JP2000103880A - 無公害性芳香族ポリアミドフィルム - Google Patents

無公害性芳香族ポリアミドフィルム

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JP2000103880A
JP2000103880A JP10275416A JP27541698A JP2000103880A JP 2000103880 A JP2000103880 A JP 2000103880A JP 10275416 A JP10275416 A JP 10275416A JP 27541698 A JP27541698 A JP 27541698A JP 2000103880 A JP2000103880 A JP 2000103880A
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aromatic polyamide
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polluting
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Mitsumasa Ono
光正 小野
Makoto Iida
真 飯田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度に優れ、焼却によってダイオキシン等の
有害物質を発生しないため環境保全性に優れた無公害性
芳香族ポリアミドフィルムを提供する。 【解決手段】 芳香族ポリアミドからなるフィルムであ
って、光電子分光法による測定においてフィルム表面か
らハロゲン元素が検出されないことを特徴とし、かつそ
の密度が1.25〜1.41g/cm3であることを特
徴とする無公害性芳香族ポリアミドフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリアミドフ
ィルムに関し、さらに詳しくは、強度に優れ、焼却によ
ってダイオキシン等の有害物質を発生しないため環境保
全性に優れた無公害性芳香族ポリアミドフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムは、薄膜にお
ける強度(高ヤング率など)、耐熱性などに優れ、磁気
記録媒体、熱転写記録体、コンデンサ用誘電体、印刷回
路基板等に使用されている。
【0003】芳香族ポリアミドのフィルムへの成形方法
としては、溶液製膜法が一般的であり、溶媒として濃硫
酸等の強酸類、あるいは、N−メチルピロリドン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の有機溶媒
を用いることが知られている。製造工程における作業者
の安全性や廃水処理の容易さから、N−メチルピロリド
ン等の有機溶媒の使用されるケースが多いが、芳香族ポ
リアミドをかかる有機溶媒に可溶にするため、芳香核に
塩素などのハロゲン元素による置換を施すことが行われ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、環境保護の観点
から、プラスチック製品の廃棄物処理において、有毒物
質を発生させないよう考慮する必要が高まってきており
なるべく焼却などの処理をせずに素材毎に分解してリサ
イクルに供することが好ましいとされている。
【0005】しかしながら、素材毎に分解してリサイク
ルすることが困難な製品もあり、これらの製品について
は、廃棄物の最終処理として、焼却処分が行われるケー
スが多いため、プラスチック素材としても焼却時に有毒
ガスが発生しないようなものを使用する必要がある。
【0006】近年、廃棄物の焼却に伴う、パークロロジ
ベンゾダイオキシン(PCDD)およびパークロロジベ
ンゾフラン(PCDF)の如き化合物、いわゆる「ダイ
オキシン類」の発生が問題となっている。ダイオキシン
類の詳細な発生メカニズムとして、はっきりとした結論
は現在に至っても得られていないが、現在提案されてい
るものとして、焼却炉内の300℃前後の低温域での不
完全燃焼により生成する前駆物質(クロロベンゼン類、
クロロフェノール類)から、燃焼後過程で飛灰表面の金
属塩を触媒としてダイオキシン類が合成されるというル
ートが“Mechanisms of formation and destruction of
polychlorinated dibenzo-p-dioxins and dibebzofura
ns in heterogeneous systems(Environ. Sci. Techno
l.、29巻1425〜1435頁(1995))”等に
記載されている。ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン
の如きハロゲン化ポリマーは、上記前駆物質を生成し易
く、唯一の原因ではないものの、ダイオキシン発生源の
一つとなりうると考えられている(工業材料、46巻3
号17〜27頁(1998))。殊にハロゲン化芳香核
を持ったポリマーは上記前駆物質に極めて近い構造を持
つことから、焼却によって特にダイオキシン類を発生さ
せやすい事が考えられる。
【0007】芳香族ポリアミドフィルムの主要な用途と
しては、磁気記録媒体、熱転写記録体、コンデンサ用誘
電体、印刷回路基板等であるが、いずれも多くの部品か
らなっている製品であり、分解してリサイクルすること
は比較的困難である。したがって該製品の廃棄物の最終
処理として、焼却処分が行われるケースが多いと考えら
れる。原料である芳香族ポリアミドフィルムに、上述の
ような有機溶媒に対する可溶性を高める目的などのため
に芳香核水素のハロゲン元素置換が施されていると、か
かる芳香族ポリアミドフィルムの焼却によってダイオキ
シンなどの環境に有害な物質が発生する可能性がきわめ
て高い。
【0008】本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を
解消し、強度に優れ、焼却によってダイオキシン等の有
害物質を発生しないため環境保全性に優れた無公害性芳
香族ポリアミドフィルムを提供することにある。
【0009】一方、芳香族ポリアミドフィルムの主要な
用途である、磁気記録媒体、熱転写記録体、コンデンサ
用誘電体、印刷回路基板等をその原料部品とする種々の
