JP2000203961A - Alc製造用ポルトランドセメントおよびalcの製造方法 - Google Patents
Alc製造用ポルトランドセメントおよびalcの製造方法Info
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Abstract
ポルトランドセメントクリンカーに特定な範囲に添加し
たものであることから、ALCスラリーの初期における
粘度が低いものとなり、同一型枠中での発泡高さの差が
小さくなり、さらに気泡が均一になり、補強鉄筋の周
辺、特に鉄筋の上方の空隙の発生を防止することが期待
でき、また鋳込温度を40〜50℃とすることが可能と
なることから、早期に十分な硬度に達するため生産性が
高いALC製造用セメントおよびALC製造用セメント
の製造方法を提供する。 【解決手段】 ALCの製造方法において、使用するポ
ルトランドセメント中の石膏が、SO3換算で20〜8
0重量%が半水石膏であることを特徴とする。また得ら
れたALC製造用セメントを用いたALCの製造方法を
特徴とする。
Description
ラリーを注入した後、アルミニウム粉末の反応による発
泡が終了するまでの間低粘度を保つことができる軽量気
泡コンクリート(以下「ALC」という)を製造するた
めのポルトランドセメントおよびALCの製造方法に関
するものである。
などの珪酸原料粉末と、生石灰などの石灰質原料粉末
と、ポルトランドセメントとからなる配合原料に水を加
えて混合し、つぎにこれにアルミニウム粉末のような発
泡剤を添加してALCスラリーを調製し、ついでこのス
ラリーを鉄筋を組み込んだ型枠に注入して発泡させ、さ
らに所定時間経過して半可塑性状態となった時に、ピア
ノ線で所望寸法に切断し、その後この半可塑性体をオー
トクレーブに入れて高温高圧で水蒸気養生して製品を得
るという方法により製造されている。
しい条件としては、ALC製造用の配合原料から得られ
るALCスラリーは型枠に注入した後発泡が終了するま
では低い粘度を保つことである。その理由は、ALCス
ラリーが高粘度になると発泡が乱れ、気泡の大きさが不
均−になるとともに、その分布も偏った状態となってし
まうからである。特に、高粘度の状態でALCスラリー
が発泡した場合、発泡方向の上部の補強鉄筋上に空洞が
発生し易くなり、この空洞が発生するとALCと補強鉄
筋との付着力が低下し、建築物としての強度にも悪影響
を及ぼす恐れがある。
幅1.5m、高さ0.65mの型枠の一定位置から鋳込
まれ直ちに発泡を開始するが、発泡過程において該AL
Cスラリーの粘度が高い場合、発泡高さが均一になるよ
う流動することができず、スラリー鋳込口付近とそれよ
り離れた部位で高さに差を生じ、特に発泡高さが不足し
ている部位では補強鉄筋が露出したり、製品ALCの寸
法が不足したりする問題も発生する。
ALCスラリーの粘度を調べた結果、例えばレオゼット
粘度計HB(ブルックフィールド社(製):商品名)に
よりNO.21の回転子を用いて1rpmの回転速度で
測定した場合、発泡がほぼ終了する鋳込後30分間にお
いて該粘度が100Pa・sec以下になることが必要
であることが判明した。ALCスラリーの粘度に影響を
与える要因には種々考えられるが、原料として使用され
るポルトランドセメントの特性が最も大きいことが明ら
かとなり、ALCスラリー粘度を低くできるポルトラン
ドセメントが望まれるようになった。
には、含有鉱物である3CaO・Al2O3(通常C3
Aと略記する)は、水と接すると急激に水和反応を起こ
し、こわばりを生ずる。通常のポルトランドセメントク
リンカーにはこのこわばりを防止して安定な凝結時間を
得るために二水石膏が添加されている。二水石膏は、ポ
ルトランドセメントクリンカーと混ぜて仕上げミルにて
粉砕され、粉砕時の熱で結晶水を失い一部が半水石膏と
なっている。
3Aと反応して水に難溶性の鉱物であるエトリンガイト
を生成する。通常セメントが使用される温度、例えば2
0℃ではC3Aの水和反応は比較的緩やかであるため、
普通セメントと中庸熱ポルトランドセメントについては
2.0重量%、早強ポルトランドセメントについては
3.0重量%、超早強ポルトランドセメントについては
4.0重量%程度の石膏を添加することによりC3A表
面をエトリンガイトで覆うことができ、これによりポル
トランドセメントクリンカーの凝結を遅らせることがで
きる。
性の向上のため、鋳込温度を40〜50℃の高温に保っ
てポルトランドセメントの水和反応を加速し、ALCス
ラリーが型枠に注入された後硬化するまでの時間を生産
ラインに合わせて短縮する必要がある。鋳込温度を40
〜50℃まで上昇させると、C3Aの水和反応がさらに
活発になるが、二水石膏の溶解度は温度が上昇しても殆
ど増加しないため、C 3Aの水和反応に対してエトリン
ガイトを生成させるためのSO4 2−イオンの供給が追
いつかなくなり、C3A表面をエトリンガイトで覆うこ
とができなくなる。したがってC3Aの反応はさらに急
激に進行し、ALCスラリーの粘度が高くなる。
で、混練水を増加させることなくALCスラリーの型枠
への注入後発泡が終了するまでの間低粘度を保つことが
できるALC製造用ポルトランドセメントおよびALC
の製造方法を提供することを目的とするものである。
ラリーの型枠への注入後発泡が終了するまでの間低粘度
を保つことができるALC製造用ポルトランドセメント
について種々研究した結果、原料であるポルトランドセ
メントにおけるクリンカーに添加する石膏に着目し、こ
