JP3236553B2 - 金属板圧延用ロール及びそのロールを用いた圧延方法 - Google Patents

金属板圧延用ロール及びそのロールを用いた圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板圧延用ワー
クロール(以下、単に「ロール」と略記する)に関し、
特に、冷間タンデム圧延に適用して、圧延したまま又は
さらに後処理を施した金属板の表面光沢を向上させるの
に好適な金属板圧延用ロール及びそれを用いた圧延方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上下一対のロールを用いた金属板
の冷間圧延、例えば、最も表面光沢が要求されるテンレ
ス鋼板の圧延では、ロール直径80mmφ程度で鏡面研磨さ
れた小径のロールを具えたクラスター型圧延機を用い
て、低粘度(10 cSt(40℃)程度)の鉱物系圧延潤滑油
のニート潤滑を施しつつ、低速で行われていた。これに
対して、近年、生産コストの低減のため、上記圧延法よ
りも一般に表面光沢が劣るとされる大径ロールを用いた
タンデム圧延においても、表面光沢の改善が指向される
ようになってきた。例えば、特開平8 −267109号公報に
は、ロール軸心に対して両側にほぼ等しい角度で傾斜す
る網目状のロール研磨目を付与したロールを用いて圧延
することが有効であることも開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、上記軸心に対して所定の角度をなす研磨目を、軸方
向(もしくは圧延方向)に対して両側にほぼ等しい角度
すなわち対称的に加工することは、研磨目付与方法を問
わず難しく、製造しにくいという問題があった。例え
ば、圧延方向に対して45°傾いた研磨目を±1°の精度
で両側に付与しようとすると、研磨条件(研磨材、ロー
ル径、ロール回転速度、砥石回転速度など)の設定およ
び調整を微妙に行う必要があるが、前記範囲内におさめ
ることは容易ではない。また、上記従来技術によるロー
ルでは、圧延初期の光沢を向上させる効果は大きいが、
通常の圧延方向に平行な研磨目と比較して磨耗が著しく
早く進行するために、少しの圧延量でも光沢が低下して
しまい、光沢の良い鋼板をロール交換すること無しに長
期間安定して圧延することが難しいという問題もあっ
た。
【0004】そこで、本発明の目的は、従来技術が抱え
ている上記問題点を解消することにあり、工業的に製造
しやすく、しかも金属板の冷間タンデム圧延に用いた場
合に、優れた表面光沢の圧延材製造することができる圧
延用ロールを提供することにある。また、本発明の他の
目的は、磨耗が少なく、圧延後の優れた表面光沢を長期
間安定して維持できる、冷間タンデム圧延に用いて好適
な金属板圧延用ロールを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題の
解決に向けて、ロールの周面に形成する研磨目の角度
を、特にロール材質と関連させて詳細に検討し、本発明
を完成するに到った。すなわち、本発明の要旨構成は以
下のとおりである。 (1) ロールの周面に、該ロールの円周方向(圧延方
向)に対して、一方の側に0.5 〜90°未満の角度で傾斜
した、互いにほぼ平行な研磨目と、他方の側に0〜90°
未満でかつ前記角度とは異なる角度で傾斜した、互いに
ほぼ平行な研磨目とを、編み目状に設けたことを特徴と
する金属板圧延用ロール。 (2) ロール材質が超硬合金であることを特徴とする上
記 (1)に記載の金属板圧延用ロール。 (3) 軸心を鋼とし、外層をヤング率35000kgf/mm2以上
の超硬合金のスリーブとする複合ロールであって、前記
外層の厚みがロール半径の3%以上であることを特徴と
する上記 (1)に記載の金属板圧延用ロール。 (4) 上記 (1)〜 (3)のいずれか1つに記載のロールを
用いて金属板を圧延することを特徴とする圧延方法。 (5) なお、前記超硬合金としては、WCにCo, Ni, Cr,
Tiなどを添加したWC合金が好適である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態につい
て、発明者らがこの発明を着想するに到った経緯を含め
て、鋼板の冷間圧延の場合を例にとり説明する。鋼板表
面の光沢は表面の粗さに左右されるが、通常の圧延鋼板
の表面には、オイルピットと呼ばれる深さ数μm程度の
ミクロ欠陥と、スクラッチと呼ばれるロールの研磨目の
転写に起因する深さ1μm未満のミクロ欠陥が存在す
る。ところで、前述した、クラスタ圧延機により、小径
の鏡面ロールと低粘度ニート油を用いて低速圧延する場
合には、ロール表面が鏡面であるのでスクラッチの発生
