JP2000203935A - 異方形状粒子の製造方法及び単結晶異方形状粒子 - Google Patents

異方形状粒子の製造方法及び単結晶異方形状粒子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子配向成形及び焼成等の手段により,容易
にバルク配向セラミックスを合成可能な異方形状粒子の
製造方法及び単結晶異方形状粒子を提供すること。 【解決手段】 異方形状を持ち,結晶構造Aを有するテ
ンプレート粒子と,上記結晶構造Aと類似した結晶構造
A’を有すると共に任意の組成を有する生成物へと上記
テンプレート粒子を変換することができる生成物用原料
とを準備し,溶液または融液中において,上記テンプレ
ート粒子の結晶面あるいは上記テンプレート粒子の結晶
軸の配向を鋳型としながら,生成物よりなる異方形状粒
子を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,結晶構造の特定面方向に広がっ
た板状等の異方形状,あるいは結晶構造の特定軸方向に
伸長した針状等の異方形状を有する単結晶または多結晶
粒子である異方形状粒子の製造方法及びこの方法により
製造された単結晶異方形状粒子に関する。
【0002】
【従来技術】ペロブスカイト型構造は異方性の小さい結
晶構造である。通常合成方法(例えば固相合成法,液相
合成法等)でペロブスカイト型構造の化合物の粉末粒子
を合成した場合,該粉末粒子は擬球体形状,あるいは擬
立方体形状のような異方性の小さい形状となることが知
られている。
【0003】一方,ペロブスカイト型構造の化合物より
なる異方形状の粉末粒子として,針状チタン酸バリウム
(特開昭62−55243号),針状チタン酸ジルコン
酸鉛(T.Kimura et.al.,J.Mat.Sci.,27,p1479(1992))
等が報告されている。針状チタン酸バリウムは,K2
・nTiO2で表されるチタン酸カリウム繊維とバリウ
ムの酸化物とを混合,焼成することで合成できるとされ
ている。また,針状チタン酸ジルコン酸鉛は,ZrTi
4針状粒子と酸化鉛とを混合,焼成することで合成で
きるとされている。
【0004】
【解決しようとする課題】上記従来技術において合成に
使用されたチタン酸カリウム繊維,ZrTiO4針状粒
子は,ペロブスカイト構造とは異なるTi−O,あるい
はZr−O結合骨格を有する。このため,これらの物質
よりペロブスカイト構造の化合物を生成する際には,T
i−O,あるいはZr−O結合骨格の再配列を伴う。
【0005】実際に,上記針状チタン酸ジルコン酸鉛は
多結晶針状粒子となることが文献内に明記されており,
Ti−O,Zr−Oの再配列に伴って,単結晶ZrTi
4が多結晶化したと理解できる。すなわち,チタン酸
カリウム,ZrTiO4の結晶配向を保持したままでペ
ロブスカイト化合物を生成することは極めて困難と考え
られる。
【0006】このため,上記従来技術より合成された異
方形状粒子から,通常の粒子配向成形及び焼成による方
法(J.Am.Ceram.Soc.,Vol.72,No.2,pp289-93,1989)を
利用した配向度の大きいバルク配向セラミックスの作成
は非常に困難であった。
【0007】バルク配向セラミックスは結晶方位が揃っ
ているため,多結晶でありながら単結晶なみの高い圧電
性,誘電性,電気光学特性等を持つことが予想される。
このため,これら特性を利用した各種デバイスの性能を
大きく高めることができる。そのため,このようなバル
ク配向セラミックス作成の原料となる異方形状粒子が望
まれていた。
【0008】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,粒子配向成形及び焼成等の手段により,
容易にバルク配向セラミックスを合成可能な異方形状粒
子の製造方法及び単結晶異方形状粒子を提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,異方形状
を持ち,結晶構造Aを有するテンプレート粒子と,上記
結晶構造Aと類似した結晶構造A’を有すると共に任意
の組成を有する生成物へと上記テンプレート粒子を変換
