JP2000255209A

JP2000255209A - 空気入りタイヤ

Info

Publication number: JP2000255209A
Application number: JP11374253A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Koga; 裕志古賀
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 1999-01-07
Filing date: 1999-12-28
Publication date: 2000-09-19

Abstract

(57)【要約】【課題】プライコードの耐久性やプライコード起因の
ビード耐久性への悪影なくして、カーカス補強材として
のアラミド繊維コードの使用量を減じ、低コストで生産
可能な空気入りラジアルタイヤを提供すること。【解決手段】カーカスコードとして、上撚り数を
Ｎ₁，下撚り数をＮ₂としたとき、1.１７≦Ｎ₁／Ｎ₂
≦1.７０の関係を満たし、かつ撚り係数が０.4２〜０.5
２の範囲にある双撚りのアラミド繊維コードを用いたタ
イヤ、特にトラック又はバス用空気入りタイヤである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りタイヤ、
より詳細にはトラック及びバス用空気入りラジアルタイ
ヤに関し、特にアラミド繊維コード（芳香族ポリアミド
繊維コード）をラジアルカーカスの補強材として用いた
空気入りタイヤにおいて、カーカスの補強コード（プラ
イコード）の耐久性など他のタイヤ性能に悪影響を及ぼ
すことなく、アラミド繊維コードの使用量を削減するこ
とを可能とした空気入りタイヤに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、空気入りタイヤの軽量化およ
びそれに伴う低燃費化を目的として、プライコードに高
強度、高弾性の有機繊維であるアラミド繊維コードを用
いたタイヤは知られている。特にトラック及びバス用空
気入りラジアルタイヤは重荷重，高負荷のためにプライ
コードの耐久性は特に重要であり、通常は、上撚り数を
Ｎ₁，下撚り数をＮ₂としたとき、Ｎ₁とＮ₂とが等し
いいわゆるバランス撚りかそれに近い撚り構造のコード
が用いられている。しかし、アラミド繊維コードをプラ
イコードとして用いた場合、タイヤの軽量化としての目
的は達成されるものの、高価なアラミド繊維を多量に使
用するためにタイヤのコストが高くなり過ぎるという欠
点がある。一方、プライコードのアラミド繊維の使用量
を減じる目的で、プライ単位幅当たりのコード打ち込み
本数を単純に少なくすると、コード１本当たりの張力負
担率が上昇するので、タイヤ転動時にプライコードにお
ける歪み領域が大きくなる。その結果、走行によりプラ
イコードの耐久性が損なわれ、タイヤとして十分な耐久
性を示さなくなるという問題を生じることがある。そこ
で、それを補うために撚り数を大きくしていくと、繊維
コードの撚り数アップに伴いコード径が大きくなりタイ
ヤの軽量化効果が充分に得られず、さらに、コード強力
が低下するため、プライコード起因のビード故障が発生
し耐久性が損なわれる恐れがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、プライコードの耐久性やプライコード起因の
ビード故障などのタイヤ性能に悪影響を及ぼすことな
く、カーカス補強材としてのアラミド繊維コードの使用
量を減じることを目的とし、低コストで生産可能な空気
入りラジアルタイヤを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このような目的のもとに
開発された本発明は、一対のビード内部に埋設したビー
ドコア相互間にわたりトロイド状に延びる一層のラジア
ルカーカスと、該カーカスの外周に配設したベルトとを
備える空気入りタイヤにおいて、カーカスの補強コード
は、アラミド繊維原糸に下撚りをかけた後、下撚り糸複
数本を引き揃えて下撚りと逆方向に上撚りをかけた双撚
りコードであり、該コードは上撚り数をＮ₁，下撚り数
をＮ₂としたとき、1.１７≦Ｎ₁／Ｎ₂≦1.７０の関係
を満たし、かつ下記式ＮＴ＝Ｎ₁×〔0.１３９６×｛（Ｄt ×0.9 ）／２｝
／ρ〕^1/2×１０^-3 〔ただし、Ｄt はアラミド繊維コードのトータル表示デ
シテックス、ρはアラミド繊維コードの比重である。〕
で表される撚り係数（ＮＴ）が０.4２〜０.5２の範囲に
あるアラミド繊維コードであることからなる空気入りタ
イヤである。また、上記構成の空気入りタイヤは、トラ
ック用又はバス用タイヤにおいて特に好ましく適用され
る。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明で用いられるアラミド繊維
コードは、上撚り数をＮ₁（回／１０ｃｍ），下撚り数
をＮ₂（回／１０ｃｍ）としたとき、1.１７≦Ｎ₁／Ｎ
₂≦1.７０の関係を満たし、かつ前記式で表される撚り
係数（ＮＴ）が０.4２〜０.5２の範囲にあるアラミド繊
維コードであることが必要である。前記アラミド繊維コ
ードの上撚り数と下撚り数との関係が、1.１７≦Ｎ₁／
Ｎ ₂≦1.７０の関係を満たすコードであっても、ＮＴ＜
0.４２である場合は、コード強力が高くなり、アラミド
繊維の使用量を減らすことはできるが、タイヤ走行によ
るプライコードの耐久性が不十分となる。一方、ＮＴ＞
0.５２の場合には、プライコードの耐久性は確保出来る
が、コード強力が低くなりアラミド繊維の使用量を減ら
す事が出来ないばかりか、撚り係数（ＮＴ）が大きいの
でコード径が大きくなり、カーカスプライの厚さが増し
てゴムの使用量が増加しタイヤの軽量効果が不十分であ
り、また、コード径が大きいことに起因してビード耐久
性の低下を招く。

