JP2000136239A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP2000136239A
JP2000136239A JP31370798A JP31370798A JP2000136239A JP 2000136239 A JP2000136239 A JP 2000136239A JP 31370798 A JP31370798 A JP 31370798A JP 31370798 A JP31370798 A JP 31370798A JP 2000136239 A JP2000136239 A JP 2000136239A
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JP31370798A
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Tomoaki Shimoda
田 智 明 下
Akio Ikeda
田 秋 夫 池
Takahito Kimura
村 隆 人 木
J Makurosukii Patrick
ジェイ.マクロスキー パトリック
Fan Hooto Ruuto
ファン ホート ルート
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Abstract

(57)【要約】 【課題】副反応を抑制し、分岐の少ない色相の改良され
たポリカーボネートを効率よく製造できる方法を提供す
る。 【解決手段】ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを
エステル交換反応によりポリカーボネートを製造するに
際して、ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル中に
不純物として含まれるアルカリ金属化合物およびアルカ
リ土類金属化合物の合計量が、ジヒドロキシ化合物1モ
ルに対して、1×10-7モル以下の量であるジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとを原料として使用し、触媒
としてアルカリ金属の亜リン酸塩および(c)100〜3
00℃の温度で分解または揮発する化合物を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、エステル交換反応による
ポリカーボネートの製造方法に関する。さらに詳しく
は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物
とからのエステル交換反応による色調の改善された高分
子量の芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、芳香族ポリカーボネートは
耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明
性などにも優れたエンジニアリングプラスチックとし
て、多くの分野において幅広く用いられている。
【0003】この芳香族ポリカーボネートの製造方法と
しては、ビスフェノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合
物とホスゲンとを界面重縮合法により反応させる、いわ
ゆるホスゲン法が工業化されている。しかしながら、現
在工業的に実施されているホスゲン法は、非常に有毒な
ホスゲンを用いなければならないこと、多量に副生する
塩化ナトリウムの処理問題、反応溶媒として通常用いら
れている塩化メチレンの衛生問題や大気環境問題など、
多くの問題点が指摘されている。
【0004】ホスゲン法以外の芳香族ポリカーボネート
の製造方法としては、水酸化ナトリウムなどのアルカリ
金属塩を触媒として用いて芳香族ジヒドロキシ化合物と
炭酸ジエステルとのエステル交換反応させる方法(溶融
法)が知られている。この方法は、安価に芳香族ポリカ
ーボネートが製造できるという利点を有しており、ホス
ゲンや塩化メチレンなどの毒性物質を用いないので、環
境衛生上も好ましく、近年特に注目されている。
【0005】このような溶融法によりポリカーボネート
を製造する場合、機械的特性の優れた高分子量のポリカ
ーボネートを得るためには、高粘度のポリカーボネート
の溶融体から、ビスフェノールやジフェニルカーボネー
トなどの未反応モノマーを留出させる必要がある。この
ため生成するポリカーボネートは、高真空下、通常、25
0〜 330℃の高温状態で長時間さらされることになる。
しかしながら、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属化
合物は、エステル交換反応に対する触媒として作用する
とともに、脱炭酸反応やコルベーシュミット類似反応等
の副反応をも引き起こすことがあり、これらの副反応に
よって下式で表されるポリカーボネートの分岐が生じた
り、架橋生成物が生成したりして、さらには生成するポ
リカーボネートの着色の原因となったりして、一般に溶
融法では色調と分子量のバランスの優れた品質のものが
得にくいという問題点があった(「ポリカーボネート樹
脂」日刊工業新聞社 昭和44年 9月30日刊行)。
【0006】
【化1】
【0007】これらの問題点を解決するために、例え
ば、特開平4-89824号公報には、(1)含窒素塩基性化合
物、(2)アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化
合物、及び(3)ホウ酸またはホウ酸エステルからなる触
媒が開示され、また特開平4-46928号公報には、(1)電子
供与性アミン化合物、及び(2)アルカリ金属化合物また
はアルカリ土類金属化合物からなる触媒が開示され、さ
らに特開平4-175368号公報にはアルカリ性化合物触媒の
存在下に溶融重合させた後、得られた反応生成物に酸性
化合物及びエポキシ化合物を添加する方法が開示されて
いる。
【0008】しかしながら、上記の方法では着色などの
問題点の改善が、必ずしも満足のいくものではなかっ
た。また、特開平7-53704号公報にも、副反応が抑制さ
れ、色相が改良されたポリカーボネートの製造方法とし
て、(1)(a)アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属
化合物と (d)不揮発性の酸とから生成した単一化合物、
または(2)(a)アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金
