JP4605695B2 - ダイカスト金型用プリハードン鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイカスト金型用プリハードン鋼に関する。
従来、5Cr系熱間ダイス鋼(例えばJIS−SKD61)がダイカスト金型の素材として用いられていたが、この場合、焼きなまし状態の鋼を粗加工してから熱処理により所望の硬さにし、この後に仕上加工して金型に仕上げていた。このため、5Cr系熱間ダイス鋼の金型は、製作に時間及びコストがかかるという問題があった。
かかる問題を解決したダイカスト金型用の素材として、プリハ−ドン鋼が知られている(例えば、特許文献1)。プリハ−ドン鋼は、予め熱処理された鋼材であって、粗加工と仕上加工との間で熱処理する必要がなく、5Cr系熱間ダイス鋼に比べて、金型の製作納期及び費用の点で優れている。
特開2003−138342号公報
しかしながら、従来のプリハードン鋼のダイカスト金型は、5Cr系熱間ダイス鋼のダイカスト金型に比べて寿命の点で満足できる水準になかった。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、ダイカスト金型の長寿命化を可能にするダイカスト金型用プリハードン鋼を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明者らは種々の検討を重ねる中で、粒界酸化と耐ヒートチェック性との相関に着目し、本発明に想到した。
請求項1の本発明によれば、質量含有率で、0.15%以上0.35%以下のCと、0.05%以上0.20%未満のSiと、0.05%以上1.50%以下のMnと、0.020%以下のPと、0.013%以下のSと、0.10%以下のCuと、0.20%以下のNiと、0.20%以上2.50%以下のCrと、0.50%以上3.00%以下のMoと、合わせて0.05%以上0.30%以下のV及びNbと、0.020%以上0.040%以下のAlと、0.003%以下のOと、0.010%以上0.020%以下のNとを含有して残部がF及び不可避的不純物からなり、30以上40以下のロックウェルC硬さを有することを特徴とするダイカスト金型用プリハードン鋼が提供される。
この構成では、Si、Cr及びMn含有率の上限を規制したことにより、特に、Si含有率の上限を0.20%にすることで、粒界酸化による粒界の脆化が防止され、耐ヒートチェック性が向上する。
請求項2の本発明は、好適な態様として、0.0002%以上0.0020%以下のBを更に含有することを特徴とし、この構成ではBにより焼入性が向上する。
請求項3の本発明は、好適な態様として、0.0005%以上0.0100%以下のCaと、0.01%以上0.15%以下のSeと、0.01%以上0.15%以下のTeと、0.003%以上0.20%以下のZrとのうちいずれか1種以上を含有することを特徴としている。
この構成では、Ca、Se、Te及びZrにより被削性が向上するとともに、これらCa、Se、Te及びZrが鋼中の硫化物(MnS)を球状化するので靭性が等方的になり、更に耐ヒートチェック性が向上する。
上述したように、請求項1〜3のダイカスト金型用プハードン鋼によれば、耐ヒートチェック性の向上により金型における表面疵の発生が防止され、金型の長寿命化を達成することができる。
また、請求項2のダイカスト金型用プハードン鋼は、焼入性が向上しているので大きなダイカスト金型の製造に好適する。
そして、請求項3のダイカスト金型用プハードン鋼によれば、被削性の向上により容易に粗加工及び仕上加工ができるとともに、靭性の等方化により更に耐ヒートチェック性が向上しているので、金型の一層の長寿命化を達成することができる。
以下、本発明の第1実施形態のダイカスト金型用プリハードン鋼について説明する。
このプリハードン鋼は、所定の組成を有する鋳塊を鍛造又は圧延して鋼材にし、得られた鋼材に、熱処理により30HRC以上40HRC以下のロックウェル硬さを付与したものである。
HRC硬さの下限を30にしたのは、このプリハードン鋼をダイカスト金型に適用したときに、このダイカスト金型に必要とされる強度を付与するためである。一方、HRC硬さの上限を40にしたのは、粗加工及び仕上加工におけるプリハードン鋼の被削性を確保するためである。このため、このプリハードン鋼によれば、切削加工の能率が確保され、金型の製造時間及びコストを低減することができる。
