JP2000246075A - 有機ガス分離フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

有機ガス分離フィルタおよびその製造方法

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JP2000246075A JP11050309A JP5030999A JP2000246075A JP 2000246075 A JP2000246075 A JP 2000246075A JP 11050309 A JP11050309 A JP 11050309A JP 5030999 A JP5030999 A JP 5030999A JP 2000246075 A JP2000246075 A JP 2000246075A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特定の有機ガスを含有する混合ガスから該特定
の有機ガスのみを経済的に、選択的かつ効率的に分離し
て除去、又は回収するのに最適な有機ガス分離フィルタ
およびその製造方法を提供する。 【解決手段】多孔質支持体2の少なくとも一方の表面
に、側鎖に有機官能基が結合してなるシロキサン結合を
有するゲル膜3からなる分離膜を被着形成したフィルタ
1を用いて特定の有機ガスを分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の有機ガス、
より詳細には、特定の有機ガスを含有する混合ガスから
前記特定の有機ガスのみを効率良く分離して除去、又は
回収するのに有用な有機ガス分離フィルタおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、電子部品や金属部品等の洗浄分野や
印刷分野、塗装分野、あるいは油槽所やタンカー等の石
油精製プラント関連分野では、取り扱われる各種有機溶
剤の使用量が大幅に増加し、それに伴って大気中に放出
される有機ガスの量も年々増加している。また、自動車
の排気ガス等に含まれる有機ガスの排出量も交通量の増
加とともに増えている。
【0003】かかる有機ガス、例えば、洗浄用に広範囲
に使用されてきたトリクロロエタン等はオゾン層破壊や
地球温暖化、光化学スモッグ等の原因物質であり、これ
らが有機ガスとして大気中に排出されることは地球規模
での環境破壊につながっており、このような有機ガスを
含有する混合ガスから該有機ガスを回収して大気中に放
出しないことが環境保全の見地から要求されている。
【0004】従来より、このような各種分野において有
機ガスを含有する混合ガスから該有機ガスを分離、回収
する方法としては、100〜20000ppm程度の濃
度の特定の有機ガスを含有する混合ガスを活性炭等の吸
着剤に接触させて吸着させた後、スチームにて有機ガス
を回収する吸着法や、有機ガスを含む混合ガスを液状の
有機溶剤に接触させて前記有機ガスを該有機溶剤に吸収
させて回収する吸収法あるいは膜分離法等が知られてい
る。
【0005】しかしながら、前記吸着法は、大型の設備
を必要とすると共に、前記吸着剤に特定の有機ガスを吸
着させた後、該吸着剤から前記特定の有機ガスを脱着さ
せる操作を繰り返し行う必要がある上、前記吸着剤から
の有機ガスの脱着に大量のエネルギーを要するため、経
済的に極めて不利であるという問題があった。
【0006】さらに、このように吸着剤への吸脱着を利
用する方法では、有機ガスを高濃度に含有する混合ガス
から該有機ガスを回収する場合には、十分に分離除去す
ることができず不向きである。
【0007】また、前記吸収法は、有機ガスを比較的高
濃度に含む混合ガスから該有機ガスを濃縮分離するため
に利用されてはいるが、設備及び運転の経費が高く、経
済的には決して有利な方法ではない。
【0008】このような知見から、前記吸着法や吸収法
に比べて有機ガスの分離操作が簡便で装置が小型化でき
ると共に、省エネルギープロセスと成り得る等の優れた
特徴を有する膜分離法が有望視されている。
【0009】例えば、特開平5−68860号公報、特
開平7−155571号公報では、シリコーン樹脂が架
