JP2000141532A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

積層体およびその製造方法

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JP2000141532A
JP2000141532A JP10326981A JP32698198A JP2000141532A JP 2000141532 A JP2000141532 A JP 2000141532A JP 10326981 A JP10326981 A JP 10326981A JP 32698198 A JP32698198 A JP 32698198A JP 2000141532 A JP2000141532 A JP 2000141532A
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隆司 宮本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近
赤外光を効率よくカットすると共に、高温や高湿度にお
ける保存に対する耐久性が優れている積層体を提供す
る。 【解決手段】 銀系層を金属酸化物層で挟持した構成か
らなる3層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成
した積層体において、銀系層の厚さを30〜80Åとし
た積層体により課題を解決できる。例えば可視光域にお
ける光線透過率の極大値が、400〜600nmにひと
つ存在し、かつその値が60%以上であるとともに、9
00nmにおける光線透過率が45%以下である積層体
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層体およびその製
造方法に関するものであり、さらに詳しくは、主に窓ガ
ラスなどに使用される積層体であって、高可視光透過率
を維持しつつ、太陽光等の近赤外光をカットすると共
に、耐久性に優れた積層体およびそのような積層体を効
率よく製造するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窓ガラスに熱線カット機能を付与する技
術は従来から知られており、例えば、窓ガラス上に金属
薄膜を薄く形成するものなどがある。しかし、この技術
では可視光の透明性が不十分なため、銀系層を酸化物層
で挟持した構成の3層薄膜を窓ガラス上に形成して、可
視光の透明性を向上させたものが考えられた(特公昭4
7−6315号公報) しかし、上記の積層体では、約1200nm以上の赤外
線に対してはカット能力が高いが、可視光に直近の近赤
外線(特に800〜1200nm程度)はカット能力が
低く、上記の積層体は耐久性が劣るという問題があっ
た。太陽光線のエネルギー分布を考慮すると、この近赤
外線を効率よくカットすることが求められることがある
と共に、積層体の外観劣化を低減させるなど耐久性を向
上させることが強く要求されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤外光
を効率よくカットすると共に、耐久性に優れた積層体を
提供することであり、本発明の第2の目的は、そのよう
な積層体を効率よく製造するための方法を提供すること
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
克服するため鋭意研究を重ねた結果、膜厚が特定の範囲
にある銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3
層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成した積層
体が、高可視光透過率を有しつつ、近赤外光を効率よく
カットすると共に、耐久性に優れることを見い出し、ま
た、この積層体と、従来の積層体(銀系層を酸化物層で
挟持した構成の3層薄膜を、可視光に対して透明な基板
上に形成した積層体)をそれぞれの3層薄膜が特定の配
置になるようにして積層した積層体は前記と同様の効果
を奏するとともに波長780nm程度からさらに高波長
の赤外線まで、幅広くカットできることを見いだし、本
発明を完成するに至った。このような優れた特性を有す
る積層体の例は、従来の技術では、見受けられない。
【0005】本発明の請求項1の発明は、銀系層を金属
酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜を、可視光に
対して透明な基板上に形成した積層体において、銀系層
の厚さが、30〜80Åであることを特徴とする積層体
である。
【0006】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の積層体において、可視光域における光線透過率の極大
値が、400〜600nmにひとつ存在し、かつその値
が60%以上であるとともに、900nmにおける光線
透過率が45%以下であることを特徴とする。
【0007】本発明の請求項3の発明は、請求項1ある
いは請求項2記載の積層体において、光線透過スペクト
