JP2000140913A - 光沢の優れた金属板の冷間タンデム圧延方法 - Google Patents

光沢の優れた金属板の冷間タンデム圧延方法

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JP2000140913A JP10314515A JP31451598A JP2000140913A JP 2000140913 A JP2000140913 A JP 2000140913A JP 10314515 A JP10314515 A JP 10314515A JP 31451598 A JP31451598 A JP 31451598A JP 2000140913 A JP2000140913 A JP 2000140913A
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roll
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間タンデム圧延機において、光沢の優れた
金属板を圧延できる冷間タンデム圧延方法を提供するこ
とにある。 【解決手段】 円周方向に対して傾斜し、互いに交差し
た研磨目を有するクロス研磨目を圧延用ロールの周面に
付与し、該圧延用ロールを上下一対として前記複数のス
タンドに組み込んで金属板を圧延するに当たり、上流ス
タンドの上下一対の圧延用ロールに付与するクロス研磨
目の傾斜角度及び/又は凹凸形状が下流スタンドの上下
一対の圧延用ロールに付与するものと異なることを特徴
とする金属板の冷間タンデム圧延方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板の冷間タン
デム圧延方法に係わり、特に光沢の優れた金属板を圧延
するのに好適な、冷間タンデム圧延方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、上下一対の圧延用ロールを用いた
金属板の冷間圧延、例えば、最も光沢が要求されるステ
ンレス鋼板の圧延は、ロール直径80mmφ程度で鏡面研磨
された小径の圧延用ロールを備えたクラスタ型圧延機を
用いて、低粘度(10cSt (40℃)程度) の鉱物系圧延潤滑
油を施しつつ、低速で行われていた。
【0003】近年、上記圧延法よりも一般に光沢が劣る
とされる生産コストの安価な大径ロールを用いたタンデ
ム圧延においても、光沢の改善が指向されるようになっ
てきた。一方、特開平8 −267109号公報には、光沢の改
善を目的として、円周方向に対して傾斜し、互いに交差
させてなる網目状のロール研磨目を付与した圧延用ロー
ルを用いて圧延することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属板
を圧延する冷間タンデム圧延機において、円周方向に対
して傾斜し、互いに交差した研磨目を圧延用ロールの周
面に付与し、該圧延用ロールを上下一対として複数のス
タンドに適用するのに、金属板の粗度は下流スタンドよ
り上流スタンドの方が大きいにもかかわらず、前記互い
に交差した研磨目を上流スタンドと下流スタンドで同じ
としていた。このため、互いに交差した研磨目による光
沢向効果が十分でなく、光沢の優れた金属板を製造する
余地が残されていた。
【0005】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ている上記の問題点を解消することにあり、複数のスタ
ンドを連続して配置した冷間タンデム圧延機において、
上流スタンドと下流スタンドの上下一対のロールに、ス
タンド入側の金属板の粗度に応じたクロス研磨目を付与
し、光沢の優れた金属板を圧延できる冷間タンデム圧延
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者等は、上記課題の
解決に向けて鋭意検討を行った結果、本発明を完成さる
に到った。すなわち、本発明は、複数のスタンドを連続
して配置した冷間タンデム圧延機で金属板を圧延する冷
間タンデム圧延方法において、圧延用ロールの円周方向
に対して傾斜し、互いに交差した研磨目を有するクロス
研磨目を圧延用ロールの周面に付与し、該圧延用ロール
を上下一対として前記複数のスタンドに組み込んで金属
板を圧延するに当たり、上流スタンドの上下一対の圧延
