JP2000198291A - ボ―ルペンのリフィ―ル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低粘度の油性インキ又は中粘度の水性インキ
を使用した複式筆記具用のボールペンのリフィールであ
って、筆記先端部の乾燥とインキの直流、逆流、衝撃下
の筆記掠れが防止されると共に、手帳等の細書き筆記に
適した複式筆記具を提供可能とする。 【構成】 当該ボールペンのリフィールは、透明な樹脂
成形品から成る継ぎ手の先端に先端ボールを抱持したボ
ールペンのチップを、後方にインキ収容管を有し、スプ
リングの先端で先端ボールの背面を押圧して先端ボール
がチップのボール抱持部の内縁に密接され、インキ収容
管には低粘度の油性インキ又は基本的には低粘度である
が、静的には高い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回
転で粘性が低下してインキが流出される、所謂剪断減粘
性を有した水性インキが充填され、インキの後端にはイ
ンキの消耗と共に追随するグリース状の半透明不乾性物
から成るフォロアが設けられ、更にボールペンのリフィ
ールの最大外径が３〜３．５ｍｍの範囲に設定されたこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、低粘度の油性インキ又
は基本的には低粘度であるが、静的には高い粘性を有
し、筆記時のボールの回転で粘性が低下してインキが流
出される、所謂剪断減粘性を有する水性インキ（以下中
粘度と呼ぶ）を使用した複式筆記具に搭載されるボール
ペンのリフィールに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ボールペン等の複数の筆記体を
搭載して、軸先から選択的にその筆記先端部を出没可能
とした複式筆記具が知られている。又、複式筆記具の筆
記先端部の出没機構としては、ノック式のもの、筆記具
の軸筒側面から貫出したスライダーを交互に摺動させる
スライダー式のもの、傾斜面を備えたカム筒を回転させ
て行うカム式のものなど種々知られている。一方、中粘
度の水性、低粘度の油性ボールペンはインキ収容管が太
くなるために通常の太さの複式筆記具に搭載した場合、
筆記体間の自由度がなく突出する筆記体の先端部が軸筒
の先端孔にスムーズに求心されず、作動が阻害されて筆
記先端部の出没が不可となる。従って、作動を可能とす
るために軸筒が極端に太くなって、携帯性、使い勝手が
悪くなる欠点がある。

【０００３】ところで、水性ボールペンは粘度が数ｍＰ
ａ・Ｓ以下の低粘性であるため、軽い筆記圧で書けるこ
とが利点であり、書き味が良好である特徴がある。しか
しながら、インキがペン先からだらだらと流れ出る直流
現象や、反対にボールペンの先から空気が流入してイン
キが流出する逆流現象などが起こり易い欠点がある。こ
れらの現象は中綿と称する繊維の収束体などを用いて防
止する方法がとられている。又、キャップオフの状態で
放置すると、溶媒の蒸気圧が高く、溶媒がれのため、先
端が乾燥してインキが流出しなくなり、書けなくなって
しまうという問題がある。

【０００４】一方、従来知られている油性ボールペン
は、それに使用するインキが粘度が数千ｍＰａ・Ｓ以上
の高粘度のために、ペン先からインキが流出する際にボ
ールが回転する時の抵抗が大きいため書き味が悪い欠点
がある。又、筆記の際に先端から流出するインキ量は少
なく、ボテ現象があり、筆記描線のムラがあり筆跡濃度
が薄いこと、高い筆記圧が必要なことなどの問題があ
る。この油性ボールペンの改良として、最近、上記の水
性と油性との中間粘度領域（数ｍＰａ・Ｓ〜数千ｍＰａ
・Ｓ）のインキを用いる中粘度と呼ばれる水性インキ用
ボールペンが開発されている。このものは、先端ボール
の回転によって粘度が低下してインキがスムーズに流出
する特性、所謂剪断減粘性を有する相対的に低粘性の水
性のインキを用いたボールペンである。しかしながら、
このものはインキが乾燥しやすい欠点があるために通常
は筆記先端部をシールするキャップが必要である。又、
インキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばすためにイ
ンキ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くする必
要がある。

【０００５】又、上記油性ボールペンの改良として、耐
乾燥性に優れた低粘度の油性インキを用いたボールペン
が考えられるが、やはりインキの流出量が多くなり、筆
記寿命を延ばすためにインキ収容管の径を太くしてイン
キの充填量を多くする必要がある。又、インキの粘度が
低いために、チップ側を下向きにした場合に先端ボール
とチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる（直
流）欠点がある。

