JP2000128059A - 自転車用変速装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行中および停止中において変速を行うこと
ができる自転車用変速装置を提供すること。 【解決手段】 クランク４によって駆動回転される多段
フロントギア１０と、リヤハブ軸３１に取り付けられた
多段リヤギア２５と、多段フロントギア１０の駆動回転
方向後方に配設されたフロントディレーラ１５と、多段
リヤギア２５の駆動回転方向後方に配設されたリヤディ
レーラ３５と、を備え、クランク４の駆動回転方向の逆
方向回転により、多段フロントギア１０の選択したフロ
ントギアおよび多段リヤギア２５の選択したリヤギアに
チェン掛け換え可能に構成されてなることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、変速ケーブルの操
作によって変速される多段式の自転車用変速装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、自転車の走行性能を高めるため
に、多段式の変速装置を有する自転車がある。

【０００３】図６は、そのような変速装置付自転車の一
例を示す。この自転車５０は、フロント用変速装置とリ
ヤ用変速装置とを有して、フロント用変速装置は、車体
フレーム５１のシートチューブ５２下端に回転可能に設
けられ、クランク５３によって回転駆動される複数の異
径フロントギアからなる多段フロントギア５４を有し、
その多段フロントギア５４の駆動回転方向（図６の矢印
Ａ方向）前方に、チェン５６の掛け換えを行うフロント
ディレーラ５５を備えている。

【０００４】また、リヤ用変速装置として、リヤハブ軸
５７に取り付けられ、多段フロントギア５４にチェン５
６を介して回転駆動される、複数の異径リヤギアからな
る多段リヤギア５９を有し、その多段リヤギア５９の駆
動回転方向前方に、多段リヤギア５９へのチェン５６掛
け換えを行うリアディレーラ６０を備えている。

【０００５】そして、フロントディレーラ５５は、ハン
ドル６１に設けられたフロント変速操作装置６２によ
り、変速ケーブル６３を介して操作され、リヤディレー
ラ６０はリヤ変速操作装置６４により、変速ケーブル６
５を介して操作されるように構成されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の自転
車用変速装置は、例えば、多段フロントギア５４を低速
ギアに変速する場合、フロント変速操作装置６２の操作
により、フロントディレーラ５５が小径フロントギア側
へ移動してチェン５６を案内するとともに、多段フロン
トギヤ５４の駆動回転（矢印Ａ方向）に伴って、チェン
５６を大径フロントギアより掛け外し、さらなる回転に
より、チェン５６が小径フロントギアへ掛け換って変速
が行われていた。なお、多段リヤギア５９においても、
チェン５６掛け換えには、多段フロントギヤ５４の矢印
Ａ方向の駆動回転で行われる。

【０００７】そのため、走行する自転車が一時停止して
再発進するとき、スタート直後は、今までの走行時のギ
ア比で発進することになり、大きなクランク駆動力が必
要となる。また、発進後にギア比を切換えるため、再発
進後の走行が鈍重になり、特に、市街地における走行に
は煩わしさを伴うという問題があった。

【０００８】この発明は上記にかんがみてなされたもの
であり、その目的とするところは、走行中および停止中
においても変速を行うことができる自転車用変速装置を
提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するためになされたものであり、第１の発明の自転車
用変速装置は、クランクによって駆動回転される複数の
異径フロントギアからなる多段フロントギアと、リヤハ
ブ軸に取り付けられた複数の異径リヤギアからなる多段
リヤギアと、前記多段フロントギアと多段リヤギアに巻
き掛けたチェンに作用して変速するフロントギア変速用
のフロントディレーラと、前記多段フロントギアと多段
リヤギアに巻き掛けたチェンに作用して変速するリヤギ
ア変速用のリヤディレーラと、を有する自転車用変速装
置であって、前記フロントディレーラは、前記多段フロ
ントギアの駆動回転方向後方に配設され、前記リヤディ
レーラは、前記多段リヤギアの駆動回転方向後方に配設
され、前記クランクの駆動回転方向の逆方向回転によ
り、前記多段フロントギアの選択したフロントギアおよ
び前記多段リヤギアの選択したリヤギアにチェン掛け換
え可能に構成されてなる、ことを特徴とする自転車用変
速装置である。

