JP2000136843A - 防振装置 - Google Patents

防振装置

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JP2000136843A
JP2000136843A JP31248998A JP31248998A JP2000136843A JP 2000136843 A JP2000136843 A JP 2000136843A JP 31248998 A JP31248998 A JP 31248998A JP 31248998 A JP31248998 A JP 31248998A JP 2000136843 A JP2000136843 A JP 2000136843A
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JP
Japan
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liquid chamber
vibration
sub
elastic body
differential
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JP31248998A
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English (en)
Inventor
Katsumi Someya
勝己 染谷
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲の周波数の振動を減衰でき、かつ装置
寸法を拡大することなく広範囲の周波数域における防振
効果を向上させる。 【解決手段】 防振装置130は、オリフィス178,
180の何れかを開放するロータリバルブ78を備えて
いる。差動副液室146,148は、内筒金具22の軸
心Sに対する径方向に沿って弾性体144を挟んで主液
室26と対向するように配置され、隔壁の一部となるダ
イヤフラム150が弾性体144を介して内筒金具22
へ連結されている。ロータリバルブ78が図示の位置に
停止すると、弾性体144が弾性変形して主液室26の
内容積が拡大又は収縮すると同時に、内筒金具22に連
結されたダイヤフラム150の変位により第1差動副液
室146の内容積が主液室26とは逆方向に変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般産業機械、自
動車等に適用されてエンジン等の振動発生部から生じる
振動を減衰し、振動発生部から振動受部に伝達される振
動を抑制する防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用のエンジンマウントとして用い
られる防振装置には、例えば、円筒状の外筒と、この外
筒の内部に配置される円筒状の内筒と、内筒及び外筒と
の間に配置されて内筒と外筒とを連結するゴム製の弾性
体とを備えると共に、外筒の内部に弾性体を内壁の一部
とする主液室及びこの主液室と複数の制限通路によりそ
れぞれ繋がれた複数の副液室が設けられた所謂ブッシュ
タイプのものがある。このような構造な防振装置では、
内筒がエンジン側に連結されると共に外筒が車体側に連
結されるように自動車へ取り付けられ、エンジンからの
振動周波数等に応じて複数の制限通路の開閉状態をバル
ブにより切り替え、主液室と連通する副液室を選択する
ことにより、エンジンから生じる広範囲の周波数に亘る
振動の減衰可能となる。
【0003】一方、振動周波数等に応じて複数の制限通
路の開閉状態を切り替える上記のような防振装置では、
主液室が弾性体を内壁の一部とし、この弾性体が内筒へ
連結されていることから、内筒の変位に従って弾性体が
変形すると共に、主液室の内容積が変化して内圧(液
圧)が変化する。これにより、弾性体の内部摩擦によっ
て振動が減衰されると同時に、主液室内の液圧変動がポ
ンプ力となって制限通路を通して主液室と副液室との間
で液体が流通するため、液体の圧力変化及び粘性抵抗に
よっても振動が減衰される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような防振装置では、外部からの振動伝達により主液室
内部の液圧が変化するが、副液室自体が積極的に液圧を
変化させないため、副液室のダイヤフラムの剛性及び主
液室内部に生じるポンプ力により液体の共振の大きさが
決定される。従って、装置寸法を小型化すると共に、振
動伝達時の内筒の変位量を大きくして大きなポンプ力を
得ることは困難であるため、小型の防振装置では広範囲
の周波数に亘る振動を十分に減衰できなかった。
【0005】本発明は、上記の事実を考慮し、広範囲の
周波数の振動を減衰でき、かつ装置寸法を拡大すること
なく広範囲の周波数域における防振効果を向上できる防
振装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の防振装置
は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される外筒
と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され、かつ前
記外筒の内周側に配置される内筒と、前記外筒と前記内
筒との間に配置されて外筒及び内筒へ連結された弾性体
と、内壁の少なくとも一部が前記弾性体により形成さ
れ、かつ液体が封入される主液室と、前記主液室と液体
通路によりそれぞれ繋がれた複数の副液室と、少なくと
も1本の前記液体通路を開閉するバルブと、を有する防
振装置であって、前記複数の副液室のうち少なくとも1
個の副液室は、前記弾性体を挟んで前記主液室と対向す
ると共に副液室を構成する隔壁の少なくとも一部が前記
内筒へ連結され、該内筒の前記外筒に対する相対変位に
連動して内容積が拡縮される差動副液室とされたもので
ある。
【0007】上記構成の防振装置によれば、内壁の少な
くとも一部が弾性体により形成された主液室と、複数の
副液室を主液室へ繋ぐ複数の液体通路の少なくとも1本
を開閉するバルブを有し、複数の副液室のうち少なくと
も1個の副液室が差動副液室とされ、この差動副液室が
内筒の外筒に対する相対変位に連動して内容積を拡縮す
ることにより、外部からの振動伝達時には弾性体が弾性
変形して弾性体の内部摩擦により振動エネルギーが吸収
され、さらに弾性体の弾性変形と共に主液室が拡張又は
収縮することから、液体通路により主液室と連通した副
液室との間に液体が流通し、液体の粘性抵抗及び圧力変
化によっても振動エネルギーが吸収される。従って、バ
