JP2000208715A - 強誘電体薄膜の構造及びその化学的気相成長法 - Google Patents

強誘電体薄膜の構造及びその化学的気相成長法

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JP2000208715A
JP2000208715A JP11009693A JP969399A JP2000208715A JP 2000208715 A JP2000208715 A JP 2000208715A JP 11009693 A JP11009693 A JP 11009693A JP 969399 A JP969399 A JP 969399A JP 2000208715 A JP2000208715 A JP 2000208715A
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Satoshi Tanimoto
谷本  智
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、前置層をペロブスカイト単一相の
結晶構造からなる強誘電体層として、強誘電体膜全体の
厚さを例えば150nm以下程度に薄くしても、誘電率
の低下及びリーク電流の増大を防止することを目的とす
る。 【解決手段】 チタンジルコン酸鉛(PZT)系の強誘
電体薄膜の構造52において、少なくともZr元素を含
まない前置層53の組成が、主層54と同型のペロブス
カイト型強誘電体の化学量論組成に等しいことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特性の良いPb
(Zry Ti1-y )O3 等のPZT(チタンジルコン酸
鉛)系強誘電体薄膜を半導体集積回路基板等に形成する
ための強誘電体薄膜の構造と、この強誘電体薄膜の構造
を形成するのに適した化学的気相成長(CVD:Chemic
al Vapor Deposition )法に関する。
【0002】
【従来の技術】自発分極を備え、圧電性、焦電性、高誘
電率、キューリー温度相転位性など興味深い物性を有す
る強誘電体は、既にその特徴を生かして民生・産業の分
野での様々な応用が期待されている。なかでもPZT
(チタンジルコン酸鉛:Pb(Zry Ti1-y )O3
PLZT(チタンジルコン酸ランタン鉛:(Pb1-3x/2
Lax )(Zry Ti1-y )O3 )、PBZT(チタン
ジルコン酸バリウム鉛:(Pb1-x Bax )(Zry
1-y )O3 )等のいわゆるPZT系強誘電体は、 交番電界を印加したとき、良好な自発分極反転特性を
示す、電気機械結合定数が大きい、数1000にも
及ぶ比誘電率を実現できる、ドーピングによりキュー
リー温度を広い範囲で動かすことができる、等の特性的
魅力に加えて、安価な素材で構成されているという価
格的魅力を兼備している。このため、セラミック素材を
中心に早くから開発が進められ、色々なディスクリート
部品が商品として世に送り出されている。若干の数例を
挙げるならば、圧電式発火素子、大容量コンデンサ、超
音波発振子、感温素子(いわゆるサーミスタ)などが挙
げられよう。近年、PZT系強誘電体を薄膜化して、S
i半導体集積回路に搭載しようとする意欲的な試みが盛
んに行われるようになってきた。その最も活発な例はメ
モリセルの構成要素に強誘電体キャパシタを組み込んだ
FeRAM(強誘電体不揮発性ランダム・アクセス・メ
モリ)やDRAM(ダイナミック・ランダムアクセスメ
モリ)である。
【0003】CVD法は、化学的原料蒸気を所定の圧力
に維持した反応器に輸送し混合するとともに、反応器内
で所定の温度に保持した基板上で化学反応をさせること
によって薄膜を堆積する方法である。成膜が化学プロセ
スで進むので、成膜温度は比較的低く、これがこの成膜
法の魅力になっている。また、真空蒸着法やスパッタリ
ング蒸着法などのPVD法(物理的気相成長法)に比べ
て付着確率の小さい化学的蒸気を使用するため、集積回
路の微細な段差部や陥没部においても原料の回り込みが
良く、良好な被覆性を示すので、FeRAMやDRAM
用のPZT系強誘電体薄膜を形成するのに最も有力な成
膜手段と考えられている。
【0004】Pb系強誘電体薄膜を形成するための従来
のCVD法を、図4及び図5を用いて説明する。両図は
広く用いられているCVD装置の構成を示している。図
4において、1は反応器系であり、反応器系1には主要
部分を占めるコールドウォール型又はホットウォール型
の反応器10がある。反応器10は、基板11を支持し
所定の成膜温度に保持するサセプタ12と、使用する強
誘電体の原料となる化学的蒸気(以下、原料蒸気ともい
う)A、B、C…を導く原料蒸気導入口13と、生成ガ
スや未反応の原料蒸気の出口となる排気口14と、器内
の圧力を計測する圧力計15とを備えている。図中には
示してないが、反応器10には、基板11を器外に取り
出すための出し入れ口(あるいはロードロック機構)が
設けられている。3は排気系である。並列に配設された
1対の排気主バルブ20とスロー排気バルブ21を経由
してステンレス製の太い排気管23が反応器10の排気
口14と真空排気装置22を結んでいる。排気バルブ2
0、21と反応器10の排気口14との間には排気速度
調節器19が設けられている。スロー排気バルブ21
は、真空排気を開始した時に反応器10内で乱流が起き
るのを防ぐために、排気速度を強く抑制する機能を有し
ている。真空排気装置22から排出されたガス等は除害
装置(図示せず)で純化された後、大気に散出される。
2は供給系である。供給系2には、原料蒸気発生器2
a、2b、2c…が使用する原料蒸気の数だけ備えられ
ている。各原料蒸気発生器で発生した原料蒸気A、B、
C…は、原料蒸気輸送管17を介して輸送され、それぞ
れ専用の開通バルブ16a、16b、16c、…を経た
後合流し、反応器10の原料蒸気導入口13に導かれて
いる。図1のように原料蒸気A、B、C…は器外で合流
させずに、各別に専用の原料蒸気導入口から直接反応器
10に導入する構成にしてもよい。室温凝集性の原料蒸
気を用いる場合には、該当する原料蒸気が通過する輸送
管や開通バルブに加熱手段を付設して凝集温度以上に保
温する。
【0005】図5(a)は、ガス状原料(希釈ガスとし
て反応器に導入する不活性ガスも含む)に適用する原料
蒸気発生装置の一例を示している。24はガス原料を充
填した原料ボンベ、25は原料ボンベ24の出口圧力を
一定にする圧力調整器、26は質量流量調節器である。
原料ボンベ24の原料ガスは圧力調整器25で圧力を調
整された後、質量流量調節器26で所定の流量に調節さ
れて原料蒸気輸送管17に送出される。
【0006】図5(b)は、使用中、分解や変質を起こ
さない比較的安定な液体原料や固体原料に適用するバブ
ラ型原料蒸気発生装置の一例を示している。27はA
r、Hc、N2 などの不活性なキャリアガスを充填した
ガスボンベ、28はガスボンベ28の出口圧力を一定に
する圧力調整器、29は質量流量調節器、30は温度調
節機能を持つ原料容器である。原料容器30には、予め
充填口31から使用する原料が充填されている。32、
33は原料容器30のキャリアガス導入口32と原料蒸
気導出口33であり、それぞれバルブ34、35が設け
られている。ガスボンベ27のキャリアガスは圧力調整
器28で圧力調整された後、質量流量調節器29で所定
の流量に調節されてキャリアガス導入口32から原料容
器30に入り、バブリングによって原料容器30内に滞
留する原料蒸気を取り込み、原料蒸気導出口33から原
料蒸気輸送管17に送出される。
【0007】ここで、PZT(Pb(Zrx Ti1-x
3 )を形成する場合を例にして、具体的な原料系の一
例を挙げるならば、ディ・ビバロイル・メタナート鉛P
b(DPM)2 (=A原料)とジルコニウム・ターシャ
リ・プトキシドZr(O−t−C4 9 4 (=B原
料)、チタニウム・イソ・プロポキシドTi(O−i−
3 7 4 (=C原料)と酸素O2 (=D原料)から
なる系を挙げることができる。この場合、Pb(DP
M)2 とZr(O−t−C4 9 4 、Ti(O−i−
3 7 4 は図5(a)、酸素は図5(b)の原料蒸
気発生装置を使用する。なお、DPMはO2 1119
表される配位子である。
【0008】上記のような、CVD装置で基板11表面
に薄膜を成膜するには、十分に洗浄した基板11を所定
の温度(PZTの場合は650℃)に保持されたサセプ
タ12に載せ、全開通バルブ16a、16b、16c、
…を閉じ、排気主バルブ20あるいはスロー排気バルブ
21を適宜開けて反応器10内を一旦真空にする。続い
て開通バルブ16a、16b、16c、…を開口して原
料蒸気A、B、C、…を反応器10に同時に導入すると
ともに排気速度調節器19を作動させ一定の圧力に維持
し、成膜を行う。なお、各原料蒸気の排気速度(=流
量)は、析出した強誘電体薄膜の組成が定められた化学
量論組成(PATの場合、原子組成比Pb:Zr:T
i:O=1:y:(1−y):3)になるように予め設
定されいる。所望の膜厚を与える時間が経過したところ
で、開通バルブ16a、16b、16c、…を閉じ、原
料蒸気の供給を断つとともに排気速度調節器19の作動
を停止し、排気主バルブ20を開口して反応器10を再
び真空にする。この後、反応器10に大気あるいは不活
性ガスを導入して内部を大気圧にした後、基板11を反
応器10から取り出す。こうして成膜が終了する。
【0009】しかしながら、このような方法で作成され
たPb系強誘電体薄膜は、結晶性が悪く、誘電率が低
い。結晶粒径が過度に成長し過ぎ、かつ、ばらつくた
めキャパシタの特性が不均一である。PZTの場合、
リーク特性を抑制できるZrリッチ組成にしようとする
と、酸化ジルコニウムZrO2 が偏析し、ペロブスカイ
ト単一相にならない等の問題があった。
【0010】この問題を解決するために、特開平6−8
9986号公報及び1992年秋季・第53回応用物理
学会学術講演会予稿集361ページ中段において、CV
Dの初期の核発生を抑制する巧妙な方法(以下、これを
「従来例」と称する)が提案されている。この方法は、
所定の供給速度に調節されたPb原料蒸気とZr原料蒸
気、Ti原料蒸気を上記通常のCVD法のように一斉に
供給して成膜を開始するのではなく、図6の原料蒸気導
入のシーケンスに示すように、堆積初期の30秒間はP