【００１０】第２の発明の自転車用変速装置は、クラン
クによって駆動回転される複数の異径フロントギアから
なる多段フロントギアと、リヤハブ軸に取り付けられた
リヤギアと、前記多段フロントギアとリヤギアに巻き掛
けたチェンに作用して変速するフロントディレーラと、
を有する自転車用変速装置であって、前記フロントディ
レーラは、前記多段フロントギアの駆動回転方向後方に
配設され、前記クランクの駆動回転方向の逆方向回転に
より、前記多段フロントギアの選択したフロントギアに
チェン掛け換え可能に構成されてなる、ことを特徴とす
る自転車用変速装置である。

【００１１】第３の発明の自転車用変速装置は、クラン
クによって駆動回転されるフロントギアと、リヤハブ軸
に取り付けられた複数の異径リヤギアからなる多段リヤ
ギアと、前記フロントギアと多段リヤギアに巻き掛けた
チェンに作用して変速するリヤディレーラと、を有する
自転車用変速装置であって、前記リヤディレーラは、前
記多段リヤギアの駆動回転方向後方に配設され、前記ク
ランクの駆動回転方向の逆方向回転により、前記多段リ
ヤギアの選択したリヤギアにチェン掛け換え可能に構成
されてなる、ことを特徴とする自転車用変速装置であ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施態様を図
１〜５の図面に基づいて説明する。

【００１３】図において、符号１で示す自転車は、車体
フレーム２にクランク４、ハンドル５、前輪６、後輪７
が設けられ、クランク４と同軸に多段フロントギア１０
が取り付けられ、後輪７と同軸に多段リヤギア２５が取
り付けられている。

【００１４】多段フロントギア１０には、ハンドル５に
取り付けられたフロント変速操作装置２４に、変速ケー
ブル２３を介して接続されたフロントディレーラ１５が
添設されている。また、多段リヤギア２５には、ハンド
ル５に取り付けられたリヤ変速操作装置４４に、変速ケ
ーブル４３を介して接続されたリヤディレーラ３５が添
設されている。そして、多段フロントギア１０と多段リ
ヤギア２５との間には、チェン１４が巻き掛けられてい
る。

【００１５】多段フロントギア１０は、本例では、歯数
の異なる３枚のスプロケットからなり、大径のスプロケ
ットからフロントギア１１、フロントギア１２、フロン
トギア１３の順に配設され、クランク４により駆動回転
するように構成されている。

【００１６】フロントディレーラ１５は、多段フロント
ギア１０の軸方向に変位可能なガイドプーリ２０を備
え、４個の連結ピン（図符号省略）に枢支されて平行四
辺形に変形するリンクベース１６、揺動リンク１７，１
７、支持リンク１８を有して平行四辺形リンク機構を形
成している。

【００１７】そして、チェーンステー３前部に取り付け
られたリンクベース１６と支持リンク１８との間に、引
張ばねからなるリターンばね１９が介装され、支持リン
ク１８先端部にはチェンガイド２２が枢着されている。
チェンガイド２２は、図示しないねじりコイルばねで一
方向へ回動付勢されるとともに、一端にガイドプーリ２
０が枢着され、他端にテンションプーリ２１が枢着され
ている。

【００１８】このフロントディレーラ１５は、多段フロ
ントギア１０の駆動回転方向（図１，２の矢印Ａ方向）
後方において、ガイドプーリ２０がチェン１４に巻き掛
けられるとともに、テンションプーリ２１によって、チ
ェン１４にテンションを与える方向へ弾性的に付勢され
ている。そして、変速ケーブル２３の操作によるガイド
プーリ２０の変位により、チェン１４をフロントギア１
１，１２，１３に、選択的に掛け換えるように構成され
ている。

【００１９】多段リヤギア２５は、本例では、歯数の異
なる５枚のスプロケットからなり、大径のスプロケット
からリヤギア２６、リヤギア２７、リヤギア２８、リヤ
ギア２９、リヤギア３０の順に、リヤハブ軸３１に軸支
されている。なお、後輪７はフリーホイールに構成され
ている。

【００２０】リアディレーラ３５は、多段リヤギア２５
の軸方向に変位可能なガイドプーリ４０を備え、４個の
連結ピンに枢支されて平行四辺形に変形するリンクベー
ス３６、揺動リンク３７，３７、支持リンク３８を有し
て平行四辺形リンク機構を形成している。そして、チェ
ーンステー３後部に取り付けられたリンクベース３６と
支持リンク３８との間に、引張ばねからなるリターンば
ね３９が介装され、支持リンク３８先端部にはガイドプ
ーリ４０が枢着されている。

