JP2000178794A - 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法 - Google Patents

亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000178794A
JP2000178794A JP10354437A JP35443798A JP2000178794A JP 2000178794 A JP2000178794 A JP 2000178794A JP 10354437 A JP10354437 A JP 10354437A JP 35443798 A JP35443798 A JP 35443798A JP 2000178794 A JP2000178794 A JP 2000178794A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
zinc
plating
plating film
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10354437A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuya Ishii
一也 石井
Masaya Kimoto
雅也 木本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP10354437A priority Critical patent/JP2000178794A/ja
Publication of JP2000178794A publication Critical patent/JP2000178794A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性に優れ、スポット溶接時の連続打点性
が大幅に改善された亜鉛系合金めっき金属板およびその
低コストの製造方法を提供する。 【解決手段】 Co、Fe、Ni、Crの内の1種以上
を合計で0.01〜10重量%と、高分子有機物を0〜
10重量%とを含有する亜鉛系めっき皮膜の表面に、上
記合金元素の含有量がめっき皮膜内部のそれの3.0倍
以上である亜鉛系合金電気めっき金属板。富化した合金
元素が酸化物を形成していればなおよい。本発明の金属
板は、合金元素のイオンを含有する亜鉛系めっき浴を用
いて母材表面に亜鉛系合金電気めっきを施した後、めっ
き面に酸性溶液を付着させ、次いで水洗する工程で製造
できる。富化した合金層を酸化物にするには、酸性溶液
による処理を施した後、酸素を含有する雰囲気中で加熱
処理するのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性、加工性お
よび溶接性に優れた亜鉛系合金電気めっき金属板および
その製造方法に関する。さらに詳しくは、特にスポット
溶接において優れた連続打点性を示す亜鉛系合金電気め
っき金属板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品、建材などの用途に
は、耐久性を高めるために亜鉛系めっき金属板が大量に
使用されている。特に自動車車体には、優れた耐食性が
得られ経済性にも優れる亜鉛系合金電気めっき鋼板が適
用される。自動車車体はプレス加工された後溶接、主と
してスポット溶接して組み立てられる。このため、スポ
ット溶接性が優れていることも必要とされている。
【0003】スポット溶接に使用される電極棒は銅また
は銅合金であるが、めっき皮膜の亜鉛は融点が低く、電
極棒が高温になると亜鉛と銅は容易に合金を形成する。
亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性を連続しておこなう
と、電極棒の高温強度が低下して溶接熱などによる先端
部の形状変化や損耗が激しくなり、良好な接合強度を得
るのが困難になる。このような場合には、スポット溶接
作業を中断し、溶接条件の変更や、電極棒の手入れ、交
換をおこなう必要がある。従って連続打点性がよくない
鋼板はスポット溶接作業の生産性がよくないという問題
がある。
【0004】特開昭59−104463号公報には、亜
鉛系めっき鋼板の連続打点性を向上させるために、めっ
き皮膜の表面に厚い酸化皮膜を形成する方法が開示され
ている。酸化皮膜はめっき皮膜を構成する亜鉛系金属に
比較して融点が高く、これがめっき皮膜と電極チップと
の間に介在することにより電極棒の損傷を防ぐと共にめ
っき皮膜表面での電気抵抗を高めて溶接性を改善する作
用がある。しかしながらここに開示されているのは厚い
酸化皮膜を必要とする方法であるため、化成処理性や塗
装性を害する可能性がある。
【0005】特開平1−149996号公報には、アル
カリ溶液中で陽極酸化することによりめっき皮膜表面に
