JP2000158798A - インク受像シート及びその製造方法 - Google Patents

インク受像シート及びその製造方法

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JP2000158798A
JP2000158798A JP10333067A JP33306798A JP2000158798A JP 2000158798 A JP2000158798 A JP 2000158798A JP 10333067 A JP10333067 A JP 10333067A JP 33306798 A JP33306798 A JP 33306798A JP 2000158798 A JP2000158798 A JP 2000158798A
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ink
resin
receiving sheet
acid
film
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JP10333067A
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English (en)
Inventor
Masaya Omura
雅也 大村
Nobuyuki Nakatsuka
修志 中塚
Seiji Mizumoto
清治 水元
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度、基材との密着性、インク吸収性及びイ
ンク定着性に優れた多孔質膜を備えたインク受像シート
を得る。 【解決手段】 少なくとも一方の表面の平均空孔径が
0.05〜3μm、膜表面の空孔率が20〜70%であ
り、かつ少なくともウレタン系樹脂を含む多孔質膜でイ
ンク受像シートを構成する。前記ウレタン系樹脂はカチ
オン性ウレタン系樹脂であってもよい。多孔質膜は、ウ
レタン系樹脂と非ウレタン系樹脂とで構成してもよく、
ウレタン系樹脂の割合は、非ウレタン系樹脂100重量
部に対して10〜100重量部程度であってもよい。前
記非ウレタン系樹脂としては、セルロース系樹脂、ビニ
ル系重合体及びポリスルホン系重合体などが使用でき
る。前記多孔質膜は、乾式相転換によるミクロ相分離構
造を有していてもよい。前記インク受像シートは、少な
くとも前記多孔質膜で構成でき、ウレタン樹脂を含む熱
可塑性樹脂組成物と、この樹脂組成物に対する良溶媒及
び貧溶媒とを含む塗膜を乾式相転換し、前記多孔質膜を
形成することにより製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク受像シート
及びその製造方法に関する。さらに詳しくはインクジェ
ット記録方式におけるインクの吸収性、インク定着性及
び印字性に優れたインク受像シート及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、フルカラー
化が容易であり、低騒音で印字品質に優れている。ま
た、インクジェットプリンターは低価格で、しかも高速
化が容易であるため、コンピュータ用記録装置、ワード
プロセッサ、コピー機などの印字・出力装置として広く
用いられている。インクジェット記録用のインク成分と
しては、安全性、記録適性の点から主に水系インクが使
用され、ノズルから記録用シートにむけてインク小滴を
飛翔させることにより記録が行われる。そして、使用す
る記録シートのインク吸収性が低い場合、飛翔させたイ
ンク小滴の周辺にインクが飛散したり、記録終了後もイ
ンクが記録用シートの表面に長時間残り、装置の一部へ
の接触、取り扱い者への接触や、記録シートの重ね合せ
により、記録部分が汚れる。また、高密度画像部では、
多量に供給されたインクが吸収されないまま混合される
とともに流れ出し、不鮮明な画像となる。このため、記
録用シートは、速やかにインクを吸収すること、及び高
い定着性が要求される。
【0003】特公昭63−56876号公報には連続被
膜中に空孔を有する多孔性樹脂層を備えたインクジェッ
ト記録用シートが開示されている。このようなシートで
は、多孔性樹脂層を備えることにより、インク吸収性を
向上できるものの、インク定着性及び印字品質の向上に
は限界がある。
【0004】特開平4−263982号公報には、基材
上に、酢酸セルロースからなる多孔質層を設け、その上
層に擬ベーマイトからなる色素の担持層を設けた記録シ
ートが提案されている。特開昭61−86251号公報
には、基材フィルム層の少なくとも片面に、液体吸収層
を積層するとともに、この液体吸収層に多孔質プラスチ
ックシート薄膜層(直径0 .01〜0 .1 μmの孔が多数
形成されたポリエチレン又はポリプロピレンフィルム)
を熱プレスにより積層した記録用シートが開示されてい
る。しかし、前記多孔質薄膜層の調製方法については記
載されていない。
【0005】WO98/25997では、セルロース誘
導体、ビニル形重合体、ポリスルホン系重合体などで構
成され、波長400nmの光線透過率が30%以上であ
る多孔質膜が開示されており、前記多孔質膜がミクロ相
分離構造を有することが記載されている。
【0006】また、記録用シートにおいて、実際にプリ
ンターなどで使用する場合、多孔質膜の強度が重要とな
る。さらに、基材上に多孔質膜を形成する場合、基材と
多孔質膜との密着性が要求される。しかし、前記のよう
な記録用シートでは、多孔質膜自体に十分な強度がない
ため、容易に擦り傷が生じたり、破断する恐れがある。
また、強度が実用上十分であっても、基材を表面処理し
ない限り、基材と多孔質膜との密着性を改善しつつ、併
せてインク定着性を改善することが困難である。
【0007】なお、インクジェット記録方式において、
耐水性を向上させるため、顔料を用いたインクが検討さ
れている。しかし、染料インクと異なり、粒子状の顔料
インクではインク受容層に対する定着性ひいては耐水性
が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、基材との密着性を向上できるとともに、インク吸収
性、インク定着性及び印字性に優れ、画像の耐久性を向
上できるインク受像シート及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0009】本発明の他の目的は、インク吸収性がさら
に向上したインク受像シート及びその製造方法を提供す
ることにある。本発明のさらに他の目的は、染料インク
又は顔料インクであっても、高品質の画像を形成できる
インク受像シート及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、ウレタン系樹脂と非
ウレタン系の樹脂とを用いて多孔質膜にウレタン系樹脂
を含有させると、多孔質膜の強度、及び多孔質膜と基材
との密着性を大幅に改善できることを見出し、本発明を
完成した。
【0011】すなわち、本発明のインク受像シートは、
少なくとも一方の表面の平均空孔径が0.05〜3μ
m、表面の空孔率が20〜70%であり、かつ少なくと
もウレタン系樹脂を含む多孔質膜で構成される。前記ウ
レタン系樹脂はカチオン性ウレタン系樹脂であってもよ
い。前記多孔質膜において、空孔は前記一方の表面から
他方の表面に向かって大きくなり、他方の表面の平均空
孔径が前記一方の表面の平均空孔径の2〜20倍であっ
てもよい。多孔質膜は、ウレタン系樹脂と非ウレタン系
樹脂とで構成してもよく、ウレタン系樹脂の割合は、非
ウレタン系樹脂100重量部に対して10〜100重量
部程度であってもよい。前記非ウレタン系樹脂として
は、セルロース系樹脂、ビニル系重合体及びポリスルホ
ン系重合体などが使用できる。前記多孔質膜は、乾式相
転換によるミクロ相分離構造を有していてもよい。多孔
質膜は、表面に平均空孔径0.05〜3μmの空孔を位
置させた状態で、基材の少なくとも一方の面に形成して
もよく、多孔質膜と基材との間にインク吸収層を形成し
てもよい。
【0012】本発明のインク受像シートは、少なくとも
前記多孔質膜で構成でき、ウレタン樹脂を含む熱可塑性
樹脂組成物と、この樹脂組成物に対する良溶媒及び貧溶
媒とを含む塗膜を乾式相転換し、前記多孔質膜を形成す
ることにより製造できる。
【0013】なお、本明細書中、非ウレタン系樹脂と
は、ウレタン系樹脂以外の樹脂をいう。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 [多孔質膜]本発明のインク受像シートを構成する多孔
質膜は、ウレタン系樹脂と非ウレタン系樹脂とで構成さ
れる。
【0015】ウレタン系樹脂は、ジイソシアネート成分
と、ポリオール成分との反応により得られるウレタン系
重合体で構成できる。前記反応には、必要によりジアミ
ン成分を鎖伸長剤として使用してもよい。ウレタン系重
合体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0016】ジイソシアネート成分には、例えば、芳香
族ジイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソ
シアネート(例えば、キシリレンジイソシアネートな
ど)、脂環式ジイソシアネート(例えば、イソホロンジ
イソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(例え
ば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネートなど)などが含まれる。ジイソシアネ
ート成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。ジイソシアネート成分は、アダクト体であってもよ
く、必要によりトリフェニルメタントリイソシアネート
などのポリイソシアネート成分と併用してもよい。
【0017】ポリオール成分としては、例えば、ポリエ
ステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカー
ボネートポリオールなどが挙げられる。ポリオールの中
でも特にジオール(ポリエステルジオール、ポリエーテ
ルジオール、ポリカーボネートジオールなど)が好まし
い。ポリオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて
使用できる。
【0018】ポリエステルジオールは、ジオール、ジカ
ルボン酸又はその反応性誘導体(低級アルキルエステ
ル,酸無水物)との反応に限らず、ラクトンから誘導し