以下、プリハードン鋼の組成について説明する。
このプリハードン鋼は質量含有率で、0.15%以上0.35%以下のC(炭素)と、0.05%以上0.20%未満のSi(シリコン)、0.05%以上1.50%以下のMn(マンガン)と、0.020%以下のP(リン)と、0.013%以下のS(硫黄)と、0.10%以下のCu(銅)と、0.20%以下のNi(ニッケル)と、0.20%以上2.50%以下のCr(クロム)と、0.50%以上3.00%以下のMo(モリブデン)と、合わせて0.05%以上0.30%以下のV(バナジウム)及びNb(ニオブ)と、0.020%以上0.040%以下のAl(アルミニウム)と、0.003%以下のO(酸素)と、0.010%以上0.020%以下のN(窒素)とを含有して残部が実質的にFe(鉄)からなる。
プリハードン鋼における各元素の含有率、即ち、含有量を上記範囲に設定したのは以下の理由による。
C:0.15%以上0.35%以下
C含有量の下限を0.15%にしたのは、プリハードン鋼に硬さを付与するためである。一方、C含有量の上限を0.35%にしたのは、プリハードン鋼の溶接割れ感受性が高くなるのを防止するためと、プリハードン鋼が硬くなりすぎて被削性が低下するのを防止するためである。なお、C含有量の好適な下限は0.20%である一方、C含有量の好適な上限は0.30%であり、C含有量の好適な範囲は0.20%以上0.30%以下である。
Si:0.05%以上0.20%未満
Si含有量の下限を0.05%にしたのは、鋳塊溶製時における脱酸と、鋼材の焼入性及びプリハードン鋼の被削性の向上のためである。一方、Si含有量の上限を0.20%にしたのは、Si含有量が0.20%以上になると粒界酸化が顕著となって粒界が脆化し易くなり、プリハードン鋼の耐ヒートチェック性が低下するからである。
Mn:0.05%以上1.50%以下
Mn含有量の下限を0.05%にしたのは、鋳塊溶製時における脱酸と、鋼材の焼入性向上のためである。一方、Mn含有量の上限を1.50%にしたのは、Mn含有量が1.50%を超えると粒界酸化が激しくなって粒界が脆化し易くなり、プリハードン鋼の耐ヒートチェック性が低下するからである。なお、Mn含有量の好適な下限は0.10%である一方、Mn含有量の好適な上限は1.00%であり、Mn含有量の好適な範囲は、0.10%以上1.00%以下である。
P:0.020%以下
Pはプリハードン鋼の靭性を低下させるのでP含有量は小さいほど好ましく、このためP含有量の下限を設けていない。一方、P含有量の上限を0.020%にしたのは、P含有量が0.020%以下であればプリハードン鋼の靭性に与える影響が少ないからである。
S:0.013%以下
Sは硫化物を生成し、この硫化物がヒートクラックの起点となるとともにクラックの伸展を助長してプリハードン鋼の耐ヒートチェック性を低下させるので、S含有量の上限は0.013%にする。一方、S含有量の下限は0であってもよいが、Sを微量でも含有すればプリハードン鋼の被削性が向上することから、S含有量の好適な範囲は0.003%以上0.013%である。
Cu:0.10%以下,Ni:0.20%以下
Cu及びNiの各々は、鋳塊溶製時に原料等から混入する不純物であってプリハードン鋼の必須成分ではない。このため、Cu含有量の上限を0.10%とし、Ni含有量の上限を0.20%とする。
Cr:0.20%以上2.50%以下
Cr含有量の下限を0.20%にしたのは、鋳塊溶製時における脱酸と、鋼材の焼入性を高くするためである。一方、Cr含有量の上限を2.50%にしたのは、Cr含有量が2.50%を超えると、粒界酸化が顕著となって粒界が脆化し易くなり、プリハードン鋼の耐ヒートチェック性が低下するからである。また、Cr含有量が2.50%を超えると、鋳塊の熱間加工性が低下するとともに、プリハードン鋼の600℃以上での軟化抵抗性が低下し、高温強度の低下が顕著になり、被削性、溶接性及び熱伝導率も低下し、そして、原料コストも高くなるからである。なお、Cr含有量の好適な下限は0.50%である一方、Cr含有量の好適な上限は2.00%であり、Cr含有量の好適な範囲は、0.50%以上2.00%以下である。
