JP2000204277A - 機能性成形物およびその製造法 - Google Patents

機能性成形物およびその製造法

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JP2000204277A JP11320280A JP32028099A JP2000204277A JP 2000204277 A JP2000204277 A JP 2000204277A JP 11320280 A JP11320280 A JP 11320280A JP 32028099 A JP32028099 A JP 32028099A JP 2000204277 A JP2000204277 A JP 2000204277A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融成形に際して機能性成分が揮発により失
われがたく、そして練り込んだカテキン類等の機能性成
分の耐水化固定がなされ、水洗を行ってもその機能性成
分が容易には溶出せず、従って抗微生物性や脱臭性など
の機能性が長期にわたり持続する機能性成形物およびそ
の製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】 カテキン類、サポニン類、茶葉粉末、茶
葉抽出物およびタンニン(酸)よりなる群から選ばれた
抗微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a)とセラ
ミックス成分(b) とを、好ましくはこれらの複合体粒子
(X) の形で、成形用樹脂(Y) に配合し、溶融成形して、
フィラメントやフィルムなどの機能性成形物を得る。複
合体粒子(X) は、機能性成分(a) を含有する状態でセラ
ミックス(b) が凝集した複合凝集体の粒子であることが
望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水洗を行っても機
能性成分(カテキン類、サポニン類など)の溶出が抑制
され、その機能(抗微生物性または脱臭性)が長期間に
わたり持続する機能性成形物およびその製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】衛生性、健康志向、環境改善意識の浸透
につれ、身近な物品に抗菌性を付与することがなされて
いる。抗菌性の付与のための抗菌剤としては、銀成分を
有する無機系抗菌剤や、各種の有機系(合成系や天然物
系)抗菌剤が知られているが、安全性が高く、抗菌作用
があり、しかも脱臭作用もあるカテキン類を抗菌剤とし
て用いることが注目されている。
【0003】「ポピュラーサイエンス、お茶の科学、1
992年6月10日第1版発行、発行所:株式会社裳華
書房、184〜185頁、210〜211頁」には、茶
カテキンなど茶由来の成分が、良好な抗菌性、抗ウイル
ス性、脱臭性を有することが示されている。「緑茶カテ
キンの凄い健康パワー、1997年4月25日初版発
行、発行所:株式会社二見書房」の各所にも、緑茶カキ
キンがすぐれた抗菌作用(抗カビ作用を含む)、抗ウイ
ルス作用、脱臭作用を有していることが示されている。
【0004】空調機や空気清浄機のフィルターとして、
抗菌剤を配合(つまり内添ないし練り込み)したものを
用いることも知られている。たとえば特開平1−996
56号公報には、 0.1%以上の抗菌剤を練り込んだポリ
プロピレン繊維からなる抗菌エレクトレットフィルタに
つき言及がある。ただし、この公報の実施例で使用して
いる抗菌剤は、合成系の抗菌剤であるチアベンダゾール
である。
【0005】そして特開平7−148407号公報に
は、茶の抽出成分を有効成分とするウイルス不活性剤を
フィルター素材に練り込んだ抗ウイルスフィルターが示
されている。茶の抽出成分とは、茶ポリフェノール、具
体的には、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガ
レート、エピガロカテキン、エピカテキンなどである。
フィルター素材の例はポリプロピレンであり、実施例に
おいては、ポリプロピレンに茶の抽出成分を 0.1%以上
混合して200〜250℃で溶融し、フィルム状に成形
し、カッティングし、不織布化して、フィルターに成形
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カテキ
ン類等の茶由来の抗菌または脱臭性成分は、本来水溶性
または水となじみがあることが多いので、そのような抗
菌または脱臭性成分を練り込んだフィラメントから作ら
れたフィルターを水洗すると、抗菌または脱臭性成分が
溶出し、効果が損なわれてしまうという問題点がある。
【0007】すなわち、本発明者らの実験によれば、た
とえばポリプロピレンにカテキン類を練り込んで溶融成
形して得たフィラメントを空調機や空気清浄機のフィル
ターとして用いた場合、当初は良好な抗微生物性や脱臭
性を示すものの、カテキン類が親水性基を有する水溶性
の化合物であるため(加えてポリプロピレンが極性のな
