JP2000178689A - 耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法 - Google Patents
耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法Info
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- JP2000178689A JP2000178689A JP10360494A JP36049498A JP2000178689A JP 2000178689 A JP2000178689 A JP 2000178689A JP 10360494 A JP10360494 A JP 10360494A JP 36049498 A JP36049498 A JP 36049498A JP 2000178689 A JP2000178689 A JP 2000178689A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】この発明は、地震等の際、鋼管の軸力方向に働
く圧縮力に対し、優れた耐座屈特性を示す鋼管及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.03〜0.15%、S
i:0.01〜1%、Mn:0.5〜2%を含有する鋼
を、未再結晶温度域での累積圧下率が50%以上となる
熱間圧延を行った後、15℃/sec以上の鋼板平均冷
却速度での冷却により、ベイナイト相の平均アスペクト
比を2〜15、ベイナイトの面積分率で10〜50%の
金属組織とし、その後、冷間成形により、鋼管とする。
く圧縮力に対し、優れた耐座屈特性を示す鋼管及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.03〜0.15%、S
i:0.01〜1%、Mn:0.5〜2%を含有する鋼
を、未再結晶温度域での累積圧下率が50%以上となる
熱間圧延を行った後、15℃/sec以上の鋼板平均冷
却速度での冷却により、ベイナイト相の平均アスペクト
比を2〜15、ベイナイトの面積分率で10〜50%の
金属組織とし、その後、冷間成形により、鋼管とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガスパイプライ
ン、水道配管、鋼管柱、橋脚等に使用される鋼管で、特
に地震時の耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法に
関する。
ン、水道配管、鋼管柱、橋脚等に使用される鋼管で、特
に地震時の耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】UOE鋼管、スパイラル鋼管、電縫鋼
管、プレスベンド鋼管などの炭素鋼管あるいは低合金鋼
鋼管は大量にかつ安定して製造できるため、その優れた
経済性や溶接施工性と相俟って、ガスパイプラインや水
道配管などの流体の輸送用配管または土木建築用の柱材
として広く用いられている。しかしながら、これらの用
途に用いられる鋼管には、外径/管厚比が大きいものが
多く、大地震が発生した場合、鋼管の長手方向に引張お
よび圧縮の大きな力が繰返し加わる結果、局部座屈を起
こし、座屈に起因した亀裂が、破断をもたらしている場
合も生じていた。このような圧縮の軸力による局部座屈
への対策が必要であるにも拘わらず、従来、提案されて
いる耐震鋼管は特開平3−173719号公報、特開平
5−65535号公報、特開平5−117746号公
報、特開平5−117747号公報、特開平5−156
357号公報、特開平6−49540号公報、特開平6
−49541号公報、特開平6−264143号公報、
特開平6−264144号公報等で開示されているよう
に降伏応力と引張強さの比である降伏比を下げ、塑性変
形によるエネルギー吸収を利用した低降伏比鋼管であっ
た。また、ガスなどの流体輸送用ラインパイプでは円周
方向に力が作用する内圧による延性破壊や脆性破壊に対
する検討はされてきたが、軸方向の外力に対しては、敷
設時の曲げ応力以外はほとんど、考慮されていないのが
現状である。
管、プレスベンド鋼管などの炭素鋼管あるいは低合金鋼
鋼管は大量にかつ安定して製造できるため、その優れた
経済性や溶接施工性と相俟って、ガスパイプラインや水
道配管などの流体の輸送用配管または土木建築用の柱材
として広く用いられている。しかしながら、これらの用
途に用いられる鋼管には、外径/管厚比が大きいものが
多く、大地震が発生した場合、鋼管の長手方向に引張お
よび圧縮の大きな力が繰返し加わる結果、局部座屈を起
こし、座屈に起因した亀裂が、破断をもたらしている場
合も生じていた。このような圧縮の軸力による局部座屈