橋されて形成された架橋シリコーン膜を、有機ガスを含
有する混合ガスから該有機ガスを分離するための気体分
離膜として用いることが開示されている。
【0010】また、特開平10−323547号公報に
は、シリコンアルコキシドとフェニル基を有するシリコ
ンアルコキシドを複合化し、加水分解した後、300〜
600℃で焼成してなる焼結体を二酸化炭素や酸素等の
無機ガスを分離するためのガス分離膜として用いること
が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記架
橋シリコーン膜を気体分離膜とした膜分離法では、該架
橋シリコーン膜内に混合ガス中の有機ガスが溶け込んだ
後、拡散により有機ガスが膜内を透過する、いわゆる溶
解拡散機構によるものであり、有機ガスが膜内に溶け込
むことが律速して、有機ガスの膜透過速度は、透過率が
3×10-11 mol/m2 ・Pa・s程度と非常に小さ
いものであった。
【0012】その結果、有機ガスの分離回収効率が低
く、とりわけ、キシレンなど環状炭化水素ガスに対して
は分離性が極めて低く、さらに、高流速の混合ガスから
有機ガスを十分に分離、除去あるいは回収することがで
きなかった。また、多量の有機ガスを処理するためには
装置が大型になり、コスト高となる恐れがあった。
【0013】また、特開平10−323547号公報に
開示されるフェニル基を含有するシリコンの焼結体から
なるガス分離膜では、二酸化炭素や酸素等の無機ガスを
分離するためには有効であるものの、300℃以上で焼
成することによって前記フェニル基の残存量が著しく低
下するために、特定の有機ガス、特にトルエンおよびキ
シレンに対する親和性が低く、有機ガスの分離能は低い
ものであった。
【0014】本発明は前記課題に鑑み成されたもので、
その目的は、各種揮発性有機化合物のガスを含有する混
合ガスから特定の有機化合物のガスのみを経済的に、選
択的かつ効率的に分離して除去、又は回収するのに好適
な特定の有機ガスに対して分離機能を有する有機ガス分
離フィルタおよびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高い有機ガ
ス分離特性を有する有機ガス分離フィルタを実現すべ
く、フィルタの有機ガスの透過性能、および分離性能に
ついて種々検討した結果、有機ガスと分離フィルタとの
親和性の強さが、有機ガスの分離特性に大きく関与し、
中でもシロキサン結合の側鎖に結合した有機官能基が特
定の有機ガスと強い親和性を持つことに基づき、多孔質
支持体の表面に側鎖に有機官能基が結合したシロキサン
結合を有するゲル膜を特定の有機ガスの分離膜として用
いることにより、上記目的が達成されることを見出し、
本発明に至った。
【0016】すなわち、本発明の有機ガス分離フィルタ
は、多孔質支持体の少なくとも一方の表面に、側鎖に有
機官能基が結合してなるシロキサン結合を有するゲル膜
からなる分離膜を被着形成したことを特徴とするもので
ある。
【0017】ここで、前記有機官能基がメチル基、エチ
ル基、エチレン基、プロピル基、フェニル基から選ばれ
る少なくとも1種からなることが望ましく、さらに、前
記有機ガスは、トルエンまたはキシレンについて特に有
効である。
【0018】また、本発明の有機ガス分離フィルタの製
造方法は、シリコンアルコキシドを加水分解して前駆体
ゾルを作製し、該前駆体ゾルを多孔質支持体の少なくと
も一方の表面に塗布した後、50〜150℃で乾燥して
ゲル膜からなる分離膜を形成することを特徴とするもの
である。
【0019】ここで、前記シリコンアルコキシドがテト
ラアルコキシシランと、一般式が下記化1
【0020】
【化1】
【0021】で表されるアルコキシシランとの混合物で
あることが望ましい。
【0022】
【作用】本発明の有機ガス分離フィルタによれば、多孔
質支持体表面に被着形成されるシロキサン結合を有する
ゲル膜の側鎖に結合する有機官能基が、特定の有機ガ
ス、とりわけトルエン、キシレンと強い親和性を示し、
特定の有機ガス分子の吸着点として作用することから、
有機官能基を有する分離膜表面に混合ガス中の特定の有
