JP2000154263A - ラミネート用アクリル樹脂フィルムおよびその製造方法、ならびに積層体 - Google Patents

ラミネート用アクリル樹脂フィルムおよびその製造方法、ならびに積層体

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JP2000154263A
JP2000154263A JP10331307A JP33130798A JP2000154263A JP 2000154263 A JP2000154263 A JP 2000154263A JP 10331307 A JP10331307 A JP 10331307A JP 33130798 A JP33130798 A JP 33130798A JP 2000154263 A JP2000154263 A JP 2000154263A
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Japan
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film
acrylic resin
polymer
parts
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JP10331307A
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English (en)
Inventor
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
Yukio Kitaike
幸雄 北池
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 艶消し剤や後加工が不要な艶消しラミネート
用アクリル樹脂フィルムを提供する。 【解決手段】 下記熱可塑性重合体(A-1)0.1-20部、ゴ
ム含有重合体(A-2)22-99.9部、熱可塑性重合体(A-3)0-7
7.9部[(A-1)-(A-3)合計100部]を含有し、(A-2)中の架
橋弾性共重合体の割合が組成物100%中20%以上のアクリ
ル樹脂組成物(A)からなるラミネート用アクリル樹脂フ
ィルム[(A-1)MMA50-100%、還元粘度0.1L/gを超える;
(A-2)弾性共重合体(MAA35-99.9%、架橋性単量体0.1-10
%)100部に対しMMA50〜100%の単量体10-400部を重合。平
均粒子径0.15-0.5um;(A-3)MMA50-99%、MAA1〜50%、還
元粘度0.1L/g以下]、及びこれをTダイ法又はカレンダ
ー法で製造する方法、並びにこれを表面に有する積層
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、艶消し性を有する
ラミネート用アクリル樹脂フィルムおよびその製造方
法、ならびに、このフィルムを表面に有する積層体に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に樹脂成形品は艶があり、それが用
途によっては重要な特性とされるが、一方では艶が無い
方が好まれる用途も多い。とりわけ、車両内装材、家具
や電気機器のハウジング、壁紙等の用途には艶消し外観
が好まれる。
【0003】樹脂成形品に艶消し性を賦与する方法とし
て、艶消し性を有するアクリル樹脂フィルムをラミネー
トする方法がある。この艶消し性を有するアクリル樹脂
フィルムは、例えば、無機物または有機物からなる艶消
し剤を添加したり、あるいは紋つけ加工や艶消し加工等
の後加工により得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】紋つけ加工や艶消し加
工等の後加工で艶消し性を有するアクリル樹脂フィルム
を得る方法では、その加工のための装置が必要となり、
装置コストがかかる。また、艶消し剤を添加する方法で
は、一般に、添加しない場合と比較してフィルム伸度が
低下する。
【0005】一方、特公平6−45737号公報には、
特定の還元粘度を有する二種の熱可塑性重合体に、ゴム
含有重合体を配合した樹脂組成物が開示されている。こ
の樹脂組成物によれば、耐衝撃性、成形加工性等の各種
特性に優れたフィルムが得られる。しかし、ここではフ
ィルムの艶消し性については何ら考慮されておらず、こ
こに具体的に記載されるゴム含有重合体では、十分な艶
消し性を有するフィルムは得られない。
【0006】本発明の目的は、艶消し剤や後加工が不要
である故に、フィルム伸度の低下が無くかつ装置コスト
もかからず、しかも十分な艶消し性を有するラミネート
用アクリル樹脂フィルムおよびその製造方法、ならび
に、このフィルムを表面に有する積層体を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に示され
る熱可塑性重合体(A−1)0.1〜20重量部、ゴム
含有重合体(A−2)22〜99.9重量部、および、
熱可塑性重合体(A−3)0〜77.9重量部[成分
(A−1)〜(A−3)の合計100重量部]を主成分
として含有し、かつゴム含有重合体(A−2)に含まれ
る弾性共重合体とグラフト鎖とからなる架橋弾性共重合
体の割合が、アクリル樹脂組成物100重量%中20重
量%以上であるアクリル樹脂組成物(A)を、フィルム