Mo:0.50%以上3.00%以下
Mo含有量の下限を0.50%にしたのは、鋼材の焼入性を高くするとともにプリハードン鋼における600℃以上での焼戻し軟化抵抗性を確保するためである。一方、Mo含有量の上限を3.00%にしたのは、Mo含有量が3.00%を超えるとプリハードン鋼の被削性及び熱伝導率が低下するとともに原料コストが高くなるからである。なお、Mo含有量の好適な下限は0.80%である一方、Mo含有量の好適な上限は2.50%であり、Mo含有量の好適な範囲は0.80%以上2.50%以上である。
V及びNb:合わせて0.05%以上0.30%以下
V及びNbは共に、プリハードン鋼における焼戻し軟化抵抗性の確保及び結晶粒の微細化のための元素であり、このためプリハードン鋼におけるV及びNbの含有量を、これらV及びNbの含有量の和で設定している。従って、この含有量の和の下限を0.05%にしたのは、プリハードン鋼における焼戻し軟化抵抗性を確保するとともに結晶粒を微細化するためである。一方、この含有量の和の上限を0.30%にしたのは、この和が0.30%を超えるとプリハードン鋼の被削性、靭性及び熱伝導率が低下するとともに原料コストが高くなるからである。なお、この含有量の和の好適な下限は0.08%である一方、この含有量の和の好適な上限は0.15%であり、この含有量の和の好適な範囲は、0.08%以上0.15%以下である。
Al:0.020%以上0.040%以下
Al含有量の下限を0.02%にしたのは、鋳塊溶製時の脱酸のためと、窒化物(AlN)の生成により結晶粒を微細化し、プリハードン鋼の耐ヒートチェック性を向上するためである。一方、Al含有量の上限を0.040%にしたのは、Al含有量が0.040%を超えると脱酸生成物(Al23)及び窒化物によりプリハードン鋼の被削性が低下するからである。なお、Al含有量の好適な上限は0.030%であり、Al含有量の好適な範囲は、0.020%以上0.030%以下である。
O:0.003%以下
O含有量の上限を0.003%にしたのは、Oは不純物であり、鋳塊溶製時の脱酸剤として添加されるAlと化合してAl23を生成し、Al23により被削性が低下するからである。
N:0.010%以上0.020%以下
N含有量の下限を0.010%にしたのは、Nは上述したようにAlと結合して窒化物を生成し、この窒化物により結晶粒が微細化してプリハードン鋼の耐ヒートチェック性が向上するからである。一方、N含有量の上限を0.020%にしたのは、N含有量が0.020%を超えると炭窒化物が生成してプリハードン鋼の被削性が低下するからである。
上述したプリハードン鋼は、Si、Cr及びMn含有量の上限、とりわけSi含有量の上限を適当な値にしたことにより、粒界酸化による粒界の脆化が防止され、耐ヒートチェック性が向上している。
また、このプリハードン鋼では、C、Cr、Mo及びV含有量がそれぞれ上述した含有量の範囲内にあることで、熱膨張率に対する熱伝導率の比が高くなっている。このため、このプリハードン鋼では熱衝撃特性が向上し、耐ヒートチェック性が向上している。
かくして、このプリハードン鋼からなるダイカスト金型にあっては、繰り返し鋳造を行うことにより加熱と冷却が繰り返されても、プリハードン鋼が優れた耐ヒートチェック性を有するので金型表面にクラック等の疵が発生し難く、従来のプリハードン鋼のダイカスト金型に比べて寿命が長い。
また、このプリハードン鋼からなるダイカスト金型にあっては、熱伝導率が高いことから、この金型を用いて鋳造される鋳物表面のチル層の厚さが均一且つ厚くなる。このようなチル層を有する鋳物では、表層の硬度が増大して強度も向上し、また、その鋳造時にチル層を介して鋳物内部の冷却効率も向上するので、鋳物の内部組織も微細化して品質が向上する。
上述したプリハードン鋼は、通常の方法により製造することができる。例えば、まず、上記した組成となるように配合した原料を電気炉又は取鍋精錬により溶解して鋳塊にする。この鋳塊を鍛造又は圧延して厚み100〜400mm、幅300〜1000mm及び長さ4000mmの矩形形状の鋼材にする。そして、この鋼材を熱処理(950℃での焼入れ及び650℃での焼戻し)して、HRC硬さ30〜40のプリハードン鋼にする。