ルの色度座標(10度視野・C光源)が、 0.2≦x≦0.315 かつ 0.2≦y≦0.5 の領域にあることを特徴とする。
【0008】本発明の請求項4の発明は、請求項1から
請求項3のいずれかに記載の積層体において、透明基板
がプラスチックフィルムであり、その厚さが、12〜2
00μmであることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項5の発明は、銀系層の厚さ
が、30〜80Åである請求項1から請求項4のいずれ
かに記載の積層体Aの3層薄膜aと、銀系層を金属酸化
物層で挟持した構成からなる3層薄膜bを、可視光に対
して透明な基板上に形成した積層体であって、銀系層の
厚さが、80〜150Åである積層体Bの3層薄膜bと
を空間および/または可視光に対して透明な基板を介し
て両者の間隔を1μm以上離し、平行状態で配置したこ
とを特徴とする積層体である。
【0010】本発明の請求項6の発明は、請求項1から
請求項4のいずれかに記載の積層体を製造する方法であ
って、銀系層の形成にスパッタリング方法を用い、アル
ゴンガスをスパッタリングガスとし、その成膜時の圧力
が1〜5×10-2Torrにて形成することを特徴とす
る積層体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体の金属酸化物層は、いかなる種類の金属
酸化物であっても良いが、光学的な観点から、屈折率が
1〜2.5程度のものが望ましい。また、複合金属酸化
物であっても良い。
【0012】金属酸化物の例としては例えば、ITO、
In23 、SnO2 、ZnO2 、TiO2 、SiO
X 、ZrO2 、Ga23 など、またはこれらの混合物
などを挙げることができる。
【0013】金属酸化物層の厚さは特に限定されない
が、通常100〜1000Å、好ましくは300〜60
0Åである。金属酸化物層の厚さが100Å未満の場合
や、1000Åを越えるといずれの場合も光学特性が悪
くなり好ましくない。
【0014】本発明において、銀系層という表現は、銀
だけでできている(常識的な範囲の不純物は除く)銀薄
膜層もしくは添加成分が添加してあるいわゆる銀合金薄
膜層の何れをも指すものである。前記添加成分として
は、金、銅、または白金のいずれか、またはそれらの2
以上の組み合わせであり、それぞれの添加元素が0.1
〜15原子%加えられたものであることが望ましい。本
発明の積層体の銀系層の厚さは、30〜80Å、好まし
くは40〜70Å、さらに好ましくは50〜60Åであ
る。30Å未満の厚さの銀層を形成するのは困難であ
り、また30Å未満では目的の光学特性を達成できな
い。80Åを越えると高温や高湿度における保存に対す
る耐久性が劣り、目的の光学特性を達成できない。
【0015】本発明の積層体おいて、可視光域における
光線透過率の極大値が、400〜600nmにひとつ存
在し、かつその値が60%以上、好ましくは65以上、
更に好ましくは75以上であるとともに、900nmに
おける光線透過率が45%以下、好ましくは40以下、
更に好ましくは35以下である積層体は望ましい。40
0〜600nmにおける光線透過率の極大値が60%未
満では、高可視光透過率を維持できず、900nmにお
ける光線透過率が45%を越えると太陽光等の近赤外光
を効率よくカットできない。
【0016】光線透過スペクトルの色度座標は、透過光
の色味を表すものである。光線透過スペクトルの色度座
標については光源や視野角度を変化させれば、色度座標
も変化することは当然であるので、たとえC光源以外の
他の光源を用いたり、10度視野以外の視野角度で測定
した色度座標が0.2≦x≦0.315、0.2≦y≦
0.5の範囲外であっても、10度視野・C光源で測定
された値が0.2≦x≦0.315かつ、0.2≦y≦
0.5の範囲に入っていれば、本発明の範疇に入るもの
とする。また、表示方式はJIS−Z−8701に基づ
いた。
【0017】本発明において用いる透明な基板とは、可
視光に対する透過性を有する基板と定義されるものであ
り、その特性を持っていれば、例えば有機系基板、無機
系基板あるいはこれらを組み合わせた基板でも用いるこ
とができ、いかなるものであっても本質的に本発明の発
揮する効果は変わらない。
【0018】ただし、本発明の積層体にフレキシビリテ
ィーが要求される場合には、プラスチックフィルム基板
が好ましく用いられる。プラスチックフィルム基板とし
てはその厚さが12μm以上でかつ200μm、好まし
くは25μm以上でかつ150μm以下、更に好ましく
は50μm以上でかつ100μm以下の時に、ハンドリ
ング性が良いことがわかった。12μm未満ではシワに
なるなどハンドリング性が悪く、200μmを越えると
腰が強すぎる。
【0019】銀系層の厚さが、30〜80Åである請求
項1から請求項4に記載の本発明の積層体Aは、単独の
使用で、高可視光透過率を有しつつ、近赤外光を効率よ
くカットすると共に、耐久性に優れている。そして、銀
系層の厚さが、30〜80Åである請求項1から請求項
4のいずれかに記載の積層体Aの3層薄膜aと、銀系層