bとTiの原料蒸気を同時に反応器に導入し、続いてZ
r原料蒸気を導入して合流させ成膜を行う改良型CVD
法である。成膜初期の一定期間(=30秒間)は一部の
構成元素(=PbとTi)の酸化物からなる「前置層」
を形成し、その後、Zr原料蒸気を加えて「主層(=P
ZT層)」を形成するようにしている。加えて、この従
来方法は、従来のCVD装置をさしたる変更をせずに、
実現できるところが優れている。
【0011】この従来方法の採用により、前記通常のC
VD法で得られたPZT膜に比べて、結晶性と誘電率は
格段に向上し、結晶粒径が小さく、かつ揃い、Zrリッ
チ組成においてもペロブスカイト単一相がリーク特性が
軽減したと報告されている。これら諸特性の改善は他の
研究開発機関で追試され、その有効性が広く認められて
いる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
CVD法によるPZT系強誘電体膜の形成方法にあって
は、主層に先立って形成される前置層は、主層の形成に
必要な原料蒸気種の一部を所定の時間(30秒間)、主
層の供給速度と同じ速度で反応器に供給し、混合酸化物
を形成させる構成になっていた。例えば、PZT=Pb
(Zry Ti1-y)O3 強誘電体膜を形成する場合、P
bOとZrO2 とTiO2 の析出速度がPZTの化学量
論組成1:y:(1−y)に等しくなるようなPb原料
蒸気及びZr原料蒸気、Ti原料蒸気の供給速度(具体
的にはキャリアガス流量)を事前に定めておいて、成膜
開始後の最初の30秒はPb原料蒸気とTi原料蒸気の
みを供給して前置層を形成しようとするものである。し
かし、このようにして形成された薄い前置層の組成は、
PbTi1-y 3-2yとなり、強誘電性を呈するPbTi
3 と常誘電性を呈するPbOが(1−y):yの割合
でモザイク状に混じり合った混晶となる。周知のように
PbOは比誘電率が20未満の極めてリーク性の高い酸
化物である。このような常誘電性酸化物を含む前置層の
上に比較的薄い主層が形成されると、強誘電体全体の誘
電率は著しく低下するとともにPbOモザイクの直上の
PZT主層は過剰PbOの影響を受けて劣化し、リーク
電流が無視できないものとなる。このため、超集積Fe
RAMやDRAMのキャパシタで求められる薄い強誘電
体膜(例えば150nm以下)を、上記従来例を適用し
て得ようとすると、(イ)誘電率が著しく低下する、
(ロ)リーク電流が増大する、という問題が起こり、こ
れらの問題を解消する新しい技術の登場が強く求められ
ていた。
【0013】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、前置層をペロブスカイト単一相の
結晶構造からなる強誘電体層として、強誘電体膜全体の
厚さを例えば150nm以下程度に薄くしても、常誘電
性酸化物の原因で起こる誘電率の低下及びリーク電流の
増大を防止することができる強誘電体薄膜の構造及びそ
の化学的気相成長法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の強誘電体薄膜の構造は、少なくとも
Zr元素を含まない前置層と、前記Zr元素を含み前記
前置層よりも厚い主層とを、化学的気相成長法を用いて
形成したチタンジルコン酸鉛(PZT)系の強誘電体薄
膜の構造において、前記前置層の組成が、前記主層と同
型のペロブスカイト型強誘電体の化学量論組成に等しい
ことを要旨とする。この構成により、前置層には、比誘
電率が低くリーク性の高いPbO等の常誘電性酸化物を
含むことがなくなる。
【0015】請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、少なくともZr原料蒸気を除く特定の原料蒸
気のみを供給して前置層を形成した後、全原料蒸気を同
時に供給して前記前置層の上にこの前置層よりも厚い主
層を形成するチタンジルコン酸鉛(PZT)系強誘電体
薄膜の化学的気相成長法において、前記前置層の形成期
間に析出する各構成元素の累積モル数の比が前記前置層
を強誘電体たらしめるに必要な化学量論組成の比に等し
くなるように調節されていることを要旨とする。この構
成により、前置層は、ペロブスカイト単一相の結晶構造
からなる強誘電体層となり、比誘電率が低くリーク性の
高いPbO等の常誘電性酸化物は含まれることがない。
【0016】請求項3記載の強誘電体薄膜の構造は、上
記請求項1記載の強誘電体薄膜の構造において、前記前
置層がペロブスカイト型強誘電体PbTiO3 、(Pb
1-xBax )TiO3 又は(Pb1-3x/2Lax )TiO
3 の何れかであり、前記主層がペロブスカイト型強誘電
体Pb(Zry Ti1-y )O3 、(Pb1-x Bax
(Zry Ti1-y )O3 又は(Pb1-3x/2Lax )(Z
y Ti1-y )O3 の何れかであることを要旨とする。
この構成により、前置層は、この層に期待されるペロブ
スカイト型強誘電体膜の化学量論組成を持つPbTiO
3 (チタン酸鉛)で構成され、比誘電率が低くリーク性
の高いPbO等の常誘電性酸化物を含むことがない。こ
の前置層は、主層の含有元素から選ばれた元素で構成さ
れるのが生産性等の観点から望まれるが、主層と異なる
元素を含むように構成することも可能であり、例えば、
主層がPb(Zry Ti1-y )O3 (PZT)の場合、
前置層は(Pb1-3x/2Lax )TiO3 (チタン酸ラン
タン鉛)を選んでも、強誘電体薄膜の構造が実現され
る。
【0017】請求項4記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法において、前記主層の形成期間に使用される全
原料蒸気のうち前記前置層の形成期間に使用される各原
料蒸気と同じ原料蒸気は、前記前置層と前記主層の両形
成期間において供給速度が等しく設定されていることを
要旨とする。この構成により、強誘電体薄膜は、製造容
易性等の観点から、前置層の含有元素は主層の含有元素
から選ばれた元素で構成されることが多い。この場合、
前置層の形成期間と主層の形成期間において同じ原料蒸
気は供給速度を等しく設定し、前置層の形成期間には、
各原料蒸気の供給時間を適宜に調節して、各原料蒸気間
の供給速度と供給時間の積の比を強誘電体たらしめるに
必要な化学量論組成の比に等しくすることで、化学量論
組成のペロブスカイト型強誘電体からなる前置層が得ら
れる。
【0018】請求項5記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法において、前記前置層はPbTiO3 、前記主
層はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であっ
て、前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原
料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O
2 =1:(1−y):3として、まず前記Ti原料蒸気
とO2 原料蒸気を供給し、この供給開始から所定時間経
過した時点でこれに前記Pb原料蒸気を加えて前記T
i、O2 及びPbの各原料蒸気の供給をさらに他の所定
時間続行させて前記前置層を形成し、前記主層の形成期
間には、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及
びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2
=1:y:(1−y):3として、これらPb、Zr、
Ti及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給
して前記主層を形成することを要旨とする。この構成に
より、前置層の形成期間に析出するPbOとTiO2
累積モル数の比は、各原料蒸気の供給速度と供給時間の
積に比例するから、Pb原料蒸気の供給時間をt2 、T
iとO2 の原料蒸気の供給時間をt1 (=t2 /(1−
y))とすると、PbO:TiO2 =1×t2 :(1−
y)×t1 =1:1の式が成り立つ。このPbOとTi
2 の累積モル数の比=1:1は、PbTiO3 の化学
量論組成に等しい。成膜温度は650℃程度の高温に保
持されるので、シーケンシャルに析出したPbOとTi
2 の原料酸化物は容易に固相反応して再結晶化する。
この結果、前置層の形成期間には、化学量論組成のペロ
ブスカイト型強誘電体PbTiO3が得られる。
【0019】請求項6記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法において、前記前置層はPbTiO3 、前記主
層はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であっ
て、前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原
料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O
2 =1:(1−y):3として、まず前記Pb原料蒸気
とO2 原料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止
し、続いて前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定
時間供給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間
には、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及び
2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2
1:y:(1−y):3として、これらPb、Zr、T
i及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給し
て前記主層を形成することを要旨とする。この構成によ
り、前置層の形成期間において、PbとO2 の原料蒸気
を供給する所定時間をt2 、TiとO2 の原料蒸気を供
給する他の所定時間をt1 とすると、PbとO2 及びT
iとO2 の各原料蒸気の供給速度と供給時間は、上記請
求項5記載の発明と同じになる。したがって、上記と同