機ガスが吸着し、分離膜表面を移動することによって、
前記分離膜内に存在する細孔内を前記特定の有機ガスが
毛管凝縮現象により透過する、いわゆる表面拡散機構に
より透過することから、特定の有機ガスを選択的にかつ
効率よく分離することができる。
【0023】また、前記気孔の表面が前記有機官能基と
親和性の高い特定の有機ガスにより飽和し、閉塞される
ために、その他のガスは細孔内に侵入することが抑制さ
れることから、特定の有機ガスの選択的な分離が可能と
なり、分離性能が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の有機ガス分離フィルタの
一例について、その多孔質支持体表面部分の一部拡大図
を図1に示す。本発明の有機ガス分離フィルタ1は、多
孔質支持体(以下、支持体と略す。) 2の少なくとも一
方の表面に側鎖に有機官能基が結合してなるシロキサン
結合を有するゲル膜からなる分離膜 (以下、ゲル膜と略
す。)3を被着形成した複合体からなるものである。
【0025】ゲル膜3は、シリコンアルコキシドが加水
分解により架橋、重合してなるコロイド粒子の凝集体と
して存在し、該凝集体内には、1〜3nmの細孔が形成
されている。そして、コロイド粒子表面のシロキサン結
合の側鎖には有機官能基が結合しており、前記細孔の表
面(内壁)に該有機官能基が多数存在する構造となって
いる。なお、コロイド粒子の内部にもシロキサン結合の
側鎖に結合した有機官能基が存在する。
【0026】また、ゲル膜3は、支持体2表面に存在す
る気孔の内壁部に被着形成されていてもよいが、ゲル膜
3の厚みは、有機ガス分離性能の向上および有機ガス分
離の処理速度を向上させるために0.1〜1.0μmで
あることが望ましい。
【0027】また、ゲル膜3内に存在する有機官能基は
特に限定されるものではないが、ゲル膜3を製造する際
のゾルの安定性、および、特に、キシレンやトルエン等
の特定の有機ガスとの親和性の強さからメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ビニル基、フェニル基が望ましい。
【0028】一方、支持体2の平均細孔径は、ガスの透
過速度およびガス分離性能の点で、1〜100nmであ
ることが望ましい。
【0029】なお、かかる支持体2としては、例えば、
γ−アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等が挙げ
られ、ゲル膜との間に反応性生物を生じず、表面を層状
に覆い平滑な表面を形成するものであればよい。
【0030】本発明においては、ゲル膜3のシロキサン
結合の側鎖に結合する有機官能基と特定の有機ガスとの
親和性が異なることから、例えば、特定の有機ガスを含
有する複数種類の有機ガスの混合ガスから前記特定の有
機ガスを分離することが可能であり、その一例としてメ
タンとトルエンとを含有する混合ガスからトルエンを選
択的に分離することができる。また、特定の有機ガスと
無機ガスとの混合ガスから特定の有機ガスを分離するこ
とも可能である。
【0031】さらに、複数種類の有機ガスおよび無機ガ
ス中から特定の有機ガスを分離することも可能である
が、いずれの場合においても、上記混合ガス中に含まれ
る前記特定の有機ガスの濃度は、約0.02〜50容量
%であることが望ましい。
【0032】本発明のフィルタによって分離可能な特定
の有機ガスとは、一般には炭化水素類、アルコール類、
ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、カルボン酸エステル
類等のガスを指し、具体的には、例えば、メタン、エタ
ン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、イソブタン、イソペンタン、イソオクタン等に代表
される飽和脂肪族炭化水素類や、アセトン、メチルエチ
ルケトン等に代表されるケトン類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素類、メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール等に代表されるアルコール類、四塩化炭素、
クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ト
リクロロエタン、フロン11、フロン113、フロン1
23、フロン225等に代表されるハロゲン化炭化水
素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アクリル酸
ブチル等に代表されるカルボン酸エステル類等の少なく
とも炭素と水素または炭素と塩素を含有する揮発ガスを
言う。
【0033】また、本発明によれば、前記無機ガスと
は、例えば、窒素、酸素、水、塩酸、アンモニア等のガ
スを1種あるいは2種以上含有するガスを指す。
【0034】本発明の有機ガス分離フィルタおよびそれ
を用いた有機ガス分離方法においては、とりわけ、ゲル
膜3表面に存在する有機官能基と高い親和性を有するト
ルエン、あるいはキシレンのガスを分離して除去、又は
回収するのに有効である。
【0035】また、本発明によれば、支持体2は、単体
で存在してもよいが、構造体として必要な強度を有する
基体4上に被着形成されていてもよい。また、支持体2
の厚みは、ゲル膜3の成膜性およびガスの透過速度の点
で2〜4μmであることが望ましい。基体4は、支持体
2の成膜性を高め、有機ガス分離の処理速度を向上させ
るために0.1〜2μmの細孔径を有することが望まし
い。また、成膜性を高める上で、基体4は平滑な表面を
有することが望ましい。
【0036】また、高い圧力をかけることなく混合ガス
が基体4中を透過するためには、基体4は20%以上の
気孔率を有することが望ましく、また、基体4の強度を
確保するためには、基体4の気孔率が40%以下である
ことが望ましい。
【0037】基体4としては、α−アルミナや安定化ジ
ルコニアを主成分とするセラミックスや、シリカ系ガラ
ス(分相ガラス)等によって形成できるが、耐熱性が高
いこと、容易に作製できること、コストの点で、α−ア
ルミナを主成分とするセラミックスからなることが望ま
しい。
【0038】また、基体4の形状形態は、特に限定され
るものではなく、平板状や管状体等のいずれでも良い
が、有機ガス分離効率やフィルタとしての取り扱いを考
慮すれば管状体が望ましい。
【0039】管状体の径は、単位面積当たりに占めるゲ
ル膜3の面積割合を増し、ガスの分離効率を高める上で
は、内径2mm程度が望ましく、また、取り扱いに支障
のない強度を保つために、その肉厚は0.3〜1mmが
好適である。
【0040】上記の構成においては、支持体2およびゲ
ル膜3は基体4の内面および/または外面に被着形成さ
れる。
【0041】本発明の有機ガス分離フィルタ1は、フィ
ルタ1の一方の表面側に特定の有機ガスを含有した混合
ガスを流すとともに、フィルタ1の反対側の面でフィル
タ1を透過した前記特定の有機ガスを含むガスを捕獲
し、分離、回収することができるものであるが、フィル
タ1の前記ガス透過面の前記特定の有機ガス分圧を低め
ることにより、前記混合ガスから特定の有機ガスの分離
を効率的に行うことができるものである。
【0042】ガスの透過経路としては、支持体2を通過
した後、ゲル膜3を透過してもよく、逆にゲル膜3を透
過した後、支持体2を透過してもよい。また、支持体2
が管状体からなる場合には、管状体の内部に混合ガスを
流し、管状体の外部にガスを透過させ、回収してもよ
く、逆に管状体の外部に混合ガスを流し、管状体の内部
にガスを透過させ、回収してもよい。
【0043】前記特定の有機ガスの分圧を低める方法と
しては、特定の有機ガスの排出面側に特定の有機ガス以
外のガスを流すこともできるが、前記特定の有機ガスを
含む混合ガス供給面側の気圧よりも前記特定の有機ガス
排出面側の気圧を低めることにより、より効率的に特定
の有機ガスの分離ができる。
【0044】また、上記気圧差を設ける方法としては、
前記特定の有機ガス排出面側を減圧する方法、前記特定
の有機ガスを含む混合ガス供給面側を加圧する方法、さ
らに、上記2つの方法を併用する方法が挙げられる。
【0045】本発明の有機ガス分離フィルタを用いて特