を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜bを、
可視光に対して透明な基板上に形成した積層体であっ
て、銀系層の厚さが、80〜150Å、好ましくは90
〜130Å、さらに好ましくは100〜120Åである
積層体Bの3層薄膜bとを、空間および/または可視光
に対して透明な基板を介して両者の間隔を1μm以上、
好ましくは10μm以上、更に好ましくは100μm以
上離し、平行状態で配置した本発明の他の積層体Cは、
本発明の積層体Aと同様に高可視光透過率を有しつつ、
近赤外光を効率よくカットでき、耐久性に優れている
上、可視光直近の800nm程度から、さらに高波長の
赤外線を効率良くカットできる。両者の間隔を1μm以
上としたのは光の波長(400〜900nm程度)に対
して十分に長くして干渉が生じないようにするためであ
る。両者の間隔の上限は施工箇所(場所)により決まる
と考えられ、例えば合わせガラスのような場合は最大で
も10cm程度であると思われる。
【0020】積層体Bの銀系層の厚さが、80Å未満で
は積層体Aでカットできなかった約1200〜3000
nmの赤外線をカットできなくなり、150Åを超える
と可視光透過率が低下するので好ましくない。3層薄膜
aと3層薄膜bの間は、上記のように、それが空間など
であっても、または透明な基板などであっても、これら
の組み合わせであってよい。また、平行状態というのは
数学的に厳密な表現によるものではなく、常識の範囲で
施工上平行といえる範囲を言う。
【0021】3層薄膜aと3層薄膜bとを組み合わせた
本発明の他の積層体Cの具体例は多数あるが、具体的に
は、例えば、1枚の透明な基材の表裏にそれぞれ3層薄
膜aと3層薄膜bを形成した積層体や、2枚のガラスの
間に空間を設けた建築用の合わせガラス[例えば、(外
気/ガラス/空間/ガラス/室内)の構成を有する合わ
せガラス)に適用した例として、(外気/ガラス/空間
/積層体B/ガラス/積層体A/プラスティックフィル
ム/室内)、あるいは(外気/ガラス/空間/積層体A
/ガラス/積層体B/プラスティックフィルム/室内)
の構成の積層体などを挙げることができる。積層体Aの
方が耐性が大きいので(外気/ガラス/空間/積層体B
/ガラス/積層体A/プラスティックフィルム/室内)
の構成の方が好ましい。
【0022】本発明における薄膜形成方法は、真空成膜
法が望ましいが、他のいかなる方法であっても良い。真
空成膜の方法には、蒸着、スパッタリング、およびCV
Dなどがある。
【0023】アルゴンガスをスパッタリングガスとして
スパッタリング方法により銀系層を形成する際、スパッ
タリング成膜時の圧力は、通常1〜10×10-3Tor
rにて行われることが多く、本発明の場合においてもこ
の通常の成膜圧力にて成膜しても必要性能が充分発揮さ
れる。しかし、スパッタリング成膜時の圧力を1〜5×
10-2Torrで成膜することにより、より安定した性
能が発現することを見いだした。1×10-2Torr未
満では比較的に耐久性が悪くなり、5×10-2Torr
を超えると安定な放電および安定な排気の維持が困難と
なるので好ましくない。
【0024】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明の内容
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に何ら限定されるものではない。 (実施例1)図1に示したように、可視光に対して透明
な基板1aとして厚さ50μmのPETフィルムを用
い、このPETフィルム1a上に、下記の成膜条件でバ
ッチ式スパッタリング法により、金属酸化物層2aとし
てITO、銀系層3aとしてAg−Au合金、金属酸化
物層4aとしてITOの順に3層薄膜aを形成し、本発
明の積層体Aを製造した。
【0025】(成膜条件)真空チャンバー内を5×10
-6Torrまで真空引きした。基板1aとターゲットの
間隔は70mmとした。また、ターゲットは直径4イン
チのものを使用した。ITOは酸化インジウムと酸化錫
との混合酸化物であり、酸化錫の割合が10重量%のも
のを使用した。また、Ag−Auターゲットは金の添加
率が1原子%となるようにした。各ITO層2a、4a
は、同一条件で成膜し、ArガスとO2 ガスを100:
1の割合で成膜時の圧力が3〜3.5×10-3Torr
となるようにした。Ag−Au層3aは、Arガスのみ
をスパッタリングガスとして用いた。真空チャンバーの
排気コンダクタンスを調整しながら、成膜時の圧力が1
〜5×10-2Torrとなるようにした。
【0026】本発明の積層体Aの3層薄膜aの断面を透
過電子顕微鏡で観察した(倍率;20万倍)結果、形成
した薄膜の各層の形状膜厚が、ITO層2a、4aがそ
れぞれ560Å、Ag−Au層3aが60Åであった。
薄膜の膜厚は、特に200Å以下の様に薄い場合には、
他の方法では誤差が出やすいことが多いので、上記の様
に、断面観察によって形状膜厚を測定するのが、現在の
技術水準では、最も正確な方法の一つである。
【0027】図2は、本発明の積層体Aの波長190n