てもよい。ジオールには、例えば、脂肪族ジオール(例
えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、
プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、テト
ラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネ
オペンチルグリコールなどのC2-10アルキレンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールな
どのポリオキシC2-4 アルキレングリコールなど)、脂
環式ジオール、芳香族ジオールなどが含まれる。ジオー
ルは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジ
オールは、必要により、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトールなどのポリオールと併用してもよい。
ジオールは、通常、脂肪族ジオールである。
【0019】ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジ
カルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸など)、脂
環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタ
ル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)などが例示さ
れる。ジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。ジカルボン酸は、必要により、トリメリ
ット酸などの多価カルボン酸と併用してもよい。
【0020】ラクトンには、例えば、ブチロラクトン、
バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトンなど
が含まれ、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき
る。ウレタン系重合体は、ジオール成分としてポリエー
テルジオール(ポリオキシテトラメチレングリコールな
ど)を用いたポリエーテル型ウレタン系重合体であって
もよいが、少なくともポリエステルジオール(特に、脂
肪族成分を主たる反応成分とする脂肪族ポリエステルジ
オール)を用いたポリエステル型ウレタン系重合体(例
えば、1,4−ブタンジオールなどのC2-6 アルキレン
ジオールと、アジピン酸などのC4-12脂肪族ジカルボン
酸、およびイソフタル酸又はフタル酸との反応により得
られるポリエステルジオールや前記ラクトンから誘導さ
れるポリエステルジオールを用い、イソホロンジイソシ
アネートなどのジイソシアネートと反応させたウレタン
樹脂など)であるのが好ましい。
【0021】ウレタン系樹脂は、有機溶媒溶液、水溶
液、水性エマルジョンとして用いてもよい。ウレタン系
樹脂の水溶液又は水性エマルジョンは、ウレタン系樹脂
を、乳化剤を用いて、溶解又は乳化分散させて調製して
もよく、ウレタン系樹脂の分子内に遊離のカルボキシル
基や3級アミノ基などのイオン性官能基を導入し、アル
カリや酸を用いて、ウレタン系樹脂を溶解又は分散させ
ることにより調製してもよい。このような分子内に遊離
のカルボキシル基や3級アミノ基が導入されたウレタン
系樹脂は、ジイソシアネート成分と、遊離のカルボキシ
ル基又は3級アミノを有するジオール(特に高分子ジオ
ール)成分との反応により得られる。なお、前記遊離の
カルボキシル基を有するジオール(特に高分子ジオー
ル)は、例えば、ジオール成分と、3以上のカルボキシ
ル基を有する多価カルボン酸又はその無水物(例えば、
無水ピロメリット酸などの4塩基酸無水物など)や,ス
ルホン酸基を有する多価カルボン酸(スルホイソフタル
酸など)との反応、開始剤としてジメチロールプロピオ
ン酸などを用い、ラクトンを開環重合する方法などによ
り得られる。また、3級アミノ基を有するジオール(特
に高分子ジオール)は、開始剤としてN−メチルジエタ
ノールアミンなどを用い、アルキレンオキサイドやラク
トンを開環重合することにより調製できる。第3級アミ
ノ基は4級アンモニウム塩を形成してもよい。
【0022】好ましいウレタン系樹脂は、例えば、前記
3級アミノ基又は4級アンモニウム塩が導入されたウレ
タン系重合体などのカチオン型のウレタン系樹脂(カチ
オン性ウレタン系樹脂)である。このようなカチオン型
のウレタン系樹脂としては、例えば、パーマリンUC−
20(三洋化成(株)製)などを使用してもよい。
【0023】前記非ウレタン系樹脂としては、特に制限
されず種々の非ウレタン系樹脂(熱可塑性樹脂および熱
硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性樹脂、特に、
膜形成性の熱可塑性樹脂が使用される。以下の樹脂又は
重合体などが例示できる。
【0024】セルロース系樹脂(セルロース誘導体):
セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート,
セルロースプロピオネート,セルロースブチレート,セ
ルロースアセテートプロピオネート,セルロースアセテ
ートブチレート,セルロースアセテートフタレートなど
の有機酸エステル;硝酸セルロース,硫酸セルロース,
リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セル
ロースなどの混酸エステルなどセルロースエーテル、例
えば、メチルセルロース,エチルセルロース,イソプロ
ピルセルロース,ブチルセルロース,ベンジルセルロー
ス,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピル
セルロース,カルボキシメチルセルロース,カルボキシ
エチルセルロース,シアノエチルセルロースなど好まし
いセルロース誘導体は、セルロースエステル、例えば、
セルロース有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度
の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテート
(セルロースジアセテートやセルローストリアセテート
など)が含まれる。
【0025】セルロース誘導体(セルロースエステルな
ど)の粘度平均重合度は、例えば、50〜800、好ま
しくは75〜500、さらに好ましくは100〜250
(特に100〜200)程度である。粘度平均重合度1
00〜190程度のセルロースアセテートも有効に使用
できる。
【0026】セルロースアセテートなどのセルロースエ
ステルの粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田
和夫、斎藤秀夫、繊維学会誌、第18巻1号、105〜
120頁、1962年)により測定できる。すなわち、
メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の
混合溶液に精秤したセルロースエステルを溶解し、所定
の濃度c(2.00g/L)の溶液を調整する。この溶
液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻
線間を溶液が通過する時間(秒)tを測定する。一方、
前記混合溶剤単独についても上記と同様にして通過する
時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、粘度平均重
合度を算出する。
【0027】 ηrel =t/t0 [η]=(lnηrel )/c DP=[η]/(6×10-4) (式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0 は溶媒の通過
時間(秒)、cは溶液のセルロースエステル濃度(g/
L)、ηrel は相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平
均重合度を示す)セルロース誘導体の平均置換度は、1
〜3程度の範囲から選択できる。例えば、好ましいセル
ロースアセテートでは、例えば、平均酢化度42〜62
%(43〜60%)程度、好ましくは42〜57%程度
である。置換度(酢化度)が小さすぎると溶媒に対する
溶解度が低下する。また、粘度平均重合度が小さすぎる
と多孔質膜の孔径が小さくなり、非多孔質膜となりやす
く、大きすぎると孔径が大きくなりやすい。
【0028】ビニル系重合体:オレフィン系重合体、例
えば、オレフィン類の単独又は共重合体(ポリ1−ブテ
ン,ポリイソブテン,ポリブタジエン,ポリイソプレ
ン,エチレン−プロピレン共重合体など)、オレフィル
類と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体,
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、変性
ポリオレフィンなど)ハロゲン含有ビニル重合体、例え
ば、ハロゲン含有ビニル単量体の単独又は共重合体(ポ
リビニルクロライド,ポリビニリデンクロライドな
ど)、ハロゲン含有ビニル単量体と共重合性単量体との
共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニ
リデン−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニリデン−(メ
タ)アクリルアミド共重合体,塩化ビニリデン−(メ
タ)アクリル酸共重合体,塩化ビニリデン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体など)ビニルエステル系重合
体又はその誘導体、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニ
ルアルコール,エチレン−ビニルアルコール共重合体,
ポリビニルアセタール系重合体(ポリビニルフォルマー
ル,ポリビニルアセタール,ポリビニルブチラールな
ど)スチレン系重合体、例えば、芳香族ビニル単量体
(スチレン系単量体)の単独又は共重合体(ポリスチレ
ン,ポリ(α−メチルスチレン),ポリ(4−クロロス
チレン)など)、芳香族ビニル単量体と共重合性単量体
との共重合体(スチレン−(メタ)アクリル酸C1-10
ルキルエステル共重合体,スチレン−無水マレイン酸共
