JP2000133458A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子

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JP2000133458A
JP2000133458A JP10299942A JP29994298A JP2000133458A JP 2000133458 A JP2000133458 A JP 2000133458A JP 10299942 A JP10299942 A JP 10299942A JP 29994298 A JP29994298 A JP 29994298A JP 2000133458 A JP2000133458 A JP 2000133458A
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JP10299942A
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Akira Takahashi
亮 高橋
Goro Asari
悟郎 浅利
Shinji Terasono
真二 寺園
Jun Irisawa
潤 入澤
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】定電流駆動時の電圧上昇を抑制し、長期にわた
り輝度低下を起こしにくく、発光特性に優れる有機エレ
クトロルミネッセンス素子を提供する。 【解決手段】発光層4と陰極6とに挟まれる電子輸送層
5に、ビス(8−キノリノラト)亜鉛に代表される亜鉛
またはマグネシウムの一般式(1)で表されるキレート
錯体を30mol%以上含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子や発光素
子等に利用される有機エレクトロルミネッセンス(E
L)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、10V程度の低い電圧
で発光し、視認性が高い。また、発光層に用いる有機化
合物を変化させることにより発光の色調や発光効率を変
化させることが容易であるため、薄型平面フルカラーデ
ィスプレイ素子、各種表示素子、平面光源などへの利用
が試みられている。
【0003】しかし、従来の有機EL素子は、発光効率
が低い、輝度半減寿命が短い、定電流駆動時に電圧上昇
が大きいという欠点を持っている。1987年に米国コ
ダック社のTangらによって発表された有機EL素子
は、陽極、正孔輸送層、電子輸送性発光層、陰極から構
成された有機2層型であった(Appl. Phys. Lett., 51,
913 (1987))。
【0004】その後、正孔輸送層の多層化が有効である
ことが示され、また、電子輸送層の発光層との分離の構
造も研究された。その電子輸送層には、2−(4−ビフ
ェニルイル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)
−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)などが使用
されたが、結晶化しやすく素子の輝度半減寿命について
は、十分でなかった(Appl. Phys. Lett., 56, 799 (199
0))。
【0005】また、陰極界面に、フッ化リチウムなど無
機物の層を1nm以下の厚みで設けることで発光効率が
向上することも報告されたが(Appl. Phys. Lett., 70,
152(1997))、発光効率、輝度半減寿命については、ま
だ十分ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の有機EL素子がかかえていた、輝度半減寿命が短く、
定電流駆動時の電圧上昇が大きいという欠点を解消し、
加えて従来技術よりも高輝度の有機EL素子を得ること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機発光物質
を含む発光層を陽極と陰極との間に挟持してなる有機エ
レクトロルミネッセンス素子において、発光層と陰極と
の間に、下記一般式(1)で表されるキレート錯体を3
0mol%以上含有する電子輸送層を設けたことを特徴
とする有機EL素子を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1〜R6は、それぞれ独立して水
素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アリールオキシ基、アシル基、アラルキル基また
はアラルキルオキシ基を表し、Mは亜鉛またはマグネシ
ウムを表し、mは1または2を表し、Lはアルコキシ基
