JP2000162295A - 磁気インピ―ダンス効果素子 - Google Patents

磁気インピ―ダンス効果素子

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JP2000162295A JP11266307A JP26630799A JP2000162295A JP 2000162295 A JP2000162295 A JP 2000162295A JP 11266307 A JP11266307 A JP 11266307A JP 26630799 A JP26630799 A JP 26630799A JP 2000162295 A JP2000162295 A JP 2000162295A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化・省電力化を図った磁気インピーダン
ス効果素子を用いた磁気インピーダンス効果素子を提供
する。 【解決手段】 磁気インピーダンス効果を有する磁性薄
膜層2にColTamHfn、Fehij(Co1-vv
xyzw、CoaZrbNbc、T100-d-e-f-gde
fg、T100-p-q-f-gSipAlqefg等の組成を有
する軟磁性材料を用い、磁性薄膜層2の両端部あるいは
上層に、磁性薄膜層2に対して印加される外部磁界He
xが印加される方向と平行にバイアス磁界Hbiを印加
する、バイアス磁界印加手段となる薄膜からなる磁石層
4、4あるいは反強磁性薄膜層5を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気インピーダン
ス効果を有する素子を用いた磁気インピーダンス効果素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は、従来の磁気インピーダンス効
果素子の磁気−インピーダンス特性の測定回路図であ
る。また、図13は、従来の磁気インピーダンス効果を
有する(Fe6Co9472.5Si12.515非晶質ワイヤ
の磁気−インピーダンス特性を示すグラフ図である。ま
た、図14は、従来の磁気インピーダンス効果素子の磁
気−インピーダンス特性の他の測定回路図である。近
時、情報機器、計測機器、制御機器などの急速な発展に
伴って、従来の磁束検出型のものよりさらに小型、高感
度且つ高速応答性(高周波動作)の磁界検知素子が求め
られ、磁気インピーダンス効果(Magneto-Impedance Ef
fect)を有する素子(磁気インピーダンス効果素子)が
注目されるようになってきている。
【0003】磁気インピーダンス効果とは、ワイヤ状及
びリボン状等に形成された軟磁気特性を有する磁性材料
に微小高周波電流を通電し、外部磁界を印加すると、磁
性材料のインピーダンスが敏感に変化する効果である。
このような磁気インピーダンス効果は、磁性材料に交流
電流を通電した時に、交流電流がその表面近くを流れよ
うとする「表皮効果」に基づくものであることが知られ
ている。
【0004】磁気インピーダンス効果とは、より具体的
には、例えば図12に示す閉回路において、ワイヤ状の
磁気インピーダンス効果素子Miに交流電源Eacから
MHz帯域の交流電流Iacを通電した状態で、磁気イ
ンピーダンス効果素子Miの長手方向に外部磁界Hex
を印加すると、外部磁界Hexが数Oe以下の微弱磁界
であっても、磁器インピーダンス効果素子Miの両端に
材料固有のインピーダンスによる出力電圧Emiが発生
し、その振幅が外部磁界Hexの強度に対応して数十%
の範囲で変化して、即ちインピーダンス変化を起こす。
【0005】このような磁気インピーダンス効果を有す
る素子(磁気インピーダンス効果素子)は、素子の長さ
方向の外部磁界Hexに感応するので、例えば磁界セン
サとして用いる場合などにおいて、従来のコイル巻き磁
心を用いた磁束検出型の磁界検知素子などと異なり、セ
ンサヘッドの長さを1mm程度以下に小型化しても磁界
検出角度が劣化せず、10-5Oe程度の高分解能を有す
る微弱磁界センサが得られるばかりでなく、数MHz以
上の励磁が可能であるため、数百MHzの高周波磁界が
振幅変調のキャリアとして使用でき、従って磁界センサ
の遮断周波数を10MHz以上に設定することが容易で
あることなどから、新しい超小型磁気ヘッドや微弱磁界
検出器等としての応用が期待されている。
【0006】磁気インピーダンス効果を有する軟磁性材
料としては、Fe−Co−Si−B系、例えば(Fe6
Co9472.5Si12.515の非晶質ワイヤ(毛利佳年雄
ほか、「磁気インピーダンス(MI)素子」、電気学会
マグネティクス研究会資料vol.1,MAG-94,No.75-84,P27-
36,1994年発行)等が報告されている。このFe−Co
−Si−B系非晶質ワイヤは、線径が5μmから124
μmのものが用いられている。また、このFe−Co−
Si−B系材料の磁気−インピーダンス特性は、図13
に実線で示すように、印加する正負の外部磁界Hex
(Oe)に対する出力電圧Emi(mV)は、外部磁界
Hex=0(Oe)を中心として略左右対称形状の特性
を示す。また、図13からわかるように、印加する外部
磁界Hexが−2Oe〜+2Oe程度の微弱磁界の範囲
内では感度がきわめて急峻に立ち上がるため、この間で
定量性を得ることが困難であり、微弱磁界を検知する磁
気インピーダンス効果素子としては実用的ではない。
【0007】また、絶対値で2Oeを越える磁界領域に
おいては、緩やかに変化しているために定量性を得るこ
とが比較的容易であり使用可能ではある。しかし、実際
の磁気インピーダンス効果素子として用いるには、外部
磁界Hex=0(Oe)付近における出力を取りやすく
するため、数Oeのバイアス磁界Hbiを印加して、磁
気−インピーダンス特性の曲線を横方向(外部磁界He
xの軸方向)にシフトさせ、例えば図11中に点線で示
したように直線的な部分が外部磁界Hex=0(Oe)
の軸上に存在させる必要がある。
【0008】従来、図14に示すように、磁気インピー
ダンス効果素子Miがワイヤ状(またはリボン状)であ
るため、その周囲にコイルCを適宜巻き数だけ巻回し、
このコイルCに直流電流Idcを流すことによりバイア
ス磁界Hbiを発生させて、磁気インピーダンス効果素
子Miの長手方向に印加していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、微小な
ワイヤ状(またはリボン状)の磁気インピーダンス効果
素子MiにコイルCを巻回する工程が非常に煩雑とな
り、製造コスト高となるとともに、磁気インピーダンス
効果素子MiにコイルCを巻回すると大型化し、磁気ヘ
ッドや微弱磁界検出器等の磁気インピーダンス効果素子
センサに適用した場合に小型化を阻害する。また、バイ
アス磁界Hbiを発生させるためにコイルCに直流電流
Idcを流すので直流電源Edcによる電力が必要とな
り、磁気インピーダンス効果素子センサの省電力化を阻
害する。
【0010】本発明が解決しようとする課題は、小型化
・省電力化を図った磁気インピーダンス効果素子を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の解決手段として、本発明の磁気インピーダンス
効果素子は、磁気インピーダンス効果を有する磁性薄膜
層と、該磁性薄膜層に対して印加される外部磁界が印加
される方向と平行にバイアス磁界を印加する薄膜からな
るバイアス磁界印加手段とを備えてなる構成とした。
【0012】また、第2の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記バイアス磁界印加手