機器は、近年特に小型化、軽量化が求められており、そ
の素材である芳香族ポリアミドフィルムも軽量でありな
がら薄膜における強度を兼ね備えたものが要求される。
【0010】したがって、本発明の他の目的は、強度に
優れながらも軽量であるため、それを用いた小型機器の
製造に有利な無公害性芳香族ポリアミドフィルムを提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、芳香族ポリアミドからなるフィルムであっ
て、光電子分光法による測定においてフィルム表面から
ハロゲン元素が検出されないことを特徴とし、かつその
密度が1.25〜1.41g/cm3であることを特徴
とする無公害性芳香族ポリアミドフィルムによって達成
される。
【0012】以下、本発明について更に詳しく述べる。
本発明における芳香族ポリアミドフィルムは、光電子分
光法による測定においてフィルム表面からハロゲン元素
が検出されないことを特徴とするものであるが、その中
でも特に、光電子分光法による測定においてフィルム表
面からハロゲン、特にCl元素が検出されず、かつ該フ
ィルムを燃焼させ、捕集した燃焼ガス中にパーハロゲノ
ジベンゾダイオキシン(PHDD)およびパーハロゲノ
ジベンゾフラン(PHDF)、特にパークロロジベンゾ
ダイオキシン(PCDD)およびパークロロジベンゾフ
ラン(PCDF)がガスクロマトグラフ法により検出さ
れないことが好ましい。フィルム表面に光電子分光法に
よる測定で検出される量のハロゲン元素が存在すると、
焼却によってダイオキシンなどの環境に有害な物質が発
生する可能性がきわめて高いため好ましくない。
【0013】フィルム表面において光電子分光法による
測定でハロゲン元素が検出されないためには、フィルム
中のハロゲン元素の含有量が20000ppm未満であ
ることが好ましく、一層好ましくは4000ppm未満
である。
【0014】なお、光電子分光法によるハロゲン元素の
測定は以下の如く実施する。10mm×10mmにサン
プリングした試料フィルムについて、X線光電子分光装
置(VG社製、ESCALAB−200)により、励起
X線はMg−Kα線を用いて測定する。ハロゲン元素
(F、Cl、Br、I)検出は、例えばCl元素の場合
は、2p軌道由来のピークが結合エネルギー195〜2
05eV近辺に現れた場合にCl元素が存在するとみな
す。
【0015】厚生省策定(1997年1月)の「ごみ処
理に係わるダイオキシン発生防止等ガイドライン」によ
れば、緊急対策として焼却炉のダイオキシン排出濃度を
80ng−TEQ/Nm3以下としており、将来的には
新設炉の高能力のものでは0.1ng−TEQ/Nm3
以下、既設焼却炉のうち最も低能力のものでも2003
年以降には10ng−TEQ/Nm3以下とすることが
要求されている。
【0016】一方、厚生省作成(1996年8月)の
「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定分析マニュア
ル(官公庁公害専門資料、31巻6号37〜63頁(1
996))」によれば、最小3Nm3捕集した燃焼ガス
中のガスクロマトグラフ−質量分析(分解能10000
以上)法によるダイオキシン類濃度の定量下限として
0.02〜0.1ng/Nm3(種類により異なる)、
検出下限はその約38%、すなわち0.008〜0.0
4ng/Nm3としており、燃焼ガス中のPCDDおよ
びPCDF濃度が検出下限以下であれば、厚生省ガイド
ラインの目標数値はクリアーしていると考えられる。
【0017】厚生省ガイドラインによる規制の対象とな
る最小規模の焼却設備(公称処理能力200kg/h)
における燃焼ガスの一般的な排出量は、1000〜10
000m3/h程度といわれている。フィルムの焼却に
よりPCDDおよびPCDFがガスクロマトグラフ法に
より検出されない燃焼ガス中濃度、すなわち「廃棄物処
理におけるダイオキシン類測定分析マニュアル」に記載
の方法を用いて捕集した燃焼ガス中のPCDDおよびP
CDF濃度を0.008ng/Nm3未満とするために
は、フィルム中のハロゲン元素の含有量が20000p
pm未満であることが好ましい(プラスチックフィルム
を焼却することによる処理能力の低下(約50%;10
0kg/h)を考慮し、燃焼ガス排出量を多めに見積も
り(10000m3/h)、さらに全ハロゲン元素のう
ちの0.5×10-13がダイオキシン類の生成に寄与す
ると仮定する)。
【0018】また本発明における芳香族ポリアミドフィ
ルムは、その密度が1.25〜1.41g/cm3であ
ることを特徴とする。この密度範囲内にあることによ
り、薄膜における強度に優れながらも軽量であるため、
それを用いた小型機器の製造に有利となる。したがっ
て、密度が1.41g/cm3を超えるものは、上記の
利点を発揮し得ず、また体積あたりの重量が大きいた
め、製造工程、あるいは物流段階で消費されるエネルギ
ーも膨大なものとなるので、環境保全の観点からも好ま
しくない。一方、密度が1.25g/cm3より小さい
と、薄膜における強度を発揮し得ず好ましくない。この
密度の範囲は1.30〜1.40g/cm3であればさ
らに好ましい。
【0019】なお、密度の測定は、本発明の目的から、
密度勾配管法や重量法などのフィルムそのものの比重を
測る方法が好ましく、ガス充填などのポリマーの密度を
測る方法は、フィルム内のボイドなどによるフィルムそ
のものの密度の変化を見逃す場合などがあるため好まし
くない。
【0020】本発明において、芳香族ポリアミドは、下
記一般式で表わされる高分子化合物であることが好まし
い。
【0021】
【化2】-(-CO-Ar1-CONH-Ar2-NH-)k-(-C
O-Ar3-CONH-Ar4-Y1-Ar5- NH-)l-(-CO
-Ar6-NH-)m-(-CO-Ar7-Y2-Ar8-NH-)n- (但し、この式で、k、l、mおよびnはそれぞれ0ま
たは正の整数を表わす。また、Ar1、Ar2、Ar3
Ar4、Ar5、Ar6、Ar7およびAr8はそれぞれ一
般式-C6p4-p-で表わされるフェニレン基及びその
誘導体、-C6p4-p-C6p4-p-で表わされるビフ
ェニル基及びその誘導体、及び−C10q6-q-で表わ
されるナフタレン基及びその誘導体から、選ばれる芳香
核含有の原子団を表わす(ここでpは0〜4の整数、q