酸化皮膜を厚く形成するスポット溶接性に優れためっき
鋼板の製造方法が開示されている。また、特開平2−4
7293号公報、特開平2−47294号公報、特開平
2- 190496号公報には酸化剤を含有する溶液で陰
極電解や陽極電解をおこなうスポット溶接性に優れため
っき鋼板の製造方法が開示されている。しかしながらこ
れらの方法においては、アルカリ液用の陽極酸化セルや
陰極酸化セルを新設しなければならず、膨大な設備費を
必要とする。また、電解するための電力コスト増等、そ
の製造に際しても費用を要するので経済性が損なわれる
のが問題である。
【0006】特開昭64−299号公報には、Al、S
i等の酸化物、窒化物、炭化物等からなる分散剤を含有
したZnめっき皮膜表面に、上記分散剤を含有しないZ
nめっき皮膜を備えた抵抗溶接性が優れた2層めっき鋼
板が開示されている。しかしながらここに開示されてい
る2層めっき鋼板においては、分散剤をめっき皮膜内に
均一に分散させるのが困難なために性能的に安定しため
っき皮膜を得るのが容易でないうえ、製造コストが高く
なり、一般用途には適さないという問題がある。
【0007】特開平8−209382号公報において、
本出願人は、特に自動車車体用途に好適な亜鉛系電気め
っき鋼板の製造方法を開示した。これは、Co、Ni、
Crの内の1種以上の金属の供給源と高分子有機物とを
含有する亜鉛系電気めっき浴を用いる亜鉛系電気めっき
鋼板の製造方法である。
【0008】このめっき皮膜には、亜鉛系合金と共に高
分子有機物が共析されており、耐食性のみならず、塗装
性および耐低温衝撃剥離性等に優れた性能を発揮するも
のである。また、スポット溶接性も、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板に比較すると優れたスポット溶接時の連続打点
性を有している。しかしながら、めっき皮膜を有さない
通常の冷間圧延鋼板等に比較すると連続打点性が劣るこ
とは否めず、その改善が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような問題点を解決し、耐食性に優れ、さらにスポッ
ト溶接時の連続打点性が大幅に改善された亜鉛系合金め
っき鋼板およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、めっき皮膜のスポット溶接性の改
善方法に関して種々研究を重ねた結果、以下に述べるよ
うな新たな知見を得た。
【0011】a.表面に、Co、Fe、Ni、または、
Crの含有率が高い層(以下、単に「合金富化層」と記
す)を備えた亜鉛めっき鋼板は、合金富化層を備えない
通常の亜鉛めっき鋼板に比較してスポット溶接時の連続
打点性が大幅に改善される。また、めっき層表面の合金
元素を酸化物とすれば、さらに連続打点性が向上する。
【0012】酸化の程度は任意であり、合金富化層の合
金元素が完全に酸化物であってもよいし、部分的に酸化
物が混在していても構わない。また、合金富化層の厚さ
は薄くても上記の改善効果が発揮される。上記の効果
は、めっき皮膜が、高分子有機物を共析させためっき皮
膜である場合に、特に著しく発揮される。
【0013】めっき皮膜表面に合金富化層を備えること
によりめっき鋼板のスポット溶接性が改善される理由は
定かではないが、これらの合金金属は亜鉛や銅に比較す
ると融点が高いことが寄与しているものと推測される。
これらの金属の融点は、Zn:420℃、Cu:108
3℃であるのに対して、Co:1490℃、Fe:15
40℃、Ni:1455℃、Cr:1890℃である。
しかもこれらの金属はいずれも、亜鉛や銅に比較して硬
質であるという特性を有する。
【0014】また、めっき層表面の合金元素を酸化物と
すれば、接触抵抗が増大し、電流密度の減少が抑制され
る効果も期待される。このような特性を有する金属が亜
鉛を主体とするめっき皮膜の表面に富化していることに
より、溶接時の亜鉛と電極棒との反応が抑制され、電極
棒の損傷が抑制されて連続打点性が改善されるものと考
えられる。
【0015】b.通常使用される亜鉛系電気めっき浴は
亜鉛に対しては極めて強い腐食性を示し、めっき皮膜を
めっき浴に浸漬すると亜鉛は溶出する。これに対し、上
述のCo、Fe、Ni、または、Crは、亜鉛に比較し
て電気化学的に貴である。従って、亜鉛とこれらの金属
との合金をめっきしためっき皮膜に適切な溶液を付着さ
せることにより、めっき皮膜から亜鉛を溶出させ、合金
元素は溶出させないでめっき皮膜表面に合金元素を富化
させることができる。
【0016】この方法によれば、めっき製造工程の最終
段階において、めっき液と同様の化学組成を有する処理
液を用いて、めっき皮膜表面に無通電で数秒間の処理を
施すだけで所望の合金富化層を得ることが可能である。
従って、設備の増設や複雑な処理を必要としないため、
生産性および経済性にも優れる。浸漬処理に使用するめ