定の有機ガスを分離する有機ガス分離装置の一例を図2
に示す。図2によれば、有機ガス分離装置11は、内径
1〜3mm、肉厚0.3〜1mm、長さ5〜500mm
の円筒形状の有機ガス分離フィルタ12を50〜100
本程度束ねたものが、固定用部材13で固定され、さら
にハウジング14中に接着固定されている。
【0046】固定用部材13およびハウジング14は、
塩化ビニル、ポリウレタン等の樹脂、ステンレス等の金
属、アルミナやジルコニア等の緻密質セラミックス等の
ガスを透過しないものによって形成されるが、ハウジン
グ14については、系内を加圧または減圧する場合に
は、ステンレス等の機械的強度の高いものが好適であ
る。
【0047】さらに、ハウジング14には、系内に混合
ガスを導入するための混合ガス導入口15、有機ガス分
離フィルタ12表面を通過した混合ガスが系外に排出さ
れるための非透過ガス排出口16および有機ガス分離フ
ィルタ12内を透過したガスを系外へ排出するための透
過ガス排出口17が形成され、上記3個所にてのみガス
が出入りする。
【0048】有機ガス分離装置11によれば、系内に気
圧差を設けることができ、例えば、透過ガス排出口17
にアスピレータや真空ポンプを接続して有機ガス分離フ
ィルタ12の外周表面の気圧を下げることができる。
【0049】次に、本発明の有機ガス分離フィルタを製
造する方法の一例について説明する。まず、平均粒径
0.1〜2.0μmのアルミナ粉末原料に、所定量の有
機バインダ、潤滑剤、可塑剤、水を添加、混合した後、
該混合物をプレス成形、押し出し成形、射出成形、冷間
静水圧プレス等の公知の成形手段によって成形する。
【0050】さらに、該成形体を大気中、1000〜1
500℃にて焼成することにより所望の特性を有する基
体を作製することができる。
【0051】この基体としては、前述した材質、気孔
率、平均細孔径を有するとともに、表面粗さ0.1〜
0.9μmの平滑な表面を有することが望ましく、ま
た、内径2mm、肉厚0.3〜1mmの管状体であるこ
とが望ましい。
【0052】次に、支持体を形成する方法としては、ア
ルミニウムセカンダリーブトキシド等のアルミニウムア
ルコキシドの加水分解によりベーマイトゾルを作製し、
前記支持体の表面に前記ベーマイトゾルを塗布、注入ま
たは前記ベーマイトゾル中に前記支持体を含浸して引き
上げることにより、該支持体の表面にベーマイトゲル膜
を被着形成する。
【0053】具体的には、管状体の先端部に栓をして前
記ベーマイトゾル中に含浸することにより管状体の外周
表面に支持体を被着形成でき、注射器等を用いて前記ベ
ーマイトゾルを前記管状体内部に注入することにより、
管状体の内周表面に支持体を被着形成できる。
【0054】その後、得られたベーマイトゾルを被着形
成した基体を、大気中、400〜900℃にて焼成する
ことにより、α−アルミナ質基体の表面にγ−アルミナ
質支持体を設けることができる。焼成温度を上記範囲に
限定した理由は、400℃以下では、基体と支持体との
結合力が弱く支持体が剥離してしまうためであり、逆に
900℃以上では、焼結が進行しすぎ支持体の細孔径を
所望の範囲に制御することができないためである。
【0055】一方、支持体の表面にゲル膜を作製するに
は、まず、シリコンアルコキシドを準備する。シリコン
アルコキシドとしては、後述するゾルの安定性およびゲ
ル膜3表面のシロキサン結合の側鎖の有機官能基の存在
率を高める点で、テトラアルコキシシランと一般式が下
記化1
【0056】
【化1】
【0057】で表されるアルコキシシランとからなるこ
とが望ましい。
【0058】具体的には、テトラアルコキシシランとし
ては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
テトラプロポキシシラン等が使用可能であり、中でも原
料コスト、特定の有機ガスとの親和性および成膜性の点
で、テトラメトキシシランおよび/またはテトラエトキ
シシランからなることが望ましい。
【0059】また、前記他のアルコキシシランとして
は、前記化1におけるR1 、R2 、R3 、R4 で表され
