理工程を意味する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抽出
試薬を使用して細胞内成分を抽出し、次いで該細胞内成
分を分析する方法において、後の分析工程で用いられる
酵素の阻害が少なく、且つ細胞内成分を効率よく抽出す
る方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
後の分析工程で用いられる酵素の阻害が少なく、且つ細
胞内成分を効率よく抽出する物質として、抗菌性タンパ
ク質または抗菌性ペプチドが極めて優れた特性を示すこ
とを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。す
なわち本発明は、以下の工程を含むことを特徴とする細
胞内成分の分析法及び (1)細胞を含む試料から抗菌性タンパク質または抗菌性
ペプチドを有効成分とする抽出試薬を用いて細胞内成分
を抽出する工程 (2)抽出された細胞内成分を分析する工程 下記の構成成分を含む試薬キットである。 a)抗菌性タンパク質または抗菌性ペプチドを有効成分と
する抽出試薬 b)細胞内成分を分析する酵素
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 1.細胞を含む試料について 細胞とは、動物、植物、微生物(例えば、酵母、カビ、
キノコ、細菌、放線菌、単細胞藻類、ウィルス、原生動
物等)等を由来とする細胞を意味する。試料とは、上記
の細胞を含むものであれば如何なるものでもよく、例え
ば、飲食物、医薬、化粧品、海水、河川水、工業用水、
下水、土壌、尿、糞便、血液、喀痰、膿汁、上記細胞の
培養物等が挙げられる。また、上記の試料を、適当な溶
媒(例えば、蒸留水、生理的食塩水、リン酸緩衝液、ト
リス緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)に懸濁した溶液
を試料としてもよい。検体液が固形分を含む場合には、
該検体液を適当な溶媒に懸濁するか、ミキサー等でホモ
ジナイズすれば溶液状のものと同様に扱うことができ
る。また、上記溶液状の試料を、親水性または疎水性の
濾過膜で濾過して細胞を捕捉した後に該濾過膜を試料と
してもよい。細胞を捕捉した濾過膜を試料とする場合、
親水性濾過膜としては、例えば親水性ポリテトラフルオ
ロエチレン、親水性ポリビニリデンフルオライド、親水
性ポリアミド、アセチルセルローズ、ニトロセルローズ
等を材料とするフィルム状又はシート状のものが使用で
きる。また、疎水性濾過膜としては、例えばPVDF
(ポリビニリデンフルオライド)、PTFE(ポリトラ
フルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)等を材料と
するものが使用できる。細胞内成分とは、細胞内に含ま
れる物質及び代謝産物であれば如何なるものでもよく、
例えば、核酸、タンパク質、脂質、ビタミン、多糖類等
が挙げられる。核酸としてはDNA、RNA、ATP、
ADP、AMP、サイクリックAMP等が挙げられる。
また、タンパク質としては酵素、ホルモン、各種ペプチ
ド等が挙げられる。
【0008】2.細胞内成分の抽出 本発明では、先ず、細胞を含む試料から抽出試薬を用い
て細胞内成分を抽出する。抽出試薬とは、以下の性質を
有するものである。 (1)細胞内成分を抽出する機能を有するもの。 (2)抗菌性タンパク質または抗菌性ペプチドを有効成
分とするもの。 本発明で使用する抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチド
としては、如何なるものでもよく、例えば、マガイニ
ン、プロタミン等の動植物由来の抗菌性タンパク質、ポ
リリジン、バクテリオシン等の発酵生産物由来の抗菌性
タンパク質、セクロピン、モリシン(特開平8−119
995号公報参照)等の昆虫由来の抗菌性ペプチド等、
あらゆる抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチドが使用で
きる。試料から抽出試薬を用いて細胞成分を抽出すると
きの条件、すなわち、抽出試薬の有効成分の種類や濃
度、反応時間、温度等は特に限定されず、分析する細胞
内成分の種類、試料や細胞の状態に応じて適宜設定すれ
ばよい。
【0009】3.細胞内成分の分析 次いで、抽出された細胞内成分を分析する。細胞内成分
を分析する方法は、細胞内成分の有無や含量・活性の測
定、核酸の増幅、試料中の微生物の測定(微生物の有無
や種類の判定、生菌数の測定等)等のために用いられる
方法であれば如何なる方法でもよい。例えば、酵素を用
いる方法、具体的にはDNAポリメラーゼを用いたPC
R反応による核酸の増幅が挙げられる。細胞内成分がア
デノシンリン酸化合物である場合、ピルベートオルトホ
スフェートジキナーゼを含む生物発光法(以下PPDK
発光法という)を用いることにより、簡便・迅速かつ高
感度な測定を実施することができる(特開平9−234
