JP2000119838A - 塗布型浸炭組成物及びそれを用いた浸炭処理方法 - Google Patents

塗布型浸炭組成物及びそれを用いた浸炭処理方法

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JP2000119838A
JP2000119838A JP10289728A JP28972898A JP2000119838A JP 2000119838 A JP2000119838 A JP 2000119838A JP 10289728 A JP10289728 A JP 10289728A JP 28972898 A JP28972898 A JP 28972898A JP 2000119838 A JP2000119838 A JP 2000119838A
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film
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weight
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JP10289728A
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Inventor
Yasuharu Maeda
靖治 前田
Masahiro Murakami
雅洋 村上
Kenji Koshiishi
謙二 興石
Kenichi Shinoda
研一 篠田
Toshibumi Kamaike
俊文 蒲池
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Nippon Steel Nisshin Pipe Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Nisshin Kokan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の部位に選択的に浸炭処理を施すことが
可能であり、また密閉空間又は半密閉構造を有する成形
物や構造物等の内表面にも適用して浸炭処理を施すこと
が可能な浸炭用組成物及び上記組成物を使用した浸炭処
理法を提供する。 【解決手段】 水性塗料中に浸炭剤及び必要に応じて上
記水性塗料に対して不活性な浸炭促進剤を配合する。こ
の組成物を浸炭層を形成させる被処理物の表面を清浄化
した後に、被処理物の浸炭させる部位に塗布し、乾燥し
て皮膜を形成し、そして皮膜を形成した被処理物を浸炭
層を形成させるのに十分な温度で十分な時間加熱して浸
炭層を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材用の塗布型浸
炭組成物及びそれを用いた浸炭処理方法に関する。より
詳しくは、浸炭剤及び必要により浸炭促進剤を水性塗料
に配合してなる塗布型浸炭組成物及びそれを用いた浸炭
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材の表面に炭素を拡散浸透させる浸炭
処理は、鋼材の表面硬化法として最も広く採用されてい
る方法である。一般に、浸炭法としては、固体浸炭法、
液体浸炭法及び気体浸炭法があり、いずれも浸炭剤を使
用して行われている。
【0003】すなわち、固体浸炭法においては、浸炭す
べき部品を浸炭箱に入れ、その周囲に固体浸炭剤を充填
して860℃以上に加熱することによって行われる。こ
の際に、浸炭箱内の酸素と浸炭剤とが反応して一酸化炭
素と炭酸ガスが生成する。浸炭剤(C)の存在下では一
酸化炭素と炭酸ガスとの間に次式の平衡が保たれる。
【0004】
【化1】
【0005】浸炭反応は、鋼材の表面で生じる2CO=
CO2+Cにより発生した発生期のCが鋼材表面にデポ
ジットし、次いでデポジットしたCが鋼材内部に向かっ
て徐々に拡散していくものである。
【0006】液体浸炭法においては、浸炭剤を含有する
塩浴剤等に浸炭処理すべき部品を浸漬する方法が一般的
である。また、気体浸炭法においては、浸炭すべき部品