いポリマーであることもあり)、汚れてきたフィルター
を水中に浸漬したり中性洗剤を含む水で洗ったりする
と、練り込まれているカテキン類の相当割合が溶出し、
抗菌性や脱臭性が大きく低下することが判明した。フィ
ルターは定期的に洗浄するものであるので、水洗により
有効成分が溶出することは大きな欠点になる。
【0008】また抗菌または脱臭性成分が一定温度以上
で揮発するものであるときは、それを樹脂材料に練り込
んで溶融成形する段階において、比較的高価な抗菌また
は脱臭性成分の相当量が揮発して目減りすることを免れ
ない。そこで揮発により失われる分を見込んで抗菌また
は脱臭性成分の配合割合を多くすると、今度は溶融成形
性が低下する上、得られる溶融成形物の強度が低下した
り、溶融成形物の表面が肌荒れしたりすることがある。
【0009】本発明は、このような背景下において、溶
融成形に際して機能性成分が揮発により失われがたく、
そして練り込んだカテキン類等の機能性成分の耐水化固
定がなされ、水洗を行ってもその機能性成分が容易には
溶出せず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能性が長
期にわたり持続する機能性成形物およびその製造法を提
供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の機能性成形物
は、カテキン類、サポニン類、茶葉粉末、茶葉抽出物お
よびタンニン(酸)よりなる群から選ばれた抗微生物性
または脱臭性を有する機能性成分(a) とセラミックス成
分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) の溶融成形物から
なるものである。
【0011】本発明の機能性成形物の製造法は、カテキ
ン類、サポニン類、茶葉粉末、茶葉抽出物およびタンニ
ン(酸)よりなる群から選ばれた抗微生物性または脱臭
性を有する機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とが
配合された成形用樹脂(Y) を溶融成形することを特徴と
するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0013】〈機能性成分(a) 、セラミックス成分(b)
、複合体粒子(X) 〉 (機能性成分(a) )まず機能性成分(a) とセラミックス
成分(b) とについて説明する。これらの機能性成分(a)
およびセラミックス成分(b) は、それらが複合した複合
体粒子(X)の形にあり、その複合体粒子(X) の形で成形
用樹脂(Y) に配合されていることが特に好ましい。
【0014】ここで機能性成分(a) としては、カテキン
類、サポニン類、茶葉粉末、茶葉抽出物およびタンニン
(酸)よりなる群から選ばれた抗微生物性または脱臭性
を有する少なくとも1種の成分が用いられる。抗微生物
性とは、抗菌性、静菌性、防カビ性、抗ウイルス性など
を包含する概念である。
【0015】カテキン類(その属性体も含まれるものと
する)としては、モノマー状のものやオリゴマー状のも
のが用いられる(テアフラビンも含まれる)。カテキン
類として特に重要性の高いものは、カテキンの濃度を高
めた茶由来のカテキン製剤である。茶カテキンの主たる
成分は、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレー
ト、エピカテキン、エピカテキンガレートなどである
が、個々の成分に単離する必要はないので、これらの混
合物からなる茶カテキンを濃厚に含む製剤(殊に20%
以上、好ましくは25%以上含むもの)をそのまま好適
に用いることができる。市販の茶由来のカテキン製剤に
は30%品、50%品、60%品、70%品、80%
品、90%品などがあるので、その入手は容易である。
なおカテキン類は、阿仙薬をはじめ茶以外の多種の植物
にも含まれているので、それらの植物由来のカテキンを
用いることもできる。
【0016】サポニン類のうち茶サポニンは、有機溶剤
や水を用いて茶葉や茶の種子からサポニンを含む成分を
抽出し、ついでカラムクロマトなどの手段を用いて繰り
返し精製を行うことにより取得できる。茶サポニンに
は、ステロイド系サポニン、トリテルペノイド系サポニ
ンなどがあるが、本発明の目的にはこれらをいずれも使
用することができる。サポニンは、茶以外の多種の植
物、たとえば、ニンジン、チクセツニンジン、ダイズ、
サイコ、アマチャヅル、ヘチマ、オンジ、キキョウ、セ
ネガ、バクモンドウ、モクツウ、チモ、ゴシツ、カンゾ
ウ、サンキライなどにも含まれているので、そのような
植物からのサポニンを用いることもできる。ただし、入
手の容易さ、夾雑物の少なさなどの点から、先に述べた
茶由来の茶サポニンが特に好適である。
【0017】茶葉粉末または茶葉抽出物としては、たと
えば、一番茶・二番茶・三番茶、深むし、かぶせなどの
茶の粉末または抽出物を用いることができる。
【0018】タンニン(酸)としては、市販の精製され
たタンニン酸を用いることができ、また五倍子、没食子
などタンニン酸を多量に含む高タンニン酸含有天然植物