用ロールに付与するクロス研磨目の傾斜角度及び/又は
凹凸形状が下流スタンドの上下一対の圧延用ロールに付
与するものと異なることを特徴とする金属板の冷間タン
デム圧延方法である。
【0007】また、前記上下一対の圧延用ロールの上下
でクロス研磨目の傾斜角度及び/又は凹凸形状が異なる
ことを特徴とする金属板の冷間タンデム圧延方法であ
る。本発明で凹凸形状とは、前記圧延用ロールの周面に
付与されたクロス研磨目の粗度RaやRmax、Rzだけでなく
クロス研磨目の粗さの周期性や単位長さ当たりの山数、
単位長さ当たりの谷数、平均深さ等を表す。
【0008】また、前記クロス研磨目の粗度を上流スタ
ンドほど大きくすることが好ましい。前記クロス研磨目
の粗度をスタンド入側の鋼板の粗度の80% 以上200%以下
の範囲とするのがさらに好ましい。また、前記クロス研
磨目の傾斜角度の平均値を上流スタンドほど小さくする
のが好ましい。
【0009】また、前記クロス研磨目の上圧延用ロール
の粗度を、下圧延用ロールの粗度よりも大きくするのが
好ましい。また、前記クロス研磨目の上圧延用ロールの
傾斜角度の平均値を、下圧延用ロールの傾斜角度の平均
値よりも小さくするのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に発明者等がこの発明を着想
するに到った経緯を含めて、図2に示す鋼板を圧延する
5スタンドからなる冷間タンデム圧延機の場合を例に説
明する。図2において、被圧延材である鋼板1は、図中
左方向から右方向に圧延される。各圧延スタンドはそれ
ぞれ上下一対の圧延用ロール(以下、ロールと呼ぶ。) 2A〜2E、バックアップロール3A〜3Eおよびクー
ラントノズル4A〜4Eを備えている。クーラントノズ
ル4A〜4Eからは圧延潤滑油が、ロール2A〜2Eお
よび鋼板1の上下に供給され、上下のロール2A〜2E
を冷却しつつ、上下の、圧延材1およびロール2A〜2
Eを潤滑する。
【0011】ここで、一般にタンデム圧延すると光沢が
劣る理由について説明する。タンデム圧延においては、
ロール径を大きくし、高速圧延とするために、高粘度の
圧延潤滑油を用いてロールと鋼板との焼き付きを防止し
ている。このため、ロールバイト内に引き込まれる潤滑
油量が増大し、油膜厚さが厚くなるので、深さ数μm 程
度のオイルピットと呼ばれるミクロ欠陥が発生する。し
かも、ロールと鋼板とのスリップを防止して安定圧延を
行うために、ロールを鏡面にできないので、ロールの研
磨目が転写して、深さ1μm 程度のスクラッチと呼ばれ
るミクロ欠陥も発生する。これらのミクロ欠陥により、
タンデム圧延された鋼板の粗度が大きくなるために、光
沢が劣るのである。
【0012】まず、本発明のロールを用いることによ
り、鋼板の光沢が向上することについて詳細に説明す
る。本発明に用いるロールは、例えば図1に示すよう
に、円周方向に対して、時計回り方向に傾斜角度θ1
なす研磨跡(以下、研磨目と呼ぶ)と、反時計回り方向
に傾斜角度θ2 をなす研磨目とを、互いに交差させて付
与したものである。
【0013】ここで、図 1(a)は、研磨目の傾斜角度
θ1 及びθ2 をそれぞれ均一とした研磨目であって、傾
斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値が略同じ場
合を示しているが、クロス研磨目はこれに限られるもの
でない。クロス研磨目をロールに付与すると、ロールバ
イト内において鋼板表面近傍の圧延方向の剪断変形が大
きくなり、鋼板表面を平滑化して、スクラッチを削減で
きるとともに、クロスした研磨目であることによる圧延
油封入抑制効果によりオイルピットの発生を少なくでき
る。さらに圧延方向の剪断変形が大きいので、圧延前の
鋼板粗度も平滑化できて圧延後の鋼板粗度を小さくする
できる。このため、鋼板の光沢を向上できるのである。
【0014】さて、これらの状況下において、本発明者
らは、スタンド入側の鋼板粗度に応じたクロス研磨目を
複数スタンドの上下ロールに付与するために、前記図2
に示した5スタンドからなる冷間タンデム圧延機を用い
て、各スタンド入側の鋼板の粗度を調べた。(圧延実験
A)。調査方法は、第1スタンドから第5スタンドの上
下のロールに通常の円周方向に平行な研磨目を付与し、
熱延後、焼鈍、酸洗を施された素材厚さ4.0mm のSUS430