することができる生成物用原料とを準備し,溶液または
融液中において,上記テンプレート粒子の結晶面あるい
は上記テンプレート粒子の結晶軸の配向を鋳型としなが
ら,生成物よりなる異方形状粒子を得ることを特徴とす
る異方形状粒子の製造方法にある。
【0010】上記結晶構造Aは,最終的に結晶構造A’
を有する生成物を生成可能であれば,いかなる結晶構造
であってもかまわない。また,本発明の効果を活かすた
めには,結晶構造A’は異方性が小さく,異方形状粒子
を作成し難い構造であることが好ましい。また,上記異
方形状としては,針状形状,繊維形状,板状形状,長円
形状,鱗片形状,短冊形状等が挙げられる。また,上記
異方形状を有するテンプレート粒子としては,フラック
ス法,溶液法等の液相を介する方法,またはCVD等の
気相を介する方法により合成されたものを使用すること
ができる。
【0011】また,上記テンプレート粒子と上記生成物
との間には組成的な制約がある。上記テンプレート粒子
は,得ようとする生成物の組成の少なくとも一部を含む
化合物であることが必要である。そして,生成物用原料
としては,生成物を得るためにテンプレート粒子におい
て不足している元素の酸化物,炭酸塩,硝酸塩,水酸化
物,アルコキシド,ゾル等の各種化合物や混合物等を使
用することができる。
【0012】例えば,実施形態例で示すようにBi0.5
(Na0.85K0.150.5TiO2を生成物として得ようと
する場合には,テンプレート粒子として,Bi4Ti3
12板状粒子,生成物用原料としてTiO2,Na2
3,KCO3を使用することができる。
【0013】上記テンプレート粒子の配向を鋳型としな
がら生成物よりなる異方形状粒子を作製する際に利用さ
れる上記溶液または融液について,説明する。上記融液
を利用する方法としてはフラックス法が挙げられる。こ
の方法においては,融液を構成するフラックス成分とテ
ンプレート粒子,生成物用原料等よりなる混合物を加熱
して,フラックス成分を融液となして,この融液中でテ
ンプレート粒子や生成物用原料を加熱して,生成物を生
成させる。
【0014】本発明においては,上記フラックス成分と
して,通常のフラックス法に使用される物質と同様に,
塩化物,硫化物,酸化物等を用いることができる。ただ
し,上記フラックス成分としては,テンプレート粒子,
生成物用原料,生成物等と反応しない物質を選ぶ必要が
ある。また,生成した異方形状粒子とフラックス成分と
を,水洗等で分離することができるように,上記フラッ
クス成分としては,水,酸またはアルカリの溶液に溶解
する物質を用いることが好ましい。
【0015】また,融液中において,上記テンプレート
粒子の結晶面あるいは上記テンプレート粒子の結晶軸の
配向を鋳型としながら,生成物よりなる異方形状粒子を
得る際の温度は,上記フラックス成分の融点以上の温度
で行うことが好ましい。温度が融点未満である場合に
は,フラックス成分が融液とならないため,テンプレー
ト粒子と生成物用原料との間で固相反応が発生し,バル
ク配向セラミックスを合成可能な異方形状粒子が得られ
なくなるおそれがある。
【0016】ただし,上記温度が高すぎる場合,テンプ
レート粒子の融液に対する溶解が発生するおそれがある
ため,温度の上限はフラックス成分の融点+400℃以
下の温度で行うことが好ましい。
【0017】また,上記溶液を利用する方法としては,
水熱法等の水溶液法が挙げられる。この方法は,生成物
用原料を含む溶液中にテンプレート粒子を懸濁させ,5
0℃〜400℃の温度で熱処理する方法である。また,
生成物用原料は反応時に水溶すればよいため,生成物用
原料を含む溶液は室温では原料の懸濁溶液であってもよ
い。この場合の生成物用原料としては,酸化物,炭酸
塩,硝酸塩,水酸化物,アルコキシド,ゾル等の中で,
特に水溶液に溶け込み易いものを使用することが好まし
い。
【0018】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明において最も注目すべきことは,溶液または融液中に
おいて,上記テンプレート粒子の結晶面あるいは上記テ
ンプレート粒子の結晶軸の配向を鋳型としながら,生成
