JP2000097927A - 酸化剤による影響を排除する方法 - Google Patents

酸化剤による影響を排除する方法

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JP2000097927A
JP2000097927A JP10265275A JP26527598A JP2000097927A JP 2000097927 A JP2000097927 A JP 2000097927A JP 10265275 A JP10265275 A JP 10265275A JP 26527598 A JP26527598 A JP 26527598A JP 2000097927 A JP2000097927 A JP 2000097927A
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Taneki Komori
胤樹 小森
Satoshi Yonehara
聡 米原
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KDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化還元反応を用いた測定方法において、試
料中の還元物質の作用を消去するために添加した酸化剤
による影響を排除する方法を提供する。 【解決手段】 試料に酸化剤を添加して、前記試料中の
還元物質の影響を排除した後、これにBicine等の処理剤
を添加すれば、過剰量の酸化剤による影響を排除でき、
正確な測定が行える。試料中の過酸化水素量を測定する
場合は、前記試料に、酸化剤としてヨード酢酸ナトリウ
ムを添加して、前記試料中の還元物質の影響を排除した
後、前記試料とヨード酢酸ナトリウムとの混合液に、処
理剤としてBicine処理液を添加することにより、前記ヨ
ード酢酸ナトリウムの影響を排除する。そして、これに
ペルオキシダーゼとDA−64とを添加して、前記過酸化水
素との酸化還元反応を行い、前記DA−64を発色させる。
この方法によれば、図1に示すように、従来よりも正確
に過酸化水素量を測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、試料中の還元物質
の作用を消去するために添加した酸化剤による影響を排
除する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、酸化還元反応等を利用して試
料中の物質を測定することは、広く実施されており、例
えば、生化学分析や臨床検査等でのグルコースや糖タン
パク質等の測定にも適用されている。
【0003】血液や尿中等のグルコースは、糖尿病の診
断や治療における重要な指標とされており、前記グルコ
ースは、例えば、つぎのようにして測定することができ
る。
【0004】まず、試料中のグルコースを、酸素および
水の存在下で、グルコースオキシダーゼにより処理し
て、過酸化水素を発生させる。この過酸化水素量は、前
記試料中のグルコース量に対応する。そして、この試料
に、ペルオキシダーゼ(POD)および還元剤を添加
し、前記過酸化水素と還元剤との間で酸化還元反応を起
こす。この時、前記還元剤として酸化によって発色する
ような還元剤(以下、「発色性基質」ともいう)を用い
れば、この発色を測定することにより前記過酸化水素量
を測定でき、この結果、前記試料中のグルコースの量を
知ることができる。
【0005】また、前記グルコースの他に、血液中の糖
タンパク質、特に、赤血球中のヘモグロビンA1c(H
bA1c)も、生体内血糖値の過去の履歴を反映してい
るため、糖尿病診断等の重要な指標とされている。この
HbA1cは、例えば、フルクトシルアミノ酸オキシダ
ーゼ(FAOD)処理により過酸化水素を発生させ、こ
れを前記グルコースの測定と同様に、酸化還元反応を利
用することによって測定できる。
【0006】しかし、生体試料中には、通常、還元物質
が存在するため、これが酸化還元反応に影響を及ぼす。
例えば、血液中には、グルタチオン(GSH)やアスコ
ルビン酸(AsA)等の各種還元物質が存在する。この
ように、試料中に還元物質が存在すると、前記過酸化水
素が前記還元物質で還元されたり、また前記PODが触
媒する酸化還元反応が阻害され、正確に試料中の測定対
象物を測定できない。
【0007】この問題を解決するために、試料に種々の
酸化剤を添加することによって、前記試料中の還元物質
の影響を排除することが検討されている。しかし、前記
還元物質の影響を排除するために過剰量添加した酸化剤
が、一方では、酸化還元反応等に影響を及ぼすため、前
記試料中の測定対象物を正確に測定できないおそれがあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、試料中の還元物質の作用を消去するために添加した
前記酸化剤による影響を排除する方法を提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の方法は、試料中の還元物質の作用を消去す