っき浴は電気めっき浴を用いればよく、浸漬処理終了後
の亜鉛濃度が増した溶液はめっき液として再使用できる
ので極めて効率的である。電解電力なども不要であり経
済性にも優れる。
【0017】c.上記合金富化層はめっき皮膜の一部で
もあり、極めて薄い層であるので、プレス加工や低温衝
撃等に際してもめっき皮膜が剥離するおそれが無い。ま
た合金富化層が薄いため、表面に厚い酸化亜鉛層を設け
る従来の方法では問題となる化成処理性や塗装性に関し
ても良好である。従って自動車などの要求が厳しい用途
に使用しても極めて良好な結果が得られる。
【0018】合金元素を富化させた後、酸素を含有する
雰囲気中で加熱して合金富化層を酸化させると、亜鉛酸
化物に比較して高い電気抵抗を有する高融点の合金酸化
物に富む表面のめっき皮膜が得られる。これらの酸化層
を有することにより、上述した溶接時の亜鉛と電極棒と
の反応が抑制され、さらに接触抵抗が増大すことにより
電流密度の減少も抑制されるなどの改善効果を増すこと
ができる。
【0019】本発明はこれらの知見を基にして完成され
てものであり、その要旨は下記(1)、(2)に記載の
亜鉛系合金電気めっき金属板、および(3)〜(5)に
記載のその製造方法にある。
【0020】(1)母材の少なくとも片面に、Co、F
e、Ni、Crからなる群の内の1種または2種以上の
合金元素を合計で0.01〜10重量%と、高分子有機
物を0〜10重量%とを含有する亜鉛系合金めっき皮膜
であって、該めっき皮膜表面層は、上記合金元素の含有
量がめっき皮膜内部の合金元素含有量の3.0倍以上に
富化されたものであることを特徴とする亜鉛系合金電気
めっき金属板。
【0021】(2)めっき皮膜表面層に富化した合金元
素が酸化物を形成していることを特徴とする上記( 1)
に記載の亜鉛系合金電気めっき金属板。
【0022】(3)Co、Fe、Ni、Crからなる群
のうちの1種または2種以上の合金元素供給源を含有す
る亜鉛系めっき浴を用いて母材表面に電気めっきした
後、めっき面に酸性溶液を付着させ、次いで水洗する工
程を含むことを特徴とする上記(1) または(2)に記
載の亜鉛合金めっき金属板の製造方法。
【0023】(4)Co、Fe、Ni、Crからなる群
のうちの1種または2種以上の合金元素源を含有する亜
鉛系電気めっき浴を用いて母材表面にめっきした後、め
っき面に上記電気めっき浴またはこれと同一の金属組成
を有する酸性溶液を付着させ、次いで水洗する工程を含
むことを特徴とする上記 (1) または(2)に記載の亜
鉛合金めっき金属板の製造方法。
【0024】(5)Co、Fe、Ni、Crからなる群
のうちの1種または2種以上の合金元素供給源を含有す
る亜鉛系めっき浴を用いて母材表面に電気めっきした
後、めっき面に酸性溶液を付着させ、水洗した後、酸素
を含有する雰囲気中で加熱処理する工程を含むことを特
徴とする上記 (2) に記載の亜鉛合金めっき金属板の製
造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。なお、以下に記す化学組成を表す%表示は
重量%を意味する。
【0026】母材:本発明の亜鉛系合金電気めっき金属
板の母材は、極低炭素鋼、低炭素鋼、または、強度を高
めるために合金元素を添加した低合金鋼などからなる冷
間圧延鋼板が経済性に優れるので好ましいが、これに限
定する必要はなく、上記の鋼の熱間圧延鋼板、自動車の
車体に使用される場合があるアルミニウムまたはアルミ
ニウム系合金板、あるいは、これらにNiなどの薄いめ
っき(フラッシュめっき)を施しためっき金属板など、
いずれも母材として使用することができる。
【0027】めっき皮膜:めっき皮膜には、Znに加え
て、Co、Fe、Ni、または、Crからなる群の内の
1種または2種以上の金属を合計で0.01〜10%含
有する。合金の種類を上記の4元素に限定した理由は、
これらがZnめっき皮膜の合金元素としてめっき皮膜の
耐食性等の性能を改善する作用があり、めっき皮膜表面
に富化した際に表面を硬化し、または高融点の酸化物を
形成し、溶接性を効果的に改善する作用があるからであ
る。さらに、いずれもZnよりも電気化学的に貴な金属
であるから富化処理が容易であるという特徴も有する。
【0028】高分子有機物をめっき皮膜中に共析させた
めっき皮膜の耐食性改善効果が特によいことから、上記
の合金元素の中でもCoが好ましい。
【0029】合金元素の含有量(2種以上の場合はそれ
らの合計の含有量)が0.01%に満たない場合には、
めっき皮膜の耐食性がよくない。従って合金元素の含有
量は0.01%以上とする。好ましくは0.1%以上で
ある。その含有量が10%を超えると、耐食性改善効果
が飽和するうえ、めっき皮膜から亜鉛のη相が消失し、
犠牲防食能が低下するため塗装後端面耐食性が劣化す
る。また、経済性にも欠ける。従ってその含有量は10
%以下とする。好ましくは5%以下である。