物よりなる異方形状粒子を得ることである。
【0019】溶液または融液中ではテンプレート粒子と
反応する生成物用原料の拡散が促進され,テンプレート
粒子と生成物用原料との反応がより低い温度で可能とな
る。また,固相法の場合では接触点からの拡散反応によ
り反応が進行するため,得られる生成物は無定形となり
易い。しかし,溶液または融液中では生成物用原料の拡
散,移動の容易さのため,テンプレート粒子の形状を保
ったままでの反応が進行し,テンプレート粒子形状を保
持して,生成物の異方形状粒子を容易に作成できるので
ある。
【0020】このような異方形状粒子では,テンプレー
ト粒子の結晶構造の骨格構造を保持したまま生成物に変
換されるため,テンプレート粒子における特定面に対応
して生成物の特定面が形成される。このため,生成物で
ある異方形状粒子を配向成形することで生成物の特定面
が配向した成形体を得ることができる。これを焼成すれ
ば容易にバルク配向セラミックスを得ることができる。
【0021】以上,本発明によれば,粒子配向成形及び
焼成等の手段により,容易にバルク配向セラミックスを
合成可能な異方形状粒子の製造方法を提供することがで
きる。
【0022】このように本発明にかかる製造方法により
得られた異方形状粒子はバルク配向セラミックス製造用
の原料として優れている。その他にも,本発明により得
られた異方形状粒子は,母材に分散粒子が分散して構成
された複合材料の分散粒子として用いることができる。
この場合,本発明にかかる異方形状粒子を用いること
で,分散粒子が粒子配向した状態で母材に対し分散した
複合材料とすることができる。このため,分散粒子に由
来する機能の向上が大いに期待できる。
【0023】次に,請求項2に記載の発明のように,上
記結晶構造A’はペロブスカイト型であることことが好
ましい。圧電,焦電,誘電,イオン伝導,電子伝導等,
結晶方位に依存する特性を有するペロブスカイト型化合
物よりなるバルク配向セラミックスは,特定方向に配向
していることから,上述した諸特性に優れたセラミック
スとなる。
【0024】そして,上記結晶構造A’がペロブスカイ
ト型である本請求項により得られた異方形状粒子を用い
ることで,容易にペロブスカイト型結晶構造を持つ多結
晶のバルク配向セラミックスを得ることができる。
【0025】次に,請求項3の発明は,異方形状を持
ち,結晶構造Aを有するテンプレート粒子と,上記結晶
構造Aと類似した結晶構造A’を有すると共に任意の組
成を有する生成物へと上記テンプレート粒子を変換する
ことができる生成物用原料とを準備し,溶液または融液
中において,上記テンプレート粒子の結晶面あるいは上
記テンプレート粒子の結晶軸の配向を鋳型として作製さ
れ,かつ上記生成物よりなることを特徴とする単結晶異
方形状粒子にある。
【0026】単結晶異方形状粒子は粒子内に粒界を含ま
ないため,焼結体原料,あるいは分散粒子として用いら
れる時の混合,分散処理において粒界破壊を原因とする
異方形状の喪失が生じにくい。つまり,処理を通じて異
方形状を保つことが可能であることから,このものを配
向成形することで生成物の特定面が配向した成形体が得
られ,該成形体を焼成すれば容易にバルク配向セラミッ
クスを得ることができる。
【0027】また,上記単結晶異方形状粒子を母材に対
し分散させ,分散粒子として用いた場合,粒界を含まな
いため,母材との分散処理の際に異方形状の喪失が生じ
にくい。このため,単結晶異方形状粒子が粒子配向した
状態で母材に分散した複合材料を容易に得ることができ
る。
【0028】また,本発明の単結晶異方形状粒子は,溶
液または融液中において,上記テンプレート粒子の結晶
面あるいは上記テンプレート粒子の結晶軸の配向を鋳型
として製造されているため,テンプレート粒子における
特定面に対応した方向に成長した単結晶により構成され
ている。このため,特定面が配向した成形体が作成容易
である。つまり,容易にバルク配向セラミックを単結晶
異方形状粒子を用いて作成できる。
【0029】以上,本発明によれば,粒子配向成形及び
焼成等の手段により,容易にバルク配向セラミックスを