様に、前置層の形成期間には、化学量論組成のペロブス
カイト型強誘電体PbTiO3 が得られる。
【0020】請求項7記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法において、前記前置層はPbTiO3 、前記主
層はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であっ
て、前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原
料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O
2 =1:(1−y):3として、まず前記Ti原料蒸気
とO2 原料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止
し、続いて前記Pb原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定
時間供給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間
には、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及び
2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2
1:y:(1−y):3として、これらPb、Zr、T
i及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給し
て前記主層を形成することを要旨とする。この構成によ
り、前置層の形成期間において、PbとO2 の原料蒸気
の供給と、TiとO2 の原料蒸気の供給との順序が、上
記請求項6記載の発明と逆になるだけで、PbとO2
びTiとO2 の各原料蒸気の供給速度の供給時間は、上
記請求項6記載の発明と同じになる。したがって、上記
と同様に、前置層の形成期間には、化学量論組成のペロ
ブスカイト型強誘電体PbTiO3 が得られる。
【0021】請求項8記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法において、前記前置層はPbTiO3 、前記主
層はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であっ
て、前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原
料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O
2 =1:1:3として、これらのPb、Ti及びO2
各原料蒸気を所定時間供給して前記前置層を形成し、前
記主層の形成期間には、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、
Ti原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Z
r:Ti:O2 =1:y:(1−y):3として、これ
らPb、Zr、Ti及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚
となる時間供給して前記主層を形成することを要旨とす
る。この構成により、前置層の形成期間において、P
b、Ti及びO3 の各原料蒸気の供給速度と供給時間の
積は、1:1:3となり、化学量論組成のペロブスカイ
ト型強誘電体PbTiO3 が得られる。
【0022】請求項9記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法において、前記前置層は(Pb1-3x/2Lax
TiO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry
1-y )O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形
成期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:
2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、
まず前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を供給し、この供
給開始から所定時間経過した時点でこれに前記Pb原料
蒸気及びLa原料蒸気を加えて前記Ti、O2 、Pb及
びLaの各原料蒸気の供給をさらに他の所定時間続行さ
せて前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、P
b原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Zr:
Ti:O2 =(1−3x/2):x:y:(1−y):
3として、これらPb、La、Zr、Ti及びO2 の全
原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前記主層を形
成することを要旨とする。この構成により、前置層の形
成期間に析出するPb原子、La原子及びTi原子の累
積モル数の比は、各原料蒸気の供給速度と供給時間の積
に比例するから、PbとLaの原料蒸気の供給時間をt
4 、TiとO2 の原料蒸気の供給時間をt3 (=t4
(1−y))とすると、Pb:La:Ti=(1−3x
/2)×t4 :x×t4 :(1−y)×t3 =(1−3
x/2):x:1の式が成り立つ。この累積モル数の比
=(1−3x/2):x:1は、(Pb1-3x/2Lax
TiO3 の化学量論組成に等しい。成膜温度は650℃
程度の高温に保持されるので、シーケンシャルに析出し
たPb、La及びTiの原料酸化物は容易に固相反応し
て再結晶化する。この結果、前置層の形成期間には、化
学量論組成のペロブスカイト型強誘電体(Pb1- 3x/2
x )TiO3 が得られる。
【0023】請求項10記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的
気相成長法において、前記前置層は(Pb1-3x/2
x )TiO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Z
y Ti1-y )O3 (=PLZT)であって、前記前置
層の形成期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti
原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:
Ti:O2 =(1−3x/2):x:(1−y):3と
して、まず前記Pb原料蒸気、La原料蒸気及びO2
料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止し、続いて
前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供給し
て前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、Pb
原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気
及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Zr:T
i:O2 =(1−3x/2):x:y:(1−y):3
として、これらPb、La、Zr、Ti及びO2 の全原
料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前記主層を形成
することを要旨とする。この構成により、前置層の形成
期間において、Pb、La及びO2 の各原料蒸気を供給
する所定時間をt4 、TiとO2 の原料蒸気を供給する
他の所定時間をt3 とすると、Pb、La及びO2 と、
Ti及びO2 との各原料蒸気の供給速度と供給時間は、
上記請求項9記載の発明と同じになる。したがって、上
記と同様に、前置層の形成期間には、化学量論組成のペ
ロブスカイト型強誘電体(Pb1-3x/2Lax )TiO3
が得られる。
【0024】請求項11記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法は、上記請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的
気相成長法において、前記前置層は(Pb1-3x/2
x )TiO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Z
y Ti1-y )O3 (=PLZT)であって、前記前置
層の形成期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti
原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:
Ti:O2 =(1−3x/2):x:(1−y):3と
して、まず前記Pb原料蒸気とO2 原料蒸気を所定時間
供給した後その供給を停止し、続いて前記Ti原料蒸気
とO2 原料蒸気を他の所定時間供給した後その供給を停
止し、さらに続いて前記La原料蒸気とO2原料蒸気を
前記所定時間供給して前記前置層を形成し、前記主層の
形成期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料
蒸気、Ti原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をP
b:La:Zr:Ti:O2 =(1−3x/2):x:
y:(1−y):3として、これらPb、La、Zr、
Ti及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給
して前記主層を形成することを要旨とする。この構成に
より、前置層の形成期間において、LaとO2 の原料蒸
気の供給順序が、TiとO2 の原料蒸気の供給の後にな
るだけで、Pb、La及びTiの各原料蒸気の供給速度
と供給時間は、上記請求項10記載の発明と同じにな
る。したがって、上記と同様に、前置層の形成期間に
は、化学量論組成のペロブスカイト型強誘電体(Pb