を浸炭箱に入れ、これにメタン、プロパン、ブタン等の
浸炭性ガスを流入させて、部品とガスとを接触させるこ
とによって浸炭を行っている。
【0007】これらの従来技術による浸炭法は、主とし
て小型部材や小型部品を対象とし、また部材や部品全体
を浸炭させることが基本となり、その適用範囲は限定さ
れ、かつ特定部位のみを選択的に浸炭させることは不可
能であった。例えば、中間構造体等では、特定部位の硬
度を高め、なおかつ特定部位の耐磨耗性を付与し、一方
残りの部分は最終構造物に組み立て加工するための加工
性や切断性等の観点から、これらの性質を付与しないの
が望ましい場合が多い。このような場合には浸炭処理を
欲していない部分に耐火粘土を塗布したり、SiO2
Al23、Na2Oを粘着剤として使用してCu粉を塗
布して浸炭処理を行う場合があるが、浸炭防止効果は十
分なものとは言えず、また手間がかかるという欠点があ
った。更に、浸炭を欲しない部分にCuめっきを施して
浸炭することも考えられるが、手間がかかる上に著しく
高価となるという欠点があった。
【0008】又、従来の浸炭法は前述の通り、浸炭すべ
き部品を浸炭剤中に埋没、浸漬又は浸炭ガスに接触させ
て処理するので、これらの方法では密閉空間又は半密閉
構造を有する鋼材製の成形物又は構造物の内表面に浸炭
処理を施すことは極めて困難である。更に、このような
成形物又は構造物の内表面に浸炭処理を施す際には、浸
炭剤の酸化燃焼が十分に進行しないという問題もある。
このような密閉空間又は半密閉構造を有する成形物又は
構造物の内表面に浸炭処理を施すことが望まれている分
野として、液体又は気体をキャリヤーとして粉体を輸送
する技術として近年注目を集めているスラリー輸送が例
示される。スラリー輸送においては、固体/液体比や流
速を高めることにより粉体の輸送量を増加させることが
できる。このような場合にスラリーを輸送するための輸
送鋼管の内面や湾曲部分等における耐摩耗性を高めるこ
とが強く待ち望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、従来の浸炭法では不可能であった特定の部位に選択
的に浸炭処理を施すことが可能であり、また密閉空間又
は半密閉構造を有する成形物や構造物等の内表面にも適
用して浸炭処理を施すことが可能な浸炭用組成物及び上
記組成物を使用した浸炭処理法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、水性塗料中に浸炭
剤及び必要により浸炭促進剤を配合した組成物を使用す
ると上記目的を達成できることを見出し本発明を創作す
るに至った。
【0011】すなわち、本発明の第1の態様は、水性塗
料中に浸炭剤及び必要に応じて上記水性塗料に対して不
活性な浸炭促進剤を配合して成る塗布型浸炭組成物に関
する。上記塗布型浸炭組成物において、上記水性塗料が
オレフィン系重合体樹脂を水性媒体に分散することによ
って得られた水性塗料であり、かつ浸炭剤として上記樹
脂100重量部当たり木炭粉10〜100重量部及び浸
炭促進剤として上記樹脂100重量部当たり炭酸ナトリ
ウム5〜80重量部を配合するのが好ましい。
【0012】また、本発明の第2の態様は、上記の塗布
型浸炭組成物を被処理物の浸炭させる部位に塗布し、乾
燥して皮膜を形成し、そして皮膜を形成した被処理物を
浸炭層を形成させるのに十分な温度で十分な時間加熱し
て浸炭層を形成させる工程を含む、浸炭処理方法に関す
る。
【0013】また、上記塗布型浸炭組成物が上記水性塗
料がオレフィン系重合体樹脂を水性媒体に分散すること
によって得られた水性塗料であり、かつ浸炭剤として上
記樹脂100重量部当たり木炭粉10〜100重量部及
び浸炭促進剤として上記樹脂100重量部当たり炭酸ナ
トリウム5〜80重量部を配合したものである場合に
は、塗布型浸炭組成物を乾燥塗布量で10〜100g/
2となるように被処理物の浸炭させる部位に塗布し、
上記組成物を乾燥して皮膜を形成するのに十分な温度に
加熱して皮膜を形成し、そして皮膜を形成した被処理物
を900〜1200℃で浸炭層を形成させるのに十分な