の石膏の種類とその添加量を特定することにより上記の
課題を解決することを見出し本発明を完成するに至っ
た。
の第1の実施態様に係るALC製造用ポルトランドセメ
ントは、ALCの製造方法において、使用するポルトラ
ンドセメント中の石膏が、SO3換算で20〜80重量
%が半水石膏であることを特徴とするものである。そし
て本発明のALC製造用ポルトランドセメントでは、使
用するポルトランドセメントが、該セメント中の3Ca
O・SiO2の含有率Y(重量%)とブレーン比表面積
X(cm2/g)との関係が、 X≦4000、 58≦Y≦70 および、94−0.012・X≦Y≦114−0.01
2・Xを満足するセメント(以下「低ブレーン早強ポル
トランドセメント」という)であるか、または普通ポル
トランドセメント、早強ポルトランドセメントあるいは
超早強ポルトランドセメントであることを特徴とする。
の製造方法は、前記第1の実施態様に係るALC製造用
ポルトランドセメントを使用することを特徴とするもの
である。
トが普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメ
ント、超早強ポルトランドセメントの場合の全石膏添加
量はSO3換算で、JIS R 5210規定に準ずる
ものでよい。すなわちポルトランドセメント中のSO3
換算で、中庸熱ポルトランドセメントおよび普通ポルト
ランドセメントで3.0重量%以下、早強ポルトランド
セメントで3.5重量%以下、超早強ポルトランドセメ
ントで4.5重量%以下である。また使用するポルトラ
ンドセメントが前記低ブレーン早強ポルトランドセメン
トの場合は、比表面積3300cm2/g以上の場合
3.5重量%以下、比表面積3300cm2/g未満の
場合3.0重量%以下である。
メントは、該ポルトランドセメントクリンカーに添加さ
れる石膏添加量のうち、SO3換算で20〜80重量%
が半水石膏であることが必要である。
ドセメントを使用することにより、ALCスラリーの型
枠への注入後発泡が終了するまでの間低粘度を保つこと
ができるALCを容易に製造することが可能となった。
セメント中の石膏が、SO3換算で20〜80重量%が
半水石膏であることを特徴とするものである。ALCス
ラリーの40〜50℃における半水石膏の溶解度は二水
石膏のそれの約3〜4倍である。そのため特定量の半水
石膏を使用すれば、半水石膏からSO 4 2−イオンが速
やかに供給され、C3A表面がエトリンガイトで覆わ
れ、ポルトランドセメントのこわばりが防止され、AL
Cスラリーの粘度を低く抑えることができる。
算で20〜80重量%と規定したのは、20重量%未満
ではSO4 2−イオンの供給量が少なく、ポルトランド
セメントのこわばりを遅らせることが困難であり、一方
80重量%を超えると溶解した半水石膏のうちエトリン
ガイト生成に使用されない過剰分が二水石膏として再析
出する時に、針状結晶として再析出して逆にALCスラ
リー粘度を高くしてしまうためである。
ントとしては、前記低ブレーン早強ポルトランドセメン
ト、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメ
ントあるいは超早強ポルトランドセメントを挙げること
ができる。
説明する。全ての実施例および比較例において、珪酸質
原料としての珪石粉末55重量%と、石灰質原料として
の生石灰10重量%と、ポルトランドセメント35重量
%とに水70重量部を加えて混合し、発泡剤としてアル
ミニウム粉末0.07重量部を加えて混合してALCス
ラリーを調製した。ついで該ALCスラリーを長さ6
m、幅1.5m、高さ0.65mの型枠の長手方向の一
端部から鋳込んだ。
加する半水石膏の比率を変えて配合原料を作製したが、
これをまとめて実施例および比較例として表1に示す。
ここで低ブレーン早強ポルトランドセメントについて
は、粉末度3300cm 2/g未満については早強ポル
トランドセメントのJISより外れるが、ここでは粉末
度が規格値内であれば早強ポルトランドセメントの規格
を満足するセメントクリンカーを用いた試製セメントと
して低ブレーン早強ポルトランドセメントという呼び方
を用いている。
フィールド社(製):商品名)によりNO.21の回転
子を用いて1rpmの回転速度で、発泡がほぼ終了する
鋳込後30分間の粘度を測定した。また図1に示される
ように、型枠の長さ6m方向においてALCスラリー鋳
込側とその反対側との最終発泡高さを測定した。さらに
得られたALCパネルを図2に示す通り、長手方向の任
意位置にて5箇所、60cm幅方向に切断し、切断面に
露出したそれぞれの補強鉄筋上の空洞をトレーシングペ
ーパーに写し取り、画像処理装置にて面積を測定し、平
均値を求めた。そしてこれらの測定結果も表1に併せて
示した。
それぞれの同種類ポルトランドセメントを用いた場合の
比較例に比べていずれの場合も粘度が低下し、100P
a・sec以下となっており、ALCの製造に適した特
性を有していた。また発泡高さについても、同種類のポ
ルトランドセメントを用いた場合の比較例に比べて、本
発明の実施例では鋳込側と反対側との差が小さくなって
いた。なおNo.39、40の比較例では、鋳込口と反
対側の発泡が製品幅の60cmを下回り不良品となっ
た。さらに補強鉄筋上部の空洞面積についても、同種類
のポルトランドセメントを用いた場合の比較例に比べ
て、本発明の実施例ではその面積が極めて小さくなって
いた。すなわち本発明によるポルトランドセメントを使