る有機官能基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ビ
ニル基、フェニル基から選ばれる少なくとも1種である
ことが望ましく、これら有機官能基がゲル膜3表面に存
在することによって、特定の有機ガス、特にキシレンあ
るいはトルエンとの強い親和性を有することから、特定
の有機ガスの分離能が向上する。
【0060】また、アルコキシシランゾルの安定化のた
めに、前記シリコンアルコキシシラン全量中の前記化1
のアルコキシシランの含有量が5〜50モル%であるこ
とが望ましい。
【0061】また、上記シリコンアルコキシドに対し
て、ジルコニウムアルコキシド、具体的には、テトラエ
トキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、
テトラブトキシジルコニウム等を添加することが望まし
いが、アルコールへの溶解性およびゲルの成膜性の点か
ら、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジ
ルコニウムが望ましく、前記シリコンアルコキシドに対
して5〜50重量部、望ましくは10〜30重量部の割
合で添加することが望ましい。
【0062】上述したアルコキシドは、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエ
タノール、2−エトキシエタノール等のアルコールに溶
解させる。上記アルコールの中でも、前述したアルコキ
シドの溶解性、後述するゲルの親和性および乾燥性の点
で、メタノールまたはエタノールが好適である。
【0063】また、上記2種類のシリコンアルコキシド
を混合する場合には、あらかじめ前記テトラアルコキシ
シラン1molに対して1〜3molの水を酸等ととも
に添加し、部分的に加水分解することが望ましく、これ
により前記加水分解された部分が前記化1のアルコキシ
シランと反応することによって溶液中の組成の均質性を
高めることができる。
【0064】次に、上記アルコキシド溶液を混合し、窒
素気流下にて撹拌して複合アルコキシドを作製した後、
これに所定の濃度の水、酸等を添加する公知の加水分解
法によって加水分解し、ゾルを形成する。なお、前記加
水分解のために添加する水の量は、アルコキシド溶液中
のSi1モルに対して1〜20モルが望ましい。
【0065】すなわち、前記水の量が1モルより少ない
と加水分解が充分でなく、シロキサン結合が進行しない
ために成膜性が悪くなり、膜内にクラックが生じたり、
膜の剥離が発生するためであり、前記水の量が20モル
より多いと、加水分解が急激に進行しすぎ、沈殿を生じ
て安定なゾルを得ることができないためである。
【0066】そして、前記支持体の表面に前記ペースト
を塗布、注入または前記ペースト中に前記支持体を含浸
して引き上げることにより、該支持体の表面にゲル膜を
被着形成する。
【0067】具体的には、管状体の先端部に栓をして前
記ペースト中に含浸することにより管状体の外周表面に
シリカ膜を被着形成でき、注射器等を用いて前記ペース
トを前記管状体内部に注入することにより、管状体の内
周表面にシリカ膜を被着形成できる。
【0068】得られたシリカ膜を被着形成した支持体
を、大気中、50〜150℃にて乾燥することにより支
持体表面にゲル膜を形成することができる。なお、乾燥
温度を上記範囲に限定した理由は、50℃より低いと、
フィルタ使用時の温度上昇に伴い、ゲル膜の有機官能基
の量や結合状態および細孔径等が変化して、ガス分離能
が変化してしまうためであり、また、150℃より高い
とゲル膜がアモルファスシリカ膜へ変質するとともに、
ゲル膜の表面に結合する有機官能基が分解酸化され、消
失してしまう結果、特定の有機ガスとの親和性が損なわ
れるからである。
【0069】また、ゲル膜および支持体を形成する方法
としては、上記以外にもCVD法等の薄膜法によっても
形成できる。
【0070】
【実施例】まず、純度99.9%、平均粒径0.1μm
のアルミナと、有機バインダと、潤滑剤と、可塑剤と水
とを混合し、押し出し成形にて管状体に成形した後、大
気中、1200℃にて焼成して、内径2mm、肉厚0.
