JP2000233738A - 車両用走行状態判定装置 - Google Patents

車両用走行状態判定装置

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JP2000233738A
JP2000233738A JP11034984A JP3498499A JP2000233738A JP 2000233738 A JP2000233738 A JP 2000233738A JP 11034984 A JP11034984 A JP 11034984A JP 3498499 A JP3498499 A JP 3498499A JP 2000233738 A JP2000233738 A JP 2000233738A
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lateral
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Hiroyuki Yamaguchi
裕之 山口
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Kenji Toutsu
憲司 十津
Akitaka Nishio
彰高 西尾
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 路面状態及び車両の限界走行状態を迅速かつ
確実に検出する。 【解決手段】 すべり角基準値作成手段1a〜1cで乾
燥路、雪上路、氷上路における推定すべり角を算出す
る。算出に際しては、飽和特性を有しないタイヤ非線形
特性を想定した運動方程式を用いて算出する。また、横
G基準値作成手段5a〜5cで同様なタイヤ非線形特性
を用いた運動方程式を用いて各想定路面ごとの推定横G
を算出する。乾燥路、雪上路、氷上路判定手段9にて路
面状態を判定し、路面状態に対応した推定横Gと所定の
限界判定しきい値を限界走行状態判定手段10にて大小
比較し、推定横Gが限界判定しきい値を超えた場合に車
両が限界走行状態にあると判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用走行状態判定
装置、特にタイヤの非線形モデルを用いた路面判定及び
限界状態判定に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、運転者のステアリング操作やブレ
ーキ操作等を補って車両の安定走行を実現するVSC
(登録商標)等が開発されている。このような走行安定
化システムでは、現在の車両の走行状況、より具体的に
はスピン状態等の限界走行状態にあるか否かを迅速かつ
確実に検出する必要がある。
【0003】限界走行状態の検出の一方法として、例え
ば特開平10−217927号(特願平9−18440
号)に示されているように、車両の横すべり角の変化率
が所定値以上となり、その後の所定時間内の横すべり角
の変化率が所定範囲内である場合に、車両が過度のオー
バステア状態にあることを検出する技術がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記技術においては、
旋回中に後輪が滑り、前輪の発生するコーナリングフォ
ースによって車両先端が旋回円の内側に切れ込む過度の
オーバステア状態を操舵角を判定要素として用いずに検
出できるため、低μ路(低摩擦路)のようにステアリン
グ操作に対して車両挙動が大きく遅れるような場合であ
っても的確に限界状態を判定でき、しかも車両運転者が
いわゆるカウンタステア操作を行ってもこれによらずに
限界状態を検出できる利点があるが、その一方で、横す
べり角の変化率が少なくとも一定時間は所定範囲内にあ
るか否かを判定しなければならないため迅速性に欠ける
問題があった。
【0005】また、限界走行状態を検出する際に、路面
状態がどのようなものであるかを的確に把握しておく必
要(路面が乾燥しているか、あるいは凍結しているか
等)もあるが、例えばタイヤ線形性を有した各想定路面
毎の車両モデルを用いて推定した横加速度とセンサで検
出した横加速度を比較して実際の路面に最も近い想定路
