JP2000212509A - 塗膜の形成方法およびそれより得られる硬化体 - Google Patents

塗膜の形成方法およびそれより得られる硬化体

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JP2000212509A JP11011435A JP1143599A JP2000212509A JP 2000212509 A JP2000212509 A JP 2000212509A JP 11011435 A JP11011435 A JP 11011435A JP 1143599 A JP1143599 A JP 1143599A JP 2000212509 A JP2000212509 A JP 2000212509A
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弘二 河原
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達也 清水
Toshiki Sakagami
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒による基材の劣化を防止でき、長期耐
久密着性に優れた防汚コート材が得られる塗膜の形成方
法およびこれにより得られる硬化体を提供する。 【解決手段】 基材上に、ポリオルガノシロキサンとビ
ニル系重合体を含有する水系分散体からなる下塗り用コ
ーティング組成物を塗布し、その上に、前記水系分散体
に光触媒を加えた上塗り用コーティング組成物を塗布す
る特徴とする、塗膜の形成方法およびこれにより得られ
る硬化体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒による基材の
劣化を防止でき、長期耐久密着性に優れた防汚コート材
が得られる塗膜の形成方法およびこれにより得られる硬
化体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コーティング材は、その塗膜表面
の防汚染性、防水性などを高めるために様々な処理が行
われてきた。しかし、従来の表面処理方法では、密着
性、耐候性、耐熱性、耐湿性、耐汚染性、抗菌性、抗か
び性、消臭機能等に優れ、硬度の高い塗膜を得ることが
困難であった。特に屋外構造物の場合、耐汚染性を改善
するためには、塗膜表面を親水性化するとよいことが認
められており、例えば親水性物質や水溶性物質を添加す
る方法が提案されているが、このような方法では、親水
性物質や水溶性物質が次第に光により劣化したり、水に
より洗い流されたりして、塗膜表面の親水性を十分なレ
ベルに長期にわたり持続することが困難であった。ま
た、従来の光触媒無機微粒子分散体は、延伸性に乏しい
ため、高温焼成が必要、厚膜化が困難、基材との密着性
が不足して用途が限定される、長期耐久性が非常に乏し
いなどの問題点があった。さらに、塗膜の形成に用いら
れる従来のコーティング材はいずれも溶剤型であり、近
年における低公害、省資源、安全衛生などの観点から、
脱溶剤化への要請が強かった。そこで本発明者らは、シ
リコン系の水系分散体を用いた光触媒分散コーティング
材を見出したが、光触媒分散コーティング材は、その光
触媒活性のため、基材表面を劣化させ、基材とコーティ
ング材との長期密着性が劣るという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上記問題点を背景になされたものであり、その目
的は、光触媒による基材の劣化を防止でき、長期耐久密
着性に優れた防汚コート材が得られる塗膜の形成方法お
よびこれにより得られる硬化体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、下
記(I)の下塗り用コーティング組成物からなる塗膜を
形成し、その上に、下記(II)の上塗り用コーティング
組成物からなる塗膜を形成することを特徴とする。 (I)(A)(a)ポリオルガノシロキサンと(b)ビ
ニル系重合体とを含有する重合体(以下、「特定重合体
(A)」ともいう)が、水系媒体中に分散してなる水系
分散体を含有する下塗り用コーティング組成物(以下、
「(I)組成物」ともいう)。 (II)上記特定重合体(A)、並びに(B)光触媒能を
有する無機微粒子および/またはゾル(以下、「光触媒
成分(B)」ともいう)が、水系媒体中に分散してなる
水系分散体を含有する上塗り用コーティング組成物(以
下、「(II)組成物」ともいう)。また、本発明は、上
記塗膜の形成方法によって得られる硬化体を提供するも
のである。以下、本発明に用いられる組成物について具
体的に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
(I)下塗り用コーティング組成物 本発明に用いられる(I)組成物は、特定重合体(A)
が、水系媒体中に分散してなる水系分散体を主成分とす
る。特定重合体(A) 特定重合体(A)は、(a)ポリオルガノシロキサンと
(b)ビニル系重合体とを含有する重合体である。ここ
で、「(a)ポリオルガノシロキサンと(b)ビニル系
重合体とを含有する」とは、当該両成分が相互に分離し
て存在するか、あるいは当該両成分が相互に化学的に結
合していることを意味するが、化学的に結合している方
が好ましい。以下、特定重合体(A)における(a)ポ
リオルガノシロキサンおよび(b)ビニル系重合体につ
いて、順次説明する。
【0006】(a)ポリオルガノシロキサン 特定重合体(A)の一構成成分であるポリオルガノシロ
キサン(a)としては、下記一般式(1)で表されるオ
ルガノシラン(以下、「オルガノシラン(a1)」とも
いう。)が重縮合した構造を有する成分が好ましい。 (R1)n Si(OR2)4-n ・・・(1) (式中、R1 は炭素数1〜8の有機基、R2 は炭素数1
〜5のアルキル基または炭素数2〜4のアシル基を示
し、nは0〜2の整数である。) 一般式(1)において、R1 の炭素数1〜8の有機基と
しては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s
ec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−
ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアル
キル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等の
アシル基;γ−クロロプロピル基、γ−ブロモプロピル
基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシド
キシプロピル基、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル
基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル
基、γ−ジメチルアミノプロピル基、2−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチル基、ビニル基、フェニル
基等が挙げられる。また、R2 の炭素数1〜5のアルキ
ル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基
等が挙げられ、炭素数2〜4のアシル基としては、例え
ば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げ
られる。
【0007】このようなオルガノシラン(a1)の具体
例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、メチルシリケート、エチルシリケート、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチル
トリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロ
ピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメト
キシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、
3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリル
オキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエ
チルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキ
シルエチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、ウレイドプロ
ピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、エー
テル変性アルキルトリメトキシシラン、アミノエチルア
ミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシ
シラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−
プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキ
シシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジビニ
ルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジフ
ェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン
等のアルコキシシラン類;テトラアセトキシシラン、メ
チルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラ
ン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジアセトキ
シシラン等のアシルオキシシラン類等が挙げられ、好ま
しくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシランである。
【0008】これらのオルガノシラン(a1)は、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。本
発明において、オルガノシラン(a1)は、そのままあ
るいは加水分解物および/または縮合物として使用され
る。ここで、オルガノシラン(a1)の加水分解物は、
オルガノシラン(a1)に含まれるOR2基すべてが加
水分解されている必要はなく、1個だけが加水分解され
ているもの、2個以上が加水分解されているもの、ある
いはこれらの混合物であってもよい。また、上記オルガ