ルブにより振動周波数に対応する長さ及び断面積を有す
る液体通路を開放し、この液体通路により隔壁の少なく
とも一部が振動周波数に対応する剛性とされた副液室を
主液室に連通されば、共振効果により効果的に振動エネ
ルギーを吸収して振動受部に伝達される振動を抑制でき
る。
【0008】特に、差動副液室が主液室に連通している
場合には、外部からの振動により内筒が外筒に対して相
対変位する際に、弾性体が弾性変形して主液室の内容積
が拡大又は収縮すると同時に、内筒に連結された隔壁に
より差動副液室の内容積を主液室とは逆方向に変化さ
せ、主液室と差動副液室との内圧(液圧)の差を大きく
できるので、主液室と差動副液室との間に大きな共振を
発生させて振動の減衰効果を向上できる。
【0009】請求項2記載の防振装置は、請求項1記載
の防振装置において、前記差動副液室は、アイドル振動
吸収用の副液室とされたものである。
【0010】上記構成の防振装置によれば、主液室を、
差動副液室として構成されたアイドル振動吸収用副液室
に連通させた場合には、外部からの振動により内筒が外
筒に対して相対変位する際に、弾性体が弾性変形して主
液室の内容積が拡大又は収縮すると同時に、主液室に連
通した差動副液室の内容積を主液室とは逆方向に変化さ
せ、主液室と差動副液室との内圧(液圧)の差を大きく
できるので、主液室とアイドル振動吸収用副液室との間
に大きな共振を発生させてアイドル振動の減衰効果を向
上できる。
【0011】この結果、自動車がアイドリング運転時又
は5km/h以下での低速走行時にエンジンにより生じる
アイドル振動(20〜40Hz程度)を、特に効果的に
減衰できる。
【0012】請求項3記載の防振装置は、請求項1記載
の防振装置において、前記複数の副液室のうち2個の副
液室が前記差動副液室とされ、これら2個の差動副液室
のうち一方はアイドル振動吸収用の副液室とされ、他方
はこもり音吸収用の副液室とされたものである。
【0013】上記構成の防振装置によれば、主液室を、
差動副液室として構成されたアイドル振動吸収用副液室
及びこもり音吸収用副液室の何れか一方に選択的に連通
させた場合には、外部からの振動により内筒が外筒に対
して相対変位する際に、弾性体が弾性変形して主液室の
内容積が拡大又は収縮すると同時に、主液室に連通した
差動副液室の内容積を主液室とは逆方向に変化させ、主
液室と差動副液室との内圧(液圧)の差を大きくできる
ので、主液室をアイドル振動吸収用副液室に連通させた
場合には、主液室とアイドル振動吸収用副液室との間に
大きな共振を発生させてアイドル振動の減衰効果を向上
でき、また主液室をこもり音吸収用副液室に連通させた
場合には、主液室とこもり音吸収用副液室との間に大き
な共振を発生させてこもり音の減衰効果を向上できる。
【0014】この結果、バルブにより液体通路の開閉状
態を適宜制御すれば、自動車がアイドリング運転時又は
5km/h以下での低速走行時にエンジンにより生じるア
イドル振動(20〜40Hz程度)及び自動車が75〜
80km/hでの高速走行時に生じるこもり音(80Hz
程度)を、それぞれ特に効果的に減衰できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
防振装置について図面を参照して説明する。
【0016】(第1の実施形態)図1から図5には、本
発明の第1の実施形態に係る防振装置が示されている。
この防振装置10は所謂ブッシュタイプの防振装置であ
って、本実施形態では車両のエンジンマウントとして適
用されている。なお、図中符号Sは内筒金具22の軸心
を示し、この軸心Sに沿った方向を装置の軸方向とす
る。防振装置10は、図1に示されるように円筒状の外
筒金具12を備えており、この外筒金具12の外周面上
へ固定される金属製の取付フレーム(図示省略)を介し
て車体側へ連結される。外筒金具12の内部には中間ブ
ロック14及び中間筒16が配置されている。
【0017】図6に示されるように中間筒16は一対の
フランジ部18及び一対の連結板20からなる。一対の
フランジ部18は軸方向両端部にそれぞれ設けられてお
り、一対の連結板20により互いに連結されている。一
対の連結板20は、軸方向から見てフランジ部18と同
心状に湾曲しており、図1に示されるように下方に向け
て開いた略ハ字形となるように配置されている。
【0018】中間筒16の一対のフランジ部18の間に
は、図7に示される中間ブロック14が下方から軸心S
側へ向かって嵌挿される。中間ブロック14の上面には
平面部14Aが形成されている。中間筒16は、一対の
連結板20の内側に中間ブロック14の平面部14Aと
対向して空洞部を形成し、この空洞部内には、図3に示
されるように振動発生部であるエンジンへ連結される内
筒金具22及び補強金具23が軸方向へ貫通している。
内筒金具22は外筒金具12と平行軸的に配置されてお
り、内筒金具22と外筒金具12との間にはゴム製の弾
性体24が掛け渡されている。この弾性体24が変形す
ることにより、内筒金具22は外筒金具12に対して相
対変位が可能となる。また補強金具23には、図3に示
されるように軸方向両端部にそれぞれ内筒金具22へ向
かって開くように半円弧状に湾曲した半円筒部23Aが
設けられ、図1に示されるように軸方向中間部に一対の
半円筒部23Aを連結した連結部23Bが設けられてい
る。この補強金具23により、弾性体24の軸方向への
変形が抑制されている。
【0019】弾性体24は、図5に示されるように中間
筒16の内周側から延出した薄肉部24Aがフランジ部
18の外周面及び連結板20の外周面を覆っている。一
方、中間ブロック14には、図1に示されるように平面
部14Aの幅方向両端部にそれぞれ周方向に沿って延出
した延出部14B,14Cが形成されており、連結板2
0の外周面を覆った弾性体24の薄肉部24Aは、延出
部14B,14Cの内周面へ密着している。さらに一方
(図1では左方)の連結板20を覆った薄肉部24Aに
は、中間ブロック14の延出部(左側延出部)14Bの
先端面に沿って径方向に延出し、その延出端を外筒金具
12の内周面へ密着させた延出片24Bが形成されてい
る。弾性体24の薄肉部24Aは、図5に示されるよう
にフランジ部18の外周面の上部付近を除く領域を覆っ
ており、フランジ部18は薄肉部24Aを介して外筒金
具12の内周面へ圧接している。
【0020】弾性体24の下面には、一対のフランジ部
18に挟まれた軸方向中間部に軸心Sに向かって略V字
状に凹んだ切欠部24Eが形成されており、図1に示さ
れるように弾性体24の切欠部24Eと中間ブロック1
4の平面部14Aとの間の空間は主液室26とされてい