面を実際の路面と認識する方法では、車両がすべり始め
るとモデル値と実際のセンサ値との間に誤差が生じ(実
際のタイヤ特性はモデルのような線形性を有しておら
ず、オープンループで推定するとモデルと実際の値との
乖離が増大する)、路面判定時点を誤差の少ない操舵開
始初期に限定せざるを得ず、操舵途中で路面状態が変わ
るような場合には対応できない問題もあった。
【0006】本発明は、上記従来の課題に鑑みされたも
のであり、その目的は的確に路面状態を判定でき、ま
た、迅速かつ確実に車両の限界状態を検出でき、もって
VSC(登録商標)等のシステムを確実に作動させるこ
とができる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、車両の運動に関する状態量を検出す
る検出手段と、複数の想定路面毎に、飽和特性を有しな
いタイヤ非線形特性を記憶する記憶手段と、前記状態量
と前記タイヤ非線形特性に基づいて、各想定路面毎に車
体横すべり角を推定する横すべり角推定手段と、前記各
想定路面毎の車体横すべり角をそれぞれ補正する手段で
あって、現在の前記状態量と1推定時間前の前記状態量
を利用して推定された車体横すべり角とに基づいて現在
推定された車体横すべり角をそれぞれ補正して出力する
フィードバック補正手段と、前記タイヤ非線形特性及び
前記フィードバック補正手段で補正された前記車体横す
べり角に基づいて、各想定路面毎に横加速度を推定する
横加速度推定手段とを有することを特徴とする。
【0008】また、第2の発明は、第1の発明におい
て、さらに、前記横加速度推定手段で推定された前記横
加速度と検出された横加速度に基づいて、前記複数の想
定路面のいずれかを実際の路面状態として判定する路面
状態判定手段とを有することを特徴とする。
【0009】また、第3の発明は、第1、第2の発明に
おいて、さらに、前記横加速度推定手段で推定された各
想定路面毎の横加速度のうち、実際の路面に対応する横
加速度と所定限界値とを比較することにより車両が限界
状態にあるか否かを判定する限界判定手段とを有するこ
とを特徴とする。
【0010】前記車両の運動に関する状態量としては、
横加速度、ヨーレート、車速、舵角を検出することが望
ましい。
【0011】路面判定に関しては、上述したようにタイ
ヤの線形特性をモデルとした場合、モデル値と検出した
実際の値との間に誤差が生じてしまうが、実際のタイヤ
特性と異なるタイヤ特性、具体的にはタイヤのすべり角
が大きくなるほどコーナリングフォースが大きくなるよ
うな飽和しない非線形タイヤ特性をモデルとして車体横
すべり角を推定し、さらにこの非線形モデルに含まれる
推定誤差を実際の状態量(センサ値)を用いてフィード
バック補正することで解消して横Gを推定することで、
操舵途中においても迅速かつ正確な路面判定が可能とな
る。また、飽和しない非線形タイヤ特性をモデルとする
ことにより、フィードバック補正の際、推定値が振動的
となることを防ぐことができる。
【0012】また、限界走行判定に関しては、実際のタ
イヤ特性は、操舵が大きくなれば限界走行状態に至らな
くてもコーナリングフォースが飽和する特性を示し、実
際の横加速度(横G)も限界値に達する。したがって、
実際の横G(センサで検出された横G)に基づいて限界
走行状態を判定しようとしても、迅速かつ正確に判定す
ることはできない。そこで、非線形タイヤ特性をモデル
とし、この非線形モデルに基づいて横Gを推定する。こ
のタイヤモデルは限界走行状態においても飽和しない特
性を有するため、車両が実際に限界走行状態にある場
合、推定して得られる横G値は実際の横G値から乖離
し、実際の横G値よりも大きくなる。限界走行状態にお
けるこのような推定横G値と実際の横G値との乖離を利
用し、推定横G値が所定限界値(この所定限界値は、実
際の横G限界値に基づき決定される)を超えた場合に限
界走行状態に達したと判定することで、従来のように一
定時間監視する必要がなく迅速に限界走行状態を判定で
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
形態について説明する。
【0014】図1には、本実施形態における走行状態判
定装置が適用されるシステムの基本構成が示されてい