化して成ることを特徴とするラミネート用アクリル樹脂
フィルムである。 (A−1)熱可塑性重合体 メタクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重
合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重
量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gを
クロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が
0.1L/gを超える熱可塑性重合体。 (A−2)ゴム含有重合体 アクリル酸アルキルエステル35〜99.9重量%と、
これと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種
0〜64.9重量%と、架橋性単量体0.1〜10重量%
とからなる単量体混合物を重合して得られる1層または
2層以上の構造を有する弾性共重合体の存在下に、メタ
クリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これ
と共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜
50重量%とからなる単量体またはその混合物を、前記
弾性共重合体100重量部に対し10〜400重量部重
合させることにより得られる、透過型電子顕微鏡で観察
した平均粒子径が0.15〜0.5μmであるゴム含有重
合体。 (A−3)熱可塑性重合体 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキ
ルエステル50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエ
ステル1〜50重量%と、これらと共重合可能な他のビ
ニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とからな
り、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム
100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以
下である熱可塑性重合体。
【0008】さらに本発明は、上記ラミネート用アクリ
ル樹脂フィルムを、Tダイ法またはカレンダー法で製造
することを特徴とするラミネート用アクリル樹脂フィル
ムの製造方法である。
【0009】さらに本発明は、上記ラミネート用アクリ
ル樹脂フィルムを表面に有することを特徴とする積層体
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0011】本発明に用いるアクリル樹脂組成物(A)
は、熱可塑性重合体(A−1)0.1〜20重量部、ゴ
ム含有重合体(A−2)22〜99.9重量部、およ
び、熱可塑性重合体(A−3)0〜77.9重量部[成
分(A−1)〜(A−3)の合計100重量部]を主成
分として含有し、かつゴム含有重合体(A−2)に含ま
れる弾性共重合体とグラフト鎖とからなる架橋弾性共重
合体の割合が、アクリル樹脂組成物100重量%中20
重量%以上のアクリル樹脂組成物である。以下、各成分
(A−1)〜(A−3)について説明する。
【0012】熱可塑性重合体(A−1)は、メタクリル
酸メチル50〜100重量%と、これと共重合可能な他
のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重量%とから
なり、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホル
ム100mlに溶解し、25℃で測定。以下同様。)が
0.1L/gを超える熱可塑性重合体である。この熱可
塑性重合体(A−1)は、フィルム成形性について重要
な役割を果たす。
【0013】熱可塑性重合体(A−1)の還元粘度が
0.1L/g以下では、厚み精度の良好なフィルムが得
られない。この還元粘度は、0.1L/gを超え2L/
g以下であることが好ましく、0.2〜1.2L/gであ
ることがさらに好ましい。
【0014】熱可塑性重合体(A−1)において、メタ
クリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体として
は、例えば、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル
酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシア
ン化合物等が挙げられる。これらは、1種類または2種
類以上を組み合わせて使用できる。
【0015】熱可塑性重合体(A−1)の製造は、乳化
重合法によることが好ましく、通常の乳化重合法、後処
理法により、粉末状で回収することができる。
【0016】アクリル樹脂組成物(A)中の熱可塑性重
合体(A−1)の含有量は、成分(A−1)〜(A−
3)の合計100重量部を基準として、0.1〜20重
量部である。
【0017】ゴム含有重合体(A−2)は、アクリル酸
アルキルエステル35〜99.9重量%と、これと共重
合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜64.