る。
【0021】弾性体24の上面側には、後述する差動副
液室28の弾性変形可能な隔壁となるダイヤフラム30
が弾性体24と一体的に形成されている。ダイヤフラム
30は、薄膜状のゴムによりそれぞれ形成された一対の
空気室形成部32及び一対の側壁部38からなる。一対
の空気室形成部32は、図1に示されるように軸方向か
ら見て、一端部が連結板20の上端部付近を被覆した弾
性体24の薄肉部24A付近に接続されると共に、他端
部が弾性体24の上面中央部付近に接続されている。こ
れにより、一対の空気室形成部32は、それぞれ弾性体
24の上面両端部に沿って軸方向へ貫通するチューブ状
の一対の空気室34を形成し、これら一対の空気室34
は、図3に示されるように弾性体24の幅方向に沿って
内筒金具22を挟んで互いに対向するように配置されて
いる。また弾性体24の上面には、一対の空気室34の
間に凸状のストッパ当接部36が形成されている。スト
ッパ当接部36は、その上面が内筒金具22の外周面と
同心状の曲面とされている。
【0022】ダイヤフラム30の一対の側壁部38は、
図3及び図4に示されるように、それぞれ下端部が弾性
体24の上面及び空気室形成部32の軸方向両端部へ接
続されると共に、上端部が外筒金具12の一対のフラン
ジ部18の内周側へ加硫接着等により固着されている。
このとき、一対の側壁部38は、軸方向へは弾性体24
のストッパ当接部36を挟むような2位置へそれぞれ接
続されている。これにより、図4に示されるように弾性
体24の上面側であって、一対のフランジ部18の間に
は、外周側が開口し、かつ内周側が弾性体24のストッ
パ当接部36及び、その周縁部により閉止された有底筒
状の中空部が一対の側壁部38により形成される。また
ダイヤフラム30の空気室形成部32及び側壁部38
は、図1及び図4に示されるように蛇腹状に湾曲した状
態とされて外筒金具12内へ収納されている。これによ
り、ダイヤフラム30は、液圧を受けた時に張力増加に
より変形抵抗が増加することが抑制される。
【0023】ダイヤフラム30により一対のフランジ部
18間に形成された中空部の外周側の開口は、図1に示
されるようにストッパ金具42により閉止されている。
ストッパ金具42は、図5に示されるように一定の曲率
半径で湾曲した蓋板部44と、この蓋板部44の略中央
部に形成されたストッパ部46とを備えている。蓋板部
44は、その内周面が中間筒16のフランジ部18の外
周面の曲率半径と略等しい曲率半径の凹状曲面とされて
おり、この軸方向両端部の凹状曲面を、図4に示される
ように弾性体24により覆われていないフランジ部18
の外周面上部へ密着させている。
【0024】ストッパ金具42は、図1に示されるよう
に蓋板部44の周方向両端からそれぞれ内周側へ段差状
に屈曲された連結部52,54を備えており、この連結
部52,54の下端からは、蓋板部44より小さい曲率
半径で蓋板部44と同心状に湾曲したフランジ部48,
50が延出している。ここで、一方(図1では左方)の
フランジ部48の周長は他方(右方)のフランジ部50
に対して短くされている。このフランジ部48は、その
内周面を弾性体24の薄肉部24Aを介して中間筒16
の連結板20の上端部へ当接させると共に、延出端を弾
性体24の延出片24Bへ当接させている。他方のフラ
ンジ部50は、その内周面を弾性体24の薄肉部24A
を介して中間筒16の連結板20へ当接させると共に、
延出端を中間ブロック14の延出部14Cの先端面へ当
接させている。また蓋板部44は、図4に示されるよう
に軸方向両端部がフランジ部18及び外筒金具12によ
り挟持されている。これにより、ストッパ金具42は、
弾性体24及びダイヤフラム30により形成された中空
部の外周側開口を閉止する位置へ固定され、弾性体24
及びダイヤフラム30と共に液体が封入される差動副液
室28を形成する。
【0025】ストッパ金具46のストッパ部46は、図
1及び図4に示されるように角錐台状に形成されてお
り、差動副液室28の内部へ突出している。ストッパ部
46の底面は、所定の間隔を空けて弾性体24のストッ
パ当接部36の頂面と対向するように支持されている。
これにより、内筒金具22及び弾性体24の上方へ変位
が制限されて外部から過大な力が入力した際にも、内筒
金具22と外筒金具12との相対変位量が過大になるこ
とがない。
【0026】ストッパ金具42の一方(図1では左方)
の連結部54には、図5に示されるように軸方向におけ
る幅が互いに異なる2個のオリフィス開口54A,54
Bが形成されている。ここで、オリフィス開口54Aは
軸方向における幅が広くされ、オリフィス開口54Bは
軸方向における幅が狭くされている。これにより、一方
のオリフィス開口54Aの開口面積は、他方のオリフィ
ス開口54Bの開口面積より広くされている。
【0027】ストッパ金具42のフランジ部50の外周
面には、オリフィス開口54Aに対応する一対の仕切板
56及びオリフィス開口54Bに対応する一対の仕切板
58が周方向に沿って延在している。一対の仕切板56
の間の距離はオリフィス開口54Aの軸方向における幅
と略等しくされ、一対の仕切板56の内側に形成される
溝部60の一端はオリフィス開口54Aへ接続されてい
る。また一対の仕切板58の間の距離はオリフィス開口
54Bの軸方向における幅と略等しくされ、一対の仕切
板58の内側に形成される溝部62の一端はオリフィス
開口54Bへ接続されている。そして、仕切板56,5
8の外周面は外筒金具12の内周面へ密着し、これによ
り、溝部60,62の外周側が外筒金具12により塞が
れる。
【0028】一方、中間ブロック14の外周面には、図
7に示されるように軸方向における幅が互いに異なる2
本の溝部64,66が形成されており、これらの溝部6
4,66は外周側が外筒金具12により塞がれている。
軸方向における幅が広い溝部64の一端は中間ブロック
14の延出部14Cの先端面に開口し、この溝部64の
一端は外筒金具12の溝部60へ接続されている。また
軸方向における幅が狭い溝部66は、図1に示されるよ
うに、その一端が中間ブロック14の平面部14Aから
中間ブロック14の外周面底部へ貫通した貫通穴68へ
接続され、この貫通穴68との接続端を起点として周方
向に沿って延出部14B側へ伸び、延出部14BでU字
状に折り返して他端が延出部14Cの先端面に開口して
いる。この溝部66の開口端は外筒金具12の溝部62
へ接続されている。
【0029】ここで、中間ブロック14の溝部66及び
貫通穴68並びにストッパ金具46の溝部62はシェイ
ク振動吸収用のシェイクオリフィス69を構成してお
り、このシェイクオリフィス69により主液室26と差