る。VSC(登録商標)に入力される車体横すべり角推
定値β(図では、文字の上部に^(ハット)を付するこ
とで推定値であることを示す。以下同様)を算出する部
材として、すべり角速度を積分することで算出する積分
系20と、非線形モデルに基づく推定系22がある。こ
れらの算出部のうち、積分系20はセンサからの横G、
ヨーレート、車速データに基づいて、また、推定系22
は、センサからの横G(横加速度)、ヨーレート、舵
角、車速データに基づいて横すべり角を推定するもので
あるが、積分系20から出力される推定値には積分誤差
が含まれているため、限界状態に達するまでは高精度の
算出が可能な非線形モデルに基づく推定系22で横すべ
り角を推定し、限界状態に達し非線形モデルが適用でき
なくなった時点で推定系22から積分系20に切り替え
て車体横すべり角推定値を出力する構成である。そし
て、積分系20と推定系22の切替を行うために本実施
形態の限界判定器24が用いられる。なお、非線形モデ
ルに基づく推定系22についても、併せて説明する。
【0015】図2には、非線形モデルに基づく推定系2
2の構成ブロック図が示されている。基本的な動作原理
は、特開平9−311042号公報に開示された車体横
すべり角検出装置と同様である。センサからの横G、ヨ
ーレート、舵角、車速データはすべり角推定部(乾燥路
(Dry)用)1a、すべり角推定部(雪上路(Sno
w)用)1b、すべり角推定部(氷上路(Ice)用)
1cに供給される。各すべり角推定部1a〜1cでは、
それぞれ乾燥路、雪上路、氷上路におけるタイヤ特性
(非線形タイヤ特性モデル)を用いた運動方程式で横す
べり角を推定し、これに補正値Δβを加えて横すべり角
推定値β(^)Dry、β(^)Snow、β(^)I
ceを出力する。
【0016】具体的には、例えばすべり角推定部(乾燥
路(Dry)用)1aにおいては、横方向の車両運動方
程式から、横すべり角は
【数1】 で求めることができ、車体のロールによる荷重移動やタ
イヤ特性のモデル化誤差に起因する誤差を解消するため
に、(1)式で求めた値に、補正値Δβを加算する。補
正値Δβは、横すべり角速度算出部2からのβ(・)
と、フィードバックされた横すべり角推定値の時間微分
β(・)(^)との差分Δβ(・)(^)を算出し、推
定補正値算出部で
【数2】 により補正値Δβを算出する。最終的な乾燥路における
横すべり角推定値β(^)Dryは、上述したように運
動方程式から得られた値β’(^)に補正値Δβを加え
ることで算出できる。なお、上記の式で、Cfは前輪コ
ーナリングパワー、Crは後輪コーナリングパワー、m
は車体質量、y(・・)は横G、Lfは前軸と重心間の
距離、Lrは後軸と重心間の距離、θ(・)はヨーレー
ト、Vは車速、δfは舵角であり、例えばβ(・)はβ
の時間微分、β(・)(^)はβの推定値の時間微分で
あることを示す。
【0017】そして、各横すべり角推定部1a〜1cか
ら推定値β(^)Dry、β(^)Snow、β(^)
Iceが出力され、後述する路面判定部からの路面判定
結果に基づいていずれかの推定値を選択して出力する。
【0018】図3には、図2の横すべり角推定部1a〜
1cに予め記憶され、横すべり角推定演算に用いられる
乾燥路(Dry)タイヤ特性、雪上路(Snow)タイ
ヤ特性及び氷上路(Ice)タイヤ特性が示されてい
る。図において、前輪の特性は一点鎖線で示され、後輪
の特性は実線で示されている。例えばすべり角推定部1
aでは、図3における乾燥路(Dry)のタイヤ特性モ
デルを用いて(1)式に基づき横すべり角を算出する。
なお、実際の車両走行においては、限界状態に達すると
タイヤに全すべりが生じ、コーナリングフォースは飽和
する。言い換えれば、本実施形態では、図3のように飽
和特性を有せずタイヤすべり角が増大するほど一義的に
コーナリングフォースが増大するようなタイヤ特性モデ
ルを想定し、このモデルに従って横すべり角を推定する
のである。もちろん、限界走行時には実際のタイヤは飽
和特性を有するから、図3に示されたモデルに基づいて
算出した横すべり角は実際の横すべり角からずれること
になるが、本実施形態では、まさにこの点を利用して限
界走行状態を検出している。
