JP2000197296A - 電機機器コイルの絶縁構造及びその製造方法 - Google Patents

電機機器コイルの絶縁構造及びその製造方法

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JP2000197296A
JP2000197296A JP10373658A JP37365898A JP2000197296A JP 2000197296 A JP2000197296 A JP 2000197296A JP 10373658 A JP10373658 A JP 10373658A JP 37365898 A JP37365898 A JP 37365898A JP 2000197296 A JP2000197296 A JP 2000197296A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温、高圧、高湿、放射線、化学薬品雰囲気等
の特殊環境下でもキャン等でコイルを含む絶縁物を覆う
ことことなく使用できる電機機器のコイルの絶縁構造及
びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 鉄心に挿入されたコイルを電気的に絶縁
する素線絶縁部2、層間絶縁部3、耐地絶縁部4、相間
絶縁部5、スロット絶縁部6からなる絶縁部を有する電
機機器コイルの絶縁構造であって、素線絶縁部2、層間
絶縁部3、耐地絶縁部4、相間絶縁部5、スロット絶縁
部6を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、該熱可塑
組性絶縁材を溶融一体化した。この熱可塑性絶縁材は、
ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフ
ロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエ
チレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテ
トラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリク
ロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単
体材料又はその組み合わせ材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温や高圧力の環
境下、又は高湿度、放射線、化学薬品等の充満する特殊
な雰囲気下、即ち通常の大気雰囲気とは異なる特殊環境
下で使用される電機機器のコイルの絶縁構造及びその製
造方法、特にこのような特殊環境下で使用される電動機
のコイルの絶縁構造として好適な絶縁構造及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような特殊環境下において
使用される代表的な電機機器には、キャンドモータがあ
る。通常モータコイルに使用される絶縁材料はエポキシ
樹脂等の有機材料で、この種の有機材料を上記のような
特殊環境下で使用すると短時間に材料の著しい劣化が促
進し、長期間安定して使用することはできない。そのた
めキャン材でコイルを含む絶縁物を覆い、絶縁物が上記
特殊環境に直接接することが無いように構成したモータ
をキャンドモータと称している。
【0003】一般にキャンドモータの固定子の製造は、
先ず固定子コイルを巻回した固定子鉄心をフレームに相
当する円筒に挿入し固定する。次いで、円筒両端に側板
を嵌合させ該側板の外周部と円筒両端を溶接する。更
に、固定子鉄心の内径に相当する円筒キャン材を該固定
子鉄心の内径に挿入し、円筒キャン材の内側から固定子
鉄心方向に圧力をかけ、所謂拡管技術により円筒キャン
材を固定子鉄心に嵌合させ、その後円筒キャン材の両端
部を円筒両端に溶接固定した側板の内周部に溶接する。
【0004】以上の工程で、固定子鉄心及び該固定子鉄
心に巻回された固定子コイルはその外周をフレーム、両
端を側板、内周をキャン材で覆われて外部とは完全に遮
断され、外部雰囲気の影響による絶縁劣化は皆無となる
キャンドモータの固定子ができる。
【0005】ここで、通常の汎用モータとキャンドモー
タの大きな差異は、キャンドモータはキャンを有するこ
とで固定子鉄心と回転子鉄心の間のギャップが増え、モ
ータの電気特性が低下すること。また、キャンドモータ
は固定子コイルの周囲をフレーム、側板及びキャンで覆
われているため、コイルで発生する熱の放熱が低下する
ことである。
【0006】即ち、ギャップの磁気抵抗は鉄心のそれと
比較して極端に大きいため、該ギャップを大きくすると
いうことは、磁気抵抗増加によるロスを補うために電気
装荷を増やすことが必要になり、そのためモータサイズ
が大きくなるという問題がある。
【0007】また、キャンドモータは、コイルを含む絶
縁物がフレーム、側板、キャン材で覆われており、コイ
ルで発生する熱はコイルを納めた鉄心、鉄心を固定する
フレームを介して該フレーム表面に放出するのみである
から、冷却効率は著しく劣る。この対策として、コイル
で発生する熱を効率よくフレームに伝達するため、熱伝
導率の優れた樹脂材を空隙部に充填することがなされて
いる。特に大型機、大容量機にはこの種の技術が必要と
なる。
【0008】上記樹脂の充填方法はフレームを立て、上
部に位置する側板に2個の孔を開けて、該2個の孔にそ
れぞれパイプを接続し、一方のパイプを通して樹脂を充
