JP2000118569A - 緩衝包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】不使用時の取り扱い性が良く、被包装体の多少
の形状変化にも対応でき、包装作業が容易であって、優
れた耐衝撃性や物流品質を確保でき、廃棄し易く、環境
保全に適したものにする。 【解決手段】重ね合わせたシートを接着してシール部を
形成し、内部に空気収納空間を設けた積層体にする。そ
して、長さの異なるシート７、８を用いて、シール部
を、積層したシート７、８の相対する縁部を接着して空
気収納空間を形成する縁部シール部と、縁部シール部で
囲まれた領域内にあるシート７、８を接着して空気収納
空間を区分する区分用シール部１３とから構成し、区分
した各空気収納空間１５を形成する長い方のシート８の
部分に膨張用折曲箇所９を設け、外部から区分した各空
気収納空間１５内に空気を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は家電製品等のような
形状が直方体でない不定形製品の包装に適する緩衝包装
体に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、形状が直方体でない家電製品例え
ば温風機、加湿器等を輸送し、保管する場合包装を施す
が、包装体として直方体状の内部空間を有する段ボール
箱を外装に使用し、その外装箱と箱内に収納した被包装
体である家電製品との間に緩衝包装体を介在させてい
る。このような緩衝包装体は被包装体の形状に概略合わ
せて形成したものであり、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ウレタン等の発泡体を金型等を用いて成形して組み
合せたり、平板状の段ボールを打ち抜いて組み立てたり
して使用する。

【０００３】図７は段ボールからなる緩衝包装体の使用
例として、被包装体１の形状が楕円柱状である場合に、
その被包装体１の両側に緩衝包装体２(２a、２b)をそれ
ぞれ当てて組み合せ、物流し易い概略直方体状に形成し
て、外装用の段ボール箱３に収納する収納直前の配置状
態を示したものである。なお、４は被包装体１を包む傷
防止用シート、５は段ボール箱３の底に入るボトムスペ
ーサである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発泡材
製の緩衝包装体は立体的であり、嵩張るため、輸送や保
管に多くのスペースを必要とする。又、緩衝包装体は物
流、販売の観点から必要でも、製品の使用時には不必要
なものであり、嵩張っていると廃棄処分にも問題があ
る。そこで、最近では平面展開が容易な段ボール製の緩
衝包装体が用いられることが多い。

【０００５】しかし、段ボール製緩衝包装体は発泡材製
のものと比較して衝撃変形後の復元力がなく、衝撃吸収
力もないため、組み立てにより内部に空間を持たせて立
体的に形成する必要がある。又、広い面積の段ボールが
必要であって、包装時の組み立て作業量の増大がコスト
面から問題になる。更には不要になった段ボールの資源
回収時の取り扱い性が悪く、廃棄に問題がある。

【０００６】本発明はこのような従来の問題点に着目し
てなされたものであり、不使用時の取り扱い性が良く、
被包装体の多少の形状変化にも対応でき、包装作業が容
易であって、優れた耐衝撃性や物流品質を確保でき、廃
棄し易く、環境保全に適した緩衝包装体を提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による緩衝包装体では直方体状の内部空間を
有する外装箱とその外装箱内に収納した被包装体との間
に介在するため、重ね合わせたシートの一部同士を接着
してシール部を形成し、内部に空気収納空間を設けた積
層体にする。

【０００８】そして、上記積層体に長さの異なるシート
を用いる。又、シール部を、積層したシートの相対する
縁部同士を接着して空気収納空間を形成する縁部シール
部と、その縁部シール部で囲まれた領域内にあるシート
の相対する一部同士を接着して空気収納空間を区分する
区分用シール部とから構成し、その区分した各空気収納
空間を形成する長い方のシートに膨張用の折曲箇所を設
けるように形成する。又、縁部シール部付近に空気充填
口を設けて、外部から区分した各空気収納空間内に空気
を充填する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、添付の図１〜６を参照し
て、本発明の実施の形態を説明する。図１は本発明を適
用した緩衝包装体を被包装体に使用した包装状態を示す
横断面図、図２はその緩衝包装体の展開状態を示す斜視
図、図３は緩衝包装体の断面図である。加湿器等の不定
型製品の輸送や保管に際し、外装箱として直方体状の内
部空間を有する段ボール箱を用い、その外装箱内に収納
する加湿器等の被包装体との間に介在するため、図２に
示すような展開状態が長方形状の緩衝包装体６を使用す
る。この緩衝包装体６は２シートを重ね合わせた積層体
にし、その２シートの一部同士を接着してシール部を形
成し、内部に空気収納空間を設けたものにする。