099号公報参照)。
【0010】また、特に細胞内成分がATPである場
合、(1)Mg2 +、ルシフェリン(発光素)及びルシフ
ェラーゼ(発光酵素)を組み合わせたATP測定用試薬
(以下、ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光試薬と
いう)を作用させ、放出された生物発光量を定量的に測
定し、ATP量を求める方法(メソッヅ・オブ・エンザ
イマテック・アナリシス、第7巻、第357頁、198
5年参照)、(2)グルコースの存在下で被検液中のA
TPにヘキソースキナーゼを作用させてグルコース−6
−リン酸を生成せしめ、このグルコース−6−リン酸に
NADPの存在下でグルコース−6−リン酸脱水素酵素
を作用させ、生成したNADPHを340nmによる吸
光度により測定する方法(同第7巻、第346頁、19
85年参照)、(3)ヘキソキナーゼとピルベートキナ
ーゼとを併用してD−グルコースからグルコース−6−
リン酸を生成する反応を増幅し1−メトキシ−5−フェ
ナジンメチルサルフェート及びイソルミノールを使用し
た発光によって定量する方法(特開昭64−23900
号公報参照)及び(4)定量すべきATPとアデノシン
トリフォスファターゼ(ATPase)で代表されるA
TP分解酵素によりADPとリン酸に分解し、この分解
によって生成したリン酸をモリブデン酸と反応させてリ
ンモリブデン酸を生成し、このリンモリブデン酸をアス
コルビン酸と反応させ、還元されて生成するモリブデン
ブルーに由来する青色の度合を測定する方法(特開平4
−360700号公報参照)等の手段により測定するこ
とができる。
【0011】そして、それらのうち、ATPにルシフェ
リン−ルシフェラーゼ系発光試薬を作用させ、放出され
た生物発光量を定量的に測定し、ATP量を求める方法
は、簡便、迅速に測定可能で、かつ測定値の精度と信頼
性が高い結果が得られるので好ましい。なお、上記発光
反応を円滑に行なうため、反応系に、必要によりアルブ
ミン、サイクロデキストリン、緩衝剤、キレート化剤等
を加えてもよい。ルシフェリン−ルシフェラーゼ系発光
試薬としては、発光にATPを必要とする系であれば如
何なるものでも利用可能であり、例えば、昆虫(ゲンジ
ボタル、ヘイケボタル、北米産ホタル、ロシアボタル、
ヒカリコメツキムシ、ツチボタル等)を由来とするもの
が使用できるが、これらのうち好ましいのは上記生物の
発光組織から精製した天然型ルシフェラーゼや、遺伝子
工学的手法により調製した天然型ルシフェラーゼ、さら
には天然型ルシフェラーゼのアミノ酸配列中の1または
複数のアミノ酸に付加、欠失、置換等の変異を導入した
変異型ルシフェラーゼを使用することができる。生物発
光試薬としては、市販の試薬キット、例えば、「ルシフ
ェール250」(キッコーマン社製)を使用することも可
能である。
【0012】生じた発光量の測定は、ルミノメーター、
例えば、キッコーマン社製ルミテスターK-100、K-200、
K-210、C-100、Berthold社製Lumat LB9501等により測定
することができる。また、細胞を捕捉した濾過膜を試料
とする場合、生物発光画像解析システム装置、例えばA
RGUS−50/CL〔テーパーファイバー付:浜松ホ
トニクス(株)社製〕を用いて濾過膜上の輝点を撮像す
ることにより、細胞数を測定することが可能である。ル
シフェリン−ルシフェラーゼ発光反応法を用いることに
より、細胞内のATP量の測定、試料中の細胞数の測定
等が可能となる。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 実施例1:抽出試薬による分析工程への阻害 <抽出試薬の調製>以下の4種類の抗菌性タンパク質及
び抗菌性ペプチドを0.05%の濃度で25 mM Tricine 緩衝
液(pH 7.75)に溶解し、抽出試薬として用いた。また、
同様にして調製した塩化ベンザルコニウムを比較対象の
抽出試薬とした。 ポリリジン〔チッソ(株)製〕 塩酸プロタミン〔大和化成(株)製〕 マガイニンI(Sigma社製) セクロピンP1(Sigma社製) <発光阻害率の測定法>50 μlの抽出試薬に50 μlのA
TP標準試薬〔2x10-8 M、キッコーマン(株)製〕を添
加し、さらにルシフェリン−ルシフェラーゼ発光試薬
〔商品名:ルシフェール250、キッコーマン(株)製〕
を添加して発光量を測定した。発光量の測定には、ルミ
テスターK-100〔キッコーマン(株)製〕を用いた。抽
出試薬の代わりに25 mM Tricine 緩衝液(pH 7.75)を用
いて得られた発光量(A)を求め、抽出試薬を用いた際の
発光量(B)とから、次式により発光阻害率を算出した。 発光阻害率(%)=(A−B)÷A×100
【0014】<各種抽出試薬の発光阻害の比較>5種類
の抽出試薬及び抽出試薬の代わりに25 mM Tricine 緩衝
液を用いた際の発光量を上記計算式で求めた発光阻害率