を防ぐことができ、また、ロールが小径であるため、噛
み込み角が大きく、かつ、潤滑油が低粘度で圧延速度が
低速であるため、ロールバイト内に引き込まれた圧延油
の油膜が薄くなる。その結果、ロールと鋼板が充分に接
触してオイルピットの発生も少なくなるので、良好な表
面光沢が得られるのである。
【0007】これに対して、タンデム圧延の場合には、
ロールが大径で圧延速度が高速になり、また、焼き付き
(ヒートストリーク)防止のために高粘度の圧延油を用
いることから、ロールバイト内に引き込まれる圧延油の
油膜が厚くなる。その結果、オイルピットが大量に発生
し、しかも、スリップ防止のためにロール粗度を小さく
できないことから、スクラッチも深くなる。これらの理
由から、一般的なタンデム圧延を行った後の鋼板の表面
は、表面粗さが大きくなり、表面光沢が低下する。な
お、ロール径や圧延油は、タンデム圧延を高速で行う必
要があるので、光沢向上のために、これらを変更するこ
とは困難である。
【0008】さて、上述した状況の下で、発明者らは、
タンデム圧延を行った鋼板の表面光沢を向上させるた
め、ロール表面の研磨目を変更することを試みた。通常
の圧延用ロールの表面には、圧延方向とほぼ平行な研磨
目が存在し、圧延時には鋼板表面とロール表面の相対滑
り方向と、ロール表面の研磨目の方向とが一致するた
め、鋼板表面にロール粗さが転写されてスクラッチが生
じる。そこで、発明者らは、研磨目を圧延方向に対して
傾けてロール表面に付与したところ、ロールバイト内の
表面近傍の圧延方向のせん断変形が大きくなり鋼板表面
が平滑化されて、光沢が良好となることを見いだした。
【0009】発明者らの検討によれば、鋼板表面に存在
するオイルピットやスクラッチのようなミクロ欠陥は数
μmの大きさであるのに対し、ロールバイト内の圧延方
向の相対滑りはタンデム圧延機の大径のロールでは数m
mになる。そこで、発明者らは、数μmのミクロ欠陥を
平滑にするための研磨目は連続的に付与される必要はな
く、断続的であっても相対滑り距離がその数百倍以上に
もなって光沢は向上する筈であると考え、本発明ロール
を着想した。
【0010】この発明ロールでは、図1に示すように、
その表面を、ロールの円周方向(圧延方向と同じ)を挟
んで、片方の側に傾斜し、かつ互いに平行な研磨目と、
他方の側に傾斜し、かつ互いに平行な研磨目とを互いに
交差させて編み目状とする。このとき、ロールの研磨目
は、円周方向に対して所定の角度で形成しておく必要が
あるが、図1における円周方向を挟む両方の傾斜角度、
θ1 とθ2 とは等しくなるように(対称的に)加工する
必要はない。このように、θ1 とθ2 とが非対称であれ
ば、研磨目を付与する際の製造性が著しく改善される。
また、これらの研磨目は断続的でよいので、研磨前にロ
ール表面を鏡面仕上げする必要がなく、研磨目を容易か
つ効率的に付与できる。
【0011】このような研磨目を表面に有するロールに
おいて、ロールの材質を通常の鋼系(5%Cr鍛鋼)にし
た場合には、比較的短期間の圧延で圧延材表面の光沢が
低下することが避けられなかった。この現象は図2の模
式図で、図2(a)に示す初期状態から、図2(b)の
ように、研磨目の凸部が急速に磨耗し、研磨目を安定し
て維持するのが困難になることで説明される。そこで発
明者らは、磨耗に耐えうるロール材質についても検討し
た。その結果、ロールの表層部に超硬合金を採用したロ
ールが優れた成績を示し、圧延材の表面光沢を長期間安
定して維持することが可能になるとの結論を得た。
【0012】次に、本発明の根拠となった実験結果によ
り具体的に説明する。図3に示す4段ミル5スタンドの
冷間圧延機にて、素材厚4.0 mmのSUS 430フエライト
系ステンレス鋼を2.0 mm厚まで、圧延速度(最終スタ
ンドのロール速度)300m/min で圧延した。なお、
図3において被圧延材である金属板1は、図中左方から
右方に圧延される。各圧延スタンドは、それぞれ上下一
対のロール2A〜2E、バックアップロール3A〜3E
により構成される。この圧延機にて、第5スタンドのロ
ールの研磨目を、円周方向を挟んで両側に傾斜する研磨
目の、円周方向に対する角度(図1のθ1 及びθ2 、こ
れらの研磨目はそれぞれ互いにほほ平行)を種々変更す
るとともに、該ロール材質を5%Cr鍛鋼(ヤング率:21
000 kgf/mm2 )又はWC超硬合金(ヤング率35000 kgf/
mm2以上)として、上記の圧延を30コイルづつ行い、焼
鈍、酸洗、調質圧延した。表1において、条件Aのロー
ルは通常の研磨ロールであり、条件Bのロールは特開平
8 −267109号公報に記載の従来技術によって研磨目を付
与したものである。条件C〜Fのロールは本発明に相当