合成可能な単結晶異方形状粒子を提供することができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる異方形状粒子の製造方法に
つき,図1〜図5を用いて説明する。本例にかかる製造
方法の概略について説明すると,異方形状を持ち,結晶
構造Aを有するテンプレート粒子と,上記結晶構造Aと
類似した結晶構造A’を有すると共に任意の組成を有す
る生成物へと上記テンプレート粒子を変換することがで
きる生成物用原料とを準備する。なお,この結晶構造A
はBi層状ペロブスカイト構造,A’はペロブスカイト
型構造である。
【0031】準備したこれらの物質を,融液中におい
て,上記テンプレート粒子の結晶面あるいは上記種結晶
の結晶軸の配向を鋳型としながら生成物よりなる異方形
状粒子となす。
【0032】つまり,本例においては,{001}面
(正方晶表示)の発達したBi4Ti312(BIT)板
状粒子をテンプレート粒子として用い,Bi0.5(N
a,K)0 .5TiO3(BNKT)という生成物よりなる
異方形状粒子を作製する。使用した生成物用原料は,N
2CO,K2CO3,TiO2である。
【0033】これらテンプレート粒子,生成物用原料を
全体として生成物と同一の組成となるように秤量,混合
した。さらに融液を形成するためのフラックス成分を加
えて,加熱した。この加熱により,融液中において,B
4Ti312+2(Na2CO3,K2CO 3)+5TiO2
→Bi0.5(Na,K)0.5TiO3+2CO2の反応が進
行し,最終的に生成物よりなる異方形状粒子を得ること
ができる。
【0034】以下,本例にかかる異方形状粒子の製造方
法,得られた異方形状粒子について詳細に説明する。ま
ず,BIT板状粒子の合成法について説明する。BIT
板状粒子は,KClとNaClの混合塩をフラックス成
分とするフラックス法により合成した。原料粉末である
Bi23およびTiO2を4:3のモル比で混合し,さ
らにNaCl:KClを1:1のモル比で混合したフラ
ックス成分を原料粉末と等重量加えて再混合して混合原
料とした。
【0035】続いて,上記混合原料を白金坩堝に入れ
て,1050℃で熱処理し,室温に冷却後,塩化物を除
去するために反応物を80℃のイオン交換水にて繰り返
し洗浄し,BIT単相の粉末を得た。得られた粉末のS
EM(走査型電子顕微鏡)写真を図1に示した。
【0036】粉末の各粒子は,厚さ0.5μm程度,径
5〜20μmの板状形状であった。また,X線回折測
定,TEM(透過型電子顕微鏡)観察により各粒子は単
結晶粒子であり,かつ発達した面がBITの{001}
面(擬正方晶表示)であることが確認された。
【0037】次に,BNKT板状粒子の合成法について
説明する。上記BIT板状粒子,TiO2,Na2CO3
およびK2CO3を10:50:19:3のモル比で混合
し,原料粉末となし,さらにNaCl:KClを1:1
のモル比で混合した混合物よりなるフラックス成分を上
記原料粉末を等重量加えて再混合して混合原料とした。
【0038】続いて,上記混合原料を白金坩堝に入れ
て,フラックス成分の融解温度に近い700℃あるいは
800℃で1時間の熱処理を行った。熱処理後,BIT
粒子を合成した際と同様に,塩化物を除去し,生成物を
得た。得られた生成物のX線回折測定を行って,図2に
記載した。
【0039】同図より知れるごとく,温度700℃で加
熱した場合も,800℃で加熱した場合も,共にBIT
以外にBNKTの生成が確認された。特に800℃で熱
処理した場合には,BITに相当する回折線の強度は著
しく低下し,BITからBNKTへの反応がほぼ完了し
ていることがわかった。
【0040】また,800℃で熱処理することで得られ
た生成物をSEMにて観察し,図3に示した。同図よ
り,生成物は板状形状を有する粒子よりなることがわか
った。
【0041】このように,層状ペロブスカイト構造を有
する化合物の板状粒子(テンプレート粒子)を融液中で
処理することにより,テンプレート粒子の形状を保った
まま,目的のペロブスカイト構造を有する生成物を合成
することができた。また,上記生成粒子をTEM(透過
型電子顕微鏡)を用いて観察したところ,各粒子が単結