と共に表1に示す。従来技術である塩化ベンザルコニウ
ムを抽出試薬として用いた場合、極めて強い発光阻害が
認められ、45.5%もの発光阻害率となった。一方、本発
明法である抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチドを用い
た場合、最も発光阻害率が高かった塩酸プロタミンでも
わずか20%以下の発光阻害率しか示さず、さらにその他
の物質においてはほとんど阻害は認められなかった。以
上の結果より、抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチドの
方が塩化ベンザルコニウム等の界面活性剤よりも発光反
応への阻害が少ないことが示された。これは、本発明法
が従来技術より高感度な発光測定が実施可能であること
を示唆していることが判る。
【0015】
【表1】
【0016】実施例2:抽出試薬による分析工程への阻
害 <発光の経時変化の測定法>実施例1:発光率阻害率の
測定法に準じて試薬を添加し、生じた発光量を発光開始
直後から5秒ごとに60秒間にわたってルーマットLB9501
(ベルトールド社製)を用いて測定した。 <発光の持続安定性の比較>各種抽出試薬を用いた場合
の60秒間にわたる発光の経時変化を図1に示す。なお、
図中縦軸は発光開始直後の発光量を100%とした相対比で
表示した。従来技術である塩化ベンザルコニウムを用い
た場合、極めて激しい発光の減衰が認められ、発光開始
10秒後で20%以上、60秒後で70%程度、発光が減衰した。
従って、塩化ベンザルコニウムを抽出試薬として用いた
場合、発光試薬添加から発光測定までの時間を厳密にコ
ントロールしないと測定値がばらつき、再現性が大きく
低下することが明らかに示された。一方、本発明法であ
る抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチドを用いた場合、
発光の減衰は極めて緩やかであり、発光開始60秒後でも
90%以上もの発光量を維持していた。これにより、本発
明による測定法の方が従来技術より再現性に優れた測定
が可能であることが示された。
【0017】実施例3:微生物ATPの抽出及び測定例 <微生物懸濁液の調製法>指標菌として細菌6種類(Ps
eudomonas aeruginosa ATCC 27853、Micrococcusluteus
IFO 3333、Escherichia coli ATCC 25922、Staphyloco
ccus aureus ATCC 25923、Bacillus subtilis ATCC 937
2、Enterococccus faecalis ATCC 29212)、酵母2種類
(Saccharomyces cerevisiae ATCC 4126、Candida util
is ATCC8205)を用いた。細菌の培養は、普通ブイヨン
培地を用いて35℃にて18時間、酵母の培養は、ブドウ糖
ペプトン培地を用いて30℃にて40時間行なった。得られ
た培養液を滅菌水で20倍希釈した溶液を微生物懸濁液と
して以下の実験に使用した。 <微生物ATPの抽出及び測定法>50 μlの微生物懸濁
液に50 μlの抽出試薬を添加し、30秒放置後に50 μlの
発光試薬〔商品名:ルシフェール250、キッコーマン
(株)製〕を添加して発光量を測定した。発光量の測定
には、ルミテスターK-100〔キッコーマン(株 )製〕を
用いた。
【0018】<抽出されたATP量の比較>細菌ATP
の測定結果を表2に、酵母ATPの測定結果を表3に示
す。なお、抽出試薬として従来技術である塩化ベンザル
コニウムを用いた場合の発光量を100%とし、本発明法で
ある抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチドを用いた場合
の発光量の相対比でカッコ内に示した。ポリリジン及び
塩酸プロタミンでいくつかの例外が認められるものの、
ほとんどの場合において抽出試薬として抗菌性タンパク
質及び抗菌性ペプチドを用いた方が塩化ベンザルコニウ
ムを用いるより高い発光量が得られた。これは、抗菌性
タンパク質及び抗菌性ペプチドの方が微生物からのAT
P抽出効率が優れていること及び発光阻害が低いことが
原因と考えられた。従って、本発明による微生物測定法
の方が従来技術である界面活性剤を用いる方法よりも高
感度な微生物測定が可能であることが示唆された。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】実施例4:微生物数の測定例 <微生物の検量線の作成法>指標菌を実施例3に記載の
方法で培養し、得られた培養液を滅菌水を用いて20倍に
希釈した。この微生物懸濁液を原液とし、滅菌水を用い
て10倍希釈系列を作成した。得られた10倍希釈系列につ
いて、実施例3に記載の方法で抽出試薬として抗菌性タ
ンパク質及び抗菌性ペプチドを用いた発光量の測定と、
標準寒天培地を用いた混釈培養(35℃、2日培養)によ