への対策が必要であるにも拘わらず、従来、提案されて
いる耐震鋼管は特開平3−173719号公報、特開平
5−65535号公報、特開平5−117746号公
報、特開平5−117747号公報、特開平5−156
357号公報、特開平6−49540号公報、特開平6
−49541号公報、特開平6−264143号公報、
特開平6−264144号公報等で開示されているよう
に降伏応力と引張強さの比である降伏比を下げ、塑性変
形によるエネルギー吸収を利用した低降伏比鋼管であっ
た。また、ガスなどの流体輸送用ラインパイプでは円周
方向に力が作用する内圧による延性破壊や脆性破壊に対
する検討はされてきたが、軸方向の外力に対しては、敷
設時の曲げ応力以外はほとんど、考慮されていないのが
現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、以上の点
に鑑みなされたもので、大地震等で想定される軸方向に
作用する引張り、圧縮応力に対して、局部座屈を起こし
にくい、耐座屈特性に優れた鋼管およびその製造方法を
提供する。
に鑑みなされたもので、大地震等で想定される軸方向に
作用する引張り、圧縮応力に対して、局部座屈を起こし
にくい、耐座屈特性に優れた鋼管およびその製造方法を
提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは、鋼管軸方向の圧縮力に対する耐座屈
特性について鋭意検討を行い、鋼材の引張特性、ミクロ
組織との関係について以下の知見を得た。
め、本発明者らは、鋼管軸方向の圧縮力に対する耐座屈
特性について鋭意検討を行い、鋼材の引張特性、ミクロ
組織との関係について以下の知見を得た。
【0005】1.鋼管の耐座屈特性は、鋼材の引張特性
における応力―歪曲線が連続降伏型(降伏棚のない応力
―歪曲線)で、座屈が生じる数%程度の歪領域において
n値:加工硬化指数が高い場合、大きく向上する。
における応力―歪曲線が連続降伏型(降伏棚のない応力
―歪曲線)で、座屈が生じる数%程度の歪領域において
n値:加工硬化指数が高い場合、大きく向上する。
【0006】2.このような引張特性が得られる金属組
織は、硬質なベイナイトと軟質なフェライトからなる混
合組織で、ベイナイト相は平均アスペクト比(アスペク
ト比はベイナイト粒の長径/短径で示される)が一定の
範囲に含まれる形状を有している。硬質相として、ベイ
ナイト以外に若干のマルテンサイトを含んでいても引張
特性に影響はない。
織は、硬質なベイナイトと軟質なフェライトからなる混
合組織で、ベイナイト相は平均アスペクト比(アスペク
ト比はベイナイト粒の長径/短径で示される)が一定の
範囲に含まれる形状を有している。硬質相として、ベイ
ナイト以外に若干のマルテンサイトを含んでいても引張
特性に影響はない。
【0007】図1はこのような組織の一例で、0.08
C−0.3Si−1.5Mn−0.2Mo−0.05N
b−0.06V鋼を熱間圧延後,30℃/Sで加速冷却
した鋼材の金属組織を走査型電子顕微鏡(SEM)によ
り観察した結果を示している。
C−0.3Si−1.5Mn−0.2Mo−0.05N
b−0.06V鋼を熱間圧延後,30℃/Sで加速冷却
した鋼材の金属組織を走査型電子顕微鏡(SEM)によ
り観察した結果を示している。
【0008】このような硬質なベイナイトと軟質なフェ
ライトからなる混合組織を有する鋼が変形する場合、フ
ェライトとベイナイトの界面近傍に歪が集中し、軟質な
フェライト相が早期に変形するため、鋼材の応力―歪曲
線が連続降伏型(降伏棚のない応力―歪曲線)となり、
特に、ベイナイト相のアスペクト比が大きい場合は、歪
集中がさらに増大し、局所的なベイナイトの変形が容易
となり、座屈が生じる歪領域でのn値が高くなるため、
耐座屈特性が大きく向上するものと考えられる。
ライトからなる混合組織を有する鋼が変形する場合、フ
ェライトとベイナイトの界面近傍に歪が集中し、軟質な
フェライト相が早期に変形するため、鋼材の応力―歪曲
線が連続降伏型(降伏棚のない応力―歪曲線)となり、
特に、ベイナイト相のアスペクト比が大きい場合は、歪
集中がさらに増大し、局所的なベイナイトの変形が容易
となり、座屈が生じる歪領域でのn値が高くなるため、
耐座屈特性が大きく向上するものと考えられる。
【0009】本発明はこれらの知見を得てなされたもの
で 1.重量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.
01〜1%、Mn:0.5〜2%を含有し、面積分率で
10〜50%のベイナイトを含有し、ベイナイト相の平
均アスペクト比が2〜15であることを特徴とする耐座
屈特性に優れた鋼管。
で 1.重量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.