晶及び/または擬単結晶(分域が存在するもの,僅かに
角度のずれた分域を含むもの)であることが確認され
た。また,上記生成物の板状粒子における板状面はペロ
ブスカイト構造の{100}面(擬立方晶表示)に相当
することが分かった。
【0042】また,上記方法より得られた生成物をドク
ターブレード法を用いテープ成形し,更にテープ成形物
を積層圧着し,ブロック状の成形体となし,脱脂,焼成
し,バルクセラミックスを得た。このものに対しX線回
折測定を行って調べたところ,積層面に平行にペロブス
カイト型結晶構造の{100}面(擬立方晶表示)が優
先配向していることが確認された。
【0043】次に,本例に対する比較例として,上記B
IT板状粒子,上記生成物用原料を用い,固相法によっ
てBNKTを合成した例について,以下に説明する。上
記BIT板状粒子,TiO2,Na2CO3およびK2CO
3を10:50:19:3のモル比で混合し,これを7
00℃,または800℃で熱処理した。得られた生成物
のX線回折測定を行い,図4に記載した。同図より知れ
るごとく,本例と同様にBIT以外にBNKTの生成が
確認された。また,固相法で合成した場合も800℃の
熱処理でBITに相当する回折線の強度は著しく低下
し,BITからBNKTへの反応がほぼ完了しているこ
とがわかった。
【0044】上記生成粒子をSEMにて観察し,この結
果を図5に記載した。同図によれば,生成粒子は板状で
はなく等方的な形状であることが分かった。このよう
に,固相法のように液相を介さない合成法では,テンプ
レート粒子の形状を保持してペロブスカイト構造を有す
る生成物よりなる異方形状粒子へと変換することが困難
であることがわかった。
【0045】次に,本例にかかる作用効果について説明
する。本例において,テンプレート粒子としてBIT板
状粒子を使用した。このものは,{001}面(正方晶
表示)の発達した粒子で,結晶構造はBi層状ペロブス
カイト型結晶構造である。
【0046】上記のようにBIT板状粒子からBNKT
を合成した場合,生成されたBNKT粒子はBITの板
状形状をそのまま踏襲することができる。この際に,B
IT板状粒子における{001}面(正方晶表示)はB
NKTにおける{100}面(立方晶表示)へと変換さ
れるため,BNKTは,ペロブスカイト構造の{10
0}面が発達した板状粒子となる。BITは{001}
面と平行な面内にペロブスカイト構造層を有しており,
上記プロセスでは,骨格構造となるペロブスカイト構造
層をそのまま残してBNKTへと変換される。よって,
上述したごとく,BITの{001}面がこれと相似構
造を持つペロブスカイト構造の{100}面に変換され
るのである。
【0047】従って,本例の製造方法による生成物は,
ペロブスカイト型構造の特定の結晶面が広がった板状粒
子となる。このような板状粒子に対し粒子配向成形を行
うことで,成形体の各粒子が上記特定面を揃えて粒子配
向した成形体となり,さらにこれを焼結することで上記
特定面の配向したバルク配向セラミックスとなる。
【0048】以上,本例によれば,粒子配向成形及び焼
成等の手段により,容易にバルク配向セラミックスを合
成可能な異方形状粒子の製造方法を提供することができ
る。
【0049】その他の実施形態例 また,実施形態例1の例に限らず,{001}面(正方
晶表示)が発達したBi層状化合物,Ruddlesden-Poppe
r型化合物等の層状ペロブスカイト構造を有する板状粒
子からは,ペロブスカイト構造の{100}面(立方晶
表示)が発達した板状のペロブスカイト型化合物を合成
することができる。
【0050】また,実施形態例1と同様のプロセスから
は,これに限るものではないが,例えば,Sr3Ti2
7板状粒子からSrTiO3板状粒子,Ca3Ti27
状粒子からCaTiO3板状粒子を生成することができ
る。この場合,テンプレート粒子がSr3Ti27板状
粒子であり,Ca3Ti27板状粒子である。
【0051】また,実施形態例1とは異なる他の例を挙
げると,<001>軸(正方晶表示)が発達したタング
ステンブロンズ型結晶構造を有する針状粒子からは,ペ
ロブスカイト構造の<100>軸(立方晶表示)が発達