は0〜6の整数、Rはニトロ基、シアノ基、炭素数1〜
4のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基およびト
リアルキルシリル基から選ばれる原子または原子団を表
わす)。) 芳香核としてはフェニレン基及びその誘導体、ナフタレ
ン基及びその誘導体が好ましく、特にフェニレン基及び
その誘導体が好ましい。また、その誘導体を構成する上
記の置換原子団の中では、炭素数1〜4のアルキル基、
炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、特に炭素数1
〜4のアルキル基が好ましい。
【0022】Y1、Y2はそれぞれO、CH2、C(CH3)
2、SO2、SおよびCOから1種選ばれる原子または原
子団を表わす。これらの原子または原子団の中で、O、
CH2、C(CH3)2が好ましく、特にOが好ましい。
【0023】上記一般式において、k、l、mおよびn
は、それぞれ0または正の整数を表わす。また、k、
l、mおよびnで括られる芳香族アミド単位は、本発明
の芳香族ポリアミドにおいて、上記一般式で括られた順
序に必ずしも配置されている必要はない。そして、本発
明の芳香族ポリアミドの高分子が、各芳香族アミド単位
の各々合計のk、l、m、n個の和によって構成されて
いる。また、k、l、mまたはnで括られた各々の芳香
族アミド単位は必ずしもk、l、mまたはn個の繰り返
しで連続に結合している必要はなく、お互いに任意の配
列で1〜2個以上繰り返しで結合していてよい。ここ
で、本発明の芳香族ポリアミドの高分子は、必ずしも一
つの高分子量であるものではないので、k、l、m、n
は一つの固定値を指すものではない。但し、高分子重合
体として、本発明においては、k、l、m、nの上限値
としては、各々500、好ましくは400である。ま
た、k、l、m、nの和の上限値としては、各々100
0、好ましくは800である。
【0024】本発明において、上記一般式で表わされる
芳香族ポリアミドの中で、主鎖を形成する全芳香核に対
し、芳香核に結合する主鎖形成基がパラ配向性である芳
香核の割合が、50〜99.5%の間にあるものが強度
を要求される磁気用途の場合好ましい。
【0025】即ち、フィルムの強度の点からは、パラ配
向性である芳香核の割合が50%以上が好ましく、フィ
ルム製膜時に延伸の行ない易さ、後述の無機粒子による
フィルム表面突起形成の効果発現、易滑性、巻取り性な
どのハンドリング性の点からは、パラ配向性である芳香
核の割合が99.5%以下であるのが好ましい。
【0026】パラ配向性である芳香核の割合のより好ま
しい範囲は60〜95%、一層好ましくは70〜90%
である。
【0027】なお本発明で、主鎖形成基とは、前記一般
式で示したAr1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、A
6、Ar7、Ar8等の芳香核及びこれらと直接結合す
る-CO-NH-、-NH-CO-、Y1、Y2等である。
【0028】また、本発明で、パラ配向性とは、例えば
芳香核がフェニレン基の場合は1,4−体、ビフェニレ
ン基の場合は4,4‘−体、ナフチレン基の場合は1,
4−体あるいは2,6−体であることを表わす。
【0029】さらに、芳香族ポリアミドが、酸成分とし
てはテレフタル酸、アミン成分としては3,4’−ジア
ミノジフェニルエーテル及びp−フェニレンジアミンを
用いてなるものであることが特に好ましい。
【0030】上述のごとく本発明における芳香族ポリア
ミドとしては、その主鎖が芳香核およびアミド結合基を
主たる構成成分とするものであれば特に限定されるもの
ではないが、分子構造内にハロゲン元素を結合したも
の、即ち、2−クロロテレフタル酸、2,3−ジクロロ
テレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2,6
−ジクロロテレフタル酸等のハロゲン化フェニルジカル
ボン酸、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,3
−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロ
ロ−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−p−
フェニレンジアミン等のハロゲン化フェニレンジアミン
の如きものは、フィルム中のハロゲン元素の含有量が
2000ppm未満となる量までの共重合は許容され得
るとしても、先に述べたようにポリマーを焼却した際に
ダイオキシンを環境基準以下の発生量に抑えられる程度
までの許容である事は当然である。
【0031】本発明における芳香族ポリアミドフィルム
は、面積倍率にして5.0倍以上に延伸された二軸延伸
フィルムであることが、高強度のフィルムを得、後述の
粒子による表面突起形成の効果を充分なものとし、易滑
性、巻取り性などのハンドリング性に優れたフィルムを
得るために好ましい。この二軸延伸の倍率は、面積倍率
にして6.0〜10.0倍であることが一層好ましい。
また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムのヤング率の
長手方向と巾方向との和は2000kg/mm2以上で
あることが好ましい。磁気記録媒体、熱転写記録体、コ
ンデンサ用誘電体等のベースフィルムとしての用途の場
合、フィルムを薄くすることにより情報密度、容量等の
性能を向上させることが可能であるが、同時に薄くする
ことにより、その要求される強度を達成するために上記
範囲のヤング率を持つことが必要となる場合がある。芳
香族ポリアミドフィルムのヤング率の長手方向と巾方向
との和の上限は特に限定されないが、製造上の限界とし
ては4500kg/mm以下と考えられる。
【0032】本発明における芳香族ポリアミドフィルム
には、易滑性、巻取り性などのハンドリング性や、その
他用途固有の特性などを良好なものとする目的で、プラ
スチックフィルムにおいて一般的に行われているのと同
様、粒子などに起因する突起をその表面に形成させるこ
とにより、その特性を損なわない程度の表面粗さを持た
せることが好ましい。
【0033】本発明において、これらの目的に適う粒子
としては、例えば(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、