ノシラン(a1)の縮合物は、オルガノシラン(a1)
の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si
結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール
基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラ
ノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているも
のの混合物などをも包含した概念である。この場合、特
定重合体を製造する際に、オルガノシラン(a1)の重
縮合反応によりポリオルガノシロキサン鎖を形成しつ
つ、オルガノシラン(a1)と後述するビニル系重合体
との縮合反応が生起し、該ポリオルガノシロキサン鎖が
該ビニル系重合体と化学的に結合することができる。オ
ルガノシラン(a1)の上記縮合物のポリスチレン換算
重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好まし
くは800〜100,000、さらに好ましくは1,0
00〜50,000である。
【0009】(b)ビニル系重合体 特定重合体(A)の他方の構成成分であるビニル系重合
体は、親水性官能基を有するビニル系重合体が好まし
い。その構造としては、主鎖がビニル系重合体からな
り、その重合体分子鎖の末端および/または側鎖に、加
水分解性シリル基および/またはヒドロキシシリル基
(以下、これらの基をまとめて「加水分解性シリル基
等」という。)を少なくとも1個、好ましくは2個以上
と、親水性官能基を少なくとも1個、好ましくは2個以
上とを有する重合体(以下、「ビニル系重合体(b
1)」ともいう。)が好ましい。ビニル系重合体(b
1)における加水分解性シリル基等は、一般に、下記一
般式(2)で表される。
【0010】
【0011】(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ
基、アシロキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、
アミノ基、アセトキシ基等の加水分解性基または水酸
基、R3 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基また
は炭素数1〜10のアラルキル基を示し、mは1〜3の
整数である。)
【0012】加水分解性シリル基等は、ビニル系重合体
(b1)中に1種以上存在することができる。また、ビ
ニル系重合体(b1)における親水性官能基としては、
例えば、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、水酸
基、アミノ基、アミド基、アミンイミド基、グリシジル
基等が挙げられる。これらの親水性官能基は、ビニル系
重合体(II)中に1種以上存在することができるが、例
えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミンイミ
ド基あるいはグリシジル基の何れか2種以上が共存する
ことが好ましい。ビニル系重合体(b1)は、例えば、
(イ)炭素−炭素二重結合 と親水性官能基とを有する
ビニル系重合体(以下、「官能性不飽和重合体」とい
う。)の該炭素−炭素二重結合に、加水分解性シリル基
等を有するヒドロシラン化合物を付加反応させる方法、
(ロ)加水分解性シリル基等を有するビニル系単量体と
親水性官能基を有するビニル系単量体とを共重合する方
法等により製造することができる。
【0013】上記(イ)の方法に使用される官能性不飽
和重合体は、例えば、下記のようにして製造することが
できる。即ち、(イ−1)親水性官能基を有するビニル
系単量体を、場合により他のビニル系単量体とともに
(共)重合して、前駆(共)重合体を合成したのち、該
前駆(共)重合体中の適当な官能基(以下、「相補的官
能基(α)」という。)に、相補的官能基(α)と反応
しうる官能基(以下、「相補的官能基(β)」とい
う。)と炭素−炭素二重結合 とを有する不飽和化合物
を反応させることにより、重合体分子鎖の側鎖に炭素−
炭素二重結合を有する官能性不飽和重合体を製造するこ
とができる。また、(イ−2)相補的官能基(α)を有
するラジカル重合開始剤(例えば4,4−アゾビス−4
−シアノ吉草酸等)を使用し、あるいはラジカル重合開
始剤と連鎖移動剤の双方に相補的官能基(α)を有する
化合物(例えば4,4−アゾビス−4−シアノ吉草酸と
ジチオグリコール酸等)を使用し、親水性官能基を有す
るビニル系単量体を、場合により他のビニル系単量体と
ともに(共)重合して、重合体分子鎖の片末端あるいは
両末端にラジカル重合開始剤や連鎖移動剤に由来する相
補的官能基(α)を有する前駆(共)重合体を合成した
のち、該前駆(共)重合体中の相補的官能基(α)に、
相補的官能基(β)と炭素−炭素二重結合 とを有する
不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の
片末端あるいは両末端に炭素−炭素二重結合を有する官
能性不飽和重合体を製造することができる。さらに、
(イ−3)上記(イ−1)と(イ−2)の組み合せによ
っても、官能性不飽和重合体を製造することができる。
(イ−1)および(イ−2)の方法における相補的官能
基(α)と相補的官能基(β)との反応の例としては、
カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応、カルボン
酸無水物基と水酸基との開環エステル化反応、カルボキ
シル基とエポキシ基とのエステル化反応、カルボキシル
基とアミノ基とのアミド化反応、カルボン酸無水物基と
アミノ基との開環アミド化反応、エポキシ基とアミノ基
との開環付加反応、水酸基とイソシアネート基とのウレ
タン化反応等が挙げられる。
【0014】上記親水性官能基を有するビニル系単量体
としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モ
ノメチル、イタコン酸モノエチル、ヘキサヒドロフタル
酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカ
ルボキシル基含有不飽和化合物;無水マレイン酸、無水
イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;2−ヒドロキ
シメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキ
シアミル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシ
ル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ
(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンのモノ
−またはジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパンのモノ−またはジ−(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールのモノ−またはジ−(メタ)アクリレ
ート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキ
シエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニ
ルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル等
の水酸基含有ビニル系単量体;2−アミノエチル(メ
タ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリ
レート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチル
アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−アミノエチ
ルビニルエーテル、N,N−ジメチルアミノ(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリ
ルアミド等のアミノ基含有ビニル系単量体;アクリルア
ミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸ジアミ
ド、フマル酸ジアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチ
ルアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリ
ルアミド等のアミド基含有ビニル系単量体;1,1,1
−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチ
ル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1
−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン
(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−
(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン
(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−
(2’−ヒドロキシ−2’−フェノキシプロピル)アミ
ン(メタ)アクリルイミド等のアミンイミド基含有ビニ
ル系単量体;アリルグリシジルエーテル、グリシジル
(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アク
リレート等のグリシジル基含有ビニル系単量体;エポキ
シ化シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ
基含有ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル系単量体
が挙げられる。これらのビニル系単量体は、単独でまた
は2種以上を混合して使用することができる。
【0015】上記親水性官能基を有するビニル系単量体
のうち、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水
物の群では、特に(メタ)アクリル酸が好ましく、水酸
基含有ビニル系単量体としては、特に2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートが好ましく、アミノ基含有ビ
ニル系単量体およびアミンイミド基含有ビニル系単量体