【００１０】そこで、緩衝包装体６を構成する積層体の
包装時に外側に配置する基材シート７として、被包装体
の高さにほぼ等しい少し長めの長さＬの一辺とその被包
装体の外周に１回り巻回可能な少し長めの長さＳの一辺
を持つ長方形状のシートを用いる。この基材シート７は
被包装体の要求する物流品質を保つため、その厚みや材
質等を適宜選択するが、柔軟性を必要とする場合は総厚
１００μｍ以下のシートが好ましく、剛性及び耐衝撃性
を必要とする場合は総厚１００〜２００μｍ程度のプラ
スチックシートが好ましい。又、基材シート７の材質に
ついては酸素透過率、水蒸気透過率等が低く、破裂強
度、引裂き強度、引っ張り強度等が大きなシートを選択
する。一例として、剛性のあるポリエステルにナイロン
をラミネートし、更に引裂に強く加工の容易な低密度ポ
リエチレンをラミネートしたものが好ましい。しかし、
被包装体の耐衝撃強度が大きかったりする場合には、空
気の充填率を低くすることができるため、低コストのポ
リエチレン単体のシートでも使用可能である。

【００１１】又、積層体の包装時に内側に配置する内側
シート８として、被包装体の高さにほぼ等しい少し長め
の長さＬの一辺と被包装体の外周に１回り巻回可能な長
さＳより大幅に長い一辺を持つ長方形状シートを用い
る。なお、巻回には配置する場合も含める。この内側シ
ート８は空気の充填による内方への膨張が要求されるた
め、特に柔軟性が必要であって、総厚１００μｍ以下の
ナイロンに低密度ポリエチレンをラミネートしたものが
好ましい。しかし、基材シート７と同様、低コスト化も
可能である。

【００１２】これ等の両シート７、８から緩衝包装体６
を構成するため、製作時には先に内側シート８の４箇所
にその長手方向に沿ってほぼ等間隔を保つようにして離
して膨張用の弛み箇所９（９a、…９ｄ）をそれぞれ設
ける。そして、それ等の各箇所９を折り曲げ、例えば台
形状に折り曲げて突出させ、膨張用の折曲箇所にして相
対する長手縁部にそれぞれ達するように形成し、全体を
平面状にして、その折り曲げ後の一辺の長さを基材シー
ト７の対応する一辺の長さＳと等しくする。次に、両シ
ート７、８を重ね合わせ、その相対する縁部同士を外部
から両シート７、８間に空気を注入する空気充填口１０
の箇所のみを除いて全て接着し、例えば加熱接着して長
方形枠状の縁部シール部１１を形成する。

【００１３】その際、積層した両シート７、８の両端部
にある短手の縁部シール部１１（１１ａ、１１ｂ）の幅
を長手の縁部シール部１１（１１ｃ、１１ｄ）の幅より
広くし、その拡幅した外側部分１２（１２ａ、１２ｂ）
を包装時に両端部を結合して緩衝包装体６をリング状に
形成するための結合用接着箇所にする。このようにし
て、積層した両シート７、８間に空気収納空間を設ける
ことができる。

【００１４】又、積層した両シート７、８の隣接する膨
張用折曲箇所９の間にある相対する一部同士を更に同様
に接着させて空気収納空間をほぼ４等分する区分用シー
ル部１３（１３ａ、１３ｂ、１３ｃ）を形成する。その
際、各区分用シール部１３に被接着箇所を例えば２箇所
ずつ設けそこを空気通路１４（１４ａ、１４ｂ）にす
る。すると、図２に示すような各シール部１３で区分し
た各空気収納空間１５（１５ａ、…１５ｄ）に空気を供
給できる。なお、短手の各縁部シール部１１の内側部分
１６（１６ａ、１６ｂ）と各区分用シール部１３は外装
箱の高さ方向に延びる対となる４角部の対応する各角部
内にそれぞれ配置できるように形成する。

【００１５】このような構造を備えた緩衝包装体６は薄
い平板体であるため、嵩張らず、多数枚を積み重ね易い
ので、輸送や保管に多くのスペースを必要としない。そ
れ故、不使用時の取り扱い性が良い。

【００１６】包装時、図４に示すように緩衝包装体６を
被包装体１７の外周等に１回り巻回し、その緩衝包装体
６の上下端部が被包装体１７の上下端から少し上下に突
出するように配置する。そして、緩衝包装体６の短手の
両端部にある結合用接着箇所１２を接着する。すると、
緩衝包装体６が各区分用シール部１３で折り曲げ易くな
っているため、被包装体１７を含む全体が直方体状にな
る。