重合体,スチレン−マレイミド共重合体など)アリルア
ルコール系重合体、例えば、アリルアルコール−C1-6
アルキルビニルエーテル共重合体(アリルアルコール−
メチルビニルエーテル共重合体など)ポリビニルケトン
類、例えば、ポリビニルメチルケトン,ポリビニルメチ
ルイソブチルケトン,ポリメチルイソプロペニルケトン
などポリアルキルビニルエーテル、例えば、ポリメチル
ビニルエーテル,メチルビニルエーテル−無水マレイン
酸共重合体など(メタ)アクリル系重合体、例えば、
(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリロニトリ
ル,(メタ)アクリル酸エステル単量体など]の単独又
は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量
体[ビニルエステル系単量体,複素環式ビニル系単量
体,芳香族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又
はその誘導体などのビニル系単量体]との共重合体ビニ
ル系重合体のうち、(メタ)アクリロニトリル系重合体
および(メタ)アクリル酸エステル系重合体が好まし
い。すなわち、(メタ)アクリロニトリル,(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体から選択された少なくとも一
種の(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、こ
の(メタ)アクリル系単量体と他の共重合性単量体[ビ
ニルエステル系単量体,複素環式ビニル系単量体,芳香
族ビニル単量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘
導体などから選択された少なくとも一種の単量体]との
共重合体が好ましい。
【0029】(メタ)アクリロニトリル系重合体には、
ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリロニトリル,
(メタ)アクリロニトリルと共重合性単量体との共重合
体が含まれる。前記共重合性単量体としては、例えば、
ビニルエステル系単量体(ギ酸ビニル,酢酸ビニル,プ
ロピオン酸ビニルなど)、(メタ)アクリル系単量体
[(メタ)アクリル酸,(メタ)アクリル酸メチル,
(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸ブチ
ル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-10
ルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル,(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなど
のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート,ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート,ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
トなどのアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アク
リルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アル
コキシメチル(メタ)アクリルアミドなど]、複素環式
ビニル系単量体(ビニルピロリドン,ビニルピリジン,
ビニルピペリジン,ビニルイミダゾール,ビニルカルバ
ゾールなどの窒素原子,酸素原子およびイオウ原子から
選択された少なくとも一種のヘテロ原子を含む5〜6員
複素環式ビニル系単量体など)、芳香族ビニル単量体
(スチレン,ビニルトルエン,α−メチルスチレンな
ど)、重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(イタ
コン酸、マレイン酸、無水マレイン酸,フマル酸,これ
らの低級アルキルエステル又は酸無水物,マレイミド,
N−アルキルマレイミド,N−フェニルマレイミドな
ど)などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独
で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0030】(メタ)アクリロニトリル系共重合体とし
ては、例えば、アクリロニトリル−ビニルピロリドン共
重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル共重合体、アク
リロニトリル−C1-8 アルキル(メタ)アクリレート共
重合体(アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合
体など)、アクリロニトリル−ビニルピロリドン−C
1-8 アルキル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロ
ニトリル−酢酸ビニル−C1-8 アルキル(メタ)アクリ
レート共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル
酸共重合体、アクリロニトリル−酢酸ビニル−(メタ)
アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−C1-8 アルキ
ル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体
などが例示できる。
【0031】(メタ)アクリル酸エステル系重合体とし
ては、前記(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重
合体[例えば、ポリ(メタ)アクリル酸,ポリ(メタ)
アクリル酸C1-18アルキルエステルの単独又は共重合体
(ポリ(メタ)アクリル酸メチル,ポリ(メタ)アクリ
ル酸エチル,ポリ(メタ)アクリル酸ブチル,メタクリ
ル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体などの(メ
タ)アクリル酸C1-10アルキルエステル−(メタ)アク
リル酸共重合体,メタクリル酸メチル−アクリル酸C
1-10アルキルエステル共重合体などのメタクリル酸C
1-10アルキルエステル−アクリル酸C1-10アルキルエス
テル共重合体など]、(メタ)アクリル系単量体と共重
合性単量体(ビニルエステル系単量体,芳香族ビニル単
量体,重合性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体など)
との共重合体[例えば、メタクリル酸メチル−スチレン
共重合体などの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエス
テル−スチレン共重合体,メタクリル酸メチル−(メ
タ)アクリル酸−スチレン共重合体などの(メタ)アク
リル酸C1-10アルキルエステル−(メタ)アクリル酸−
スチレン共重合体など]などが例示できる。
【0032】ポリスルホン系重合体:ポリスルホン,ポ
リエーテルスルホンなど ポリオキシド系重合体:ポリオキシメチレンやポリオキ
シメチレンコポリマー(ポリアセタール樹脂),ポリオ
キシエチレン,ポリオキシプロピレン,ポリオキシエチ
レン−ポリオキシプロピレン共重合体など ポリアミドおよびポリイミド系重合体:ポリアミド(ナ
イロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナイロン1
2,ナイロン6/11,ナイロン6/12など),ポリ
エステルアミド,ポリイミド,ポリアミドイミドなど ポリエステル系重合体(飽和ポリエステルなど):ポリ
2-6 アルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフ
タレート,ポリブチレンテレフタレートなど),ポリC
2-6 アルキレンナフタレート(ポリエチレンナフタレー
トなど)、コポリエステル(ジオール成分及びテレフタ
ル酸の少なくとも一部が、エチレングリコール,プロピ
レングリコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール,
ポリオキシC2-4 アルキレングリコール,シクロヘキサ
ンジメタノールなどのジオール成分,フタル酸,イソフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸またはその酸無水物,
アジピン酸などのC6-12脂肪族ジカルボン酸などの他の
ジオール成分またはジカルボン酸成分で置換したポリア
ルキレンテレフタレート系コポリエステルやポリアルキ
レンナフタレート系コポリエステルなど) ポリカーボネート:芳香族ポリカーボネート(ビスフェ
ノールA型ポリカーボネートなど) 他の重合体:ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテ
ルエステル,ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレン
スルフィド,ポリエチレンイミンなど これらの樹脂又は重合体は単独でまたは二種以上混合し
て使用できる。
【0033】好ましい樹脂には、セルロース誘導体、ビ
ニル系重合体およびポリスルホン系重合体から選択され
た少なくとも一種の樹脂が含まれる。前記ウレタン系樹
脂の割合は、非ウレタン系樹脂100重量部に対して1
0〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さら
に好ましくは30〜60重量部程度である。
【0034】前記ポリウレタン樹脂と非ウレタン系樹脂
とで構成される多孔質膜において、少なくとも一方の表
面の平均空孔径は0.05〜3μm、好ましくは0.1
〜3μm、さらに好ましくは0.3〜2.5μm程度で
ある。前記平均空孔径が0.05μm未満では、インク
が空孔に吸収されにくく、乾燥性、インク定着性及び画
像の耐久性が低下し、3μmを超えると画像の鮮明性や
塗膜の強度などが低下する。
【0035】前記多孔質膜の空孔径は、特に制限され
ず、均一であってもよく、不均一であってもよく、少な
くとも一方の表面から他方の表面へ厚み方向に向かって
空孔径が大きくなっていてもよい。このような多孔質膜
では、一方の表面の空孔に比べて、通常、他方の表面側
