JP2000187272A - 近接撮影用アダプタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低廉なコストで、カメラ本体の構造の如何に
よらず装着が可能な近接撮影用アダプタを得る。 【解決手段】 透光性を有するアダプタ本体と、該アダ
プタ本体をカメラの撮影レンズの前面部に支持する係止
手段とを備え、アダプタ本体の表面に、被写体光の一部
を反射して撮影者自身を映し出し且つ撮影レンズへの入
射光量を減少させる半透鏡を形成する。アダプタ本体
が、カメラの撮影レンズの焦点距離を近距離側に補正す
る補助レンズ又はワイドレンズであり、係止手段は、ア
ダプタ本体の周縁部からカメラボディ前面に向け撮影レ
ンズを取り囲むように延在する脚部を備え、該脚部にア
ダプタ本体をカメラボディ表面に着脱自在に支持可能と
する粘着手段を配することがある。好ましくはアダプタ
本体及び脚部を合成樹脂により一体成形する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は近接撮影用のアダプ
タに係り、特に撮影者が自身にカメラを向けてセルフポ
ートレート撮影を行なうことを可能とするアダプタ装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】プラスチックボディに３５ミリフィルム
を内蔵し、プラスチックレンズと簡易なシャッタ機構を
備えたレンズ付きフィルム（使いきりカメラ）は、外出
先でも手軽に入手できる利便性と低価格性から、現在で
は年間数千万台の消費量があり、画面サイズが幅広なパ
ノラマタイプやストロボ発光手段により室内や夜間撮影
も可能なもの、さらに、このような使いきりカメラの撮
影範囲を広げる各種のアダプタ装置が近時提供されてい
る。

【０００３】例えば、特開平７−２０５５３、特開平９
−１３３９５８、特開平９−１３８４５６の各号は、使
いきりカメラによってセルフポートレートを可能とする
アダプタユニットに関するもので、カメラを自分の方に
向けて撮影を行なってもピントが合うよう撮影レンズの
焦点距離を短焦点側に補正する補助レンズと、被写体が
近すぎて露出オーバーとなることを避けるためにストロ
ボ発光部を覆う減光カバーと、撮影者自身を映してフレ
ーミング（構図決定）を容易にする反射鏡とを備えてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の近接
撮影用のアダプタ装置は、主としてコスト面での難があ
り、未だ改良の余地を残している。

【０００５】すなわち、使いきりカメラは、前に述べた
ように低価格でどこででも入手できる廉価性と利便性に
大きな特長があることから、これに使用するアダプタ装
置も出来る限り低価格で入手できることが望ましい。

【０００６】ところが、従来から提案されているアダプ
タ構造では、最低限、補助レンズと、反射鏡と、
ストロボ光の減光カバーと、さらにこれらを支持する
基台部という４つの別々の構成部材が必要であり、これ
らの材料コストに加え、各部材を別々に成形し、それら
を基台に組み込む工程が必要となって製造コストが嵩む
難がある。

【０００７】また、従来のアダプタ構造では、カメラの
ボディ形状や、レンズとストロボの配置位置にちょうど
一致するように基台部の形状を形成し、補助レンズや減
光カバーを配置する必要があるために、形状が異なるカ
メラに対しては使用が出来ない不便さがある。

【０００８】このような不便さは、モデルチェンジや製
品ラインの多様化を行なう場合にも不利な要素となりや
すい。ボディ形状やサイズ、あるいはレンズとストロボ
の位置関係等、たとえ微妙であってもカメラ自体の形状
／構造に変更があった場合には、従来のアダプタ構造で
は、それに適合するようアダプタ側もその形状変更や各
パーツ（補助レンズ、反射鏡、減光カバー）の配置変更
を余儀なくされ、基台部を成型する金型の変更が必要と
なるなどの不都合が生じるからである。

【０００９】尚、このようなセルフポートレート用のア
ダプタが提案される背景には、通常の一眼レフカメラや
コンパクトカメラは撮影者自身を（含めて）写すための
セルフタイマー機構を備えているが、使いきりカメラで
は、コスト的な理由からこのようなセルフタイマー機構
を設けることが難しいという事情がある。ただし、セル
フタイマーを備えたコンパクトカメラ等においても前記
アダプタと同様にカメラを逆に構えて手軽にセルフポー
トレートを行なうことが出来れば便利である。セルフタ
イマーが装備されていても、これを使用するには、三脚
やカメラを乗せる適当な高さの台が必要となるからであ
り、またシャッタチャンスを逃さず所望の瞬間にシャッ
タを切ることは、セルフタイマーでは難しいからであ
る。