【００２１】このリヤディレーラ３５は、多段リヤギア
２５の駆動回転方向（図４の矢印Ａ方向）後方におい
て、チェン１４がガイドプーリ４０に巻き掛けられ、変
速ケーブル４３の操作によるガイドプーリ４０の変位に
より、チェン１４をリヤギア２６，２７，２８，２９，
３０に、選択的に掛け換えるように構成されている。

【００２２】次に、このように構成された自転車の作用
を説明する。

【００２３】多段フロントギア１０、および多段リヤギ
ア２５が随意の高速ギア比を選択して走行中、交通信号
等で一旦停止して再発進する場合は、自転車１の停止中
に、フロントディレーラ１５またはリヤディレーラ３５
を用いて、多段フロントギア１０または多段リヤギア２
５の低速ギア比への変速操作を行う。

【００２４】例えば、変速ケーブル２３を繰り出し操作
すると、フロントディレーラ１５のリターンばね１９の
ばね力により、支持リンク１８がリンクベース１６側に
揺動し、ガイドプーリ２０がチェン１４に横方向へ押圧
作用して、チェン１４を、フロントギア１１〜１３の大
径側に相対する位置から小径側に相対する位置へ変位さ
せる。

【００２５】これと併行して、クランク４を駆動回転方
向（矢印Ａ）の逆方向へ回転させると、チェン１４がフ
リー状態で矢印Ａの逆方向へ移動し、変位したガイドプ
ーリ２０に案内されて小径側のフロントギア１２（また
は１３）に掛け換わる。

【００２６】この多段フロントギア１０の低速側ギアの
選択により、小さなクランク駆動力で再発進し、踏力の
低減と、発進前変速により走行中変速の煩わしさを省く
ことができる。また、変速動作時に、クランク４は負荷
が殆んど無い状態でフリー回転し、そのため、フロント
ディレーラ１５を構成する部材は、耐磨耗性を備えるた
めの焼き入れ処理等を必要としない。

【００２７】一方、変速ケーブル４３を繰り出し操作す
ると、リヤディレーラ３５のリターンばね３９のばね力
により、支持リンク３８がリンクベース３６側に揺動
し、ガイドプーリ４０がチェン１４に横方向へ押圧作用
して、チェン１４をリヤギア２６〜３０の大径側に相対
する位置から小径側に相対する位置へ変位させる。

【００２８】これと併行して、クランク４を矢印Ａの逆
方向へ回転させると、チェン１４はフリー状態で矢印Ａ
の逆方向へ移動し、変位したガイドプーリ４０に案内さ
れて、選択されたリヤギア２６〜３０に掛け換わる。

【００２９】このとき、クランク４の負荷状態や、再発
進時の踏力低減、発進前変速等は、多段フロントギア１
０の変速操作と同様である。なお、走行中における低速
側への変速操作も上述と同様である。また、多段フロン
トギア１０と多段リヤギア２５の変速操作を併用しても
よい。

【００３０】自転車１が走行中に、低速側より高速側ギ
アへ変速する場合、フロントディレーラ１５、またはリ
ヤディレーラ３５により高速ギア比への変速操作を行
う。

【００３１】例えば、変速ケーブル２３を引張操作を行
うと、変速ケーブル２３の引っ張り力により、フロント
ディレーラ１５の支持リンク１８が、リターンばね１９
のばね力に抗して前位置より車体外方側へ揺動し、ガイ
ドプーリ２０がチェン１４に押圧作用して、チェン１４
を、フロントギア１１〜１３の小径側相対位置から大径
側相対位置へ変位させる。

【００３２】これと併行し、クランク４を矢印Ａの逆方
向へ回転させて、チェン１４を大径側のフロントギア１
１（または１２）に掛け換えて高速ギア比が得られる。

【００３３】また、変速ケーブル４３を引張操作する
と、変速ケーブル４３の引っ張り力により、リヤディレ
ーラ３５の支持リンク３８が、リターンばね３９のばね
力に抗して前位置より車体内方向側へ揺動し、ガイドプ
ーリ４０がチェン１４に押圧作用して、チェン１４を、
リヤギア２６〜３０の小径側相対位置から大径側相対位
置へ変位させる。

【００３４】これと併行し、クランク４を矢印Ａの逆方
向へ回転させて、チェン１４を小径側のリヤギア２６〜
３０に掛け換えて高速ギア比が得られる。この高速ギア
比への変速においても、クランク４の荷重は極小であ
り、また、多段フロントギア１０と多段リヤギア２５の
変速操作を併用してもよい。