上述のプリハードン鋼は、例えば4面フライスを用いて粗加工及び仕上加工を順次施すことにより、所望形状のダイカスト金型に成形される。このダイカスト金型は、例えば、Al合金からなる鋳物の鋳造に適用される。
本発明は上述の一実施形態に制約されるものではなく種々の変形が可能であり、例えば、プリハードン鋼は、耐ヒートチェック性が低下しない範囲で、換言すれば不純物レベルで上記した以外の他の元素を含んでいてもよい。
また、上述の一実施形態のプリハードン鋼は、更に、0.0002%以上0.0020%以下のBを含有するのが好ましい。Bは鋼材の焼入性を高めるので、B含有量を0.002%以上にすれば、大型のダイカスト金型用のプリハードン鋼を製造する際、熱処理すべき鋼材が大型であっても、鋼材が十分に焼入される。一方、B含有量の上限を0.0020%にしたのは、B含有量が0.0020%を超えると、鋼材の焼入性を高める効果が飽和するとともにプリハードン鋼の溶接割れ感受性が高くなるからである。
そして、上述の一実施形態のプリハードン鋼は、更に、0.0005%以上0.0100%以下のCa、0.01%以上0.15%以下のSe、0.01%以上0.15%以下のTe及び0.003%以上0.20%以下のZrのうちいずれか1種以上を含有しているのが好ましい。
Ca、Se、Te及びZrは、いずれもプリハードン鋼の被削性を向上させるとともに、硫化物(MnS)を球状化させて靭性を等方性にするからであり、このためにCa、Se、Te及びZr含有量の下限を、それぞれ0.0005%、0.01%、0.01%及び0.003%にする。なお、Ca、Se、Te及びZr含有量の上限を、それぞれ0.010%、0.15%、0.15%及び0.20%にしたのは、これらの上限を超えるとプリハードン鋼の靭性、硬さ及び耐ヒートチェック性が低下するとともに、鋳塊の熱間加工性が低下するからである。
実施例1〜20、比較例1〜3
1.プリハードン鋼の製造
表1に示した組成の鋳塊を溶製し、各鋳塊を鍛造して鋼材とした。これら鋼材を熱処理(焼入れ焼戻し)して表2に示したHRC硬さを付与した。その後、各鋼材を切削加工して、後述する評価試験のための試験片を作製した。なお、比較例1はSKD61に相当し、比較例2及び3は従来のプリハードン鋼に相当する。
2.評価試験
(1)衝撃試験
衝撃試験は、鋼材断面(厚さ300mm,幅700mm)の中心部からJIS3号試験片を採取し、各試験片を30J(ジュール)のシャルピー衝撃試験機にて試験した。この結果を表2に示す。
(2)粒界酸化層深さ測定
20mm角の試験片を温度900℃の大気雰囲気下にて焼入れし、焼入れ表層の断面組織を金属顕微鏡で観察することにより、粒界酸化層の深さ(厚み)を測定した。この結果を表2に示す。
(3)ヒートチェック試験
高周波加熱・水冷方式のヒートチェック試験機を用いて、各試験片に室温から700℃まで加熱して再び室温まで冷却する加熱冷却サイクルを1000回施し、この後、試験片の横断面にてクラックの最大長さを測定した。これらの結果を表2に示す。
なお、試験片は外径φ15mm、内径φ5mmX厚み5mmの環状をなし、ヒートチェック試験機は、図1に示したように、試験片10をその中央孔を貫通して支持するロッド12を備えている。試験片10の外周は、高周波加熱用のコイル14により囲まれ、このコイル14の内周面には、試験片10を水冷するためのスプレー16が設けられている。また、試験片10の近傍には、温度測定用の熱電対18が配置されている。
(4)熱疲労試験
熱疲労試験は、高周波加熱・ガスブロー冷却方式の熱疲労試験機を用いて、各試験片に両端部を拘束した状態で、200℃から600℃まで加熱して再び200℃まで冷却する加熱冷却サイクルを施し、試験片が破断するまでのサイクル数を測定した。この結果を表2に示す。なお、試験片は、引張り試験片と同じ形状をなし、φ10mm、長さ20mmの平行部を有する。試験片の拘束は、最高温度による端部完全拘束(拘束率:100%)とした。熱疲労試験機は、図2に示したように、試験片20の両端部を拘束するチャック22と、試験片20を囲む高周波加熱用のコイル24と、試験片20を空冷するためのエアブローユニット(図示せず)とを備えている。
