JP2000234149A - 耐溶損性に優れた鋳造用金型 - Google Patents
耐溶損性に優れた鋳造用金型Info
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Abstract
i:0.1〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、C
r:8.0〜13.0%、Al:0.01〜3.0%、
を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる鋼の
表面に1〜30μm厚さの鉄−クロムの酸化物層を形成
させ、耐溶損性を改良した鋳造用金型。 【効果】 溶融アルミニウム合金に対して優れた耐溶損
性を備えているので、耐溶損性が向上し、金型寿命を延
ばすことができる。
Description
鋳造鋳型や、スリーブ、ピン等を製造する際の溶湯に接
する金型類において、耐溶損性を改良した鋳造用金型に
関するものである。
合金、銅合金等の溶融金属の金型鋳造(ダイカスト、グ
ラビティ)に用いる金型類には、従来、熱間工具鋼、マ
ルエージング鋼などの、鋼や鋳鉄が用いられている。こ
の中で最も多く使用されているのは、アルミニウム合金
のダイカスト鋳造であるが、この金型類の寿命は必ずし
も満足できるものではなかった。
て、寿命を支配するのは主として熱亀裂、溶損である
が、この鋳造用金型の耐溶損性を改善するため、例えば
特開平4−56749号には、窒化処理を施すことが開
示されている。しかし、窒化処理を施した場合であって
も、その金型寿命はまだユーザーのニーズにまでは至っ
ていないのが実状である。
ものであり、熱亀裂、大割れに影響する基本的な性能
(高温強度、延性、靱性)は従来の金型類に劣ることな
く、耐溶損性を向上させた鋳造用金型を提供することを
目的としている。
ために、本発明の耐溶損性に優れた鋳造用金型は、高C
r鋼の表面に1〜30μm厚さの酸化皮膜を形成させる
こととしている。そして、このようにすることで、溶湯
アルミニウム合金との反応が抑制され、溶損を軽減させ
ることができる。
行った結果、Cr含有量が8重量%以上の高Cr鋼に酸
化皮膜を形成させると、溶湯アルミニウム合金との反応
が抑制され、溶損が軽減されることを知見した。
ば、鋼中にCrを多量に含有している場合、酸化皮膜は
スピネル型の鉄−クロムの酸化物となる。この酸化皮膜
が、溶融アルミニウム合金との反応を抑制するので、溶
損が軽減するのである。
℃の温度範囲で、水蒸気、若しくは、水蒸気+空気、或
いは、水蒸気+窒素ガス雰囲気で1〜10時間加熱す
る。こうすることにより、表面に酸化皮膜を形成させる
ことができる。
昇温するために、表面に酸化皮膜が形成されるが、鋼中
にCrを多量に含有している場合、酸化処理と同様な鉄
−クロム複合酸化物が形成されるので、溶損が軽減す
る。この酸化皮膜の厚みは1μm未満では溶損に対して
効果が見られず、30μmを超えると酸化皮膜が基地よ
り剥離しやすくなり、やはり、溶損に対しての効果が低
下する。従って、本発明では、酸化皮膜の厚みは1〜3
0μmとする。
性と対溶損性を改善するため、高温強度及び延性、靱性
が要求される。しかし、Cr含有量が多くなると、高温
強度と靱性が低下するため、C、Crの最適な組合せに
ついて種々研究した結果、Cr量を増加させた場合には
C量を低減させることにより、また、Cr含有量が少な
い場合には、C量を多くすることにより、高温強度(耐
熱亀裂性)と靱性(破壊靱性値)の低下を抑制できるこ
とを知見した。
適なC、Crの組合せは図1に示されるように、 Cr=16±1−30×〔C〕+30〔C〕2 但し、Cr:Crの重量%、 C:Cの重量%、 の範囲にあることを見出した。
上記知見に加え、その他の元素の影響を調査した結果に
基づいて成されたものであり、重量%で、C:0.1〜
0.4%、Si:0.1〜0.7%、Mn:0.1〜
1.5%、Cr:8.0〜13.0%、Al:0.01
〜3.0%、を含有し、残部はFe及び不可避的不純物