の群では、特に1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキ
シプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−
ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエ
チル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチ
ル−1−(2’−ヒドロキシ−2’−フェノキシプロピ
ル)アミン(メタ)アクリルイミド等の水酸基を有する
(メタ)アクリル酸アミドイミドが好ましい。
【0016】親水性官能基を有するビニル系単量体と共
重合させる他のビニル系単量体としては、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル
酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、
(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸
−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキ
シル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アク
ロレイン、クロトンアルデヒド、ホルミルスチレン、ホ
ルミル−α−メチルスチレン、ジアセトンアクリルアミ
ド、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、3−
(メタ)アクリルアミドメチル−アニスアルデヒド、β
−(メタ)アクリロキシ−α,α−ジメチルプロパナー
ル(即ち、β−(メタ)アクリロキシピバリンアルデヒ
ド)、β−(メタ)アクリロキシ−α,α−ジエチルプ
ロパナール、β−(メタ)アクリロキシ−α,α−ジプ
ロピルプロパナール、β−(メタ)アクリロキシ−α−
メチル−α−ブチルプロパナール、β−(メタ)アクリ
ロキシ−α,α,β−トリメチルプロパナール、ジアセ
トン(メタ)アクリルアミド、4〜7個の炭素原子を有
するビニルアルキルケトン類(例えばビニルメチルケト
ン、ビニルエチルケトン、ビニル−n−プロピルケト
ン、ビニル−i−プロピルケトン、ビニル−n−ブチル
ケトン、ビニル−i−ブチルケトン、ビニル−t−ブチ
ルケトン等)、ビニルフェニルケトン、ビニルベンジル
ケトン、ジビニルケトン、ジアセトン(メタ)アクリレ
ート、アセトニトリル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート−アセチルアセテ
ート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−
アセチルアセテート、2−ヒドロキシブチル(メタ)ア
クリレート−アセチルアセテート、3−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート−アセチルアセテート、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート−アセチルアセテ
ート、ブタンジオール−1,4−(メタ)アクリレート
−アセチルアセテート等の、カルボニル基を有するビニ
ル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α
−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル等が挙げられる。これらのビニル系単量体
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。なお、上記カルボニル基を有するビニル系単量体
は、後述する(G)成分と反応して網目構造を生成す
る。この場合、カルボニル基を含有するビニル系単量体
は、特定重合体(A)中に、0.5〜30重量部含有す
ることが好ましい。相補的不飽基(β)と炭素−炭素二
重結合 とを有する不飽和化合物としては、例えば、上
記親水性官能基を有するビニル系単量体のうちの不飽和
カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、水酸基含有ビニ
ル系単量体あるいはアミノ基含有ビニル系単量体のほ
か、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル
グリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物、
上記水酸基含有ビニル系単量体とジイソシアネート化合
物とを等モルで反応させることにより得られるイソシア
ネート基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0017】また、(イ)の方法に使用される加水分解
性基等を有するヒドロシラン化合物としては、例えば、
メチルジクロルシラン、フェニルジクロルシラン、トリ
クロルシラン等のハロゲン化シラン類;メチルジメトキ
シシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキ
シシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等
のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フ
ェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン等の
アシロキシシラン類;ジメチル・アミノキシシラン、メ
チルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン等のア
ミノキシシラン類;メチルジフェノキシシラン、トリフ
ェノキシシラン等のフェノキシシラン類;メチルジ(チ
オメトキシ)シラン、トリ(チオメトキシ)シラン等の
チオアルコキシシラン類;メチル・ジアミノシラン、ト
リアミノシラン等のアミノシラン類等が挙げられる。こ
れらのヒドロシラン化合物は、単独でまたは2種以上を
混合して使用することができる。次に、上記(ロ)の方
法に使用される加水分解性シリル基等を有するビニル系
単量体は、下記一般式(3)で表される。
【0018】
【0019】(式中、X、R3 およびmはそれぞれ一般
式(2)と同義であり、R4 は重合性炭素−炭素二重結
合 を有する有機基を示す。)
【0020】このような加水分解性シリル基等を有する
ビニル系単量体の具体例としては、CH2 =CHSi
(CH3)(OCH3)2 、CH2 =CHSi(OCH3)
3 、CH2 =CHSi(CH3)Cl2 、CH2 =CHS
iCl3 、CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(CH3)
(OCH3)2 、CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(O
CH3)3 、CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(CH3)
(OCH3)2 、CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(O
CH3)3 、CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(CH3)
Cl2 、CH2 =CHCOO(CH2)2 SiCl3 、C
2 =CHCOO(CH2)3 Si(CH3)Cl2 、CH
2 =CHCOO(CH2)3 SiCl3 、CH2 =C(C
3)COO(CH2)2 Si(CH3)(OCH3)2 、CH
2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(OCH3)3 、C
2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(CH3)(OC
3)2 、CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(O
CH3)3 、CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si
(CH3)Cl2 、CH2 =C(CH3)COO(CH2)2
SiCl3 、CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si
(CH3)Cl2 、CH2 =C(CH3)COO(CH2)3
SiCl3
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】等が挙げられる。これらの加水分解性シリ
ル基等を有するビニル系単量体は、単独でまたは2種以
上を混合して使用することができる。また、(ロ)の方
法に使用される親水性官能基を有するビニル系単量体と
しては、例えば、上記(イ)の方法について例示した親
水性官能基を有するビニル系単量体と同様のものを1種
以上使用することができる。さらに、(ロ)の方法に際
しては、上記(イ)の方法について例示した他のビニル
系単量体を1種以上共重合させることもできる。
【0026】また、本発明においては、ビニル系重合体
(b1)中の親水性官能基を有するビニル系単量体の特
に好ましい含有量は、該ビニル系単量体の種類によって
変わる。即ち、(a)不飽和カルボン酸および/または
不飽和カルボン酸無水物の合計含有量は、特に0.5〜
10重量%が好ましく、(b)水酸基含有ビニル系単量
体の含有量は、特に5〜30重量%が好ましく、(c)
アミノ基含有ビニル系単量体および/またはアミンイミ
ド基含有ビニル系単量体の合計含有量は、特に0.05
〜3重量%が好ましい。本発明において、親水性官能基
を有するビニル系単量体の含有量を上記範囲内とするこ
とにより、得られる水系分散体の保存安定性が特に優れ
たものとなる。また、本発明においては、上記(a)、
(b)および(c)に示したビニル系単量体のいずれか
2種以上を併用することが好ましく、特に上記(a)、
(b)および(c)に示したビニル系単量体のそれぞれ
1種以上を組み合せて使用することが好ましい。
【0027】以上のようにして得られるビニル系重合体
(b1)のポリスチレン換算数平均分子量(以下、「M
n」という)は、好ましくは2,000〜100,00
0、さらに好ましくは4,000〜50,000であ
る。本発明において、ビニル系重合体(b1)独でまた
は2種以上を混合して使用することができる。本発明に
おけるビニル系重合体(b1)の使用量は、ポリオルガ
ノシロキサン(a1)100重量部に対して、通常、2
〜900重量部、好ましくは10〜400重量部、さら
に好ましくは20〜200重量部である。この場合、ビ
ニル系重合体(b1)の使用量が2重量部未満では、水