の抽出物またはその半精製物をそのまま用いることもで
きる。
【0019】(セラミックス成分(b) )セラミックス成
分(b) としては、各種の粒子状のセラミックスが用いら
れるが、好ましいものの第1の例は、 ・セラミックス粒子(b1)、無機質焼結助剤(b2)および無
機質凝集剤(b3)の組み合わせ、または、 ・無機質焼結助剤(b2)および無機質凝集剤(b3)の組み合
わせである。
【0020】セラミックス粒子(b1)としては、各種の粘
土鉱物や、酸化物、水酸化物、複合酸化物、窒化物、炭
化物、ケイ化物、ホウ化物などがあげられ、ゼオライ
ト、クリストバライト、ケイ藻土なども用いることがで
きる。これらの中では、ケイ酸アルミニウム、アルミ
ナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、マグネシア、水酸
化アルミニウムなどが重要である。
【0021】セラミックス粒子(b1)は、100メッシュ
(0.147mm) アンダー、通常は200メッシュ(0.074mm)
アンダー、さらにはもっと微粒ないし超微粒というよう
に、できるだけ細かい粒子の形態で用いることが望まし
い。この場合、平均粒径の異なる2種以上の粒子を併用
することも好ましい。
【0022】無機質焼結助剤(b2)としては、リン酸、硫
酸、硝酸、炭酸などの無機酸の多価金属塩があげられ、
殊に、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸マグネ
シウム、リン酸マンガン、リン酸カルシウムなどリン酸
の多価金属塩が重要であり、特にリン酸アルミニウムが
好適である。これらは通常は含水塩ないし水和物を水に
溶解した形で使用に供される。無機質焼結助剤(b2)は、
混合操作中にセラミックス粒子(b1)を分散させる役割を
果たす成分である。
【0023】無機質凝集剤(b3)としては、ゾル状または
溶液状の無機質凝集剤、殊に、ゾル状の無水ケイ酸また
は溶液状のケイ酸塩(ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウ
ム)が好適に用いられる。ゾル状の無水ケイ酸には、水
を媒体とする通常のコロイダルシリカのほか、アルコー
ル等の有機溶媒を媒体とするオルガノシリカゾルがあ
る。無機質凝集剤(b3)としては、そのほか、アルミン酸
カルシウム、酸化マグネシウムなども用いられる。無機
質凝集剤(b3)は、凝集剤の役割を果たすのみならず、結
合剤の役割も果たす。
【0024】セラミックス成分(b) のうち好ましいもの
の第2の例は、含水ケイ酸ゲルを経て得られるシリカゲ
ルである。このときには、ケイ酸塩の水溶液を酸と混合
することによりpHを調整して含水ケイ酸ゲルとなし、
さらにこの含水ケイ酸ゲルを水洗してイオンを除去して
から乾燥することによりシリカゲルを得る。ケイ酸塩と
しては、Na2O・n SiO2で表わされるケイ酸ナトリウム
や、 K2O・n SiO2で表されるケイ酸カリウムが用いら
れ、特に前者のケイ酸ナトリウムが重要である。ケイ酸
塩の濃厚水溶液は一般に水ガラスと呼ばれる。市販の代
表的な水ガラスのSiO2含有量は22〜38重量%程度、
Na2O含有量は5〜19重量%程度である。
【0025】(複合体粒子(X) )上述の機能性成分(a)
およびセラミックス成分(b) は、成形用樹脂(Y) に配合
される。この場合、機能性成分(a) とセラミックス成分
(b) とを成形用樹脂(Y)にそれぞれ配合してもよいが、
予め機能性成分(a) とセラミックス成分(b) とが複合し
た複合体粒子(X) を製造しておいてから、その複合体粒
子(X) を成形用樹脂(Y) に配合することが好ましい。
【0026】そして複合体粒子(X) は、特に好ましく
は、機能性成分(a) を含有する状態でセラミックス成分
(b) を凝集させることにより製造される。そのようにし
た方が、単に機能性成分(a) とセラミックス成分(b) と
を成形用樹脂(Y) にそれぞれ配合したり、多孔質の粒子
状のセラミックス成分(b) に機能性成分(a) を含浸担持
させたりするよりも、目的物の効果の持続性の点や、機
能性成分(a) の割合を高めることができる点で、有利で
あるからである。
【0027】複合体粒子(X) を製造する場合、セラミッ
クス成分(b) がセラミックス粒子(b 1)、無機質焼結助剤
(b2)および無機質凝集剤(b3)の組み合わせであるとき
は、それは典型的には、セラミックス粒子(b1)、無機質
焼結助剤(b2)、機能性成分(a)および媒体からなる混合
物に、ゾル状または溶液状の無機質凝集剤(b3)を混合し
て凝集させた後、その凝集物を加熱処理することにより
製造される。このときには、まずセラミックス粒子(b1)
と無機質焼結助剤(b2)の水溶液とを混練し、さらにはそ
の混練時またはその混練の前または後に機能性成分(a)
を混合し、ついでゾル状または溶液状の無機質凝集剤(b
3)を混合した後、加熱処理するようにすることが望まし
い。
【0028】なお上記の混合に際して、銅塩、鉄塩、カ
ルシウム塩、チタン塩、アルミニウム塩、銀塩、スズ