1-3x/2Lax )TiO3 が得られる。
【0025】
【発明の効果】請求項1記載の強誘電体薄膜の構造によ
れば、前置層の組成が、主層と同型のペロブスカイト型
強誘電体の化学量論組成に等しいため、前置層には比誘
電率の低いPbO等の常誘電性酸化物を含むことがなく
なって、前置層の上に薄い主層を積層して強誘電体膜全
体の厚さを例えば150nm以下程度に薄く形成して
も、強誘電体薄膜全体の誘電率の低下を防止することが
できる。また主層が常誘電性酸化物の影響で劣化するこ
とがなく、リーク電流の増大を防止することができる。
【0026】請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前置層の形成期間に析出する各構成元
素の累積モル数の比が前記前置層を強誘電体たらしめる
に必要な化学量論組成の比に等しくなるように調節され
ているため、前置層は、ペロブスカイト単一相の結晶構
造からなる強誘電体層となって、比誘電率の低いPbO
等の常誘電性酸化物を含むことがなくなる。したがっ
て、前置層の上に薄い主層を積層して強誘電体膜全体の
厚さを例えば150nm以下程度に薄くしても、常誘電
性酸化物の原因で起こる誘電率の低下及びリーク電流の
増大を防止することができる強誘電体薄膜を気相成長さ
せることができる。
【0027】請求項3記載の強誘電体薄膜の構造によれ
ば、前記前置層がペロブスカイト型強誘電体PbTiO
3 、(Pb1-x Bax )TiO3 又は(Pb1-3x/2La
x )TiO3 の何れかであり、前記主層がペロブスカイ
ト型強誘電体Pb(Zry Ti1-y )O3 、(Pb1-x
Bax )(Zry Ti1-y )O3 又は(Pb1-3x/2La
x )(Zry Ti1-y )O3 の何れかとしたため、前置
層は、この層に期待されるペロブスカイト型強誘電体膜
の化学量論組成を持ち、比誘電率が低くリーク性の高い
PbO等の常誘電性酸化物を含むことがないので、前置
層の上に、薄いPZT等の主層を積層して強誘電体膜全
体の厚さを例えば150nm以下程度に薄く形成して
も、強誘電体薄膜全体の誘電率の低下及びリーク電流の
増大を防止することができる。
【0028】請求項4記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前記主層の形成期間に使用される全原
料蒸気のうち前記前置層の形成期間に使用される各原料
蒸気と同じ原料蒸気については、前記前置層と前記主層
の両形成期間において供給速度が等しく設定されている
ため、前置層の形成期間には、各原料蒸気の供給時間を
適宜に調節して、各原料蒸気間の供給速度と供給時間の
積の比を強誘電体たらしめるに必要な化学量論組成の比
に等しくすることで、化学量論組成のペロブスカイト型
強誘電体からなる前置層を容易に気相成長させることが
できる。
【0029】請求項5記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前記前置層はPbTiO3 、前記主層
はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であって、
前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
1:(1−y):3として、まず前記Ti原料蒸気とO
2 原料蒸気を供給し、この供給開始から所定時間経過し
た時点でこれに前記Pb原料蒸気を加えて前記Ti、O
2 及びPbの各原料蒸気の供給をさらに他の所定時間続
行させて前記前置層を形成し、前記主層の形成期間に
は、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO
2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2
1:y:(1−y):3として、これらPb、Zr、T
i及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給し
て前記主層を形成するようにしたため、前置層は、化学
量論組成のペロブスカイト型強誘電体PbTiO3 とな
るので、この前置層の上に薄いPb(Zry Ti1-y
3 主層を積層して強誘電体膜全体の厚さを例えば15
0nm以下程度に薄くしても、常誘電性酸化物の原因で
起こる誘電率の低下及びリーク電流の増大を防止するこ
とができる強誘電体薄膜を気相成長させることができ
る。
【0030】請求項6記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前記前置層はPbTiO3 、前記主層
はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であって、
前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
1:(1−y):3として、まず前記Pb原料蒸気とO
2 原料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止し、続
いて前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供
給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、
Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO2
料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2 =1:
y:(1−y):3として、これらPb、Zr、Ti及
びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前
記主層を形成するようにしたため、前置層は、化学量論
組成のペロブスカイト型強誘電体PbTiO3 となるの
で、上記請求項5記載の発明と同様の効果がある。
【0031】請求項7記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前記前置層はPbTiO3 、前記主層
はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であって、
前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
1:(1−y):3として、まず前記Ti原料蒸気とO
2 原料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止し、続
いて前記Pb原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供
給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、
Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO2
料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2 =1:
y:(1−y):3として、これらPb、Zr、Ti及
びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前
記主層を形成するようにしたため、前置層は、化学量論
組成のペロブスカイト型強誘電体PbTiO3 となるの
で、上記請求項5記載の発明と同様の効果がある。
【0032】請求項8記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前記前置層はPbTiO3 、前記主層
はPb(Zry Ti1-y )O3 (=PZT)であって、
前記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
1:1:3として、これらのPb、Ti及びO2 の各原
料蒸気を所定時間供給して前記前置層を形成し、前記主
層の形成期間には、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti
原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:
Ti:O2 =1:y:(1−y):3として、これらP
b、Zr、Ti及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚とな
る時間供給して前記主層を形成するようにしたため、前
置層は、化学量論組成のペロブスカイト型強誘電体Pb
TiO3となるので、上記請求項5記載の発明と同様の
効果がある。
【0033】請求項9記載の強誘電体薄膜の化学的気相
成長法によれば、前記前置層は(Pb1-3x/2Lax )T
iO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry Ti
1-y)O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形成
期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸気
及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:O
2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、ま
ず前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を供給し、この供給
開始から所定時間経過した時点でこれに前記Pb原料蒸
気及びLa原料蒸気を加えて前記Ti、O2 、Pb及び
Laの各原料蒸気の供給をさらに他の所定時間続行させ
て前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、Pb
原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気
及びO2原料蒸気の供給速度比をPb:La:Zr:T
i:O2 =(1−3x/2):x:y:(1−y):3
として、これらPb、La、Zr、Ti及びO2 の全原
料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前記主層を形成