時間加熱するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を説明す
る。 (水性塗料)本発明による塗布型浸炭組成物において使
用される水性塗料は、浸炭層を形成させる被処理物の表
面に乾燥後に皮膜を形成するベースとなるものであり、
被処理物の表面に皮膜を形成することが可能であり、か
つ加熱して浸炭層を形成する際に有害物質を放出しない
水性塗料であれば特に制限されるものではない。このよ
うな水性塗料として例えば水ガラス等を主成分とする無
機系水性塗料や熱可塑性樹脂を水性媒体に分散させた有
機系水性塗料が挙げられる。又、これらのベースとなる
水性塗料には、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で
水性塗料に関する技術分野に公知の各種添加剤を添加し
てもよい。
【0015】比較的低温で加熱して短時間にかつ容易に
皮膜を形成することができ、形成された皮膜が被処理物
である鋼材との密着性や加工性に優れており、そして浸
炭層を形成する際に加熱しても有害物質を放出しない等
の観点から、オレフィン系重合体樹脂を水性媒体に分散
させた水性塗料を用いるのが好ましい。このようなオレ
フィン系重合体樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピ
レン等のオレフィン系重合体から成る樹脂、エチレン−
プロピレン共重合体等のオレフィン系共重合体から成る
樹脂やこれらのブレンドポリマーが挙げられ、これらを
単独であるいは二種以上の混合物として使用することが
できる。 又、これらの樹脂は、水性塗料としての性質、
被処理物上への皮膜の形成や加工性を勘案して、平均粒
径で0.1〜3μm程度の粉体を使用するのが好まし
い。また、これらの樹脂は、水100重量に対して10
〜40重量部程度の量で配合するのが好ましい。又、濡
れ性を向上させるための有機溶剤、消泡剤等を少量添加
してもよい。
【0016】(浸炭剤)本発明の塗布型浸炭組成物にお
いて、上記の通りの水性塗料に浸炭剤が配合されるが、
その際に使用される浸炭剤としてはグラファイト粉、カ
ーボンブラック粉、木炭粉等が挙げられ、これらを単独
又は二種類以上の混合物として使用することができる。
本発明者等がこれらの浸炭剤について大気中で熱分析を
行ったところ、グラファイト粉は750℃付近で急激に
酸化燃焼するが、一部が1000℃以上に昇温後におい
ても燃焼せずに残存していた。これに対し、カーボンブ
ラックでは650℃で急激に酸化燃焼し、また木炭粉に
ついては500℃付近で急激に酸化燃焼した。また、カ
ーボンブラックや木炭粉では、1000℃以上に昇温後
においては残存重量は認められなかった。これらの実験
結果から、短時間の熱処理で均一な浸炭層を形成させる
浸炭剤として、低温で急激に酸化燃焼し、浸炭性ガス圧
を高めることが可能なカーボンブラック及び木炭粉が好
ましく、より好ましくは木炭粉である。
【0017】(浸炭促進剤)本発明の塗布型浸炭組成物
において、浸炭層を形成するために加熱する際にCO2
等の圧力を高めて、浸炭を促進する目的で浸炭促進剤を
添加するのが好ましい。特に密閉空間、半密閉空間等の
構造を有する成形物又は構造物を浸炭熱処理する場合、
すなわち浸炭剤を酸化燃焼させるための酸素が希薄な条
件下においては、浸炭促進剤は重要な役割を果たすの
で、本発明の塗布型浸炭組成物に浸炭促進剤を配合させ
る必要がある。このような浸炭促進剤としては、ベース
となる水性塗料への添加時、塗布型浸炭組成物の保存時
及び皮膜を形成するための加熱時に、CO2等の気体を
発生せず、浸炭温度に加熱した際にはじめて気体を発生
するものであれば特に制限されるものではない。これら
の浸炭促進剤は、使用する水性媒体の種類や皮膜の形成
方法に依存して決定されるが、炭酸ナトリウム及びその
均等物が好ましい。浸炭促進剤は例えば、ベースとなる
塗料がオレフィン系重合体樹脂を水性媒体に分散してな
る水性塗料をベースとして使用する場合には、炭酸バリ
ウム(BaCO3)を使用すると分散配合時にCO2を発
生し、また過マンガン酸カリウム(K2MnO4)を使用