【0019】図4には、本実施形態における限界判定器
24(図1を参照)の構成ブロック図が示されている。
なお、限界判定器24の各機能ブロックはマイクロコン
ピュータで構成することができる。
【0020】すべり角基準値作成手段1a〜1cは、図
2に示されたすべり角推定部1a〜1cと同一であり、
各路面に応じたタイヤ特性を用いて横すべり角β(^)
Dry、β(^)Snow、β(^)Iceを算出す
る。得られた横すべり角は、それぞれ横G基準値作成手
段5a〜5cに供給される。
【0021】横G基準値作成手段5a〜5cは、入力し
た横すべり角に基づいて、以下の式により横Gを算出す
る。
【0022】
【数3】 但し、(3)式におけるβF、SF、βR、SRは、図
3におけるタイヤ特性の折れ点でのタイヤすべり角及び
コーナリングフォースの値である。
【0023】ここで、上述したように、限界走行時には
実際のタイヤでは全すべりが生じてコーナリングフォー
スも飽和するため、図3に示されるタイヤ特性に基づい
て算出された横G値、すなわち横G基準値算出手段5a
〜5cから出力される横G基準値は実際の横G値からず
れる、具体的には実際に発生する横G値よりも大きな値
を有することになる。すなわち、図3に示されるような
タイヤ特性を用いて横Gを推定しているが故に、限界走
行状態では推定した横G値と実際の横G値との間に差異
が生じることになる。
【0024】そこで、限界走行状態判定手段10におい
てこのような差異を巧みに利用し、横G基準値作成手段
5a〜5cから出力された横G基準値のうち路面に応じ
た横G基準値を所定の横G限界値と大小比較し、横G基
準値が所定の限界値を超えている場合には、限界走行状
態にあるとの結果を出力する。限界走行状態判定手段1
0において比較の対象となる限界値は、路面に応じて例
えば次のように定めることができる。
【0025】乾燥路(Dry):1.1G 雪上路(Snow):0.65G 氷上路(Ice):0.25G これらの限界値は、乾燥路、雪上路、氷上路におけるタ
イヤと路面の摩擦力に応じて定まる限界値 乾燥路(Dry):0.8G 雪上路(Snow):0.5G 氷上路(Ice):0.2G に基づき、横G基準値の推定誤差の大きさを考慮して定
めたものである。
【0026】このように、本実施形態の限界判定器24
は、限界走行状態における非線形タイヤ特性と実際のタ
イヤ特性の相違に起因する横G推定値の推定誤差増大を
用いて限界走行状態を判定するので、従来のように一定
時間監視する必要がなく、迅速に限界状態に達したか否
かを判定することができる。
【0027】一方、図4における限界判定器24のその
他の構成要素は、推定された横G基準値を用いて路面判
定を行うための要素である。具体的には、横G残差算出
手段6a〜6cは、得られた横G基準値とセンサで得ら
れた実際の横G値との差分(具体的には差分の2乗値)
を算出する。残差の算出に際しては、図示しないフィル
タ手段を設け、横G基準値とセンサからの信号に対して
0.1Hzのハイパスフィルタ処理及び5Hzのローパ
スフィルタ処理を施し、必要な帯域の周波数成分を抽出
した後に差分演算を行う。
【0028】横G残差記憶手段7a〜7cは、横G残差
算出手段6a〜6cで得られた残差を時系列で記憶し、
これらを加算する。従って、横G残差記憶手段7a〜7
cには、2乗残差の累積値が記憶されることになる。
【0029】そして、乾燥路、雪上路、氷上路判定手段
9は、得られた残差のうち最も小さいもの(例えば、乾
燥路の残差が雪上路、氷上路の残差に比べて小さい場合
には乾燥路)を現在の走行状態であると判定してその結
果を限界走行状態判定手段10に出力する。但し、乾燥
路、雪上路、氷上路判定手段9は、微分器3bからの雪
上路におけるすべり角速度(3Hzのローパスフィルタ
値)β(・)Snowの絶対値が0.1rad/sを超
えており、かつ、路面判定手段8における評価値も考慮
して路面を判定するのが好適である。路面判定手段8
は、乾燥路(Dry)におけるすべり角速度の残差を算
出するすべり角速度残差算出手段(Dry)4aからの
出力と、雪上路(Snow)におけるすべり角速度の残
差を算出するすべり角速度残差算出手段(Snow)4
bからの出力に基づいて路面状態を評価するもので、評