した針状粒子を合成することができる。このようなプロ
セスからは,これに限るものではないが,例えば,K4
Nb6 17針状粒子をテンプレート粒子として,(K,
Na)NbO3針状粒子を生成することができる。
【0052】また,{010}面が発達したSr2Nb2
7構造を有する板状粒子あるいは短冊状粒子からは,
ペロブスカイト構造の{110}面が発達した板状ある
いは短冊状粒子を合成することができる。このようなプ
ロセスからは,これに限るものではないが,例えば,L
2Ti27板状粒子をテンプレート粒子として,(P
b,La)TiO3板状粒子を合成することができる。
【0053】このように,Bi層状ペロブスカイト構
造,Ruddlesden-Popper型層状ペロブスカイト構造,S
2Nb27構造,タングステンブロンズ構造等の1次
元,2次元あるいは3次元的に広がったペロブスカイト
構造鎖を有する化合物からなるテンプレート粒子を用い
ることで,ペロブスカイト型結晶構造を有する生成物よ
りなる異方形状粒子を合成することができる。
【0054】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,粒子配
向成形及び焼成等の手段により,容易にバルク配向セラ
ミックスを合成可能な異方形状粒子の製造方法及び単結
晶異方形状粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,テンプレート粒子であ
るBi4Ti312板状粒子の状態を示す図面代用写真
(1000倍)。
【図2】実施形態例1における,本例にかかる異方形状
粒子のX線回折パターンを示す線図。
【図3】実施形態例1における,本例にかかる異方形状
粒子(フラックス法,800℃)の状態を示す図面代用
写真(3750倍)。
【図4】実施形態例1における,比較例にかかる粒子の
X線回折パターンを示す線図。
【図5】実施形態例1における,比較例にかかる粒子
(固相法,800℃)の状態を示す図面代用写真(37
50倍)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/22 A (72)発明者 木村 敏夫 神奈川県横浜市港北区下田町2−1−20 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA04 AA05 AA09 AA11 AA14 AA32 AA35 BA09 BA10 BA14 CA01 CA02 GA07 4G077 AA01 BC41 BC43 CC10 ED02 LA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方形状を持ち,結晶構造Aを有するテ
    ンプレート粒子と,上記結晶構造Aと類似した結晶構造
    A’を有すると共に任意の組成を有する生成物へと上記
    テンプレート粒子を変換することができる生成物用原料
    とを準備し,溶液または融液中において,上記テンプレ
    ート粒子の結晶面あるいは上記テンプレート粒子の結晶
    軸の配向を鋳型としながら,上記生成物よりなる異方形
    状粒子を得ることを特徴とする異方形状粒子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記結晶構造A’は
    ペロブスカイト型であることを特徴とする異方形状粒子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 異方形状を持ち,結晶構造Aを有するテ
    ンプレート粒子と,上記結晶構造Aと類似した結晶構造
    A’を有すると共に任意の組成を有する生成物へと上記
    テンプレート粒子を変換することができる生成物用原料
    とを準備し,溶液または融液中において,上記テンプレ
    ート粒子の結晶面あるいは上記テンプレート粒子の結晶
    軸の配向を鋳型として作製され,かつ上記生成物よりな
    ることを特徴とする単結晶異方形状粒子。
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