【0030】めっき皮膜には、必須ではないが、上記の
合金元素に加えて高分子有機物を0.01%以上含有さ
せると、耐食性およびスポット溶接性を改善できるので
好ましい。より好ましくは0.1%以上である。高分子
有機物の含有量が増すにつれて上記の性能がよくなる
が、10%を超えて含有させると、金属元素の割合が減
少して耐食性がかえって損なわれるうえ、めっき作業も
困難さが増す。従って、高分子有機物を含有させる場合
でもその上限は10%とするのがよい。より好ましくは
5%以下である。
【0031】高分子有機物は、めっき浴に、でんぷん、
でんぷん分解物であるデキストリン、デキストラン(以
下、これらを総称して単に「デキストリン等」と記
す)、アミロペクチン等を溶解させ、金属元素と共にめ
っき皮膜中に電析させることができる。高分子有機物の
分子量が大きい程耐食性含有良好になるので、その分子
量は103 以上とするのがよい。他方、その分子量が大
きくなりすぎるとめっき浴に溶解しにくくなり、めっき
の作業性が損なわれるので、その分子量は109 以下の
ものを用いるのがよい。
【0032】めっき皮膜中の高分子有機物の含有量は、
5%硫酸でめっき皮膜を溶解し、溶液中の高分子有機物
をグルコースに分解した後フェノール硫酸法によりグル
コース量を定量して測定される。その分子量は、不活性
の架橋ポリマーゲルを充填したカラムで分析する液クロ
マトグラフィーの1種であるゲル浸透クロマトグラフィ
ー法で測定できる。
【0033】亜鉛系合金電気めっき皮膜は少なくとも母
材の片面に備えられていればよい。めっきの付着量は任
意であり、通常の亜鉛系合金電気めっきがめっきされる
付着量範囲でよいが、中でも、片面あたりで5〜100
g/m2 付着させるのが好ましい。付着量が5g/m2
に満たない場合には耐食性が不十分な場合がある。付着
量が増すほど耐食性が優れるが、付着量が100g/m
2 を超えると耐食性改善効果が飽和するうえ、溶接性が
損なわれ、コストも高くなるので、その上限は100g
/m2 以下とするのが好ましい。より好ましくは60g
/m2 以下である。
【0034】上述の亜鉛系合金めっき皮膜は、その表面
に、めっき皮膜に含有されているのと同一の合金元素が
富化した層またはそれらが酸化した層を備えている。
【0035】合金元素の富化量は、合金富化層の合金元
素含有量MS (重量%)と、合金が富化していないめっ
き皮膜部分の合金元素含有量MT (重量%)との比M
(M=MS /MT 、以下「富化比率」とも記す)で評価
する。
【0036】なお、本発明でいう合金富化層を含むめっ
き皮膜表層部分とは、浸漬処理後のめっき皮膜表面から
0.5μmまでの間を意味する。MS はこの間での合金
元素の平均含有量を表す。また、合金が富化していない
部分での合金元素の含有量MT は、0.5μmを超えた
場所での含有量である。めっき皮膜の厚さ方向での合金
元素含有量は、例えば、2次イオン質量分析法(SIM
S)などの方法によれば容易に分析して求めることがで
きる。
【0037】上記の定義によるMは、電極棒の損傷を抑
制し連続打点性を改善するために、3.0以上とする。
好ましくは5以上、より好ましくは10以上である。
【0038】製造方法:本発明の鋼板は以下の方法で製
造するのが好適である。前述した母材金属板は、公知の
方法により脱脂、酸洗等の前処理を施した後、合金元素
と高分子有機物とを含有する亜鉛系合金電気めっき浴を
用いて電気めっきされる。
【0039】母材に亜鉛系合金電気めっきを施す方法は
特に限定するものではなく、公知の方法でよい。めっき
浴は、所望の化学組成のめっき皮膜が得られるように、
金属イオンなどの形態で合金元素源、または、合金元素
源と高分子有機物とを含有させた電気めっき浴を用いれ
ばよい。めっき浴の種類は任意であるが、めっき後の処
理として硫酸溶液に浸漬する浸漬処理を施すのが好適で
あるので、硫酸酸性浴を使用するのが好適である。
【0040】高分子有機物をめっき皮膜に電析させる場
合の方法は公知の方法でよく、例えば、デキストリン
等、アミロペクチン、その他の、分子量が103 〜10
8 の範囲のものを、めっき皮膜での含有量に応じた濃度
に溶解させためっき浴を使用すればよい。
【0041】めっきの通電方法は通常の連続して通電す
る方法でもよいし、パルスめっきのように断続的に通電
量を変更するめっき方法でも構わない。通板方法は、バ
ッチ式にめっきしてもよいが、公知の、コイル状の金属
板を展開しつつめっきする連続めっき方式が好ましい。
【0042】母材表面に亜鉛系合金電気めっきを施した
後、めっき面に酸性溶液を付着させてめっき皮膜表面の
Znを溶解除去し、合金元素を富化させるための浸漬処
理を施す。
【0043】酸性溶液としては、亜鉛を優先的に溶解さ
せるために、pH1〜4の酸性水溶液を用いるのがよ
い。中でも管理が容易である硫酸酸性液が好ましい。p
Hが1に満たない場合には酸性溶液の粘性が高くなり、