フェライト系ステンレス鋼を、厚さ2.0mm に最終スタン
ドロール速度300m/minで圧延中に、以下の圧延条件で圧
延中に急速停止して、各スタンドの入側の鋼板を採取し
鋼板の粗度を測定した。
【0015】但し、第1スタンドから第5スタンドのロ
ール粗度0.25〜0.05μm 、ロールの直径500 〜600mm
φ、ロール材質5wt%Cr鍛鋼( ヤング率21000kg/mm2 ) と
し、圧延する際、クーラントノズル4A〜4Eからは圧
延油の粘度50cSt(40℃) 、濃度5 %の圧延潤滑油が、ロ
ール2A〜2Eおよび鋼板1の上下に供給され、上下の
ロール2A〜2Eを冷却しつつ、上下の圧延材1および
ロール2A〜2Eを潤滑した。
【0016】各スタンド入側の鋼板粗度を測定した結果
は下記のようであった。 第1スタンド:上面Ra:2.20 μm 、下面Ra:1.80 μm 、
平均値Ra:2.00 μm 第2スタンド:上面Ra:0.59 μm 、下面Ra:0.51 μm 、
平均値Ra:0.55 μm 第3スタンド:上面Ra:0.28 μm 、下面Ra:0.24 μm 、
平均値Ra:0.26 μm 第4スタンド:上面Ra:0.18 μm 、下面Ra:0.14 μm 、
平均値Ra:0.16 μm 第5スタンド:上面Ra:0.12 μm 、下面Ra:0.08 μm 、
平均値Ra:0.10 μm そこで、前記5スタンドからなる冷間タンデム圧延機
の、例えば第1スタンドと第5スタンドの上下一対のロ
ールにクロス研磨目を付与して鋼板を圧延するに際し、
前記入側の鋼板粗度の調査結果から第1スタンド入側の
鋼板粗度は第5スタンド入側の鋼板粗度よりも大きいこ
と並びに第1スタンド入側の鋼板粗度の平均値および第
5スタンド入側の鋼板粗度の平均値に基づいて、本発明
例のクロス研磨目を次のように付与して圧延し光沢を調
べた。即ち、表1、表2に示したように、第 1スタンド
のクロス研磨目の粗度を第5スタンドよりも大きくす
る。また、そのクロス研磨目の粗度をスタンド入側の鋼
板の粗度の80% 〜200%の範囲内および範囲外とした。ま
た、第1スタンドのクロス研磨目の傾斜角度の平均値を
第5スタンドよりも小さくした。また、第 1スタンドの
クロス研磨目の粗度を第5スタンドよりも大きくし且つ
第1スタンドのクロス研磨目の傾斜角度の平均値を第5
スタンドよりも小さくした。
【0017】一方、従来例は、表1に示したように第1
スタンドおよび第5スタンドの上下ロールに円周方向に
平行な研磨目を付与し、比較例は、第1スタンドおよび
第5スタンドに表1に示したように同じクロス研磨目を
付与して圧延し光沢を調べた(圧延実験B)。但し、第
2〜第4スタンドの上下ロールにはロール粗度Ra0.25〜
0.15μm の円周方向に平行な研磨目を付与した。
【0018】上記クロス研磨目は、回転砥石の粒度や砥
石幅、研磨方法を変えることにより変化させた。ロール
の粗度の測定方向は、2つの傾斜角度の平均値について
その和の1/2 が45°未満の場合は軸方向に、45°以上の
場合は円周方向に測定した。上記研磨目が付与されたロ
ールを用いて、熱延後、焼鈍、酸洗を施された素材厚さ
4.0mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼を厚さ2.0mm
に最終スタンドロール速度300m/minで圧延した。クロス
研磨目のロールで圧延しても、蛇行並びにロールと鋼板
間の焼き付き等の発生がなく、安定した圧延が可能であ
った。
【0019】前記圧延機にて冷間圧延し、焼鈍、酸洗、
調質圧延後の、鋼板の光沢度(GS20°、JIS Z8741 光
沢度測定方法)を調査した。その結果を表1、表2に示
す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】この結果から、以下のことがわかった。 (1) 第1スタンドのクロス研磨目の粗度を第5スタンド
より大きくした発明例は、従来例や比較例に比して光沢
が良好である。上流スタンドのクロス研磨目の粗度を小
さくすると光沢が低下するのは、上流スタンドでは鋼板
粗度が大きく圧延油が封入されて、クロス研磨目が鋼板
凹部の油膜を突き抜けることができず鋼板に十分接触し
ないため、圧延油を排出する効果が小さくオイルピット
欠陥が発生し鋼板の粗度が大きくなるからである。
【0023】また、クロス研磨目の粗度を鋼板の粗度の