またはアリールオキシ基を表し、pは0または1を表
す。)。
【0010】また、一般式(1)で表されるキレート錯
体を30mol%以上含有する電子輸送層の厚みの合計
が1〜15nmである上記有機EL素子を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】有機EL素子の発光原理は、陽極
から正孔が、陰極から電子が注入され、発光層中で再結
合して励起子が生成し、そのエネルギーが蛍光物質に移
動し発光するというものである。前述のように、Tan
gが報告した素子構造では、陽極、正孔輸送層、電子輸
送性発光層および陰極から構成されており、発光は電子
輸送性発光層で起こる。
【0012】しかし、この層では正孔と電子との再結合
によって生じるエネルギーは、発光に使われるだけでな
く、多くは非発光遷移として熱に変化する。輝度低下や
電圧上昇は、その熱によって電子輸送性発光層と陰極と
の界面が、剥離など熱的劣化を起こすことが原因である
ことがわかった。
【0013】これを抑制するためには、発光層と電子輸
送層とを機能分離し、陰極と発光層の間に耐熱性が高
く、電子輸送性の大きい材料を含有する電子輸送層を設
置することが有効であることがわかった。
【0014】従来、発光層と電子輸送層とを分離する研
究は行われていたが、既知の有機電子輸送層では、耐熱
性、電子伝導性、陰極からの電子注入障壁など、すべて
の特性において満足できる材料はなく、発光層と電子輸
送層とを機能分離しても、特性は必ずしも改善されてい
なかった。
【0015】また、前述のフッ化リチウムなどの無機物
の層を設ける場合も、電子伝導性が小さいため、膜厚を
0.5nm程度と薄くせざるをえず、発光が不均一にな
りやすく、それが輝度低下の要因ともなった。
【0016】ここに、本発明者は機能分離した電子輸送
層として、上記一般式(1)で表されるキレート錯体を
含有する層を少なくとも1層設けることが有効であるこ
とを見いだした。このキレート錯体は、耐熱性、電子伝
導性において優れた特性を有し、陰極に接する層に用い
た場合には、優れた電子注入特性も有する。
【0017】一般式(1)で表されるキレート錯体は、
発光層物質としては既知であるものを含むが、本発明で
はこのキレート錯体を含有する層は、発光層とは異なる
構成をとり、電子輸送層としてのみ作用し、発光はしな
いことが重要な点である。
【0018】また、一般式(1)で表されるキレート錯
体を含有する層が、耐熱性、電子伝導性において優れた
特性を発現するためには、含有濃度30mol%以上が
必要である。
【0019】さらに、一般式(1)で表されるキレート
錯体を含有する層は、膜厚を変化させることで、大きく
電流効率が変化することを見いだした。
【0020】この層は膜厚にかかわらず、輝度半減寿命
を向上させ、定電流駆動時の電圧上昇を抑制する効果を
有するが、膜厚を15nm以下にすることで電流効率
(輝度/電流密度)を飛躍的に向上させ、さらには 輝
度半減寿命の向上、定電流駆動時の電圧上昇抑制にも、
より一層の効果があることを見いだした。
【0021】通常、各層の膜厚を薄くすると、駆動電圧
は低減できるが、本発明で電流効率も飛躍的に向上する
理由は、一般式(1)で表されるキレート錯体の特性に
よるものである。この層が正孔をブロックする能力は、
膜厚が15nm以下でも十分大きいが、電子注入能力
は、膜厚が15nm以下で急激に向上するという特性を
有するためである。したがって、15nm以下の膜厚で
使用することで、発光層では正孔と電子との再結合確率
が飛躍的に向上する。なお、この膜厚は薄くなりすぎる
と、発光が不均一になりやすくなるので、1nm以上と
される。
【0022】電流効率が向上すれば、発光層における発
熱は減少するため、輝度半減寿命の向上、定電流駆動時
の電圧上昇抑制にも寄与する。
【0023】本発明の発光層と陰極とに挟まれる電子輸
送層は、少なくとも1層あればよく、そのうち、1層以
上の層が一般式(1)で表されるキレート錯体を30m
ol%以上含有する。発光層と陰極とに挟まれる層が複
数ある場合には、この層は、発光層または陰極と隣接し
ていてもよいし、隣接していなくてもよい。
【0024】発光層と陰極とに挟まれる電子輸送層とし
て使用される他の物質としては、電子輸送性が大きく、
陰極からの電子注入障壁が小さい物質が好ましく使用で
きる。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾオキサゾー
ル系、ベンゾイミダゾール系の蛍光増白剤、金属キレー
ト化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、
アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカ
リ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物な
どの有機物および無機物を挙げることができるが、これ
に限定されない。また、これらの2種以上を混合して用
いることもできる。
【0025】本発明における有機EL素子は、例えば、
透明基板上に陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層お
よび陽極が順次積層された構造を有している。ただし、
発光層が、正孔輸送層を兼ねたり、正孔輸送層や電子輸
送層が夫々複数の層に分かれていたりするなどしていて
もよい。
【0026】以下、本発明の有機EL素子の構造につい
て添付図面に従って説明する。
【0027】図1は、本発明の有機EL素子の代表的な
例の断面図である。図1において、1は基板、2は陽
極、3正孔輸送層、4は発光層、5電子輸送層、6は陰
極をそれぞれ表す。
【0028】基板1は、有機EL素子の支持体で、例え
ば石英板、ガラス板、金属板、プラスティックフィルム
などが使用できる。ガラス板やポリカーボネートフィル
ムなどの透明な基板とされることが多い。
【0029】陽極2の物質としては、金属、金属酸化
物、導電性高分子などの導電膜が使用される。例えば、
Au、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、3B族元素
ドープ酸化亜鉛、アンチモンまたは、フッ素ドープ酸化
錫、ポリアニリンなどの導電物質が、好ましく用いられ
る。陽極は、異なる物質で積層して構成してもよい。
【0030】後述する陰極が不透明な材質とするときに
は、この陽極の材料は透明な材料とされ基板も透明な基
板とされる。なお、この透明とは、高い透過率で無色透
明とすることが一般的であるが、光が透過すればよいと
いう意味であり、透過率が50%以下であったり、特定
の色に着色されていたりする場合も含む。
【0031】陽極2の膜厚は、通常2〜1000nm程
度である。用途により透明性が必要とされる場合は、可
視光の透過率が50%以上であることが望ましい。ま
た、陽極2の形成方法としては、スパッタリング法、真
空蒸着法などにより行われることが多いが、湿式コーテ
ィング法や前駆体を成膜した後に反応させ目的の膜を得
る方法も採りうる。さらに陽極2を成膜後、後処理とし
て加熱やUV照射、試薬を使用し、表面の結晶粒径や仕
事関数を変化させることも好ましい。
【0032】正孔輸送層3としては、正孔移動度が高
く、陽極2からの正孔注入障壁の小さい物質が使用でき
る。このような物質として有機物も無機物も使用できる
が、例えば、有機物としては、特開昭59−19439
3に示されるN,N’−ジフェニル−N,N’−(3−
メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−
ジアミン(TPD)などの芳香族アミン系化合物、特開
平2−311591に示されるヒドラゾン化合物、金属
フタロシアニン類、ポルフィリン類、スチリルアミン化
合物、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl. Ph
ys. Lett., 59, 2760 (1991))などが好ましく用いられ
る。
【0033】また、無機物としてP型−Si、P型−S
iC、P型金属酸化物、P型硫化亜鉛、P型セレン化亜
鉛などが用いられる。これらの化合物は、単独で用いて
も、複数種を混合して用いてもよく、ポリカーボネート
やポリエーテルスルホンなど正孔輸送性のない化合物と
混合して層を形成させることもできる。また、この層
は、必要に応じて多層構造にすることもできる。形成方
法としては、真空蒸着法や湿式コーティング法、スパッ
タリング法が通常用いられる。膜厚は、通常2〜100
0nm程度である。
【0034】正孔輸送層を複数の層に分ける場合には、
陽極から遠い側の正孔輸送層には、正孔移動度が高く、
陽極に近い側の隣接した正孔輸送層からの正孔注入障壁
の小さい物質が使用できる。このような物質としては、
前述の正孔輸送層で用いたと同様の材料が使用でき、陽
極に近い側の隣接した正孔輸送層からの正孔注入障壁の
小さいという条件を満足する材料から選択されればよ
い。このように複数の正孔輸送層を設けることにより、
正孔注入に必要な駆動電圧をより低減させうる。
【0035】発光層4として使用できる物質としては、
キャリアの移動度が高く、蛍光量子収率の大きい物質が
挙げられる。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾオキ
サゾール系、ベンゾイミダゾール系の蛍光増白剤、金属
キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化
合物などが挙げられる。形成方法としては、真空蒸着法
や湿式コーティング法、スパッタリング法が通常用いら
れる。膜厚は、通常2〜1000nm程度である。
【0036】素子の発光効率を向上させると同時に多色
化を可能とする方法として発光層中に、他の蛍光量子収
率の高い物質をドープすることもできる。このようなド
ープ色素材料としては、スチリルベンゼン系色素、オキ
サゾール系色素、ペリレン系色素、クマリン系色素、ア
クリジン系色素などのレーザー用色素やアントラセン誘
導体、ナフタセン誘導体、ペンタセン誘導体、ルブレン
誘導体などの多芳香環炭化水素系物質、キナクリドン誘
導体、テトラフェニルブタジエン、4−ジシアノメチレ
ン−2−メチル−6−p−ジメチルアミノスチリル−4
H−ピラン(DCM)など幅広く使用できる。
【0037】そのうち、ペリレン系色素、アントラセン
誘導体、ナフタセン誘導体、ペンタセン誘導体、ルブレ
ン誘導体などの多芳香環炭化水素系物質、キナクリドン
誘導体は、耐熱性に優れ、ドープによって発光層へのキ
ャリア注入障壁が下がり、素子にかかる電界をさらに低
減できるため、素子の寿命向上に特に好ましい。
【0038】ドープの方法としては、真空蒸着法では、
多数の蒸着ボートからホスト化合物とドープ化合物とを
同時に昇華させ、共蒸着する方法やホスト化合物とドー
プ化合物とを所定の比率で混合して1つのボートから昇
華させる方法などが用いられる。また、湿式コーティン
グ法では、コーティング溶液中にホスト化合物とドープ
化合物とを所定の比率で溶解させて用いる方法が通常用
いられる。
【0039】ホスト化合物へのドープ濃度は、特に限定
されないが、蛍光色素においては一般に高濃度になりす
ぎると分子間相互作用により量子収率が低下することが
知られているため、各化合物ともホスト化合物に対して
0.1〜20mol%が好ましい。
【0040】電子輸送層5は、発光層と陰極とに挟まれ
る層で、電子の移動度が高く、発光層4との電子注入障
壁が小さい物質が好ましく使用できる。形成方法として
は、真空蒸着法や湿式コーティング法、スパッタリング
法が通常用いられる。膜厚は、通常0.5〜1000n
m程度である。
【0041】電子輸送層5には、一般式(1)で表され
るキレート錯体を30mol%以上含有させる。この電
子輸送層5には、前記キレート錯体を単独で使用しても
よく、その他の有機物や無機物と混合して使用してもよ
い。形成方法としては、真空蒸着法や湿式コーティング
法、スパッタリング法が通常用いられる。膜厚は、通常
0.5〜1000nm程度であるが、1〜15nmとす
ることが特に好ましい。
【0042】この電子輸送層を複数の層に分けてもよ
く、この場合には、少なくとも1つの電子輸送層には、
一般式(1)で表されるキレート錯体を30mol%以
上含有させる。
【0043】陰極5としては、低仕事関数の金属、合
金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質
とするものが好ましく用いられる。このような電極物質
の好ましい具体例としては、ナトリウム、リチウム、カ
ルシウム、マグネシウム、アルミニウム、イットリウ
ム、インジウムやそれらを含む合金、例えばマグネシウ
ム銀合金、アルミニウムリチウム合金、マグネシウムイ
ンジウム合金などが挙げられる。
【0044】形成方法としては、真空蒸着法やスパッタ
リング法が通常用いられる。合金の場合は、真空蒸着法
で多数のボートから別々に各金属を昇華させ、成膜と同
時に合金を形成させる方法や、合金を単一ボートから昇
華させる方法などが採用できる。膜厚は、通常2〜10
00nm程度である。
【0045】本発明の有機EL素子は、必要に応じて、
保護膜を形成し、さらに素子全体を封止できる。保護膜
の材料としてはアルミニウム、ニッケル、金、銀などの
金属や合金、金属酸化物、金属フッ化物、金属硫化物、
金属窒化物、高分子材料、ガラスなどが挙げられる。封
止方法としては、素子を不活性液体やオイル中に入れる
方法、光硬化樹脂、熱硬化樹脂を使用する方法などが挙
げられる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の態様を実施例および比較例に
より説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0047】例1(実施例) 膜厚200nmのITO(錫ドープ酸化インジウム)透
明導電膜(シート抵抗7Ω/□)付きガラス基板を、ア
ルカリ洗剤、超純水、2−プロパノールで超音波洗浄し
た。この陽極ITO上に第1正孔輸送層として銅フタロ
シアニンを真空蒸着法により0.2nm/秒の速度で膜
厚20nmに蒸着した。次に第2正孔輸送層としてTP