【００１７】そこで、全体を直方体状の内部空間を有す
る段ボール箱内に収納し、緩衝包装体６の空気充填口１
０から内部空間内に空気を注入する。その際、図１に示
すように緩衝包装体６の直近外側に段ボール箱１８の内
壁が存在するため、基材シート７は外側に膨らまない。
しかし、緩衝包装体６の内側シート８の一辺を基材シー
ト７の対応辺より大幅に長くして、区分した各空気収納
空間１５を形成する内側シート８の部分に弛みを与えて
おくと、その各箇所９が内方に向かってそれぞれ膨らん
で行く。

【００１８】そして、必要とする空気量を充填すること
により、被包装体１７の外周面と上下面の縁部を含むほ
ぼ全体に、その表面に形成されている凹所内まで内側シ
ート８を接触させ、被包装体１７に対し周囲の多方向か
ら矢印方向に空気圧を作用させ、良好な支持力を与える
ことができる。それ故、被包装体１７の多少の形状変化
にも対応し易い。

【００１９】特に、区分した各空気収納空間１５を形成
する内側シート８の部分に膨張用の折曲箇所９をそれぞ
れ設けておくと、折り曲げの長さを長くすることによ
り、膨張量を大きくすることができる。そして、空気の
充填量を変えると、区分した各空気収納空間１５の膨張
量を選択し易く、被包装体１７の形状変化等に一層対応
可能になる。空気を適量充填した後、空気充填口１０を
閉じ、段ボール箱１８の蓋を閉じる等して包装作業を終
了する。それ故、包装作業が簡単である。

【００２０】又、このようにして、緩衝包装体６を用い
て被包装体１７を包装すると、被包装体１７に周囲の多
方向から作用する空気圧を利用して良好な支持力を与え
られるため、輸送時等に優れた耐衝撃性を発揮でき、物
流品質を良好な状態に確保できる。輸送後等において包
装を外す場合、段ボール箱１８を開け、尖ったもの例え
ばドライバ等を用いて緩衝包装体６の内側シート８に穴
を開ける。すると、穴の位置や数を選ぶことにより、区
分した各空気収納空間１５に充填していた空気を急速に
外部に放出でき、内側シート８の膨らみが凹む。

【００２１】それ故、緩衝包装体６を被包装体１７と一
緒に簡単に取り出し、更に緩衝包装体６を被包装体１７
から簡単に外せる。しかも、この緩衝包装体６は空気を
抜いてしまえば２つ折りにした平板状に簡単に潰れる。
それ故、資源回収時の取り扱い性が良くなり、廃棄し易
く、環境保全に適する。

【００２２】上記実施の形態では縁部シール部１１の一
部１６と各区分シール部１３とを段ボール箱１８の高さ
方向に延びる対となる４角部の対応する各角部内にそれ
ぞれ配置できるように形成したが、図５に示すように縁
部シール部１１と区分用シール部１３とで囲まれた領域
内にある基材シート７と内側シート８の相対する一部同
士を接着して、区分した各空気収納空間１５を更に区分
する区分用シール部１９(１９ａ、…１９ｄ)を形成し、
その各区分用シール部１９の一部をそれぞれ非接着箇所
にして、そこを区分した各空気収納空間２０(２０ａ、
…２０ｈ)に空気を供給する空気通路(図示なし)にする
こともできる。

【００２３】その際、区分した各空気収納空間２０を形
成する内側シート８の部分に膨張用の弛み箇所２１（２
１a、…２１ｈ）をそれぞれ設け、そこをいずれも台形
状に折り曲げた膨張用の折曲箇所にして相対する長手の
縁部シール部１１にそれぞれ達するように形成する。な
お、図５では区分した各空気収納空間１５に縦方向に１
本ずつ区分用シール部１９を設ける場合を図示したが、
更に区分用シール部の数を増し、或いは横方向に区分用
シール部を設けることもできる。

【００２４】このように区分した各空気収納空間１５を
区分用シール部１９によって更に区分すると、内側シー
ト８の基材シート７との結合箇所が増加する。それ故、
図６に示すように空気を充填して区分した各空気収納空
間２０をそれぞれ膨張させると、被包装体１７に周囲の
多方向から加わる空気圧による支持力が安定的に作用す
る。それ故、輸送時等に衝撃が加わっても、段ボール箱
内における被包装体１７の位置変動が少なくなり、一層
耐衝撃性を発揮でき、物流品質を良好な状態に確保でき
る。