段が、前記磁性薄膜層の両端部に接触して設けられた磁
石層からなる構成とした。
【0013】また、第3の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記バイアス磁界印加手
段が、前記磁性薄膜層に積層して設けられた硬磁性薄膜
層又は反強磁性薄膜層からなる構成とした。
【0014】また、第4の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記磁性薄膜層の外部磁
界が印加される方向が、磁化困難軸とされてなる構成と
した。
【0015】また、第5の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記磁性薄膜層が、磁場
中でアニール又は成膜されてなる構成とした。
【0016】また、第6の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記磁性薄膜層が、組成
式ColTamHfnで表され、アモルファス相を主体と
し軟磁性薄膜からなり、l、m、nはat%で、70≦
l≦90、5≦m≦21、6.6≦n≦15、1≦m/
n≦2.5の関係を満足する構成とした。
【0017】また、第7の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記磁性薄膜層が、組成
式Fehijで表され、全組織の50%以上がアモル
ファス相であり、残部は平均結晶粒径が30nm以下の
bcc構造のFe結晶粒である軟磁性薄膜からなり、R
は希土類元素及びTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Wからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素であ
り、h、i、jはat%で、45≦h≦70、5≦i≦
30、10≦j≦40、h+i+j=100の関係を満
足する構成とした。尚、上記組成において元素Rが希土
類元素から選ばれる1種又は2種の元素である場合に
は、h、jはat%で50≦h≦70、10≦j≦30
であることがより好ましい。
【0018】また、第8の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記磁性薄膜層は、組成
式が(Co1-vvxyzwで表され、元素Mの酸化
物を多量に含むアモルファス相と、Coと元素Tを主体
とするbcc構造、fcc構造の1種または2種以上の
結晶粒からなる微結晶相が混在した軟磁性薄膜からな
り、TはFe、Niのうちいずれか一方、あるいは両方
を含む元素であり、MはTi、Zr、Hf、Ta、C
r、Mo、Si、P、C、W、B、Al、Ga、Ge及
び希土類元素からなる群から選ばれる1種又は2種以上
の元素であり、XはAu、Ag、Cu、Ru、Rh、O
s、Ir、Pt,Pdからなる群から選ばれる1種又は
2種以上の元素であり、組成比を表すvは0≦v≦0.
7、x、y、z、wはat%で、3≦y≦30、7≦z
≦40、0≦w≦20、20≦y+z+w≦60の関係
を満足し、残部はxである構成とした。なお、軟磁性薄
膜は元素Mの酸化物を多量に含むアモルファス相は、全
組織の50%以上を占めることがより好ましい。
【0019】また、第9の解決手段として、本発明の磁
気インピーダンス効果素子は、前記磁性薄膜層は、組成
式がCoaZrbNbcで表され、アモルファス相を主体
とした軟磁性薄膜からなり、a、b、cはat%で、7
8≦a≦91、b=(0.5〜0.8)×(100−a
−b)、c=100−a−bの関係を満足する構成とし
た。
【0020】また、第10の解決手段として、本発明の
磁気インピーダンス効果素子は、前記薄膜磁性層は、組
成式がT100-d-e-f-g−Xd−Me−Zf−Qgで表され、
平均結晶粒径が30nm以下のbcc構造のFeの結晶
粒、bcc構造のFeCo結晶粒、fcc構造のCo結
晶粒のいずれか一つ、もしくはこれらが混合した状態か
らなる組成が全組成の50%以上を占める軟磁性薄膜か
らなり、TはFe、Coのいずれか一方、あるいは両方
を含む元素であり、XはSi、Alのいずれか一方、あ
るいは両方を含む元素であり、MはTi、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれる1種
又は2種以上の元素であり、ZはC、Nのいずれか一
方、あるいは両方を含む元素であり、QはCr、Re、
Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auからなる群から選
ばれる1種又は2種以上の元素であり、d、e、f、g
はat%で、0≦d≦25、1≦e≦10、0.5≦f
≦15、0≦g≦10の関係を満足する構成とした。な
お、結晶粒以外の組織は主にアモルファス相である。
【0021】また、第11の解決手段として、本発明の
磁気インピーダンス効果素子は、前記薄膜磁性層は、組
成式がT100-d-e-f-g−Xd−Me−Zf−Qgで表され、
平均結晶粒径が30nm以下のbcc構造のFeの結晶
粒、bcc構造のFeCo結晶粒、fcc構造のCo結
晶粒のいずれか一つ、もしくはこれらが混合した状態か
らなる組成が全組成の50%以上を占める軟磁性薄膜か
らなり、TはFe、Coのいずれか一方、あるいは両方
を含む元素であり、XはSi、Alのいずれか一方、あ
るいは両方を含む元素であり、MはTi、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれる1種
又は2種以上の元素であり、ZはC、Nのいずれか一
方、あるいは両方を含む元素であり、QはCr、Re、
Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auからなる群から選
ばれる1種又は2種以上の元素であり、d、e、f、g
はat%で、0≦d≦25、1≦e≦10、0.5≦f
≦15、0≦g≦10の関係を満足する構成とした。な
お、結晶粒以外の組織は主にアモルファス相である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の第1の実施の形
態の磁気インピーダンス効果素子について説明する。図
1は、本発明の第1の実施の形態の磁気インピーダンス
効果素子を説明する図であり、同図Aは、磁気インピー
ダンス効果素子の要部断面図であり、同図Bは、磁性薄
膜層の斜視図であり、同図Cは、本発明の磁気インピー
ダンス効果素子の回路説明図である。
【0023】本発明者らは、磁気インピーダンス効果を
有する磁性材料を薄膜化し、バイアス磁界を印加する手
段をも薄膜で構成し積層させる構造により、磁気インピ
ーダンス効果素子の小型化を実現でき、さらに特定の磁
性材料を磁性薄膜層として用いることにより、微弱なバ
イアス磁界により適正な感度を有する磁気インピーダン
ス効果素子が得られることに想到した。図1に示すよう
に、本実施の形態の磁気インピーダンス効果素子は、ガ
ラス等からなる基板1の上層には、スパッタ等により設
けられ、磁気インピーダンス効果を有し、室温において
軟磁性(Soft magnetism)を示す強磁性体の磁性薄膜層
2が設けられている。また、図1Bに示すように、磁性
薄膜層2は、その長手方向の長さLが2mm〜8mm、
短手方向の幅Sが0.5mm〜1mm、膜厚Tが2μm
となっている。なお、図においては特に膜厚(上下)方
向を誇張して記している。
【0024】また、Cr等からなる2つの電極層3、3
は、磁性薄膜層2の両端部に磁性薄膜層2と同程度の膜