動副液室28とは常に連通されている。差動副液室28
は、軸心Sに対する径方向(本実施形態では上下方向)
に沿って弾性体24を挟んで主液室26と対向するよう
に配置され、さらに隔壁の一部となるダイヤフラム30
が弾性体24を介して内筒金具22へ連結されると共
に、弾性体24によっても隔壁の他の一部が形成されて
いる。
【0030】図1に示されるように、中間ブロック14
の平面部14A側には円穴70が形成されており、この
円穴70の底部には円穴70よりも小径とされると共
に、中間ブロック14の外周面底部へ貫通した円形貫通
穴71が円穴70と同軸的に形成されている。中間ブロ
ック14の外周面には、円形凹状の座ぐり部72が円形
貫通穴71と同軸的に形成されており、座ぐり部72の
外側には環状の溝部74が設けられている。この溝部7
4内にはシール用のOリング76が嵌め込まれている。
また外筒金具12には座ぐり部72と同一内径とされた
円形開口12Aが同軸的に形成されている。
【0031】中間ブロック14の円穴70及び円形貫通
穴71にはロータリバルブ78が回転可能に挿入されて
いる。このロータリバルブ78の上部には、上面が開口
した大径の円筒部80が設けられ、この円筒部80と反
対側には小径の軸部82が円筒部80と同軸的に設けら
れている。また中間ブロック14には、図7に示される
ように上面側の幅方向中間部を凹状とする嵌挿部83が
形成されており、この嵌挿部83には略コ字形に屈曲さ
れた蓋板84が嵌挿される。この蓋板84には円穴70
に面して円穴70より小径とされた円形開口84Aが形
成され、蓋板84は、円形開口84Aを通してロータリ
バルブ78の円筒部80内と主液室27とを連通させる
と共に、ロータリバルブ78の円穴70からの脱落を防
止している。また、ロータリバルブ78の軸部82の外
周面には一対の環状溝が形成されており、この一対の環
状溝には、一対のOリング86がそれぞれ嵌め込まれて
いる。このOリング86によって円形貫通穴71からの
液漏れが防止されている。
【0032】一方、図1に示されるように中間ブロック
14の内部には、円穴70の内周面から半径方向に沿っ
て一対の通路88,90が互いに反対方向に延出するよ
うに形成されている。一方の通路88は円穴70の内周
面から中間ブロック14の延出部14C側に向かって延
出し、中間ブロック14の外周面に形成された溝部64
へ連結されている。従って、通路88は、中間ブロック
14の溝部64及びストッパ金具42の溝部60を介し
て差動副液室28へ連通しており、通路88と溝部6
0,64はアイドル振動吸収用の制限通路であるアイド
ルオリフィス92を構成している。
【0033】また他方の通路90は円穴70の内周面か
ら延出部14B側に向かって延出し、中間ブロック14
の外周面に設けられた凹部94内へ開口している。この
凹部94は中間ブロック14の外周面に沿って円弧状に
湾曲し、その周縁部にはダイヤフラム固定用の溝部96
が形成されている。ダイヤフラム98は、その外周端部
が溝部96の形状と対応するリブ形状とされており、こ
の外周端部が全周に亘って溝部96内へ嵌め込まれると
共に、外周端部付近が中間ブロック14と外筒金具12
とに挟持されて固定されている。ダイヤフラム98は、
凹部94内へ向かって凸状となるように湾曲しており、
凹部94との間に低速こもり音吸収用の副液室100を
形成すると共に、この副液室100の弾性変形可能な隔
壁を形成している。さらにダイヤフラム98は外筒金具
12の内周面との間に空気室102を形成している。こ
こで、ダイヤフラム98の剛性は弾性体28と一体的に
形成されたダイヤフラム30の剛性より大きくされてい
る。そして主液室26と副液室100とを繋いだ通路9
0は、低速こもり音吸収用の制限通路であるこもり用オ
リフィス104を構成している。主液室26、差動副液
室28及び副液室100にはそれぞれエチレングリコー
ル等の液体が充填封入され、主液室26と差動副液室2
8との間及び主液室26と副液100との間は、ロータ
リバルブ78を介してオリフィス92,104により繋
がれている。
【0034】ロータリバルブ78の円筒部80には、そ
の外周面に貫通穴106が形成されており、この貫通穴
106は円筒部80の内外を連通させている。これによ
り、図1に示されるように、ロータリバルブ78が貫通
穴106を通路88へ対向させる位置へ回転すると、主
液室26と差動副液室28との間がアイドルオリフィス
92により連通し、また図2に示されるように、ロータ
リバルブ78が貫通穴106を通路90へ対向させる位
置へ回転すると、主液室26と副液室100との間がこ
もり用オリフィス104により連通する。
【0035】一方、外筒金具12の外周面には、図1に
示されるようにロータリバルブ78を作動させるための
モータ及びトルク伝達機構等を内蔵したモータユニット
108が取り付けられている。モータユニット108は
外郭部を構成するケーシング110を備えており、この
ケーシング110の上部には外筒金具12の外周面に沿
って円弧状に湾曲した取付フランジ112が配置されて
おり、この取付フランジ112の上面中央部からはバル
ブ差動軸114が突出している。バルブ差動軸114の
先端部には、軸方向に沿って板状とされた結合部114
Aが形成されている。 モータユニット108は、取付
フランジ112を挿通したビス(図示省略)が外筒金具
12に形成された雌ねじ穴(図示省略)へねじ込まれる
ことにより、外筒金具12へ固定される。このとき、バ
ルブ差動軸114は、外筒金具12の円形開口12A及
び座ぐり部72を通して中間ブロック12内へ挿入さ
れ、結合部114Aが軸部82の下面に形成された径方
向に沿った溝内へ嵌挿される。これにより、バルブ差動
軸114がロータリバルブ78に連結される。
【0036】またモータユニット108の内部には、ロ
ータリバルブ78の回転方向における位置(位相)を検
出するためのモータスイッチ(図示省略)が配置されて
いる。モータユニット108は、回転開始後にはモータ
スイッチによる検出動作に同期させてロータリバルブ7
8を図1に示される主液室26と差動副液室28とをア
イドルオリフィス92により互いに連通させる位置(以
下、第1の位置という)及び図2に示される主液室26
と副液室100とをこもり用オリフィス104により互
いに連通させる位置(以下、第2の位置という)の何れ
かの位置へ回転停止させる。
【0037】モータユニット108は、図1に示される
ようにコントローラ120に連結されており、コントロ
ーラ120からの切替信号を受けてバルブ差動軸114
を一方向へ回転開始する。コントローラ120は、少な