用した場合、ALCスラリーの発泡過程における粘度上
昇を低く抑えることが可能となることが分かった。
50℃での溶解度が大きい半水石膏をポルトランドセメ
ントクリンカーに特定な範囲に添加したものであること
から、ALCスラリーの初期における粘度が低いものと
なり、同一型枠中での発泡高さの差が小さくなる。また
気泡が均一になり、補強鉄筋の周辺、特に鉄筋の上方の
空隙の発生を防止することが期待でき、また鋳込温度を
40〜50℃とすることが可能となることから、早期に
十分な硬度に達するため生産性が高く、ALC製造用の
ポルトランドセメントとしてきわめて好適となる。
とその反対側との最終発泡高さの状態を示す説明図であ
る。
所、60cm幅方向に切断し、切断面に露出したそれぞ
れの補強鉄筋上の空洞を模式的に示す概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 ALCの製造方法において、使用するポ
ルトランドセメント中の石膏が、SO3換算で20〜8
0重量%が半水石膏であることを特徴とするALC製造
用ポルトランドセメント。 - 【請求項2】 使用するポルトランドセメントが、該セ
メント中の3CaO・SiO2の含有率Y(重量%)と
ブレーン比表面積X(cm2/g)との関係が、 X≦4000、 58≦Y≦70 および、94−0.012・X≦Y≦114−0.01
2・Xを満足するセメントであることを特徴とする請求
項1記載のALC製造用ポルトランドセメント。 - 【請求項3】 使用するポルトランドセメントが、普通
ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントまた
は超早強ポルトランドセメントであることを特徴とする
請求項1記載のALC製造用ポルトランドセメント。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載のAL
C製造用ポルトランドセメントを使用することを特徴と
するALCの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000035118A JP3318305B2 (ja) | 1998-12-25 | 2000-02-14 | Alc製造用ポルトランドセメントおよびalcの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000035118A JP3318305B2 (ja) | 1998-12-25 | 2000-02-14 | Alc製造用ポルトランドセメントおよびalcの製造方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36996198A Division JP3058627B1 (ja) | 1998-12-25 | 1998-12-25 | Alc製造用ポルトランドセメントおよびalcの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3318305B2 JP3318305B2 (ja) | 2002-08-26 |
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ID=18559362
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JP2000035118A Expired - Lifetime JP3318305B2 (ja) | 1998-12-25 | 2000-02-14 | Alc製造用ポルトランドセメントおよびalcの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3318305B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008214536A (ja) * | 2007-03-06 | 2008-09-18 | Ube Ind Ltd | 油井セメント組成物およびその製造方法 |
JP2017154947A (ja) * | 2016-03-03 | 2017-09-07 | 太平洋セメント株式会社 | 石膏の選別方法、およびポルトランドセメントの製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10152359A (ja) * | 1996-11-22 | 1998-06-09 | Ube Ind Ltd | 高流動性セメント組成物 |
-
2000
- 2000-02-14 JP JP2000035118A patent/JP3318305B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
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JP2008214536A (ja) * | 2007-03-06 | 2008-09-18 | Ube Ind Ltd | 油井セメント組成物およびその製造方法 |
JP2017154947A (ja) * | 2016-03-03 | 2017-09-07 | 太平洋セメント株式会社 | 石膏の選別方法、およびポルトランドセメントの製造方法 |
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