9重量%と、架橋性単量体0.1〜10重量%とからな
る単量体混合物を重合して得られる1層または2層以上
の構造を有する弾性共重合体の存在下に、メタクリル酸
アルキルエステル50〜100重量%と、これと共重合
可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重量
%とからなる単量体またはその混合物を、前記弾性共重
合体100重量部に対し10〜400重量部重合させる
ことにより得られる、透過型電子顕微鏡で観察した平均
粒子径が0.15〜0.5μmであるゴム含有重合体であ
る。
【0018】このゴム含有重合体(A−2)は、艶消し
性発現のために必要な成分である。また同時に、アクリ
ル樹脂フィルムに、優れた伸度、柔軟性、製膜性、耐衝
撃性等も付与する。
【0019】ゴム含有重合体(A−2)において、弾性
共重合体を構成するために用いるアクリル酸アルキルエ
ステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数1〜8の
ものが挙げられる。特に、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル等が好ましい。
【0020】アクリル酸アルキルエステルの使用量は、
35〜99.9重量%である。この使用量が35重量%
未満では、樹脂組成物の伸度が不足するのでフィルム状
に成形するのが困難になる。好ましい使用量は、50〜
90重量%である。
【0021】ゴム含有重合体(A−2)において、弾性
共重合体を構成するために用いるアクリル酸アルキルエ
ステルと共重合可能な他のビニル単量体としては、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シ
クロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、スチ
レン、アクリロニトリル等が好ましい。これらは、1種
類または2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0022】ゴム含有重合体(A−2)において、架橋
性単量体としては、特に限定されないが、ジメタクリル
酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ブタンジオー
ル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸
ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシ
アヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、
トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルシン
ナメート等が好ましい。これらは、1種類または2種類
以上を組み合わせて使用できる。
【0023】架橋性単量体の使用量は、0.1〜10重
量%である。この使用量が0.1重量%未満では、弾性
共重合体にグラフトされる単量体の量が極端に少なくな
り、フィルム状にする際の成形性が不十分となる。一
方、使用量が10重量%を超える場合は、性能の低下は
無いが、増加分に見合う効果は発現しない。好ましい使
用量は、0.3〜7重量%である。
【0024】弾性共重合体は、1層または2層以上の構
造とすることができる。2層以上の構造とする場合で
も、弾性共重合体の全体におけるアクリル酸アルキルエ
ステルの使用量が35重量%以上であればよい。したが
って、例えば弾性共重合体をハード芯構造にする場合、
1層目のアクリル酸アルキルエステルの使用量を35重
量%以下にすることもできる。
【0025】ゴム含有重合体(A−2)は、弾性共重合
体の存在下に、メタクリル酸アルキルエステル50〜1
00重量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体の
少なくとも1種0〜50重量%とからなる単量体または
その混合物を重合させることにより得られる。この重合
により、単量体は弾性共重合体にグラフト共重合され、
グラフト鎖を有する架橋弾性共重合体が生成する。
【0026】すなわち、ゴム含有重合体(A−2)中に
は、メタクリル酸アルキルエステル等の単量体が弾性共
重合体の表層部分にグラフト共重合することによって生
成する、弾性共重合体とグラフト鎖とからなる架橋弾性
共重合体と、メタクリル酸アルキルエステル等の単量体
が弾性共重合体とは無関係に重合して得られる重合体と
を含むことになる。架橋弾性共重合体の割合を調べるに
は、例えば、適当な溶媒を使用して後者の重合体を溶解
除去すればよい。本発明においては、この架橋弾性共重
合体が、フィルム成形後、ラミネート後においても特定
の粒子径の形状を保持し、フィルムに良好な艶消し性を
付与する。
【0027】グラフトさせるメタクリル酸アルキルエス
テルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル等が挙げら
れる。
【0028】メタクリル酸アルキルエステルと共重合可
能な他のビニル単量体としては、特に限定されないが、
例えばアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸シクロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、ス
チレン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは1
種類または2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0029】グラフトさせる単量体またはその混合物
は、弾性共重合体100重量部に対し10〜400重量
部、好ましくは20〜200重量部使用し、少なくとも
1段以上で重合することができる。
【0030】ゴム含有重合体(A−2)は、例えば、乳
化重合で得られる。重合時に連鎖移動剤、その他の重合
助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤としては、従来よ
り知られる各種のものが使用でき、特にメルカプタン類
が好ましい。
【0031】ゴム含有重合体(A−2)の平均粒子径
は、0.15〜0.5μmである。平均粒子径が0.15
μm未満では、フィルム状に成形した際の艶消し性が不
十分となる。また0.5μmを超えると、その製造が困
難となる。本発明において、平均粒子径は透過型電子顕
微鏡で観察したものであり、具体的には後述する実施例