くとも車速センサ122及びエンジン回転数検出センサ
124からの検出信号を受け、車速及びエンジン回転数
をそれぞれ検出し、一定周期で現在の車両の振動状態が
アイドル振動の比率が高くなるアイドル振動状態か、シ
ェイク振動の比率が高くなるシェイク振動状態かを判断
し、車両の振動状態がアイドル振動からシェイク振動状
態に変化するか、又はシェイク振動状態からアイドル振
動状態に変化した時に切替信号をモータユニット108
へ出力する。
【0038】次に、本実施形態に係る防振装置10の作
用を説明する。
【0039】本実施形態の防振装置10では、エンジン
(図示省略)が搭載された状態で、内筒金具22を介し
てエンジンからの荷重を受ける弾性体24が変形して内
筒金具22が外筒金具12と同軸的になる。そして内筒
金具22に連結されたエンジンが作動すると、エンジン
からの振動が内筒金具22を介して弾性体24に伝達さ
れる。このとき、弾性体24は吸振主体として作用し、
弾性体24の内部摩擦により振動エネルギーが吸収され
る。
【0040】さらに本実施形態の防振装置10は、アイ
ドルオリフィス92及びこもり用オリフィス104の何
れか一方のみを選択的に開放するロータリバルブ78を
備え、このロータリバルブ78により開閉されるアイド
ルオリフィス92及び常時開放されたシェイクオリフィ
ス69により主液室26に繋がれた差動副液室28が、
内筒金具22の軸心Sに対する径方向に沿って弾性体2
4を挟んで主液室26と対向するように配置され、かつ
差動副液室28の隔壁の一部となるダイヤフラム30が
弾性体24を介して内筒金具22へ連結されると共に、
弾性体24によって差動副液室28の隔壁の他の一部が
形成されていることにより、以下のように作用を奏す
る。
【0041】車両が例えば、アイドリング状態から加速
していき70〜80km/h以上の高速で走行するとシェ
イク振動状態となる。このとき、コントローラ110は
車速センサ122及びエンジン回転数検出センサ124
からの信号により車両の振動状態がシェイク振動状態に
なったことを判断すると、モータユニット108により
ロータリバルブ78を図1に示される第1の位置から図
2に示される第2の位置へ回転させる。これにより、ア
イドルオリフィス92が閉止され、こもり用オリフィス
104が開放される。従って、主液室26は、常時開放
されているシェイクオリフィス69により差動副液室2
8と連通されると共に、ロータリバルブ78により開放
されたこもり用オリフィス104により副液室100と
連通される。そして、コントローラ110は、一定周期
で車両の振動状態を判断し、シェイク振動状態が継続し
ている場合にはロータリバルブ78を第2の位置に停止
させておく。
【0042】この結果、エンジンからの振動により内筒
金具22が外筒金具12に対して相対変位する際に、弾
性体24が弾性変形して主液室26の内容積が拡大又は
収縮すると同時に、内筒金具22に連結されたダイヤフ
ラム30の変位及び差動副液室28の内壁の一部を形成
した弾性体24の変形により差動副液室28の内容積が
主液室26とは逆方向に変化する。このように差動副液
室28の内容積を内筒金具22の変位に連動して変化さ
せることにより、主液室26と差動副液室28との内圧
(液圧)の差を大きくできるので、主液室26と差動副
液室28との間にシェイクオリフィス69を通して大き
な液柱共振を発生できる。従って、シェイクオリフィス
69における液体の粘性抵抗及び圧力変化によってシェ
イク振動の振動エネルギーを特に効果的に吸収できるの
で、シェイク振動に対する防振効果を向上できる。さら
に、シェイク振動と同時に発生することがある高周波で
小振幅の振動である低速こもり音(80Hz程度)に対
しては、主液室26と副液室100とを連通するこもり
用オリフィス104内で生じる液柱共振により振動エネ
ルギーが吸収されるので、こもり音のエンジン側から車
体側への伝達も抑制される。
【0043】また、例えば70〜80km/h以上の高速
で走行していた車両が減速して5km/h以下の低速で走
行したり、停止してアイドリング状態となると、車両の
振動状態がシェイク振動状態からアイドル振動状態とな
る。コントローラ110は車速センサ122及びエンジ
ン回転数検出センサ124からの信号により車両の振動
状態がシェイク振動状態からアイドル振動状態になった
ことを判断すると、モータユニット108によりロータ
リバルブ78を図2に示される第2の位置から図1に示
される第1の位置へ回転させる。これにより、こもり用
オリフィス104が閉止され、アイドルオリフィス92
が開放される。従って、主液室26は、常時開放されて
いるシェイクオリフィス69及びロータリバルブ78に
より開放されたアイドルオリフィス92により差動副液
室28と連通される。そして、コントローラ110は、
一定周期で車両の振動状態を判断し、アイドル振動状態
が継続している場合にはロータリバルブ78を第1の位
置に停止させておく。
【0044】この結果、エンジンからの振動により内筒
金具22が外筒金具12に対して相対変位する際に、弾
性体24が弾性変形して主液室26の内容積が拡大又は
収縮すると同時に、内筒金具22に連結されたダイヤフ
ラム30の変位及び差動副液室28の内壁の一部を形成
した弾性体24の変形により差動副液室28の内容積が
主液室26とは逆方向に変化する。このように差動副液
室28の内容積を内筒金具22の変位に連動して変化さ
せることにより、主液室26と差動副液室28との内圧
(液圧)の差を大きくできるので、主液室26と差動副
液室28との間にシェイクオリフィス69及びアイドル
オリフィス92をそれぞれ通して大きな液柱共振を発生
できる。これにより、シェイクオリフィス69及びアイ
ドルオリフィス92における液体の粘性抵抗及び圧力変
化によってシェイク振動及びアイドル振動の振動エネル
ギーを、特に効果的に吸収できるので、シェイク振動及
びアイドル振動に対する防振効果を向上できる。
【0045】以上説明したように、本実施形態の防振装
置10によれば、装置寸法を拡大することなく、車両に
おける代表的な振動であるシェイク振動及びアイドル振
動に対する防振効果を向上できる。
【0046】なお、本実施形態の防振装置10では、差
動副液室28をシェイク振動及びアイドル振動吸収用副
液室とし、副液室100をこもり音(低速こもり音)吸
収用副液室としたが、差動副液室28により吸収する振
動の種類はシェイク振動及びアイドル振動に限定される
ものではなく、また差動副液室28により吸収する振動
の種類もこもり音に限定されるものではない。すなわ
ち、差動副液室28の隔壁を構成するダイヤフラムの剛