01〜1%、Mn:0.5〜2%を含有し、面積分率で
10〜50%のベイナイトを含有し、ベイナイト相の平
均アスペクト比が2〜15であることを特徴とする耐座
屈特性に優れた鋼管。
【0010】2.重量%で、さらにCu:0.05〜
0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Cr:0.05
〜0.5%、Mo:0.05〜0.5%、Nb:0.0
05〜0.1%、V:0.005〜0.1%、及びT
i:0.005〜0.1%の群から選択された1種また
は2種以上を含有することを特徴とする1に記載の耐座
屈特性に優れた鋼管。
0.5%、Ni:0.05〜0.5%、Cr:0.05
〜0.5%、Mo:0.05〜0.5%、Nb:0.0
05〜0.1%、V:0.005〜0.1%、及びT
i:0.005〜0.1%の群から選択された1種また
は2種以上を含有することを特徴とする1に記載の耐座
屈特性に優れた鋼管。
【0011】3.1または2に記載の組成を有する鋼
を、1000〜1200℃に加熱し、未再結晶温度域で
の累積圧下率が50%以上となる熱間圧延を行った後、
Ar3〜Ar3−80℃の温度域から、15℃/sec以
上の鋼板平均冷却速度で冷却し、500℃以下の温度域
で冷却を停止し、その後、冷間成形により鋼管となし、
金属組織は面積分率で10〜50%のベイナイトを含有
し、ベイナイト相の平均アスペクト比が2〜15である
ことを特徴とする耐座屈特性に優れた鋼管の製造方法。
但し、Ar3(℃)=910−310*C(%)−80
*Mn(%)−20*Cu(%)−15*Cr(%)−
55*Ni(%)−80*Mo(%)
を、1000〜1200℃に加熱し、未再結晶温度域で
の累積圧下率が50%以上となる熱間圧延を行った後、
Ar3〜Ar3−80℃の温度域から、15℃/sec以
上の鋼板平均冷却速度で冷却し、500℃以下の温度域
で冷却を停止し、その後、冷間成形により鋼管となし、
金属組織は面積分率で10〜50%のベイナイトを含有
し、ベイナイト相の平均アスペクト比が2〜15である
ことを特徴とする耐座屈特性に優れた鋼管の製造方法。
但し、Ar3(℃)=910−310*C(%)−80
*Mn(%)−20*Cu(%)−15*Cr(%)−
55*Ni(%)−80*Mo(%)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の成分組成範囲、金
属組織、及び製造条件について説明する。 1.成分組成範囲 C:0.03〜0.15% Cは鋼材の強度を確保するとともに、ベイナイトの生成
を促進するために必要な元素である。0.03%未満で
はベイナイト変態が生成し難く、0.15%を超えて添
加すると溶接性を劣化させるので、0.03〜0.15
%とする。
属組織、及び製造条件について説明する。 1.成分組成範囲 C:0.03〜0.15% Cは鋼材の強度を確保するとともに、ベイナイトの生成
を促進するために必要な元素である。0.03%未満で
はベイナイト変態が生成し難く、0.15%を超えて添
加すると溶接性を劣化させるので、0.03〜0.15
%とする。
【0013】Si:0.01〜1% Siは強度を高めるため、また、製鋼工程における脱酸
剤として添加する。0.01%未満ではその効果が十分
でなく、1%を超えて添加すると溶接部の靭性が劣化す
るので、0.01〜1%とする。
剤として添加する。0.01%未満ではその効果が十分
でなく、1%を超えて添加すると溶接部の靭性が劣化す
るので、0.01〜1%とする。
【0014】Mn:0.5〜2% Mnは強度を高めるために添加する。0.5%未満では
強度が不足し、2%を超えて添加すると母材と溶接部の
靭性、及び溶接性が劣化するので、0.5〜2%とす
る。
強度が不足し、2%を超えて添加すると母材と溶接部の
靭性、及び溶接性が劣化するので、0.5〜2%とす
る。
【0015】Cu:0.05〜0.5%、Ni:0.0
5〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.
05〜0.5% Cu,Ni,Cr,Moは選択元素であり、強度を高め
る場合、1種または2種以上添加する。0.05%未満
では効果がなく、0.5%を超えると溶接性が劣化する
ので、0.05〜0.5%とする。
5〜0.5%、Cr:0.05〜0.5%、Mo:0.