厚T(2μm)となるようにして設けられ、交流電源
(図示せず)と接続されている。また、Co−Pt合金
等の硬磁気特性を示す強磁性体からなる2つの磁石層
4、4は、スパッタ等により薄膜で設けられており、磁
性薄膜層2と電極層3、3との上部に跨って積層されて
磁性薄膜層2に接触した状態で設けられている。
【0025】以上のようにして構成された磁気インピー
ダンス効果素子の動作時には、図1に示すように交流電
源Eacからの交流電流Iacが、電極層3を介して磁
性薄膜層2へ通電される。そして、検知する外部磁界H
exが磁性薄膜層2の長手方向に印加されると、磁性薄
膜層2の両端に材料固有のインピーダンスによる出力電
圧Emiが発生し、その振幅が外部磁界Hexの強度に
対応して変化する。この時、磁石層4、4がバイアス磁
界印加手段となり、その漏れ磁界を利用したバイアス磁
界Hbiを磁性薄膜層2の長手方向、即ち外部磁界He
xが印加される方向と平行な方向に印加して、得られた
磁気−インピーダンス特性の外部磁界Hex=0(O
e)付近における出力を取りやすくできるようにシフト
することができる。そして、実際の磁気インピーダンス
効果素子して用いた時に、定量的に信頼性が高いものと
することができる。
【0026】以上のようにバイアス磁界印加手段が高磁
気特性を有する強磁性体からなる磁石層4、4により構
成されることで、バイアス磁界Hbiを発生させる際に
バイアス磁界印加手段に電流を流す必要が無く、磁気イ
ンピーダンス効果素子の省電力化を図ることができる。
また、Co−Pt合金等を用いたスパッタ等により薄膜
で磁石層4、4を形成することで、磁気インピーダンス
効果素子の小型化を図ることができる。
【0027】次に、本発明の第2の実施の形態の磁気イ
ンピーダンス効果素子について説明する。図2は、本発
明の第2の実施の形態の磁気インピーダンス効果素子を
説明する要部断面図である。本実施の形態は第1の実施
の形態とは構造が異なり、磁性薄膜層2へのバイアス磁
界印加手段となり、磁性薄膜層2と同程度の膜厚Tとな
るようにスパッタ等により薄膜で設けられた2つの磁石
層4、4が、磁性薄膜層2の両端部に接触した状態で基
板1上に配設されている。また、2つの電極層3、3
は、磁性薄膜層2と磁石層4、4との上部に跨って積層
され、磁性薄膜層2に接触した状態で設けられている。
このようにすることによっても第1の実施の形態と全く
同じように、磁石層4、4によりバイアス磁界Hbiが
磁性薄膜層2の長手方向に印加され、得られた磁気−イ
ンピーダンス特性をシフトさせることができる。
【0028】次に、本発明の第3の実施の形態の磁気イ
ンピーダンス効果素子について説明する。図3は、本発
明の第3の実施の形態の磁気インピーダンス効果素子を
説明する要部断面図である。本実施の形態においては、
バイアス磁界印加手段として反強磁性材料からなる反強
磁性薄膜層5を用い、軟磁気特性を備えた強磁性体であ
り、磁気インピーダンス効果を有する磁性薄膜層2との
接触界面で生じる交換異方性磁界を利用して、バイアス
磁界Hbiを印加する。
【0029】図3に示したように、ガラス等からなる基
板1の上層にはスパッタ法や蒸着法等により設けられ、
磁気インピーダンス効果を有し、室温において軟磁性
(Softmagnetism)を示す強磁性体の磁性薄膜層2が設
けられている。また、磁性薄膜層2の形状は、図1Bに
示した第1の実施の形態と同様に、長手方向の長さLが
2mm〜8mm、短手方向の幅Sが0.5mm〜1m
m、膜厚Tが2μmとなっている。
【0030】また、Fe−Mn合金やNi−Mn合金、
Pt−Mn合金、NiO等からなる反強磁性薄膜層5
は、磁性薄膜層2の上に直接積層されて、磁性薄膜層2
と同形状の長手方向の長さLが2mm〜8mm、短手方
向の幅Sが0.5mm〜1mmで設けられており、膜厚
Tは5μmである。このようにすることによっても、反
強磁性薄膜層5によりバイアス磁界Hbiが磁性薄膜層
2の長手方向に印加され、得られた磁気−インピーダン
ス特性をシフトさせることができる。
【0031】以上第1〜第3の実施の形態で示した磁気
インピーダンス効果を有する磁性薄膜層2は、その長手
方向、即ち外部磁界Hexが印加される方向が磁化困難
軸となっていることが望ましい。外部磁界Hexが印加
される方向が磁化困難軸であると、その方向において透
磁率が上昇し、印加される外部磁界Hexに対する検知
感度が上昇するためである。このような外部磁界Hex
が印加される方向に磁化困難軸が設けられた磁性薄膜層
2は、磁場中でスパッタ等により成膜を行うか、又は磁
場の無い(小さい)状態で成膜された後の磁性薄膜層2
を高温雰囲気下の磁場中に置き、磁場中アニールするこ
とで容易に形成される。
【0032】
【実施例】(実施例1)以下に、本発明の磁気インピー
ダンス効果素子に用いることができる磁気インピーダン
ス効果を有する磁性材料ごとに実施例を説明する。図4
は、本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いられる
磁性薄膜層の磁気−インピーダンス特性を測定するため
の回路説明図である。また、図5及び図6は、本発明の
磁気インピーダンス効果素子に用いられるColTam
n系アモルファス磁性薄膜層の磁気−インピーダンス
特性を示すグラフ図であり、図5は、磁性薄膜層の短手
方向の幅Sが0.5mmのものであり、図6は、磁性薄
膜層の短手方向の幅Sが1mmのものである。
【0033】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用
いられる磁性薄膜層2を形成する材料としては、組成式
がColTamHfnで表され、各組成比は、l、m、n
はat%で、70≦l≦90、5≦m≦21、6.6≦
n≦15、1≦m/n≦2.5の関係をそれぞれ満足
し、アモルファス相を主体とした組織を有し、軟磁気特
性を示す材料を挙げることができる。
【0034】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用
いられる磁性薄膜層2は、軟磁気特性を備えた強磁性体
であることが必要である。即ち、軟磁気特性を備えた材
料(軟磁性材料)は、磁気インピーダンス効果を有して
いるからである。また、軟磁性材料からなる磁性薄膜層
2には、以下のような特性が要求される。まず、数十M
Hz〜数GHzの高周波領域において透磁率μが高くな
くてはならない(但し、磁気インピーダンス効果素子の
用途によって、透磁率μが高い必要がある周波数帯は異
なる)。これと関連して、高周波領域で透磁率μが高く
なるためには、比抵抗ρが大きくなければならない。そ
して、外部磁界Hexにより軟磁性材料に応力がかかっ
て磁気特性が劣化しないように、磁歪定数λが小さいこ
とが好ましい。
【0035】まず、ColTamHfn系の磁性薄膜層2
を作製し、飽和磁束密度Bs、比抵抗ρ及び磁歪定数λ
を求めた。磁性薄膜層2は、入力電力200Wの高周波
スパッタ装置に4インチ径のColTamHfn系合金タ
ーゲットを配設すると共に、5×10-3TorrのAr
ガス圧下でスパッタを行って、ガラスからなる基板1上
に成膜した。また、磁性薄膜層2は、長手方向の長さL
が2、4、6、8mm、短手方向の幅Sが0.5mm又
は1mmの長方形状に形成し、膜厚Tが約2μmとなる
ようにスパッタ時間を調整して成膜した。次いで、真空
加熱炉内に磁性薄膜層2が成膜された基板1を置き、磁
場中で500℃、60分間保持した後に徐冷してアニー
ル処理を行って、磁性薄膜層2の長手方向が磁化困難軸
となるようにした。
【0036】ColTamHfn系の磁性薄膜層2におい