系分散体から形成される塗膜の耐アルカリ性が低下する
傾向があり、一方900重量部を超えると、塗膜の耐候
性が低下する傾向がある。
【0028】特定重合体(A)の合成 本発明に用いられる水系分散体は、ポリオルガノシロキ
サン(a)とビニル系重合体(b1)からなる特定重合
体(A)が水系媒体中に分散しているものである。この
場合、特定重合体(A)は、例えば、粒子状あるいは水
性ゾル状に分散しており、粒子状の特定重合体の平均粒
子径は、通常、0.001〜100μm、好ましくは、
0.001〜10μmである。水系分散体における水系
媒体は、本質的に水からなるが、場合によりアルコール
等の有機溶媒を数重量%程度まで含まれていてもよい。
【0029】本発明に用いられる水系分散体は、好まし
くは(ハ)オルガノシラン(a1)とビニル系重合体
(b1)とを、後述する有機金属化合物(C)および水
の存在下、有機溶媒中で加水分解および/または部分縮
合させたのち、反応溶液を水系媒体中に分散させ、次い
で有機溶媒を除去する方法により製造することができ
る。上記(ハ)の方法において、加水分解および/また
は部分縮合時に存在する水の量は、オルガノシラン(a
1)1モルに対して、通常、0.5〜3.0モル、好ま
しくは0.7〜2.0モル程度である。上記(ハ)の方
法において反応生成物を水系媒体中に分散させる際に
は、乳化剤、pH調整剤等を使用することができる。上
記乳化剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、
アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルりん酸エス
テル塩、脂肪酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキル
アミン塩、アルキル四級アミン塩等のカチオン系界面活
性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリ
エーテル等のノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例
えばアミノ酸型、ベタイン型等)、スルホン酸型等の両
性界面活性剤等の何れでも使用可能である。これらの乳
化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用すること
ができる。上記(ハ)の方法に使用される有機溶媒とし
ては、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エー
テル類、ケトン類、エステル類等が好適である。これら
の有機溶媒の一部は、反応溶液を水系媒体中に分散させ
る前に除去しておくこともできる。上記(ハ)の方法に
おける加水分解および/または部分縮合時の反応条件
は、温度が、通常、40〜70℃であり、反応時間は、
通常、1〜8時間である。
【0030】上記(ハ)の方法において、ビニル系重合
体(b1)がカルボキシル基やカルボン酸無水物基等の
酸性基を有する場合は、加水分解および/または部分縮
合後に少なくとも1種の塩基性化合物を添加してpHを
調節することが好ましく、またビニル系重合体(b1)
がアミノ基やアミンイミド基等の塩基性基を有する場合
は、加水分解および/または部分縮合後に少なくとも1
種の酸性化合物を添加してpHを調節することが好まし
く、さらにビニル系重合体(b1)が該酸性基と該塩基
性基とを有する場合は、加水分解および/または部分縮
合後に、これらの基の割合に応じて少なくとも1種の塩
基性化合物あるいは酸性化合物を添加して、pHを調節
することにより、得られた特定重合体の親水性を高め
て、該特定重合体の乳化分散性を向上させることができ
る。上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、
メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エ
チルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエ
タノール等のアミン類:カセイカリ、カセイソーダ等の
アルカリ金属水酸化物等が挙げられ、また上記酸性化合
物としては、例えば、塩酸、りん酸、硫酸、硝酸等の無
機酸類;ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、しゅう酸、
くえん酸、アジピン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸等の有機酸類が挙げられる。
上記pH調節時のpH値は、通常、6〜10、好ましく
は7〜8である。
【0031】本発明で用いられる(I)組成物は、耐候
性、耐酸化性に優れ、シラノール基を多く含有すること
で、上塗り層と基材との密着性を高める、という効果が
得られるものである。
【0032】(II)上塗り用コーティング組成物 本発明に用いられる(II)組成物は、上記特定重合体
(A)にさらに光触媒成分(B)を配合し、これらが水
系媒体中に分散してなる水系分散体を主成分とする。光触媒成分(B) 本発明における光触媒成分(B)は、光触媒能を有する
無機微粒子および/またはゾルからなり、抗菌防カビ性
や耐汚染性を付与する目的で用いられる。光触媒成分
(B)としては、例えば、TiO2 、TiO3 、SrT
iO3 、FeTiO3 、WO3 、SnO2 、Bi2
3 、In23 、ZnO、Fe23 、RuO2 、Cd
O、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO
3 、MoS2 、LaRhO3 等が挙げられ、好ましくは
TiO2 、ZnOである。特に好ましくは、アナターゼ
型のTiO2である。これらは、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。
【0033】光触媒成分(B)を水系媒体中に分散させ
る前の存在形態には、粒子状の粉体、微粒子が水中に分
散した水系ゾル、微粒子がメタノールやイソプロピルア
ルコ−ル等の極性溶媒やトルエン等の非極性溶媒中に分
散した溶媒系ゾルの3種類がある。溶媒系ゾルの場合、
半導体微粒子の分散性によってはさらに水や溶媒で希釈
して用いてもよい。これらの存在形態における半導体微
粒子の平均粒子径は、通常、1μm以下、好ましくは
0.5μm以下であり、透明コーティング膜を得るには
0.3μm以下を用いることが特に好ましい。また、水
系ゾルおよび溶媒系ゾルの場合、微粒子の安定性や分散
性を向上させるために、予め界面活性剤、分散剤、有機
金属化合物で表面処理を行なっておいてもよい。
【0034】光触媒成分(B)成分を水系分散体中に分
散させる方法としては、水系分散体の調製後に添加して
もよく、あるいは該水系分散体の調製時に添加し、光触
媒成分(B)の存在下でオルガノシラン(a1)、ビニ
ル系重合体(b1)等を加水分解・部分縮合させること
もできる。本発明における光触媒成分(B)の使用量
は、ポリオルガノシロキサン(a)100重量部に対し
て、固形分で、通常、1〜500重量部、好ましくは1
0〜400重量部である。
【0035】(II)組成物は、汚染物質と化学結合およ
び物理吸着しにくい構造を有する。また、得られる塗膜
の表面が親水性であり、光触媒反応によって、微弱な光
によってさらに親水化する性質を有するため、付着した
汚染物質を簡単に洗浄することができる。
【0036】さらに、本発明で用いられる(I)組成物
および(II)組成物(以下、単に「水系分散体」ともい
う)には、下記(C)〜(H)の成分を配合することが
できる。有機金属化合物(C)本発明に用いられる水系
分散体においては、ジルコニウム、チタンおよびアルミ
ニウムの群から選ばれる金属のキレート化合物(以下、
「有機金属化合物(C)」ともいう。)を配合すること
が好ましい。有機金属化合物(C)は、上記ポリオルガ
ノシロキサン(a)とビニル系重合体(b)との加水分
解および/または部分縮合反応を促進し、両成分の共縮
合物の形成を促進する作用をなすものと考えられる。こ
のような有機金属化合物(C)の例としては、一般式
【0037】Zr(OR5)p (R6 COCHCOR7)
q 、 Ti(OR5)r (R6 COCHCOR7)s または Al(OR5)t (R6 COCHCOR7)u
【0038】で表される化合物、あるいはこれらの化合
物の部分加水分解物が挙げられる。有機金属化合物
(C)におけるR5 およびR6 は、それぞれ独立に炭素
数1〜6の1価の炭化水素基、具体的には、エチル基、
n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、se
c−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘ
キシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等を示し、R
7 は、R5 およびR6 と同様の炭素数1〜6の1価の炭
化水素基のほか、炭素数1〜16のアルコキシ基、具体
的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、
i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ
基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオ
キシ基等を示す。また、p、q、rおよびsは0〜4の
数、tおよびuは0〜3の数であり、(p+q)、(r
+s)および(t+u)は、それぞれジルコニウム、チ
タンおよびアルミニウムの原子価である。
【0039】このような有機金属化合物(C)の具体例
としては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテー
トジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセ
トアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス
(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス
(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テト
ラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テ
トラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テ
トラブトキシジルコニウム等のジルコニウム化合物;ジ
−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チ
タニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテ
ート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチ
ルアセトン)チタニウム、テトライソプロピルチタネー
ト、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラスチリルチ
タネート等のチタン化合物;ジ−i−プロポキシ・エチ
ルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ
・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ
・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−
プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウ
ム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノア
セチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)
アルミニウム、アルミニウム−i−プロピオネート、モ
ノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、
アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチ
レート等のアルミニウム化合物等が挙げられる。これら
の化合物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトア
セテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(ア
セチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ
・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチ
ルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。これら
の有機金属化合物(C)は、単独でまたは2種以上を混
合して使用することができる。有機金属化合物(C)
は、好ましくは有機溶媒に溶解して使用される。この場
合の有機溶媒としては、例えば、アルコール類、芳香族
炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類等が好
適である。
【0040】本発明における有機金属化合物(C)の使
用量は、ポリオルガノシロキサン(a)100重量部に
対して、好ましくは0.01〜50重量部、さらに好ま
しくは0.1〜50重量部である。この場合、有機金属
化合物(C)の使用量が50重量部を超えると、水系分
散体の保存安定性が低下したり、塗膜にクラックが発生
しやすくなる場合がある。
【0041】β−ケト化合物(D) 本発明で用いられる水系分散体には、保存安定性をさら
に向上させるために、例えば、一般式 R6 COCH2 COR7 (式中、R6 およびR7 はそれぞれ、有機金属化合物
(C)を表す上記一般式におけるR6 およびR7 と同義
である。)で表されるβ−ジケトン類および/またはβ
−ケトエステル類(以下、これらの化合物をまとめて
「β−ケト化合物(D)」ともいう。)を少なくとも1
種配合することができる。水系分散体が、前期有機金属
化合物(C)を含有することは特に、β−ケト化合物
(D)をさらに配合することが好ましい。このようなβ
−ケト化合物(D)の具体例としては、アセチルアセト
ン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸
n−プロピル、アセト酢酸i−プロピル、アセト酢酸n
−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−
ブチル、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジ
オン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオ
ン、2,4−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキ
サンジオンが挙げられる。これらのうち、アセト酢酸エ
チル、アセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセ
トンが好ましい。本発明におけるβ−ケト化合物(D)
の使用量は、有機金属化合物(C)1モルに対して、通
常、2モル以上、好ましくは3〜20モルである。この
場合、β−ケト化合物(D)の使用量が2モル未満で
は、得られる水系分散体の保存安定性の向上効果が低下
する傾向がある。
【0042】充填材(E) 本発明で用いられる水系分散体は、得られる硬化体の着
色、厚膜化、基材への紫外線透過防止、防蝕性、耐熱性
等の諸特性を発現させるために、光触媒成分(B)以外
の充填材を添加・分散させることもできる。
【0043】硬化体の硬度をさらに高めるために添加さ
れる充填材(以下、「充填材(E1)」ともいう)とし
ては、光触媒成分(B)以外の無機化合物の粒子および
/またはゾルもしくはコロイドが挙げられる。上記無機
化合物の具体例としては、SiO2 、Al23 、Al
(OH)3 、Sb25 、Si34 、Sn−In2
3 、Sb−In23 、MgF、CeF3 、CeO2
3Al23 ・2SiO2 、BeO、SiC、AlN、
Fe、Fe23 、Co、Co−FeOX 、CrO2
Fe4 N、Baフェライト、SmCO5 、YCO5 、C
eCO5 、PrCO5 、Sm2 CO17、ZrO2 、Nd
2 Fe14B、Al43 等を挙げることができる。これ
らの無機化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使
用することができる。
【0044】充填材(E1)を水系分散体に配合する前
の存在形態には、粒子状の粉体、微粒子が水中に分散し
た水系のゾルもしくはコロイド、微粒子がイソプロピル
アルコ−ル等の極性溶媒やトルエン等の非極性溶媒中に
分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系
のゾルもしくはコロイドの場合、半導体微粒子の分散性
によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよい。
充填材(E1)が水系のゾルもしくはコロイドおよび溶
媒系のゾルもしくはコロイドである場合の固形分濃度
は、40重量%以下が好ましい。充填材(E1)のう
ち、コロイド状シリカは、例えば、スノーテックス、メ
タノールシリカゾル、イソプロパノールシリカゾル(以
上、日産化学工業(株)製);カタロイドSN、オスカ
ル(以上、触媒化成工業(株)製);Ludex(米国
デュポン社製);Syton(米国モンサント社製);
Nalcoag(米国ナルコケミカル社製)等の商品名
で、また上記コロイド状アルミナは、例えば、アルミナ
ゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−
520(以上、日産化学工業(株)製)、アルミナクリ
ヤーゾル、アルミナゾル10、アルミナゾル132(以
上、川研ファインケミカル(株)製)等の商品名で、市
販されている。
【0045】充填材(E1)を本発明に用いられる水系
分散体中に配合する方法としては、水系分散体の調製後
に添加してもよく、あるいは該水系分散体の調製時に添
加し、(D1)成分の存在下でオルガノシラン(a
1)、ビニル系重合体(b1)等を加水分解・部分縮合
させることもできる。本発明における充填材(E1)の
使用量は、ポリオルガノシロキサン(a)100重量部
に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、好まし
くは0.1〜400重量部である。
【0046】塗膜の着色、意匠性あるいは厚膜化を発現
させ、また防蝕性、耐候性等をより高めるための充填材
(以下、「充填材(E2)」ともいう)としては、例え
ば、金属や合金;金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒
化物、硫化物等の化合物;有機顔料、無機顔料等の非水
溶性顔料等を挙げることができる。これらの成分は、粒
子状、繊維状、ウイスカー状もしくは鱗片状の形態で使
用される。充填材(E2)の具体例としては、鉄、ニッ
ケル、アルミニウム、亜鉛、銅、銀、カーボンブラッ
ク、黒鉛、ステンレス鋼、酸化第二鉄、フェライト、酸
化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、顔料用酸化ジ
ルコニウム、顔料用(ルチル型)酸化チタン、酸化ジル
コニウム、二酸化珪素、亜酸化鉛、酸化アルミニウム、
酸化亜鉛、亜酸化銅、水酸化第二鉄、水酸化アルミニウ
ム、消石灰、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、硫酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸バリウム、石
膏、二硫化モリブデン、硫化鉛、硫化銅、珪酸鉛、鉛酸
カルシウム、ほう酸銅、チタン酸カリウム、炭化珪素、
窒化珪素、窒化ホウ素、フタル酸鉛、合成ムライト、ク
レー、珪藻土、タルク、ベントナイト、雲母、緑土、コ
バルト緑、マンガン緑、ビリジャン、ギネー緑、コバル
トクロム緑、シューレ緑、緑土、クロム緑、亜鉛緑、ピ
グメントグリーン、群青、岩群青、紺青、コバルト青、
セルリアンブルー、モリブデン青、コバルト紫、マルス
紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、ジンクエロ
ー、クロム黄、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタ
ン黄、リサージ、ピグメントエロー、黄土、カドミウム
赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、鉛亜鉛
華、バンチソン白、マンガン白、ボーン黒、ダイヤモン
ドブラック、サーマトミック黒、植物性黒等を挙げるこ
とができる。これらの充填材(E2)は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。
【0047】本発明における充填材(E2)の使用量
は、本発明で用いられる水系分散体の固形分合計100
重量部に対して、通常、300重量部以下である。充填
材(E2)の使用量が300重量部を超えると、塗膜の
密着性が低下する場合がある。