架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル
樹脂、メラミン―ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリア
ミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架
橋ポリエステル等からなる粒子)、(2)金属酸化物
(例えば、三二酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸
化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニ
ウム等)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウム等)、(4)金属の硫酸塩(例え
ば硫酸カルシウム、硫酸バリウム等)、(5)炭素(例
えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンド
等)、(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベ
ントナイト等)、(7)金属の水酸化物(例えば、水酸
化カルシウム等)が好ましく挙げられる。
【0034】これらのうち、特に、架橋シリコーン樹脂
粒子、架橋ポリスチレン粒子、メラミン―ホルムアルデ
ヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、三二酸化ア
ルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ
素、酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウム、合成炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫
酸バリウム、ダイアモンドおよびカオリンが好ましく、
とりわけ、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン
粒子、アルミナ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、水酸化
マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウムお
よび合成炭酸カルシウムが好ましい。
【0035】これらの粒子の中で、周期律表Ia族およ
びIIa族から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物
または炭酸塩からなる無機粒子は、芳香族ポリアミド重
合の工程中の中和剤の残渣として得る事も出来、重合工
程の段階において系内に十分分散しているために、製膜
工程およびその後の加工工程でのフィルム削れの原因と
なりうる粒子の凝集の心配も無い故に、本発明での好ま
しい無機粒子である。
【0036】かかる無機粒子として水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウ
ム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸リチウム、炭酸バリウム、炭酸ストロン
チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げら
れ、この中で好ましくは水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸リチウム、更に好ましくは水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、炭酸カル
シウムである。
【0037】これら粒子のフィルム内での平均粒径は5
〜2000nmであることが好ましい。さらに好ましく
は10〜1800nm、一層好ましくは30〜1500
nmである。
【0038】なお、無機粒子が、中和剤として添加され
る場合には、添加時の平均粒径が好ましくは10〜20
000nm、さらには30〜15000nmであること
がより好ましい。
【0039】本発明において、無機粒子を中和剤として
添加して、添加フィルム内での無機粒子の平均粒径を前
述の範囲となす手段は、特に限定されるものではない
が、例えば、中和剤添加工程において、反応系のpHが
上記平均粒径を与える適当なものになるよう中和剤の添
加量と粒径を調整するなどの方法が好ましく挙げられ
る。
【0040】中和剤としての添加時の無機粒子の粒径を
調整する手段についても、特に限定はないが、例えば、
溶媒に該粒子を分散した後、サンドグラインダーなどの
装置を用いて細粉化し、その分散液を濾過して粗大粒子
を除去する方法が好ましく挙げられる。
【0041】本発明においては、該無機粒子が、フィル
ムの表面の突起頻度が1×101〜1×108個/mm2
となるように含有されていると、磁気記録媒体等におけ
る、良好な電磁変換特性のための平坦性ならびに良好な
走行性や耐久性のための適度な粗さとの両立を要求され
る用途の場合に好ましい。突起頻度が10個/mm2
満だとフィルム表面が平坦すぎて、易滑性、巻取り性な
どのハンドリング性に劣る可能性があり、1×108
/mm2を越えると磁気記録媒体等に必要な、フィルム
表面の平坦性が損なわれる可能性がある。
【0042】本発明の芳香族ポリアミドを製造する方法
としては、従来公知の界面重合または溶液重合などを用
いることができ、溶液重合が好ましい。
【0043】溶液重合における重合溶媒としては、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル
ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスル
ホキシド、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、テトラ
メチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
などから選ばれた少なくとも一種を主成分として用いる
ことができる。
【0044】重合溶媒には、ポリマーの溶解性を改善す