4mm、長さ250mmの管状体で、平均細孔径0.2
μm、気孔率39%を有する表1に示すα−アルミナ質
多孔質支持体(試料No.1、2)またはα−アルミナ
質多孔質基体(試料No.3〜14)を作製した。
【0071】次に、水にセカンダリーブトキシドを添加
して加水分解し、さらに硝酸を添加した後16時間還流
してベーマイトゾルを作製した後、α−アルミナ質多孔
質基体の先端部に栓をして前記ベーマイトゾル内に含浸
して30秒間保持し、5mm/sec.の速度で引き上
げ、室温にて1時間乾燥した後、500℃で熱処理する
工程を繰り返し、平均細孔径5nm、厚さが2μmのγ
−アルミナからなる支持体を被覆したα−アルミナ質基
体を作製した(試料No.3〜13)。
【0072】一方、表1に示すシリコンアルコキシドお
よびジルコニウムアルコキシドをエタノールに溶解し、
エタノールと水と塩化水素(HCl)とを含む混合物を
滴下して加水分解し、ペースト状のゾルを作製した。そ
して、前記α−アルミナ(Al2 3 )多孔質支持体に
先端部に栓をし、得られたペースト状のゾル内に含浸し
て30秒間保持した後、5mm/秒の速度で引き上げ、
表1に示す温度にて1時間乾燥する一連の作業工程を繰
り返し、支持体の外周表面に表1に示す膜厚の分離膜を
形成した有機ガス分離フィルタ12を作製した。
【0073】得られた有機ガス分離フィルタ12につい
て、フィルタ12の破面SEM写真から分離膜の膜厚を
求めた。また、フィルタを粉砕した粉砕粉末について、
拡散反射IR法により、フィルタ中に存在する有機官能
基の存在の有無を調べ、有機官能基が存在していたもの
については、分離膜の状態がゲル膜である、有機官能基
が存在していないものについては、分離膜の状態がアモ
ルファスシリカ膜であるとみなして表1に示した。
【0074】また、得られた有機ガス分離フィルタ50
本をポリウレタン製の固定用部材13にて固定した後、
さらにステンレス製のハウジング14内に固定し、図2
の有機ガス分離装置11を作製した。
【0075】なお、前記有機ガス分離フィルタ12内に
形成された分離膜の長さは220mmで、有機ガス分離
装置11内の分離膜の面積は0.10m2 であった。
【0076】得られた有機ガス分離装置11の混合ガス
導入口15よりトルエンまたはキシレン濃度が1%、残
部が空気からなる混合ガスを10リットル/minの流
速で流すとともに、透過ガス排出口17を真空ポンプで
100torrに減圧した。この時、透過ガス排出口1
7より回収された混合ガス中のトルエンまたはキシレン
濃度を測定した。結果は表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】表1の結果から明らかなように、乾燥温度
が高く、膜の状態がアモルファスシリカ状態となった試
料No.9および14については、トルエンの透過率が
1.0×10-8以下、キシレンの透過率が9.5×10
-9以下と低いものであった。
【0079】これに対し、本発明のゲル膜からなる試料
では、トルエンの透過率が2.0×10-7以上、キシレ
ンの透過率が3.0×10-7以上の優れた特性を有する
ものであった。
【0080】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の有機ガス
分離フィルタは、特定の有機ガスに対して高い親和性を
有することから、該特定の有機ガスを含有した混合ガス
から、該特定の有機ガスのみを選択的に、かつ効率的に
分離・濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機ガス分離フィルタの一部拡大図で
ある。
【図2】本発明の有機ガス分離フィルタを組み込んだ有
機ガス分離装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 有機ガス分離フィルタ 2 支持体 3 ゲル膜 4 基体 5 細孔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質支持体の少なくとも一方の表面に、
    側鎖に有機官能基が結合してなるシロキサン結合を有す
    るゲル膜からなる分離膜を被着形成したことを特徴とす
    る有機ガス分離フィルタ。
  2. 【請求項2】前記有機官能基がメチル基、エチル基、プ
    ロピル基、ビニル基、フェニル基から選ばれる少なくと
    も1種からなることを特徴とする請求項1記載の有機ガ
    ス分離フィルタ。
  3. 【請求項3】前記有機ガスが、トルエンまたはキシレン
    であることを特徴とする請求項1または2記載の有機ガ
    ス分離フィルタ。
  4. 【請求項4】シリコンアルコキシドを加水分解して前駆
    体ゾルを作製し、該前駆体ゾルを多孔質支持体の少なく
    とも一方の表面に塗布した後、50〜150℃で乾燥し
    てゲル膜からなる分離膜を形成することを特徴とする有
    機ガス分離フィルタの製造方法。
  5. 【請求項5】前記シリコンアルコキシドがテトラアルコ
    キシシランと一般式が下記化1 【化1】 で表されるアルコキシシランとの混合物であることを特
    徴とする請求項4記載の有機ガス分離フィルタの製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記化1におけるR1 、R2 、R3 、R4
    がメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェニ
    ル基から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴と
    する請求項5記載の有機ガス分離フィルタの製造方法。
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