属化合物と(b)不揮発性の酸とからなる混合物であり、
かつ水溶液中で弱酸性を示す該単一化合物または該混合
物を触媒として用いるポリカーボネートの製造方法が開
示されているが、得られるポリカーボネートの色相重合
速度は、充分に満足しうるものとはいえなかった。
【0009】本発明者らは、このような諸問題を鑑み、
鋭意研究を重ねた結果、ジヒドロキシ化合物および炭酸
ジエステル中に含まれる(a)アルカリ金属化合物および
アルカリ土類金属化合物の量が、ジヒドロキシ化合物1
モルに対して、水酸化ナトリウムとして1×10-7〜5
×10-7モルの量に相当する触媒性能を示す量で制御さ
れたジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料とし
て使用し、触媒として(b)アルカリ金属含リン無機塩お
よび/またはアルカリ土類金属含リン無機塩を用いるこ
とにより、副反応が抑制され、かつ色相が改良されたポ
リカーボネートを効率よく製造できることを見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであり、副反応が抑制され、かつ色相が
改良されたポリカーボネートを効率よく製造できるポリ
カーボネートの製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【発明の概要】本発明に係るポリカーボネートの製造方
法は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステ
ル交換反応によりポリカーボネートを製造するに際し
て、ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル中に含ま
れる(a)アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化
合物の量が、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、水酸
化ナトリウムとして1×10-7〜5×10-7モルに相当
する触媒性能を示す量で制御されたジヒドロキシ化合物
と炭酸ジエステルとを原料として使用し、触媒として
(b)アルカリ金属含リン無機塩および/またはアルカリ
土類金属含リン無機塩を用いることを特徴としている。
【0012】前記(b)アルカリ金属含リン無機塩および
/またはアルカリ土類金属含リン無機塩は、ジヒドロキ
シ化合物1モルに対して、1×10-7〜2×10-6モル
の量で用いることが好ましい。
【0013】前記(b)アルカリ金属含リン無機塩および
/またはアルカリ土類金属含リン無機塩が、亜リン酸二
水素リチウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸二
水素カリウムから選ばれる少なくとも1つの化合物であ
ることが好ましい。
【0014】また、前記(b)アルカリ金属および/また
はアルカリ土類金属とリン含有無機酸とからなる塩とと
もに、(c)100〜300℃の温度で分解または揮発す
る化合物とを触媒として使用することが好ましい。
【0015】(c)100〜300℃の温度で分解または
揮発する化合物としては、アンモニウム化合物およびホ
スホニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物が好ましく、特に第4級アンモニウム化合物
および第4級ホスホニウム化合物からなる群から選ばれ
る少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリカーボネ
ートの製造方法について具体的に説明する。まず本発明
に係るポリカーボネートの製造方法で使用される重縮合
原料について説明する。
【0017】重縮合原料 本発明に係る製造方法では、重縮合原料として、ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルが使用される。本発明で
使用されるジヒドロキシ化合物としては、特に限定され
るものではなく、たとえば、下記式[I]で表されるビ
スフェノール類が使用される。
【0018】
【化2】
【0019】上記のような式[I]で示されるビスフェ
ノール類としては、具体的には、1,1-ビス(4-ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(以下ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)
オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、ビス
(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス
(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビ
ス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-
ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパンなど
のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1-ビス
(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス
(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス
(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類などが挙げら
れる。
【0020】また本発明では、上記式中、Xが−O−、
−S−、−SO−または−SO2−であるようなビスフ
ェノール類も挙げられ、たとえば4,4'-ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチル
フェニルエーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エ
ーテル類、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルフィ
ドなどのビス(ヒドロキシジアリール)スルフィド類、
4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'-ジヒ
ドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホキシドなどの
ビス(ヒドロキシジアリール)スルホキシド類、4,4'-
ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'-ジヒドロキシ-
3,3'-ジメチルジフェニルスルホンなどのビス(ヒドロ
キシジアリール)スルホン類などを挙げることもでき
る。
【0021】またビスフェノール類として下記式[II]
で示される化合物も挙げられる。
【0022】
【化3】
【0023】(式中、Rfはハロゲン原子または炭素数
1〜10の炭化水素基またはハロゲン置換炭化水素基で
あり、nは0〜4の整数である。nが2以上のとき、R
fは同一であっても異なっていてもよい。) この式[II]で示されるビスフェノール類としては、具
体的に、レゾルシンおよび3-メチルレゾルシン、3-エチ
ルレゾルシン、3-プロピルレゾルシン、3-ブチルレゾル
シン、3-t-ブチルレゾルシン、3-フェニルレゾルシン、
3-クミルレゾルシン、2,3,4,6-テトラフルオロレゾルシ
ン、2,3,4,6-テトラブロムレゾルシンなどの置換レゾル
シン、カテコール、ハイドロキノンおよび3-メチルハイ
ドロキノン、3-エチルハイドロキノン、3-プロピルハイ
ドロキノン、3-ブチルハイドロキノン、3-t-ブチルハイ
ドロキノン、3-フェニルハイドロキノン、3-クミルハイ
ドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルハイドロキノン、2,
3,5,6-テトラ-t-ブチルハイドロキノン、2,3,5,6-テト
ラフルオロハイドロキノン、2,3,5,6-テトラブロムハイ
ドロキノンなどの置換ハイドロキノンを挙げることがで
きる。
【0024】ビスフェノール類としては、さらに下記式
で示される2,2,2',2'-テトラヒドロ-3,3,3',3'-テトラ
メチル-1,1'-スピロビ-[IH-インデン]-6,6'-ジオールを
用いることもできる。
【0025】
【化4】
【0026】これらのうちでも、上記式[I]で示され
るビスフェノール類が好ましく、特にビスフェノールA
が好ましい。また、本発明では、これらの2種または3
種以上のジヒドロキシ化合物を組み合わせて共重合ポリ
カーボネートを製造することも可能である。
【0027】本発明で使用される炭酸ジエステルとして
は、ジフェニルカーボネート、ビス(2,4- ジクロルフェ
ニル) カーボネート、ビス(2,4,6-トリクロルフェニル)
カーボネート、ビス(2-シアノフェニル) カーボネー
ト、ビス(o- ニトロフェニル)カーボネート、ジトリル
カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカ
ーボネート、ビス( ジフェニル) カーボネート、ジエチ
ルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカー
ボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げら
れる。これらのうち、ジフェニルカーボネートが好まし
く用いられる。これらは2種以上併用することもでき
る。これらのうちでも特にジフェニルカーボネートが好
ましく用いられる。
【0028】本発明で用いられる炭酸ジエステル中に
は、ジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルが含有
されていてもよい。具体的に、炭酸ジエステルは、ジカ
ルボン酸あるいはジカルボン酸エステルを好ましくは5
0モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量で
含有していてもよい。
【0029】このようなジカルボン酸あるいはジカルボ
ン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、
セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、セバシン酸ジ
フェニル、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフ
ェニル、デカン二酸ジフェニル、ドデカン二酸ジフェニ
ルなどを挙げることができる。炭酸ジエステルは、これ
らのジカルボン酸あるいはジカルボン酸エステルを2種
以上含有していてもよい。
【0030】このようなジカルボン酸あるいはジカルボ
ン酸エステルを含有する炭酸ジエステルと、前記芳香族
ジヒドロキシ化合物とを重縮合させると、ポリエステル
ポリカーボネートが得られる。
【0031】本発明では、ポリカーボネートを製造する
に際して、上記のような炭酸ジエステルは、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物総量1モルに対して、0.95〜1.30
モル好ましくは1.01〜1.20モルの量で用いられる
ことが望ましい。
【0032】また本発明に係る製造方法では、上記のよ
うな芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルととも
に、1分子中に3個以上の官能基を有する多官能化合物
とを用いることによって、共重合ポリカーボネートを製
造することもできる。
【0033】このような多官能化合物としては、フェノ
ール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物が好
ましく、特にフェノール性水酸基を3個有する化合物が
好ましく用いられる。具体的には、たとえば、1,1,1-ト
リス(4-ヒドロキシフェニル) エタン、2,2',2"-トリス
(4-ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、α-
メチル-α,α',α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4
-ジエチルベンゼン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシ
フェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログ
リシン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニ
ル)-ヘプタン-2、1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル)
ベンゼン、2,2-ビス-[4,4-(4,4'-ジヒドロキシフェニ
ル)-シクロヘキシル]-プロパン、トリメリット酸、1,3,
5-ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸などが挙げ
られる。
【0034】これらのうち、1,1,1-トリス(4-ヒドロキ
シフェニル)エタン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシ
フェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなどが好ま
しく用いられる。
【0035】これらの多官能化合物を使用する場合、多
官能化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物総量1モルに
対して、通常は0.03モル以下、好ましくは0.001
〜0.02モル、さらに好ましくは0.001〜0.01
モルの量で用いられることが望ましい。
【0036】本発明では、以上のようなジヒドロキシ化
合物および炭酸ジエステル中に含まれる(a)アルカリ金
属化合物およびアルカリ土類金属化合物の量が、ジヒド
ロキシ化合物1モルに対して、水酸化ナトリウムとして
1×10-7〜5×10-7モル、好ましくは2×10-7
4×10-7モルに相当する触媒性能を示す量(以後、触
媒有効量という)で制御されたものを原料として使用す
る。
【0037】ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル
中に含まれる(a)アルカリ金属化合物およびアルカリ土
類金属化合物の量が、ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、水酸化ナトリウムとして1×10-7モルよりも少な
いと、重合の活性が低下することがあり、また、ジヒド
ロキシ化合物1モルに対して、水酸化ナトリウムとして
5×10 -7モルよりも多いと、色相の悪化や分岐が増加
することがある。
【0038】ここで、原料中のアルカリ金属および/ま
たはアルカリ土類金属化合物の実質的な触媒量は、通
常、滴定することによって、直接定量することもできる
が、上記のように極微量の水酸化ナトリウムに相当する
触媒有効量を滴定により測定することは極めて困難であ
る。このため、原料中に含まれるアルカリ金属および/
またはアルカリ土類金属化合物がエステル交換反応触媒
として有効に作用する量(触媒有効量)として求めるこ
とが正確でかつ最適であると推定される。
【0039】具体的に、触媒有効量は、以下のようにし
て求めることができる。予め、ビスフェノール類と炭酸
ジエステルとをエステル交換反応させたときの触媒量
(触媒として有効に作用する量)と、エステル交換反応
度との関係を示す検量線を作成する。この際、純粋なビ
スフェノール類1モルに対するビスフェノール類の水酸
化ナトリウムの量を触媒量とする。なお純粋なビスフェ
ノール類とは、実質的に酸性または塩基性不純物を含ま
ないビスフェノール類である。エステル交換反応度は、
たとえば反応により生成するフェノール類、オリゴマ
ー、未反応のビスフェノール類または炭酸ジエステルの
量などとして求めることができる。フェノール類、オリ
ゴマーまたは未反応のビスフェノール類またはジフェニ
ルカーボネートの量は、近赤外計、屈折率計、高速液体
クロマトグラフィーなどの分析装置で測定することがで
きる。
【0040】上記で製造されるアルカリ金属および/ま
たはアルカリ土類金属化合物を含むビスフェノール類
と、炭酸ジエステルとを、検量線を作成する際のエステ
ル交換反応(温度、圧力)と同一条件下でエステル交換
反応させたときのエステル交換反応度を測定することに
より、上記検量線から、原料中のアルカリ金属および/
またはアルカリ土類金属化合物がエステル交換反応触媒
として有効に作用した量、すなわち純粋なビスフェノー
ル類1モルに対して水酸化ナトリウムと同様な触媒活性
を有する量としてのビスフェノール類の触媒有効量を求
める。
【0041】このような触媒有効量に制御された原料
は、不純物の混入に対し、精度よく制御された製造装置
を用いて、蒸留、再結晶法などの方法で、ジヒドロキシ
化合物および炭酸ジエステルを精製したものに、(a)ア
ルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を添加
することによって得られる。
【0042】(a)アルカリ金属および/またはアルカリ
土類金属化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ
土類金属の有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化物、水
素化物あるいはアルコラートなどが挙げられ、具体的に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステア
リン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ
素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナ
トリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、ビス
フェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二リチ
ウム塩、フェノール類のナトリウム塩、カリウム塩、リ
チウム塩などのアルカリ金属化合物、水酸化カルシウ
ム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化スト
ロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、
炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ス
トロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マ
グネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸ストロンチウムなどが挙げられる。
【0043】本発明では、ポリカーボネートを製造する