【００３５】以上、本発明の実施態様について説明した
が、本発明の技術的思想の範囲内で、フロントディレー
ラ、リヤディレーラの形状を変更することができる。

【００３６】また、リヤ側を１枚のリヤギアとし、多段
フロントギアとフロントディレーラのみにより自転車用
変速装置としてもよい。

【００３７】また、フロント側を１枚のフロントギアと
し、多段リヤギアとリヤディレーラのみにより自転車用
変速装置としてもよい。

【００３８】さらに、本発明の多段フロントギアおよび
フロントディレーラからなる変速装置と、従来方式の多
段リヤギアの駆動回転方向前方にリヤディレーラが配設
された変速装置とを組み合わせてもよい。

【００３９】また、本発明の多段リヤギアおよびリヤデ
ィレーラからなる変速装置と、従来方式の多段フロント
ギアの駆動回転方向前方にフロントディレーラが配設さ
れた変速装置とを組み合わせてもよい。

【００４０】

【発明の効果】この発明の自転車用変速装置は以上のよ
うな構成なので、自転車が走行中および停止中におい
て、随意の変速比に変速を行うことができる。

【００４１】従って、本発明の自転車用変速装置を装備
した自転車が、一旦停止して再発進するとき、停止中に
低速ギア比を予め選択して発進できるので、クランク駆
動力を軽減できるとともに、敏速に発進加速を行うこと
ができる。

【００４２】また、変速操作時に、ディレーラに負荷が
かからない状態で変速できるので、故障を低減できると
ともに、構成部材の耐磨耗性を備えるための処理等を省
略でき、装置を安価に構成することができる効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自転車用変速装置を備えた自転車の側
面図。

【図２】本発明のフロント用変速装置の側面図。

【図３】図２の平面図。

【図４】本発明のリヤ用変速装置の側面図。

【図５】図４の平面図。

【図６】従来例の変速装置を備えた自転車の側面図。

【符号の説明】

１ 自転車 １０ 多段フロントギア １４ チェン １５ フロントディレーラ ２５ 多段リヤギア ３５ リヤディレーラ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランクによって駆動回転される複数の
   異径フロントギアからなる多段フロントギアと、リヤハ
   ブ軸に取り付けられた複数の異径リヤギアからなる多段
   リヤギアと、前記多段フロントギアと多段リヤギアに巻
   き掛けたチェンに作用して変速するフロントギア変速用
   のフロントディレーラと、前記多段フロントギアと多段
   リヤギアに巻き掛けたチェンに作用して変速するリヤギ
   ア変速用のリヤディレーラと、を有する自転車用変速装
   置であって、 前記フロントディレーラは、前記多段フロントギアの駆
   動回転方向後方に配設され、 前記リヤディレーラは、前記多段リヤギアの駆動回転方
   向後方に配設され、 前記クランクの駆動回転方向の逆方向回転により、前記
   多段フロントギアの選択したフロントギアおよび前記多
   段リヤギアの選択したリヤギアにチェン掛け換え可能に
   構成されてなる、 ことを特徴とする自転車用変速装置。
2. 【請求項２】 クランクによって駆動回転される複数の
   異径フロントギアからなる多段フロントギアと、リヤハ
   ブ軸に取り付けられたリヤギアと、前記多段フロントギ
   アとリヤギアに巻き掛けたチェンに作用して変速するフ
   ロントディレーラと、を有する自転車用変速装置であっ
   て、 前記フロントディレーラは、前記多段フロントギアの駆
   動回転方向後方に配設され、 前記クランクの駆動回転方向の逆方向回転により、前記
   多段フロントギアの選択したフロントギアにチェン掛け
   換え可能に構成されてなる、 ことを特徴とする自転車用変速装置。
3. 【請求項３】 クランクによって駆動回転されるフロン
   トギアと、リヤハブ軸に取り付けられた複数の異径リヤ
   ギアからなる多段リヤギアと、前記フロントギアと多段
   リヤギアに巻き掛けたチェンに作用して変速するリヤデ
   ィレーラと、 を有する自転車用変速装置であって、 前記リヤディレーラは、前記多段リヤギアの駆動回転方
   向後方に配設され、 前記クランクの駆動回転方向の逆方向回転により、前記
   多段リヤギアの選択したリヤギアにチェン掛け換え可能
   に構成されてなる、 ことを特徴とする自転車用変速装置。