【0048】硬化促進剤(F) 本発明に用いられる水系分散体には、その硬化速度をよ
り高めるために、硬化条件によっては、上記有機金属化
合物(C)以外の硬化促進剤(以下、「硬化促進剤
(F)」ともいう)を併用することもでき、比較的低い
温度で硬化させる際に特に効果的である。硬化促進剤
(F)としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜
硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸等のアルカリ金属塩;
メタンスルホン酸等;エチレンジアミン、ヘキサンジア
ミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジ
ン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリ
エチルアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、3−アニリノプロピルト
リメトキシシランや、エポキシ樹脂の硬化剤として用い
られる各種変性アミン等のアミン系化合物;(C49)
2 Sn(OCOC1123)2、(C49)2 Sn(OCO
CH=CHCOOCH3)2 、(C49)2 Sn(OCO
CH=CHCOO(C49)2 、(C817)2Sn(O
COC1123)2、(C817)2Sn(OCOCH=CH
COOCH3)2 、(C817)2Sn(OCOCH=CH
COO(C49)2 、(C817)2Sn(OCOCH=
CHCOOC817)2、Sn(OCOCC817)2等の
カルボン酸型有機錫化合物;(C49)2 Sn(SCH
2 COOC817)2、(C49)2 Sn(SCH2 CH
2 COOC817)2、(C817)2Sn(SCH2 CO
OC817)2、(C817)2Sn(SCH2 CH2 CO
OC817)2、(C817)2Sn(SCH2 COOC12
25)2、(C817)2Sn(SCH2 CH2 COOC12
25)2等のメルカプチド型有機錫化合物;(C49)2
Sn=S、(C817)2Sn=S等のスルフィド型有機
錫化合物;(C49)2 SnO、(C817)2SnO等
の有機錫オキサイドや、これらの有機錫オキサイドとア
ルキルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ
エチル、フタル酸ジオクチル等のエステル化合物との反
応生成物等を挙げることができる。これらの硬化促進剤
(F)は、単独でまたは2種以上を混合して使用するこ
とができる。上記硬化促進剤(F)を水系分散体に添加
する方法としては、硬化促進剤(F)を予めアルコール
系溶媒で希釈して添加する方法、硬化促進剤(F)に乳
化剤を添加したのち水中に乳化分散させて添加する方法
などを挙げることができる。本発明における硬化促進剤
(F)の使用量は、ポリオルガノシロキサン(a)10
0重量部に対して、通常、0〜100重量部、好ましく
は0.1〜80重量部、さらに好ましくは0.5〜50
重量部である。
【0049】多官能性ヒドラジン誘導体(G)さらに、
本発明で用いる水系分散体には、分子中に2個以上のヒ
ドラジノ基を有する多官能性ヒドラジン誘導体(以下、
「多官能性ヒドラジン誘導体(G)」ともいう)が含有
されていてもよい。該多官能性ヒドラジン誘導体(G)
は、特定重合体(A)を構成するビニル系重合体(b
1)がカルボニル基を含有する場合に配合することが好
ましい。該多官能性ヒドラジン誘導体は、水系分散体の
施工後の乾燥過程で、そのヒドラジノ基が特定重合体
(A)中に含有されるカルボニル基と反応して網目構造
を生成し、塗膜を架橋させる作用を有するものである。
上記多官能性ヒドラジン誘導体(G)としては、例え
ば、しゅう酸ジヒドラジド、 マロン酸ジヒドラジド、
こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジ
ピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、フタル
酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタ
ル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸
ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の合計炭素数
2〜10、特に合計炭素数4〜6のジカルボン酸ジヒド
ラジド類;クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリ
ヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラ
ジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド等の3
官能以上のヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラ
ジン、プロピレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン
−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,2−ジヒドラ
ジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−
1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジ
ン等の合計炭素数2〜4の脂肪族ジヒドラジン類等の水
溶性ジヒドラジンが好ましい。さらに、これらの水溶性
ジヒドラジンの少なくとも一部のヒドラジノ基を、アセ
トアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジアセト
ンアルコール等のカルボニル化合物と反応させることに
よりブロックした化合物(以下、「ブロック化多官能性
ヒドラジン誘導体」という。)、例えば、アジピン酸ジ
ヒドラジドモノアセトンヒドラゾン、アジピン酸ジヒド
ラジドジアセトンヒドラゾン等も使用することができ
る。このようなブロック化多官能性ヒドラジン誘導体を
使用することにより、水系分散体の架橋反応の進行を適
度に抑えることができるため、特に印刷インキとして重
要な再分散性をさらに改良することができる。これらの
多官能性ヒドラジン誘導体のうち、アジピン酸ジヒドラ
ジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラ
ジド、アジピン酸ジヒドラジドジアセトンヒドラゾン等
が好ましい。上記多官能性ヒドラジン誘導体は、単独で
または2種以上を混合して使用することができる。
【0050】本発明における多官能性ヒドラジン誘導体
(G)の使用量は、特定重合体(A)中のカルボニル基
とヒドラジノ基との当量比が、通常、1:0.1〜5、
好ましくは1:0.5〜1.5、さらに好ましくは1:
0.7〜1.2の範囲となる量である。この場合、ヒド
ラジノ基がカルボニル基1当量に対して、0.1当量未
満であると、塗膜の耐溶剤性、耐損傷性等が低下する傾
向があり、一方5当量を超えると、塗膜の耐水性、透明
性等が低下する傾向がある。但し、多官能性ヒドラジン
誘導体として、ブロック化多官能性ヒドラジン誘導体を
使用する場合の上記当量比は、カルボニル基とブロック
する前の多官能性ヒドラジン誘導体中のヒドラジノ基と
の当量比によるものとする。多官能性ヒドラジン誘導体
(G)は、本発明で用いる水系分散体を調製する適宜の
工程で配合することができるが、特定重合体(A)の製
造時における凝固物の発生を抑え、重合安定性を維持す
るためには、多官能性ヒドラジン誘導体(G)の全量
を、特定重合体(A)の製造後に配合することが望まし
い。
【0051】オキサゾリン誘導体(H) さらに、本発明で用いる水系分散体には、分子中に1個
以上のオキサゾリン基(ジヒドロオキサゾリル基)を有
するオキサゾリン誘導体(以下、「オキサゾリン誘導体
(H)」ともいう)が含有されていてもよい。オキサゾ
リン誘導体(H)は、特定重合体(A)を構成するビニ
ル系重合体(b1)が、カルボキシル基、チオール基、
水酸基、エポキシ基、アミノ基、スルフィン基(以下、
これらの有機基を「反応性官能基」ともいう)を含有す
る場合に配合することが好ましく、特にカルボキシル基
を含有する場合に好ましい。該オキサゾリン誘導体は、
水系分散体の施工後の乾燥過程で、そのオキサゾリン基
が特定重合体(A)中に含有される上記官能基と反応し
て網目構造を生成し、塗膜を架橋させる作用を有するも
のである。上記オキサゾリン誘導体(H)は、2−イソ
プロペニル−2−オキサゾリンなどの共重合可能なオキ
サゾリンとその他の共重合性を有するビニル樹脂とのエ
マルジョン重合法または懸濁重合法等により合成され
る。市販品としては、日本触媒化学工業(株)製のエポ
クロスK−1000、K−1020E、K−1030
E、K−2010E、K−2020E、K−2030
E、WS−500等が挙げられる。
【0052】本発明におけるオキサゾリン誘導体(H)
の使用量は、特定重合体(A)中の上記反応性官能基と
オキサゾリン基との当量比が、通常、1:0.1〜5、
好ましくは1:0.5〜1.5、さらに好ましくは1:
0.7〜1.2の範囲となる量である。この場合、オキ
サゾリン基が上記反応性官能基1当量に対して、0.1
当量未満であると、塗膜の耐溶剤性、耐損傷性等が低下
する傾向があり、一方5当量を超えると、塗膜の耐水
性、透明性等が低下する傾向がある。オキサゾリン誘導
体(H)は、本発明で用いる水系分散体を調製する適宜
の工程で配合することができるが、特定重合体(A)の
製造時における凝固物の発生を抑え、重合安定性を維持
するためには、オキサゾリン誘導体(H)の全量を、特
定重合体(A)の製造後に配合することが望ましい。
【0053】その他の添加剤 本発明で用いる水系分散体は、樹脂状添加剤を含有して
もよい。上記樹脂状添加剤としては、例えば、水性塗料
に通常使用されている水溶性ポリエステル樹脂、水溶性
あるいは水分散性エポキシ樹脂、水溶性あるいは水分散
性アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体等のカ
ルボキシル基含有芳香族ビニル系樹脂、ウレタン樹脂等
を挙げることができる。これらの樹脂状添加剤は、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。本
発明における樹脂状添加剤の使用量は、水系分散体の全
固形分100重量部に対して、通常、50重量部以下、
好ましくは30重量部以下である。
【0054】また、本発明で用いる水系分散体は、成膜
性や濡れ性を向上させる目的で、有機溶剤を含有しても