に際して、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルとともに、末端封止剤を使用してもよい。
このような末端封止剤として、得られるポリカーボネー
トの分子末端に下記一般式[I]で表わされる末端基を
導入しうるアリロキシ化合物が用いられる。
【0044】ArO− …[I] 式中、Arは炭素原子数6〜50の芳香族炭化水素基を
表す。芳香族炭化水素基は特に限定されず、フェニル基
およびナフチル基、アンスラニル基などの縮合環であっ
てもよく、さらにこれら芳香環と飽和炭化水素および/
または複素原子とで環を形成していてもよい。また、こ
れらの芳香族環は、ハロゲン、炭素原子数1〜9のアル
キル基で置換されていてもよい。
【0045】このようなアリロキシ化合物として、具体
的には、フェノール、ジフェニルカーボネート、p-tert
-ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェニルフェニルカ
ーボネート、p-tert-ブチルフェニルカーボネート、p-
クミルフェノール、p-クミルフェニルフェニルカーボネ
ート、p-クミルフェニルカーボネート、 2,2,4-トリメ
チル-4-(4-ヒドロキシフェニル)クロマン、2,2,4,6-テ
トラメチル-4-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ク
ロマン、2,2,3-トリメチル-3-(4-ヒドロキシフェニル)
クロマン、2,2,3,6-テトラメチル-3-(3,5-ジメチル-4-
ヒドロキシフェニル)クロマン、2,4,4-トリメチル-2-
(2-ヒドロキシフェニル)クロマン、2,4,4,6-テトラメ
チル-2-(3,5ージメチル-2-ヒドロキシフェニル)クロマ
ンなどのクロマン化合物を挙げることができる。
【0046】上記のようなアリロキシ化合物は、単独で
使用することもできるし、組み合わせて使用することも
できる。このようなアリロキシ化合物は、通常、芳香族
ジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.01〜0.2モ
ル、好ましくは0.02〜0.15モル、さらに好ましく
は0.02〜0.1モルの量で用いられることが望まし
い。
【0047】末端封止剤としてアリロキシ化合物をこの
ような量で用いることにより、得られるポリカーボネー
トの分子末端は、1〜95%、好ましくは10〜95
%、さらに好ましくは20〜90%の割合で、上記一般
式[I]で表される末端基で封止される。
【0048】上記のように、一般式[I]で表される末
端基が、上記割合で導入されたポリカーボネートは、耐
熱性に優れるとともに、低分子量でも耐衝撃性などの機
械的特性に優れる。
【0049】本発明では、末端封止剤として、上記よう
なアリロキシ化合物とともに、必要に応じて下記一般式
[XII]で表される脂肪族炭化水素ユニットを導入可能
な脂肪族モノカルボキシ化合物を用いてもよい。
【0050】
【化5】
【0051】式中、Rは炭素原子数10〜30のアルキ
ルであり、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、
またハロゲンで置換されてもよい。このような脂肪族モ
ノカルボキシ化合物として、具体的には、ウンデカン
酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、パル
ミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン
酸、ヘネイコサノイック酸、トリコサノイック酸、メリ
シック酸などのアルキルモノカルボン酸、ステアリン酸
メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸フェニルな
どの上記アルキルモノカルボン酸のメチルエステル、エ
チルエステル、フェニルエステルなどのアルキルモノカ
ルボン酸エステルを挙げることができる。
【0052】これらは、単独で用いてもよく、これらを
組み合わせて用いてもよい。上記のような脂肪族モノカ
ルボキシ化合物は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1
モルに対して、0.01〜0.20モルの量で、好ましく
は0.02〜0.15モルの量で、さらに好ましくは0.
02〜0.10モルの量で用いることが望ましい。
【0053】なお、以上のような末端封止剤は、合計で
芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.2モル
以上の量で用いると、重合速度が低下することがある。重縮合工程 本発明は、上記のような触媒有効量のアルカリ金属化合
物またはアルカリ土類金属化合物とを含む重縮合原料
を、重縮合触媒の存在下で重縮合させる。
【0054】[重縮合触媒]本発明では重縮合触媒とし
て、(b)アルカリ金属含リン無機塩および/またはアル
カリ土類金属含リン無機塩が使用される。
【0055】なお、ここでアルカリ金属含リン無機塩お
よび/またはアルカリ土類金属含リン無機塩は、アルカ
リ金属および/またはアルカリ土類金属と含リン無機酸
との塩であり、アルカリ金属としては、リチウム、ナト
リウム、カリウム、セシウム、ルビジウムなどが挙げら
れ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシ
ウム、ストロンチウムなどが挙げられ、含リン無機酸と
しては、亜リン酸、リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、
トリリン酸、ポリリン酸などが挙げられる。
【0056】このような(b)アルカリ金属含リン無機塩
および/またはアルカリ土類金属含リン無機塩として
は、特にアルカリ金属の亜リン酸塩が好ましく、具体的
には、亜リン酸二水素リチウム(LiH2PO3)、亜リン酸二
水素ナトリウム(NaH2PO3)、亜リン酸二水素カリウム(KH
2PO3)、亜リン酸二水素ルビジウム(RbH2PO3)、亜リン酸
二水素セシウム(CsH2PO3)、亜リン酸水素二リチウム(Li
2HPO3)、亜リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO3)、亜リン
酸水素二カリウム(K2HPO3)、亜リン酸水素二ルビジウム
(Rb2HPO3)、亜リン酸水素二セシウム(Cs2HPO3)、亜リン
酸三リチウム(Li3PO3)、亜リン酸三ナトリウム(Na3P