するようにしたため、前置層は、化学量論組成のペロブ
スカイト型強誘電体(Pb1-3x/2Lax )TiO3とな
るので、この前置層の上に薄い(Pb1-3x/2Lax
(Zry Ti1-y )O3 主層を積層して強誘電体膜全体
の厚さを例えば150nm以下程度に薄くしても、常誘
電性酸化物の原因で起こる誘電率の低下及びリーク電流
の増大を防止することができる強誘電体薄膜を気相成長
させることができる。
【0034】請求項10記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法によれば、前記前置層は(Pb1-3x/2Lax
TiO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry
1- y )O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形
成期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:
2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、
まず前記Pb原料蒸気、La原料蒸気及びO2 原料蒸気
を所定時間供給した後その供給を停止し、続いて前記T
i原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供給して前記
前置層を形成し、前記主層の形成期間には、Pb原料蒸
気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO
2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Zr:Ti:O
2 =(1−3x/2):x:y:(1−y):3とし
て、これらPb、La、Zr、Ti及びO2 の全原料蒸
気を所望の膜厚となる時間供給して前記主層を形成する
ようにしたため、前置層は、化学量論組成のペロブスカ
イト型強誘電体(Pb1-3x/2Lax )TiO3 となるの
で、上記請求項9記載の発明と同様の効果がある。
【0035】請求項11記載の強誘電体薄膜の化学的気
相成長法によれば、前記前置層は(Pb1-3x/2Lax
TiO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry
1- y )O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形
成期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸
気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:
2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、
まず前記Pb原料蒸気とO2 原料蒸気を所定時間供給し
た後その供給を停止し、続いて前記Ti原料蒸気とO2
原料蒸気を他の所定時間供給した後その供給を停止し、
さらに続いて前記La原料蒸気とO2 原料蒸気を前記所
定時間供給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期
間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、
Ti原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:L
a:Zr:Ti:O2 =(1−3x/2):x:y:
(1−y):3として、これらPb、La、Zr、Ti
及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して
前記主層を形成するようにしたため、前置層は、化学量
論組成のペロブスカイト型強誘電体(Pb1-3x/2
x )TiO3 となるので、上記請求項9記載の発明と
同様の効果がある。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
乃至図3に基づいて説明する。図1は強誘電体薄膜の構
造を示す図、図2は実施例1〜4における原料蒸気の導
入シーケンスを示す図、図3は実施例5〜7における原
料蒸気の導入シーケンスを示す図である。なお、本実施
の形態で使用するCVD装置は、前記図4、図5で説明
した従来のCVD装置と変わるところがないので(ここ
が本発明の優れた利点でもある)、CVD装置について
は前記図4、図5を援用して、説明を省略する。
【0037】まず、図1を用いて、本実施の形態である
PZT系強誘電体薄膜の基本構造を説明する。同図にお
いて、11は薄膜を形成するための基板であり、強誘電
体薄膜を用いてキャパシタを形成する場合には、その表
面にPtやIr等の金属電極が形成されている。基板1
1上には、後述のCVD法で成膜されたPZT系強誘電
体薄膜の構造が形成されている。強誘電体薄膜構造52
は、構成元素にZrを含まない強誘電体膜からなる薄い
前置層53と、所望のPZT系強誘電体膜からなる厚い
主層54とから構成される積層構造である。前置層53
の組成は、この層に期待される強誘電体膜の化学量論組
成に等しく、この層には常誘電相や導電相を呈するモザ
イクマトリクスは一切含まない。ここで前置層53の例
を2、3挙げるならば、主層54がPZT(チタンジル
コン酸鉛)の場合には前置層53は強誘電体PbTiO
3 (チタン酸鉛)、主層54がPLZT(チタンジルコ
ン酸ランタン鉛)の場合には前置層53は強誘電体Pb
TiO3 又はPb1-3x/2Lax TiO3 (チタン酸ラン
タン鉛)、主層54がPBZT(チタンジルコン酸バリ
ウム鉛)の場合には前置層53は(Pb1-x Bax )T
iO3 (チタン酸バリウム鉛)などである。このよう
に、前置層53の含有元素は主層54の含有元素から選
ばれた元素で構成されるのが製造価格や生産性の観点か
ら望ましいが、前置層53に主層54と異なる元素を含
むように構成することもできる。一例を挙げるならば、
主層54がPZTのときにLaを含むPb1-3x/2Lax
TiO3を前置層53にする場合などである。次に、こ
のようなPZT系強誘電体薄膜の構造を、CVD法で形
成する各実施例を具体的に説明する。
【0038】[実施例1]実施例1を、図2(a)を用
いて説明する。本実施例は、良好な特性のPZT膜=P
b(Zry Ti1-y )O3 膜を形成する例である。前置
層53は強誘電体PbTiO3 膜、主層54はPZT膜
である。
【0039】使用する原料は、前出のPb(DPM)2
(=A原料)とZr(O−t−C49 4 (=C原
料)、Ti(O−i−C3 7 4 (=D原料)とO2
(=E原料)である。Pb(DPM)2 とZr(O−t
−C4 9 4 、Ti(O−i−C3 7 4 は前記図
5(a)、O2 は前記図5(b)の原料蒸気発生装置を
使用する。各原料蒸気の供給速度(=流量)は、析出し
た強誘電体薄膜の組成が定められた化学量論組成(PZ
Tの場合、原子組成比Pb:Zr:Ti:O=1:y:
(1−y):3)になるように予め設定されている。な
お、ここで用いた原料系は、あくまで一例であって、他
の原料を用いることもできる。
【0040】まず、十分に洗浄した基板11を所定の温
度(PZTの場合は650℃)に保持したサセプタ12
に載せ、全開通バルブ16a、16b、16c、…を閉
じ、スロー排気バルブ21を開け、しばらくして排気主
バルブ20を開口し、スロー排気バルブ21を閉口し
て、反応器10内を一旦真空にする。ここまでの工程を
以降、「成膜前工程」と呼ぶ。続いて開通バルブ16d
と16eを開口して原料蒸気Ti(O−i−C3 7
4 とO2 を反応器10に導入すると同時に排気速度調節
器19を作動させ一定の圧力に維持し、前置層53の成
膜を開始する。開通バルブ16dと16eを開口してか
ら所定時間経過したところで、今度はさらに開通バルブ
16aを開口して原料蒸気Pb(DPM)2 を反応器1
0に導入する。開通バルブ16aを開口してから時間t
2 を経過したところで前置層53の形成が終了する。前
置層形成期間において原料蒸気Ti(O−i−C
3 7 4を供給している時間(=開通バルブ16dが
開口している時間)をt1 とすると、t1 は、Pb(D
PM)2 を供給している時間t2 とPZTのZrの組成
比を表す変数yを用いて、次式 t1 =t2 /(1−y) …(1) で決定される。
【0041】続く主層54の形成は、開通バルブ16c
を開け、反応器10に原料蒸気Zr(O−t−C
4 9 4 を導入することによって連続的に開始する。
前置層形成期間ですでに開通バルブ16a、16d、1
6eが開口しているので、主層54の成膜期間は、これ
で全ての原料蒸気が同時に供給され、設定した組成比の
PZTが成膜される。ここまでの工程を以降、「成膜本
工程」と呼ぶ。図2(a)は、成膜本工程の各原料蒸気
の導入シーケンスを模式図的に示したものである。但
し、O2 に関するパターンは省略してある。
【0042】所望の膜厚を与える時間が経過したところ
で、成膜本工程を終え、次の「成膜後工程」を行う。即
ち、成膜工程で開口していた開通バルブ16a、16
c、16d、16eを閉じ原料蒸気の供給を断つととも
に排気速度調節器19の作動を停止し、排気主バルブ2
0を開口して反応器10を再び真空にする。このあと反
応器10に大気あるいは不活性ガスを導入して内部を大
気圧にした後、基板11を反応器10から取り出す。こ
うして成膜を終了する。
【0043】次に、本実施例の効果を説明する。前置層
形成期間に基板11に析出するPbOとTiO2 の累積
モル比(あるいは累積組成比)は各原料蒸気の供給速度
と供給時間の積の比に等しいから、これを計算すると、 PbO:TiO2 =1×t2 :(1−y)×t1 これに式(1)の関係を代入すると、 =1:1 …(2) となり、これはPbTiO3 の化学量論組成に等しいこ
とが理解される。成膜温度は上述のように650℃とい
う十分に高い温度に保持されているので、シーケンシャ
ルに析出した原料酸化物は容易に固相反応し再結晶化す
るから、結果として化学量論組成の強誘電体PbTiO
3 が得られる。このような前置強誘電体層の上に形成さ
れた総膜厚120nmのPZT膜構造をX線ディフラク