すると分散配合時にO2を発生するので好ましくない。
【0018】(配合)本発明による塗布型浸炭組成物に
おいて、水性塗料中に浸炭剤及び必要に応じて上記水性
塗料に対して不活性な浸炭促進剤が配合されるが、これ
らの配合については形成される皮膜の物性、塗料の粘
度、浸炭性ガスの発生時間等を考慮して適宜選択され
る。
【0019】以下、水性塗料としてオレフィン系重合体
を水性媒体に分散させて調製した水性塗料を使用し、そ
して浸炭剤として木炭粉、浸炭促進剤として炭酸ナトリ
ウムを使用した組成物について具体例として説明する。
形成させる浸炭層の硬度をビッカース硬度で600以
上、浸炭層の厚みを1〜500μmと設定し、組成物の
塗布性、組成物のポットライフ、組成物の浸炭性等を検
討し適正な組成を決定する。
【0020】浸炭剤としての木炭粉の添加量は、樹脂1
00重量部に対して10〜100重量部の範囲であるの
が好ましく、特に好ましくは30〜80重量部である。
木炭粉の配合量が100重量部を超えると樹脂分が不足
して、形成された皮膜の被処理物との密着性及び加工性
が低下し、さらに塗布する際の塗料粘度が著しく高くな
り、浸漬、刷毛塗り、ロールコート等により塗布するの
が困難になるので好ましくない。逆に、配合量が10重
量部未満であると、浸炭性ガスが発生するのに長時間か
かり、浸炭熱処理に長時間を要するので好ましくない。
【0021】また、浸炭促進剤としての炭酸ナトリウム
の添加量は、樹脂100重量部に対して5〜80重量部
が好ましく、特に好ましくは15〜50重量部である。
浸炭促進剤の配合量が樹脂100重量部に対して5重量
部未満である場合、浸炭促進剤としての効果は少なくな
るので好ましくない。逆に80重量部を超えると組成物
の液性を低下させ、ポットライフを短くする原因となる
ので好ましくない。
【0022】(浸炭処理方法)このようにして配合され
た本発明による塗布型浸炭組成物を使用して浸炭処理を
行う方法について以下に説明する。本発明の組成物を使
用して浸炭処理を施すことが可能な被処理物は、従来浸
炭処理を行ってきた鋼材であれば特に制限されるもので
はない。特に、鋼材の特定の部位を選択的に浸炭処理を
施すことができ、密閉空間又は半密閉構造を有する成形
物又は構造物に対して浸炭処理を施すことができるのは
特筆すべきことである。
【0023】本発明の第二の態様である浸炭処理方法に
おいては、まず前処理として浸炭処理を施す部位をアル
カリ脱脂、有機溶剤洗浄等により清浄化することが好ま
しい。この清浄化方法は、本発明による塗布型浸炭組成
物を塗布して乾燥した後に適正な皮膜が形成され、つい
で浸炭処理を施した際に均一の浸炭層ができれば特に制
限されるものではない。
【0024】このようにして清浄化された被処理物の表
面に本発明による塗布型浸炭組成物を塗布するが、この
際の塗布方法は、被処理物の浸炭を要する部分を勘案し
て従来の水性塗料分野で使用される塗布方法から適宜選
択される。このような塗布方法として例えば、刷毛塗
り、ロールコート、スプレーコート、ブレードコート、
ナイフコート、浸漬等が挙げられる。この際の塗布型浸
炭組成物の塗布量は、被処理物の材質、浸炭層の厚さ等
を考慮して適宜選択されるが、乾燥皮膜量で10〜10
0g/m2となるように塗布するのが好ましい。乾燥皮
膜量で100g/m2を超えると、皮膜の密着性や加工
性が悪くなるので好ましくない。逆に乾燥皮膜量で10
g/m2未満であると、浸炭源が不足し、所望とする浸
炭層を得るのに長時間の加熱時間を要するので好ましく
ない。
【0025】このようにして塗布した本発明による塗布
型浸炭組成物を乾燥して皮膜を形成させるが、乾燥方法
は使用する塗布型浸炭組成物のベースとなる水性塗料成
分に依存する。すなわち、水ガラス等の無機水性塗料を
使用する場合には自然乾燥等により乾燥させ、オレフィ
ン系重合体樹脂等の熱可塑性樹脂を水性媒体に分散させ
た分散液を水性塗料のベースとする場合には水の沸点以
上でかつ使用する樹脂の融点以上の温度に加熱する。例
えば、オレフィン系重合体樹脂を使用した場合には10
0〜150℃に加熱することによって皮膜を形成する。