O3)、亜リン酸三カリウム(K3PO3)、亜リン酸三ルビジウ
ム(Rb3PO3)、亜リン酸三セシウム(Cs3PO3)が挙げられ
る。このうち、亜リン酸二水素リチウム(LiH2PO3)、亜
リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO3)、亜リン酸二水素カ
リウム(KH2PO3)がより好ましい。
【0057】なお、これらの化合物は、単独で用いても
二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このよう
な(b)アルカリ金属含リン無機塩および/またはアルカ
リ土類金属含リン無機塩は、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウムなどのアルカリ金属および/またはアルカ
リ土類金属化合物と、含リン無機酸とを別の経路から、
原料撹拌槽または溶融重縮合槽に供給し、撹拌槽また反
応重縮合槽内で、アルカリ金属および/またはアルカリ
土類金属化合物と含リン無機酸とを反応させて生成させ
てもよい。
【0058】このような(b)アルカリ金属含リン無機塩
および/またはアルカリ土類金属含リン無機塩は、優れ
た触媒活性を有するが、ジヒドロキシ化合物1モルに対
して、1×10-7〜2×10-6モル、好ましくは5×1
-7〜1.5×10-6モルの量で用いられることが望ま
しい。
【0059】本発明のように、原料中の有効触媒量が特
定の範囲にある原料を使用し、かつ重縮合触媒として
(b)アルカリ金属含リン無機塩および/またはアルカリ
土類金属含リン無機塩を使用することによって、実用的
に満足のいく活性を保持し、色相が良好で、分岐の少な
いポリカーボネートを製造することができる。
【0060】また、本発明では、上記(b)アルカリ金属
含リン無機塩および/またはアルカリ土類金属含リン無
機塩とともに、(c)100〜300℃の温度で分解また
は揮発する化合物を触媒として併用してもよい。このよ
うな(c)100〜300℃の温度で分解または揮発する
化合物としては、塩基性化合物が挙げられ、具体的には
アンモニウム化合物およびホスホニウム化合物からなる
群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、特
に好ましくは第4級アンモニウム化合物および第4級ホ
スホニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物である。
【0061】このような特に好ましい第4級アンモニウ
ム化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(Bu4NOH)、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ
シドなどが挙げられる。また特に好ましい第4級ホスホ
ニウム化合物としては、テトラメチルホスホニウムハイ
ドロキシド(Me4POH)、テトラエチルホスホニウムヒド
ロキシド(Et4POH)、テトラブチルホスホニウムヒドロ
キシド(Bu4POH)などが挙げられる。これらの化合物
は、単独でも2種以上組み合わせて使用することもでき
る。
【0062】このような100〜300℃の温度で分解
または揮発する化合物は、ジヒドロキシ化合物1モルに
対して、1×10-7〜1×10-1モル、好ましくは1×
10 -5〜1×10-2モルの量で用いることが望ましい。
なお、触媒として、アルカリ金属の亜リン酸塩と100
〜300℃の温度で分解または揮発する化合物とを併用
することによって、末端OH基数が少なくなり、成形時
の色相悪化や静電荷の発生が抑制される。
【0063】[重縮合工程]ジヒドロキシ類と炭酸ジエ
ステルとの重縮合は、従来知られている重縮合反応条件
と同様な条件下で行なうことができる。
【0064】具体的には、第一段目の反応を80〜25
0℃、好ましくは100〜230℃、さらに好ましくは
120〜190℃の温度で、0〜5時間、好ましくは0
〜4時間、さらに好ましくは0〜3時間、常圧下、ビス
フェノール類と炭酸ジエステルとを反応させる。次いで
反応系を減圧にしながら反応温度を高めて、ビスフェノ
ール類と炭酸ジエステルとの反応を行ない、最終的には
5mmHg以下、好ましくは1mmHg以下の減圧下で、2
40〜320℃でビスフェノール類と炭酸ジエステルと
の重縮合反応を行なう。
【0065】上記のような重縮合反応は、連続式で行な
ってもよく、バッチ式で行なってもよい。また上記の反
応を行なうに際して用いられる反応装置は、槽型であっ
ても管型であっても塔型であってもよい。
【0066】こうして得られたポリカーボネートの20
℃塩化メチレン中で測定した極限粘度は、通常0.10
〜1.0dl/g好ましくは0.30〜0.65dl/gであ
る。上記の製造方法によれば、色相に優れたポリカーボ
ネート(以下ポリカーボネート[A])を高い重合活性
で得ることができる。
【0067】本発明に係るポリカーボネートの製造方法
では、重縮合触媒として、アルカリ金属および/または
アルカリ土類金属の亜リン酸塩を使用しているため、従
来のアルカリ金属化合物を用いる際に生じていた下記の
ような副反応が抑制され、一般式(i)および(ii)で示さ
れる分岐構造の生成が少なく、色相が改良されたポリカ
ーボネートを効率良く製造することができる。
【0068】
【化6】
【0069】本発明に係る方法で製造されたポリカーボ
ネートでは、一般式(i)で表される分岐構造は1500
ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下の量
であることが望ましく、(ii)で表される分岐構造は20
0ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下の量
であることが望ましい。
【0070】なお、このような分岐構造の定量は、得ら
れたポリカーボネートに、水酸化ナトリウムなどのアル
カリを添加して加水分解して、下記一般式(i')および(i
i')で示される分岐化合物を生成させ、該化合物の量を
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定
することによって行うことができる。
【0071】
【化7】
【0072】本発明では、上記のようにして得られる反
応生成物である[A]ポリカーボネートを冷却すること
なく重縮合反応後ただちに、下記のような[B]pKa
値が3以下であるイオウ含有酸性化合物および/または