塩、亜鉛塩、クロム塩、コバルト塩など染色の媒染剤と
して使われるような金属イオン源を機能性成分(a) に対
して適当量共存させると、成形用樹脂(Y) がナイロンの
ような極性のあるポリマーである場合のみならず、ポリ
プロピレンのような極性のないポリマーであっても、成
形物としたときの機能性成分(a) の耐水化ないし定着化
の点で一段と有利になる。
【0029】典型的なケースにおいては、ケイ酸アルミ
ニウム、アルミナ、チタニアなどのセラミックス粒子(b
1)に無機質焼結助剤(b2)の一例としてのリン酸アルミニ
ウムの水溶液を硬練りペースト程度の粘度になるように
加えて混練し、続いて機能性成分(a) を粉末であるいは
水溶液またはアルコール溶液として混合し(あるいは、
セラミックス粒子(b1)に機能性成分(a) を混合しておい
てから無機質焼結助剤(b2)を混練し)、また必要に応じ
てリン酸アルミニウムの水溶液を追加混合し、pHを3
〜4に調節する。ついで無機質凝集剤(b3)の一例として
のコロイダルシリカのコロイド液を混合して系のpHを
中性程度にもっていくと、凝集が起こる。凝集物を得た
後は、これをルツボや蒸発皿に移し、乾燥器または電気
炉にて脱水するまで加熱処理する。
【0030】各成分の割合は、無機質焼結助剤(b2)はそ
の役割を発揮する量とし、機能性成分(a) はその効果
(抗微生物性や脱臭性)を発揮するに足る有効量とし、
無機質凝集剤(b3)はその役割を発揮する量とする。代表
的な例をあげると、セラミックス粒子(b1)を100重量
部とするとき、無機質焼結助剤(b2)が固形分で 0.5〜2
0重量部程度(殊に1〜20重量部程度)、機能性成分
(a) が粗製物として1〜130重量部程度(殊に2〜1
20重量部程度)、無機質凝集剤(b3)が固形分で0.5〜
25重量部程度(殊に1〜20重量部程度)、媒染剤
(金属イオン源)が機能性成分(a) に対して0〜20重
量%程度(殊に 0.1〜10重量%程度)とすることが多
い。
【0031】上記加熱処理により固形物が得られるの
で、通常はその固形物を粉砕し、必要に応じ分級し、複
合体粒子(X) とする。
【0032】複合体粒子(X) を製造する場合、セラミッ
クス成分(b) が無機質焼結助剤(b2)および無機質凝集剤
(b3)の組み合わせであるときは、たとえば、リン酸アル
ミニウム等の無機質焼結助剤(b2)の水溶液に機能性成分
(a) を粉末であるいは水溶液またはアルコール溶液とし
て混合し、pHを3〜4に調整して、コロイダルシリカ
等の無機質凝集剤(b3)のコロイド液を混合して系のpH
を中性程度にもっていくと、凝集が起こるので、その凝
集物をルツボや蒸発皿に移し、乾燥器または電気炉にて
脱水するまで加熱処理すればよい。
【0033】各成分の割合は、無機質焼結助剤(b2)の固
形分100重量部に対し、無機質凝集剤(b3)は固形分で
100〜300重量部程度あるいはそれ以上とすること
が多い。機能性成分(a) はその効果(抗微生物性や脱臭
性)を発揮するに足る有効量とするが、無機質焼結助剤
(b2)および無機質凝集剤(b3)の合計量100重量部に対
して、粗製物として1〜130重量部程度(殊に2〜1
20重量部程度)とすることが多い。
【0034】複合体粒子(X) を製造する場合、セラミッ
クス成分(b) が含水ケイ酸ゲルを経て得られるシリカゲ
ルであるときは、ケイ酸塩と酸との混合前、混合時また
は混合後のゲル化反応完了前に機能性成分(a) を系に添
加して、機能性成分(a) をシリカゲル中に含有させるこ
とにより複合体粒子(X) とすることが望ましい。
【0035】各成分の割合は、機能性成分(a) はその効
果(抗微生物性や脱臭性)を発揮するに足る有効量とす
るが、セラミックス成分(b) 100重量部に対して、粗
製物として1〜130重量部程度(殊に2〜120重量
部程度)とすることが多い。
【0036】〈成形用樹脂(Y) 〉成形用樹脂(Y) として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン、ナイ
ロン(ナイロン6、66、6−66、610、612、
11、12、46等)、ポリエステル(ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポ
リエステル等)、アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ABS樹脂、
AS樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体、各種熱可塑性エラス
トマー、セルロース系ポリマーをはじめとする溶融成形
可能な各種の樹脂が用いられ、2種以上の樹脂を混合し
て用いることもできる。これらの中では、特にポリオレ
フィン、ナイロン、ポリエステルが重要である。
【0037】〈機能性成形物〉上述の機能性成分(a) お
よびセラミックス成分(b) (殊にそれらからできた複合
体粒子(X) )を成形用樹脂(Y) に配合(つまり内添ない
し練り込み)してから溶融成形することにより、目的と
する機能性成形物が得られる。