し、θ1 、θ2 の片方または両方を減じたものである。
このようにして圧延して得られた鋼板表面について、光
沢度(JIS Z 8741 光沢度測定方法(GS 20°))を調査し
た。その結果を、図4および図5に示す。なお、研磨目
の傾斜角度の違いに関わらず、蛇行や焼き付きなどの問
題はなく安定した圧延ができた。
【0013】
【表1】
【0014】得られた結果から、次のようなことがわか
った。すなわち、編み目状に研磨した研磨目の角度
は、円周方向を挟んで両側に等しい角度で傾斜させる必
要はないこと、円周方向を挟む片方の角度は、円周方
向に対して極わずか傾斜しておればよいこと、一方の
研磨目が円周方向に対して所定の角度で傾斜していれ
ば、他方の研磨目の角度は0°(円周方向と同じ)であ
っても、条件Cのように、スクラッチを低減でき、光沢
は向上すること、このような編み目状の研磨目で得ら
れる光沢向上効果はロール材質が従来の鋼系の場合でも
得られるが、これを超硬合金にすれば、鋼系のものに比
べて飛躍的に長期間持続させることができることなどで
ある。
【0015】発明者らは、編み目を構成する円周方向を
挟んで両側に傾斜する研磨目の角度について、さらに詳
細に検討した結果、片方の研磨目の傾斜角度が0.5 〜90
°未満、好ましくは研磨目付与の容易さから5〜85°で
あれば光沢の改善が得られることが分かった。というの
は、傾斜角度が0.5 °に満たないとスクラッチが転写し
てしまい光沢が改善されないからであり、90°では軸方
向と平行となり研磨が困難になるからである。なお、5
〜85°であれば、10°( 又は80°) の設定に対し±5°
の誤差が許容されることになり、研磨が容易になる また、他方の研磨目の傾斜角度は、0〜90°未満の範囲
で何度でもよく、研磨目付与の容易さを考慮すると、好
ましくは0〜85°とすればよいことも分かった。ここ
で、0°以上としたのは、0°は通常の円周方向であ
り、容易に実現できるからである。
【0016】また、発明者らは、ロールの材質について
も詳細に調査した。図6は、編み目状研磨目の角度を1
5°/45°(表1条件D)とし、ロール素材のヤング
率を種々変更して、同様の圧延を行い、その後、焼鈍、
酸洗、調質圧延した後の鋼板表面の光沢度を測定した結
果である。図6より、ヤング率を鋼系ロールの21000 kg
f/mm2 、ジルコニア(ZrO2 )の25000 kgf/mm2 、サイ
アロンの30000 kgf/mm2 と高めるに従い光沢は徐々に向
上し、超硬合金の35000 kgf/mm2 以上にすると光沢は顕
著に向上することがわかった。超硬合金のヤング率を35
000 kgf/mm2 以上にまで高めるためには、WC(タング
ステンカーバイド)系の超硬合金が好ましく、特にCoを
50wt%以下の範囲で添加した、WC−Co合金が好まし
い。
【0017】このように、冷間圧延用のワークロール
に、WC−Co合金に代表される超硬合金を適用する際
に、ロール全体をWC合金一体としても鋼板の表面光沢
を得るという面からは問題はないが、タンデム圧延機用
の大径ロールの場合に用いることを想定した場合、製造
コストが極めて高くなるという問題がある。そこで、ス
リーブ材を超硬合金素材とし、心材を鋼系材質として、
両者を嵌合した構造のスリープ型複合ロールにしてロー
ル表層部分を超硬合金にすれば、上記問題が解決できる
ので、コスト低減の上で極めて有効となる。
【0018】ただし、このような複合ロールを圧延に用
いる場合、圧延中のロールの偏平はWC合金の一体ロー
ルの場合と異なることが考えられる。圧延後の鋼板表面
の光沢は偏平ロール半径に大きく係わっているので、複
合ロールを使用して圧延する場合には、WC合金一体ロ
ールと偏平半径が大きく異ならず、かつ、製造コストを
も考慮した上で、外層肉厚を適正に設定する必要があ
る。
【0019】発明者らは、この観点から、鋼系材質の心
材に、ヤング率35000 kgf/mm2 以上のWC系超硬合金を
スリーブとして嵌合した複合ロールにおいて、ロールの
周方向に対する傾斜角度15°/45°(表1条件D)の研
磨目を施すとともに、スリーブの肉厚を種々変更したロ
ールを作製した。ここで、WCスリーブのヤング率は、
肉厚に関係なく、すべて35000 kgf/mm2 とした。このロ
ールを用いて、図5の実験と同様の圧延を行い、次いで
焼鈍、酸洗、調質圧延した鋼板の表面光沢度を測定し
た。その結果を図7に示す。
【0020】図7は、WCスリーブ厚みtとロール半径
rとの比t/rが3%以上であれば、WC一体ロールと
の光沢度の差が10%以内に収まり、WC一体ロールに匹
敵する十分な光沢向上効果を得ることが可能であること