性並びに差動副液室28を主液室26へ繋ぐオリフィス
92の長さ及び断面積を適宜変化させれば、差動副液室
28により低速こもり音や高速こもり音(200Hz以
上)を吸収することも可能になり、同様に副液室100
のダイヤフラム98の剛性並びに副液室100を主液室
26へ繋ぐオリフィス104の長さ及び断面積を適宜変
化させれば、副液室100によりアイドル振動やシェイ
ク振動を吸収することも可能になる。
【0047】(第2の実施形態)図8から図13には、
本発明の第2の実施形態に係る防振装置が示されてい
る。なお、図1から図7に基づいて説明した第1の実施
形態の防振装置10に係る部材と同一部材について同一
符号を付し、重複した説明を省略する。ブッシュタイプ
の防振装置130は、第1の実施形態の場合と同様に車
両のエンジンマウントとして適用されている。防振装置
130には、図8に示されるように外筒金具12の内部
に中間ブロック132及び中間筒134が配置されてい
る。
【0048】図14に示されるように中間筒134は一
対のフランジ部136、一対の連結板138及びストッ
パ板140からなる。一対のフランジ部136は軸方向
両端部にそれぞれ設けられており、一対の連結板138
及びストッパ板140により互いに連結されている。一
対の連結板138は、軸方向から見てフランジ部136
と同心状に湾曲しており、図8に示されるように下方に
向けて開いた略ハ字形となるように配置されている。ま
たストッパ板140は、図15に示されるように一対の
フランジ部136の上部間を連結している。ストッパ板
140には、軸方向中間部にフランジ部136に対して
内周側へ突出するようにコ字形に屈曲された突出部14
0Aが形成されており、この突出部140Aの底面部分
はフランジ部136と同心状に湾曲している。
【0049】中間筒134一対のフランジ部136の間
には、図15に示される中間ブロック132が下方から
軸心S側へ向かって嵌挿される。中間ブロック132の
上面には平面部132Aが形成されている。中間筒13
4は、一対の連結板138及びストッパ板142の内周
側に中間ブロック132の平面部132Aと対向して空
洞部を形成し、この空洞部内には、図10に示されるよ
うに振動発生部であるエンジンへ連結される内筒金具2
2及び補強金具23が軸方向へ貫通している。内筒金具
22と外筒金具12との間には、第1の実施形態の防振
装置10と同様にゴム製の弾性体144が掛け渡されて
おり、この弾性体144が変形することにより、内筒金
具22は外筒金具12に対して相対変位が可能となる。
【0050】弾性体144は、図8に示されるように中
間筒134の内周側から延出した薄肉部144Aが中間
筒134の連結板138の外周面を覆っている。一方、
中間ブロック132には、平面部132Aの幅方向両端
部にそれぞれ周方向に沿って延出した延出部132B,
132Cが形成されており、一対の連結板138の外周
面をそれぞれ覆った弾性体144の薄肉部144Aの下
端付近は延出部132B,132Cの内周面へ密着して
いる。また弾性体144の薄肉部144Aは、図13に
示されるようにフランジ部136の外周面全体も覆って
おり、フランジ部136は薄肉部144Aを介して外筒
金具12の内周面へ圧接している。
【0051】弾性体144の下面には、一対のフランジ
部136に挟まれた軸方向中間部に軸心Sに向かって略
V字状に凹んだ切欠部144Eが形成されており、図8
及び図11に示されるように弾性体144の切欠部14
4Eと中間ブロック132の平面部132Aとの間の空
間は主液室26とされている。
【0052】弾性体144の上面側には、後述する差動
副液室146,148の弾性変形可能な隔壁となるダイ
ヤフラム150が弾性体144と一体的に形成されてい
る。ダイヤフラム150は、薄膜状のゴムによりそれぞ
れ形成された一対の空気室形成部152及び一対の側壁
部154からなる。一対の空気室形成部152は、図8
に示されるように軸方向から見て、それぞれ一端部が弾
性体144の上面側へ接続されると共に、他端部が外筒
金具12の内周面へ密着している。ここで、一対の空気
室形成部152は、一端部が弾性体144の幅方向に沿
って内筒金具22を挟むような弾性体144の2位置へ
それぞれ接続され、かつ他端部が弾性体144の幅方向
に沿ってストッパ板140を挟むような外筒金具12の
2領域へそれぞれ密着している。これにより、一対の空
気室形成部152は、弾性体144の上面側と外筒金具
12との間に軸方向へ貫通するチューブ状の空気室15
6を形成する。この空気室156は内筒金具22の上方
を中空状としている。
【0053】弾性体144の上面側には、図8及び図1
1に示されるように空気室156の内部へ突出する凸状
のストッパ当接部158が内筒金具22の外周面に沿っ
て形成されている。またストッパ板140の突出部14
0Aは、空気室形成部152と一体的に形成されたゴム
製で、ブロック状に形成された弾性支持体159内に埋
設されている。弾性支持体159は、突出部140Aの
底面側では薄膜状とされた被覆部159Aとされてお
り、この被覆部159Aにより突出部140Aの底面全
体を被覆している。ここで、ストッパ板140及び弾性
支持体159は、内筒金具22の上方への相対変位を制
限するためのストッパとして構成されている。
【0054】上記ようにストッパ板140の突出部14
0Aがブロック状の弾性支持体159内に埋設されるこ
とにより、ストッパ板140が補強されて繰返応力によ
るストッパ板140の塑性的な変形を抑制できる。また
弾性支持体159により被覆された突出部140Aの底
面は、所定の間隔を空けて弾性体144のストッパ当接
部158の頂面と対向する。これにより、内筒金具22
及び弾性体144の上方への変位が制限されて外部から
過大な力が入力した際にも、内筒金具22と外筒金具1
2との相対変位量が過大になることがない。このとき、
突出部140Aの底面が弾性支持体159により被覆さ
れていることから、金属製のストッパ板140がストッ
パ当接部158へ直接当接せず、ストッパ当接部158
の損傷が防止される。また弾性支持体159の外周面は
外筒金具12の内周面と対応する凸状曲面とされてお
り、外筒金具12の内周面に密着している。
【0055】ダイヤフラム150の一対の側壁部154
は、図10及び図12に示されるように、下端部が弾性
体144の上面における空気室156の外側部分へそれ
ぞれ接続されると共に、空気室形成部32の軸方向両端
部をそれぞれ閉止している。これにより、図13に示さ
れるように弾性体144の上面側であって、一対のフラ
ンジ部136の間には、外周側が開口し、かつ内周側が