の測定条件に従う。
【0032】平均粒子径0.15〜0.5μmのゴム含有
重合体(A−2)を添加すると良好な艶消し性が発現す
るのは、このゴム含有重合体(A−2)が形成する微細
な表面凹凸により、フィルム表面で光が乱反射するから
である。この平均粒子径は、さらに0.17〜0.35μ
mであることが好ましい。
【0033】アクリル樹脂組成物(A)中のゴム含有重
合体(A−2)の含有量は、成分(A−1)〜(A−
3)の合計100重量部を基準として、22〜99.9
重量部である。さらに、ゴム含有重合体(A−2)に含
まれる弾性共重合体とグラフト鎖とからなる架橋弾性共
重合体の割合は、アクリル樹脂組成物(A)100重量
%中、20重量%以上であることが必要である。この割
合が20重量%以下では艶消し性が不良となる。艶消し
性の観点からは、さらに、この割合は30重量%以上で
あることが好ましい。
【0034】熱可塑性重合体(A−3)は、炭素数1〜
4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル
50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエステル1〜
50重量%と、これらと共重合可能な他のビニル単量体
の少なくとも1種0〜49重量%とからなり、重合体の
還元粘度が0.1L/g以下である熱可塑性重合体であ
る。
【0035】熱可塑性重合体(A−3)において、メタ
クリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル
等が挙げられる。特に、メタクリル酸メチルが好まし
い。アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル
等が挙げられる。
【0036】また、熱可塑性重合体(A−3)におい
て、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸ア
ルキルエステルと共重合可能な他のビニル単量体として
は、例えば、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物
等が挙げられる。
【0037】熱可塑性重合体(A−3)の製造方法は、
特に限定されないが、通常の懸濁重合、乳化重合、塊状
重合等の方法で重合できる。重合時に連鎖移動剤、その
他の重合助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤は従来よ
り知られる各種のものが使用でき、特にメルカプタン類
が好ましい。
【0038】アクリル樹脂組成物(A)中の熱可塑性重
合体(A−3)の含有量は、成分(A−1)〜(A−
3)の合計100重量部を基準として、0〜77.9重
量部であり、好ましくは1〜77.9重量部である。
【0039】アクリル樹脂組成物(A)は、以上説明し
た成分(A−1)〜(A−3)を主成分として含有する
ものであるが、さらに必要に応じて、一般的な配合剤、
例えば、安定剤、滑剤、加工助剤、耐衝撃助剤、発泡
剤、充鎮剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、艶消し剤
等を配合してもよい。
【0040】本発明のラミネート用アクリル樹脂フィル
ムは、アクリル樹脂組成物(A)をフィルム化すること
により得られる。この製造法としては、Tダイ法、イン
フレーション法等の溶融押出法、カレンダー法等、いず
れの方法を用いてもよい。この中でも、カレンダー法に
よると、艶消し性が良好になる傾向にあるので好まし
い。また、Tダイ法によると、経済性に優れている点で
好ましい。
【0041】本発明のラミネート用アクリル樹脂フィル
ムは、艶消し性を有するフィルムである。その艶消しの
程度は、所望に応じて適宜決定すればよい。通常は、A
STM−D523に準拠する60度表面光沢度が、90
%以下であることが好ましく、さらに50%以下である
ことがより好ましい。
【0042】本発明のアクリル樹脂フィルムを、各種の
基材にラミネートすることにより、艶消し性の良好な積
層体が得られる。例えば、従来より知られる各種の熱可
塑性樹脂からなる基材にフィルムを熱融着して積層体を
得ることができる。また、熱融着しない熱硬化性樹脂、
鋼板、木材、紙等からなる基材にも、接着剤を使用して
フィルムを貼り合わせることが可能である。
【0043】このフィルムの積層方法(ラミネート方
法)については、特に制限は無く、従来より知られる各
種の積層方法が採用できる。また、フィルムと基材との
間に必要に応じて中間層を設けることもできる。
【0044】本発明の積層体は、このラミネート用アク
リル樹脂フィルムを表面に有することを特徴とする積層
体である。この積層体は、良好な艶消し外観を有し、車
両内装材、家具や電気機器のハウジング、壁紙等の各種
の用途に非常に有用である。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を表
す。
【0046】また、実施例中で用いた評価方法は、以下
の通りである。
【0047】(1)フィルムの艶消し性(表面光沢度) ASTM−D523に準拠し、村上色彩技術研究所製光
沢計GM−26Dを使用して、60度表面光沢度を測定
した。
【0048】(2)積層体の艶消し性(表面光沢度) 240℃でアクリル樹脂(三菱レイヨン製、商品名アク
リペットVH)を押し出して、厚さ2mmのシート状に
成形する際に、溶融アクリル樹脂と冷却ロールの間にフ
ィルムを導入することにより、押し出しラミネーション
を行った。得られた積層体を、上記方法(1)に従って
表面光沢度を測定した。
【0049】(3)還元粘度、固有粘度 還元粘度、固有粘度の測定は、三電子工業(株)製、A
VL−2C自動粘度計を使用して、溶媒にクロロホルム
を使用して測定した。還元粘度はクロロホルム100m
lにサンプルを0.1g溶かしたもので測定した。
【0050】(4)ゴム含有重合体(A−2)の平均粒
子径 得られたフィルムを適当な大きさに切り出し、切片を
0.5重量%四酸化ルテニウム水溶液に室温で15時間
浸漬してゴム含有重合体部分を染色した。更に、ミクロ
トームを用いて約70nmの厚みにサンプルを切断し、
透過型電子顕微鏡で写真撮影した。この写真から無作為
に50個の染色されているゴム含有重合体を選び、その
各々の粒子径を算出し、その平均値を平均粒子径とし
た。
【0051】(5)アクリル樹脂フィルム(A)中の架
橋弾性共重合体の割合 得られたフィルムの1重量%メチルエチルケトン溶液を
調製し、25℃にて一昼夜放置後、16000r.p.