ション法で評価してみると、ZrO2 の偏析は観察され
ず結晶構造はペロブスカイト単一相であることがわかっ
た。また、電子顕微鏡観察した表面形態は、100nm
程度の粒子が密集した構造になっていることが判明し
た。このように本実施例の成膜方法に基づくPZT薄膜
構造の結晶性並びに表面形態は従来例と比較して何ら遜
色のないものである。
【0044】
【表1】 表1は、従来例で成膜されたPZT強誘電体薄膜構造と
本実施例で成膜されたPZT強誘電体薄膜構造をそれぞ
れPt電極で挟持したキャパシタの電気特性を比較した
ものである。前置層を含めた強誘電体膜構造の総膜厚は
上と同様120nmである(なお、同表には後述の他の
実施例のデータも記載されている。何れも膜厚120n
m)。εは正弦波1kHzにおける比誘電率、Jは上部
Pt電極に100kV/cmの直流電界を印加したとき
のリーク電流密度である。本実施例の成膜法は従来例に
比べて3.5倍の比誘電率の向上を図ることができる。
また、リーク電流特性においては、4桁以上の軽減を達
成することができる。この結果から明白なように本実施
例の成膜法は従来技術の問題点である150nm以下の
薄いPZT系強誘電体膜を形成しようとすると誘電率が
著しく低下する、リーク電流が増大する、という2つの
問題を解決している。
【0045】[実施例2]実施例2を、図2(b)を用
いて説明する。上述の実施例1においては、前置層形成
期間の原料蒸気供給シーケンスは、Ti原料蒸気の供給
期間にPb原料蒸気の供給期間が重畳するように構成し
ていたが、これは本発明においては必ずしも必要な条件
ではなく、図2(b)に示すように、Pb原料蒸気をt
1 時間供給してから一旦停止し、続いて、Ti原料蒸気
をt2 (=t1 /(1−y))時間供給して前置層を形
成し、その後、全原料蒸気を供給して主層を積層し、P
ZT強誘電体薄膜構造を構成するようにしてもよい。
【0046】実施例1と同じ成膜前工程を行ったあと、
このような供給シーケンスを行うには、実施例1の成膜
本工程を次のように変更する。まず開通バルブ16aと
16eを開口して原料蒸気Pb(DPM)2 とO2 を反
応器10に導入すると同時に排気速度調節器19を作動
させ一定の圧力に維持し、前置層53の成膜を開始す
る。与えられた時間t1 が経過したところで開通バルブ
16aを閉じ原料蒸気Pb(DPM)2 を遮断すると同
時に開通バルブ16dを開口して原料蒸気Ti(O−i
−C3 7 4 を反応器10に導入する。開通バルブ1
6dを開口してから時間t2 を経過したところで前置層
53の形成を終え、直ちに次の主層54の形成に移行す
る。この場合も、t1 とt2 は実施例1と同様、式
(1)によって一意の関係で結ばれている。主層54の
形成開始は開通バルブ16aを再び開け、開通バルブ1
6cを開けることで始まり、この操作でZr(O−t−
4 94 を含む全ての原料蒸気が同時に反応器10
に供給され、設定した組成比のPZT主層54が成膜さ
れる。所望の膜厚を与える時間が経過したところで、成
膜本工程を終え、実施例1で説明した成膜後工程を行
う。前置層形成期間のPb原料蒸気とTi原料蒸気の供
給速度と供給時間は実施例1と全く同様であるから、実
施例1と全く同様の理由で本実施例の前置層53も化学
量論組成の強誘電体PbTiO3 が得られる。
【0047】本実施例で得られた総膜厚120nmのP
ZT膜構造をX線ディフラクション法で評価してみる
と、ZrO2 の偏析はなくペロブスカイト単一結晶相で
あった。また、表面形態は実施例1と同様、100nm
程度の粒子が密集した構造になっていることが判明し
た。PZT薄膜構造の結晶性並びに表面形態は従来例と
比較して何ら遜色のないものである。総膜厚120nm
のPZT薄膜構造でキャパシタを構成して、比誘電率ε
とリーク電流密度Jを評価(条件は実施例1と同じ)し
たところ、前記表1に示したように、従来例に比べて比
誘電率は3.8倍に向上し、リーク電流密度は、4桁以
上の軽減をすることが確認された。このように、本実施
例の成膜法もまた従来技術の問題点であったPZT薄膜
構造の膜厚150nm以下になると誘電率が著しく低下
する、リーク電流が著しく増大する、という2つの問題
を解決していると言える。
【0048】[実施例3]実施例3を、図2(c)を用
いて説明する。上述した実施例2と逆に、図2(c)に
示すように、Ti原料蒸気をt2 (=t1 /(1−
y))時間供給してから一旦停止し、続いて、Pb原料
蒸気をt1 時間供給し前置層を形成した後、全原料蒸気
を供給して主層を形成し、PZT強誘電体薄膜構造を構
成するようにしてもよい。
【0049】このような供給シーケンスを行うには、実
施例1と同じ成膜前工程を行ったあと、実施例1の成膜
本工程を次のように変更する。まず開通バルブ16dと
16eを開口して原料蒸気Ti(O−i−C3 7 4
とO2 を反応器10に導入すると同時に排気速度調節器
19を作動させ一定の圧力に維持し、前置層53の成膜
を開始する。与えられた時間t2 が経過したところで開
通バルブ16dを閉じ原料蒸気Ti(O−i−C
3 7 4 を遮断すると同時に開通バルブ16aを開口
して原料蒸気Pb(DPM)2 を反応器10に導入す
る。開通バルブ16aを開口してから時間t1 を経過し
たところで前置層53の形成を終え、次の主層54の形
成に移行する。t1 とt2 は実施例1と同様、式(1)
によって一意の関係で結ばれている。主層54の形成開
始は開通バルブ16aを再び開け、開通バルブ16cを
開けることで始まる。この操作でZr(O−t−C4
9 4 を含む全ての原料蒸気が同時に反応器10に供給
され、設定した組成比のPZT主層54が成膜される。
所望の膜厚を与える時間が経過したところで、成膜本工
程を終え、実施例1で説明した成膜後工程を行う。前置
層形成期間のPb原料蒸気とTi原料蒸気の供給速度と
供給時間は実施例1と全く同様であるから、実施例1と
全く同様の理由で本実施例の前置層53も化学量論組成
の強誘電体PbTiO3 が得られる。
【0050】得られた総膜厚120nmのPZT膜構造
は、ZrO2 の偏析はなくペロブスカイト単一結晶相で
あった。結晶性並びに表面形態は従来例と比較して何ら
遜色のないものであった。総膜厚120nmのPZT薄
膜構造でキャパシタを構成して、比誘電率εとリーク電
流密度Jを評価(条件は実施例1と同じ)したところ、
前記表1に示したように、従来例に比べて比誘電率は
3.0倍に向上し、リーク電流密度は、3桁以上の軽減
をすることが確認された。このように、本実施例の成膜
法もまた従来技術の問題点であったPZT薄膜構造の膜
厚150nm以下になると誘電率が著しく低下する、リ
ーク電流が著しく増大する、という2つの問題を解決し
ていると言える。
【0051】[実施例4]実施例4を、図2(d)を用
いて説明する。本実施例は、前記実施例1〜3のように
各原料蒸気の供給時間を調整するのではなく、供給量を
調節することによって、主層54と同一結晶系を持つ化
学量論組成のPZT系強誘電体前置層53を形成する例
である。本実施例においてもPZT膜=Pb(Zry
1-y )O3 膜を形成する例を用いて具体的に説明す
る。前置層53は強誘電体PbTiO3 膜、主層54は
PZT膜である。
【0052】使用する原料蒸気とCVD装置は、前記実
施例1〜3と同じなので説明を省略する。但し、各原料
蒸気の供給速度(=流量)は成膜期間を通して一定では
なく、前置層形成期間はPbとTiとOの析出速度が
1:1:3になるように、また、主層形成期間は各元素
の析出速度がPZTの化学量論組成Pb:Zr:Ti:
O=1:y:(1−y):3になるように設定される。
このような設定を最も簡単に実現する方法は、PbとT
iとOの各元素の析出速度が前置層形成期間と主層形成
期間を通して一定で、かつ、その比がPb:Zr:O=
1:y:3になるように調節しておき、Tiの供給速度
のみ前置層形成期間は1、主層形成期間は(1−y)と
なるように切り替える方法である。ここでも、この方法
を用いることにする。
【0053】まず、実施例1と同様に成膜前工程を行
い、続いて図2(d)に示す原料供給シーケンスに従い
成膜本工程を行う。開通バルブ16aと16d、16e
を開口して原料蒸気Pb(DPM)2 とTi(O−i−
3 7 4 、O2 を反応器10に導入すると同時に排
気速度調節器19を作動させ一定の圧力に維持し、前置
層53の成膜を開始する。このときの原料蒸気Ti(O
−i−C3 7 4 の供給速度はPb:Tiの析出速度
比が1:1になるように設定されている。所定の時間t
を経過したところで前置層53の形成を終了し、次の主
層PZTの形成に移行する。開通バルブ16cを開口し
て反応器10にZr(O−t−C4 9 4 原料蒸気を
導入するとともに、Ti(O−i−C3 7 4 原料蒸
気の供給速度を与えられた値に落として各元素の析出速
度の比がPZTの化学量論組成Pb:Zr:Ti:O=
1:y:(1−y):3になるようにする。前置層形成
期間で既に開通バルブ16a、16d、16eが開口し
ているので、全ての原料蒸気が同時に供給され、所望の
組成比のPZTが成膜される。所望の膜厚を与える時間
が経過したところで、開通バルブ16a、16c、16
d、16eを閉じ原料蒸気の供給を断つとともに排気速
度調節器19の作動を停止し、排気主バルブ20を開口
して反応器10を再び真空にする。このあと反応器10
に大気あるいは不活性ガスを導入して内部を大気圧にし
た後、基板11を反応器10から取り出す。こうして成
膜を終了する。
【0054】前置層形成期間のPb原料蒸気とTi原料
蒸気、O原料蒸気の供給速度は、上述したように、1:
1:3になるように設定しているから、化学量論組成の
強誘電体PbTiO3 前置層が得られる。総膜厚120
nmのPZT膜構造は、ZrO2 の偏析はなくペロブス
カイト単一結晶相であった。結晶性並びに表面形態は従
来例と比較して何ら遜色のないものであった。総膜厚1
20nmのPZT薄膜構造でキャパシタを構成して、比
誘電率εとリーク電流密度Jを評価(条件は実施例1と
同じ)したところ、前記表1に示したように、従来例に
比べて比誘電率は3.5倍に向上し、リーク電流密度
は、4桁以上の軽減をすることが確認された。このよう
に、本実施例の成膜法もまた従来技術の問題点であった
PZT薄膜構造の膜厚150nm以下になると誘電率が