る目的で、重合の前、途中あるいは終了時に、塩化カル
シウム、塩化リチウムなどの無機塩を適当量添加しても
よい。また、酸成分とアミン成分とは実質的に等モルで
反応させるが、重合度の制御などの目的でいずれかの成
分を過剰に用いることもできる。さらに末端封止剤とし
て少量の単官能性の安息香酸の如き酸成分、或いはアニ
リンの如きアミン成分を使用してもよい。また、反応に
よって生成する塩化水素を捕捉するために重合系に脂肪
族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を添加する
こともできる。
【0045】さらに、本発明の効果を阻害しない範囲
で、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、離
型剤、その他の添加剤や他のポリマーが添加されていて
もよい。
【0046】上記反応の終了後、中和反応を行う。この
中和反応は、固−液反応または液−液反応によって、例
えば固−液反応の場合、重合完了後のポリマー溶液に固
体中和剤の溶剤スラリーを投入するといった公知の方法
によって行ない得る。
【0047】この中和反応を行わないと、フィルム中に
ハロゲン元素が残存、詳しくは光電子分光法による測定
においてフィルム表面から検出される量のハロゲン元素
が残存するので、フィルムの焼却によってダイオキシン
などの環境に有害な物質が発生する可能性がきわめて高
いため好ましくない。
【0048】この時添加する中和剤としては、上述のよ
うに、周期律表Ia族およびIIa族から選ばれる少なくと
も1種の金属の水酸化物または炭酸塩からなる、好まし
くは平均粒径が10〜20000nm、さらに好ましく
は30〜15000nmの無機粒子を例示することがで
きる。
【0049】かかる芳香族ポリアミドの製法について
は、例えば、特公昭52−39719号公報、特公昭5
3−32828号公報などに詳しく記載されている。
【0050】上記の如く重合された後、芳香族ポリアミ
ドを含むポリマー原液は、アルコール、水などの溶媒の
中に投入し、再沈、分離された後、再び溶媒に溶解させ
てフィルムの成形に用いることもできるが、ポリマー原
液をそのまま、もしくは重合後に適宜濃度を調整して製
膜に用いることが好ましい。この時の濃度の調整は濃
縮、もしくは溶媒での希釈により行うことができる。か
かる溶媒としては、重合溶媒として前述例示したものと
同様なものを使用できる。
【0051】本発明の芳香族ポリアミドフィルムが優れ
た機械的性質を持つためには、製膜前のポリマーの対数
粘度が0.5dl/g以上であることが好ましく、1.
0dl/g以上であることがさらに好ましい。対数粘度
の上限としては、工程上の実際問題として重合系中の微
量の不純物による反応停止や溶液の不安定化などからポ
リマー重合度が制限されるため、最大6.5dl/g、
一般的には5.5dl/gと考えられる。
【0052】なお、製膜前のポリマーの対数粘度は、重
合後の芳香族ポリアミドを含むポリマー原液をアルコー
ル、水などの溶媒の中に投入し、再沈、分離されたポリ
マーを濃硫酸中、30℃で測定した値から求める。
【0053】上記の如く調整されたポリマー原液は、フ
ィルターによって濾過された後、溶液製膜法によりフィ
ルム化される。
【0054】溶液製膜法としては、乾湿式法、湿式法ま
たは乾式法などが挙げられるが、乾湿式法、湿式法が上
述の中和反応で生成した塩を除去できる点で好ましい。
【0055】乾式法によっても表面性のよいフィルムを
得ることができるが、このプロセスには重合工程で生成
した中和塩を除去する工程が含まれないため、フィルム
表面に光電子分光法によって検出される量のハロゲン元
素がイオンとして残存する可能性があり、フィルムの焼
却によってダイオキシンなどの環境に有害な物質が発生
する可能性が生じる。
【0056】湿式法で製膜する場合には、該原液を口金
から直接製膜用浴中に押出すか、または一旦ドラムなど
の支持体上に押出し、支持体ごと湿式浴中に導入する方
法を用いるのが好ましい。この浴は一般に水系媒体から
なるものであり、水のほかに有機溶媒や無機塩などを含
有していてもよい。
【0057】湿式浴を通すことでフィルム中に含有され
た塩類、有機溶媒などの抽出を行うことができ、特に中
和塩類をフィルム中から除くことができるので、光電子
分光法による測定においてフィルム表面から検出される
量のハロゲン元素が残存させないためにも好ましい。こ
れら湿式浴全体を通過する時間はフィルムの厚みにもよ
るが、10秒〜30分であることが好ましい。
【0058】湿式浴を出たポリマーは、長手方向に延
伸、好ましくは1.5〜6.0倍に延伸し、次いで乾
燥、横方向に延伸、好ましくは1.5〜6.0倍に延伸
し、熱処理を行う。これらの延伸、熱処理は一般に10
0〜500℃で、合計で1秒〜30分であることが好ま
しい。
【0059】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押出して
薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜
が自己保持性を持つまで乾燥する。乾燥条件は室温〜3
00℃、60分以内が好ましい。乾式工程を終えたフィ
ルムは支持体から剥離されて湿式工程に導入し、上記の
湿式法と同様に脱塩、脱溶媒などを行い、さらに延伸、
乾燥、熱処理を行ってフィルムとする。
【0060】上記工程で得られるフィルムの厚みは特に
限定されないが、0.1〜500μm、さらに0.1〜
200μm、特に0.1〜50μmであることが好まし
い。
【0061】フィルムの厚みが上記の範囲にあるとき、
強度、易滑性、巻取り性などのハンドリング性に優れ、
かつ高い耐削れ性を示し、磁気記録媒体、熱転写記録
体、コンデンサ用誘電体、印刷回路基板等に好適に用い
ることができる。
【0062】また、本発明における芳香族ポリアミドフ
ィルムはその表面に、易接、易滑、帯電防止などの目的
で、本発明の効果を阻害しない範囲の薄い被膜層を設け
ることも必要に応じて可能である。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。なお、本発明における種々
の物性値および特性は以下の如く測定されたものであり
また定義される。
【0064】(1)ポリマー溶液のpH 製膜原液などの重合後の芳香族ポリアミドを含むポリマ