の空孔の空孔径が大きい。そのため、印字の際に、前記
一方の表面に飛翔したインク(顔料インクなどであって
もよい水性インクなど)は、一方の表面側の細孔を通過
して、他方の表面側の比較的大きな空孔に速やかに吸収
されるため、鮮明な画像を得ることができるとともに、
シート表面の見かけ上の乾燥状態をより速く得ることが
できる。
【0036】多孔質膜における最大空孔径は、前記一方
の表面の平均空孔径の2〜20倍、好ましくは5〜15
倍、さらに好ましくは7〜10倍程度である。最大空孔
径が2倍未満では、インクが空孔に吸収され難く、乾燥
性、インク定着性及び画像の耐久性が低下し、最大空孔
径が20倍を超えると、画像の鮮明性が低下する虞が生
じる。
【0037】インク吸収性は多孔質膜の空孔率にも影響
される。前記多孔質膜において、膜表面の空孔率は20
〜70%、好ましくは30〜60%程度である。空孔率
が20%未満では、吸収面の表面積が少ないため、膜の
インクに対する吸収能が低く、70%を超えると、多孔
質膜自体の強度が低下する虞がある。
【0038】多孔質層は透明,半透明又は不透明のいず
れであってもよい。本発明では、孔径や空孔率を調整す
ることにより、用途によっては透明性の高い多孔質膜を
得ることも可能である。透明性の高い多孔質膜は、例え
ば、最大孔径が0.4μm以下であり、平均孔径が、
0.1〜0.2μm程度である。このようなインク受像
シートは、波長400nmでの光線透過率が、55%以
上(すなわち55〜100%)、好ましくは60〜10
0%、さらに好ましくは70〜100%、特に75〜1
00%程度であれば、OHP用シートとしても有用であ
る。透明性を重視する場合、多孔質膜の空孔率は、例え
ば、20〜70%、好ましくは20〜60%(例えば、
20〜45%)程度であるのが望ましい。
【0039】前記多孔質膜は、前述のような樹脂で構成
されており、ミクロ相分離構造、特に乾式相転換による
ミクロ相分離構造を有していてもよい。このミクロ相分
離構造は、流延した樹脂溶液の組成変化により相分離し
たゲル相の凝固により形成され、粒子間に形成される細
孔の形状は、通常、不定形であり、不規則で非円形であ
る。
【0040】前記多孔質層は、水性インクに対する濡れ
性が高く、孔中に水性インクが侵入するに十分な親水性
表面を有するものであってもよい。このような多孔質層
は、親水性樹脂で構成できる。なお、親水性樹脂とは、
接触角が80°未満(好ましくは0〜60°、特に0〜
40°程度)の重合体を意味する。接触角とは、室温
で、重合体面上の水滴の広がりが停止した状態で、水滴
の表面と重合体面との交点において、水滴に対する接線
と重合体面との間の角度である。
【0041】多孔質膜の膜厚は、特に制限されず用途に
応じて選択でき、例えば、1〜100μm、好ましくは
2〜70μm(例えば、3〜50μm)、さらに好まし
くは5〜50μm程度である。膜厚が小さすぎると強度
が不十分となる。また、透明性の高いインク受像シート
を所望する場合、膜厚が100μmを越えると、透明性
が低下する虞がある。
【0042】本発明のインク受像シートは、基材の少な
くとも一方の面に、多孔質膜を形成してもよい。多孔質
膜において空孔が一方の表面から他方の表面に向かって
大きくなる場合、前記他方の面が基材に接するように多
孔質膜を形成してもよく、さらに基材と多孔質膜との間
にはインク吸収層を介在させてもよい。 [基材]基材の材質については、特に制限はなく、透
明、半透明、及び不透明のいずれであってもよい二次元
的構造の基材、例えば、紙、塗工紙、不織布、プラスチ
ックフィルムなどが挙げられ、これらのうち、プラスチ
ックフィルムが好ましい。例えば、オーバーヘッドプロ
ジェクター(OHP)用に使用する場合、基材は、通常
透明のプラスチックフィルムである。プラスチックフィ
ルムを構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルア
ルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸
セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステル(ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリア
ルキレンナフタレートなど)、ポリカーボネート、ポリ
アミド(ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド
6/10、ポリアミド6/12など)、ポリエステルア
ミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられ、
さらにこれらの共重合体、ブレンド物、架橋物を用いて
もよい。
【0043】これらのフィルムのうち、通常、ポリオレ
フィン(特に、ポリプロピレンなど)、ポリエステル
(特に、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミ
ドなどが使用され、特に、機械的強度、作業性などの点
からポリエステル(特にポリエチレンテレフタレートな
ど)が好ましい。
【0044】プラスチックフィルムなどの基材には、必
要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑
剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。また、
多孔質膜やインク吸収層との接着性を改善するため、コ
ロナ放電処理やアンダーコート処理などの表面処理を行
ってもよい。
【0045】基材の厚みは、用途に応じて当業者の所望
により選択できるが、通常、インクジェットプリンター
に挿入して画像を形成することを考慮すると、例えば、
20〜200μm程度の範囲から選択でき、好ましくは
50〜170μm程度、さらに好ましくは80〜150
μm程度である。基材の厚みが20μmより薄いと、強
度及び剛性面からプリンタへの挿入、シートの反り、及
びシートの取り扱いに困難を来たし、200μmより厚
いと、1枚当たりの価格の上昇、シートの重量の増大に
より多数のシートの持ち運び性などが低下しやすい。
【0046】基材上に多孔質膜を設ける場合、多孔質膜
の膜厚は、1μm以上(例えば、1〜15μm程度)、
好ましくは1.5〜12μm程度である。 [インク吸収層]インク吸収層は、インク又はインクの
溶媒成分を吸収可能な物質で構成でき、特に制限はな
い。インクジェット記録式においては、水性インクが多
用されているため、インク吸収層は、通常、親水性高分
子(親水性樹脂)で構成できる。
【0047】前記親水性高分子としては、例えば、親水
性天然高分子又はその誘導体(デンプン、コーンスター
チ、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、
カゼイン、デキストリンなど)、セルロース誘導体(メ
チルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース
スルフェート、シアノエチルセルロースなど)、ビニル
アルコール系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン
−ビニルアルコール共重合体など)、エチレン系重合体
(エチレン−無水マレイン酸共重合体など)、酢酸ビニ
ル系共重合体(酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体
など)、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキ
サイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブ
ロック共重合体など)、カルボキシル基又はスルホン酸
基を有する重合体又はその塩[アクリル系重合体(ポリ
(メタ)アクリル酸又はその塩(アンモニウム、ナトリ
ウムなどのアルカリ金属塩)、メタクリル酸メチル−
(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニル
アルコール共重合体など)、ビニルエーテル系重合体
(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエ
ーテルなどのポリビニルアルキルエーテル、メチルビニ
ルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)、スチレン
系重合体(スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホ
ン酸ナトリウムなど)、ポリビニルスルホン酸ナトリウ
ムなど]、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)
又はその塩(ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロ
ライドなどの4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジ
ン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポ
リアミドポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドンなど)などが挙げられる。これらの親水性高
分子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0048】これらの親水性高分子のうち、セルロース
誘導体(特にヒドロキシエチルセルロースなど)、ビニ
ルアルコール系重合体(特にポリビニルアルコールな
ど)、ビニルエステル系重合体(特に酢酸ビニル系共重
合体など)、ポリビニルピロリドンなどが好ましい。
【0049】また、(1)ポリオキシアルキレン単位,
(2)アセトアセチル基,(3)カルボキシル基,
(4)酸無水物基および(5)アミノ基から選択された
少なくとも1つの官能基を有する親水性高分子も好まし
い。
【0050】(1)前記ポリオキシアルキレン単位を有
する親水性高分子には、前記多孔質膜を構成する重合体
と同様のビニルエステル系重合体(エーテル基などの親
水性基を有するポリオキシアルキレン−酢酸ビニル共重
合体など)が使用できる。
【0051】(2)アセトアセチル基変性親水性高分子
には、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とアセト酢