著しく低下する、リーク電流が著しく増大する、という
2つの問題を解決していると言える。
【0055】[実施例5]実施例5を、図3(a)を用
いて説明する。本発明は、前記実施例1〜4のような4
元素からなるPZT系強誘電体薄膜構造に限定されるこ
となく、5元素以上のPZT系強誘電体薄膜構造にも勿
論適用可能である。このことを5元素系強誘電体PLZ
T薄膜構造を形成する場合を例に説明する。本実施例に
おいて前置層53は強誘電体(Pb1-3x/2Lax )Ti
3 、主層54はPLZT膜である。
【0056】使用する原料は、前出のPb(DPM)2
(=A原料)とZr(O−t−C49 4 (=C原
料)、Ti(O−i−C3 7 4 (=D原料)とO2
(=E原料)、昇華性固体原料La(DPM)3 (=B
原料)である。La(DPM)3 は前記図5(a)の原
料蒸気発生装置を使用して蒸気を発生させる。各原料蒸
気の排気速度(=流量)は、析出した強誘電体薄膜の組
成が定められた化学量論組成(PLZTの場合、モル比
Pb:La:Zr:Ti:O=(1−3x/2):x:
y:(1−y):3)になるように予め設定されてい
る。なお、ここで用いた原料系は、あくまで一例であっ
て、他の原料を用いることもできる。
【0057】まず、十分に洗浄した基板11を所定の温
度(PLZTの場合は650℃)に保持したサセプタ1
2に載せ、前記実施例1と同様な成膜前工程を行う。成
膜前工程が終わると図3(a)に示す原料蒸気供給シー
ケンスに従い成膜本工程(前置層と主層の形成)を行
う。まず、開通バルブ16dと16eを開口して原料蒸
気Ti(O−i−C3 7 4 とO2 を反応器10に導
入すると同時に排気速度調節器19を作動させ一定の圧
力に維持し、前置層53の成膜を開始する。開通バルブ
16dと16eを開口してから所定時間経過したところ
で、さらに開通バルブ16aと16bを開口して原料蒸
気Pb(DPM)2 とLa(DPM)3 を反応器10に
導入する。開通バルブ16aを開口してから与えられた
時間t4 を経過したところで前置層53の形成が終了す
る。前置層形成期間において原料蒸気Ti(O−i−C
3 7 4 を供給している時間(=開通バルブ16dが
開口している時間)t3 は、Pb(DPM)2 とLa
(DPM)3 を供給している時間t4 とPZTのZrの
組成比を表す変数yを用いて、次式 t3 =t4 /(1−y) …(3) に基づいて決定される。
【0058】前置層53の形成が終わったところで、開
通バルブ16cを開口して反応器10に原料蒸気Zr
(O−t−C4 9 4 を導入する。前置層形成期間で
すでに開通バルブ16a、16b、16d、16eが開
口しているので、全ての原料蒸気が同時に供給され、所
望の組成比のPLZTが成膜される。所望の膜厚を与え
る時間が経過したところで、全ての開通バルブ16a、
16b、16c、…を閉じ原料蒸気の供給を断つととも
に排気速度調節器19の作動を停止し、排気主バルブ2
0を開口して反応器10を再び真空にする。このあと反
応器10に大気あるいは不活性ガスを導入して内部を大
気圧にした後、基板11を反応器10から取り出す。こ
うして成膜を終了する。前置層形成期間に基板11に析
出するPb原子とLa原子、Ti原子の累積モル比(あ
るいは累積組成比)は各原料蒸気の供給速度と供給時間
の積の比に等しいから、式(3)の関係を考慮しなが
ら、これを計算すると、
【数1】 Pb:La:Ti=(1−3x/2)×t4 :x×t4 :(1−y)×t3 =(1−3x/2):x:1 …(4) となり、これは強誘電体PLT(=(Pb1-3x/2
x )TiO3 )の化学量論組成に等しい。成膜温度が
上述のように650℃という十分に高い温度に保持され
ているので、シーケンシャルに析出した原料酸化物は容
易に固相反応し再結晶化できるから、結果として得られ
るのは化学量論組成の強誘電体PLTである。
【0059】実際、このように前置強誘電体層の上に形
成された総膜厚120nmのPLZT膜構造にはZrO
2 の偏析は観察されず結晶構造はペロブスカイト単一相
であった。また、表面形態は100nm程度の粒子が密
集した構造になっていることが判明した。本実施例の成
膜方法に基づくPZT薄膜構造の結晶性並びに表面形態
は従来例と比較して何ら遜色のないものである。ここで
言う従来例とは、Zrを除く全ての原料蒸気を、主層と
同じ供給速度で30秒導入して前置層を形成し、このあ
と、Zr原料蒸気を付加させて主層を形成したときのP
LZT薄膜構造(膜厚120nm)を指している。
【0060】
【表2】 表2は、従来例で成膜されたPLZT強誘電体薄膜構造
と本実施例で成膜されたPLZT強誘電体薄膜構造をそ
れぞれPt電極で挟持したキャパシタの誘電率ε(正弦
波1kHz)とリーク電流密度J(電界強度100kV
/cm)を比較したものである。強誘電体薄膜構造の総
膜厚は120nmである。本実施例の成膜法は従来例に
比べて3.4倍の比誘電率の向上を図ることができる。
また、リーク電流特性においては、4桁以上の軽減を達
成することができる。この結果から明白なように本実施
例の成膜法は従来技術の問題点である150nm以下の
薄いPZT系強誘電体膜を形成しようとすると誘電率が
著しく低下する、リーク電流が増大する、という2つの
問題を解決していると言える。
【0061】[実施例6]実施例6を、図3(b)を用
いて説明する。前記実施例2でも説明したが、本発明の
成膜法のポイントは前置層形成期間に、Zr原料を含ま
ない、主層と同一晶系(ペロブスカイト)の強誘電体の
化学量論組成に等しい累積モル比を実現することである
から、これを可能にする図3(b)のような原料導入シ
ーケンスでも、電気的特性において上記実施例5と同様
な効果(表2の第3項)を上げ良質なPLZT強誘電体
薄膜構造を形成することができる。即ち、前置層の形成
期間には、Pb(DPM)2 、La(DPM)3 、Ti
(O−i−C3 7 4 及びO2 の供給速度比をPb:
La:Ti:O2 =(1−3x/2):x:(1−
y):3として、まずPb(DPM)2 、La(DP
M)3 及びO2 を所定のt4時間供給した後その供給を
停止し、続いてTi(O−i−C3 7 4 とO2 を他
の所定のt3 時間供給して(Pb1-3x/2Lax )TiO
3 前置層53を形成する。この後、実施例5と同様の工
程により、(Pb1-3x/2Lax )(Zry Tii-y )O
3 主層54を形成する。
【0062】[実施例7]実施例7を、図3(c)を用
いて説明する。上記実施例6と同様に、本発明の成膜法
のポイントは前置層形成期間に、Zr原料を含まない、
主層と同一晶系(ペロブスカイト)の強誘電体の化学量
論組成に等しい累積モル比を実現することであるから、
これを可能にする図3(c)のような原料導入シーケン
スでも、電気的特性において上記実施例5と同様な効果
(表2の第4項)を上げ良質なPLZT強誘電体薄膜構
造を形成することができる。即ち、前置層の形成期間に
は、Pb(DPM)2 、La(DPM)3 、Ti(O−
i−C3 7 4 及びO2 の供給速度比をPb:La:
Ti:O2 =(1−3x/2):x:(1−y):3と
して、まずPb(DPM)2 とO2 を所定のt4 時間供
給した後その供給を停止し、続いてTi(O−i−C3
7 4 とO2 を他の所定のt3 時間供給した後その供
給を停止し、さらに続いてLa(DPM)3 とO2 を所
定のt4 時間供給して(Pb1-3x/2Lax )TiO3
置層53を形成する。この後、実施例5と同様の工程に
より、(Pb1-3x/2Lax )(Zry Tii-y )O3
層54を形成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である強誘電体薄膜の構造
の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態である強誘電体薄膜の化学
的気相成長法における実施例1〜4の原料蒸気導入シー
ケンスを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態である強誘電体薄膜の化学
的気相成長法における実施例5〜6の原料蒸気導入シー
ケンスを示す図である。
【図4】従来のCVD装置の構成を示す図である。
【図5】上記従来のCVD装置における原料蒸気発生器
部分の構成を示す図である。
【図6】上記従来のCVD装置における原料蒸気導入シ
ーケンスを示す図である。
【符号の説明】
11 基板 52 強誘電体薄膜構造 53 強誘電体膜前置層 54 強誘電体膜主層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/8242 Fターム(参考) 4K030 AA11 AA14 BA01 BA22 BA42 BA46 BB13 EA01 FA10 JA12 LA01 LA15 5F038 AC05 AC16 AC18 DF05 EZ20 5F045 AB40 AC07 AC11 AD10 BB16 DA62 EE12 EE18 5F083 FR05 GA06 JA15 JA16 JA38 PR21

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともZr元素を含まない前置層
    と、前記Zr元素を含み前記前置層よりも厚い主層と
    を、化学的気相成長法を用いて形成したチタンジルコン
    酸鉛(PZT)系の強誘電体薄膜の構造において、前記
    前置層の組成が、前記主層と同型のペロブスカイト型強
    誘電体の化学量論組成に等しいことを特徴とする強誘電
    体薄膜の構造。
  2. 【請求項2】 少なくともZr原料蒸気を除く特定の原
    料蒸気のみを供給して前置層を形成した後、全原料蒸気
    を同時に供給して前記前置層の上にこの前置層よりも厚
    い主層を形成するチタンジルコン酸鉛(PZT)系強誘
    電体薄膜の化学的気相成長法において、前記前置層の形
    成期間に析出する各構成元素の累積モル数の比が前記前
    置層を強誘電体たらしめるに必要な化学量論組成の比に
    等しくなるように調節されていることを特徴とする強誘
    電体薄膜の化学的気相成長法。
  3. 【請求項3】 前記前置層がペロブスカイト型強誘電体
    PbTiO3 、(Pb1-x Bax )TiO3 又は(Pb