【0038】溶融成形法としては、押出成形法、射出成
形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、エクストルージ
ョンコーティング法などが採用される。成形温度は、成
形用樹脂(Y) が溶融する温度以上とする。溶融成形に際
し、予め機能性成分(a) およびセラミックス成分(b)
(殊にそれらからできた複合体粒子(X) )と成形用樹脂
(Y) )とを混合して溶融押出およびペレット化を行っ
て、成形用樹脂(Y) に対する機能性成分(a) およびセラ
ミックス成分(b) (殊に複合体粒子(X) )の配合濃度の
高いマスターバッチを作製しておいてから、そのマスタ
ーバッチをペレット状の成形用樹脂(Y) に適量配合して
溶融成形に供することにより濃度調整する方法を採用す
ると、円滑成形性、樹脂相への機能性成分(a) およびセ
ラミックス成分(b) (殊にそれらからできた複合体粒子
(X) )の均一分散性の点でより好ましいものとなる。
【0039】機能性成分(a) およびセラミックス成分
(b) (殊にそれらからできた複合体粒子(X) )の合計配
合量は、成形用樹脂(Y) 100重量部に対し、 0.1〜3
0重量部、好ましくは 0.5〜20重量部、さらに好まし
くは1〜15重量部とするのが適当である。機能性成分
(a) およびセラミックス成分(b) (殊にそれらからでき
た複合体粒子(X) )の配合量が余りに少ないときは、目
的の抗微生物性または脱臭性を有する機能性成形物を得
ることができず、一方その配合量が余りに多いときは、
成形性が損なわれ、たとえ成形できても成形物の強度が
不足するようになる。
【0040】溶融成形に際しては、必要に応じ、安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、補強材
(短繊維等)、フィラー、着色剤、流動性改良剤、離型
剤、難燃剤などを適当量配合することができる。そのほ
か、生薬の抽出物などを配合することもできる。
【0041】機能性成形物の形状は、フィラメント、フ
ィルム(シート、膜を含む)、ネット、パイプ、ロッ
ド、容器、各種部品形状をはじめ任意である。得られた
成形物を、延伸、スプリット、真空成形、深絞り成形な
どの二次加工に供することもできる。フィラメントの場
合には、それを用いて、糸、ロープ、わた(綿)、ネッ
ト、不織布、織布、編布、ベルトなどを製造することが
できる。
【0042】〈用途〉本発明の機能性成形物は、良好な
抗微生物性または脱臭性を有し、しかも水洗や洗濯がな
されたり、水や雨水と接触する使い方をしてもその機能
性が長期にわたり維持される。従って、空調機、空気清
浄機、掃除機などの機器のフィルター材として有用であ
り、また、衣類、寝具関連材料、衛生材料、履物材料、
敷物材料、台所用品、トイレタリー用品、身回り品、テ
ント地、ホース類、ろ布、建物または乗り物の内装材
料、建材、医療用材料、農業用または園芸用材料、包装
材料をはじめとする多種の用途に有用である。
【0043】〈作用〉本発明の機能性成形物は、機能性
成分(a) およびセラミックス成分(b) (殊にこれらから
できた複合体粒子(X) )が配合された成形用樹脂(Y) を
溶融成形したものである。この機能性成形物にあって
は、カテキン類等の機能性成分(a) がセラミックス成分
(b) と共存して(好ましくは複合体粒子(X) として)耐
水化固定がなされているので、水洗を行ったり水と接触
する用途に用いたりしても、その機能性成分(a) が容易
には溶出せず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能性
が長期にわたり持続する。
【0044】そして機能性成分(a) としてカテキン類、
サポニン類、茶葉粉末、茶葉抽出物およびタンニン
(酸)よりなる群から選ばれた成分を用いているので、
好ましい抗微生物性または/および脱臭性が奏される
上、抗アレルギー性や抗酸化性も得られ、かつ安全性が
高い。
【0045】また、機能性成分(a) が一定温度以上で揮
発する性質を有するものであっても、セラミックス成分
(b) と共存して(好ましくは複合化して)いるため、成
形用樹脂(Y) に配合して溶融成形に供したときに機能性
成分(a) が揮発により失われがたく、溶融成形性の確保
および比較的高価な機能性成分(a) の節約の点でも有利
である。そのほか、セラミックス成分(b) の存在は、温
湿度変化などの環境変化に対する成形物の耐性向上(寸
法安定性や耐熱性の向上)に貢献するという利点もあ
る。
【0046】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」、「%」とあるのは重量基準で表わした
ものである。
【0047】実施例1〜8 〈複合体粒子(X) の作製法1〉機能性成分(a) として、
茶カテキン30%品(エピガロカテキン、エピガロカテ
キンガレート、エピカテキンおよびエピカテキンガレー
トの合計量が約30%の茶由来のカテキン製剤)、純度
70%の茶サポニン、緑茶の熱水抽出物を乾燥した粉