Dを真空蒸着法により0.3nm/秒の速度で膜厚40
nmに蒸着した。
【0048】次に、発光層のホスト化合物としてトリス
(8−キノリノラト)アルミニウム(以下Alqとす
る)、ドープ化合物として蛍光色素キナクリドンを真空
蒸着法によりそれぞれ異なるボートから同時に昇華させ
た。成膜速度は、合計で0.3nm/秒で、膜厚50n
mに蒸着した。ドープ濃度は、Alqに対してキナクリ
ドンが0.5mol%になるように調節した。
【0049】次に電子輸送層としてビス(8−キノリノ
ラト)亜鉛(以下Znqとする)を真空蒸着法により、
0.3nm/秒の速度で膜厚20nmに蒸着した。最後
に陰極としてMgAg合金(マグネシウム10重量部に
対して銀1重量部を含む)を真空蒸着法により1nm/
秒の速度で200nmの膜厚に成膜した。なお、真空蒸
着時の真空度は、8.0×10-6torrであった。
【0050】例2(比較例) 例1で電子輸送層を設けないこと以外は、 例1と同様
にして、有機EL素子を作製した。
【0051】例3(比較例) 例1で電子輸送層として、 Znqの代わりにPBDを
真空蒸着法により、0.3nm/秒の速度で膜厚20n
mに蒸着した以外は、 例1と同様にして、有機EL素
子を作製した。
【0052】例4(実施例) 例1の電子輸送層の膜厚を10nmにしたこと以外は、
例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0053】例5(実施例) 例1の電子輸送層の膜厚を30nmにしたこと以外は、
例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0054】例6(実施例) 例1の電子輸送層として、 Znqの代わりにビス(4
−メチル−(8−キノリノラト))亜鉛(Znmq)を
10nm蒸着した以外は、例1と同様にして、有機EL
素子を作製した。
【0055】例7(実施例) 例1の電子輸送層として、 Znqの代わりにビス(8
−キノリノラト)マグネシウム(Mgq)を10nm蒸
着した以外は、例1と同様にして、有機EL素子を作製
した。
【0056】例8(実施例) 例1の電子輸送層として、 Znqの代わりにビス(2
−メトキシ−(8−キノリノラト))亜鉛(Znmo
q)とテトラフェニルシクロペンタジエンとを成膜速度
が合計で0.3nm/秒の条件で10nm共蒸着し、成
分モル比が40:60になるように調節した以外は、例
1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0057】例9(比較例) 例8の電子輸送層として、 Znmoqとテトラフェニ
ルシクロペンタジエンとを成分モル比が20:80にな
るように調節した以外は、例8と同様にして、有機EL
素子を作製した。
【0058】例10(実施例) 例1の電子輸送層として、陽極側から第1電子輸送層と
してZnqを成膜速度0.3nm/秒で10nm蒸着
し、次に第2電子輸送層としてフッ化リチウムを蒸着速
度0.03nm/秒で0.5nm蒸着して用いたこと以
外は、例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0059】例11(比較例) 例1の電子輸送層として、Znqの代わりにフッ化リチ
ウム(LiF)のみを速度0.03nm/秒で0.5n
m蒸着して用いたこと以外は、例1と同様にして、有機
EL素子を作製した。
【0060】例12(実施例) 例1の発光層のドープ化合物として、キナクドリンの代
わりにルブレンを使用し、陰極としてAlを速度1nm
/秒で200nm真空蒸着したこと以外は、例1と同様
にして、有機EL素子を作製した。
【0061】例13(実施例) 例10の電子輸送層として 第1電子輸送層としてZn
qを成膜速度0.3nm/秒で10nm蒸着し、第2電
子輸送層としてZnmqを0.3nm/秒で5nm蒸着
し、第3電子輸送層として酸化マグネシウムを蒸着速度
0.03nm/秒で0.5nm蒸着して用いたこと以外
は、例10と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0062】例14(比較例) 例1で発光層のホスト化合物のAlqの代わりに、Zn
qを用いたこと、および、電子輸送層を設けないこと以
外は、 例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0063】例15(比較例) 例1で発光層のホスト化合物のAlqの代わりに、Zn
qを用いたこと、および、電子輸送層としてZnqの代
わりに、Alqを用いたこと以外は、 例1と同様にし
て、有機EL素子を作製した。
【0064】上記各例(実施例および比較例)で作製し
た有機EL素子の電流効率(電流密度10mA/cm2