取り扱いに注意を要する。このため、pHが1以上の酸
性溶液を使用するのが実用的である。処理液の種類とし
ては、例えば、不純物イオンを含まない硫酸酸性溶液
や、電気めっき浴の流用などが好適である。酸性水溶液
の合金金属イオン濃度を高めたり、液温度を10℃前後
高めたものなども好適である。
【0044】酸性溶液を付着させる方法は任意である
が、電気めっきの最終段階で、または、電気めっきに引
き続いて、電気めっき浴と同様の化学組成を有する溶液
を使用し、無通電で数秒間の浸漬したり、スプレー方法
により付着させたりすればよい。
【0045】酸性溶液として電気めっき浴を用いれば、
処理終了後の亜鉛濃度が増した溶液はめっき液として再
使用できるので極めて効率的である。この方法は設備の
増設や追加の複雑な処理を必要とせず、電解電力なども
不要であるので、生産性および経済性に優れる極めて簡
便で好適な方法である。
【0046】浸漬する場合の浸漬条件は、浸漬時間を1
0〜30秒間とし、浸漬液とめっき皮膜との相対流速が
1〜3m/秒となるようにして浸漬するのが好適であ
る。富化処理後は電気めっき後に通常施される、水洗、
乾燥等の処理を施せばよい。
【0047】また、上記の合金元素富化処理を施した
後、酸素を含有する雰囲気中で加熱処理することにより
その表面を酸化させるとさらに化学的に安定で硬質の酸
化層が得られ、スポット溶接性がさらに向上する利点が
あるので好ましい。
【0048】これらの富化処理は、公知の電気めっき槽
などを使用して、通常の電気めっきを施すのと同様の処
理速度でおこなうことができるので、操業性と生産性に
すぐれ、極めて効率的におこなえる。
【0049】上記の処理を終えためっき金属板に公知の
クロメート処理や有機薄膜皮膜を設けるなどの、通常お
こなわれている後処理を施しても全く問題なく連続打点
性改善に対する本発明の効果が発揮できる。
【0050】
【実施例】(実施例1)母材として、JIS−G314
1に規定される厚さ0.8mmの冷延鋼板(SPCC)
を使用した。母材の表面を脱脂し、50℃の8%硫酸溶
液中で酸洗した後、平均分子量が104 であるデキスト
リンを溶解した下記のZn−Coめっき浴を用いて、付
着量が30g/m2 となるように電気めっきを施した。
めっき条件は、めっき浴温度:50〜60℃、電流密
度:60A/dm2 、めっき液の流速:1m/秒であっ
た。
【0051】めっき浴組成 ZnSO4 ・7H2 O:350g/リットル、 CoSO4 ・7H2 O:70または120g/リットル、 Na2 SO4 ・7H2 O:75g/リットル、 デキストリン : 7g/リットル、 pH:1.8。
【0052】めっきが終了した鋼板は、高分子有機物を
含まず、他の条件は上記と同一の組成の酸性溶液中で、
浸漬時間および溶液と鋼板との間の相対速度を種々変更
した浸漬処理を施し、その後水洗し乾燥させて試験片を
作製した。
【0053】めっき皮膜全体の合金元素含有量はめっき
皮膜を酸性水溶液に溶解し、ICP分析法(誘導結合高
周波プラズマ分光分析)により求めた。合金富化層のC
o含有量(MS )、および、合金が富化していない部分
での合金元素の含有量MT はSIMS分析により求め
た。
【0054】得られためっき皮膜の化学組成は、めっき
皮膜の重量に対してCo:1.0%または2.50%、
高分子有機物:2.0%、残、Znおよび不可避的不純
物であった。それぞれのめっき鋼板は、比較のために、
酸洗溶液による処理を施さない試験片も用意した。
【0055】得られためっき鋼板のスポット溶接での連
続打点性を以下の方法で評価した。
【0056】めっきした試験片を2枚重ね、先端形状が
ドーム形をした直径:5mmの電極棒を用いて、加圧
力:300kgf、60Hz、27000Aの電流で6
サイクル通電するスポット溶接を、2秒間隔で20点連
続打点する毎に40秒休止する条件で連続しておこなっ
た。100打点毎に3個の溶接試験片を採取し、試験片
の2枚の鋼板を板面に平行な方向に引張試験をおこな
い、破断した溶接部のナゲットの直径を測定し、ナゲッ
ト径が急落するまでの打点回数を連続打点回数を求め
た。
【0057】表1に、めっき条件、合金富化層のCo含
有量、および連続打点性評価結果をまとめて示した。
【0058】
【表1】
【0059】表1に示されている結果からわかるよう
に、本発明の規定する条件を満たす試験番号1〜5、7
〜9および11では、合金化富化処理を施さなかった試
験番号6および10に比較して良好な連続打点性を示し
た。中でも、富化比率が5以上であった試験番号1〜
5、8および9は良好であった。さらに、その中でも富
化比率が10以上であった試験番号2〜4はさらに優れ
た性能を示した。
【0060】(実施例2)試験番号3および9に使用し
たのと同一のめっき鋼板を150℃に保持した大気雰囲
気の加熱炉に装入し、60秒間保持する酸化処理を施し