末、緑茶粉末、および純度85%のタンニン酸を準備し
た。
【0048】セラミックス粒子(b1)としての平均粒径2
50メッシュ(0.061mm) アンダーのアルミナ400部と
325メッシュ(0.043mm) アンダーのアルミナ100部
とを乾式混合した後、無機質焼結助剤(b2)の一例として
の濃度20%のリン酸アルミニウム水溶液100部を添
加しながら硬めに混練し、ペーストを得た。
【0049】この混練ペーストの全量を自動磁製乳鉢に
入れ、上記の機能性成分(a) 215部(粗製物として)
を適当量のイソプロパノールに溶解した溶液を添加し
て、スラリー状になるまで混練した。pHが3〜4程度
になるのを確認してから、このスラリーに無機質凝集剤
(b3)の一例としてのコロイダルシリカのコロイド液(固
形分40%)の37.5部を加えて混合し、pHを中性にも
っていった。スラリーは徐々に凝集していったので、ハ
ンドリングが可能なうちに蒸発皿(またはルツボ)に移
し、恒温乾燥器または電気炉で加熱し、100〜300
℃で脱水、加水分解させた。
【0050】これにより硬い不定形の複合凝集体が得ら
れたので、それを自動乳鉢(またはボールミル)で微粉
砕し、篩で分級して100〜325メッシュの粒度のも
のを取得した。ついでこの複合凝集体の粒子を、恒温乾
燥器または電気炉にて100℃で3時間加熱処理し、機
能性成分(a) とセラミックス成分(b) とが複合化した複
合体粒子(X) を得た。複合体粒子(X) に占める機能性成
分(a) の割合は、理論量で28.7%となる。
【0051】〈複合体粒子(X) の作製法2〉セラミック
ス粒子(b1)として400メッシュのチタニア粒子500
部を用いたほかは、上記と同様にして複合体粒子(X) を
作製した。
【0052】〈複合体粒子(X) の作製法3〉セラミック
ス粒子(b1)としての平均粒径325メッシュアンダーの
ケイ酸アルミニウム400部と、機能性成分(a) として
の茶カテキン30%品130部とを乾式混合した後、無
機質焼結助剤(b2)の一例としての濃度25%のリン酸ア
ルミニウム水溶液200部を添加しながら硬めに混練
し、さらに硫酸銅7部を上記リン酸アルミニウム水溶液
に溶解させた状態で一緒に滴下混合し、ペーストを得
た。このペーストに無機質凝集剤(b3)の一例としてのコ
ロイダルシリカのコロイド液(固形分40%)50部を
混合して、pHを中性にもっていった。この時点で徐々
に凝集が起きてくるので、ハンドリングできるうちにル
ツボに移し、乾燥後、100〜300℃で脱水、加水分
解させた。これを微粉砕し、複合体粒子(X)を得た。複
合体粒子(X) に占める機能性成分(a) の割合は、理論量
で21.4%となる。
【0053】〈複合体粒子(X) の作製法4〉0℃に保っ
た1N硫酸溶液に機能性成分(a) としての茶カテキン3
0%品を添加し、また別途1N水ガラス3号溶液を調製
した。ついで、機能性成分(a) を含有する1N硫酸溶液
を激しく撹拌しながら、数分かけて上記の1N水ガラス
溶液を滴下した。このときの反応液の温度は5〜7℃と
なった。混合物を流水にて1日洗浄してから、水分をよ
く切り、ついで細かく砕き、50〜60℃の温度をかけ
ながら乾燥器中で真空乾燥し、粉末状の複合体粒子(X)
を得た。複合体粒子(X) 中の機能性成分(a) の割合は2
2.0%となるようにした。
【0054】〈機能性成形物〉成形用樹脂(Y) の一例と
してのポリプロピレンまたは6−ナイロン50部に、上
記で得た複合体粒子(X) 50部を配合してまずマスター
バッチを得た。
【0055】ついで成形用樹脂(Y) の一例としてのポリ
プロピレンまたは6−ナイロンのペレット84部と、こ
のマスターバッチ16部とを混合してから、溶融押出す
ることにより、モノフィラメント状の機能性成形物を得
た。そしてこのモノフィラメントを用いて、空調機また
は空気清浄機の前面フィルターを作製した。なお、成形
用樹脂(Y) と複合体粒子(X) との合計量に占める機能性
成分(a) (粗製物として)の割合は、配合時基準で、後
述の実施例1〜5および7が2.30%、実施例6が1.71
%、実施例8が1.76%となる。
【0056】比較例1〜2 ポリプロピレンに、直接上記の機能性成分(a) を2.30%
宛配合して溶融押出することによりモノフィラメントを
成形し、ついでフィルターを作製した。
【0057】〈条件のまとめ〉条件を表1に示す。表中
の略号は次の通りである。PP: ポリプロピレン、Ny:6
−ナイロン、Cat : カテキン30%品、Sap : 純度70
%茶サポニン、Ext :茶葉の熱水抽出物の乾燥粉末、Pow
:緑茶粉末、Tan :純度85%のタンニン酸、Al: ア
ルミナ、Ti: チタニア、AlSi: ケイ酸アルミニウム、 S
i:シリカゲル。
【0058】