【００２５】なお、上記実施の形態では緩衝包装体６の
被包装体１７に対する巻回軸が垂直方向である場合、基
材シート７に被包装体１７の高さにほぼ等しい長さの一
辺と被包装体１７の外周を１回り巻回可能な長さの一辺
を持つ長方形状のシートを用い、内側シート８に被包装
体１７の高さにほぼ等しい長さの一辺と被包装体１７の
外周を１回り巻回可能な長さより長い一辺を持つ長方形
状シートを用いたが、緩衝包装体の被包装体に対する巻
回軸が水平方向である場合には、基材シートとして被包
装体の幅にほぼ等しい長さの一辺と被包装体の外周を１
回り巻回可能な長さの一辺を持つ長形状シートを用い、
内側シートとして被包装体の幅にほぼ等しい長さの一辺
と被包装体の外周を１回り巻回可能な長さより長い一辺
を持つ長方形状シートを用いる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明した本発明によれば、請求項１
記載の発明では緩衝包装体が使用前に薄い平板体になっ
ているため、嵩張らず、多数枚を積み重ね易いので、輸
送や保管に多くのスペースを必要としない。それ故、不
使用時の取り扱い性が良い。又、必要とする空気量を充
填することにより、被包装体の外周面のほぼ全面に区分
した各空気収納空間を形成するシートの部分をそれぞれ
接触させ、被包装体に周囲の多方向から空気圧を作用さ
せて被包装体を良好に支持できる。それ故、被包装体の
多少の形状変化にも対応し易い。特に、膨張用折曲箇所
における折り曲げの長さを長くすることにより、区分し
た各空気収納空間の内方への膨張量を大きくすることが
できる。それ故、空気の充填量を変えると、区分した各
空気収納空間の膨張量を選択し易く、被包装体の形状変
化等に一層対応可能になる。

【００２７】又、被包装体の形状が直方体でない不定型
製品であっても、緩衝包装体を使用した包装状態が直方
体状に成るため、一般的に使用されている直方体状の内
部空間を有する外装箱中に収納し易くなり、空気を充填
し、その充填口を閉じる等するだけで良く、包装作業を
簡単に行なえる。又、被包装体を周囲の多方向から空気
圧を作用させて、良好に支持できるため、輸送時等に優
れた耐衝撃性を発揮でき、物流品質を良好な状態に確保
できる。又、輸送後等に尖ったものを用いる等して穴を
開けると簡単に空気を放出でき、緩衝包装体を２つ折り
にした平板状に簡単に潰せる。それ故、資源回収時の取
り扱い性が良くなり、廃棄し易く、環境保全に適する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した緩衝包装体を被包装体に使用
した包装状態を示す横断面図である。

【図２】同緩衝包装体の展開状態を示す斜視図である。

【図３】同緩衝包装体の縦断面図である。

【図４】同緩衝包装体を被包装体の周囲に巻回した状態
を示す横断面図である。

【図５】本発明を適用した他の緩衝包装体による被包装
体の周囲への巻回状態を示す横断面図である。

【図６】同緩衝包装体を被包装体に使用した包装状態を
示す横断面図である。

【図７】従来の段ボール製緩衝包装体使用による包装時
の外装箱への収納直前の配置状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

６…緩衝包装体 ７…基材シート ８…内側シート
９、２１…膨張用折曲箇所 １０…空気充填口 １１…
縁部シール部 １２…外側部分 １３、１９…区分用シ
ール部 １４…空気通路 １５、２０…区分した空気収
納空間 １６…内側部分 １７…被包装体 １８…段ボ
ール箱

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 直方体状の内部空間を有する外装箱と該
   外装箱内に収納した被包装体との間に介在するための重
   ね合わせたシートの一部同士を接着してシール部を形成
   し、内部に空気収納空間を設けた積層体からなる緩衝包
   装体であって、前記積層体に長さの異なるシートを用い
   て、前記シール部を、積層した該シートの相対する縁部
   同士を接着して前記空気収納空間を形成する縁部シール
   部と、該縁部シール部で囲まれた領域内にある前記シー
   トの相対する一部同士を接着して前記空気収納空間を区
   分する区分用シール部とから構成し、前記区分した各空
   気収納空間を形成する長い方のシートに膨張用の折曲箇
   所を設け、前記縁部シール部付近に空気充填口を設け
   て、外部から前記区分した各空気収納空間内に空気を充
   填することを特徴とする緩衝包装体。