m.で90分間遠心分離を施し、上澄み液を除き、乾燥
後の不溶分の重量%を架橋弾性共重合体の割合とした。
【0052】<実施例1> a)熱可塑性重合体(A−1)の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込
み、乳化剤オレイン酸カリ1部、過硫酸カリ0.3部を
仕込んだ。続いてメタクリル酸メチル40部、アクリル
酸n−ブチル10部、n−オクチルメルカプタン0.0
05部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間撹拌し
重合を完結させた。引き続いてメタクリル酸メチル48
部、アクリル酸n−ブチル2部からなる単量体混合物を
2時間にわたり滴下し、滴下終了後2時間保持して重合
を完結させた。得られたラテックスを0.25%硫酸水
溶液に添加し、重合体を酸析後脱水、水洗、乾燥し、粉
体状で重合体を回収した。得られた重合体の還元粘度η
sp/cは、0.38L/gであった。
【0053】b)ゴム含有重合体(A−2−1)の製造 反応容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲
気下50℃で4時間撹拌を行いながら重合を完結させ、
弾性共重合体を得た。
【0054】 アクリル酸ブチル 77 部 スチレン 22.7部 メタクリル酸アリル 0.3部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.9部 脱イオン水 300 部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部。
【0055】この弾性共重合体100部(固形分とし
て)を反応容器に取り、撹拌しながら充分窒素置換した
後、80℃に昇温し、硫酸第二鉄0.0001部、エチ
レンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0002部、ナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.125
部、脱イオン水2部からなる水溶液を添加後、温度を8
0℃に保ちながらメタクリル酸メチル60部、n−オク
チルメルカプタン0.05部、t−ブチルハイドロパー
オキサイド0.125部からなる混合物を2時間にわた
り滴下し、この後2時間保持し重合を完結させた。得ら
れた共重合体ラテックスを塩析後脱水し、水洗、洗浄を
行い粉体状のゴム含有重合体(A−2−1)を得た。そ
の平均粒子径は0.21μmであった。
【0056】上述のようにして得た熱可塑性重合体(A
−1)2部、ゴム含有重合体(A−2−1)50部、お
よび、熱可塑性重合体(A−3)であるメタクリル酸メ
チル/アクリル酸メチル共重合体(メタクリル酸メチル
/アクリル酸メチル=90/10、還元粘度ηsp/c
=0.051L/g)48部からなるアクリル樹脂組成
物(A)100部をヘンシェルミキサーで混合した。次
いで、40mmφのスクリュー型押出機(L/D=2
6)を用いて、シリンダー温度200〜260℃、ダイ
温度250℃で溶融混練し、ペレット化した。得られた
ペレットを乾燥した後、Tダイを用いて押出成形し、厚
さ50μmのフィルムを得た。架橋弾性共重合体の割合
は37.5重量%であった。その評価結果を表1に示
す。
【0057】<実施例2>ゴム含有重合体(A−2−
1)、熱可塑性重合体(A−3)の添加量を表1に示す
ように変更したこと以外は、実施例1と同様の手順でフ
ィルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0058】<実施例3>実施例1において、Tダイを
用いて押し出し成形する代わりに、アクリル樹脂組成物
(A)を混練ロール、カレンダーロール(何れのロール
も190℃設定)を用いて成形したこと以外は、実施例
1と同様の手順でフィルムを得た。その評価結果を表1
にまとめて示す。
【0059】<比較例1> a)ゴム含有重合体(A−2−2)の製造 反応容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲
気下50℃で4時間撹拌を行いながら重合を完結させ、
弾性共重合体を得た。
【0060】 アクリル酸ブチル 77 部 スチレン 22.7部 メタクリル酸アリル 0.3部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.0部 脱イオン水 300 部 過硫酸カリ 0.3部 燐酸二ナトリウム12水塩 0.5部 燐酸水素ナトリウム2水塩 0.3部。
【0061】この弾性共重合体100部(固形分とし
て)を用いたこと以外は、実施例1におけるゴム含有重
合体(A−2−1)の製造と同様の手順で、粉体状のゴ
ム含有重合体(A−2−2)を得た。その平均粒子径は
0.11μmであった。
【0062】そして、ゴム含有共重合体(A−2−1)
の代わりにこのゴム含有共重合体(A−2−2)を使用
したこと以外は、実施例1と同様の手順でフィルムを得
た。その評価結果を表1に示す。なお、このゴム含有共
重合体(A−2−2)は、特公平6−45737号公報
の実施例1〜5に記載されたゴム含有重合体に対応する
ものである。
【0063】<比較例2>実施例1において、ゴム含有
重合体(A−2−1)、熱可塑性重合体(A−3)の添
加量を表1の通り変更したこと以外は、実施例1と同様