【表1】 実 施 例 比較例 1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 (X) 作製法 1 1 1 1 1 3 2 4 − − (X):(a) Cat Sap Ext Pow Tan Cat Cat Cat Cat Sap (X):(b1) Al Al Al Al Al AlSi Ti Si − − (Y) PP PP PP Ny Ny PP PP PP PP PP 注:(X) は複合体粒子、(a) は機能性成分、(b1)はセラミックス粒子。 (Y) は成形用樹脂。
【0059】〈試験〉実施例1,2,6,7,8および
比較例1,2で作製したフィルターを下記の条件で水洗
し、水洗前および後の機能性成分(a) の量を示差熱重量
分析計による熱分析(電気炉中で5℃/minの速度で昇温
し、加熱過程における試料の熱収支(吸熱/発熱)とそ
れに伴う重量の増減を解析)により測定した。そして、
水洗前および後のフィルターにつき、脱臭試験および抗
菌性試験を下記の条件にて行った。結果を表2に示す。
【0060】(水洗条件)家庭用中性洗剤の 0.5%水溶
液(温度40℃)に15分間浸漬した後、スポンジで数
回表面を擦り洗いし、陰干しする操作を5回繰り返し
た。
【0061】(脱臭試験)1m3の容器内には外部から操
作できる空気清浄機、内部にはフィルターを設置し、容
器の中でタバコ5本を吸煙機に装着して着火し、最初の
1本が燃え尽きた時点で吸煙機を停止し、最後のタバコ
が燃え尽きた時点で空気清浄機の運転を開始し、運転5
分後および30分後にガス検知管を用いてアンモニア濃
度を測定し、5分後の濃度(初期濃度)に比し30分後
の濃度がどの程度減少しているかで脱臭率を求めた。
【0062】(抗菌性試験)下記の条件により、各試料
の抗菌性を調べた。 ・試験項目:菌数減少率試験 ・試験方法:統一試験方法(仮称)による。 ・試験結果: 植菌数[A] 1.0×105 log A = 5.0 無加工布菌数[B] 1.6×107 log B = 7.2 (無加工布は標準綿布を使用) log B - log A = 2.2 > 1.5 (試験は有効) 増減値 = log C - log A 増減値差 = (log B - log A) - (log C - log A)
【0063】
【表2】 実 施 例 比較例 1 2 6 7 8 1 2 水洗前 (A) 含有量 (%) 2.2 2.2 1.6 2.2 1.7 1.8 1.7 NH3 脱臭率 (%) 72 68 77 70 73 62 63 抗菌性 菌数 log C 3.8 4.2 3.8 3.9 3.9 4.1 4.1 増減値 -1.2 -0.8 -1.2 -1.1 -1.1 -0.9 -0.9 増減値差 3.4 3.0 3.4 3.3 3.3 3.1 3.1 5回水洗後 (A) 含有量 (%) 1.9 2.0 1.4 1.9 1.5 0.2 0.1 NH3 脱臭率 (%) 69 63 74 65 66 7 5 抗菌性 菌数 log C 4.0 4.3 3.9 4.0 4.1 7.0 7.1 増減値 -1.0 -0.7 -1.1 -1.0 -0.9 2.0 2.1 増減値差 3.2 2.9 3.3 3.2 3.1 0.2 0.1 (抗菌性試験の試料は 0.2gを採取)
【0064】実施例3〜5のフィルターにおける水洗前
後の機能性成分(a) の量は次の通りであった。 ・実施例3: 2.2%→ 2.0% ・実施例4: 2.2%→ 2.0% ・実施例5: 2.2%→ 1.9%
【0065】比較例1〜2において水洗前の場合の機能
性成分(A) 含有量が対応する実施例のそれよりも少ない
のは、溶融成形中に機能性成分(a) の一部が揮発により
失われる度合いが大きいためと思われる。そして比較例
1〜2においては、5回水洗のちには機能性成分(a) の
大部分が溶出し、脱臭性、抗菌性が著しく低下すること
がわかる。
【0066】実施例9〜13 〈複合体粒子(X) の作製法5〉機能性成分(a) として、
茶カテキン30%品、純度70%の茶サポニン、緑茶の
熱水抽出物を乾燥した粉末を準備した。
【0067】無機質焼結助剤(b2)の一例としての濃度2
5%のリン酸アルミニウム水溶液200部に機能性成分
(a) を混合し、pHを3〜4に調整して、無機質凝集剤
(b3)の一例としてのコロイダルシリカのコロイド液(固
形分40%)130部を混合して、pHを中性にもって
いった。スラリーは徐々に凝集していったので、ハンド
リングが可能なうちに蒸発皿(またはルツボ)に移し、
恒温乾燥器または電気炉で加熱し、100〜300℃で
乾燥し、加熱処理した。これにより硬い不定形の複合凝
集体が得られたので、それを自動乳鉢(またはボールミ
ル)で微粉砕し、篩で分級して100〜325メッシュ
の粒度のものを取得した。ついでこの複合凝集体の粒子
を、恒温乾燥器または電気炉にて100℃で3時間加熱
処理し、複合体粒子(X) を得た。
【0068】〈機能性成形物〉成形用樹脂(Y) の一例と
してのポリプロピレン、6−ナイロンまたはポリエステ
ル(ポリエチレンテレフタレート)50部に、上記で得
た複合体粒子(X) 50部を配合してまずマスターバッチ
を得た。
【0069】ついで成形用樹脂(Y) の一例としてのポリ
プロピレン、6−ナイロンまたはポリエステル(ポリエ
チレンテレフタレート)のペレット84部と、このマス