填することが一般的である。具体的には、一方のパイプ
にバルブを介して真空ポンプを接続し、もう一方のパイ
プにはバルブを介して樹脂を満たした漏斗を接続する。
次いで、真空ポンプを稼働し、バルブを開けてフレー
ム、側板及びキャンで囲まれた空間を真空雰囲気として
これを維持する。この状態でもう一方のバルブを開き、
漏斗に充満した樹脂を該フレーム、側板及びキャンで囲
まれた空間に導入することで該空間に樹脂を充填する。
【0009】しかし、ここで用いる樹脂とはエポキシ樹
脂等の熱硬化型合成樹脂で、この種の樹脂は液状から加
熱によるゲル状を経て完全硬化にいたる。この場合、ゲ
ルに至る過程で、また硬化に至る過程で反応熱を発生し
局部的な温度上昇と、その結果として体積膨張を起こ
し、キャン内部で膨張しようとする応力が発生する。更
に、完全硬化後の冷却の過程で収縮しようとするいわゆ
る硬化収縮による応力がキャン材に直接作用する。
【0010】例えば、外径50mmのパイプ中に外径1
0mm、膨張係数9×10-6mm/mm℃のガラス丸棒
を配し、この空隙にヤング率34.000kg/c
2、収縮率1.1%、ポアソン比0.49の充填樹脂
を充填し、130℃で硬化後、20℃迄冷却したと仮定
して収縮応力を計算するとガラス丸棒に実に216kg
/cm2もの応力が加わることになる。
【0011】ここでキャン材はキャンドモータの回転子
と固定子の間に介在するもので、モータの特性としてギ
ャップは極力小さいことが望まれており、キャン材その
ものには、例えば0.1mmから0.3mm程度の薄板
が用いられる。一方、この種のキャン材を使用すれば
1.5kg・f/cm2程度の応力で変形することも計
算により確認されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにキャン材
は磁気的には薄いものが望まれるものの物理的には厚い
ものが望まれる。その結果、固定子と回転子の間のギャ
ップが大きくなって磁気抵抗が増え、これを補うためモ
ータ自体が大きくなるという欠点がある。
【0013】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、上記特殊環境下でもキャン等でコイルを含む絶縁物
を覆うことなく使用できる電機機器コイルの絶縁構造及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1に記載の発明は、鉄心に挿入されたコイルを電
気的に絶縁するため絶縁部を有する電機機器コイルの絶
縁構造であって、絶縁部を構成する材料に熱可塑性絶縁
材を用い、該熱可塑性絶縁材を溶融一体化したことを特
徴とする。
【0015】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の電機機器コイルの絶縁構造であって、熱可塑性
絶縁材は、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポ
リテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネ
イティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、
エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETF
E)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(C
TFE)の単体材料又はその組み合わせ材料であること
を特徴とする。
【0016】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載の電機機器コイルの絶縁構造であって、組み合わ
せ材料は融点の異なる材料の組み合わせであり、該組み
合わせ材料の融点の低い材料を溶融させ、融点の高い材
料を溶融させないことを特徴とする。
【0017】また、請求項4に記載の発明は、鉄心に挿
入したコイルを電気的に絶縁するための絶縁部を有する
電機機器コイルの絶縁構造製造方法であって、絶縁部を
構成する材料に熱可塑性絶縁材を用いて電機機器コイル
を製作する工程、電機機器コイルを電機機器の鉄心に挿
入する工程、鉄心に挿入された電機機器コイルを該鉄心
と共に熱を加え熱可塑性絶縁材を溶融一体化する工程か
らなることを特徴とする。
【0018】また、請求項5に記載の発明は、請求項4
に記載の電機機器コイルの絶縁構造製造方法であって、
熱可塑性絶縁材は融点の異なる熱可塑性絶縁材の組み合
わせからなり、融点の低い材料の溶融温度で該融点の低
い材料を溶融させると共に、融点の高い材料は溶融させ
ない工程を有することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例を説
明する。 〔実施形態例1〕図1及び図2は本発明の電機機器コイ
ルの絶縁構造を具備する高圧モータの型巻きコイルの構
造例を示す断面図である。図1及び図2において、8は
固定子鉄心9に設けた鉄心スロットであり、該鉄心スロ
ット8内にはコイルを電気的に絶縁するための絶縁部が
設けられている。該絶縁部はコイルを構成する導体1の
外周を覆う素線絶縁部2、該素線絶縁部2と素線絶縁部
2の間に位置する層間絶縁部3、該素線絶縁部2と層間
絶縁部3の外周を覆う耐地絶縁部4、耐地絶縁部4と耐
地絶縁部4の間に位置する相間絶縁部5、耐地絶縁部4
の外周と鉄心スロット8の内周に位置するスロット絶縁