を示している。したがって、この発明において、複合ロ
ールの外層である超硬合金スリーブの厚みは、ロール半
径の3%以上とすることが望ましい。なお、t/rの上
限については、ロール製造コストの余裕度に応じて適宜
設定すればよい。なお、超硬合金としては、WCにCo、
Ni、Cr、Tiなどを添加して破壊靱性を向上させたWC合
金が好適であり、なかでもCoを10〜50wt%添加したWC
−Co合金がより好ましい。
【0021】上述したように、ロールの周面に、円周方
向を挟んで、片方の側に0.5 〜90°未満の角度で傾斜し
た、互いにほぼ平行な研磨目と、他方の側に0〜90°未
満でかつ前記角度とは異なる角度で傾斜した、互いにほ
ぼ平行な研磨目とを、編み目状に設けることにより、金
属板の光沢を向上させることが可能になる。そして、こ
のロール材質を超硬合金とすることにより、一層長期に
わたり安定した表面光沢をうることが可能となり、とく
に、軸心を鋼とし、外層を、肉厚:ロール半径の3%以
上、ヤング率35000kgf/mm2以上の超硬合金スリーブとす
ることによって、かかる効果をもたらすロールの低コス
ト化が可能になる。こうした効果は、研磨目の相対滑り
に起因するスクラッチが低減し、研磨目が編み目状にな
っていることで圧延油の封入を防いでオイルビットが低
減し、さらに研磨日の磨耗がほとんどないことによって
もたらされる。そして、本発明ロールによれば、蛇行な
どの問題も生じることがなく大きな効果がもたらされ
る。
【0022】なお、円周方向に対して片方の側に所定範
囲の角度で傾斜した研磨目は、ほぼ平行であればよく必
ずしも全てが平行である必要はない。このような場合に
は、その平均的な傾斜角度が本発明の条件を満たしてお
ればよい。またさらに、研磨目は必ずしも連続的である
必要はなく、製造性の上では、むしろ断続的であるほう
が好ましい。ロール表面の研磨目は、例えば、回転砥石
や遊離砥粒などによる研磨、研削バイトによる研削、あ
るいはエッチングなどいかなる加工方法で付与されたも
のでもよい。
【0023】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明する。実施例1 図2に示す4段ミル5スタンドからなる冷間圧延機の第
5スタンドに、材質がCo20wt%を添加したWC−Co合
金、ヤング率が35000 kgf/mm2 であり、肉厚がロール半
径の3%であるスリーブを、鋼心材に嵌合した複合ロー
ルの周面に、回転砥石加工により、上下とも円周方向に
対する傾斜角度 0.5°/15°(表1条件E)の研磨目を
編み目状に付与したロール(発明例)と、5%Crの鍛鋼
一体ロールの表面に、回転砥石加工により、圧延方向に
対して両側にそれぞれ45°対称的に傾けた研磨目を、網
目状に具えたロール(従来例)を適用し、素材厚4.0 mm
のSUS 430 フエライト系ステンレス鋼を、それぞれ2.0
mmまで 100コイルづつ圧延し、焼鈍、酸洗、調質圧延後
の鋼板の表面光沢を調査した。
【0024】その結果、従来技術では、20コイル圧延毎
にロールを交換して、計5セットのロールを必要とした
上、平均光沢度(Gs20°)は 432ポイントであり、各セ
ットの1コイル目と20コイル目との平均光沢度の差はい
ずれも 100ポイント以上であった。これに対し、発明ロ
ールでは、ロールを 100コイルすべてを1セットのロー
ルで圧延できた。その平均光沢度(Gs20°)は 550ポイ
ントと良好な値を示し、1コイル目と 100コイル目との
平均光沢度の差はたかだか30ポイントであり、安定した
光沢が得られた。
【0025】実施例2 図2に示す4段ミル5スタンドからなる冷間圧延機の第
5スタンドに、材質がCo35wt%を添加したWC−Co合
金、ヤング率が40000 kgf/mm2 であり、肉厚がロール半
径の3%であるスリーブを、鋼心材に嵌合した複合ロー
ルの周面に、回転砥石加工により、上下とも円周方向に
対する傾斜角度30°/60°(表1条件F)の研磨目を編
み目状に付与したロール(発明例)と、5%Crの鍛鋼一
体ロールの表面に、回転砥石加工により、圧延方向に対
して両側にそれぞれ30°で対称的に傾けた研磨目を、網
目状に具えたロール(従来例)を適用し、素材厚 4.0 m
m のSUS 304 オーステナイト系ステンレス鋼を、それぞ
れ2.0 mmまで100 コイルづつ圧延し、焼鈍、酸洗、調質
圧延、バフ研磨(1パス)した。このようにして得られ
た鋼板の表面光沢を調査した。
【0026】その結果、従来技術では、18コイル圧延毎
にロールを交換して、計6セットのロールを必要とした
上、平均光沢度(Gs20°)は 550ポイントであり、ま
た、各セットの1コイル目と18コイル目との平均光沢度