酸エステルとの反応により生成するアセトアセチル基含
有親水性高分子、例えば、アセトアセチル基変性酢酸ビ
ニル系共重合体(アセトアセチル基含有ポリビニルアル
コール,アセトアセチル基含有セルロース誘導体など)
が含まれる。
【0052】(3)カルボキシル基変性親水性高分子に
は、(3a)カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、
例えば、ビニルエステル(酢酸ビニルなど)とカルボキ
シル基含有不飽和単量体((メタ)アクリル酸などのモ
ノカルボン酸、マレイン酸などのジカルボン酸又はこれ
らの酸無水物もしくはモノアルキルエステルなど)との
共重合体の部分ケン化物、例としては、スチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリ
ル酸共重合体などのケン化物など、(3b)カルボキシル
基含有多糖類、例えば、カルボキシC1-4 アルキルセル
ロース、カルボキシメチルデキストランなどが含まれ
る。
【0053】(4)酸無水物基含有親水性高分子には、
アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、エ
チレン−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸
エステル−無水マレイン酸共重合体などが含まれる。
【0054】(5)アミノ基含有親水性高分子には、ポ
リアミド−ポリアミン、ポリビニルアミン、ポリ(N−
ビニルホルムアミド)の部分加水分解物、アミノ基含有
多糖類などが挙げられる。
【0055】前記親水性高分子には、耐水性を付与する
ために、架橋剤を添加してもよい。架橋剤は、前記親水
性高分子を架橋可能である限り、特に限定されない。例
えば、前記親水性高分子がヒドロキシル基を有する場
合、架橋剤としては、有機系架橋剤[カルボキシル基又
は酸無水物基を有する化合物(多価カルボン酸又はその
酸無水物など)、アルデヒド基を有する化合物、エポキ
シ基を有する化合物、窒素含有化合物(尿素樹脂、グア
ナミン樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂;エチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキ
レン型ジアミン又はポリアミン(すなわち、ポリエーテ
ル型ジアミン又はポリアミン)などの脂肪族、脂環族、
芳香族ジアミン又はポリアミンなど)、アクリルアミド
基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物
(ポリイソシアネート、ブロック型ポリイソシアネート
など)]、金属化合物などの無機系架橋剤[ホウ酸又は
ホウ酸塩(硼砂など)、ジルコニウム化合物(例えばハ
ロゲン化物、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸との
塩など)、チタニウム化合物(例えば、テトラエトキシ
チタネートなどのアルコキシドなど)、アルミニウム化
合物(例えば、トリメトキシアルミネートなどのアルコ
キシドなど)、リン化合物(例えば、亜リン酸エステ
ル、ビスフェノールA変性ポリリン酸など)、シランカ
ップリング剤(アルコキシ基、グリシジル基などの反応
性官能基を有するシリコーン化合物)など]などが使用
でき、多価カルボン酸又はその酸無水物、金属化合物な
どが好ましい。例えば、前記親水性高分子がカルボキシ
ル基を有する場合、エポキシ基を有する化合物、イソシ
アネート基を有する化合物及び金属化合物などが使用で
きる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上を組み合
わせて使用できる。
【0056】多価カルボン酸又はその塩、あるいは多価
カルボン酸の無水物を、ヒドロキシル基含有親水性高分
子と組み合わせると、インク吸収性、アンチブロッキン
グ性、画像の鮮明性(印字品質)及び耐水性を改善でき
る。
【0057】多価カルボン酸としては、分子中に2以上
の複数のカルボキシル基を有する化合物、例えば、脂肪
族ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸などのC2-10脂肪族飽和ポリカル
ボン酸など、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などのC4-6
肪族不飽和ポリカルボン酸など)、脂環族ポリカルボン
酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸など
のC8-10脂環族ポリカルボン酸など)、芳香族ポリカル
ボン酸(フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのC
8-12芳香族ポリカルボン酸又はその酸無水物など)、オ
キシポリカルボン酸(タルトロン酸、リンゴ酸、酒石
酸、クエン酸などのC3-6 オキシ多価カルボン酸な
ど)、窒素、酸素及び硫黄原子から選択された少なくと
も一種のヘテロ原子を有する複素環式多価カルボン酸
(ピリジンカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリ
ジンテトラカルボン酸、イソ糖酸、トロピン酸など)が
例示できる。これらの多価カルボン酸には、脂肪族、脂
環族又は芳香族C2-10ポリカルボン酸(特にC3-10ポリ
カルボン酸)が含まれる。
【0058】さらに好ましい多価カルボン酸は、水溶性
又は、水分散性である場合が多く、温度30℃において
水100gに対して5g以上(好ましくは10g以上、
さらに好ましくは30g以上)溶解する水溶性多価カル
ボン酸である。このような多価カルボン酸には、C2-6
脂肪族多価カルボン酸(特にC3-5 脂肪族多価カルボン
酸)などが含まれる。多価カルボン酸としては、マレイ
ン酸又はその酸無水物(無水マレイン酸)が特に好まし
い。
【0059】多価カルボン酸は塩としても使用でき、多
価カルボン酸のカルボキシル基の一部又は全部が塩基と
の塩を形成してもよい。多価カルボン酸塩には、無機塩
基(アンモニア、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ
金属など)との塩、有機塩基(第3級アミンなど)との
塩が含まれる。
【0060】アルデヒド基を有する化合物としては、複
数のアルデヒド基を有する化合物、例えば、グリオキザ
ール、マロンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレ
フタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、アクロレイ
ン共重合アクリル樹脂などが例示できる。
【0061】エポキシ基を有する化合物としては、複数
のエポキシ基を有する化合物、例えば、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリグリシジルエーテル、1,2−3,4
−ジエポキシブタンなどが例示できる。
【0062】インク吸収層には、硬化反応を促進するた
めに、硬化剤(硬化触媒又は硬化促進剤)を添加しても
よい。硬化剤としては、例えば、有機スズ化合物、有機
アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機ジル
コニウム化合物、酸性化合物、酸性リン酸エステル、前
記酸性リン酸エステルとアミンの混合物または反応物が
挙げられる。これらの硬化剤は単独で又は2種以上を混
合して用いることができる。
【0063】硬化剤の使用量は、硬化性を促進できる範
囲、例えば、固形分換算で、親水性高分子で構成された
樹脂組成物100重量部に対して0. 01〜10重量
部、好ましくは0. 1〜5重量部程度である。
【0064】多孔質膜及び/又はインク吸収層には、必
要に応じて、染料固着剤を含有していてもよい。また、
多孔質膜及び/又はインク吸収層を染料固着剤で処理
(含浸、浸漬など)してもよい。染料固着剤を用いる
と、例えば、染料インクを使用しても、染料の定着性、
画像の鮮明性及び画像の耐久性を向上できる。染料固着
剤(高分子染料固着剤)は、通常、分子中にカチオン基
(特に、グアニジル基や第4級アンモニウム塩型の強い
カチオン基)を有している。染料固着剤は水溶性であっ
てもよい。
【0065】染料固着剤としては、例えば、ジシアン系
固着剤(ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合体な
ど)、ポリアミン系固着剤[ジエチレントリアミン,ト
リエチレンテトラミン,ジプロピレントリアミン,ポリ
アリルアミンなどの脂肪族ポリアミン、フェニレンジア
ミンなどの芳香族ポリアミン、ジシアンジアミドと(ポ
リ)C2-4 アルキレンポリアミンとの縮合体(ジシアン
ジアミド−ジエチレントリアミン重縮合体など)]、ポ
リカチオン系固着剤などが例示できる。ポリカチオン系
固着剤としては、例えば、エピクロルヒドリン−ジC
1-4 アルキルアミン付加重合体(エピクロルヒドリン−
ジメチルアミン付加重合体など)、アリルアミン又はそ
の塩の重合体(ポリアリルアミン又はその塩酸塩の重合
体、例えば、日東紡績(株),PAA-10C ,PAA-HCl-3L,
PAA-HCl-10L など)、ジアリルC1-4 アルキルアミン又
はその塩の重合体(ジアリルメチルアミン又はその塩酸
塩の重合体、例えば、日東紡績(株),PAS-M-1 な
ど)、ジアリルジC1-4 アルキルアンモニウム塩の重合
体(ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの重合
体、例えば、日東紡績(株),PAS-H-5L,PAS-H-10L な
ど)、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウとの共
重合体(ジアリルアミン塩酸塩−二酸化イオウ共重合
体、例えば、日東紡績(株),PAS-92など),ジアリル
ジC1-4 アルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合
体(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化
イオウ共重合体、例えば、日東紡績(株),PAS-A-1 ,
PAS-A-5 ,PAS-A-120L,PAS-A-120Aなど),ジアリルジ
1-4 アルキルアンモニウム塩とジアリルアミン又はそ