ー溶液5gを採取し、300mlの水に加え、2分間撹
拌した後に該水溶液のpHを測定した。
【0065】(2)対数粘度 重合後の芳香族ポリアミドを含むポリマー原液をアルコ
ール、水などの溶媒の中に投入し、再沈、分離されたポ
リマーを濃硫酸中、30℃で測定した値から求めた。
【0066】(3)フィルム表面のハロゲン元素検出 10mm×10mmにサンプリングした該フィルムにつ
いて、X線光電子分光装置(VG社製、ESCALAB
−200)により、励起X線はMg−Kα線を用いて測
定した。得られたスペクトルから、ハロゲン元素(F、
Cl、Br、I)の検出の有無により、次の基準により
判定した。 ハロゲン元素が検出されない ○ ハロゲン元素が検出される × ハロゲン元素検出は、以下の基準により判定した。 F元素; 1s軌道由来のピークが結合エネルギー68
0〜693eV近辺の場所に現れた場合にF元素が存在
するとみなす。 Cl元素; 2p軌道由来のピークが結合エネルギー1
95〜205eV近辺の場所に現れた場合にCl元素が
存在するとみなす。 Br元素; 3d軌道由来のピークが結合エネルギー6
5〜75eV近辺の場所に現れた場合にBr元素が存在
するとみなす。 I元素; 3d軌道由来のピークが結合エネルギー61
5〜625eV近辺の場所に現れた場合にI元素が存在
するとみなす。
【0067】(4)フィルムの燃焼ガス JIS K 7217に準拠し、乾燥空気を支燃ガス
(流量0.5l/min)として350℃にて該フィル
ムの1.0kgを燃焼させ、厚生省策定(1996年8
月)の「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定分析マ
ニュアル」に記載の方法で、捕集した燃焼ガスをガスク
ロマトグラフ質量分析器にて分析する。分析結果から次
の基準により判定した。 PHDDおよびPHDFが検出されない ○ PHDDおよびPHDFが検出される × ここで、PHDDとはパーハロゲノジベンゾダイオキシ
ン、PHDFとはパーハロゲノジベンゾフランのことで
ある。さらに詳しくは、四ハロゲン化物〜八ハロゲン化
物をもって、PHDDおよびPHDFとする。また、
「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定分析マニュア
ル」に記載されているように、クロマトグラムのチャー
トにおけるS/N比が3未満の場合にPHDDおよびP
HDFが検出されないとした。さらに、PHDDおよび
PHDFのうち、PCDD(パークロロジベンゾダイオ
キシン)およびPCDF(パークロロジベンゾフラン)
の検出は、「廃棄物処理におけるダイオキシン類測定分
析マニュアル」に記載された標準物質およびモニターイ
オンを用い、その他のPHDDおよびPHDFの検出
は、該マニュアルに記載の塩素化物のCl原子を対象と
するハロゲン原子に置き換えた標準物質、およびCl原
子を対象とするハロゲン原子に置き換えることにより算
出される質量のモニターイオンを用いて行った。
【0068】(5)フィルム密度 該フィルムの小片を、硝酸カルシウム水溶液の濃度勾配
により作成した密度勾配管中に静かに投入し、12時間
放置後のフィルム位置を測定した。密度既知のサンプル
を用いてあらかじめ作成した勾配管中位置〜密度の相関
式からフィルム密度を計算した。
【0069】(6)粒子の平均粒径 (a)ポリマー溶液中添加前の平均粒径 島津制作所製CP−50型セントリフューグル パーテ
ィクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle
Size Analyzer)を用いて測定した。得られた遠心沈降曲
線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲
線から、50重量%に相当する粒径を読み取り、この値
を平均粒径とした(「粒度測定技術」日刊工業新聞発
行、1975年、242〜247ページ参照)。
【0070】(b)フィルム中での平均粒径 該フィルムを、塩化リチウムを3重量%含有するN−メ
チルピロリドン(以下「N−メチルピロリドン」のこと
をNMPと略することがある)中に100℃、30分撹
拌して溶解し、NMP不溶の残渣について(a)と同様
の測定を行った。
【0071】また、確認のため、同じサンプルを、該フ
ィルムの小片をエポキシ樹脂(リファインテック(株)
製、エポマウント)中に包埋し、Reichert-Jung社製Micr
otome2050を用いて包埋樹脂と共に60nm厚にスライ
スし、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−800
型)にて観察し、粒子の断面を25個選びそれぞれ粒径
を求め平均した。その結果、前者と同じ値が得られた。
【0072】[実施例1]パラフェニレンジアミン25
モル%と、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル25
モル%をアミン成分とし、テレフタル酸クロライド50
モル%を酸成分としてNMP(N−メチルピロリドン)
中で重合した。一方、平均粒径8000nmの水酸化カ
ルシウム(井上石灰製)を、ホモジナイザーでNMP中に
分散し、サンドグラインダーで平均粒径3000nmと
なるように細粉化した後、フィルター(日本ポール製、
HDCII、目開き50μm)で濾過して、平均粒径20
00nmの水酸化カルシウムのNMPスラリーを作成し
た。このスラリーを上記の重合物に、テレフタル酸クロ
ライド50モル%に対し水酸化カルシウムが50.3モ
ル%となるように添加し、製膜原液とした。この製膜原
液のpHは4.7であった。また、ポリマーの対数粘度
は3.5であった。
【0073】得られた製膜原液を100℃に加熱し、1
00℃の口金から、100℃の金属ベルト上に流延し、
100℃で2分間乾燥後、120℃、150℃と段階的
に温度を上げ、合計で10分間乾燥させて自己保持性を
持つ未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを連続
的にベルトから剥離して水槽中に導入し、脱溶媒と脱塩
とを行い、その後、150℃で15分間乾燥した。
【0074】得られた未延伸フィルムを低速、高速のロ
ール間でフィルム温度350℃で2.5倍に延伸し、続