価値として乾燥路と雪上路の残差比(Δβ(・)Sno
w/Δβ(・)Dry)を出力する。乾燥路、雪上路、
氷上路判定手段9は、路面判定手段8からの評価値が所
定値(例えば5.0)以上である場合には、無条件に路
面状態を乾燥路であると判定し、評価値が所定値より低
くなった場合(つまり乾燥路の残差が大きくなった場
合)に、上述した横G残差が最小となる路面状態を選択
する。
【0030】もちろん、図4において横G残差記憶手段
7a〜7cに記憶された横G残差のみに基づいて路面が
乾燥路、雪上路、氷上路のいずれであるかを判定するこ
とも可能であり、すべり角速度算出手段2、微分器3
a、3b、すべり角速度残差算出手段4a、4b及び路
面判定手段8は削除することも可能である。
【0031】以下、図9〜図20を用いて、路面判定処
理をより具体的に説明する。図9〜図12には、乾燥路
から雪上路(Snow)をスラローム走行した場合にお
ける検出操舵角(図9)、検出横Gと検出ヨーレートと
車速(図10)、横G残差記憶手段7a〜7cに記憶さ
れた2乗残差累積値(図11)、及び車体横すべり角の
真値と推定値(図12)の時間変化が示されている。路
面判定で注目すべきは、図11の2乗残差累積値であ
り、上述したように乾燥路、雪上路、氷上路判定手段9
は、最も残差の小さいものを実際の路面と判定する。図
11から分かるように、約2秒後に氷上路の残差と乾燥
路の残差が増大し、雪上路が最も小さな値となってい
る。そこで、判定手段9は、図12に示されているよう
に、乾燥路から雪上路に変化したと判定する。
【0032】図13〜図16には、乾燥路から氷上路
(Ice)をスラローム走行した場合における検出操舵
角(図13)、検出横Gと検出ヨーレートと車速(図1
4)、横G残差記憶手段7a〜7cに記憶された2乗残
差累積値(図15)、及び車体横すべり角の真値と推定
値(図16)の時間変化が示されている。図15から分
かるように、約2秒後に乾燥路と雪上路の残差が増大
し、氷上路が最も小さな値となっている。そこで、判定
手段は、図16に示されているように、乾燥路から氷上
路に変化したと判定する。
【0033】図17〜図20には、乾燥路(Dry)を
スラローム走行した場合における検出操舵角(図1
7)、検出横Gと検出ヨーレートと車速(図18)、横
G残差記憶手段7a〜7cに記憶された2乗残差累積値
(図19)、及び車体横すべり角の真値と推定値(図2
0)の時間変化が示されている。氷上路及び雪上路の残
差は大きく、乾燥路の残差が最も小さい。そこで、判定
手段9は、図20に示されているように路面状態を乾燥
路と判定する。なお、図19において、時間が約4秒近
傍では雪上路の残差の方が乾燥路の残差より小さく最小
となっているが、既述したように判定手段9は、路面判
定手段8からの評価値が所定値(例えば5.0)以上で
ある場合には、無条件に路面状態を乾燥路であると判定
し、評価値が所定値より低くなった場合(つまり乾燥路
の残差が大きくなった場合)に、残差が最小となる路面
状態を選択するので、約4秒のところでも雪上路と誤判
定することなく乾燥路と正しく判定することができる。
【0034】このように、タイヤの非線形特性を用いる
ことで路面状態を的確に判定することができるが、本実
施形態において路面状態を他の方法で判定することも可
能である。但し、図4に示すように横G残差を用いて路
面状態を判定することで、算出された横G基準値を路面
判定及び限界走行判定の両判定に用いることができるの
で、ハードウェア構成を簡易化できる利点がある。
【0035】図5〜図8には、本実施形態における他の
検出操舵角、検出車速、検出横G、検出ヨーレート、推
定横G、推定すべり角の時間変化が示されている。ま
ず、図5はセンサにて検出された操舵角の時間変化を示
したものであり、当初中立の0(deg)であったもの
がある時刻に大きく操舵し、−600(dg)まで操舵
した様子が示されている。
【0036】図6には、このような操舵を行った場合の
検出車速、検出横G、検出ヨーレートの時間変化が示さ
れている。車速は60(km/h)から0まで減速し、
横G及びヨーレートは図に示すように変動する。検出横
G値は、タイヤのコーナリングフォースが飽和状態とな