【０００６】一方、アラミド繊維コードの前記式で表さ
れる撚り係数（ＮＴ）が0.４４〜0.５０の範囲であって
も、Ｎ₁／Ｎ₂＜1.１７の場合、或いはＮ₁／Ｎ₂＞1.
７０の場合にはプライコードの耐久性は確保できるが、
コード強力が低くなりアラミド繊維の使用量を充分減ら
すことはできない。上記の理由より、本発明で用いるア
ラミド繊維コードは、好ましくは1.３０≦Ｎ₁／Ｎ₂≦
1.５５であり、かつ撚り係数（ＮＴ）は０.4７〜０.4８
の範囲にあることが好ましい。また本発明は、特にアラ
ミド繊維コードを多量使用し、かつプライコードに優れ
た耐久性を必要とするトラック用又はバス用空気入りタ
イヤに好適に適用される。さらに、本発明におけるタイ
ヤのカーカス層は１層とする。二層以上ではインナーラ
イナー側プライに圧縮歪みがかかり耐疲労性が低下する
からである。さらに、本発明で用いられるアラミド繊維
コードは、下撚り糸が１６５０〜５０００デシテックス
であることが好ましい。

【０００７】本発明で用いられるアラミド繊維コード
は、例えはポリ−ｐ−フェニレンテレフタルアミドやポ
リ−ｐ−ベンズアミドなどの材質を溶液紡糸することに
より得られたアラミド繊維原糸に、下撚りをかけた後、
下撚り糸複数本を引き揃えて下撚りと逆方向の上撚りを
かけた双撚りコードとして得られる。前記アラミド繊維
コードは、タイヤ製造に際しては、繊維とコードとの接
着性を確保するために、繊維コードに、通常接着剤付与
処理と熱処理が施される。本発明において、上記の如き
特定構造のアラミド繊維コードをカーカス補強材として
用いた空気入りタイヤは、コード径の増大を招くことな
くコード強力を向上させることができるので、プライコ
ード耐久性やビード部の耐久性などへの悪影響もなく、
プライコードの打ち込み本数を削減でき、その結果、高
価なアラミド繊維コードの使用量を大幅に削減した空気
入りタイヤを容易に製造することができる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。各種の測定及び評価は下記方法に
より行った。（１）トリート強度ディップ後のコード強力平均値（すなわち，ディップ後
の簾幅方向３か所より各コード１０本の強力を測定し得
られたコード強力平均値）と、ゴム引き後の簾幅方向に
おける５ｃｍ当たりの打ち込み数（ゴム引き後の簾幅方
向５か所の５ｃｍ当たりの打ち込み本数の平均値）の積
として求めた値であり、比較例１のタイヤ（従来タイ
ヤ）の値を１００とした指数で表示した。（２）タイヤの室内ドラムテスト後のコードの強力保持
率空気圧7.０ｋｇｆ／ｃｍ²，荷重２００％，ドラム回転
速度３０ｋｍ／ｈで２万ｋｍ走行後に、走行前との対比
におけるコード強力保持率（％）で表示した。数値が大
きいほど耐久性良好である。