からなる鋼、或いは、C:0.1〜0.4%、Si:
0.1〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、Cr:
8.0〜13.0%、Al:0.01〜3.0%、M
o:0.01〜1.2%、W:0.1〜3.5%、V:
0.05〜0.5%、Nb:0.005〜0.2%、
B:0.0001〜0.02%、を含有し、残部はFe
及び不可避的不純物からなる鋼の表面に1〜30μm厚
さの鉄−クロムの酸化物層を形成させたことを要旨とす
るものであり、CrとCの含有量は、 Cr=16±1−30×〔C〕+30〔C〕2 但し、Cr:Crの重量%、 C:Cの重量%、 とすることが望ましい。
金型における成分組成を限定する理由について説明す
る。 C:Cはオーステナイト化安定元素であり、δフェライ
トの析出を抑制すると共に鋼の焼入性を向上し、Fe、
Cr、Mo、V、Nbと炭化物を形成して、耐摩耗性、
焼戻し軟化抵抗、高温強度を向上させる。これらの作用
効果を確保するためには、0.1%以上添加することが
必要である。しかし、その含有量が0.40%を超える
と、炭化物が過剰に析出して、高温強度、靱性を低下さ
せ、熱亀裂性を低下させる。そこで、本発明ではその含
有量を0.1〜0.4%とした。本発明者らの知見で
は、後述するCr量に対する最適なC量は、Cr=16
±1−30×〔C〕+30〔C〕2 の範囲である。
ぎると靱性を低下させるため、0.7%以下とする。し
かし、その含有量が0.10%未満では添加効果に乏し
い。そこで、本発明ではその含有量を0.1〜0.7%
とした。
上に有効な元素である。しかし、金型表面に安定な酸化
皮膜を形成させるためには、8.0%以上の添加が必要
である。但し、13.0%を越えるとδフェライトの生
成、高温強度の低下、靭性の低下をもたらし、耐熱亀裂
性が低下する。そこで、本発明ではその含有量を8.0
〜13.0%とした。なお、CrとCの最適な組み合わ
せは先に説明した通りである。
と共に、安定な酸化皮膜の形成、オーステナイトの安定
化に寄与する。そして、これらの効果を得るためには、
0.01%以上の添加が必要である。しかし、3.0%
を超えると、高温強度や靱性を低下させる。そのため、
本発明ではその含有量を0.01〜3.0%とした。
及び、耐摩耗性を向上させる作用を有する。しかし、そ
の含有量が0.01%未満では添加効果が得られない。
一方、1.2%を超えるとδフェライトが生成して靱性
を低下させる。従って、本発明ではその含有量を0.0
1〜1.2%とした。
化抵抗、及び、耐摩耗性を向上させる作用を有する。そ
して、前記作用はMoと複合添加した場合に、その効果
は著しい。しかし、0.1%未満ではMoと複合添加し
ても効果が小さい。一方、3.5%を超えるとδフェラ
イトが生成して靭性を低下させる。従って、本発明では
その含有量を0.1〜3.5%とした。望ましい下限は
0.8%である。
せ、高温強度と耐摩耗性を向上させると共に、結晶粒の
微細化に寄与する。しかし、その含有量が0.05%未
満であるとその効果が乏しく、0.5%を超えると炭窒
化物が過剰に析出し、延性や靱性を低下させる。そこ
で、本発明ではその含有量を0.05〜0.5%とし
た。望ましくは0.1〜0.3%である。
窒化物を析出させ、高温強度と耐摩耗性を向上させると
共に、結晶粒の微細化に寄与する。しかし、その含有量
が0.005%未満であるとその効果が乏しく、0.2
%を超えると炭窒化物が過剰に析出し、延性や靭性を低
下させる。そこで、本発明ではその含有量を0.005
〜0.2%とした。望ましくは0.01〜0.2%であ
る。
させ、かつ、その高温安定性を高めて高温強度を向上さ
せる。しかし、0.0001%未満ではその効果が得ら
れない。一方、過剰に添加すると延性や靱性の低下をも
たらすので、本発明では、上限は0.02%、望ましく
は0.008%にする。
か、残部はFeと不可避的な不純物である。この不純物
の含有量は特に規制しないが、不純物のうち、Pは0.