【0026】このようにして被処理物の所望の部分に皮
膜を形成した後、浸炭熱処理温度で加熱するが、この際
の加熱温度は、使用する浸炭剤の種類、塗布量等により
適宜選択される。例えば、浸炭剤として木炭粉を使用す
る場合には900〜1200℃の温度範囲が短時間の熱
処理で浸炭層の形成が可能である等の観点から好まし
い。なお、浸炭熱処理は、炉内での加熱、高周波熱処理
等、当該技術分野において公知の方法で行われる。な
お、浸炭処理に引き続いて焼入れ等の金属表面処理を行
うことも可能である。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。 (被処理物)本発明の実施例において下記の組成を有す
る低合金鋼を被処理物として使用した。
【0028】 鋼成分 重量% C 0.234 Mn 0.440 Cr 0.300 Si 0.227 Ni 0.030 Al 0.030 Ti 0.016 P 0.008 S 0.002 B 0.0040 N 0.0040 Fe 残部
【0029】(塗布型浸炭組成物)本発明の塗布型浸炭
組成物として下記組成を有する塗料1又は塗料2を使用
した。 成分 塗料1 塗料2 ポリエチレン樹脂 100重量部 100重量部 木炭粉 50重量部 50重量部 炭酸ナトリウム 40重量部 50重量部
【0030】[実施例1]上記の成分から成る鋼板(厚
さ1.6mm、幅80mm、長さ150mm)を脱脂
後、その片面に塗料1を乾燥皮膜量50g/m2となる
ように塗布し、120℃で1分間加熱して皮膜を形成し
た。このようにして片面上に皮膜を形成した鋼板を図1
に示す通りにステンレス箔製袋に挿入した。このステン
レス箔製袋の開放部を密着曲げして鋼板を封入した後、
これを1100℃に昇温したマッフル炉に挿入し浸炭熱
処理を行った。8分後に鋼板を封入したステンレス箔製
袋を取り出し浸炭熱処理を完了させた。この際に鋼板
は、1100℃までの昇温に3分間を要し、1100℃
で5分間保持される熱履歴を受けた。浸炭処理後の鋼板
の硬度測定を行った。結果を表1に示す。また、別途断
面組織を観察し、形成された浸炭層を評価した。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示す通り、塗布型浸炭組成物を塗布
した面(塗料1塗布面)では、表層から約150μmの
深さまではビッカース硬度211から182であり鋼板
の板厚中心部(鋼表面から約0.8mmの部位)のビッ
カース硬度172と比較して高くなっていた。また、断
面組織の観察の結果、浸炭層が形成されていたことが確
認された。これに対して塗布型浸炭組成物を塗布しなか
った面(塗料1非塗布面)においては、表1から明らか
な通り表層硬度は板厚中心部の硬度と同程度の測定値を
示しており、また断面組織の観察の結果、浸炭層が形成
されていないことが確認された。これらの結果から、本
発明による塗布型浸炭組成物を塗布した面のみ選択的に
浸炭が行われることが判る。
【0033】(実施例2)上記の高張力鋼材から成る鋼
管(板厚4.0 mm、管外径26.5mm、管長150m
m)の内面に塗料2を注入し、余剰分を滴下させる方法
により付着量をコントロールして、乾燥皮膜量で21g
/m2となるように塗料2を塗布し、120℃で90秒
間乾燥して鋼管内面に皮膜を形成させた。この鋼管を図
2に示す高周波加熱コイルの中を上下方向に移動加熱し
た(管端から管端まで30秒で移動)。加熱温度は約1
100℃とし、鋼管が高周波加熱コイルを通過して約1
0秒後に水焼入れを行い、浸炭焼入れ処理を完了した。
【0034】浸炭焼入れ処理した鋼管の硬度の測定結果
を表2に示す。また、別途断面組織を観察し、形成され
た浸炭層を評価した。
【0035】
【表2】
【0036】断面組織の観察の結果から、鋼管内面に約
75μmの深さで浸炭層が形成されていることが判っ
た。また表2から、形成された浸炭層の硬度はビッカー
ス硬度で946〜639であり、板厚中心部(表面から
約2mmの部位)のビッカース硬度478と比較して高
くなっていた。
【0037】以上の結果から明らかな通り、鋼管の内面
のみに浸炭剤及び浸炭促進剤が配合された本発明による