た後室温まで冷却した。その後、実施例1に記載したの
と同様の方法でスポット溶接試験をおこない連続打点性
を調査した。試験番号3に記載したのと同一のめっき鋼
板を酸化処理した場合の連続打点数は6100回であっ
た。試験番号9に記載したのと同一のめっき鋼板を酸化
処理した場合の連続打点数は6000回であった。酸化
処理前に比較して連続打点数は600〜1000回増加
した。
【0061】(実施例3)試験番号1および8と同一の
鋼板から得たサンプルと、付着量が30g/m2である
市販の電気亜鉛めっき鋼板から得たサンプルを用いて、
無塗装での耐食性を評価した。それぞれのサンプルを、
塩水噴霧(5%−NaCl、35℃、7時間)→乾燥
(50℃、2時間)→湿潤(RH85%、50℃、15
時間)を1サイクルとする加速腐食試験を30サイクル
おこない、最大腐食深さを測定した。その結果、試験番
号1および8と同一の鋼板から得たサンプルは最大腐食
深さが0.2mm未満で良好であったが、市販の電気亜
鉛めっき鋼板から得たサンプルのそれは0.6mmを超
えていた。
【0062】
【発明の効果】本発明の鋼板は、高分子有機物を含有す
る亜鉛系合金めっき皮膜の表面に硬質で極めて融点が高
い合金富化層あるいはその酸化層を備えている。このた
め、耐食性に優れるうえ、スポット溶接性時に電極がめ
っき皮膜と反応することが少なく電極の損耗が少なく、
連続打点性が優れ、溶接工程の生産性向上に大きく寄与
することができる。また本発明の鋼板は、電気めっき後
酸性溶液を表面に付着させることで極めて容易に製造す
ることができるので経済性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 5/48 C25D 5/48 5/50 5/50 7/06 7/06 A Fターム(参考) 4K024 AA17 AA18 AA19 AA20 AB09 AB12 AB19 BA03 BB02 BC01 DB01 DB03 GA14 4K044 AA02 AB02 BA06 BA10 BA12 BA15 BA21 BB03 BB11 BC08 CA18 CA62 CA64

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材の少なくとも片面に、Co、Fe、
    Ni、Crからなる群の内の1種または2種以上の合金
    元素を合計で0.01〜10重量%と、高分子有機物を
    0〜10重量%とを含有する亜鉛系合金めっき皮膜であ
    って、該めっき皮膜表面層は、上記合金元素の含有量が
    めっき皮膜内部の合金元素含有量の3.0倍以上に富化
    されたものであることを特徴とする亜鉛系合金電気めっ
    き金属板。
  2. 【請求項2】 めっき皮膜表面層に富化した合金元素が
    酸化物を形成していることを特徴とする請求項1に記載
    の亜鉛系合金電気めっき金属板。
  3. 【請求項3】 Co、Fe、Ni、Crからなる群のう
    ちの1種または2種以上の合金元素供給源を含有する亜
    鉛系めっき浴を用いて母材表面に電気めっきした後、め
    っき面に酸性溶液を付着させ、次いで水洗する工程を含
    むことを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛合金
    めっき金属板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Co、Fe、Ni、Crからなる群のう
    ちの1種または2種以上の合金元素源を含有する亜鉛系
    電気めっき浴を用いて母材表面にめっきした後、めっき
    面に上記電気めっき浴またはこれと同一の金属組成を有
    する酸性溶液を付着させ、次いで水洗する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛合金めっ
    き金属板の製造方法。
  5. 【請求項5】 Co、Fe、Ni、Crからなる群のう
    ちの1種または2種以上の合金元素供給源を含有する亜
    鉛系めっき浴を用いて母材表面に電気めっきした後、め
    っき面に酸性溶液を付着させ、水洗した後、酸素を含有
    する雰囲気中で加熱処理する工程を含むことを特徴とす
    る請求項2に記載の亜鉛合金めっき金属板の製造方法。