【０００９】実施例１〜３及び比較例１〜３カーカスコードとして、第１表に記載する撚り係数（Ｎ
Ｔ），Ｎ₁／Ｎ₂，コード径を有するポリアミド繊維
（アクゾ社製，商標：トワロン）コードを所定の打ち込
み数で使用し、カーカス層が一層からなるタイヤサイズ
２２５／８０Ｒ１7.５１４ＰＲのタイヤを製造し
た。またベルト層は、（１×６）×0.３４構造のスチー
ルコードベルトを３枚配置した。得られたタイヤについ
て、タイヤの室内ドラムテストを行い、ドラムテスト後
のコードの強力保持率を測定した。また併せて、タイヤ
製造時に得られたカーカス用プライ材についてのトリー
ト強度を測定すると共に、該トリートについての原価コ
スト比較を行った。結果を第１表に示す。

【００１０】

【表１】

【００１１】＊１コード径：ディップ処理した後
のアラミドコードを測定した値。＊２打ち込み本数：ゴム引き後の簾の幅方向における
５ｃｍ当たりの打ち込み本数。＊３コスト指数：比較例１のゴム引き後の簾コスト
を１００として指数表示した値。数値が小さい程低コス
トである。

【００１２】上表において、比較例２は、従来より用い
られているアラミド繊維コードを用いた例である。実施
例１と比較例２とを比較すれば、打ち込み本数は同じで
あるにもかかわらず、トリート強度は６％向上してお
り、またコードの強力保持率も１２％も大きくなってい
ることが分かる。また比較例１は、従来コードを用い打
ち込み数を増してトリート強度を実施例１と同程度にし
たものであるが、コード保持率は実施例１より著しく劣
っている。実施例２と比較例２とを比較すれば、実施例
２は打ち込み本数が少ないにもかかわらず、コードの強
力保持率は９％も大きいことが分かる。なお、比較例３
は、ＮＴ及びＮ₁／Ｎ₂が本発明の範囲外にあるため
に、打ち込み本数及びトリート強度は、実施例１と同じ
であるに係わらずコードの強力保持率は非常に低い。す
なわち、本発明によるアラミド繊維コードを用いたタイ
ヤにおいては、カーカスに特定撚り構造のコードを用い
ることにより、コード強力を大幅に向上させることがで
き、その結果、カーカスコードの耐久性などの性能に悪
影響を及ぼすことなく、ゴム引き後の簾の幅方向の打ち
込み本数を減少することが可能である。

【００１３】

【発明の効果】上記の如く本発明の空気入りタイヤは、
カーカスコードとしての耐久性やタイヤ走行によるプラ
イコード起因のビード耐久性を損なうことなくして、ア
ラミド繊維コードの打ち込み数を減じることができるの
で、タイヤの軽量化及び低燃費化が向上した空気入りタ
イヤ、特にトラック及びバス用空気入りラジアルタイヤ
を低コストで提供することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】一対のビード内部に埋設したビードコア
相互間にわたりトロイド状に延びる一層のラジアルカー
カスと、該カーカスの外周に配設したベルトとを備える
空気入りタイヤにおいて、カーカスの補強コードは、ア
ラミド繊維原糸に下撚りをかけた後、下撚り糸複数本を
引き揃えて下撚りと逆方向に上撚りをかけた双撚りコー
ドであり、該コードは上撚り数をＮ₁，下撚り数をＮ₂
としたとき、1.１７≦Ｎ₁／Ｎ₂≦1.７０の関係を満た
し、かつ下記式ＮＴ＝Ｎ₁×〔0.１３９６×｛（Ｄt ×0.9 ）／２｝
／ρ〕^1/2×１０^-3 〔ただし、Ｄt はアラミド繊維コードのトータル表示デ
シテックス、ρはアラミド繊維コードの比重である。〕
で表される撚り係数（ＮＴ）が０.4２〜０.5２の範囲に
あるアラミド繊維コードであることからなる空気入りタ
イヤ。
【請求項２】トラック又はバス用タイヤである請求項
１に記載の空気入りタイヤ。
【請求項３】下撚り糸が、１６５０〜５０００デシテ
ックスである請求項１又は２に記載の空気入りタイヤ。