02%以下、Sは0.003%以下、Nは0.1%以下
とすることが望ましい。
て説明する。下記表1及び表2に示す成分組成の工具鋼
を高周波炉で溶解した後、鋳塊を据え込み及び鍛伸して
所定の寸法に鍛造した。鍛造温度はδフェライトが析出
しない1200℃以下で加熱した。
金型に採用する鋼、表2の鋼種62、63は従来から広
く用いられているSKD61、表2の鋼種43〜63は
*印を付した成分が本発明で規定する範囲から外れる比
較鋼である。これらの鍛造材を熱処理した後、所定の試
験片に機械加工した。
施し、焼戻しは520〜580℃の空冷を2回繰り返し
た。各鋼種は硬さHRC43に調整した。試験片を加工
後、550℃の水蒸気雰囲気中で1時間加熱し、酸化皮
膜を形成させた。なお、鋼種16〜21、鋼種37〜3
9、鋼種59及び61は、前記した酸化処理を行わず
に、加工のままで試験に供した。
10)による溶損試験、破壊靱性試験およびヒートチェ
ック試験を実施した。このうち、溶損試験は、700℃
の溶湯温度の前記アルミニウム合金中に、20×20×
100(mm)のサイズの試験片を浸漬し、上下動を5
時間繰り返すことにより耐溶損性を調査した。なお、耐
溶損性評価には次式で求めた値を用いた。求めた耐溶損
性は、値が小さいほど耐溶損性に優れることを意味して
いる。 耐溶損性(%/h)=(試験前の重量−試験後の重量)
/浸漬部の重量/試験時間
9−83に準じて測定し、耐大割れ性の指標とした。求
めた破壊靱性値は大きいほど、耐大割れ性に優れること
を示す。
mmの試験片の表層部を誘導加熱して試験片の表面を6
00℃に加熱した後、直ちに常温まで水冷する操作(1
サイクル15秒)を1000回繰り返した。その後、試
験片を切断して断面を顕微鏡観察し、外周部に発生した
亀裂の最大深さを測定した。
大亀裂長さ)、耐大割れ性(破壊靱性値)を示す。表3
及び表4より明らかなように、本発明の鋳造用金型に採
用する鋼の耐熱亀裂性、耐大割れ性は従来鋼と同等であ
るが、耐溶損性は従来鋼及び比較鋼よりも著しく優れて
いる。従って、本発明の鋳造用金型に採用する鋼を実際
にダイカスト金型として使用した場合には、従来鋼およ
び比較鋼を採用した場合よりも長寿命となることが判
る。
型は、溶融アルミニウム合金に対して優れた耐溶損性を
備えているので、耐溶損性が向上しその金型寿命を延ば
すことが可能である。
を示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.1〜0.4%、S
i:0.1〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、C
r:8.0〜13.0%、Al:0.01〜3.0%、
を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる鋼の
表面に1〜30μm厚さの鉄−クロムの酸化物層を形成
させたことを特徴とする耐溶損性に優れた鋳造用金型。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.1〜0.4%、S
i:0.1〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、C
r:8.0〜13.0%、Al:0.01〜3.0%、
Mo:0.01〜1.2%、W:0.1〜3.5%、
V:0.05〜0.5%、Nb:0.005〜0.2
%、B:0.0001〜0.02%、を含有し、残部は
Fe及び不可避的不純物からなる鋼の表面に1〜30μ
m厚さの鉄−クロムの酸化物層を形成させたことを特徴
とする耐溶損性に優れた鋳造用金型。 - 【請求項3】 CrとCの含有量が、 Cr=16±1−30×〔C〕+30〔C〕2 但し、Cr:Crの重量%、 C:Cの重量%、 であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐溶損性
に優れた鋳造用金型。
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JP2019147179A (ja) * | 2018-02-28 | 2019-09-05 | 株式会社デンソー | 金型装置 |
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- 1999-02-10 JP JP03279999A patent/JP4099888B2/ja not_active Expired - Fee Related
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