JP10354437A 1998-12-14 1998-12-14 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法 Withdrawn JP2000178794A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10354437A JP2000178794A (ja) 1998-12-14 1998-12-14 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10354437A JP2000178794A (ja) 1998-12-14 1998-12-14 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000178794A true JP2000178794A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18437570

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10354437A Withdrawn JP2000178794A (ja) 1998-12-14 1998-12-14 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000178794A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013151734A (ja) * 2011-12-26 2013-08-08 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 塗装後耐食性と耐エナメルヘア性に優れる高鮮映性塗装下地用電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013151734A (ja) * 2011-12-26 2013-08-08 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 塗装後耐食性と耐エナメルヘア性に優れる高鮮映性塗装下地用電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5650222B2 (ja) 腐食に対する保護を与える金属コーティングが施された鋼部材を製造する方法、および鋼部材
JP2003129209A (ja) 熱間プレス成形用表面処理鋼とその製造方法
JP5983277B2 (ja) 塗装後耐食性と耐エナメルヘア性に優れる高鮮映性塗装下地用電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
KR20210145195A (ko) 용융 도금의 결합이 개선된 강 스트립을 제조하는 방법
JPH0649933B2 (ja) 缶用めっき鋼板
JP2002075393A (ja) 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JPS5993900A (ja) 溶接性に優れた亜鉛メツキ鋼板
JP2000178794A (ja) 亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法
JP2000073183A (ja) 成形性と溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP5861662B2 (ja) 亜鉛系電気めっき鋼板およびその製造方法
JPH05239605A (ja) 高張力鋼板の溶融亜鉛めっき方法
JPH06116746A (ja) スポット溶接性、プレス成形性および化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JPH05171392A (ja) 高強度鋼板の溶融亜鉛めっき法
JPH05171389A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2795071B2 (ja) 密着性に優れた電気めっきアルミニウム板とその製造方法
KR100590406B1 (ko) 내식성 및 용접성이 우수한 표면처리강판 및 그 제조방법
JPH09143792A (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JPH01108396A (ja) カチオン電着塗装用ガルバニール鋼板の製法
JP2665298B2 (ja) スポット溶接性に優れた表面処理アルミニウム板
JP3111888B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JPS61119694A (ja) 電気メツキ鋼板の製造方法
JP3191648B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JPH0673592A (ja) 抵抗溶接性に優れたZn−Fe系合金めっきAl合金板
KR20210144804A (ko) 용융 도금의 결합이 개선된 강 스트립을 제조하는 방법
JPS64466B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060307