の差はいずれも 120ポイント以上であった。これに対
し、発明ロールでは、ロールを 100コイルすべてを1セ
ットのロールで圧延でき、その平均光沢度(Gs20°)は
700ポイントと良好な値を示し、1コイル目と 100コイ
ル目との平均光沢度の差は43ポイントであり、安定した
光沢が得られた。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ロール周面に設ける編み目状の研磨目が圧延方向に非対
称であるので製造しやすく、金属板のタンデム圧延に用
いて、優れた表面光沢の金属板を製造可能な圧延ロール
を提供できる。また、本発明によれば、ロールの表層部
材質を超硬合金とすることにより、長期にわたり安定し
た表面光沢を有する金属板を製造可能な圧延ロールを提
供できる。とくに、軸心を鋼とし、外層を超硬合金のス
リーブとしして嵌合した複合ロールにすれば、このよう
な効果が低コストで達成可能となり、金属板の製造コス
トの大幅な低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ロールのロール周面における研磨目の配
置状況を示す図である。
【図2】ロール周面に加工した研磨目のの磨耗過程を説
明するための摸式図である。
【図3】本発明ロールを適用したタンデム圧延機を示す
図である。
【図4】研磨目の傾き角度θ1 、θ2 が異なる鋼系ロー
ルで圧延したステンレス鋼板における光沢度の経時変化
を示す図である。
【図5】研磨目の傾き角度θ1 、θ2 が異なるWC合金
系ロールで圧延したステンレス鋼板における光沢度の経
時変化を示す図である。
【図6】ロール素材のヤング率とステンレス鋼板の光沢
度との関係を示すグラフである。
【図7】複合ロールのスリーブ厚み(t)/ロール半径
ロール(r)とステンレス鋼板の光沢度との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 被圧延材 2 ロール 3 バックアップロール 4 クーラントノズル 5 クーラント(圧延油)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21B 27/03 510 B21B 27/03 510 (72)発明者 永井 肇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 砂盛 泰理 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平8−267109(JP,A) 特開 平11−239808(JP,A) 特開 平10−249403(JP,A) 特開 平8−243606(JP,A) 特開 平11−197721(JP,A) 特開 平9−129009(JP,A) 特開 平9−76003(JP,A) 特開 平5−253604(JP,A) 特開 平7−265913(JP,A) 特開 平2−169108(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 27/02 B21B 1/22 B21B 3/02 B21B 27/00 B21B 27/03 510

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロールの周面に、該ロールの円周方向を
    挟んで、一方の側に0.5 〜90°未満の角度で傾斜した、
    互いにほぼ平行な研磨目と、他方の側に0〜90°未満で
    かつ前記角度とは異なる角度で傾斜した、互いにほぼ平
    行な研磨目とを設けたことを特徴とする金属板圧延用ロ
    ール。
  2. 【請求項2】 ロール材質が超硬合金であることを特徴
    とする請求項1に記載の金属板圧延用ロール。
  3. 【請求項3】 軸心を鋼とし、外層をヤング率35000kgf
    /mm2以上の超硬合金のスリーブとする複合ロールであっ
    て、前記外層の厚みがロール半径の3%以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の金属板圧延用ロール。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロ
    ールを用いて金属板を圧延することを特徴とする圧延方
    法。
JP07171798A 1998-03-20 1998-03-20 金属板圧延用ロール及びそのロールを用いた圧延方法 Expired - Fee Related JP3236553B2 (ja)

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