05〜0.5% Cu,Ni,Cr,Moは選択元素であり、強度を高め
る場合、1種または2種以上添加する。0.05%未満
では効果がなく、0.5%を超えると溶接性が劣化する
ので、0.05〜0.5%とする。
【0016】Nb:0.005〜0.1%、V:0.0
05〜0.1%、Ti:0.005〜0.1% Nb,V,Tiは選択元素であり、靭性および強度を高
める場合、1種または2種以上添加する。0.005%
未満では効果がなく、0.1%を超えると溶接部の靭性
を劣化させるので、0.005〜0.1%とする。
05〜0.1%、Ti:0.005〜0.1% Nb,V,Tiは選択元素であり、靭性および強度を高
める場合、1種または2種以上添加する。0.005%
未満では効果がなく、0.1%を超えると溶接部の靭性
を劣化させるので、0.005〜0.1%とする。
【0017】本発明は、以上に規定された元素を含有し
ていればその効果が得られ、不純物元素としてのP,
S、脱酸剤として添加されるAl、及びその他の元素を
含んでいても何ら、損なわれるものではない。
ていればその効果が得られ、不純物元素としてのP,
S、脱酸剤として添加されるAl、及びその他の元素を
含んでいても何ら、損なわれるものではない。
【0018】2.金属組織 ベイナイトの面積分率:10〜50% ベイナイトの面積分率は10%未満の場合、軟質相の影
響が強く、降伏棚のある応力―歪曲線となり、n値も低
いため、耐座屈特性が劣化する。50%を超えると複合
組織の効果が低下し、n値も低くなるため、10〜50
%とする。残部の組織は、主体が軟質なフェライト組織
であれば、若干量のマルテンサイトを含有していても、
発明の効果は損なわれない。
響が強く、降伏棚のある応力―歪曲線となり、n値も低
いため、耐座屈特性が劣化する。50%を超えると複合
組織の効果が低下し、n値も低くなるため、10〜50
%とする。残部の組織は、主体が軟質なフェライト組織
であれば、若干量のマルテンサイトを含有していても、
発明の効果は損なわれない。
【0019】ベイナイト相の平均アスペクト比:2〜1
5 ベイナイト相の平均アスペクト比(アスペクト比はベイ
ナイト粒の長径/短径で示される)は2未満の場合、ベ
イナイト/フェライト界面近傍での歪集中が十分でな
く、フェライトの塑性変形が遅れるため、降伏棚のある
応力―歪曲線となり、耐座屈特性が劣化する。
5 ベイナイト相の平均アスペクト比(アスペクト比はベイ
ナイト粒の長径/短径で示される)は2未満の場合、ベ
イナイト/フェライト界面近傍での歪集中が十分でな
く、フェライトの塑性変形が遅れるため、降伏棚のある
応力―歪曲線となり、耐座屈特性が劣化する。
【0020】平均アスペクト比が15を超えると圧延に
よる塑性歪がフェライト相中に残存するようになり、n
値が低下し、耐座屈特性が劣化するため、2〜15とす
る。平均アスペクト比は画像解析等により、数十〜数百
個のベイナイト粒のアスペクト比の平均値として求め
る。
よる塑性歪がフェライト相中に残存するようになり、n
値が低下し、耐座屈特性が劣化するため、2〜15とす
る。平均アスペクト比は画像解析等により、数十〜数百
個のベイナイト粒のアスペクト比の平均値として求め
る。
【0021】上記の成分組成範囲および金属組織の調整
により、大地震などの際に、軸方向に作用する引張・圧
縮応力に対して、外径/管厚比が大きい場合でも局部座
屈を起こしにくく、ガスパイプライン、水道配管、鋼管
柱、橋脚等への使用に適した耐座屈特性に優れた鋼管を
提供することができる。
により、大地震などの際に、軸方向に作用する引張・圧
縮応力に対して、外径/管厚比が大きい場合でも局部座
屈を起こしにくく、ガスパイプライン、水道配管、鋼管
柱、橋脚等への使用に適した耐座屈特性に優れた鋼管を
提供することができる。
【0022】このような特性の鋼管は以下の工程によ
り、製造することができる。
り、製造することができる。
【0023】3.製造方法 スラブ加熱温度:1000〜1200℃ 加熱温度が1000℃未満ではNb等の炭窒化物形成元
素が十分固溶せず、圧延中に析出する炭窒化物が少なく
なり、十分な強度が得られない。1200℃を超えると
組織が粗大化し、靭性が劣化すると共に、スケール疵が
生じやすくなるため1000〜1200℃とする。
素が十分固溶せず、圧延中に析出する炭窒化物が少なく
なり、十分な強度が得られない。1200℃を超えると
組織が粗大化し、靭性が劣化すると共に、スケール疵が
生じやすくなるため1000〜1200℃とする。
【0024】未再結晶温度域での圧下率:50%以上 未再結晶温度域での圧延は強度靭性を改善し、加速冷却
後のベイナイト粒のアスペクト比を高めるために有効で
あり、その効果を十分得るため、圧下率を50%以上と
する。
後のベイナイト粒のアスペクト比を高めるために有効で
あり、その効果を十分得るため、圧下率を50%以上と