ては、その飽和磁束密度BsはCoの含有率に依存して
おり、0.5T以上の飽和磁束密度Bsを得るには少な
くともCoの含有率が70at%以上必要であった。ま
た、Coの含有率が90at%を越えると比抵抗ρが小
さくなるので、Coの含有率は90at%以下とした。
【0037】また、Ta及びHfは軟磁気特性を得るた
めの元素であり、Taの含有率が5at%以上21at
%以下、Hfの含有率が6at%以上15at%以下の
組成範囲内で添加することにより、飽和磁束密度Bsが
大きく比抵抗ρが大きい軟磁性材料とすることができ
た。併せてHfはCo−Ta系において発生する負の磁
歪定数λを解消するための元素ともなり、磁歪定数λは
(Taの含有量)/(Hfの含有量)で表される比率に
依存することが判明し、この比率が1以上2.5以下と
なる上述の組成範囲内で添加することにより良好に磁歪
定数λを解消することができた。
【0038】次に、ColTamHfn系の磁性薄膜層2
の磁気−インピーダンス特性を測定した。まず、図4に
示すように、その長手方向の両端部にCr等からなる2
つの電極層3、3を磁性薄膜層2と同程度の膜厚Tで設
け、交流電源Eacと接続した。そして、3MHzの交
流電流Iacを通電した状態で、磁性薄膜層2の長手方
向に外部磁界Hexを印加し、磁気−インピーダンス特
性を測定した。
【0039】図5には、短手方向の幅S=0.5mmに
形成したCo83Ta6Hf11からなる磁性薄膜層2の磁
気−インピーダンス特性を示す。このように外部磁界H
ex=0(Oe)を中心に正負磁界の絶対値に依存して
正負方向に略対称的に出力電圧Emi、即ちインピーダ
ンスが変化(上昇)し、薄膜により構成した磁性薄膜層
2は磁気インピーダンス効果を有していることがわか
る。また、磁性薄膜層2の長手方向の長さLを2、4、
6、8mmと変化させても、それぞれ異なる磁気−イン
ピーダンス特性を有しており、様々なサイズの磁気イン
ピーダンス効果素子に対応して設けることができること
がわかる。また、磁性薄膜層2の長手方向の長さLを変
化させることで、検知感度や用途が異なる様々な磁気イ
ンピーダンス効果素子に対応させることができる。
【0040】また、図6には、短手方向の幅S=1.0
mmに形成したCo83Ta6Hf11からなる磁性薄膜層
2の磁気−インピーダンス特性を示す。図5と同様に、
長手方向の長さLを2、4、6、8mmと変化させる
と、磁気−インピーダンス特性も変化している。また、
図5と比較して、同じ長手方向の長さLであっても、膜
厚Tを2倍にすることで、磁気−インピーダンス特性の
立ち上がりが緩やかになっていることがわかる。このよ
うに膜厚Tを変化させることによっても、磁気−インピ
ーダンス特性を変化させることができ、サイズや検知感
度、用途が異なる様々な磁気インピーダンス効果素子に
対応させることができる。
【0041】また、図5及び図6に示したように、外部
磁界Hexの極性に関わらず、インピーダンス変化によ
る出力電圧Emiが緩やかに変化しているため、この緩
やかに変化している部分において定量性を得やすい。ま
た、上述の第1〜第3の実施の形態に示したバイアス磁
界印加手段により、数Oeのバイアス磁界Hbiを磁性
薄膜層2に印加して、磁気−インピーダンス特性の曲線
を横方向(外部磁界Hexの軸方向)にシフトさせ、外
部磁界Hex=0(Oe)付近における出力を取りやす
くすることができる。また、印加するバイアス磁界Hb
iは、2Oe程度の軽微なもので良いことがわかる。そ
して、これら磁性薄膜層2に前述のバイアス磁界印加手
段として、磁性薄膜2の上層に、Fe−Mn合金、Ni
−Mn合金、Pt−Mn合金、Ir−Mn合金、Pd−
Mn合金等の反強磁性材料からなる反強磁性薄膜層5を
配設するか、磁性薄膜層2の両端部に配設されたCo−
Pt系合金等の硬磁性材料の薄膜からなる磁石層4、4
を配設するものであるから、小型化に対応でき、製造も
容易な磁気インピーダンス効果素子を得ることができ
る。
【0042】(実施例2)図7は、本発明の磁気インピ
ーダンス効果素子に用いられるFehij系磁性薄膜
層の磁気−インピーダンス特性を示すグラフ図である。
磁気インピーダンス効果を有する他の磁性薄膜層2とし
て、組成式がFehijで表され、Rは希土類元素及
びTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Wからなる群か
ら選ばれる1種又は2種以上の元素であり、h、i、j
はat%で、45≦h≦70、5≦i≦30、10≦j
≦40、h+i+j=100の関係をそれぞれ満足する
軟磁気特性を示す材料を用いることができる。なお、全
組織の50%以上を占め、軟磁性薄膜は元素Mもしくは
Rの酸化物を多量に含むアモルファス相と、残部が平均
結晶粒径が30nm以下のbcc構造のFeを主体とす
る微結晶相が混在するとより好ましい。
【0043】まず、上述のFehij系の磁性薄膜層
2を作製し、飽和磁束密度Bs、比抵抗ρ及び透磁率μ
(10MHz)を求めた。磁性薄膜層2は、入力電力4
00WのRFマグネトロンスパッタ装置を用いて、Fe
ターゲット上にRの各元素の各種ペレットを配置した複
合ターゲットを用い、Ar+0.1〜2.0%O2の雰
囲気中、5×10-3TorrのAr+O2ガス圧下でス
パッタを行い、ガラスからなる基板1を間接水冷しなが
ら上に成膜した。また、磁性薄膜層2は、長手方向の長
さLが4mm、短手方向の幅Sが1mmの長方形状に形
成し、膜厚Tが約2μmとなるようにスパッタ時間を調
整して成膜した。次いで、真空加熱炉内に磁性薄膜層2
が成膜された基板1を置き、磁場中で400℃、120
分間保持した後に徐冷してアニール処理を行って、磁性
薄膜層2の長手方向が磁化困難軸となるようにした。そ
の一部の測定結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1より、Fehij系の磁性薄膜層2
において、上述の組成範囲とすることで、飽和磁束密度
Bsは1.0T以上と高く、また、比抵抗ρはおよそ4
00〜1000(μΩ・cm)と大きいことがわかる。
また、透磁率μに関しては、10MHzにおいては表1
に示したように数百以上と大きく、また、上述のように
比抵抗ρも大きいことから、さらに高周波領域において
も透磁率μが高くなることがわかる。なお、上述の組成
範囲を外れると、軟磁気特性が劣化することがわかって
いる。このようにFehij系の磁性薄膜層2は、バ
ランスのとれた優れた軟磁性材料であることがわかる。
【0046】次に、Fehij系の磁性薄膜層2の磁
気−インピーダンス特性を測定した。また、磁気−イン
ピーダンス特性の測定方法については、実施例1(図
4)と同様な方法に依った。図7には、例として、Fe
55Hf1134からなる磁性薄膜層2の磁気−インピーダ
ンス特性を示す。図7から明らかなように、Fe55Hf
1134からなる磁性薄膜層2は、磁気インピーダンス効
果を有していることがわかる。また、外部磁界Hexの
極性に関わらず、優れた直線性を有して変化しており、
2Oe程度の軽微なバイアス磁界Hbiを磁性薄膜層2
に印加して、外部磁界Hex=0(Oe)付近における
出力を取りやすくすることができる。このようなバイア
ス磁界Hbiを印加する手段としては、第1〜第3の実
施の形態で示したように、磁性薄膜層2の両端部に磁石
層4、4を配設するか、磁性薄膜層2の上層に反強磁性
薄膜層5を配設することで実現できる。
【0047】(実施例3)図8は、本発明の磁気インピ
ーダンス効果素子に用いられる(Co1-vvxyz
w系磁性薄膜層の周波数と透磁率との関係を示すグラ