【０００６】上記、中粘度の水性インキ、低粘度の油性
インキの何れも低粘性であることからインキが逆流や直
流しやすい現象がある。インキが逆流や直流を起こすと
衣類などを汚す危険がある。又、落下やノック衝撃で筆
記掠れが生じやすい欠点がある。又、中粘度の水性ボー
ルペンは、通常インキ収容管後端に、フォロアと称され
るグリース状の半透明不乾性物質が充填されるので、イ
ンキ蒸発防止の問題はペン先、即ちボールとホルダーの
間隙からの蒸発低減化を考えればよい。例えば、油性ボ
ールペンのように蒸気圧がかなり低い溶剤を主として用
いれば、インキの蒸発は考慮しないですむ。しかし、水
性インキの場合は水が主溶剤なので、低蒸気圧溶剤を選
択しただけでは、水の蒸発を防げない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、低粘
度の油性インキ又は中粘度の水性インキを使用した複式
筆記具用のボールペンのリフィールであって、筆記先端
部の乾燥防止とボールペンの上向き筆記や衝撃によって
生じるインキの逆流、直流を防止可能とし、ボールペン
の軸筒内や手、衣服の汚損を防止可能とする。又、衝撃
直後の筆記掠れを防止可能とする。又、先端ボールの径
をφ０．３、φ０．４とした細書き用のボールペンとし
て手帳等の筆記に適し、携帯に便利な複式筆記具への対
応を可能とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に
本発明のボールペンのリフィールは、選択的に夫々の筆
記先端部を先端口から交互に出没可能とした複式筆記具
に搭載されるボールペンのリフィールに於いて、透明な
樹脂成形品から成る継ぎ手の先端に先端ボールを抱持し
たボールペンのチップを、後方にインキ収容管を有し、
スプリングの先端で先端ボールの背面を押圧して先端ボ
ールがチップのボール抱持部の内縁に密接され、インキ
収容管には低粘度の油性インキ又は基本的には低粘度で
あるが、静的には高い粘性を有し、筆記時の先端ボール
の回転で粘性が低下してインキが流出される、所謂剪断
減粘性を有した水性インキが充填され、インキの後端に
はインキの消耗と共に追随するグリース状の半透明不乾
性物から成るフォロアが設けられ、更にボールペンのリ
フィールの最大外径が３〜３．５ｍｍの範囲に設定され
たことを特徴とする。

【０００９】

【実施例】図１及び図２は本発明の第１の実施例を示し
ている。先ず、図に示すように、継ぎ手２は前軸部３、
鍔部４、後軸部５で構成されている。又、前軸部３には
前端より中心部にホルダー嵌着孔３ａが形成されてい
る。一方、ホルダー８は前端より中心部にチップ嵌着孔
８ｃを有し、チップ嵌着孔８ｃにはチップ６が後端側か
ら挿入されて固着される。

【００１０】継ぎ手３は弾性変形可能な合成樹脂により
一体成形で構成されており、上記ホルダー嵌着孔３ａに
連通して後方に内孔３ｂが設けられている。又、内孔３
ｂの後端には導孔３ｄが設けられている。

【００１１】ところで、チップ６はステンレス等の細管
で、外周の３箇所で押圧カシメされてインク流入可能な
チャンネルを有した受け座６ａに０．３〜０．４ｍｍ径
の先端ボール７が略当接した状態で先端ボール７が回転
自在に抱持されるようかしめられている。

【００１２】又、スプリング９は先方に直立状のストレ
ート部９ｂと後方に捲線部９ａが形成されており、スト
レート部９ｂがチップ６の内孔に挿入され、捲線部９ａ
がホルダー８の後方で継ぎ手２軸心の内孔３ｂに位置さ
れ、捲線部９ａの後端が内孔３ｂ後端の段部３ｃに当接
されてストレート部９ｂの先端が先端ボール７の背面を
押圧するよう、ホルダー８が継ぎ手２のホルダー嵌着孔
３ａに嵌着される。

【００１３】又、継ぎ手２の後軸部５にステンレス等の
薄肉筒状のインキ収容管１０が鍔部４の後端に当接して
固着される。又、インキの残量を見切る為に継ぎ手２は
透明な樹脂成形品で形成され、インキ残量は継ぎ手の鍔
部４から透視して見切る。尚、インキ収容管はＰＰ樹脂
成形品でもよいが、より細く、インキ充填量をより多
く、インキの揮発減量を確実に防止する点で金属管が優
れている。