該酸性化合物から形成される誘導体(以下[B]酸性化
合物ということもある)を添加してもよい。
【0073】[B]イオウ含有酸性化合物および該酸性
化合物から形成される誘導体としては、亜硫酸、硫酸、
スルフィン酸系化合物、スルホン酸系化合物およびこれ
らの誘導体を挙げられ、具体的に、ベンゼンスルホン酸
エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p-トルエンスルホ
ン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、p-トルエン
スルホン酸ブチルなどである。
【0074】このような[B]酸性化合物は、上記
[A]ポリカーボネートの反応に用いられたアルカリ金
属含リン無機塩およびジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとに含まれるアルカリまたはアルカリ土類金属化合
物の合計量に対して、0.1〜50モル倍、好ましくは
0.1〜15モル倍、0.1〜7モル倍の量で含まれて
いることが望ましい。このような量で酸性化合物[B]
を反応生成物(ポリカーボネート)[A]に添加するこ
とにより、ポリカーボネート中に残存するアルカリ金属
の亜リン酸塩が中和されたり、弱められたりして、最終
的に滞留安定性および耐水性がさらに向上されたポリカ
ーボネートを得ることができる。
【0075】また上記の[B]酸性化合物とともに
[C]水を添加してもよく、[C]水の添加量はポリカ
ーボネート[A]に対して5〜1000ppm 、好ましく
は10〜500ppm 、さらに好ましくは20〜300pp
m の量であればよい。なお、[B]酸性化合物とともに
[C]水を添加すると、さらに[A]ポリカーボネート
中の重縮合触媒の中和効率が高められ、溶融時の滞留安
定性に優れ、色相、透明性、耐水性および耐候性に優れ
たポリカーボネートが得ることができる。
【0076】[A]ポリカーボネートの成形は、一軸押
出機、二軸押出機、スタティックミキサ−などの通常の
混練機により行われ、これらの混練機はベント付きでも
ベントなしでも有効に使用される。
【0077】また、重縮合反応により得られる[A]ポ
リカーボネートが反応器内または押出機内で溶融状態に
ある間に、[B]酸性化合物と[C]水とを添加しても
よく、さらにまた[B]酸性化合物と[C]水とは、別
々に添加してもよいし、あるいは同時に添加してもよ
く、添加順序は限定されないが、同時に添加するのが望
ましい。
【0078】さらに本発明の目的を損なわない範囲で、
ポリカーボネート[A]には、[D]添加剤が添加され
ていてもよい。[D]添加剤としては、具体的に、使用
目的に応じて一般的にポリカーボネートに添加される添
加剤を広く挙げることができ、耐熱安定剤、エポキシ化
合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、ス
リップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然
油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤な
どを挙げられる。
【0079】このようにして製造されたポリカーボネー
トは、必要に応じてペレタイズされ、各用途に用いられ
る。本発明に係る製造方法で得られたポリカーボネート
は、色相に優れ、光学用材料として好適である。
【0080】
【発明の効果】本発明に係るポリカーボネートの製造方
法によれば、副反応を抑制し、分岐の少ない色相の改良
されたポリカーボネートを効率よく製造することができ
る。
【0081】このような本発明の方法により製造された
ポリカーボネートは、一般の成形材料はもとより、シー
トなどの建築材料、自動車用ヘッドランプレンズ、眼鏡
等の光学用レンズ類、光学用記録材料等に好適に用いら
れ、特に光ディスク用成形材料として好適である。
【0082】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0083】本発明においける実施例で示される物性
は、以下のようにして測定される。 [ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル中に含まれ
るNaOHに相当する塩基の定量]100mlスケール
の反応器に、製造されたビスフェノールAとジフェニル
カーボネートを1:1のモル比で合計200ml/hr
の量で連続的に導入し、160℃で滞留時間30分でエ
ステル交換反応させ、反応器からでてくる液を近赤外分
析計で測定して溶液中のフェノール濃度(正確にはエス
テル交換反応度)を検出し、下記に示される、あらかじ
め作成された検量線からNaOHに相当する塩基量を定
量した。
【0084】NaOH相当量(モル/モル−ビスフェノ
ールA)=6.66×107×フェノールの濃度(重量
%) [ポリカーボネートの極限粘度(IV)]塩化メチレン
中(0.5dl/g)20℃でウベローデ粘度計を用い
て測定した。 [ポリカーボネートの色相(黄色度:YI)]3mm厚
のポリカーボネート射出成形板をシリンダー温度290
℃、射出圧力1000Kg/cm、1サイクル45秒、金型
温度100℃で成形し、X、Y、Z値を日本電色工業
(株) 製の Colorand Color Defference Meter ND-1001
DP を用いて透過法で測定し、黄色度〔YI〕を測定し
た。
【0085】 YI=100(1.277X−1.060Z)/Y [ポリカーボネートの末端OH基濃度]サンプル0.4
gを3mlのクロロホルムに溶解した後、13C−NMR
によって、末端OH基の全末端濃度に対する割合(%)
を計算した。 [ポリカーボネートの分岐の測定]下記式(1)および(2)
で示される分岐量の決定のため、ポリカーボネートをア
ルカリ加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により、下記2種類の化合物の定量を行っ
た。
【0086】
【化8】
【0087】
【実施例1】[ポリカーボネートの重合]ポリカーボネ
ートの重合装置は、原料のミキシング用の撹拌槽を一
基、前重合槽を二基、横型重合槽を二基、備え付けられ
た物を使用した。各々の反応条件は、下記の通りであ
る。
【0088】
【表1】
【0089】なお、ビスフェノールA製造装置において
製造されたビスフェノールA1モルに対して、NaOH
として表1に示す量に相当する塩基性を示すように0.