るため操舵を大きく操作した比較的初期の段階でほぼ限
界値に達する。なお、この状態では未だ車両はスピンし
ておらず、限界走行状態ではない。したがって、仮に検
出横G値に基づいてVSC(登録商標)等を作動させて
も、本来作動させるべきタイミングより早いタイミング
でVSC(登録商標)が作動してしまうことになる。
【0037】図7には、検出横G(図6における横Gと
同一であるがスケールが異なる点に注意されたい)及び
図4における横G基準値作成手段5a〜5cで算出され
た各想定路面状態(乾燥路、雪上路、氷上路)における
推定横Gが示されている。図において、実線がセンサに
て検出された横G値であり、一点鎖線は横G基準値作成
手段(Dry)5aにて算出された乾燥路における推定
横G値である横Gdry、二点鎖線は横G基準値作成手
段(Snow)5bで算出された雪上路における推定横
G値である横Gsnow、三点鎖線は横G基準値作成手
段(Ice)5cで算出された氷上路における推定横G
値である横Giceを示している。
【0038】また、図において乾燥路、雪上路、氷上路
判定手段9にて判定された路面状態も示されており、約
1.5(s)で乾燥路から雪上路に路面状態判定結果が
変化している。これは、既述したように横G残差最小と
なる状態が乾燥路から雪上路に変化したことを示してい
る。さらに、同図には、限界走行状態判定手段10にて
大小比較の基準となる限界判定しきい値も示されてい
る。雪上路における推定横G値である横Gsnowがこ
の限界判定しきい値(=0.65G)を超えた場合に車
両が限界走行状態にあると判定される。この図におい
て、検出横Gと推定横G、特に雪上路における推定横G
とが大きく異なり、推定横G値が検出横Gよりも増大し
ている点に着目されたい。これは、上述したように、限
界走行状態において実際のタイヤ特性とモデルである非
線形タイヤ特性とが異なるためである。
【0039】図8には、車対横すべり角の真値、図1に
示された本実施形態の構成において推定された車体横す
べり角の時間変化並びに限界走行検出時間が示されてい
る。なお、同図には比較のため図1において非線形モデ
ルに基づく推定系22のみに基づいて横すべり角を推定
した場合(つまり、図1において限界判定器24を用い
て切替を行うことなく非線形モデルのみを用いて推定し
た場合)の結果も示されている。実線は真値、一点鎖線
は図1の構成による推定横すべり角、二点鎖線は図1の
非線形モデルに基づく推定系22のみに基づいて推定さ
れた横すべり角をそれぞれ示している。
【0040】雪上路における推定横G値が限界判定しき
い値を超えた場合に車両が限界走行状態にあると判定
し、限界走行状態に至るまでは図1の非線形モデルに基
づく推定系22ですべり角を推定し、限界走行状態以後
はすべり角速度の積分系20によりすべり角を推定する
本実施形態の方法によれば、実線で示される真値に近い
推定値が得られていることが分かる。一方、限界走行状
態以後も非線形モデルに基づく推定系22を用いて車体
横すべり角を推定した場合には、推定値と真値との誤差
が増大してしまう。もちろん、これはモデルである非線
形タイヤ特性と実際のタイヤ特性とが限界走行状態にお
いて一致しないためである。
【0041】このように、本実施形態においては飽和特
性を有しない非線形タイヤ特性モデル(実際には存在し
ない特性)を推定し、このタイヤ特性に基づいて車両の
限界走行状態を迅速かつ確実に検出して車体横すべり角
の推定方法を切り換えるので、VSC(登録商標)など
に正確な横すべり量を供給することができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両用走
行状態判定装置によれば、操舵途中に路面状態が変化し
ても変化後の路面状態を的確に判定することができる。
また、車両の限界走行状態を迅速かつ確実に判定するこ
とができ、これによりVSC(登録商標)などの車両安
定化システムを確実に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の全体構成ブロック図であ
る。
【図2】 図1に示された非線形モデルに基づく推定系
の構成ブロック図である。