部6からなる。
【0020】上記素線絶縁部2、層間絶縁部3、耐地絶
縁部4、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6を構成する
材料に熱可塑性絶縁材を用い、熱可塑性絶縁材を溶融一
体化して絶縁部を構成している。熱可塑性絶縁材として
は、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテト
ラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティ
ドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレ
ンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポ
リクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)
の単体材料又はその組み合わせ材料を用いる。以下、素
線絶縁部2、層間絶縁部3、耐地絶縁部4、相間絶縁部
5及びスロット絶縁部6からなる絶縁構造の製造例を説
明する。
【0021】コイル材料となる2mm×5mmの断面積
を有する導体1の外周に素線絶縁部2を形成するために
0.08mm厚さの未焼性ポリテトラフロロエチレン
(PTFE)のテープを1/2重ね巻で2回巻いてテフ
ロン絶縁電線とする。該テフロン絶縁電線を規定の亀甲
形状に形成してモータの固定子コイルとする。なお、固
定コイルにするときに導体1を規定長さで切断するがこ
の時、PTFEのテープがほつれるのを防止するため、
導体1の切断部に熱風を当て、PTFEのテープを熱溶
融させて局部的に溶融接着する。
【0022】また、固定子コイルに成型する過程で層間
(素線絶縁部2と素線絶縁部2の間)に層間絶縁部3を
形成するため0.1mmの厚さのテフロン処理ガラスク
ロスを短冊状に切断して挿入する。次いで、固定子コイ
ルの耐地絶縁部4を形成するため0.08mm厚さのP
TFEのテープを2/3重ね巻で3回巻いた。このテー
プの巻端部は上記と同様熱風により一時的に溶融接着す
る。
【0023】一方、固定子鉄心9の鉄心スロット8には
予めスロット絶縁部6を形成するため0.18mm厚さ
のテフロン処理ガラスクロスを鉄心スロット8の形状に
合わせてU字型に成型して鉄心スロット8に挿入する。
該鉄心スロット8内に上記耐地絶縁部4を形成するため
PTFEのテープを巻回した固定子コイル10を順次挿
入し、この固定子コイル10、10を楔7で鉄心スロッ
ト8内に固定する。なお、固定子コイル10、10を鉄
心スロット8内に挿入する過程で各層の固定子コイル1
0のエンド部分には相間絶縁部5を形成するため0.1
8mm厚さのテフロン処理ガラスクロスを挿入し、各相
の固定子コイル10が直接接触しないようにした。
【0024】上記のようにして、固定子鉄心9の鉄心ス
ロット8に納めた固定子コイル10、10を固定子鉄心
9と共に370℃の恒温槽で5時間加熱し、その後恒温
槽の熱源を断ち該恒温槽の中で除冷して固定子組立を完
了する。上記370℃の恒温槽で固定子鉄心9と共に固
定子コイル10、10を加熱することにより、素線絶縁
部2及び耐地絶縁部4として巻回したPTFEのテー
プ、層間絶縁部3、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6
として挿入したテフロン処理ガラスクロスは溶融し一体
化して導体1を電気的に絶縁する絶縁部を形成する。
【0025】上記のようにして固定子コイル10、10
を収容した固定子鉄心(固定組立体)を80℃の温水槽
の温水に浸漬し導体1と水温中に3.000Vの交流電
圧を印加して絶縁物中に流れる電流の変化を2週間に亘
り観測したが有意差を見いだせる程の変化は認められな
かった。
【0026】上記のような絶縁部を有するモデルコイル
を1.000ppm以上の水分を有する絶縁油と共に圧
力容器に入れ、この圧力容器を300℃の恒温槽に入れ
圧力容器内に80kg・f/cm2の圧力を加えてこの
状態を保持、2週間放置した。圧力容器に入れる前後に
おいて、固定子コイル10の表面に多少の変色は認めら
れたものの、固定子コイル10の絶縁抵抗に有意差は認
められなかった。
【0027】上記のように素線絶縁部2及び耐地絶縁部
4をPTFEのテープを巻回してテフロン絶縁とし、層
間絶縁部3、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6にテフ
ロン処理ガラスクロスを用い、加熱溶融して一体化する
ことにより、テフロンは化学的にも安定しており、アン
モニア等の腐食性ガス雰囲気中でも絶縁性能に変化は認
められない絶縁構造が得られる。
【0028】また、導体1にPTFEの熱可塑性絶縁材
テープを巻コイルに形成するが、形成時の応力はテープ
のずれにより緩和することが可能で、さらにこの後熱溶
融させて該テープを密着させるため固定子コイル10に
なった後のテープの残留応力は殆ど解除される。従って
クリープ等によるテープの劣化は皆無とる。
【0029】なお、上記例ではPTFEのテープを用い
た例を示したが、ポリテトラフロロアルコキシレジン
(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコー
ポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコ
ーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレ
ンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はこれらとP
TFEのを含む組み合わせ材料を用いても同様な結果が
容易に予測できる。
【0030】〔実施形態例2〕図3は本発明の電機機器
コイルの絶縁構造を具備する低圧モータの乱巻きコイル
の構造例を示す断面図である。8は固定子鉄心9に設け
た鉄心スロットであり、該鉄心スロット8内には固定子
コイルを電気的に絶縁するための絶縁部が設けられてい
る。該絶縁部はコイルを構成する導体1の外周を覆う素
線絶縁部2、相間絶縁部5、スロット絶縁部6からな
る。
【0031】上記素線絶縁部2、相間絶縁部5及びスロ
ット絶縁部6を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、
該熱可塑性絶縁材を溶融一体化している。熱可塑性絶縁
材としては、上記実施形態例1と同じく、ポリテトラフ
ロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキ
シレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピ
レンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエ
チレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロ
ロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はそ
の組み合わせ材料を用いる。素線絶縁部2、相間絶縁部
5及びスロット絶縁部6からなる絶縁構造の製造例を説
明する。
【0032】コイル材料となる直径1.2mmのアルミ
ニウム線に素線絶縁部2を形成するために0.02mm
厚さのPTFEテープを2/3重ね巻で1回巻してテフ
ロン絶縁電線とした。このテフロン絶縁電線を規定の小
判形状に形成して乱巻き固定子コイル10とした。この
固定子コイル10を上記実施形態例1の場合と同様、ス
ロット絶縁部6を形成した固定子鉄心9の鉄心スロット
8に順次納め楔7で固定した。この時、1つの鉄心スロ
ット8中に相の異なる固定子コイル10、10が上と下
に挿入されるため、上下の固定子コイル10、10が直
接接触することがないように、上下の固定子コイル1
0、10の間に相間絶縁部5を設けた。なお、相間絶縁
部5の材料は上記実施形態例1と同じである。
【0033】固定子鉄心9に納めた固定子コイル10、
10を固定子鉄心9と共に370℃の恒温槽で3時間加
熱し、その後恒温槽の熱源を断ち該恒温槽の中で除冷し
た固定子組立を完了した。上記370℃の恒温槽で固定
子鉄心9と共に固定子コイル10、10を加熱すること
により、素線絶縁部2、相間絶縁部5、スロット絶縁部
6は溶融し一体化して固定子コイル10、10を電気的
に絶縁する絶縁部を形成する。
【0034】上記のようにした固定子と別途製造した回
転子等を組み合わせモータとし、該モータの内部に80
℃の温水を充満させ、これを循環させてモータを稼働し
たが、大気雰囲気中と同様に正常に稼働した。また、稼
働前後における絶縁特性の変化は認められなかった。
【0035】次いで、モータ内部にアンモニアを充満さ
せアンモニア雰囲気中で稼働させた。アンモニアを強制
的に循環させるため、時に液体、時にガス体とその時々
によって状態が変わり固定子コイルに接触したが、稼働
前後における絶縁特性に変化は認められなかった。
【0036】なお、上記実施形態例ではPTFEのテー
プのテープを用いた例を示したが、実施形態例1と同
様、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フ
ロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FE
P)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(E
TFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー
(CTFE)の単体材料又はこれらとPTFEを含む組
み合わせ材料を用いても同様な結果が得られることが容
易に予測できる。
【0037】また、上記実施形態例ではモータの固定子
を例に説明したが本発明の絶縁構造はこれに限定される
ものではなく、高温や高圧力の環境下、又は高湿度、放
射線、化学薬品等の充満する特殊な雰囲気下で使用され
る電機機器の鉄心に挿入されたコイルを電気的に絶縁す
るための絶縁構造として広く利用することができる。
【0038】また、上記実施形態例では、熱可塑性絶縁
材からなるテープを巻き付け溶融一体化して絶縁部を形
成する例を説明したが、溶融一体化は必ずしも必要では
なく、場合によっては熱可塑性絶縁材からなるテープを
巻き付け溶融とないで絶縁部としてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、各請求項に記載さ
れた発明によれば下記のような優れた効果が得られる。
【0040】請求項1乃至3に記載の各発明によれば、
絶縁部を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、該熱可
塑性絶縁材を溶融一体化したので、導電性を有する液中
でも電機機器コイルの優れた絶縁性を維持できる絶縁構