【００１０】そこで本発明の目的は、より低廉なコスト
で、カメラ本体の構造の如何によらず装着が可能な近接
撮影用のアダプタを提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成して課題
を解決するため、本発明に係る近接撮影用アダプタは、
透光性を有するアダプタ本体と、該アダプタ本体をカメ
ラの撮影レンズの前面部に支持する係止手段とを備え、
前記アダプタ本体の表面に、被写体光の一部を反射して
撮影者自身を映し出すことを可能とし且つ前記撮影レン
ズへの入射光量を減少させる半透鏡を形成した。

【００１２】前記アダプタ本体は、具体的には、カメラ
の撮影レンズの焦点距離を近距離側に補正する補助レン
ズのほか、画角を広角側に補正するワイドレンズをも含
む。例えば、複数の人物を入れて撮影するような場合に
従来のカメラでは、被写体が入りきれないような不都合
が生じることがあったからである。さらに、前記アダプ
タ本体は、レンズではなく、単なる透光性を有する板状
体の場合もある。カメラによっては近接撮影が可能な短
焦点レンズを標準装備させ、あるいは交換レンズとして
装着することが可能なものもあるからである。

【００１３】また、前記係止手段は、前記アダプタ本体
の周縁部からカメラボディ前面に向け前記撮影レンズを
取り囲むように延在する脚部を備え、該脚部に、前記ア
ダプタ本体を撮影レンズ周囲のカメラボディ表面に着脱
自在に支持可能とする粘着手段を配することがある。さ
らに、前記アダプタ本体および前記脚部の双方を合成樹
脂により一体成形することがある。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図１〜図２は、本発明の一実施
形態を例示するものである。図に示すようにこの実施形
態に係るアダプタ１１は、カメラ１の撮影レンズに被せ
るようにカメラボディ２の前面に装着し使用するもの
で、撮影レンズの焦点距離を近距離側に補正する補助レ
ンズ１２と、補助レンズ１２をカメラの撮影レンズの前
面部に支持するフレーム脚１３とを備えている。尚、図
２において符号３はストロボ発光部、符号４はシャッタ
レリーズボタンである。

【００１５】補助レンズ１２は、カメラ１の撮影レンズ
（アダプタ１１に覆われるため図示せず）の撮影可能な
至近距離を例えば１ｍ〜４０ｃｍ程度に補正する。撮影
者自身が腕を伸ばして自分の方にカメラを向けたときに
被写体（撮影者）に合焦可能とするためである。

【００１６】また、補助レンズ１２の表面には、被写体
光の一部を反射させるため半透鏡１４（所謂ハーフミラ
ー）を形成する。撮影レンズへの入射光量を減少させ、
さらにカメラ１を逆に構えたときに撮影者自身を補助レ
ンズ１２の表面に映し出して適正なフレーミング（構図
決定）を行えるようにするためである。半透鏡１４の形
成は、具体的には、補助レンズ１２の表面に例えばアル
ミニウムやクローム、銀等の金属薄膜を蒸着することに
より行なうことが出来る。またその際、カメラ１内のフ
ィルムに対し適正露光を行なうために、蒸着量を調整し
て補助レンズ１２の透過率を例えば６０％程度に設定す
る。尚、この透過率は、撮影レンズの明るさやカメラに
内蔵するフィルム感度、ストロボ装置３の発光光量等に
もよるため、かかる値に限定されるものではない。

【００１７】フレーム脚１３は、補助レンズ１２の裏面
周縁から周囲に張り出し、かつ撮影レンズを取り囲むよ
うに形成してあり、補助レンズ１２をカメラ１の撮影レ
ンズの前面部に支持する。フレーム脚１３の底面には、
補助レンズ１２をカメラボディ２に対して着脱自在に固
定するため、粘着剤１５を塗布してある。粘着剤１５
は、好ましくは繰返しの貼着／離脱に耐え得るものを使
用する。アダプタ１１を使用するセルフポートレート撮
影と、これを使用しない通常の撮影とを交互に行えるよ
うにするためである。

【００１８】また、フレーム脚１３および補助レンズ１
２は、共に合成樹脂（プラスチック）により形成し、両
者を一体成形することが望ましい。アダプタ１１の製造
工程を減らし、製造コストを低減するためである。

【００１９】セルフポートレートの撮影にあたっては、
撮影者は腕を伸ばして自分の方にカメラ１を向けて構
え、シャッタレリーズを行なえば良い。このとき、補助
レンズ表面に形成した半透鏡１４に自分自身が映るか
ら、画面範囲内にちょうど被写体（撮影者）を収めるこ
とが出来る。

【００２０】また、至近距離での撮影では、ストロボ光
（被写体からの反射光）が強すぎ、露出オーバーとなっ
て画像細部が潰れたり、甚だしいときはイラジェーショ
ン（光のにじみ）によって鮮鋭度が低下し、全体にシャ
ープさが欠けた写真になりやすい。しかし、アダプタ１
１を装着することにより、被写体からの光は補助レンズ
表面の半透鏡１４により減光され、フィルムに対し適正
な露光を行なうことが出来るから、適正露出による良好
な近接撮影写真を得ることが出来る。尚、本発明のアダ
プタは、必ずしもセルフポートレート（自己撮影）に使
用用途を限定されるものではなく、他の被写体の近接撮
影を行なうことも勿論可能である。