【図3】 本実施形態における飽和特性を有しないタイ
ヤ非線形特性モデルの説明図である。
【図4】 図1に示された限界判定器の構成ブロック図
である。
【図5】 本実施形態における操舵角の時間変化を示す
グラフ図である。
【図6】 本実施形態における車速、横G、ヨーレート
の時間変化を示すグラフ図である。
【図7】 本実施形態における横G、各想定路面におけ
る推定横Gの時間変化を示すグラフ図である。
【図8】 本実施形態における推定すべり角の時間変化
を示すグラフ図である。
【図9】 雪上路走行における操舵角変化を示すグラフ
図である。
【図10】 雪上路における横G変化とヨーレート変化
を示すグラフ図である。
【図11】 雪上路における2乗残差累積値変化を示す
グラフ図である。
【図12】 雪上路における車体横すべり角変化を示す
グラフ図である。
【図13】 氷上路における操舵角変化を示すグラフ図
である。
【図14】 氷上路における横G変化とヨーレート変化
を示すグラフ図である。
【図15】 氷上路における2乗残差累積値変化を示す
グラフ図である。
【図16】 氷上路における車体横すべり角変化を示す
グラフ図である。
【図17】 乾燥路における操舵角変化を示すグラフ図
である。
【図18】 乾燥路における横G変化とヨーレート変化
を示すグラフ図である。
【図19】 乾燥路における2乗残差累積値変化を示す
グラフ図である。
【図20】 乾燥路における車体横すべり角変化を示す
グラフ図である。
【符号の説明】
1a〜1c 滑り角基準値作成手段、5a〜5c 横G
基準値作成手段、8路面判定手段、9 乾燥路、雪上
路、氷上路判定手段、10 限界走行状態判定手段、2
0 滑り角速度の積分系、22 非線形モデルに基づく
推定系、24限界判定器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 十津 憲司 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 西尾 彰高 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 Fターム(参考) 3D046 BB21 HH08 HH21 HH22 HH25 HH46

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の運動に関する状態量を検出する検
    出手段と、複数の想定路面毎に、飽和特性を有しないタ
    イヤ非線形特性を記憶する記憶手段と、 前記状態量と前記タイヤ非線形特性に基づいて、各想定
    路面毎に車体横すべり角を推定する横すべり角推定手段
    と、 前記各想定路面毎の車体横すべり角をそれぞれ補正する
    手段であって、現在の前記状態量と1推定時間前の前記
    状態量を利用して推定された車体横すべり角とに基づい
    て現在推定された車体横すべり角をそれぞれ補正して出
    力するフィードバック補正手段と、 前記タイヤ非線形特性及び前記フィードバック補正手段
    で補正された前記車体横すべり角に基づいて、各想定路
    面毎に横加速度を推定する横加速度推定手段と、 を有することを特徴とする車両用走行状態判定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、さらに、 前記横加速度推定手段で推定された前記横加速度と検出
    された横加速度に基づいて、前記複数の想定路面のいず
    れかを実際の路面状態として判定する路面状態判定手段
    と、 を有することを特徴とする車両用走行状態判定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1、2のいずれかに記載の装置に
    おいて、さらに、 前記横加速度推定手段で推定された各想定路面毎の横加
    速度のうち、実際の路面に対応する横加速度と所定限界
    値とを比較することにより車両が限界状態にあるか否か
    を判定する限界判定手段と、 を有することを特徴とする車両用走行状態判定装置。
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