るコロニー数の測定を平行して行なった。
【0022】<微生物の検量線の作成>抽出試薬として
ポリリジン、塩酸プロタミン及びマガイニンIを用い、
指標菌P.aeruginosa ATCC 27853について測定した結果
を図2に示す。なお、発光量とコロニー数の両測定値は
両対数グラフにプロットした。抽出試薬としていずれの
抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチドを用いた場合でも
両測定値の間にはコロニー数で103 CFU/ml以上において
直線性が認められた。これより、本発明法によって得ら
れた発光量から微生物数を求められることが明らかに示
された。菌数未知の検体の微生物数測定を行なう際は、
以上のような手順で得られた両測定値の相関直線を検量
線として用いることにより、発光量から推定することが
できる。指標菌B.subtilisについて同様の検討を行なっ
た結果を図3に示す。B.subtilisの場合もP.aeruginosa
と同様に抽出試薬としていずれの抗菌性タンパク質及び
抗菌性ペプチドを用いた場合でも両測定値の間には直線
性が認められ、本発明法による測定値から微生物数を求
められることが示された。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、抽出試薬を使用して細
胞内成分を抽出し、次いで、該細胞内成分を分析する方
法において、細胞内成分を効率よく抽出でき、且つ分析
工程で用いられる酵素の阻害が少なく細胞内成分を分析
することができ、本発明は、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、各種抽出試薬使用時の発光の経時変化
を示す図。
【図2】図2は、各種抽出試薬を用いた場合のP.aerugi
nosaの検量線を示す図。
【図3】図3は、各種抽出試薬を用いた場合のB.subtil
isの検量線を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 BB02 BB19 BB32 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA15 DA30 DA36 DA57 DA60 FB01 FB13 GC15 4B063 QA01 QA19 QQ03 QQ06 QQ07 QQ08 QQ09 QQ10 QQ15 QQ16 QQ17 QQ18 QQ19 QQ42 QQ52 QQ61 QQ63 QQ67 QQ70 QQ79 QQ94 QR02 QR41 QR48 QS14 QX02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程を含むことを特徴とする細胞
    内成分の分析法。 (1)細胞を含む試料から抗菌性タンパク質または抗菌性
    ペプチドを有効成分とする抽出試薬を用いて細胞内成分
    を抽出する工程 (2)抽出された細胞内成分を分析する工程
  2. 【請求項2】 細胞内成分が、核酸、タンパク質、脂
    質、ビタミンまたは多糖類である請求項1記載の細胞内
    成分の分析法。
  3. 【請求項3】 細胞内成分がアデノシンリン酸化合物で
    ある請求項1記載の細胞内成分の分析法。
  4. 【請求項4】 細胞内成分がATPである請求項1記載
    の細胞内成分の分析法。
  5. 【請求項5】 抽出された細胞内成分を分析する方法
    が、酵素を用いる方法である請求項1記載の細胞内成分
    の分析法。
  6. 【請求項6】 抽出された細胞内成分を分析する方法
    が、アデノシンリン酸化合物を測定する方法である請求
    項1記載の細胞内成分の分析法。
  7. 【請求項7】 抽出された細胞内成分を分析する方法
    が、ATPを測定する方法である請求項1記載の細胞内
    成分の分析法。
  8. 【請求項8】 下記の構成成分を含む試薬キット。 a)抗菌性タンパク質または抗菌性ペプチドを有効成分と
    する抽出試薬 b)細胞内成分を分析する酵素
  9. 【請求項9】 細胞内成分を分析する酵素が、アデノシ
    ンリン酸化合物を測定する酵素である請求項8記載の試
    薬キット。
  10. 【請求項10】 細胞内成分を分析する酵素が、ATP
    を測定する酵素である請求項8記載の試薬キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015042156A (ja) * 2013-08-26 2015-03-05 国立大学法人北海道大学 血液検体のatp測定方法及びキット
JP2019507606A (ja) * 2015-12-18 2019-03-22 セルフディアグノスティックス・ドイチュラント・ゲーエムベーハー 性的感染症の病原体の検出方法

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