m〜3200nmまでの光線透過率スペクトルである。
光線透過率は、島津製作所製UV3100により測定し
た。可視光域における光線透過率の極大値が、約500
nmにひとつ存在し、かつその値が約74%であるとと
もに、900nmにおける光線透過率が約40%以下で
あった。
【0028】このような、光線透過率スペクトル特性
は、各層の正確な成膜制御と、特性把握、および設計に
より実現した本発明特有のものであり、従来の積層体に
は決して見られないものである。本発明の積層体Aは、
可視光は透過しつつも、太陽光線による熱線、つまり近
赤外光をカットするという本発明独特の性質を持つこと
が判った。また、色度座標については、日立製作所製U
4000のデータをもとに測定した結果、(x=0.3
01,y=0.322)であった。表面の電気抵抗値
は、三菱油化製4端子抵抗測定器で測定した。その結
果、約55Ω/□であった。
【0029】本発明の積層体Aの保存試験を、40℃−
90%RHにて、1ヶ月行った後、表面を光学顕微鏡に
よって観察したが、外観劣化はなかった。銀系層を金属
酸化物からなる透明導電層で挟持した3層からなる薄膜
構成をプラスティックフィルム上に形成した従来の積層
体においては、特殊な積層体の設置、もしくは特殊な保
護層を形成しない限り、外観劣化(主として銀系層に因
る)が避けにくいが、本実施例1の方法により形成され
た本発明の積層体Aは外観劣化の極めて少ない耐久性の
優れた積層体である。
【0030】(比較例1)比較のために同様にして下記
の成膜条件で、厚さ50μmのPETフィルム1b上に
バッチ式スパッタリング法により、ITO層2b、Ag
−Au合金層3b、ITO層4bの順に3層薄膜bを形
成し、積層体Bを製造した。
【0031】(成膜条件)真空チャンバー内を5×10
-6Torrまで真空引きした。基板1bとターゲットの
間隔は70mmとした。また、ターゲットは直径4イン
チのものを使用した。ITOは酸化インジウムと酸化錫
との混合酸化物であり、酸化錫の割合が10重量%のも
のを使用した。また、Ag−Auターゲットは金の添加
率が1原子%となるようにした。各ITO層2b、4b
は、同一条件で成膜し、ArガスとO2 ガスを100:
1の割合で成膜時の圧力が3〜3.5×10-3Torr
となるようにした。放電形式はRFとし、放電電力50
Wとした。
【0032】Ag−Au層3bは、Arガスのみをスパ
ッタリングガスとして用いた。成膜時の圧力は4×10
-3Torrとなるようにした。放電形式はDCとし、放
電電流は150mA、放電電圧は480Vとした。
【0033】得られた積層体Bの3層薄膜bの断面を透
過電子顕微鏡(倍率;10万倍)で観察した結果、形成
した薄膜の各層の形状膜厚が、ITO層2b、4b;そ
れぞれ500Å、Ag−Au層3b;100Åであっ
た。
【0034】図3は、積層体Bの波長190nm〜32
00nmまでの光線透過率スペクトルである。これは、
島津製作所製UV3100により測定した。このよう
に、光線透過率が約620nmをピークとしていること
が判った。銀系層を金属酸化物からなる透明導電層で挟
持した3層からなる薄膜構成をプラスティックフィルム
上に形成した積層体においては、この比較例1のような
銀系層3bの厚さが80Åを越える場合には、可視光の
透明性は優れているものの、ピークの長波長側のたち下
がりがなだらかであるので、太陽光線の熱線である近赤
外光、特に780nm〜1200nmの波長をカットす
る能力は、実施例1に比べると劣ることがわかった。ま
た、色度座標は(x=0.322,y=0.336) で
あった。表面の電気抵抗値は、三菱油化製4端子抵抗測
定器で測定した。その結果、約8.1Ω/□であり、抵
抗値が低いことがわかった。実施例1との差は銀系層の
厚さによるものである。銀系層の膜厚の違いに対して抵
抗値の違いが大きいのは、極めて薄い薄膜の厚さに起因
していて、膜厚と抵抗値が直線的な相関関係ではない領
域であることがわかる。
【0035】比較例1で得られた積層体Bの保存試験
を、40℃−90%RHにて、1ヶ月行った後、表面を
光学顕微鏡によって観察した結果、著しい外観劣化が認
められた。このように、銀系層を金属酸化物からなる透
明導電層で挟持した3層からなる薄膜構成をプラスティ
ックフィルム上に形成した積層体において、銀系層3b
が80Åを越える場合には、特殊な積層体の設置等の工
夫をしない限り、外観劣化(主として銀系層に因る)が
避けにくいことがわかった。
【0036】(実施例2)図4に示したように、実施例
1で作製した積層体Aと比較例1で作製した積層体Bと
を、基板1bを介して3層薄膜aと3層薄膜bの間隔を
1μm以上離し、平行状態で配置し、張り合わせて本発
明の積層体Cを作った。実施例1と同様にして本発明の
積層体Cの光線透過率スペクトルを観察した結果を図5
に示す。図5には、実施例1で作製した積層体Aと比較
例1で作製した積層体Bの光線透過率スペクトルを合わ
せて示す。この結果から明らかなように、本発明の積層
体Cは、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤
外光を効率よくカットし、耐久性に優れている上、波長