るために添加した酸化剤による影響を排除する方法であ
って、Bicine、TES、HEPES、HEPPS
O、DIPSO、POPSO、EPPS、グリシルグリ
シン、トリス、TAPSO、PIPES、TAPS、T
ricine、MOPSO、ACES、MOPS、AD
A、BESおよびリン酸塩からなる群から選択された少
なくとも一つの処理剤を前記試料に添加することによ
り、前記影響を排除する方法である。
【0010】本発明者らは、試料中に添加した酸化剤の
影響を排除することを目的に、一連の研究を行った結
果、前記試料に添加した酸化剤に、前記処理剤をさらに
添加すれば、前記酸化剤による影響を排除できることを
見い出し、本発明に至った。この方法によれば、試料中
の測定対象物を正確に測定することが可能である。な
お、前記処理剤の添加により前記酸化剤の影響を排除で
きる理由は、不明である。
【0011】前記処理剤のそれぞれの正式名称(化合物
名)を下記に示す。 Bicine:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
グリシン TES :N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル
−2−アミノエタンスルホン酸 HEPES :N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−
N′−2−エタンスルホン酸 HEPPSO:N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−
N′−3−プロパンスルホン酸 DIPSO :3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエ
チル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸 POPSO :ピペラジン−N,N′−ビス(2−ヒド
ロキシプロパン−3−スルホン酸) EPPS :3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−
1−ピペテジニル]プロパンスルホン酸 トリス :トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン TAPSO :N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル
−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸 PIPES :ピペラジン−1,4−ビス(2−エタン
スルホン酸) TAPS :N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル
−3−アミノプロパンスルホン酸 Tricine:N−[トリス(ヒドロキシメチル)メ
チル]グリシン MOPSO :3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキ
シプロパンスルホン酸 ACES :N−(2−アセトアミド)−2−アミノ
エタンスルホン酸 MOPS :3−(N−モルホリノ)プロパンスルホ
ン酸 ADA :N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸 BES :N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
−2−アミノエタンスルホン酸
【0012】なお、これらの処理剤は、単独で使用して
も、二種類以上を併用してもよい。
【0013】本発明の方法において、前記酸化剤として
は、例えば、ヨード酢酸ナトリウム、ヨード酢酸、ヨー
ドアセトアミド、p−クロロメルクリ安息香酸(PCM
B)、p−メルクリ安息香酸(PMB)、p−メルクリ
ベンゼンスルホン酸(PMBS)等が使用できる。
【0014】本発明の方法において、前記酸化剤として
は、ヨード酢酸ナトリウムを、前記処理剤としては、B
icineをそれぞれ用いることが好ましい。
【0015】本発明の方法において、前記還元物質およ
び酸化剤のそれぞれの影響の排除は、前記各影響の全部
排除であってもよいし、一部排除であってもよい。すな
わち、実質的にそれぞれの影響が排除されればよい。
【0016】本発明の方法は、試料中の還元物質が問題
となる測定方法であれば、特に制限されず、例えば、酸
化還元反応を用いた測定方法、ポテンショメトリーによ
る測定方法等、またはこれらの測定方法に用いる試料の
前処理方法等に好ましく適用できる。
【0017】また、本発明の方法において、前記酸化剤
と処理剤とを前記試料に添加するのは、例えば、酸化還
元反応やポテンショメトリーによる反応等の前であれ
ば、特に制限されないが、例えば、酸化還元反応を用い
た測定方法に適用する場合、前記酸化還元反応の基質と
なる酸化物が試料に存在する前に行うことが好ましい。
【0018】また、本発明の方法において、前記酸化剤
と処理剤との前記試料への添加順序は、特に制限されな
いが、例えば、前記酸化剤を前記試料に添加した後、こ