フ図である。磁気インピーダンス効果を有するさらに他
の磁性薄膜層2として、組成式が(Co1- vvxy
zwで表され、TはFe、Niのうちいずれか一方、あ
るいは両方を含む元素であり、MはTi、Zr、Hf、
Ta、Cr、Mo、Si、P、C、W、B、Al、G
a、Ge及び希土類元素からなる群から選ばれる1種又
は2種以上の元素であり、XはAu、Ag、Cu、R
u、Rh、Os、Ir、Pt、Pdからなる群から選ば
れる1種又は2種以上の元素であり、組成比を表すvは
0≦v≦0.7、x、y、z、wはそれぞれat%で、
3≦y≦30、7≦z≦40、0≦w≦20、20≦y
+z+w≦60の関係をそれぞれ満足し、残部はxであ
り、これらの組成において、(Co1-vvxyzw
で表される磁性薄膜層2は、元素Mの酸化物を多量に含
むアモルファス相と、Coと元素Tを主体とするbcc
構造、fcc構造の1種または2種以上の結晶粒からな
る微結晶相が混在し、さらに、前記微結晶相には元素M
の酸化物を含んだ結晶構造を有し、軟磁気特性を示す材
料を用いることができる。
【0048】上述の(Co1-vvxyzw系の磁性
薄膜層2を作製し、比抵抗ρ及び実効透磁率μ′、虚数
部の透磁率μ″を求めた。磁性薄膜層2は、入力電力2
00Wの高周波二極スパッタ装置を用いて、Coターゲ
ットにT及びMの各元素の各種ペレットを配置した複合
ターゲットを用い、Ar+0.1〜2.0%O2の雰囲
気中、5×10-3TorrのAr+O2ガス圧下でスパ
ッタを行い、ガラスからなる基板1を間接水冷しなが
ら、その上に成膜した。
【0049】(Co1-vvxyzw系の磁性薄膜層
2の比抵抗ρはおよそ1200(μΩ・cm)以上と非
常に大きく、高周波領域においても透磁率が高くなるこ
とがわかる。また、(Co1-vvxyzw系の磁性
薄膜層2の周波数に対する透磁率の関係は、図8に示す
Co44.3Fe19.1Hf14.522.1を例として説明する
と、実効透磁率μ′はGHz帯まで高い値で略一定の値
をとっており、虚数部の透磁率μ″も低く抑えられてい
る。また、(実効透磁率μ′)/(虚数部の透磁率
μ″)で表されるいわゆる性能係数Qは、周波数が1G
Hz以下においては約2以上となっており、損失を低く
抑えることができる範囲であるQ≧1を確保できる。ま
た、その他の(Co1-vvxyzw系の磁性薄膜層
2についても、500MHzにおける実効透磁率μ′、
虚数部の透磁率μ″及び性能係数Qを求め、表2に記載
した。
【0050】
【表2】
【0051】表2より、500MHzという高周波領域
においても高い実効透磁率μ′を有し、性能係数Qも1
以上となっており、(Co1-vvxyzw系の磁性
薄膜層2は損失の少ない優れた軟磁性材料であることが
わかる。なお、上述の組成範囲を外れると、軟磁気特性
が劣化することがわかっている。このような優れた軟磁
性材料は良好な磁気インピーダンス効果を発揮するた
め、高感度且つ高速応答が要求される磁気インピーダン
ス効果素子の磁性薄膜層2に適用することができる。
【0052】(実施例4)図9は、本発明の磁気インピ
ーダンス効果素子に用いられるCoaZrbNbc系磁性
薄膜層の磁気特性を示すグラフ図であり、同図AはCo
濃度(at%)と飽和磁束密度Bsとの関係を示すグラ
フ図であり、同図BはZr/Nbと磁歪定数λとの関係
を示すグラフ図であり、同図Cは10MHzにおけるC
o濃度と透磁率μとの関係を示すグラフ図である。磁気
インピーダンス効果を有するさらに他の磁性薄膜層2と
して、組成式がCoaZrbNbcで表され、各組成比
は、a、b、cはat%で、78≦a≦91、b=
(0.5〜0.8)×(100−a−b)、c=100
−a−bの関係をそれぞれ満足し、アモルファス単相も
しくはアモルファス相を主体とし、軟磁気特性を示す材
料を用いることができる。
【0053】上述のCoaZrbNbc系の磁性薄膜層2
を作製し、飽和磁束密度Bs、磁歪定数λ、比抵抗ρ及
び透磁率μを求めた。磁性薄膜層2は、RFコンベンシ
ョナルスパッタ装置を用いて、CoターゲットにZr及
びNbの各ペレットを配置した複合ターゲットを用い、
Arの雰囲気中で磁場中スパッタを行って成膜した。
【0054】図9Aに示すように、飽和磁束密度Bsは
Coの濃度に依存し、Coの濃度が78〜91at%の
時には飽和磁束密度Bsが0.6〜1.4(T)と高い
値を示す。Coの濃度が91at%を越えると、耐食性
が低下すると共にアモルファス相になりにくく結晶化し
始めるので好ましくない。また、Coの濃度が78at
%未満であると、Co同士が隣接する割合が減り軟磁気
特性を示しにくくなり好ましくない。
【0055】また、図9Bに示すように、磁歪定数λは
Zr/Nbに対して直線的に変化しており、より優れた
軟磁性材料としての目安である磁歪定数λ≦0.5×1
-6とするためには、0.5≦Zr/Nb≦0.8であ
る必要がある。即ち、Zrの組成比b(at%)は
(0.5〜0.8)×(100−a−b)となり、Nb
の組成比c(at%)は残部(100−a−b)とな
る。
【0056】また、図9Cに示すように、10MHzに
おける透磁率μは、Coの濃度が78〜91at%の範
囲内では、いずれにしても900以上の高い値となって
いることがわかる。以上のように、CoaZrbNbc
磁性薄膜層2は優れた軟磁性材料であり、このような優
れた軟磁性材料は良好な磁気インピーダンス効果を発揮
するため、高感度且つ高速応答が要求される磁気インピ
ーダンス効果素子の磁性薄膜層2に適用することができ
る。
【0057】(実施例5)磁気インピーダンス効果を有
するさらに他の磁性薄膜層2として、組成式がT
100-d-e-f-gdefgで表され、平均結晶粒径が3
0nm以下のbcc構造のFeの結晶粒、bcc構造の
FeCo結晶粒、fcc構造のCo結晶粒のいずれか一
つ、もしくはこれらが混合した状態からなる組成が全組
成の50%以上を占める軟磁性薄膜からなり、TはF
e、Coのいずれか一方、あるいは両方を含む元素であ
り、XはSi、Alのいずれか一方、あるいは両方を含
む元素であり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、Wからなる群から選ばれる1種又は2種以上
の元素であり、ZはC、Nのいずれか一方、あるいは両
方を含む元素であり、QはCr、Re、Ru、Rh、N
i、Pd、Pt、Auからなる群から選ばれる1種又は
2種以上の元素であり、d、e、f、gはat%で、0
≦d≦25、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦g
≦10の関係をそれぞれ満足し、軟磁気特性を示す材料
を用いることができる。
【0058】また、組成式がT100-p-q-f-gSipAlq
efgで表され、平均結晶粒径が30nm以下のb
cc構造のFeの結晶粒、bcc構造のFeCo結晶
粒、fcc構造のCo結晶粒のいずれか一つ、もしくは
これらが混合した状態からなる組成が全組成の50%以
上を占める軟磁性薄膜からなり、TはFe、Coのいず
れか一方、あるいは両方を含む元素であり、MはTi、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から
選ばれる1種又は2種以上の元素であり、ZはC、Nの
いずれか一方、あるいは両方を含む元素であり、QはC
r、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、Auからな
る群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、p、