時の値(cd/A))、輝度半減寿命(窒素中、10m
A/cm2の一定電流で駆動したときに輝度が半分に低
下するのに要した時間(時間))、電圧上昇量(前記の
輝度半減寿命測定で輝度が半減したときの初期からの電
圧上昇量(ボルト))に関する測定結果を表1に示す。
【0065】表1中の電子輸送層の欄には、一般式
(1)の化合物を用いた場合には、その化合物名の略号
のみを示し(一般式(1)の化合物以外の化合物名は示
さない)、全く用いていない場合にも、電子輸送層を設
けた場合には、その化合物名の略号と「*」を示した。
電子輸送層が2層以上の場合には、一般式(1)の化合
物を用いた電子輸送層のみ、用いた一般式(1)の化合
物名の略号を示した。
【0066】層数は、電子輸送層の積層した層の数を示
した。含有量は、一般式(1)の化合物を用いた電子輸
送層における一般式(1)の化合物の含有量をmol%
で示した。層厚(μm)は、一般式(1)の化合物を用
いた層がある場合には、一般式(1)の化合物を用いた
層の厚みを示し(用いていない電子輸送層が積層されて
いてもその厚みは示さない)、一般式(1)の化合物を
用いた層がない場合には、その電子輸送層の厚みを示し
た。
【0067】
【表1】
【0068】この結果から、実施例の有機EL素子は、
電流効率、輝度半減寿命および電圧上昇量の点で優れて
いることが分かる。電子輸送層の厚みを変えた例1、例
4および例5を比較してみると、電子輸送層の厚みが2
0μm(例1)と30μm(例5)とでは、電流効率、
輝度半減寿命および電圧上昇量の点でほとんど変化がな
かったのに対し、厚みが10μm(例4)では、いずれ
の点でも性能が大きく向上していた。
【0069】また、例2と例14、例15とから、一般
式(1)のキレート錯体は発光層に用いても改善効果は
少ないことが分かる。特に、電流効率はAlqよりも悪
くなるものであった。さらに、例4の電子輸送層を2層
にして、Znqの第1電子輸送層と、LiFの第2電子
輸送層とにした例10では、例4よりもさらに性能が向
上していた。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、発光層と陰極とに挟ま
れる電子輸送層に一般式(1)で表されるキレート錯体
を30mol%以上含有させることにより、発光層の界
面の熱的劣化を防止し、定電流駆動時の電圧上昇を抑制
し、長期にわたり輝度低下を起こしにくい有機EL素子
が作製できる。さらには、発光効率も向上する。
【0071】本発明は、本発明の効果を損しない範囲で
種々応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の代表的な例の断面図。
【符号の説明】
1:基板 2:陽極 3:正孔輸送層 4:発光層 5:電子輸送層 6:陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入澤 潤 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町松原1150番 地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB06 AB11 AB15 DA01 DB03 EB00 FA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機発光物質を含む発光層を陽極と陰極と
    の間に挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子
    において、発光層と陰極との間に、下記一般式(1)で
    表されるキレート錯体を30mol%以上含有する電子
    輸送層を設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子。 【化1】 (式中、R1〜R6は、それぞれ独立して水素原子、シア
    ノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
    ルオキシ基、アシル基、アラルキル基またはアラルキル
    オキシ基を表し、Mは亜鉛またはマグネシウムを表し、
    mは1または2を表し、Lはアルコキシ基またはアリー
    ルオキシ基を表し、pは0または1を表す。)
  2. 【請求項2】一般式(1)で表されるキレート錯体を3
    0mol%以上含有する電子輸送層の厚みの合計が1〜
    15nmである請求項1に記載の有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子。
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