80% 〜200%の範囲とした発明例は、その範囲外の発明例
よりもさらに光沢が向上する。クロス研磨目の粗度を鋼
板の粗度の80% 未満とすると光沢が低下する理由は、ク
ロス研磨目が鋼板凹部の油膜を突き抜けることができず
鋼板に十分接触しないため、圧延油を排出する効果が小
さくオイルピット欠陥が発生することおよび鋼板の凹凸
を平滑にする平滑化効果が十分でないことにより圧延後
の鋼板粗度が増大するためである。一方、クロス研磨目
の粗度が鋼板の粗度の200%を超えると光沢が低下する理
由は、オイルピット欠陥の発生を抑制する効果や鋼板の
凹凸を平滑にする平滑化効果よりも、クロス研磨目の粗
度が鋼板に転写し鋼板の粗度を大きくする作用が勝って
しまい圧延後の鋼板粗度が増大するためである。
【0024】従って、光沢を向上するためには、上流ス
タンドのクロス研磨目の粗度を下流スタンドより大きく
するとよい。クロス研磨目の粗度は、スタンド入側の鋼
板の粗度の80% 以上200%以下の範囲とするのがさらに好
ましい。 (2) 第1スタンドにおけるクロス研磨目の傾斜角度の平
均値を、第5スタンドよりも小さくした発明例は、従来
例や比較例に比して光沢が向上する。上流スタンドのク
ロス研磨目の傾斜角度を大きくすると光沢が低下するの
は、上流スタンドでは鋼板粗度が大きく圧延油が封入さ
れ易いのでオイルピット欠陥が発生し鋼板の粗度が大き
くなるからである。
【0025】従って、光沢を向上するためには、上流ス
タンドにおけるクロス研磨目の傾斜角度の平均値を下流
スタンドより小さくするとよい。本発明のクロス研磨目
の傾斜角度の平均値は、5 〜85°とするのが好ましい。
この理由は、クロス研磨目の斜角度の平均値が5 °未満
では、相対滑りが大きい大径ロールであっても平滑化効
果が小さくなって光沢が向上せず、一方、クロス研磨目
の斜角度の平均値が85°を超えると、クロス研磨目の圧
延油封入抑制効果が小さくなり光沢が向上しないからで
ある。クロス研磨目の傾斜角度の平均値の和を、10〜17
0 °の範囲にしてもよい。
【0026】本発明に用いるクロス研磨目は、図1
(a)に示したものの他に、図1(b)に示すように、
研磨目の傾斜角度θ1 及びθ2 をそれぞれ均一とし、傾
斜角度θ 1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値を異ならせ
てもよい。また、図1(c)に示すように研磨目の傾斜
角度θ1 及びθ2 を不均一とし、傾斜角度θ1 の平均値
と傾斜角度θ2 の平均値を同じとしてもよいし、異なら
せてもよい。また、傾斜角度のばらつきである標準偏差
が変わっても、光沢度は大きく変わらなかったので、研
磨目の傾斜方向は、均一としても、不均一としてもよ
い。
【0027】上記圧延実験Bは、第1スタンドと第5ス
タンドを例に説明したが、2スタンド以上の複数スタン
ドにおいても同様の結果が得られた。本発明者らは、さ
らに、圧延実験Bの結果を検討し、上下ロールに同じク
ロス研磨目を付与したのでは、鋼板の上下面に光沢差が
発生することを知見した。この原因について、鋭意検討
したところ、従来の円周方向に平行に研磨したロールを
用いてタンデム圧延した場合と原因は同じであった。
【0028】即ち、鋼板の下面に供給された圧延潤滑油
が、重力によって下方に落下してしまうのに対し、鋼板
の上面に供給された圧延潤滑油は、鋼板の上面に滞留す
ることとなり、鋼板上面とロールとの間に引き込まれる
油分量が、鋼板下面よりも多くなる。このため、鋼板上
面の油膜厚みが、鋼板下面よりも厚くなり、オイルピッ
トと呼ばれる深さ数μm 程度のミクロ欠陥の発生が多く
なって、鋼板上面の粗度が増大し、光沢度が低下するの
である。
【0029】そこで、本発明者等は、鋼板上面のオイル
ピットの発生を抑制するとともに、ロールの研削目の転
写に起因するスクラッチと呼ばれる欠陥を減少すべく、
第5スタンドの上下ロールに付与するクロス研磨目の傾
斜角度および研磨目の凹凸形状を表3に示すように上下
で異ならせ、第1スタンドの上下のロールには傾斜角度
θ1 およびθ2 の平均値:45°、粗度Ra:2.00としたク
ロス研磨目を付与し、前記実験Bと同様にタンデム圧延
を行った(圧延実験C)。
【0030】上下のクロス研磨目を異ならせて圧延して
も、蛇行並びにロールと鋼板間の焼き付き等の発生がな