塗布型浸炭組成物を塗布し、乾燥して皮膜化すると、酸
素不足により浸炭剤の酸化燃焼が十分進行しない小径の
鋼管内面においても十分な浸炭層が形成されることが判
った。
【0038】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば水性
塗料中に浸炭剤を配合して成る塗布型浸炭組成物を浸炭
を必要とする部位のみに塗布し、乾燥して皮膜を形成
し、この皮膜を炭素源として浸炭熱処理することによっ
て短時間で効率的に選択的に浸炭層を形成することが可
能となる。
【0039】また、従来の方法では浸炭剤の酸化燃焼が
十分進行しない密閉空間又は半密閉空間構造を有する成
形物又は構造物の内表面等に水性塗料中に浸炭剤と水性
塗料中に上記水性塗料に対して不活性な浸炭促進剤とを
配合して成る塗布型浸炭組成物を塗布し、乾燥して皮膜
を形成し、この皮膜を炭素源として浸炭熱処理すること
によって、このような部位にも短時間でかつ効率的に浸
炭層を形成することが可能となる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】片面に本発明による塗布型浸炭組成物を塗布
し、皮膜化した鋼板をステンレス箔製袋に挿入した状態
を示す斜視図。
【図2】鋼管を高周波加熱により浸炭熱処理を行う概要
を示す断面図。
【符号の説明】
1 ステンレス箔製袋 2 鋼板 3 鋼管 4 高周波加熱コイル 5 管端密封コア 6 水冷装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 雅洋 千葉県市川市高谷新町7番地の1 日新製 鋼株式会社技術研究所内 (72)発明者 興石 謙二 千葉県市川市高谷新町7番地の1 日新製 鋼株式会社技術研究所内 (72)発明者 篠田 研一 愛知県蒲郡市浜町34番地 日新鋼管株式会 社内 (72)発明者 蒲池 俊文 愛知県蒲郡市浜町34番地 日新鋼管株式会 社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性塗料中に浸炭剤を配合して成る塗布
    型浸炭組成物。
  2. 【請求項2】 更に上記水性塗料に対して不活性な浸炭
    促進剤を配合して成る請求項1に記載の塗布型浸炭組成
    物。
  3. 【請求項3】 上記水性塗料がオレフィン系重合体樹脂
    を水性媒体に分散することによって得られた水性塗料で
    あり、浸炭剤として上記樹脂100重量部当たり木炭粉
    10〜100重量部及び浸炭促進剤として上記樹脂10
    0重量部当たり炭酸ナトリウム5〜80重量部を配合し
    た請求項2に記載の塗布型浸炭組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか一つ
    に記載の塗布型浸炭組成物を被処理物の浸炭させる部位
    に塗布し、乾燥して皮膜を形成し、そして皮膜を形成し
    た被処理物を浸炭層を形成させるのに十分な温度で十分
    な時間加熱して浸炭層を形成させる工程を含む、浸炭処
    理方法。
  5. 【請求項5】 オレフィン系重合体樹脂を水性媒体に分
    散することによって得られた水性塗料中に浸炭剤として
    上記樹脂100重量部当たり木炭粉10〜100重量部
    及び浸炭促進剤として上記樹脂100重量部当たり炭酸
    ナトリウム5〜80重量部を配合した塗布型浸炭組成物
    を乾燥皮膜量で10〜100g/m2となるように被処
    理物の浸炭させる部位に塗布し、上記組成物を乾燥して
    皮膜を形成するのに十分な温度に加熱して皮膜を形成
    し、そして形成された皮膜を900〜1200℃で浸炭
    層を形成させるのに十分な時間加熱して浸炭層を形成さ
    せる工程を含む、浸炭処理方法。
JP10289728A 1998-10-12 1998-10-12 塗布型浸炭組成物及びそれを用いた浸炭処理方法 Pending JP2000119838A (ja)

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