(5)熱衝撃特性評価
各試験片の熱伝導率Kを室温(20℃)で測定するとともに、各試験片の熱膨張率αを室温(20℃)から温度100℃までの間で測定し、これらの結果を表2に示した。また、試験片のヤング率Eを測定するとともに、HRC硬さから強度σBを見積もった。これらの結果から、熱衝撃特性Phs(=σB・K/E・α)を求めて表2に示した。
Figure 0004605695
Figure 0004605695
表2からは以下のことが明らかである。
(1)実施例1〜20(プリハードン鋼)は、比較例1〜3に比べて、衝撃値が大きい。
(2)実施例1〜20は、粒界酸化層の深さが15μm以下であり、比較例1〜3に比べて粒界酸化層が薄く、特に、SKD61に相当する比較例1に比べて薄い。
(3)実施例1〜20は、比較例1〜3に比べて、ヒートチェック試験での最大クラック長さが短く、特に、従来のプリハードン鋼に相当する比較例2及び3に比べて短い。これより、実施例1〜20は、比較例1〜3に比べて耐ヒートチェック性が高い。
(4)実施例1〜20は、比較例2及び3に比べて、熱疲労試験において試験片が破断するまでのサイクル数が2倍以上であり、耐ヒートチェック性が高い。また、実施例1〜20(実施例13を除く)は、比較例1に比べても破断するまでのサイクル数が多く、耐ヒートチェック性が高い。
(5)実施例1〜20の鋼材(プリハードン鋼)は、比較例1〜3に比べて、熱伝導率K及び熱膨張率αが大きい。このため、実施例1〜20の鋼材(プリハードン鋼)は、熱衝撃特性Phsが大きく、耐ヒートチェック性が高い。
(6)表2の結果をより詳細に解析すると、熱伝導率Kは、C含有量、Cr含有量、Mo含有量及びV含有量をそれぞれκ、λ、μ及びνとしたときに、式:
K≒31.3+0.01κ-1.93λ-0.22μ-1.82ν) …(1)
で近似される。一方、熱膨張率αは、式:
α≒13.3+0.06κ-0.33λ-0.07μ-0.14ν …(2)
で近似される。
つまり、これら近似式(1)及び(2)によれば、熱伝導率K及び熱膨張率αは、C含有量、Cr含有量、Mo含有量及びV含有量に依存しており、実施例1〜20のプリハードン鋼は、各々のC含有量、Cr含有量、Mo含有量及びV含有量に依存して熱伝導率K及び熱膨張率αが大きくなっている。このため、HRC硬さが33〜34の実施例1〜20は、熱衝撃特性が10000を超え、優れた耐ヒートチェック特性を有する。
プリハードン鋼のヒートチェック試験機の概略構成図である。 プリハードン鋼の熱疲労試験機の概略構成図である。
符号の説明
10 試験片
12 ロッド
14 コイル
16 スプレー
18 熱電対

Claims (3)

  1. 質量含有率で、
    0.15%以上0.35%以下のCと、
    0.05%以上0.20%未満のSiと、
    0.05%以上1.50%以下のMnと、
    0.020%以下のPと、
    0.013%以下のSと、
    0.10%以下のCuと、
    0.20%以下のNiと、
    0.20%以上2.50%以下のCrと、
    0.50%以上3.00%以下のMoと、
    合わせて0.05%以上0.30%以下のV及びNbと、
    0.020%以上0.040%以下のAlと、
    0.003%以下のOと、
    0.010%以上0.020%以下のNと
    を含有して残部がF及び不可避的不純物からなり、
    30HRC以上40HRC以下のロックウェル硬さを有する
    ことを特徴とするダイカスト金型用プリハードン鋼。
  2. 0.0002%以上0.0020%以下のBを更に含有することを特徴とする請求項1記載のダイカスト金型用プリハードン鋼。
  3. 0.0005%以上0.0100%以下のCaと、
    0.01%以上0.15%以下のSeと、
    0.01%以上0.15%以下のTeと、
    0.003%以上0.20%以下のZrと
    のうちいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のダイカスト金型用プリハードン鋼。
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