【００１４】又、インキ収容管１０の内径部が継ぎ手２
の導孔３ｄに連通している。インキ収容管１０内には低
粘度の油性インキ又は中粘度の水性インキ１１が充填さ
れ、インキ１１の後端にインキの消耗と共にインキ面に
追随して移動可能なグリース状の半透明不乾性物から成
るフォロア１２が充填される。又、フォロア１２内に該
フォロア１２と略同等の比重を有する樹脂製のフォロア
棒１３が浸漬される。尚、フォロア棒１３はインキの粘
性が低く、インキのヘッドが支えきれない等の場合に必
要に応じて設けられる。

【００１５】図３乃至図５は本発明の第２の実施例を示
しており、以下第１の実施例との相違点のみ説明する。
スプリング９はストレート部９ｂがチップ６の内孔に挿
入され、捲線部９ａがホルダー２４後端の所要箇所に形
成されたリブ２４ａの外周に位置される。又、継ぎ手２
０はホルダー嵌着孔に連通して後方に弁室２１ｄが形成
されている。又、弁室２０の後方には段部２１ｅとボー
ル受け座２１ｂが形成されて、ボール受け座２１ｂの中
心から後端に貫通した導孔２１ｃが設けられている。
又、捲線部９ａの内側にボール弁２５が挿入されて、ホ
ルダー２４は継ぎ手２０に固着される。又その時、弁室
２１ｄの前端に前記ホルダー２４後端のリブ２４ａが位
置し、スプリング９は捲線部９ａの後端が弁室後方の段
部２１ｅに当接して前方に付勢され、ストレート部９ｂ
の先端で先端ボール７の背面を押圧する。尚、先端ボー
ル７はその押圧でチップ６のボール抱持部（かしめ等で
形成）の内縁に密接状態と成される。又、ボール弁２５
はリブ２４ａの後端とボール受け座２１ｂとの間で自由
動する。

【００１６】以上により、チップ側が下向きの時に上記
ボール弁２５が上記リブ２４ａの後端に当接状態とな
り、インキが導孔２１ｃ、弁室２１ｄ、リブとリブの間
の溝等を通じてチップ６の内孔に入り先端ボール７の背
面に至る。

【００１７】

【作用】第１の実施例に於いて、チップ６を下向きにし
た筆記前の状態ではスプリング９の押圧で先端ボール７
がチップ抱持部の内縁に密接されるのでインキの直流が
防止される。又、上向きでの逆流も防止される。又、筆
圧により先端ボール７が微小に後退するので隙間を生じ
てインキが流出され筆記可能となる。但し、上向き筆記
を連続すると徐々に空気を巻き込む可能性があり、イン
キの逆流には至らないが筆記掠れの発生に繋がる可能性
がある。

【００１８】第２の実施例に於いて、図４はチップ６を
上向きにした状態を示しており、その時ボール弁２５が
弁室２１ｄのボール受け座２１ｂに密接して導孔２１ｃ
を密閉するので、上向き筆記で先端ボール７背面のイン
キが無くなってもインキが逆流しない。従って、チップ
６を下向きにした時にインキが即流出可能となり筆記で
掠れが防止される。（因みにボール弁を有しない構造で
は、上向き筆記で即インキが逆流しないとしてもインキ
が逆流方向に作用するのでチップ内に空気を巻き込み、
下向き筆記で即インキが追随せず掠れが生じる）

【００１９】又、図５はチップ６を下向きにした筆記前
の状態を示しており、その時ボール弁２５はリブ２４ａ
の後端に当接状態となり、導孔２１ｃが開放される。イ
ンキ収容管１０から導孔２１ｃを経て弁室２１ｄに入っ
たインキは、リブとリブとの間に形成された溝等を通過
して先端ボール７の背面まで誘導される。又この状態で
は、スプリング９の押圧で先端ボール７がチップ抱持部
の内縁に密接されるのでインキの直流が防止される。
又、筆圧により先端ボール７が微小に後退するので隙間
を生じてインキが流出可能となる。

【００２０】尚、インキの直流及び逆流はスプリング９
による先端ボール７への押圧で果たされるが、上記チッ
プ抱持部の加工バラツキによる先端ボール７との密接不
完全状態や、チップ抱持部と先端ボール７との隙間に固
形物が付着した場合の密接不完全状態を補足して、イン
キのヘッドを支えてインキの逆流を確実に防止すること
と、空気巻き込みの緩和（掠れ防止）をするよう共同す
る。