いてステンターに供給して、400℃で3.0倍に延伸
し、得られた二軸延伸フィルムを400℃で1分間熱処
理し、最終厚み4.0μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。
【0075】得られたフィルム中での中和剤残渣の平均
粒径は400nmであった。その他のフィルム物性およ
び特性について表1に示す。
【0076】[実施例2]中和剤として実施例1と同様
の処理を施した水酸化リチウムのNMP分散体を用い、
実施例1と同様の重合物に、テレフタル酸クロライド5
0モル%に対し水酸化リチウムが50.0モル%となる
ように添加した。ついで、さらに前もってNMP中に分
散させておいた平均粒径16nmのシリカを添加して製
膜原液とした(製膜原液pH=3.6、ポリマー対数粘
度=3.5)。それ以外は、実施例1と同様にして芳香
族ポリアミドフィルムを得た。フィルム物性および特性
について表1に示す。
【0077】[実施例3]中和剤を炭酸リチウムに変え
た以外は、実施例2と同様にして芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。フィルム物性および特性について表1に示
す。
【0078】[実施例4]中和剤を炭酸カルシウムに変
えた以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。フィルム物性および特性について表1に
示す。
【0079】[実施例5]中和剤を水酸化マグネシウム
に変えた以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。フィルム物性および特性について表
1に示す。
【0080】[実施例6]アミン成分(計50モル%)
のモル比を、パラフェニレンジアミン37.5モル%
と、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル12.5モ
ル%とした以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリア
ミドフィルムを得た。フィルム物性および特性について
表1に示す。
【0081】[実施例7]アミン成分(計50モル%)
のモル比を、パラフェニレンジアミン12.5モル%
と、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル37.5モ
ル%とした以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリア
ミドフィルムを得た。フィルム物性および特性について
表1に示す。
【0082】[比較例1]2−クロルパラフェニレンジ
アミン40モル%と、4,4’−ジアミノジフェニルエ
ーテル10モル%をアミン成分とし、2−クロルテレフ
タル酸クロライド50モル%を酸成分とし、ついで、さ
らに前もって分散させておいた平均粒径16nmのシリ
カを添加して製膜原液とした以外は、実施例1と同様に
して芳香族ポリアミドフィルムを得た。フィルム物性お
よび特性について表1に示す。該芳香族ポリアミドフィ
ルムは主鎖中芳香核水素がCl置換されたモノマー成分
を用いているため、光電子分光法によりCl原子が検出
され、燃焼ガス中にもPCDDおよびPCDFが検出さ
れた。本比較例の如きフィルムを用いた製品の廃棄物を
焼却処分するとダイオキシンなどの環境に有害な物質が
発生する可能性がきわめて高く、好ましくない。また、
密度も大き過ぎて、薄膜における強度に優れながらも軽
量であるという本発明の目的を発揮し得ず、且つ体積あ
たりの重量が大きいため、製造工程あるいは物流段階で
消費されるエネルギーも膨大なものとなるので、環境保
全の観点からも好ましくない。
【0083】[比較例2]テレフタル酸クロライド50
モル%を酸成分とした以外は、比較例1と同様にして芳
香族ポリアミドフィルムを得た。フィルム物性および特
性について表1に示す。該芳香族ポリアミドフィルムは
主鎖中芳香核水素がCl置換されたモノマー成分を用い
ているため、光電子分光法によりCl原子が検出され、
燃焼ガス中にもPCDDおよびPCDFが検出された。
本比較例の如きフィルムを用いた製品の廃棄物を焼却処
分するとダイオキシンなどの環境に有害な物質が発生す
る可能性がきわめて高く、好ましくない。また、密度も
大き過ぎて、薄膜における強度に優れながらも軽量であ
るという本発明の目的を発揮し得ず、且つ体積あたりの
重量が大きいため、製造工程あるいは物流段階で消費さ
れるエネルギーも膨大なものとなるので、環境保全の観
点からも好ましくない。
【0084】[比較例3]パラフェニレンジアミン40
モル%と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10
モル%をアミン成分とした以外は、比較例1と同様にし
て芳香族ポリアミドフィルムを得た。フィルム物性およ
び特性について表1に示す。該芳香族ポリアミドフィル
ムは主鎖中芳香核水素がCl置換されたモノマー成分を
用いているため、光電子分光法によりCl原子が検出さ
れ、燃焼ガス中にもPCDDおよびPCDFが検出され
た。本比較例の如きフィルムを用いた製品の廃棄物を焼
却処分するとダイオキシンなどの環境に有害な物質が発
生する可能性がきわめて高く、好ましくない。また、密
度も大き過ぎて、薄膜における強度に優れながらも軽量
であるという本発明の目的を発揮し得ず、且つ体積あた
りの重量が大きいため、製造工程あるいは物流段階で消
費されるエネルギーも膨大なものとなるので、環境保全
の観点からも好ましくない。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、強度に優れ、焼却によ
ってダイオキシン等の有害物質を発生しないため環境保
全性に優れ、しかも軽量であるため、それを用いた小型
機器の製造に有利な無公害性芳香族ポリアミドフィルム
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA22 AA31 AA41 AA56 AA60 AA67 AA82 AA88 AB03 AB18 AB21 AB24 AB26 AB30 AD02 AE12 AE22 AF01Y AF53Y BB08 BC01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドからなるフィルムであ
    って、光電子分光法による測定においてフィルム表面か
    らハロゲン元素が検出されないことを特徴とし、かつそ
    の密度が1.25〜1.41g/cm3であることを特
    徴とする無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミドからなるフィルムであ
    って、光電子分光法による測定においてフィルム表面か
    らハロゲン元素が検出されず、かつ該フィルムを燃焼さ
    せ、捕集した燃焼ガス中にパーハロゲノジベンゾダイオ
    キシン(PHDD)およびパーハロゲノジベンゾフラン
    (PHDF)がガスクロマトグラフ法により検出されな
    いことを特徴とする請求項1に記載の無公害性芳香族ポ
    リアミドフィルム。
  3. 【請求項3】 光電子分光法による測定においてフィル
    ム表面から検出されないハロゲン元素がCl元素であ
    り、かつ該フィルムの燃焼ガス中から検出されないPH
    DDおよびPHDFがパークロロジベンゾダイオキシン
    (PCDD)およびパークロロジベンゾフラン(PCD
    F)であることを特徴とする請求項2に記載の無公害性
    芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリアミドが、下記一般式で表わ
    される高分子化合物である請求項1、2または3に記載
    の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。 【化1】-(-CO-Ar1-CONH-Ar2-NH-)k-(-C
    O-Ar3-CONH-Ar4-Y1-Ar5-NH-)l-(-CO-
    Ar6-NH-)m-(-CO-Ar7-Y2-Ar8-NH-)n- {式中でk、l、mおよびnはそれぞれ0または正の整数を
    表わす。Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6
    Ar7およびAr8はそれぞれ一般式 -C6p4-p-、-
    6p4-p-C6s4-s-、および-C10q6-q-から
    選ばれる芳香核含有の原子団を表わす(ここでpおよび
    sはそれぞれ0〜4の整数、qは0〜6の整数、Rはニ
    トロ基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数
    1〜3のアルコキシ基およびトリアルキルシリル基から
    選ばれる原子団を表わす)。Y1、Y2はそれぞれO、CH
    2、C(CH3)2、SO2、SおよびCOから1種選ばれる
    原子または原子団を表わす。}
  5. 【請求項5】 芳香族ポリアミドが、主鎖を形成する芳
    香核の全成分に対し、芳香核に結合する主鎖形成基がパ
    ラ配向性である芳香核の割合が、50〜99.5モル%
    の間にある芳香族ポリアミドである請求項1、2、3ま
    たは4に記載の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  6. 【請求項6】 芳香族ポリアミドが、酸成分としてテレ
    フタル酸、アミン成分としてp−フェニレンジアミンお
    よび3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いてな
    る高分子化合物である請求項1、2、3、4または5に
    記載の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  7. 【請求項7】 製膜前のポリマーの対数粘度が0.5d
    l/g以上である請求項1、2、3、4、5または6に
    記載の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  8. 【請求項8】 フィルムの厚みが0.1〜500μmで
    ある請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の無
    公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  9. 【請求項9】 面積倍率にして5.0倍以上に延伸さ
    れ、かつフィルムの長手方向と巾方向のヤング率の和が
    2000kg/mm2以上である二軸延伸フィルムであ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7
    または8に記載の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  10. 【請求項10】 フィルム内での平均粒径が5〜200
    0nmの無機粒子をフィルム中に含有することを特徴と
    する請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に
    記載の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  11. 【請求項11】 無機粒子が、フィルムの表面の突起頻
    度が1×101〜1×108個/mm2となるように含有
    されていることを特徴とする請求項10に記載の無公害
    性芳香族ポリアミドフィルム。
  12. 【請求項12】 フィルム中に含有される無機粒子が、
    周期律表Ia族およびIIa族から選ばれる少なくとも1種
    の金属の水酸化物または炭酸塩からなり、該無機粒子が
    芳香族ポリアミド重合工程中の中和剤の残渣として得ら
    れるものであることを特徴とする請求項10または11
    に記載の無公害性芳香族ポリアミドフィルム。
  13. 【請求項13】 中和剤の残渣として得られる無機粒子
    が、芳香族ポリアミド重合工程中に添加される前の平均
    粒径が10〜20000nmの中和剤からなるものであ
    る請求項10、11または12に記載の無公害性芳香族
    ポリアミドフィルム。
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