く、安定した圧延が可能であった。前記圧延機にて冷間
圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢度(GS
20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)を調査した。その
結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】この結果から、鋼板の光沢度差を改善する
には上下ロールに付与するクロス研磨目を次のようにす
ればよいことが判明した。即ち、上ロールに付与するク
ロス研磨目の粗度を下ロールよりも大きくする。上ロー
ルに付与するクロス研磨目の傾斜角度θ1 の平均値およ
び傾斜角度θ2 の平均値を、下ロールよりも小さくす
る。上ロールに付与するクロス研磨目の粗度を下ロール
よりも大きくし且つ上ロールに付与するクロス研磨目の
傾斜角度θ1の平均値および傾斜角度θ2 の平均値を下
ロールよりも小さくする。上ロールに付与するクロス研
磨目の傾斜角度θ1 の平均値と傾斜角度θ2 の平均値の
和を下ロールよりも小さくする。上ロールに付与するク
ロス研磨目の粗度を下ロールよりも大きくし且つ上ロー
ルに付与したクロス研磨目の傾斜角度θ1 の平均値と傾
斜角度θ2 の平均値の和を下ロールよりも小さくする。
【0033】クロス研磨目の傾斜角度を小さくすると上
面の光沢が向上するのは、傾斜角度を小さくしてもタン
デム圧延機の大径ロールでは、ロールバイト内の相対滑
り距離が数mmになり数μm のオイルピット欠陥の大きさ
の数百倍以上と大きいことから、研磨目の相対滑りによ
る表面平滑化の効果によってスクラッチが減少し、また
クロスした研磨目であることから圧延潤滑油の封入を防
ぎオイルピットが減少するという大きな効果を奏するた
めである。
【0034】クロス研磨目の傾斜角度の上下の差( 下ロ
ールの傾斜角度−上ロールの傾斜角度)は、5 〜80°の
範囲とするのが好ましい。クロス研磨目の傾斜角度の上
下の差が 5°未満では光沢差を低減する効果が十分でな
く、クロス研磨目の傾斜角度の上下の差が80°を超える
と、下ロールの傾斜角度が85°を超えるかまたは上ロー
ルの傾斜角度が5 °未満となって、いずれか一方の光沢
の向上効果が得られなくなるからである。
【0035】また、上ロールのクロス研磨目の粗度を大
きくすると上面の光沢が向上するのは、潤滑油膜を貫い
て十分鋼板上面に接触するので圧延油を排出する効果に
よってオイルピットの発生を抑制し、また上面近傍の圧
延方向の剪断変形が増大し鋼板上面の粗度を平滑化でき
るという大きな効果を奏するからである。クロス研磨目
の上下ロールの粗度差( 上ロールの粗度−下ロールの粗
度)は、スタンド入側の鋼板の上下面の粗度差と同程度
にすることが光沢差を減少できるので好ましい。
【0036】前記圧延実験Cでは、第5スタンドの上下
ロールに付与されたクロス研磨目が異なるとして説明し
たが、上下ロールに異なるクロス研磨目を付与するのは
いずれのスタンドでもよい。複数のスタンドの上下ロー
ルに付与するクロス研磨目を異ならせてもよい。本発明
の研磨目は、連続的でなく、断続的としている。研磨目
が断続的でよいので、連続するスパイラルマーク状の研
磨目のように、研磨前にロール表面を鏡面仕上げする必
要がなく、研磨目を深くする必要もないので、研磨目を
容易かつ効率的に付与できる。
【0037】タンデム圧延機の大径ロールでは、研磨目
を断続としても、ロールバイト内の相対滑り距離が数mm
になり、数μm のオイルピット欠陥の大きさの数百倍以
上になっているので、オイルピット欠陥を平滑化でき
る。このため、研磨目は連続的でなくてよい。以上の説
明では、クロス研磨目の凹凸形状として中心線平均粗さ
Raについて説明したが、Rmax、Rzに付いても同様でどれ
を用いてもよい。
【0038】また、鋼板を圧延する5スタンドからなる
タンデム圧延機について説明したが、3スタンド以上6
スタンド以下のタンデム圧延機にも同様に適用できる。
また、4段圧延機について説明したが2段圧延機や6段
圧延機でもよく、圧延機の型式に限定されない。鋼板以
外のアルミニウムや銅の圧延にも適用できる。
【0039】
【実施例】(実施例1)回転砥石加工により、第1スタ
ンドに傾斜角度θ1 、θ2 の平均値:45 °、粗度Ra: 2.