弾性体144により閉止された一対の中空部160,1
62が形成される。この一対の中空部160,162
は、弾性体144の幅方向に沿って空気室156を挟む
ように配置されており、それぞれ外周側の開口が外筒金
具12の内周面によって塞がれることにより、図8に示
されるように内部に液体が封入される第1差動副液室1
46及び第2差動副液室148とされる。
【0056】差動副液室146,148は、軸心Sに対
する径方向(本実施形態では上下方向)に沿って弾性体
144を挟んで主液室26と対向するように配置され、
さらに隔壁の一部となるダイヤフラム150が弾性体1
44を介して内筒金具22へ連結されると共に、弾性体
144によっても隔壁の他の一部が形成されている。
【0057】弾性体144の薄肉部144Aにより被覆
された中間筒134の一対の連結板138は、図8に示
されるように一対のフランジ部136の間に周方向に沿
って延在する溝部164,166をそれぞれ形成してい
る。これらの溝部164,166は、外周側の開口が外
筒金具22の内周面により塞がれており、溝部164,
166の一端はそれぞれ差動副液室146,148へ連
結されている。
【0058】またダイヤフラム150の空気室形成部1
52及び側壁部154は、図8及び図12に示されるよ
うに蛇腹状に湾曲した状態とされて外筒金具12内へ収
納されている。これにより、ダイヤフラム150は、差
動副液室146,148からの液圧を受けた時に張力増
加により変形抵抗が増加することが抑制される。
【0059】一方、中間ブロック132の外周面には、
図15に示されるように3本の溝部168,170,1
72が形成されており、これらの溝部168,170,
172は外周側が外筒金具12の内周面により塞がれて
いる。これらのうち軸方向における幅が互いに異なる2
本の溝部168,170の一端は、それぞれ中間ブロッ
ク132の延出部132Cの先端面に開口し、中間筒1
34の溝部164へ接続されている。また溝部172の
一端は中間ブロック132の延出部132Bの先端面に
開口し、中間筒134の溝部166へ接続されている。
【0060】ここで、溝部168は、図8に示されるよ
うに他端が中間ブロック132の平面部132Aから中
間ブロック132の外周面底部へ貫通した貫通穴174
へ接続され、この貫通穴174との接続端を起点として
周方向に沿って延出部132B側へ伸び、延出部132
Bの手前でU字状に折り返して延出部132Cの先端面
に開口している。中間ブロック132の溝部168及び
貫通穴174並びに中間筒134の溝部164はシェイ
ク振動吸収用のシェイクオリフィス176を構成してお
り、このシェイクオリフィス176により主液室26と
第1差動副液室146とは常に連通されている。
【0061】図8に示されるように中間ブロック132
の内部には、円穴70の内周面から半径方向に沿って一
対の通路88,90が互いに反対方向に延出するように
形成されている。一方の通路88は円穴70の内周面か
ら中間ブロック132の延出部14C側に向かって延出
し、中間ブロック132の外周面に形成された溝部17
0へ連結されている。従って、通路88は、中間ブロッ
ク132の溝部170及び中間筒134の溝部164を
介して第1差動副液室146へ連通しており、通路88
と溝部164,170はアイドル振動吸収用の制限通路
であるアイドルオリフィス178を構成している。
【0062】また他方の通路90は円穴70の内周面か
ら延出部132B側に向かって延出し、中間ブロック1
32の外周面に設けられた溝部172へ連結されてい
る。従って、通路90は、中間ブロック132の溝部1
72及び中間筒134の溝部166を介して第2差動副
液室148へ連通しており、通路90と溝部166,1
72はこもり音吸収用の制限通路であるこもり用オリフ
ィス180を構成している。そして、主液室26及び一
対の差動副液室146,148にはそれぞれエチレング
リコール等の液体が充填封入されている。
【0063】次に、本実施形態に係る防振装置130の
作用を説明する。
【0064】内筒金具22に連結されたエンジンが作動
すると、エンジンからの振動が内筒金具22を介して弾
性体144に伝達される。このとき、弾性体144は吸
振主体として作用し、弾性体144の内部摩擦により振
動エネルギーが吸収される。
【0065】さらに本実施形態の防振装置130は、ア
イドルオリフィス178及びこもり用オリフィス180
の何れか一方のみを選択的に開放するロータリバルブ7
8を備え、オリフィス176,178,180により主
液室26に繋がれた一対の差動副液室146,148
が、内筒金具22の軸心Sに対する径方向に沿って弾性
体144を挟んで主液室26と対向するように配置さ
れ、かつ差動副液室146の隔壁の一部となるダイヤフ
ラム150が弾性体144を介して内筒金具22へ連結
されると共に、弾性体144によって差動副液室14
6,148の隔壁の他の一部が形成されていることによ
り、以下のように作用を奏する。
【0066】ロータリバルブ78が図8に示される第2
の位置に停止している場合には、シェイクオリフィス1
76主液室26と第1差動副液室146が連通されると
共に、こもり用オリフィス180により主液室26と第
2差動副液室148が連通されている。この結果、エン
ジンからの振動により内筒金具22が外筒金具12に対
して相対変位する際に、弾性体144が弾性変形して主
液室26の内容積が拡大又は収縮すると同時に、内筒金
具22に連結されたダイヤフラム150の変位及び第1
差動副液室146の内壁の一部を形成した弾性体144
の変形により第1差動副液室146の内容積が主液室2
6とは逆方向に変化する。このように第1差動副液室1
46の内容積を内筒金具22の変位に連動して変化させ
ることにより、主液室26と第1差動副液室146との
内圧(液圧)の差を大きくできるので、主液室26と第
1差動副液室146との間にシェイクオリフィス176
を通して大きな液柱共振を発生できる。従って、シェイ
クオリフィス176における液体の粘性抵抗及び圧力変
化によってシェイク振動の振動エネルギーを特に効果的
に吸収できるので、シェイク振動に対する防振効果を向
上できる。
【0067】さらに、シェイク振動と同時に発生するこ
とがある高周波で小振幅の振動である低速こもり音(8
0Hz程度)に対しても、第2差動副液室148の内容
積が主液室26とは逆方向に変化し、主液室26と第2
差動副液室148との内圧(液圧)の差を大きくできる
ので、主液室26と第2差動副液室148との間にこも
り用オリフィス180を通して大きな液柱共振を発生で