の手順でフィルムを得た。その評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】 表1に示すように、実施例1〜3では、フィルムの艶消
し性が良好であった。一方、比較例1では、平均粒子径
が0.15μm未満のゴム含有重合体(A−2−2)を
用いているので、フィルムの艶消し性は得られなかっ
た。また、比較例2では、アクリル樹脂組成物(A)1
00重量%中の架橋弾性共重合体の割合が20重量%以
下なので、フィルムの十分な艶消し性は発現しなかっ
た。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、艶
消し剤や後加工が不要であり、フィルム伸度の低下が無
く、かつ装置コストもかからない、艶消し性を有するラ
ミネート用アクリル樹脂フィルムおよびその製造方法、
ならびに、このフィルムを表面に有する積層体を提供で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/00 C08L 51/00 // B29K 33:04 B29L 7:00 9:00 Fターム(参考) 4F071 AA48 AH19 BA01 BC01 4F204 AA00 AA21 AA45 AG01 FA07 FB02 FF01 4F207 AA00 AA21 AA45 AG01 KA01 KF01 4J002 BG043 BG05W BG05X GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下に示される熱可塑性重合体(A−
    1)0.1〜20重量部、ゴム含有重合体(A−2)2
    2〜99.9重量部、および、熱可塑性重合体(A−
    3)0〜77.9重量部[成分(A−1)〜(A−3)
    の合計100重量部]を主成分として含有し、かつゴム
    含有重合体(A−2)に含まれる弾性共重合体とグラフ
    ト鎖とからなる架橋弾性共重合体の割合が、アクリル樹
    脂組成物100重量%中20重量%以上であるアクリル
    樹脂組成物(A)を、フィルム化して成ることを特徴と
    するラミネート用アクリル樹脂フィルム。 (A−1)熱可塑性重合体 メタクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重
    合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重
    量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gを
    クロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が
    0.1L/gを超える熱可塑性重合体。 (A−2)ゴム含有重合体 アクリル酸アルキルエステル35〜99.9重量%と、
    これと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種
    0〜64.9重量%と、架橋性単量体0.1〜10重量%
    とからなる単量体混合物を重合して得られる1層または
    2層以上の構造を有する弾性共重合体の存在下に、メタ
    クリル酸アルキルエステル50〜100重量%と、これ
    と共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜
    50重量%とからなる単量体またはその混合物を、前記
    弾性共重合体100重量部に対し10〜400重量部重
    合させることにより得られる、透過型電子顕微鏡で観察
    した平均粒子径が0.15〜0.5μmであるゴム含有重
    合体。 (A−3)熱可塑性重合体 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキ
    ルエステル50〜99重量%と、アクリル酸アルキルエ
    ステル1〜50重量%と、これらと共重合可能な他のビ
    ニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とからな
    り、重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム
    100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以
    下である熱可塑性重合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィルムを、Tダイ法で
    製造することを特徴とするラミネート用アクリル樹脂フ
    ィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフィルムを、カレンダー
    法で製造することを特徴とするラミネート用アクリル樹
    脂フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のラミネート用アクリル樹
    脂フィルムを表面に有することを特徴とする積層体。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004020518A1 (ja) * 2002-08-28 2004-03-11 Kaneka Corporation アクリル樹脂組成物

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