q、e、f、gはat%で、8≦p≦15、0≦p≦1
0、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦g≦10の
関係をそれぞれ満足し、軟磁気特性を示す材料を用いる
ことができる。
【0059】まず、上述のT100-d-e-f-gdefg
系及びT100-p-q-f-gSipAlqefg系の磁性薄膜
層2を作製した。磁性薄膜層2は、スパッタ又は蒸着等
により形成でき、スパッタ装置としてはRF2極スパッ
タ、DCスパッタ、マグネトロンスパッタ、3極スパッ
タ、イオンビームスパッタ、対向ターゲット式スパッタ
等の既存のものを用いることができる。また、磁性薄膜
層2は、長手方向の長さLが2または4mm、短手方向
の幅Sが0.5mmの長方形状に形成し、膜厚Tが約2
μmとなるようにスパッタ時間を調整して成膜した。こ
の時点において、得られた磁性薄膜層2は、成膜後はア
モルファス相を主体とするものであるが、550〜75
0℃、20分間保持して熱処理を行って、結晶粒の平均
粒径30nm以下の結晶組織を有するようにし、結晶組
織は、bcc構造のFeの結晶粒、bcc構造のFeC
oの結晶粒、fcc構造のCoの結晶粒の少なくとも一
種類以上と、これらの周囲に存在する金属元素Mの炭化
物又は窒化物の結晶粒とを主体として含むものである。
この磁性薄膜層2の結晶粒の占める割合は少なくとも5
0%以上であり、残部は主にアモルファス相である。こ
れらの実効透磁率μ(1MHz)、保磁力Hc及び磁歪
定数λを求めた結果を表3に示す。なお、これら磁性薄
膜層2は、必要に応じて長手方向と直交する方向の磁場
中で成膜もしくはアニールを行って、長手方向を磁化困
難軸としても良い。
【0060】
【表3】
【0061】表3より、上述の組成範囲内のT
100-d-e-f-gdefg系及びT100-p-q-f -gSip
qefg系の磁性薄膜層2は、1MHzにおいて1
500〜5100という高い透磁率μを有しており、ま
た、保磁力Hcも低く、併せて磁歪定数λも10-6台と
小さいことがわかる。このようにT100-d-e-f-gde
fg系の磁性薄膜層2は、高感度且つ高速応答が要求
される磁気インピーダンス効果素子に好ましく適用でき
る優れた軟磁性材料であることがわかる。
【0062】次に、T100-p-q-f-gSipAlqefg
系の磁性薄膜層2の磁気−インピーダンス特性を、実施
例1(図4)と同様な方法で測定した。図10、図11
には、例として、それぞれ長手方向の長さLが2、4m
m、幅Sは0.5mm、膜厚Tは2μmであるFe71.4
Si13.1Al5.8Hf3.34.5Ru1.9からなる磁性薄膜
層2の磁気インピーダンス特性を示す。なお、この例の
磁性薄膜層2は、磁場中にて成膜し、成膜後、磁性薄膜
層2の長手方向が磁化困難軸となるように、長手方向と
直交する方向の磁場中にて、575℃で30分間アニー
ルしたものである。図10、図11から明らかなよう
に、Fe71.4Si13.1Al5.8Hf3.34.5Ru1.9から
なる磁性薄膜層2は、磁気インピーダンス効果を有して
いることがわかる。また、磁性薄膜層2の長手方向の長
さLを2、4mmと変化させても、それぞれ異なる磁気
−インピーダンス特性を有しており、様々なサイズの磁
気インピーダンス効果素子に対応して設けることができ
ることがわかる。また、磁性薄膜層2の長手方向の長さ
Lを変化させることで、検知感度や用途が異なる様々な
磁気インピーダンス効果素子に対応させることができ
る。
【0063】また、図10及び図11に示したように、
外部磁界Hexの極性に関わらず、インピーダンス変
化による出力電圧Emiが緩やかに変化しているため、
この緩やかに変化している部分において定量性を得やす
い。また、上述の第1〜第3の実施の形態に示したバイ
アス磁界印加手段により数Oeのバイアス磁界Hbiを
印加して、磁気−インピーダンス特性の曲線を横方向
(外部磁界Hexの軸方向)にシフトさせ、外部磁界H
ex=0(Oe)付近における出力を取りやすくするこ
とができる。また、印加するバイアス磁界Hbiは、2
Oe程度の軽微なもので良いことがわかる。そして、こ
れら磁性薄膜層2に前述のバイアス磁界印加手段とし
て、磁性薄膜2の上層に、Fe−Mn合金、Ni−Mn
合金、Pt−Mn合金、Ir−Mn合金、Pd−Mn合
金等の反強磁性材料からなる反強磁性薄膜層5を配設す
るか、磁性薄膜層2の両端部に配設されたCo−Pt系
合金等の硬磁性材料の薄膜からなる磁石層4、4を配設
するか、ものであるから、小型化に対応でき、製造も容
易な磁気インピーダンス効果素子を得ることができる。
【0064】
【発明の効果】本発明の磁気インピーダンス効果素子に
よれば、磁気インピーダンス効果を有する磁性薄膜層
と、磁性薄膜層に対して印加される外部磁界が印加され
る方向と平行にバイアス磁界を印加する薄膜からなるバ
イアス磁界印加手段とを備えてなることにより、磁気イ
ンピーダンス効果素子にコイルを巻回せずにバイアス磁
界を印加できるため、磁気インピーダンス効果素子の小
型化を図ることができる。
【0065】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、バイアス磁界印加手段が、磁性薄膜層の両
端部に接触して設けられた磁石層からなることにより、
バイアス磁界を発生させるために電流を流す必要がな
く、磁気インピーダンス効果素子の省電力化を実現する
ことができる。
【0066】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、バイアス磁界印加手段が、磁性薄膜層に積
層して設けられた硬磁性薄膜層又は反強磁性薄膜層から
なることによっても、バイアス磁界を発生させるために
電流を流す必要がなく、磁気インピーダンス効果素子の
省電力化を実現することができる。
【0067】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、磁性薄膜層の外部磁界が印加される方向
が、磁化困難軸とされてなることにより、その方向にお
いて透磁率が上昇し、印加される外部磁界に対する磁気
インピーダンス効果素子の検知感度を上昇させることが
できる。
【0068】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、磁性薄膜層が、磁場中でアニール又は成膜
されてなることにより、外部磁界Hexが印加される方
向に磁化困難軸が設けられた磁性薄膜層を容易に形成す
ることができる。
【0069】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、磁性薄膜層は、組成式がColTamHfn
で表され、アモルファス相を主体とした軟磁性薄膜から
なり、l、m、nはat%で、70≦l≦90、5≦m
≦21、6.6≦n≦15、1≦m/n≦2.5の関係
を満足することにより、磁気−インピーダンス特性の優
れた軟磁気特性を有する磁性材料を得ることができ、高
い感度の磁気インピーダンス効果素子の磁性薄膜層とし
て用いることができる。
【0070】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、組成式がFehijで表され、全組織の
50%以上がアモルファス相であり、残部は平均結晶粒
径が30nm以下のbcc構造のFe結晶粒である軟磁
性薄膜からなり、Rは希土類元素及びTi、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Wからなる群から選ばれる1種又