する。
【0025】冷却開始温度:Ar3〜Ar3−80℃ 冷却開始温度がAr3より高い場合、加速冷却後の組織
におけるベイナイト面積率が増大し、アスペクト比が小
さくなり、耐座屈特性が劣化する。Ar3−80℃より
低い場合、パーライトが生成し、応力―歪曲線に降伏棚
を生じ、耐座屈特性が劣化するため、冷却開始温度をA
r3〜Ar3−80℃とする。
におけるベイナイト面積率が増大し、アスペクト比が小
さくなり、耐座屈特性が劣化する。Ar3−80℃より
低い場合、パーライトが生成し、応力―歪曲線に降伏棚
を生じ、耐座屈特性が劣化するため、冷却開始温度をA
r3〜Ar3−80℃とする。
【0026】鋼板平均冷却速度:15℃/sec以上 鋼板平均冷却速度は、冷却前後での鋼板表面温度の低下
量をΔT(℃)、冷却時間をΔt(sec)とし、ΔT
/Δt(℃/sec)で求める。本発明では、冷却開始
から500℃までの平均冷却速度とし、ベイナイト組織
と十分な強度を得るため、15℃/sec以上とする。
量をΔT(℃)、冷却時間をΔt(sec)とし、ΔT
/Δt(℃/sec)で求める。本発明では、冷却開始
から500℃までの平均冷却速度とし、ベイナイト組織
と十分な強度を得るため、15℃/sec以上とする。
【0027】冷却停止温度:500℃以下 冷却停止温度は強度と高いn値を確保するため、500
℃以下とする。
℃以下とする。
【0028】本発明は上記、製造条件による鋼板を、冷
間成形により鋼管とするが、その接合方法は接合部が十
分な変形能を有していれば良く、特に規定しない。鋼管
寸法は製造可能であれば特に規定しないが、管径管厚比
が60以下の鋼管に特に有効である。
間成形により鋼管とするが、その接合方法は接合部が十
分な変形能を有していれば良く、特に規定しない。鋼管
寸法は製造可能であれば特に規定しないが、管径管厚比
が60以下の鋼管に特に有効である。
【0029】
【実施例】表1に示す成分の鋼(A〜J:本発明鋼、
K,L:比較鋼)を、表2に示す条件(No.1〜1
3:本発明例、No.14〜23:比較例)で鋼板とし
た後、UOEプロセスにより外径(711.0mm)*
管厚(16.0mm)の鋼管を製造した。
K,L:比較鋼)を、表2に示す条件(No.1〜1
3:本発明例、No.14〜23:比較例)で鋼板とし
た後、UOEプロセスにより外径(711.0mm)*
管厚(16.0mm)の鋼管を製造した。
【0030】ベイナイトの面積分率及び平均アスペクト
比は管厚の中心部における10枚の組織写真を画像解析
し、求めた。n値は鋼管の長手方向から全厚の試験片を
採取し、引張試験による公称応力―公称歪曲線から、歪
範囲1〜4%での値を求めた。公称歪ε、公称応力σよ
り、真歪e=ln(1+ε)、真応力s=σ(1+ε)
を求め、歪が1〜4%の範囲で真応力―真歪曲線をs=
Aen(A,n:定数)により近似したときの定数nを
n値とする。
比は管厚の中心部における10枚の組織写真を画像解析
し、求めた。n値は鋼管の長手方向から全厚の試験片を
採取し、引張試験による公称応力―公称歪曲線から、歪
範囲1〜4%での値を求めた。公称歪ε、公称応力σよ
り、真歪e=ln(1+ε)、真応力s=σ(1+ε)
を求め、歪が1〜4%の範囲で真応力―真歪曲線をs=
Aen(A,n:定数)により近似したときの定数nを
n値とする。
【0031】座屈試験は、長さ1830mmの鋼管の両
端に鋼板を溶接した後、大型プレス試験装置により圧縮
試験を行い、座屈発生により荷重低下が開始する歪(圧
下量/全長)を座屈歪として評価した。
端に鋼板を溶接した後、大型プレス試験装置により圧縮
試験を行い、座屈発生により荷重低下が開始する歪(圧
下量/全長)を座屈歪として評価した。
【0032】表2にベイナイトの面積分率、平均アスペ
クト比、n値、引張強度及び座屈歪の測定結果を合わせ
て示す。本発明例No.1〜13は全て座屈歪が1.0
%以上であり、優れた耐座屈特性を有している。一方、
比較例No.14〜23はベイナイトの面積分率または
ベイナイトの平均アスペクト比が本発明範囲外であり、
座屈歪が小さく耐座屈特性が劣っている。
クト比、n値、引張強度及び座屈歪の測定結果を合わせ
て示す。本発明例No.1〜13は全て座屈歪が1.0
%以上であり、優れた耐座屈特性を有している。一方、
比較例No.14〜23はベイナイトの面積分率または
ベイナイトの平均アスペクト比が本発明範囲外であり、
座屈歪が小さく耐座屈特性が劣っている。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、大地震の際などに受け
る大きな圧縮荷重に対する耐座屈特性に優れた鋼管を製
造することができ、この鋼管はラインパイプ、水道配
管、鋼管柱、橋脚等への利用に適している。
る大きな圧縮荷重に対する耐座屈特性に優れた鋼管を製
造することができ、この鋼管はラインパイプ、水道配