造を提供できる。
【0041】請求項2に記載の発明によれば、熱可塑性
絶縁材にポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリ
テトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイ
ティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エ
チレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETF
E)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(C
TFE)の単体材料又はその組み合わせ材料を用いるの
で、アンモニア等の腐食性ガス雰囲気中でもで電機機器
コイルの優れた絶縁性を維持できる。
【0042】請求項4、5の各発明によれば上記のよう
に優れた絶縁性を有する電機機器コイルの絶縁構造を製
造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する
高圧モータの型巻きコイルの構造例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する
高圧モータの型巻きコイルの構造例を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する
低圧モータの乱巻きコイルの構造例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 導体 2 素線絶縁部 3 層間絶縁部 4 耐地絶縁部 5 相間絶縁部 6 スロット絶縁部 7 楔 8 鉄心スロット 9 固定子鉄心 10 固定子コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H604 AA03 BB01 BB14 CC01 CC05 CC15 DA17 DB25 PB03 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP06 PP13 QQ02 SS11 SS32 TT26 TT32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心に挿入されたコイルを電気的に絶縁
    するため絶縁部を有する電機機器コイルの絶縁構造であ
    って、 前記絶縁部を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、該
    熱可塑性絶縁材を溶融一体化したことを特徴とする電機
    機器コイルの絶縁構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電機機器コイルの絶縁
    構造であって、 前記熱可塑性絶縁材は、ポリテトラフロロエチレン(P
    TFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PF
    A)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマ
    ー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリ
    マー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコー
    ポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材
    料であることを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電機機器コイルの絶縁
    構造であって、 前記組み合わせ材料は融点の異なる材料の組み合わせで
    あり、該組み合わせ材料の融点の低い材料を溶融させ、
    融点の高い材料を溶融させないことを特徴とする電機機
    器コイルの絶縁構造。
  4. 【請求項4】 鉄心に挿入したコイルを電気的に絶縁す
    るための絶縁部を有する電機機器コイルの絶縁構造製造
    方法であって、 前記絶縁部を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用いて電
    機機器コイルを製作する工程、 前記電機機器コイルを電機機器の鉄心に挿入する工程、 前記鉄心に挿入された電機機器コイルを該鉄心と共に熱
    を加え前記熱可塑性絶縁材を溶融一体化する工程からな
    ることを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の電機機器コイルの絶縁
    構造製造方法であって、 前記熱可塑性絶縁材は融点の異なる熱可塑性絶縁材の組
    み合わせからなり、融点の低い材料の溶融温度で該融点
    の低い材料を溶融させると共に、融点の高い材料は溶融
    させない工程を有することを特徴とする電機機器コイル
    の絶縁構造製造方法。
JP37365898A 1998-12-28 1998-12-28 電機機器コイルの絶縁構造及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3660820B2 (ja)

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