【００２１】また、本発明のアダプタは、カメラのボデ
ィ筐体に嵌合させるような係止機構をとるものではない
から、カメラボディの形状や大きさ、撮影レンズとスト
ロボとの位置関係が変わってもアダプタ自体の設計変更
を行なう必要がない。さらに、補助レンズ１２とこれを
カメラボディに係止する係止手段（フレーム脚１３）と
を一体成形することが可能であり、また、補助レンズ１
２が、焦点距離の補正機能と、減光機能と、鏡面
機能とを併せもつから、部品点数を僅少とすることがで
き、製造に要する作業工程を減らして製造コストを低減
することが出来る。

【００２２】また通常の撮影を行なう場合には、アダプ
タ１１を容易に取り外すことができ、取り外したアダプ
タは比較的小さな補助レンズ１２に脚１３を備えただけ
の構成であるから、これをポケットに入れても嵩張るこ
とがなく携帯に便利である。

【００２３】さらに、カメラから被写体までの距離が短
くなる近接撮影では、実画面（実際に写る画面）とファ
インダの視野とが食い違うパララックスの問題が生じや
すい。しかし、本発明のアダプタを使用すれば、撮影レ
ンズと同位置に装着された半透鏡（補助レンズ１２）に
より構図を決定できるため、セルフポートレート撮影に
おけるパララックスの問題を完全に回避することが可能
となる。

【００２４】本発明は、図面に示した前記実施の形態に
限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、
アダプタ本体（補助レンズ１２）および脚１３の形状を
平面略長方形としたが、当該形状を平面略円形その他の
形状としても構わない。またフレーム脚は、補助レンズ
の裏面を包囲するような連続的な形状とする必要は必ず
しもなく、例えば適当な間隔をおいて配列させた適当本
数の脚により補助レンズ（アダプタ本体）をカメラボデ
ィに支持するよう構成しても良い。また、本発明（請求
項１）のアダプタは、前記アダプタ１１のように補助レ
ンズを必ずしも備える必要はないことは既に述べた通り
である。

【００２５】さらに、前記係止手段は、カメラボディに
アダプタ本体を係止するものに限られず、カメラの撮影
レンズに対してアダプタ本体を係止するものをも含む。
撮影レンズにアダプタ本体を係止しても、同様に撮影レ
ンズの前面部に半透鏡をもつアダプタ本体を支持するこ
とは可能だからである。また、前記実施形態では、粘着
剤により補助レンズ（アダプタ本体）をカメラに支持し
たが、吸盤や磁石、マジックテープ（登録商標）、ゴム
紐等により補助レンズ（アダプタ本体）をカメラに支持
するよう構成することも可能である。また、本発明のア
ダプタは、使いきりカメラのほか、コンパクトカメラや
一眼レフレックスカメラ、インスタントカメラ等にも適
用することが可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、よ
り低廉なコストで、カメラ本体の構造の如何によらず装
着が可能な近接撮影用アダプタを提供することが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る近接撮影用アダプタの一例を示す
縦断面図（ａ）および正面図（ｂ）である。

【図２】前記アダプタをカメラへ装着した状態を示す斜
視図である。

【符号の説明】

３ ストロボ発光部 ４ シャッタレリーズボタン １１ 近接撮影用アダプタ １２ 補助レンズ（アダプタ本体） １３ フレーム脚 １４ 半透鏡（ハーフミラー） １５ 粘着剤

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透光性を有するアダプタ本体と、該アダ
   プタ本体をカメラの撮影レンズの前面部に支持する係止
   手段とを備えるアダプタであって、 前記アダプタ本体の表面に、被写体光の一部を反射して
   撮影者自身を映し出すことを可能とし且つ前記撮影レン
   ズへの入射光量を減少させる半透鏡を形成したことを特
   徴とする近接撮影用アダプタ。
2. 【請求項２】 前記係止手段は、前記アダプタ本体の周
   縁部からカメラボディ前面に向け前記撮影レンズを取り
   囲むように延在する脚部を備え、 該脚部に、前記アダプタ本体を撮影レンズ周囲のカメラ
   ボディ表面に着脱自在に支持可能とする粘着手段を配し
   たことを特徴とする請求項１に記載の近接撮影用アダプ
   タ。
3. 【請求項３】 前記アダプタ本体および前記脚部の双方
   を合成樹脂により一体成形したことを特徴とする請求項
   ２に記載の近接撮影用アダプタ。