5%水酸化ナトリウムのフェノール溶液の添加量を調整
して、直接配管にて送液されてきた溶融状態のビスフェ
ノールA(供給速度36.0kg/hr)、蒸留後に直
接配管にて送液されてきた溶融状態のジフェニルカーボ
ネート(供給速度35.5kg/hr)は、表1に示す
量の100〜300℃で分解する触媒フェノール溶液
を、上記の温度に保った撹拌槽に連続して供給した。次
いで所定量のアルカリ金属の亜りん酸塩触媒のフェノー
ル溶液を、上記の温度に保った前重合槽Iに連続して供
給して、ビスフェノールA換算で36.0kg/hrの
供給速度で前重合槽I、前重合槽II、横型重合槽I、
横型重合槽IIに順次供給し、上記反応条件下で重合を
行い、ポリカーボネートを製造した。なお、原料ビスフ
ェノールAおよびジフェニルカーボネート中のアルカリ
金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の合計が、ジ
ヒドロキシ化合物1モルに対して、NaOHとして表1
に記載の量であることを確認した。
【0090】
【実施例2〜13、比較例1〜5】実施例1において、
触媒の種類および使用量を表1に示すようにした以外
は、実施例1と同様にしてポリカーボネートを製造し
た。
【0091】結果を表2に示す。
【0092】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木 村 隆 人 千葉県市原市千種海岸3番地 日本ジーイ ープラスチックス株式会社千葉事業所内 (72)発明者 パトリック ジェイ.マクロスキー アメリカ合衆国 ニューヨーク州 スケネ クタディ,リバーロード 1 ジェネラル エレクトリック カンパニー 中央研究 所内 (72)発明者 ルート ファン ホート オランダ国 ベルゲン オプ ツーム エ ーシー 4600 ジェネラル エレクトリッ ク プラスチック ベーファー内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 AB05 AC01 AD01 AE01 BB03A BB04A BB04B BB05A BB05B BB12A BB13A BB13B BD09A BD09B BD10 BF14A BF14B BG05X BG05Y BG08X BG08Y BH02 CA02 CB05A CB06A DB07 DB11 DB13 FB02 FC02 FC32 FC33 FC36 FC41 HA01 HC04A HC05A JA091 JA121 JA261 JA301 JB131 JB171 JC631 JF021 JF041 JF051 JF131 JF141 JF151 JF161 KB05 KD01 KD07 KE02 KE05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを
    エステル交換反応によりポリカーボネートを製造するに
    際して、 ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル中に含まれる
    (a)アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物
    の量が、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、水酸化ナ
    トリウムとして1×10-7〜5×10-7モルに相当する
    触媒性能を示す量で制御されたジヒドロキシ化合物と炭
    酸ジエステルとを原料として使用し、触媒として(b)ア
    ルカリ金属含リン無機塩および/またはアルカリ土類金
    属含リン無機塩を用いることを特徴とするポリカーボネ
    ートの製造方法。
  2. 【請求項2】(b)アルカリ金属含リン無機塩および/ま
    たはアルカリ土類金属含リン無機塩を、ジヒドロキシ化
    合物1モルに対して、1×10-7〜2×10-6モルの量
    で用いることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボ
    ネートの製造方法。
  3. 【請求項3】前記(b)アルカリ金属含リン無機塩および
    /またはアルカリ土類金属含リン無機塩が、 亜リン酸二水素リチウム、亜リン酸二水素ナトリウム、
    亜リン酸二水素カリウムから選ばれる少なくとも1つの
    化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載
    のポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】前記(b)アルカリ金属含リン無機塩および
    /またはアルカリ土類金属含リン無機塩とともに、(c)
    100〜300℃の温度で分解または揮発する化合物と
    を、触媒として使用することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】(c)100〜300℃の温度で分解または
    揮発する化合物が、アンモニウム化合物およびホスホニ
    ウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化
    合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のポリカーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】(c)100〜300℃の温度で分解または
    揮発する化合物が、第4級アンモニウム化合物および第
    4級ホスホニウム化合物からなる群から選ばれる少なく
    とも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
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