の塩もしくは誘導体との共重合体(ジアリルジメチルア
ンモニウムクロライド−ジアリルアミン塩酸塩誘導体の
共重合体、例えば、日東紡績(株),PAS-880 など)、
ジアリルジC1-4 アルキルアンモニウム塩重合体,ジC
1-4 アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩
の重合体、ジアリルジC1-4 アルキルアンモニウム塩−
アクリルアミド共重合体(ジアリルジメチルアンモニウ
ムクロライド−アクリルアミド共重合体、例えば、日東
紡績(株),PAS-J-81など)、アミン−カルボン酸共重
合体(例えば、日東紡績(株),PAS-410 など)などが
例示できる。これらの染料固着剤も単独で又は二種以上
混合して使用できる。
【0066】染料固着剤の使用量は、定着性を向上でき
る範囲、例えば、固形分換算で、樹脂100重量部に対
して0.1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、
さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択で
きる。
【0067】また、インク吸収層には、必要に応じて、
他の成分、例えば、水性エマルジョン(例えば、アクリ
ル樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エ
マルジョン、酢酸ビニル系エマルジョンなど)を含有さ
せてもよい。
【0068】多孔質膜及び/又はインク吸収層には、粉
粒体(顔料など)を含有させてもよい。粉粒体として
は、例えば、無機粉粒体(ホワイトカーボン、微粒子状
珪酸カルシウム、ゼオライト、アミノ珪酸マグネシウ
ム、焼成珪成土、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状
アルミナ、シリカ、タルク、カオリン、デラミカオリ
ン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、珪酸マ
グネシウム、硫酸カルシウム、セリサイト、ベントナイ
ト、スメクタイトなどの鉱物質粉粒体など)、有機粉粒
体[ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの架橋又は非架僑
有機微粒子、微小中空粒子などの有機質粉粒体など]が
挙げられる。これらの粉粒体は1種又は2種以上適宜選
択して併用可能である。なお、粉粒体を用いる場合、バ
インダー樹脂としては前記親水性高分子(親水性樹脂)
が使用できる。
【0069】粉粒体とバインダー樹脂との割合は、例え
ば、バインダー樹脂100重量部に対して粉粒体0.1
〜80重量部、好ましくは0.2〜50重量部程度であ
る。多孔質膜及び/又はインク吸収層は、さらに特性を
損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布
性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線
吸収剤、熱安定剤など)、帯電防止剤、アンチブロッキ
ング剤などを含有していてもよい。
【0070】インク吸収層の厚みは、用途に応じて選択
でき、例えば、5〜50μm、好ましくは10〜30μ
m程度であり、通常、5〜30μm程度である。インク
吸収層を設ける場合、多孔質膜の膜厚は、1μm以上
(例えば、1〜15μm程度)、好ましくは1.5〜1
2μm程度である。
【0071】本発明のインク受像シートでは、多孔質膜
をウレタン系樹脂と非ウレタン系樹脂とで構成するた
め、多孔質膜の強度、及び基材又はインク吸収層との密
着性が大幅に改善され、インク受像シートの強度が向上
する。 [インク受像シートの製造方法]本発明のインク受像シ
ートは、ウレタン樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物と、こ
の樹脂組成物に対する良溶媒及び貧溶媒とを含む塗膜を
乾式相転換し、前記多孔質膜を形成することにより製造
できる。また、基材の少なくとも一方の面に、表面に平
均空孔径0.05〜3μmの空孔を位置させた状態で前
記多孔質膜を形成してもよく、前記基材の少なくとも一
方の面にインク吸収層を形成し、このインク吸収層上に
多孔質膜を形成してもよい。
【0072】前記多孔質膜は、ミクロ相分離法、例え
ば、多孔質膜を構成する樹脂の良溶媒溶液を流延又は塗
布し、前記樹脂に対する貧溶媒に浸漬する湿式相分離法
で製造することも可能であるものの、乾式相転換法、す
なわち、ウレタン樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物と、こ
の樹脂組成物に対する良溶媒と、前記樹脂組成物に対す
る貧溶媒とを含む均一なドープを基材に流延又は塗布
し、溶媒を蒸発させてミクロ相分離を生じさせることに
より製造できる。特に、乾式相転換法では、良溶媒より
も沸点の高い溶媒(高沸点溶媒)を貧溶媒として使用す
ることが肝要である。
【0073】上記乾式相分離プロセスにおいて、多孔質
膜の孔径を制御し、前記特徴を有する多孔質膜を得るに
は、良溶媒と貧溶媒の選定が重要である。良溶媒として
は、樹脂の種類などに応じて、例えば、ケトン類(アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなど
のC3-5 ジアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、
エステル類(ギ酸エチルなどのギ酸C1-4 アルキルエス
テル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸
1-4 アルキルエステル、プロピオン酸エチル、乳酸エ
チルなど)、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラ
ヒドロフラン,テトラヒドロピラン,ジエチルエーテ
ル,ジイソプロピルエーテル,ジメトキシエタンなどの
環状又は鎖状C4-6 エーテル)、セロソルブ類(メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど
のC1-4 アルキル−セロソルブ)、セロソルブアセテー
ト類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ
アセテートなどのC1-4 アルキル−セロソルブアセテー
ト)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩化
エチレンなど)、アミド類(ホルムアミド,アセトアミ
ドなどのアシルアミド類、N−メチルホルムアミド、N
−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのモノ又はジC
1-4 アシルアミド類)、スルホキシド類(ジメチルスル
ホキシドなどのジC1- 3 アルキルスルホキシド)、ニト
リル類(アセトニトリル、クロロアセトニトリル、プロ
ピオニトリル、ブチロニトリルなどC1-6 アルキルニト
リル,ベンゾニトリルなど)、有機酸類(ギ酸、酢酸、
プロピオン酸など)、有機酸無水物(無水マレイン酸、
無水酢酸など)、およびこれらの混合物から選択でき
る。良溶媒は、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエ
タン、ニトロプロパンなど)、低級アルコール類(メタ
ノール、エタノールなどのC1-4 アルコール、ジアセト
ンアルコールなど)を含んでいてもよい。
【0074】良溶媒は樹脂の種類に応じて選択できる。
例えば、セルロース誘導体の好ましい良溶媒には、アセ
トンなどのC3-5 ジアルキルケトン類(特にアセトン、
メチルエチルケトン)、酢酸エチルなどの酢酸C1-4
ルキルエステル類(特に酢酸メチル、酢酸エチル)、ジ
オキサン、ジメトキシエタンなどの環状又は鎖状C4- 6
エーテル類、メチルセロソルブなどのC1-4 アルキル−
セロソルブ類(特にメチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ)、メチルセロソルブアセテートなどのC1- 4 アルキ
ル−セロソルブアセテート類(特にメチルセロソルブア
セテート、エチルセロソルブアセテート)およびこれら
の混合溶媒などが含まれる。セルロース誘導体がセルロ
ースアセテートである場合、特に好ましい良溶媒には少
なくともC3-5 ジアルキルケトン類(特にアセトン)、
1-2 アルキル−セロソルブ類(中でもメチルセロソル
ブ)などを含む溶媒が含まれる。
【0075】良溶媒の沸点は、35〜200℃(例え
ば、35〜180℃)、好ましくは35〜170℃(例
えば、35〜160℃)、さらに好ましくは40〜16
0℃(例えば、40〜125℃)程度の範囲から選択で
き、通常、35〜150℃(例えば、35〜130℃)
程度である。
【0076】良溶媒は、その蒸気圧が200mmHgに
なる温度が、10〜70℃、好ましくは10〜50℃程
度である。貧溶媒とは、樹脂に対する溶解性がないか、
又は溶解性の低い溶媒を意味し、前記良溶媒よりも沸点
が高ければいずれの溶媒も使用できる。そのため貧溶媒
の種類は、特に制限されない。貧溶媒としては、例え
ば、エステル類(ギ酸アミル、ギ酸イソアミルなどのギ
酸C5-8 アルキルエステル、酢酸ブチル,酢酸アミル、
酢酸ヘキシル、酢酸オクチル,酢酸3−メトキシブチ
ル,酢酸3−エトキシブチル,プロピオン酸ブチル,プ
ロピオン酸3−メトキシブチルなどのC1-4 アルコキシ
基を有していてもよいC2-4 脂肪族カルボン酸C3-10
ルキルエステル(例えば、C1-4 アルコキシ基を有して
いてもよい酢酸C4-10アルキルエステル)、安息香酸メ
チル、安息香酸エチル、安息香酸プロピルなどの安息香
酸C1-4 アルキルエステル類)、アルコール類(シクロ
ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキ
サノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロオクタ
ノールなどのC1-4 アルキル基が置換していてもよいC
4-8 シクロアルカノール、アミルアルコール、イソアミ
ルアルコール、ヘキシルアルコールなどのC5-8 アルコ
ール類、2−ブトキシエタノール,3−ブトキシプロパ
ノールなどのC2-6 アルコキシ−C1-4 アルコール類、
フルフリルアルコールなどの複素環式アルコールな
ど)、ケトン類(メチルブチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチル
ケトン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなどのC
3-10ジアルキルケトン(特にC6-10ジアルキルケト
ン)、アセトニルアセトン、アセトフェノンなど)、エ
ーテル類(メチルフェニルエーテル、メトキシトルエ
ン、ジブチルエーテル、ベンジルエチルエーテルなどの
7-10エーテル) 、脂肪族炭化水素類(ヘキサン,オク
タン,ノナン,デカンなどのC5-20脂肪族炭化水素類)
およびこれらの混合物が例示できる。
【0077】セルロース誘導体の好ましい貧溶媒には、
エステル類(ギ酸C5-8 アルキルエステル、安息香酸C
1-4 アルキルエステルなど)、C4-8 シクロアルカノー
ル、C6-10ジアルキルケトンおよびC7-10エーテルから
選択された少なくとも一種の溶媒、特に少なくともC
5-7 シクロアルカノール(中でもシクロヘキサノール
類)を含む溶媒が含まれる。シクロヘキサノール類に
は、シクロヘキサノール,メチルシクロヘキサノール、
ジメチルシクロヘキサノールなどのモノ又はジC1-2
ルキル置換体が含まれる。
【0078】貧溶媒の沸点は、通常、100〜230
℃、好ましくは120〜200℃程度である。貧溶媒
は、通常、前記良溶媒よりも20℃以上(20〜60℃
程度)、好ましくは30〜50℃程度高い沸点を有して
いる。
【0079】貧溶媒は、その蒸気圧が200mmHgに
なる温度が50〜200℃、好ましくは70〜150℃
程度である。また、良溶媒及び貧溶媒のそれぞれの蒸気
圧が200mmHgになる温度の差は、50〜200
℃、好ましくは70〜150℃程度である。
【0080】良溶媒と貧溶媒との割合は、樹脂の均一溶
液を形成できる限り特に制限されず、通常、良溶媒10
0重量部に対して貧溶媒1〜200重量部(例えば、2
〜200重量部) 、好ましくは3〜180重量部( 例え
ば、5〜180重量部) 、さらに好ましくは5〜170
重量部( 例えば、10〜170重量部) 程度であり、通
常、5〜150重量部程度である。
【0081】さらに、ドープ液の樹脂の含有量は、樹脂
(重合体)の重合度などに応じて選択でき、例えば、3
〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、特に3〜2
0重量%(例えば、3〜15重量%)程度である。
【0082】ドープ液は、樹脂5〜30重量%程度の良
溶媒溶液100重量部に対して、貧溶媒5〜170重量
部程度を含んでいる。ドープ液は、好ましくは、樹脂5
〜20重量%(特に5〜15重量%)程度の良溶媒溶液
100重量部に対して、析出を抑制しつつ、貧溶媒5〜
170重量部(好ましくは5〜150重量部)程度を添
加することにより調製できる。
【0083】ドープ液(塗布液)には、多孔質膜の特性
を損なわない範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗
布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤,紫外
線吸収剤,熱安定剤など)、帯電防止剤、アンチブロッ
キング剤などを添加してもよい。
【0084】ドープ液は、慣用の流延又は塗布方法、例
えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレード
コーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコー
ター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター法
などにより、基材のうち少なくとも一方の面に流延又は
塗布される。
【0085】なお、WO98/25997では、高湿度
下、二段階でドープ液を乾燥する方法が開示されてい
る。しかし、本発明では、高湿度下、二段階での乾燥は
不要であり、簡便かつ効率よく多孔質膜を形成できる。
【0086】塗布されたドープ液を乾燥する乾燥工程で
は、沸点の低い良溶媒が優先的に蒸発する。この良溶媒
の蒸発の進行に伴い、ドープ液中の樹脂の溶解性が低下
し、樹脂はミセル(ゲル相)を形成して貧溶媒相と相分
離する。さらに乾燥が進むと、ミセルが接触し網目構造
が形成され、貧溶媒の蒸発の完了により、多孔質膜又は
多孔質フィルムが形成される。
【0087】塗布されたドープ液の乾燥工程では、一段
で乾燥してもよく、先ず低温で乾燥して、沸点の低い良
溶媒を蒸発させ(例えば、実質的に沸点の低い良溶媒の
蒸発を完了させ)、次いで高温での乾燥により残存する
貧溶媒の蒸発を行う二段階乾燥を行ってもよい。二段階
乾燥する場合、乾燥条件は使用する良溶媒、貧溶媒の種
類に応じて選択でき、一般に、一段目の乾燥は、温度1
0〜100℃(好ましくは20〜70℃、例えば、20
〜60℃)程度で30秒〜60分(好ましくは1〜60
分)程度行い、二段目の乾燥は、一段目の温度よりも高
い温度、例えば、温度50〜150℃(好ましくは60
〜130℃)程度で2秒〜30分(例えば2秒〜10
分)程度行ってもよい。二段目の乾燥温度は、通常、一
段目の温度よりも20℃以上(20〜120℃、好まし
くは50〜110℃程度)高い温度から選択できる。例
えば、良溶媒としてアセトンなどのC3-5 ジアルキルケ
トン、貧溶媒としてシクロヘキサノールなどのシクロア
ルカノール類を使用する場合などには、特に二段階乾燥
を行うことなく、簡便に乾燥することができ、容易にミ
クロ相分離膜を得ることができる。
【0088】前記乾式相転換により多孔質膜を製造する
と、インク吸収性及びインク定着性に優れたインク受像
シートを高い生産性で製造することができる。前記製造
方法により得られたインク受像シートは、インクの小滴
を飛翔させて記録するインクジェット方式による記録用
シートとして有用であるが、オフセット印刷、フレキソ
印刷などの印刷用シート(特に水性インキ用シート)な
どとしても利用できる。
【0089】本発明のインク受像シートは、インク吸収
性及びインク定着性に優れ、画像の鮮明性(印字品質)
が良好であり、インクジェットによる記録に適してい
る。
【0090】
【発明の効果】本発明のインク受像シートは、少なくと
もウレタン系樹脂を含む多孔質膜で構成するため、多孔
質膜の強度、及び基材との密着性を向上できるととも
に、インク吸収性、インク定着性及び印字性に優れ、画
像の耐久性を向上できる。また、インク受像シートを一
方の表面から厚み方向に向かって空孔径が大きくなる多
孔質膜で構成するため、染料インク又は顔料インクであ
っても、高品質の画像を形成できる。さらに多孔質膜と
インク吸収層とでインク受像シートを構成するので、イ
ンク吸収性を大幅に改善できる。
【0091】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0092】なお、文中、特に断りのない限り、部また
は%は重量基準である。実施例及び比較例で得られたイ
ンク受像シートにおける平均孔径、空孔率、耐水性、印
字性、インク吸収性及び多孔質膜の強度は、以下のよう
にして評価した。
【0093】なお、画像形成にはインクジェットプリン
ター(ENCAD製、NOVAJET・PRO)を使用
し、実施例及び比較例で得られた記録用シートに、顔料
タイプ水性インク(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラ
ックの各々の色)をベタで印刷し、記録画像を形成し
た。
【0094】[平均孔径、空孔率]倍率5000倍で撮
影した電子顕微鏡表面写真において、3箇所の所定面積
(2cm×2cm)を画像処理装置で処理し、電子顕微
鏡表面写真の各孔を真円として孔径を測定し、平均する
ことにより一方の表面の平均空孔径を求めた。
【0095】また、裏面(他方の表面)の平均空孔径
は、離型紙、基材又はインク吸収層から多孔質膜を剥離
し、前記一方の表面と同様に平均空孔径を求めた。空孔
率(%)は、計算式(孔の全面積/測定面積)×100
により算出した。
【0096】[耐水性]25℃にて十分に水を含んだ綿棒
で印字部を10往復こすり、下記の基準で印字部を目視
で評価した。
【0097】 ◎ 印字部が完全に残っている ○ 印字部に滲みが認められる × 印字部が残っていない [印字性]印字した画像形成部を下記の基準で、目視で評
価した。
【0098】 ◎ 滲みなく、画像が鮮明である ○ やや滲みを生ずる × 滲みを激しく生ずる [インク吸収性]印字した後、一定時間ごとに印字部にP
PC用コピー紙を載せ、コピー用紙の上から過重(25
0g/cm2 )を10秒間かけた後、コピー用紙を剥が
し、インクの裏移りの程度を目視で判断し、裏移りが認
められなくなるまでの時間を基準にしてインク吸収性を
評価した。
【0099】 ◎ 裏移りが認められなくなるまでの時間が1分以内で
ある ○ 裏移りが認められなくなるまでの時間が3分以内で
ある × 裏移りが認められなくなるまでの時間が5分以内で
ある [多孔質膜の密着性]作製したインク受像シートに、1
cm2 中に1mm2 の正方形が100個となるように格
子状に切目を入れ、その部分にセロテープを貼って勢い
良く剥がし、シート表面の状態を、以下の基準で判断し
た。
【0100】 ◎ 多孔質膜が全く剥離しない ○ 剥離が10個/100個未満である × 剥離が10個/100個以上である [多孔質膜の強度]多孔質膜を離型紙上に作製し、離型
紙から剥離して5cm×2.5cmの大きさに切り、オ
リエンテック(株)製テンシロンUCT−5Tを用い
て、クロスヘッドスピード10mm/minで剥離強度
を測定した。
【0101】実施例1 5重量部のウレタン系樹脂(「パーマリンUC−2
0」、三洋化成(株)製)と、10重量部の酢酸セルロ
ース(酢化度51%、粘度平均重合度250、以下CA
と略記する)とを含むアセトン溶液100重量部に、良
く攪拌しながらシクロヘキサノール100重量部を添加
してドープを作製した。離型紙上に、乾燥後の厚みが5
0μmとなるように塗布し、110℃で5分間乾燥し
た。離型紙から剥離したフィルムは、一方の表面の平均
空孔径が1.1μm、裏面の平均空孔径が5.2μm、
膜表面の空孔率が53%の多孔質フィルムであった。
【0102】実施例2 ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)
フィルム上に、実施例1のドープを、乾燥後の多孔質層
の厚みが50μmとなるよう塗布し、110℃で5分間
乾燥した。得られたフィルムは表面の平均空孔径が0.