    1-3x/2Lax )TiO3 の何れかであり、前記主層がペ
    ロブスカイト型強誘電体Pb(Zry Ti1-y )O3
    (Pb1-x Bax )(Zry Ti1-y )O3 又は(Pb
    1-3x/2Lax )(Zry Ti1-y )O3 の何れかである
    ことを特徴とする請求項1記載の強誘電体薄膜の構造。
  4. 【請求項4】 前記主層の形成期間に使用される全原料
    蒸気のうち前記前置層の形成期間に使用される各原料蒸
    気と同じ原料蒸気は、前記前置層と前記主層の両形成期
    間において供給速度が等しく設定されていることを特徴
    とする請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気相成長
    法。
  5. 【請求項5】 前記前置層はPbTiO3 、前記主層は
    Pb(Zry Ti1- y )O3 (=PZT)であって、前
    記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
    1:(1−y):3として、まず前記Ti原料蒸気とO
    2 原料蒸気を供給し、この供給開始から所定時間経過し
    た時点でこれに前記Pb原料蒸気を加えて前記Ti、O
    2 及びPbの各原料蒸気の供給をさらに他の所定時間続
    行させて前記前置層を形成し、前記主層の形成期間に
    は、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO
    2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2
    1:y:(1−y):3として、これらPb、Zr、T
    i及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給し
    て前記主層を形成することを特徴とする請求項2記載の
    強誘電体薄膜の化学的気相成長法。
  6. 【請求項6】 前記前置層はPbTiO3 、前記主層は
    Pb(Zry Ti1- y )O3 (=PZT)であって、前
    記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
    1:(1−y):3として、まず前記Pb原料蒸気とO
    2 原料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止し、続
    いて前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供
    給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、
    Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO2
    料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2 =1:
    y:(1−y):3として、これらPb、Zr、Ti及
    びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前
    記主層を形成することを特徴とする請求項2記載の強誘
    電体薄膜の化学的気相成長法。
  7. 【請求項7】 前記前置層はPbTiO3 、前記主層は
    Pb(Zry Ti1- y )O3 (=PZT)であって、前
    記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
    1:(1−y):3として、まず前記Ti原料蒸気とO
    2 原料蒸気を所定時間供給した後その供給を停止し、続
    いて前記Pb原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供
    給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、
    Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO2
    料蒸気の供給速度比をPb:Zr:Ti:O2 =1:
    y:(1−y):3として、これらPb、Zr、Ti及
    びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前
    記主層を形成することを特徴とする請求項2記載の強誘
    電体薄膜の化学的気相成長法。
  8. 【請求項8】 前記前置層はPbTiO3 、前記主層は
    Pb(Zry Ti1- y )O3 (=PZT)であって、前
    記前置層の形成期間には、Pb原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Ti:O2
    1:1:3として、これらのPb、Ti及びO2 の各原
    料蒸気を所定時間供給して前記前置層を形成し、前記主
    層の形成期間には、Pb原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti
    原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:Zr:
    Ti:O2 =1:y:(1−y):3として、これらP
    b、Zr、Ti及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚とな
    る時間供給して前記主層を形成することを特徴とする請
    求項2記載の強誘電体薄膜の化学的気相成長法。
  9. 【請求項9】 前記前置層は(Pb1-3x/2Lax )Ti
    3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry Ti
    1-y )O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形成
    期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:O
    2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、ま
    ず前記Ti原料蒸気とO2 原料蒸気を供給し、この供給
    開始から所定時間経過した時点でこれに前記Pb原料蒸
    気及びLa原料蒸気を加えて前記Ti、O2 、Pb及び
    Laの各原料蒸気の供給をさらに他の所定時間続行させ
    て前記前置層を形成し、前記主層の形成期間には、Pb
    原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Zr:T
    i:O2 =(1−3x/2):x:y:(1−y):3
    として、これらPb、La、Zr、Ti及びO2 の全原
    料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して前記主層を形成
    することを特徴とする請求項2記載の強誘電体薄膜の化
    学的気相成長法。
  10. 【請求項10】 前記前置層は(Pb1-3x/2Lax )T
    iO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry Ti
    1-y )O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形成
    期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:O
    2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、ま
    ず前記Pb原料蒸気、La原料蒸気及びO2 原料蒸気を
    所定時間供給した後その供給を停止し、続いて前記Ti
    原料蒸気とO2 原料蒸気を他の所定時間供給して前記前
    置層を形成し、前記主層の形成期間には、Pb原料蒸
    気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、Ti原料蒸気及びO
    2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Zr:Ti:O
    2 =(1−3x/2):x:y:(1−y):3とし
    て、これらPb、La、Zr、Ti及びO2 の全原料蒸
    気を所望の膜厚となる時間供給して前記主層を形成する
    ことを特徴とする請求項2記載の強誘電体薄膜の化学的
    気相成長法。
  11. 【請求項11】 前記前置層は(Pb1-3x/2Lax )T
    iO3 、前記主層は(Pb1-3x/2Lax )(Zry Ti
    1-y )O3 (=PLZT)であって、前記前置層の形成
    期間には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Ti原料蒸気
    及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:La:Ti:O
    2 =(1−3x/2):x:(1−y):3として、ま
    ず前記Pb原料蒸気とO2 原料蒸気を所定時間供給した
    後その供給を停止し、続いて前記Ti原料蒸気とO2
    料蒸気を他の所定時間供給した後その供給を停止し、さ
    らに続いて前記La原料蒸気とO2 原料蒸気を前記所定
    時間供給して前記前置層を形成し、前記主層の形成期間
    には、Pb原料蒸気、La原料蒸気、Zr原料蒸気、T
    i原料蒸気及びO2 原料蒸気の供給速度比をPb:L
    a:Zr:Ti:O2 =(1−3x/2):x:y:
    (1−y):3として、これらPb、La、Zr、Ti
    及びO2 の全原料蒸気を所望の膜厚となる時間供給して
    前記主層を形成することを特徴とする請求項2記載の強
    誘電体薄膜の化学的気相成長法。
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