00μm のクロス研磨目および第5スタンドに傾斜角度θ
1 、θ2 の平均値:80 °、粗度Ra: 0.10μm のクロス研
磨目を付与し、図2に示した5スタンドからなるタンデ
ム圧延機に適用して、熱延後、焼鈍、酸洗された厚み4.
0mm のSUS304オーステナイト系ステンレス鋼板を厚さ2.
0mm に圧延し、発明例とした。
【0040】但し、第2〜第4スタンドには、円周方向
に平行な研磨目を付与された粗度Ra:0.15 〜0.25μm の
ロールを用いた。その他のタンデム圧延条件は、ロール
の直径550 〜600mm φ、ロール材質5wt%Cr鍛鋼( ヤング
率21000kg/mm2 ) 、第1スタンド圧下率25%、第5スタ
ンド圧下率15%、最終スタンドロール速度300m/minとし
た。
【0041】圧延する際、クーラントノズル4A〜4E
からは圧延油の粘度40cSt(40℃) 、濃度3 %の圧延潤滑
油が、ロール2A〜2Eおよび鋼板1の上下に供給さ
れ、上下のロール2A〜2Eを冷却しつつ、上下の圧延
材1およびロール2A〜2Eを潤滑した。本発明の圧延
方法で圧延しても、蛇行並びにロールと鋼板間の焼き付
き等の発生がなく、安定した圧延が可能であった。
【0042】比較例として、第1スタンドおよび第5ス
タンドに傾斜角度θ1 、θ2 の平均値:45 °、粗度Ra:
0.10μm のクロス研磨目を付与し、それ以外は前記発明
例と同じにして圧延した。前記圧延機にて冷間圧延し、
焼鈍、酸洗、調質圧延、バフ研磨1パス後の、鋼板の光
沢度(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)を調査し
た。
【0043】その結果、比較例の光沢度は上面508 、下
面552 、平均530 、発明例の光沢度は上面561 、下面59
9 、平均580 であった。本発明例の光沢度は、比較例に
比較して良好であった。 (実施例2)回転砥石加工により、第1スタンドに傾斜
角度θ1 、θ2 の平均値:45 °、粗度Ra: 2.00μm のク
ロス研磨目および第5スタンドに傾斜角度θ1 、θ2
平均値:80 °、粗度Ra: 0.10μm のクロス研磨目を付与
し、さらに、第3スタンドに傾斜角度θ1 、θ2 の平均
値を60°、粗度Raを0.25μm のクロス研磨目を付与し、
図2に示した5スタンドからなるタンデム圧延機に適用
して、熱延後、焼鈍、酸洗された厚み4.0mm のSUS430フ
ェライト系ステンレス鋼板を厚さ2.0mm に圧延し、発明
例とした。但し、第2および第4スタンドには、円周方
向に平行な研磨目を付与された粗度Ra0.25、0.15μm の
ロールを用いた。
【0044】その他のタンデム圧延条件は、ロールの直
径300 〜400 mmφ、ロール材質5wt%Cr鍛鋼( ヤング率21
000kg/mm2 ) 第1スタンド圧下率25%、第3スタンド圧
下率20%、第5スタンド圧下率15%、最終スタンドロー
ル速度300m/minとした。圧延する際、クーラントノズル
4A〜4Eからは圧延油の粘度45cSt(40℃) 、濃度5 %
の圧延潤滑油が、ロール2A〜2Eおよび鋼板1の上下
に供給され、上下のロール2A〜2Eを冷却しつつ、上
下の圧延材1およびロール2A〜2Eを潤滑した。本発
明の圧延方法で圧延しても、蛇行並びにロールと鋼板間
の焼き付き等の発生がなく、安定した圧延が可能であっ
た。
【0045】比較例として、第1スタンド、第3スタン
ドおよび第5スタンドに傾斜角度θ 1 、θ2 の平均値:4
5 °、粗度Ra: 0.10μm のクロス研磨目を付与し、それ
以外は前記発明例と同じにして圧延した。前記圧延機に
て冷間圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢
度(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)を調査し
た。
【0046】その結果、比較例の光沢度は上面711 、下
面743 、平均727 、発明例の光沢度は上面803 、下面83
8 、平均820 であった。本発明例の光沢度は、比較例に
比較して良好であった。 (実施例3)回転砥石加工により、表1に示したように
第1スタンドおよび第5スタンドの上下ロールに異なる
クロス研磨目を付与し、図2に示した5スタンドからな