9μm、PETフィルムに接する面(裏面)の平均空孔
径が4.7μm、膜表面の空孔率が49%の多孔質層を
表面に有する積層フィルムであった。
【0103】実施例3 PETフィルム上に、20重量%変性ポリビニルアルコ
ール(日本合成化学工業(株)製、「OKS7158
G」、ケン化度88%)水溶液100重量部に対して、
マレイン酸2重量部を添加した塗布液を、乾燥後のイン
ク吸収層の厚みが10μmとなるように塗布し、120
℃で3分間乾燥してインク吸収層を形成した。さらにこ
のインク吸収層に、実施例1のドープを、乾燥後の多孔
質層の厚みが5μmとなるように塗布し、 110℃で5
分間乾燥した。得られたフィルムは、表面の平均孔空孔
径が0.9μm、インク吸収層に接する面(裏面)の平
均空孔径が4.7μm、膜表面の空孔率49%の多孔質
層を表面に有する積層フィルムであった。
【0104】実施例4 5重量部のウレタン系樹脂(「パーマリンUC−2
0」、三洋化成(株)製)を含むアクリロニトリル(A
N)−ビニルピロリドン(VP)共重合体(DUY、A
N/VP=0.98/0.02モル比、 ダイセル化学工
業(株)製)の10%N,N−ジメチルホルムアミド溶
液100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシ
ブチル15重量部を添加して塗布液を作製した。PET
フィルム上に、実施例3と同様にインク吸収層を介し
て、乾燥後のフィルムの厚みが5μmになるように前記
塗布液を塗布し、70℃、90%RHの条件で1.5分
乾燥したのち、120℃で3分間乾燥した。得られたフ
ィルムは表面の平均空孔径が0.3μm、インク吸収層
に接する面(裏面)の平均空孔径が1.4μm、膜表面
の空孔率が48%の多孔質層を表面に有する積層フィル
ムであった。
【0105】実施例5 5重量部のウレタン系樹脂(「パーマリンUC−2
0」、三洋化成(株)製)を含むポリメチルメタクリレ
ート(Scientific Polymer Products 社製、以下PMM
Aと略記)の10%N,N−ジメチルホルムアミド溶液
100重量部に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブ
チル15重量部を添加して塗布液を作製した。PETフ
ィルム上に、実施例3と同様にインク吸収層を介して、
乾燥後のフィルムの厚みが5μmになるように前記塗布
液を塗布し、60℃、95%RHの条件で1.5分乾燥
したのち、120℃で3分間乾燥した。得られたフィル
ムは表面の平均空孔径が0.6μm、インク吸収層に接
する面(裏面)の平均空孔径が2.0μm、膜表面の空
孔率が43%の多孔質層を表面に有する積層フィルムで
あった。
【0106】実施例6 5重量部のウレタン系樹脂(「パーマリンUC−2
0」、三洋化成(株)製)を含むポリエーテルスルホン
[住友化学工業( 株) 社製、以下PESと略記する]の
11%N, N−ジメチルホルムアミド溶液100重量部
に、よく攪拌しながら酢酸3−メトキシブチル30重量
部を添加して塗布液を作製した。PETフィルム上に、
実施例3と同様にインク吸収層を介して、乾燥後のフィ
ルムの厚みが5μmになるように前記塗布液を塗布し、
60℃、95%RHの条件で1.5分乾燥したのち、1
20℃で3分間乾燥した。得られたフィルムは表面の平
均空孔径が0.8μm、インク吸収層に接する面の平均
空孔径が2.8μm、膜表面の空孔率が44%の多孔質
層を表面に有する積層フィルムであった。
【0107】比較例1 ウレタン系樹脂を除く以外は、実施例1と同様にフィル
ムを作製した。得られたフィルムは表面の平均空孔径が
1.3μm、インク吸収層に接する面の平均空孔径が
6.8μm、膜表面の空孔率が56%の多孔質層を表面
に有する積層フィルムであった。
【0108】比較例2 ウレタン系樹脂を除く以外は、実施例2と同様にフィル
ムを作製した。得られたフィルムは表面の平均空孔径が
1.0μm、インク吸収層に接する面の平均空孔径が
5.5μm、膜表面の空孔率が52%の多孔質層を表面
に有する積層フィルムであった。
【0109】比較例3 ウレタン系樹脂を除く以外は、実施例3と同様にフィル
ムを作製した。得られたフィルムは表面の平均空孔径が
1.0μm、インク吸収層に接する面の平均空孔径が
5.5μm、膜表面の空孔率が52%の多孔質層を表面
に有する積層フィルムであった。
【0110】比較例4 PETフィルム上に、5重量%変性ポリビニルアルコー
ル(日本合成化学工業(株)製、「OKS7158
G」、ケン化度88%)水溶液100重量部に対し、粒
径5μmの酸化アルミニウム粒子100重量部を添加し
た塗布液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布
し、120℃で3分間乾燥させた。得られたフィルム
は、表面の平均空孔径が4.6μm、PETフィルムに
接する面(裏面)の平均空孔径が4.3μm、膜表面の
空孔率が20.3%の多孔質層を表面に有する積層フィ
ルムであった。
【0111】結果を表1に示す。なお、表中、表面とは
多孔質膜の一方の表面(すなわち、印字面)を示し、裏
面とは多孔質膜の他方の表面(すなわち、印字面の反対
の面)を示す。
【0112】
【表1】
【0113】表から明らかなように、実施例のインク受
像シートを用いると、耐水性、印字性、インク吸収性及
び多孔質膜の強度のいずれもが良好である。これに対
し、ウレタン系樹脂を含まない比較例では、耐水性、印
字性及びインク吸収性は比較的良好であるものの、実施
例に比べ多孔質膜の強度及び基材又はインク吸収層との
密着性が低下する。また、空孔のサイズが比較的均一な
比較例4では、耐水性、インク吸収性は比較的良好であ
るものの、印字性が不十分である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られた多孔質フィルム表面
の電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は実施例1で得られた多孔質フィルム裏面
の電子顕微鏡写真である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H086 BA12 BA15 4F074 AA02 AA08 AA09 AA15 AA22 AA23 AA25 AA26 AA32 AA33 AA35 AA36 AA37 AA41 AA42 AA43 AA44 AA45 AA47 AA48 AA49 AA50 AA51 AA52 AA53 AA57 AA66 AA70 AA71 AA73 AA74 AA75 AA76 AA77 AA78 AA87 AA98 AH04 CB32 CB47 CC10X CC28Y CC29Y CC32Y DA02 DA03 DA13 DA23 DA52

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の表面の平均空孔径が
    0.05〜3μm、膜表面の空孔率が20〜70%であ
    り、かつ少なくともウレタン系樹脂を含む多孔質膜で構
    成されているインク受像シート。
  2. 【請求項2】 ウレタン系樹脂がカチオン性ウレタン系
    樹脂である請求項1記載のインク受像シート。
  3. 【請求項3】 多孔質膜において、空孔が一方の表面か
    ら他方の表面に向かって大きくなり、前記他方の表面の
    平均空孔径が前記一方の表面の平均空孔径の2〜20倍
    である請求項1記載のインク受像シート。
  4. 【請求項4】 膜厚が5〜50μmである請求項1記載
    のインク受像シート。
  5. 【請求項5】 多孔質膜が、ウレタン系樹脂と非ウレタ
    ン系樹脂とで構成されている請求項1記載のインク受像
    シート。
  6. 【請求項6】 ウレタン系樹脂の割合が、非ウレタン系
    樹脂100重量部に対して10〜100重量部である請
    求項5記載のインク受像シート。
  7. 【請求項7】 非ウレタン系樹脂が、セルロース系樹
    脂、ビニル系重合体及びポリスルホン系重合体から選択
    された少なくとも一種である請求項5記載のインク受像
    シート。
  8. 【請求項8】 非ウレタン系樹脂が、セルロースエステ
    ル、(メタ)アクリロニトリル系重合体、(メタ)アクリ
    ル酸エステル系重合体及びポリスルホン系重合体から選
    択された少なくとも一種である請求項5記載のインク受
    像シート。
  9. 【請求項9】 多孔質膜が、乾式相転換によるミクロ相
    分離構造を有している請求項1記載のインク受像シー
    ト。
  10. 【請求項10】 多孔質膜が、表面に平均空孔径0.0
    5〜3μmの空孔を位置させた状態で、基材の少なくと
    も一方の面に形成されている請求項1記載のインク受像
    シート。
  11. 【請求項11】 多孔質膜と基材との間にインク吸収層
    が形成されている請求項1記載のインク受像シート。
  12. 【請求項12】 インク吸収層が親水性樹脂である請求
    項11記載のインク受像シート。
  13. 【請求項13】 ウレタン樹脂を含む熱可塑性樹脂組成
    物と、この樹脂組成物に対する良溶媒及び貧溶媒とを含
    む塗膜を乾式相転換し、請求項1記載の多孔質膜を形成
    するインク受像シートの製造方法。
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