780nm程度からさらに高波長の赤外線まで、幅広く
カットしていながらも、可視光域は透過率が高い。この
ような光学特性は、従来の技術には見受けられない。
【0037】
【発明の効果】本発明の積層体は、高可視光透過率を維
持しつつ、太陽光等の近赤外光を効率よくカットすると
共に、高温や高湿度における保存に対する耐久性が飛躍
的に優れている。
【0038】銀系層の厚さが、30〜80Åである本発
明の積層体Aの3層薄膜aと、銀系層を金属酸化物層で
挟持した構成からなる3層薄膜bを、可視光に対して透
明な基板上に形成した積層体であって、銀系層の厚さ
が、80〜150Åである積層体Bの3層薄膜bとを空
間および/または可視光に対して透明な基板を介して両
者の間隔を1μm以上離し、平行状態で配置した本発明
の積層体Cは、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等
の近赤外光を効率よくカットし、耐久性に優れている
上、波長780nm程度からさらに高波長の赤外線ま
で、幅広くカットできる。
【0039】本発明の製造方法により本発明の積層体を
効率よく製造できる上、スパッタリング成膜時の圧力を
1〜5×10-2Torrで成膜することにより、より安
定した性能が発現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の積層体の断面を説明する
断面図である。
【図2】 図1に示した本発明の積層体の光線透過率を
示すグラフである。
【図3】 比較例1の積層体の光線透過率を示すグラフ
である。
【図4】 本発明の実施例2の積層体の断面を説明する
断面図である。
【図5】 図4に示した本発明の積層体の光線透過率を
示すグラフである。
【符号の説明】
A、B、C 積層体 1a、1b 透明な基板 2a、2b 金属酸化物層 3a、3b 銀系層 4a、4b 金属酸化物層 a、b 3層薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬庭 進 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA17A AA17C AA17E AA31B AA33 AB24B AB24E AB25B AB31 AK01D AK41 AT00D BA04 BA05 BA07 BA10A BA10D BA10E BA11 BA24 EH66 GB08 JD10 JN01 JN01D JN08 YY00 YY00B YY00D YY00E

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀系層を金属酸化物層で挟持した構成か
    らなる3層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成
    した積層体において、銀系層の厚さが、30〜80Åで
    あることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 可視光域における光線透過率の極大値
    が、400〜600nmにひとつ存在し、かつその値が
    60%以上であるとともに、900nmにおける光線透
    過率が45%以下であることを特徴とする請求項1記載
    の積層体。
  3. 【請求項3】 光線透過スペクトルの色度座標(10度
    視野・C光源)が、 0.2≦x≦0.315 かつ 0.2≦y≦0.5 の領域にあることを特徴とする請求項1あるいは請求項
    2記載の積層体。
  4. 【請求項4】 透明基板がプラスチックフィルムであ
    り、その厚さが、12〜200μmであることを特徴と
    する請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体。
  5. 【請求項5】 銀系層の厚さが、30〜80Åである請
    求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体Aの3層
    薄膜aと、 銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜
    bを、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体で
    あって、銀系層の厚さが、80〜150Åである積層体
    Bの3層薄膜bとを空間および/または可視光に対して
    透明な基板を介して両者の間隔を1μm以上離し、平行
    状態で配置したことを特徴とする積層体。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の積層体を製造する方法であって、銀系層の形成にスパ
    ッタリング方法を用い、アルゴンガスをスパッタリング
    ガスとし、その成膜時の圧力が1〜5×10-2Torr
    にて形成することを特徴とする積層体の製造方法。
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