るタンデム圧延機に適用して、熱延後、焼鈍、酸洗され
た厚み4.0mm のSUS430フェライト系ステンレス鋼板を厚
さ2.0mm に圧延し、発明例とした。
【0047】その他のタンデム圧延条件は、ロールの直
径600 〜650mm φ、ロール材質5wt%Cr鍛鋼( ヤング率21
000kg/mm2 ) 第1スタンド圧下率25%、第5スタンド圧
下率15%、最終スタンドロール速度300m/minとした。圧
延する際、クーラントノズル4A〜4Eからは圧延油の
粘度40cSt(40℃) 、濃度6 %の圧延潤滑油が、ロール2
A〜2Eおよび鋼板1の上下に供給され、上下のロール
2A〜2Eを冷却しつつ、上下の圧延材1およびロール
2A〜2Eを潤滑した。本発明の圧延方法で圧延して
も、蛇行並びにロールと鋼板間の焼き付き等の発生がな
く、安定した圧延が可能であった。
【0048】比較例として、第1スタンドおよび第5ス
タンドの上下ロールに傾斜角度θ1、θ2 の平均値:45
°、粗度Ra: 0.10μm のクロス研磨目を付与し、それ以
外は前記発明例と同じにして圧延した。前記圧延機にて
冷間圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延後の、鋼板の光沢度
(GS20°、JIS Z8741 光沢度測定方法)を調査した。
【0049】その結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】本発明例の光沢度は、比較例よりも光沢が
向上し、上下の光沢差が改善された。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、複数のスタンドを配置
したタンデム圧延機において、スタンド入側の金属板の
粗度に応じて上流スタンドと下流スタンドのクロス研磨
目の傾斜角度及び/又は凹凸形状を異ならせたので光沢
の優れた金属板を製造できる。また、前記上下ロールに
異なるクロス研磨目を付与することにより、上下面の光
沢差が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるクロス研磨目の傾斜を概念的に
示すロール表面の一部拡大図である。
【図2】本発明に係わる5スタンドからなるタンデム圧
延機のスタンド配置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被圧延材(鋼板) 2 ロール(圧延用ロール) 3 バックアップロール 4 クーラントノズル 5 クーラント(圧延潤滑油)
フロントページの続き (72)発明者 鑓田 征雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 砂盛 泰理 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 永井 肇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD05 BA01 BB09 4E016 AA02 BA02 CA09 DA12 FA16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のスタンドを連続して配置した冷間
    タンデム圧延機で金属板を圧延する冷間タンデム圧延方
    法において、圧延用ロールの円周方向に対して傾斜し、
    互いに交差した研磨目を有するクロス研磨目を圧延用ロ
    ールの周面に付与し、該圧延用ロールを上下一対として
    前記複数のスタンドに組み込んで金属板を圧延するに当
    たり、上流スタンドの上下一対の圧延用ロールに付与す
    るクロス研磨目の傾斜角度及び/又は凹凸形状が下流ス
    タンドの上下一対の圧延用ロールに付与するものと異な
    ることを特徴とする金属板の冷間タンデム圧延方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記上下一対の圧延
    用ロールの上下でクロス研磨目の傾斜角度及び/又は凹
    凸形状が異なることを特徴とする金属板の冷間タンデム
    圧延方法。
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