きる。従って、こもり用オリフィス180における液体
の粘性抵抗及び圧力変化によってこもり音の振動エネル
ギーを特に効果的に吸収できるので、こもり音振動に対
する防振(防音)効果を向上できる。
【0068】またロータリバルブ78が図8に示される
第1の位置に停止している場合には、主液室26が、常
時開放されているシェイクオリフィス176及びアイド
ルオリフィス178により第1差動副液室146と連通
される。この結果、エンジンからの振動により内筒金具
22が外筒金具12に対して相対変位する際に、第1差
動副液室146の内容積を内筒金具22の変位に連動し
て変化させることにより、主液室26と第1差動副液室
146との内圧(液圧)の差を大きくできるので、主液
室26と差動副液室28との間にシェイクオリフィス1
76及びアイドルオリフィス178をそれぞれ通して大
きな液柱共振を発生できる。これにより、シェイクオリ
フィス176及びアイドルオリフィス178における液
体の粘性抵抗及び圧力変化によってシェイク振動及びア
イドル振動の振動エネルギーを、特に効果的に吸収でき
る。
【0069】以上説明したように、本実施形態の防振装
置130によれば、装置寸法を拡大することなく、車両
における代表的な振動(ノイズ)であるシェイク振動、
アイドル振動及びこもり音に対する防振効果を向上でき
る。
【0070】
【発明の効果】以上のように説明したように本発明の防
振装置によれば、広範囲の周波数の振動を減衰でき、か
つ装置寸法を拡大することなく広範囲の周波数域におけ
る防振効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る防振装置のアイ
ドルオリフィスが開放された状態を示す軸方向断面図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る防振装置のこも
り用オリフィスが開放された状態を示す軸方向断面図で
ある。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る防振装置を軸方
向から見た正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る防振装置を示す
軸方向に沿った側面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る防振装置(中間
ブロックを除く)を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る防振装置の中間
筒を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る防振装置の中間
ブロックを示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る防振装置のアイ
ドルオリフィスが開放された状態を示す軸方向断面図で
ある。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る防振装置のこも
り用オリフィスが開放された状態を示す軸方向断面図で
ある。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る防振装置を軸
方向から見た正面図である。
【図11】図10に示されるXI-XI 線に沿った本発明の
第2の実施形態に係る防振装置の断面図である。
【図12】図10に示されるXII-XII 線に沿った本発明
の第2の実施形態に係る防振装置の断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る防振装置(中
間ブロックを除く)を示す分解斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る防振装置の中
間筒を示す斜視図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る防振装置の中
間ブロックを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 外筒金具(外筒) 22 内筒金具(内筒) 24 弾性体 26 主液室 28 差動副液室 30 ダイヤフラム(隔壁) 69 シェイクオリフィス(液体通路) 78 ロータリバルブ(バルブ) 92 アイドルオリフィス(液体通路) 100 副液室 104 こもり用オリフィス(液体通路) 130 防振装置 144 弾性体 146 第1差動副液室 148 第2差動副液室 150 ダイヤフラム(隔壁) 176 シェイクオリフィス(液体通路) 178 アイドルオリフィス(液体通路) 190 こもり用オリフィス(液体通路)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動発生部及び振動受部の一方に連結さ
    れる外筒と、 振動発生部及び振動受部の他方に連結され、かつ前記外
    筒の内周側に配置される内筒と、 前記外筒と前記内筒との間に配置されて外筒及び内筒へ
    連結された弾性体と、 内壁の少なくとも一部が前記弾性体により形成され、か
    つ液体が封入される主液室と、 前記主液室と液体通路によりそれぞれ繋がれた複数の副
    液室と、 少なくとも1本の前記液体通路を開閉するバルブと、を
    有する防振装置であって、 前記複数の副液室のうち少なくとも1個の副液室は、前
    記弾性体を挟んで前記主液室と対向すると共に副液室を
    構成する隔壁の少なくとも一部が前記内筒へ連結され、
    該内筒の前記外筒に対する相対変位に連動して内容積が
    拡縮される差動副液室であることを特徴とする防振装
    置。
  2. 【請求項2】 前記差動副液室は、アイドル振動吸収用
    の副液室であることを特徴とする請求項1記載の防振装
    置。
  3. 【請求項3】 前記複数の副液室のうち2個の副液室が
    前記差動副液室とされ、これら2個の差動副液室のうち
    一方はアイドル振動吸収用の副液室であり、他方はこも
    り音吸収用の副液室であることを特徴とする請求項1記
    載の防振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8777192B2 (en) 2010-09-28 2014-07-15 Hyundai Motor Company Three point supporting bush type hydromount

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