管、鋼管柱、橋脚等への利用に適している。
【図1】本発明の実施の形態に係るベイナイトの生成状
況を示した走査型電子顕微鏡(SEM)写真。
況を示した走査型電子顕微鏡(SEM)写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 正充 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K032 AA04 AA05 AA11 AA14 AA16 AA19 AA22 AA23 AA31 AA35 AA36 BA03 CA02 CB02 CD03
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.15%、
Si:0.01〜1%、Mn:0.5〜2%を含有し、
面積分率で10〜50%のベイナイトを含有し、ベイナ
イト相の平均アスペクト比が2〜15であることを特徴
とする耐座屈特性に優れた鋼管。 - 【請求項2】 重量%で、さらにCu:0.05〜0.
5%、Ni:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜
0.5%、Mo:0.05〜0.5%、Nb:0.00
5〜0.1%、V:0.005〜0.1%、及びTi:
0.005〜0.1%の群から選択された1種または2
種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐
座屈特性に優れた鋼管。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成を有する
鋼を、1000〜1200℃に加熱し、未再結晶温度域
での累積圧下率が50%以上となる熱間圧延を行った
後、Ar3〜Ar3−80℃の温度域から、15℃/se
c以上の鋼板平均冷却速度で冷却し、500℃以下の温
度域で冷却を停止し、その後、冷間成形により鋼管とな
し、金属組織は面積分率で10〜50%のベイナイトを
含有し、ベイナイト相の平均アスペクト比が2〜15で
あることを特徴とする耐座屈特性に優れた鋼管の製造方
法。但し、Ar3(℃)=910−310*C(%)−
80*Mn(%)−20*Cu(%)−15*Cr
(%)−55*Ni(%)−80*Mo(%)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10360494A JP2000178689A (ja) | 1998-12-18 | 1998-12-18 | 耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10360494A JP2000178689A (ja) | 1998-12-18 | 1998-12-18 | 耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000178689A true JP2000178689A (ja) | 2000-06-27 |
Family
ID=18469648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10360494A Pending JP2000178689A (ja) | 1998-12-18 | 1998-12-18 | 耐座屈特性に優れた鋼管及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000178689A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119899A (ja) * | 2005-09-28 | 2007-05-17 | Kobe Steel Ltd | 溶接性に優れた490MPa級低降伏比冷間成形鋼管およびその製造方法 |
JP2008307594A (ja) * | 2007-06-18 | 2008-12-25 | Nippon Steel Corp | 変形能に優れたラインパイプ用uoe鋼管 |
-
1998
- 1998-12-18 JP JP10360494A patent/JP2000178689A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007119899A (ja) * | 2005-09-28 | 2007-05-17 | Kobe Steel Ltd | 溶接性に優れた490MPa級低降伏比冷間成形鋼管およびその製造方法 |
JP2008307594A (ja) * | 2007-06-18 | 2008-12-25 | Nippon Steel Corp | 変形能に優れたラインパイプ用uoe鋼管 |
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