よい。上記有機溶剤としては、例えば、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチ
ルアルコール、n−アミルアルコール、n−ヘキシルア
ルコール等のアルコール類や、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、
エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、エチ
レングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレング
リコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロ
ピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルア
セテート、トリブトキシメチルフォスフェート等を挙げ
ることができる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2
種以上を混合して使用することができる。本発明におけ
る有機溶剤の使用量は、全水系分散体の、通常、50重
量%以下、好ましくは20重量%以下である。さらに、
本発明に用いる水系分散体には、必要に応じて、顔料、
増粘剤、分散剤、シランカップリング剤、チタンカップ
リング剤、レベリング剤、染料、防カビ剤、防腐剤、老
化防止剤、酸化防止剤、粘着剤、防曇剤、難燃剤等の他
の添加剤を配合することもできる。
【0055】本発明に用いられる(I)組成物の全固形
分濃度は、通常、50重量%以下、好ましくは20〜4
0重量%であり、使用目的、基材の種類、塗装方法、塗
装膜厚、添加成分に応じて適宜調整される。また、本発
明に用いられる(II)組成物の全固形分濃度は、好まし
くは、50重量%以下であり、使用目的に応じて適宜調
整される。例えば、薄膜形成基材への含浸を目的とする
ときは、通常、5〜30重量%であり、また、厚膜形成
を目的で使用するときは、通常、20〜50重量%、好
ましくは、30〜45重量%である。(I)組成物およ
び/または(II)組成物の全固形分濃度が50重量%を
超えると、保存安定性が低下する場合がある。
【0056】硬化体 本発明の硬化体の構成としては、基材/(I)組成物/
(II)組成物、あるいは、基材/プライマー/(I)組
成物/(II)組成物などからなる。本発明の組成物を基
材に塗布する際には、いずれの組成物の場合も、刷毛、
ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音
波コーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗
り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などが
挙げられる。
【0057】下塗り用の場合には、乾燥膜厚として、1
回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚
さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成することができ
る。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜20
0℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥
することにより、各種の基材に塗膜を形成することがで
きる。また、上塗り用の場合には、乾燥膜厚として、1
回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚
さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成することができ
る。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜20
0℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥
することにより、下塗り層の上に、塗膜を形成すること
ができる。なお、下塗りと上塗りの総計膜厚は、乾燥膜
厚で、通常、0.1〜80μm、好ましくは、0.2〜
60μm程度である。
【0058】基材 本発明の硬化体に用いる基材としては、例えば、鉄、ア
ルミニウム、ステンレスなどの金属;セメント、コンク
リート、ALC、フレキシブルボード、モルタル、スレ
ート、石膏、セラミックス、レンガなどの無機窯業系材
料;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポ
リカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、AB
S樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹
脂)などのプラスチック成型品;ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリイミ
ドなどのプラスチックフィルムや、木材、紙、ガラスな
どを挙げることができる。また、本発明の組成物は、劣
化塗膜の再塗装にも有用である。
【0059】これらの基材には、下地調整、密着性向
上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的
として、予め表面処理を施すこともできる。金属系基材
に対する表面処理としては、例えば、研磨、脱脂、メッ
キ処理、クロメート処理、火炎処理、カップリング処理
などを挙げることができ、プラスチック系基材に対する
表面処理としては、例えば、ブラスト処理、薬品処理、
脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処
理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理などを
挙げることができ、無機窯業系基材に対する表面処理と
しては、例えば、研磨、目止め、模様付けなどを挙げる
ことができ、木質基材に対する表面処理としては、例え
ば、研磨、目止め、防虫処理などを挙げることができ、
紙質基材に対する表面処理としては、例えば、目止め、
防虫処理などを挙げることができ、さらに劣化塗膜に対
する表面処理としては、例えば、ケレンなどを挙げるこ
とができる。
【0060】本発明における塗布操作は、基材の種類や
状態、塗布方法によって異なる。例えば、金属系基材の
場合、防錆の必要があれば、本発明の下塗り用コーィン
グ組成物以外にプライマーを用い、無機窯業系基材の場
合、基材の特性(表面荒さ、含浸性、アルカリ性など)
により塗膜の隠ぺい性が異なるため、プライマーを用い
る場合がある。また、劣化塗膜の再塗装の場合、旧塗膜
の劣化が著しいときはプライマーを用いる。それ以外の
基材、例えば、プラスチック、木材、紙、ガラスなどの
場合は、用途に応じて下塗り用コーティング組成物以外
に、プライマーを用いても用いなくてもよい。
【0061】プライマーの種類は特に限定されず、基材
と組成物との密着性を向上させる作用を有するものであ
ればよく、基材の種類、使用目的に応じて選択する。プ
ライマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができ、また顔料などの着色成分を含むエナメルで
も、該着色成分を含まないクリヤーでもよい。
【0062】プライマーの種類としては、例えば、アル
キド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ア
クリルシリコン樹脂などの溶剤系樹脂を用いることもで
きるが、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマ
ルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエ
マルジョンなどの水系エマルジョンを特に好ましいもの
として挙げることができる。また、これらのプライマー
には、厳しい条件での基材と塗膜との密着性が必要な場
合、各種の官能基を付与することもできる。このような
官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カ
ルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アル
コキシシリル基、エーテル結合、エステル結合などを挙
げることができる。
【0063】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態を
さらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に
限定されるものではない。なお、実施例中の部および%
は、特に断らない限り重量基準である。
【0064】実施例および比較例における測定・評価
は、下記のようにして行った。
【0065】塗膜外観 塗膜の外観を、目視および実体顕微鏡(倍率100倍)
により観察し、塗膜の光沢を測定して、下記基準で評価
した。 ○:光沢保持率が90%以上 △:光沢保持率が50%以上90%未満 ×:光沢保持率が50%未満硬度 JIS K5400による鉛筆硬度に拠った。
【0066】密着性 JIS K5400による碁盤目テスト(ます目100
個)により、テープ剥離試験を3回実施し、残った碁盤
目の数の平均数で評価した。耐候性 JIS K5400により、サンシャインウエザーメー
ターで3,000時間照射試験を実施して、塗膜の外観
(割れ、はがれ等)を目視により観察した。耐薬品性 塗膜上にイソプロピルアルコールを2cc滴下し、5分
後に布で拭き取ったのち、塗膜の状態を目視により観察
した。
【0067】耐温水性 無機質基材を用いた試験片を、60℃の温水中に14日
間浸漬したのち、塗膜の状態を目視により観察した。親水性 塗膜に、1mW/cm2 ブラックライト蛍光灯で照射
し、水の接触角が10°以下になる時間を測定した。
【0068】参考例1〜3〈ビニル系重合体(b1)の
製造〉 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルメタクリ
レート40部、2−エチルヘキシルアクリレート18
部、アクリル酸5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート10部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン15部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン5部、ジアセトン
アクリルアミド6部、1,1,1−トリメチルアミンメ
タクリルイミド1部およびi−プロピルアルコール13
5部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温