【００２１】因みに、ボールペンの筆記に伴うインキ流
出量は１００ｍ当たり、 中粘度水性インキ、先端ボール径０．５ｍｍの場合で１
００〜１４０ｍｇ 中粘度水性インキ、先端ボール径０．３ｍｍの場合で５
０〜７０ｍｇ 低粘度の油性インキ、先端ボール径０．５ｍｍの場合で
３０〜４０ｍｇ であった。又、通常の油性ボールペンに使用されるＰＰ
樹脂製のインキ収容管は外径３ｍｍ、内径１．８ｍｍ
で、インキ収容管をステンレス製パイプ外径３ｍｍ、肉
厚０．１５ｍｍ（内径２．７ｍｍ）とすることで２．２
５倍の断面内径となる。又、ボールペンのリフィールの
最大径が３〜３．５ｍｍとすれば、通常複式筆記具とし
て提供されているものと同等の軸径の複式筆記具が提供
可能である。以上から、中粘度水性インキ、先端ボール
径０．３ｍｍ、ステンレス製インキ収容管外径３ｍｍ、
内径２．７ｍｍ（全長９０ｍｍ）とした場合筆記寿命５
００ｍが可能である。又、複式筆記具用のリフィールと
して、使用満足感のある筆記寿命は３００ｍ以上であ
る。

【００２２】

【発明の効果】本発明のボールペンのリフィールの構成
及び作用は以上の如くであり、スプリングの先端で先端
ボールの背面を押圧してチップのボール抱持部の内縁に
密接させることや、弁室内に遊嵌するボール弁で導孔を
密閉することにより筆記先端部の乾燥と上向き筆記や衝
撃によってインキの直流や逆流が防止可能となり、軸筒
内や手や衣服等を汚す事故が防止される。又、上向き筆
記や衝撃後にインクが即追随するので筆記掠れが防止さ
れる。又、ボールペンのリフィールの最大外径を３〜
３．５ｍｍとすれば、軸径を極端に太くしないで複数の
ボールペンのリフィールを搭載した複式筆記具が提供可
能となる。又、先端ボールを０．３〜０．４ｍｍ径の細
書き用とすることでインキ充填量が少なくなり、筆記寿
命を満足させてリフィールの外径を細くすることが可能
となる。又、インキ収容管を薄肉の金属管とすることで
更に細くすることが可能となり、手帳用の筆記に適した
便利な細書きの複式筆記具が軸径を極端に太くしないで
提供可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例であるボールペンのリフ
ィールの全体を示す縦断面図である。

【図２】第１の実施例の先方部を拡大した要部縦断面図
である。

【図３】第２の実施例であるボールペンのリフィールの
全体を示す縦断面図で、チップ上向きの状態を示してい
る。

【図４】第２の実施例の先方部を拡大した要部縦断面図
で、チップ上向きの状態を示している。

【図５】第２の実施例の先方部を拡大した要部縦断面図
で、チップ下向きの状態を示している。

【符号の説明】

１ ボールペンのリフィール ２ 継ぎ手 ３ 前軸部 ３ａ ホルダー嵌着孔 ３ｂ 内孔 ３ｃ 段部 ３ｄ 導孔 ４ 鍔部 ５ 後軸部 ６ チップ ６ａ 受け座 ７ 先端ボール ８ ホルダー ８ａ 係合部 ８ｂ 段部 ８ｃ チップ嵌着孔 ９ スプリング ９ａ 捲線部 ９ｂ ストレート部 １０ インキ収容管 １０ａ 係止部 １１ インキ １２ フォロア １３ フォロア棒 １｀ ボールペンのリフィール ２０ 継ぎ手 ２１ 前軸部 ２１ａ 内孔 ２１ｂ ボール受け座 ２１ｃ 導孔 ２１ｄ 弁室 ２１ｅ 段部 ２２ 鍔部 ２３ 後軸部 ２４ ホルダー ２４ａ リブ ２５ ボール弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 選択的に夫々の筆記先端部を先端口から
   交互に出没可能とした複式筆記具に搭載されるボールペ
   ンのリフィールに於いて、 当該ボールペンのリフィールは、透明な樹脂成形品から
   成る継ぎ手の先端に先端ボールを抱持したボールペンの
   チップを、後方にインキ収容管を有し、スプリングの先
   端で先端ボールの背面を押圧して先端ボールがチップの
   ボール抱持部の内縁に密接され、インキ収容管には低粘
   度の油性インキ又は基本的には低粘度であるが、静的に
   は高い粘性を有し、筆記時の先端ボールの回転で粘性が
   低下してインキが流出される、所謂剪断減粘性を有した
   水性インキが充填され、インキの後端にはインキの消耗
   と共に追随するグリース状の半透明不乾性物から成るフ
   ォロアが設けられ、更にボールペンのリフィールの最大
   外径が３〜３．５ｍｍの範囲に設定されたことを特徴と
   するボールペンのリフィール。