は2種以上の元素であり、h、i、jはat%で、45
≦h≦70、5≦i≦30、10≦j≦40、h+i+
j=100の関係を満足することによっても、磁気−イ
ンピーダンス特性の優れた軟磁気特性を有する磁性材料
を得ることができ、高い感度の磁気インピーダンス効果
素子センサの磁性薄膜層として用いることができる。
尚、上記組成の軟磁性薄膜において、元素Rが希土類元
素から選ばれる1種又は2種の元素である場合には、
h、jはat%で50≦h≦70、10≦j≦30であ
ることがより好ましい。
【0071】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、磁性薄膜層は、組成式が(Co1-vvx
yzwで表され、元素Mの酸化物を多量に含むアモ
ルファス相に、Coと元素Tを主体とするbcc構造、
fcc構造の1種または2種以上の結晶粒からなる微結
晶層が混在した軟磁性薄膜からなり、TはFe、Niの
うちいずれか一方、あるいは両方を含む元素であり、M
はTi、Zr、Hf、Ta、Cr、Mo、Si、P、
C、W、B、Al、Ga、Ge及び希土類元素からなる
群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、XはA
u、Ag、Cu、Ru、Rh、Os、Ir、Pt,Pd
からなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素であ
り、組成比を表すvは0≦v≦0.7、x、y、z、w
はat%で、3≦y≦30、7≦z≦40、0≦w≦2
0、20≦y+z+w≦60の関係を満足し、残部はx
であることによっても、磁気−インピーダンス特性の優
れた軟磁気特性を有する磁性材料を得ることができ、高
い感度の磁気インピーダンス効果素子の磁性薄膜層とし
て用いることができる。
【0072】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、磁性薄膜層は、組成式がCoaZrbNbc
で表され、アモルファス相を主体とした軟磁性薄膜から
なり、a、b、cはat%で、78≦a≦91、b=
(0.5〜0.8)×(100−a)、c=100−a
−bの関係を満足することによっても、磁気−インピー
ダンス特性の優れた軟磁気特性を有する磁性材料を得る
ことができ、高い感度の磁気インピーダンス効果素子の
磁性薄膜層として用いることができる。
【0073】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、薄膜磁性層は、組成式がT100-p-q-f-g
pAlqefgで表され、平均結晶粒径が30nm
以下のbcc構造のFeの結晶粒、bcc構造のFeC
o結晶粒、fcc構造のCo結晶粒のいずれか一つ、も
しくはこれらが混合した状態からなる組成が全組成の5
0%以上を占める軟磁性薄膜からなり、TはFe、Co
のいずれか一方、あるいは両方を含む元素であり、Mは
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる
群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、Zは
C、Nのいずれか一方、あるいは両方を含む元素であ
り、QはCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、
Auからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素で
あり、p、q、e、f、gはat%で、8≦p≦15、
0≦p≦10、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦
g≦10の関係を満足することによっても、磁気−イン
ピーダンス特性の優れた軟磁気特性を有する磁性材料を
得ることができ、高い感度の磁気インピーダンス効果素
子の磁性薄膜層として用いることができる。
【0074】また、本発明の磁気インピーダンス効果素
子によれば、薄膜磁性層は、組成式がT100-p-q-f-g
pAlqefgで表され、平均結晶粒径が30nm
以下のbcc構造のFeの結晶粒、bcc構造のFeC
o結晶粒、fcc構造のCo結晶粒のいずれか一つ、も
しくはこれらが混合した状態からなる組成が全組成の5
0%以上を占める軟磁性薄膜からなり、TはFe、Co
のいずれか一方、あるいは両方を含む元素であり、Mは
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる
群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、Zは
C、Nのいずれか一方、あるいは両方を含む元素であ
り、QはCr、Re、Ru、Rh、Ni、Pd、Pt、
Auからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素で
あり、p、q、e、f、gはat%で、8≦p≦15、
0≦p≦10、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦
g≦10の関係を満足することによっても、磁気−イン
ピーダンス特性の優れた軟磁気特性を有する磁性材料を
得ることができ、高い感度の磁気インピーダンス効果素
子の磁性薄膜層として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁気インピーダン
ス効果素子を説明する図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の磁気インピーダン
ス効果素子を説明する要部断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の磁気インピーダン
ス効果素子を説明する要部断面図である。
【図4】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いら
れる磁性薄膜層の磁気−インピーダンス特性を測定する
ための回路説明図である。
【図5】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いら
れるColTamHfn系磁性薄膜層の磁気−インピーダ
ンス特性を示すグラフ図である。
【図6】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いら
れるColTamHfn系磁性薄膜層の磁気−インピーダ
ンス特性を示すグラフ図である。
【図7】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いら
れるFehij系磁性薄膜層の磁気−インピーダンス
特性を示すグラフ図である。
【図8】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いら
れる(Co1-vvxyzw系磁性薄膜層の周波数と
透磁率との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用いら
れるCoaZrbNbc系磁性薄膜層の磁気特性を示すグ
ラフ図である。
【図10】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用い
られるFe71.4Si13.1Al5.8Hf3.34.5Ru1.9
らなる磁性薄膜層の磁気−インピーダンス特性を示すグ
ラフ図である。
【図11】本発明の磁気インピーダンス効果素子に用い
られるFe71.4Si13.1Al5.8Hf3.34.5Ru1.9