ターバッチ16部とを混合してから、溶融押出すること
により、モノフィラメント状の機能性成形物を得た。そ
してこのモノフィラメントを用いて、空調機または空気
清浄機の前面フィルターを作製した。なお、成形用樹脂
(Y) と複合体粒子(X)との合計量に占める機能性成分(a)
(粗製物として)の割合は、配合時基準で、実施例9
〜13とも2.30%となるようにした。
【0070】比較例3〜4 ポリプロピレンまたはポリエステルに、直接上記の機能
性成分(a) を2.30%宛配合して溶融押出することにより
モノフィラメントを成形し、ついでフィルターを作製し
た。
【0071】〈条件および結果〉条件および結果を表3
に示す。表中の略号は次の通りである。PP: ポリプロピ
レン、Ny:6−ナイロン、PET:ポリエステル、Cat : カ
テキン30%品、Sap :純度70%茶サポニン、Ext :
茶葉の熱水抽出物の乾燥粉末。
【0072】
【表3】 実 施 例 比較例 9 10 11 12 13 3 4 (X) 作製法 5 5 5 5 5 − − (X):(a) Cat Sap Ext Cat Sap Cat Sap (Y) PP PP Ny PET PET PP PET (a) 量 (%) 水洗前 2.2 2.2 2.2 2.1 2.0 1.8 1.7 水洗後 2.0 2.0 1.9 1.9 1.8 0.2 0.3 注:(X) は複合体粒子、(a) は機能性成分。 (Y) は成形用樹脂。
【0073】
【発明の効果】作用の項でも述べたように、本発明の機
能性成形物にあっては、カテキン類等の機能性成分(a)
およびセラミックス成分(b) (殊にこれらからできた複
合体粒子(X) )が配合された成形用樹脂(Y) を溶融成形
したものである。この機能性成形物にあっては、カテキ
ン類等の機能性成分(a) がセラミックス成分(b) と共存
して(好ましくは複合体粒子(X) として)耐水化固定が
なされているので、水洗を行ったり水と接触する用途に
用いたりしても、その機能性成分(a) が容易には溶出せ
ず、従って抗微生物性や脱臭性などの機能性が長期にわ
たり持続する。人体と接触する用途に用いたときは、生
理活性(抗アレルギー性や抗酸化性)も奏される。
【0074】また、機能性成分(a) が一定温度以上で揮
発する性質を有するものであっても、セラミックス成分
(b) と共存しているため(好ましくは複合体粒子(X) を
形成しているため)、成形用樹脂(Y) に配合して溶融成
形に供したときに機能性成分(a) が揮発により失われが
たく、溶融成形性の確保および比較的高価な機能性成分
(a) の節約の点でも有利である。そのほか、セラミック
ス成分(b) の存在は、温湿度変化などの環境変化に対す
る成形物の耐性向上(寸法安定性や耐熱性の向上)に貢
献するという利点もある。
フロントページの続き (72)発明者 佐野 昌隆 静岡県浜松市大山町4083−1

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カテキン類、サポニン類、茶葉粉末、茶葉
    抽出物およびタンニン(酸)よりなる群から選ばれた抗
    微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) とセラミ
    ックス成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) の溶融成
    形物からなる機能性成形物。
  2. 【請求項2】機能性成分(a) とセラミックス成分(b) と
    が、これらの複合体粒子(X) の形で成形用樹脂(Y) に配
    合されている請求項1記載の機能性成形物。
  3. 【請求項3】複合体粒子(X) が、機能性成分(a) を含有
    する状態でセラミックス成分(b) が凝集した複合凝集体
    の粒子である請求項2記載の機能性成形物。
  4. 【請求項4】セラミックス成分(b) が、セラミックス粒
    子(b1)、無機質焼結助剤(b2)および無機質凝集剤(b3)を
    組み合わせたもの、無機質焼結助剤(b2)および無機質凝
    集剤(b3)を組み合わせたもの、または含水ケイ酸ゲルを
    経て得られるシリカゲルからなる請求項1〜3のいずれ
    か1つに記載の機能性成形物。
  5. 【請求項5】溶融成形物の形状がフィラメント状または
    フィルム状である請求項1記載の機能性成形物。
  6. 【請求項6】カテキン類、サポニン類、茶葉粉末、茶葉
    抽出物およびタンニン(酸)よりなる群から選ばれた抗
    微生物性または脱臭性を有する機能性成分(a) とセラミ
    ックス成分(b) とが配合された成形用樹脂(Y) を溶融成
    形することを特徴とする機能性成形物の製造法。
  7. 【請求項7】機能性成分(a) とセラミックス成分(b) と
    が、これらの複合体粒子(X) の形で成形用樹脂(Y) に配
    合されている請求項6記載の製造法。
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