し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキ
シレン15部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した
のち、80℃で5時間反応させて、固形分濃度40%の
ビニル系重合体(b1)(以下、「ビニル系重合体(b
−1)」ともいう)の溶液を得た。以下、表1に示す組
成で、ビニル系重合体(b−2)および(b−3)を得
た。
【0069】
【表1】
【0070】調製例1<(I)組成物の調製> 攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、オルガノシラン
(a1)として、メチルトリメトキシシラン70部およ
びジメチルジメトキシシラン30部、ビニル系重合体
(b)として、参考例1で得たビニル系重合体(b−
1)50部、並びに、有機金属化合物(C)として、ジ
−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム
5部をi−プロピルアルコール溶液180部に溶解した
溶液を混合した後、イオン交換水13部を加え、60℃
で4時間反応させた。次いで、この反応生成物を室温ま
で冷却し、β−ケト化合物(D)としてアセチルアセト
ン5部およびi−プロピルアルコール130部を添加し
て、全固形分濃度が20%の特定重合体(以下、「重合
体(1)」ともいう)の溶液を得た。この重合体(1)
の溶液100部に、30℃以下の温度で、乳化剤である
アルキル硫酸エステル塩と10%アンモニア水を加え、
よく混合してpH7.5に調節した。次いで、i−プロ
ピルアルコール50部で希釈し、得られた溶液をイオン
交換水250部中に2時間かけて除々に加えてエマルジ
ョンとした。このエマルジョンに、多官能性ヒドラジン
誘導体(G)としてアジピン酸ジヒドラジド2部を加
え、次いでこのエマルジョンから減圧下、50℃以下の
温度でi−プロピルアルコールおよび水を除去し、全固
形分濃度を20%に調整して、(I)組成物(以下、
「(I−1)」ともいう)を得た。
【0071】調製例2〜14<(I)組成物の調製> 表2〜3に記載された組成を用いた以外は調製例1と同
様にして、全固形分濃度20%の(I)組成物(I−
2)〜(I−14)を得た。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】表2〜3中、有機系紫外線吸収剤は、2
−ヒドロキシフェニルベンゾトリアジン、有機系紫外線
吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾールを示す。
【0075】調製例15<(I)組成物(エナメル)の
調製> 調製例1で得られた重合体(1)の溶液(全固形分濃度
20%)100部に、セルロース系増粘剤0.5部を加
え、スターラーを用いて回転数2,000rpmで30
分間攪拌した後、充填材(E2)としてルチル型酸化チ
タン26部を少量ずつ加えながら攪拌し、粒ゲージにて
顔料が分散していることを確認して、(I)組成物(エ
ナメル)(以下、「(I−15)」という)を得た。
【0076】調製例16<(II)組成物の調製> 攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、光触媒成分
(B)として、酸化チタンゾル(アナターゼ型酸化チタ
ン20%(固形分)、硝酸80%)350部を入れ、オ
ルガノシラン(a1)として、メチルトリメトキシシラ
ン70部およびジメチルジメトキシシラン30部、ビニ
ル系重合体(b)として、参考例1で得たビニル系重合
体(b−1)50部、並びにi−プロピルアルコール1
80部を滴下しながら攪拌させた後、有機金属化合物
(C)としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテ
ートアルミニウム5部を加え、60℃で4時間反応させ
た。次いで、β−ケト化合物(D)としてアセチルアセ
トン5部を添加し、全固形分濃度が20%の酸化チタン
分散特定重合体(以下、「重合体(i)」ともいう)の
溶液を得た。この重合体(i)の溶液100部に、30
℃以下の温度で、乳化剤であるアルキル硫酸エステル塩
と10%アンモニア水を加え、よく混合してpH7.5
に調節した。次いで、i−プロピルアルコール50部で
希釈し、得られた溶液をイオン交換水250部中に2時
間かけて除々に加えてエマルジョンとした。このエマル
ジョンに、多官能性ヒドラジン誘導体(G)としてアジ
ピン酸ジヒドラジド2部を加え、次いでこのエマルジョ
ンから減圧下、50℃以下の温度でi−プロピルアルコ
ールおよび水を除去し、全固形分濃度を20%に調整し
て、(II)組成物(以下、「(II−1)」ともいう)を
得た。
【0077】調製例17〜21<(II)組成物の調製> 表4に示される処方で、調製例16と同様にして、重合
体(ii)〜(vi)の調製を行った。その後、重合体(i
i)〜(vi)を用いたこと以外は調製例14と同様にし
て、(II−2)〜(II−6)を得た。
【0078】
【表4】
【0079】調製例22<(II)組成物の調製> 調製例1で得られた重合体(1)の溶液100部に、3
0℃以下の温度で、乳化剤であるアルキル硫酸エステル
塩と10%アンモニア水を加え、よく混合してpH7.
5に調節した。次いで、i−プロピルアルコール100
部で希釈し、得られた溶液をイオン交換水200部中に
2時間かけて除々に加えてエマルジョンとした。このエ
マルジョンに、多官能性ヒドラジン誘導体(G)として
アジピン酸ジヒドラジド4部を加え、次いでこのエマル
ジョンから減圧下、50℃以下の温度でi−プロピルア
ルコールおよび水を除去し、全固形分濃度を20%に調
整した。このエマルジョン100部に、光触媒成分
(B)として、pHが7に調整された酸化チタンゾル
(アナターゼ型酸化チタン20%(固形分)、水80
%)100部を滴下し、良く攪拌して、全固形分濃度2
0%の(II)組成物(以下、「(II−7)」ともいう)
を得た。
【0080】調製例23<(II)組成物の調製> 調製例22において、光触媒成分(B)として、pHが
7に調整された酸化チタンゾル(アナターゼ型酸化チタ
ン20%(固形分)、水80%)25部を用いた以外は
調製例20と同様にして、全固形分濃度20%の(II)
組成物(以下、「(II−8)」ともいう)を得た。
【0081】調製例24<(II)組成物の調製> 調製例22において、光触媒成分(B)として、pHが
7に調整された酸化チタンゾル(アナターゼ型酸化チタ
ン20%(固形分)、水80%)400部を用いた以外
は調製例20と同様にして、全固形分濃度20%の(I
I)組成物(以下、「(II−9)」ともいう)を得た。
【0082】調製例25<(II)組成物(エナメル)の
調製> 調製例24で得られた(II−9)100部に、セルロー
ス系増粘剤0.5部を加え、スターラーを用いて回転数
2,000rpmで30分間攪拌した後、充填材(E
2)としてルチル型酸化チタン26部を少量ずつ加えな
がら攪拌し、粒ゲージにて顔料が分散していることを確
認して、(II)組成物(エナメル)(以下、「(II−1
0)」ともいう)を得た。
【0083】調製例26<(II)組成物の調製> 調製例1で得られた(I−1)100部に、セルロース
系増粘剤0.5部を加え、スターラーを用いて回転数
2,000rpmで30分間攪拌した後、光触媒成分
(B)としてアナターゼ型酸化チタン粒子(粒径;1μ
m)20部を少量ずつ加えながら攪拌し、粒ゲージにて
粒子が分散していることを確認して、(II)組成物(以
下、「(II−11)」ともいう)を得た。
【0084】実施例1〜20、比較例 調製例で得られた(I)組成物および(II)組成物のそ
れぞれ100部に、ジブチルスズジマレエートの15%
イソブチルアルコール溶液を5部添加した。膜厚50μ
mのPETフィルム表面に、表5〜7に示した通りの組
み合わせで、基材上に、乾燥膜厚が1μmになるように
(I)組成物を塗布し、120℃で10分間乾燥して塗
膜を形成した。その後、当該塗膜の表面に、乾燥膜厚が
0.2μmになるように(II)組成物を塗布し、120
℃で10分間乾燥して塗膜を形成した。得られた塗膜に
ついて、塗膜外観、硬度、密着性、耐候性、耐薬品性、
耐温水性および親水性について評価した。評価結果を、
表5〜7に併せて示す。
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】実施例21〜45 表8〜9に記載した各基材に、各下塗り用コーティング
組成物を塗布、乾燥した後、各上塗り用コーティング組
成物を塗布、乾燥し、本発明の硬化体とした。得られた
硬化体に対して、密着性および耐候性の評価を行った。
結果を表8〜9に併せて示す。なお、下塗り用コーティ
ング組成物を2〜3種用いている実施例は、組成物を混
合せず、基板上に2〜3層の下塗り層を設け、全体の膜
厚を規定した。
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
【発明の効果】本発明の塗膜の形成方法によれば、光触
媒による基材の劣化を防止でき、耐候性、密着性に優れ
た硬化体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 Z 143/04 143/04 Fターム(参考) 4D075 AE03 CA13 CA34 EA06 EB19 EB43 EC37 4G069 AA03 BA04B BA37 BA48A EA02X EA02Y EB19 ED02 4J038 CL001 CL002 DL031 DL032 KA04 KA20 MA08 MA10 PA07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に、下記(I)の下塗り用コーテ
    ィング組成物からなる塗膜を形成し、その上に、下記
    (II)の上塗り用コーティング組成物からなる塗膜を形
    成することを特徴とする、塗膜の形成方法。 (I)(A)(a)ポリオルガノシロキサンと(b)ビ
    ニル系重合体とを含有する重合体が、水系媒体中に分散
    してなる水系分散体を含有する下塗り用コーティング組
    成物。 (II)(A)(a)ポリオルガノシロキサンと(b)ビ
    ニル系重合体とを含有する重合体、並びに(B)光触媒
    能を有する無機微粒子および/またはゾルが、水系媒体
    中に分散してなる水系分散体を含有する上塗り用コーテ
    ィング組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の塗膜の形成方法によって
    得られる硬化体。
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