らなる磁性薄膜層の磁気−インピーダンス特性を示すグ
ラフ図である。
【図12】従来の磁気インピーダンス効果素子の磁気−
インピーダンス特性の測定回路図である。
【図13】従来の磁気インピーダンス効果を有する(F
6Co9472.5Si12.515非晶質ワイヤの磁気−イ
ンピーダンス特性を示すグラフ図である。
【図14】従来の磁気インピーダンス効果素子の磁気−
インピーダンス特性の他の測定回路図である。
【符号の説明】
1 基板 2 磁性薄膜層 3 電極層 4 磁石層 5 反強磁性薄膜層 Eac 交流電源 Hex 外部磁界 Emi 出力電圧 Hbi バイアス磁界 L 磁性薄膜層2の長手方向の長さ S 磁性薄膜層2の短手方向の幅 T 磁性薄膜層2の膜厚

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気インピーダンス効果を有する磁性薄
    膜層と、該磁性薄膜層に対して印加される外部磁界が印
    加される方向と平行にバイアス磁界を印加する薄膜から
    なるバイアス磁界印加手段とを備えてなることを特徴と
    する磁気インピーダンス効果素子。
  2. 【請求項2】 前記バイアス磁界印加手段が、前記磁性
    薄膜層の両端部に接触して設けられた磁石層からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の磁気インピーダンス効
    果素子。
  3. 【請求項3】 前記バイアス磁界印加手段が、前記磁性
    薄膜層に積層して設けられた硬磁性薄膜層又は反強磁性
    薄膜層からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気
    インピーダンス効果素子。
  4. 【請求項4】 前記磁性薄膜層の外部磁界が印加される
    方向が、磁化困難軸とされてなることを特徴とする請求
    項1〜請求項3のいずれか一に記載の磁気インピーダン
    ス効果素子。
  5. 【請求項5】 前記磁性薄膜層が、磁場中でアニール又
    は成膜されてなることを特徴とする請求項4に記載の磁
    気インピーダンス効果素子。
  6. 【請求項6】 前記磁性薄膜層は、組成式がColTam
    Hfnで表され、アモルファス相を主体とした軟磁性薄
    膜からなり、l、m、nはat%で、70≦l≦90、
    5≦m≦21、6.6≦n≦15、1≦m/n≦2.5
    の関係を満足することを特徴とする請求項1〜請求項5
    に記載の磁気インピーダンス効果素子。
  7. 【請求項7】 前記磁性薄膜層は、組成式がFehi
    jで表され、全組織の50%以上がアモルファス相であ
    り、残部は平均結晶粒径が30nm以下のbcc構造の
    Fe結晶粒である軟磁性薄膜からなり、Rは希土類元素
    及びTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Wからなる群
    から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、h、i、
    jはat%で、45≦h≦70、5≦i≦30、10≦
    j≦40、h+i+j=100の関係を満足することを
    特徴とする請求項1〜請求項5に記載の磁気インピーダ
    ンス効果素子。
  8. 【請求項8】 前記磁性薄膜層は、組成式が(Co1-v
    vxyzwで表され、元素Mの酸化物を多量に含
    むアモルファス相と、Coと元素Tを主体とするbcc
    構造、fcc構造の1種または2種以上の結晶粒からな
    る微結晶相が混在した軟磁性薄膜からなり、TはFe、
    Niのうちいずれか一方、あるいは両方を含む元素であ
    り、MはTi、Zr、Hf、Ta、Cr、Mo、Si、
    P、C、W、B、Al、Ga、Ge及び希土類元素から
    なる群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、X
    はAu、Ag、Cu、Ru、Rh、Os、Ir、Pt,
    Pdからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素で
    あり、組成比を表すvは0≦v≦0.7、x、y、z、
    wはat%で、3≦y≦30、7≦z≦40、0≦w≦
    20、20≦y+z+w≦60の関係を満足し、残部は
    xであることを特徴とする請求項1〜請求項5に記載の
    磁気インピーダンス効果素子。
  9. 【請求項9】 前記磁性薄膜層は、組成式がCoaZrb
    Nbcで表され、アモルファス相を主体とした軟磁性薄
    膜からなり、a、b、cはat%で、78≦a≦91、
    b=(0.5〜0.8)×(100−a−b)、c=1
    00−a−bの関係を満足することを特徴とする請求項
    1〜請求項5に記載の磁気インピーダンス効果素子。
  10. 【請求項10】 前記薄膜磁性層は、組成式がT
    100-d-e-f-gdefgで表され、平均結晶粒径が3
    0nm以下のbcc構造のFeの結晶粒、bcc構造の
    FeCo結晶粒、fcc構造のCo結晶粒のいずれか一
    つ、もしくはこれらが混合した状態からなる組成が全組
    成の50%以上を占める軟磁性薄膜からなり、TはF
    e、Coのいずれか一方、あるいは両方を含む元素であ
    り、XはSi、Alのいずれか一方、あるいは両方を含
    む元素であり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、T
    a、Mo、Wからなる群から選ばれる1種又は2種以上
    の元素であり、ZはC、Nのいずれか一方、あるいは両
    方を含む元素であり、QはCr、Re、Ru、Rh、N
    i、Pd、Pt、Auからなる群から選ばれる1種又は
    2種以上の元素であり、d、e、f、gはat%で、0
    ≦d≦25、1≦e≦10、0.5≦f≦15、0≦g
    ≦10の関係を満足することを特徴とする請求項1〜請
    求項5に記載の磁気インピーダンス効果素子。
  11. 【請求項11】 前記薄膜磁性層は、組成式がT
    100-p-q-f-gSipAlqefgで表され、平均結晶粒
    径が30nm以下のbcc構造のFeの結晶粒、bcc
    構造のFeCo結晶粒、fcc構造のCo結晶粒のいず
    れか一つ、もしくはこれらが混合した状態からなる組成
    が全組成の50%以上を占める軟磁性薄膜からなり、T
    はFe、Coのいずれか一方、あるいは両方を含む元素
    であり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
    o、Wからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素
    であり、ZはC、Nのいずれか一方、あるいは両方を含
    む元素であり、QはCr、Re、Ru、Rh、Ni、P
    d、Pt、Auからなる群から選ばれる1種又は2種以
    上の元素であり、p、q、e、f、gはat%で、8≦
    p≦15、0≦p≦10、1≦e≦10、0.5≦f≦
    15、0≦g≦10の関係を満足することを特徴とする
    請求項1〜請求項5に記載の磁気インピーダンス効果素
    子。
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