の混合液に前記処理剤を添加することが好ましい。この
順序によれば、前記酸化剤によって前記試料中の還元物
質の影響を十分に排除した後、前記処理剤によって前記
酸化剤の影響を排除することができるため、前記両影響
を効率よく排除でき、試料中の測定対象物をより正確に
測定できる。この他にも、例えば、前記酸化剤と処理剤
とを同時に前記試料に添加してもよいし、また、前記処
理剤を前記試料に添加した後、この混合液に酸化剤を添
加してもよい。
【0019】本発明の方法において、例えば、試料中に
前記処理剤が存在する条件で、酸化還元反応等を用いた
測定を行うことが好ましい。前記処理剤の存在下で酸化
還元反応を行えば、この酸化還元反応に対する前記酸化
剤の影響を確実に排除できるからである。また、前記酸
化還元反応に限定されず、前記処理剤が存在する条件
で、ポテンショメトリー反応等により測定してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の方法について、
血球中の糖タンパク質を測定した例をあげて説明する。
なお、前記糖タンパク質の測定は、溶血試料に本発明を
用いた前処理を行うことにより、還元物質および酸化剤
の影響を排除した後、FAOD処理によって生成した過
酸化水素を、酸化還元反応を用いて測定することによっ
て行える。
【0021】まず、全血から遠心分離等の常法により血
球画分を分離し、これを溶血する。この溶血方法は、特
に制限されず、例えば、界面活性剤を用いる方法、超音
波による方法、浸透圧の差を利用する方法等が使用でき
る。このなかで、操作の簡便性等の理由から、界面活性
剤を用いる方法が好ましい。
【0022】前記界面活性剤としては、例えば、Tri
tonX−100、Tween−20、Brij35等
が使用できる。
【0023】つぎに、前記溶血試料に対し、前記酸化剤
および前記処理剤によって、本発明を用いた前処理を行
う。まず、前記溶血試料に前記酸化剤を混合する。
【0024】前記酸化剤は、そのまま使用してもよい
が、操作の簡便性や処理の効率等の点から、酸化剤溶液
として使用することが好ましい。また、その添加濃度
は、試料の種類等により適宜決定されるが、試料中の還
元物質の影響を完全に排除できるように、過剰濃度であ
ることが好ましい。
【0025】そして、予め前記処理剤を水に溶解した溶
液(以下「処理液」という)を調製し、前記試料と酸化
剤との混合液に、前記処理液を添加する。なお、前記処
理液は、緩衝能を有するため、後述する各種酵素反応に
おいて、緩衝液としてそのまま使用できる。このため、
前記処理液は、pH7〜8の範囲の緩衝液であることが
好ましい。
【0026】また、前記処理液の添加濃度は、前記酸化
剤の添加濃度等により適宜決定されるが、前記酸化剤の
影響を完全に排除できるように、過剰濃度であることが
好ましい。前記処理液は、単独使用でもよいし、二種類
以上を併用してもよい。
【0027】なお、前述のように、前記溶血試料に対す
る、前記酸化剤および処理剤の添加順序は、特に制限さ
れない。
【0028】具体例として、Bicineとヨード酢酸
ナトリウムとを用いた前処理は、次のようにして行う。
まず、pH7〜8、濃度0.1〜0.5mol/リット
ルであるBicine処理液を調製する。そして、前記
溶血試料0.5〜1mlに、濃度0.5〜1重量%のヨ
ード酢酸ナトリウム溶液0.1〜0.5mlを加えて混
合してから、この混合液に前記Bicine処理液を加
えて混合し、前処理を行う。この前処理温度は、通常、
30〜37℃の範囲である。
【0029】つぎに、この前処理済みの試料に対し、プ
ロテアーゼ処理を行う。これは、FAODが、タンパク
質や長鎖ペプチドに作用し難いため、予め、前記試料中
の糖タンパク質のタンパク質部分をアミノ酸や短鎖ペプ
チドに分解するためである。
【0030】つぎに、前記プロテアーゼ処理した試料
を、FAODで処理する。このFAOD処理により、下
記式(1)に示す反応が触媒される。下記式(1)にお
いて、R1 は、糖のアルドース残基を示し、R2 はタン
パク質、ペプチドまたはアミノ酸を示す。
【0031】
【化1】
【0032】この反応は、通常、水および酸素の存在下
で起こるため、過酸化水素が生成する。
【0033】つぎに、前記FAOD処理で生じた過酸化
水素を、PODおよび還元剤を用いた酸化還元反応を利
用して測定する。
【0034】前記還元剤としては、先に述べたように発
色性基質を使用することが好ましい。前記発色性基質と
しては、例えば、DA−64、オルトフェニレンジアミ
ン(OPD)、トリンダー試薬とアミノアンチピリンを
組み合わせた還元剤等があげられ、特に好ましくはDA
−64である。前記酸化還元反応は、通常、緩衝液中で
行われ、その条件は、過酸化水素濃度等により適宜決定
される。通常、反応液中のPOD濃度1〜10000I
U/リットル、反応温度20〜37℃、反応時間1〜5
分、pH6〜9である。また、前記緩衝液は、例えば、
新たにトリス塩酸緩衝液、EPPS緩衝液、PIPES
緩衝液等を調製して使用してもよいが、操作の簡便性等
の点から、前述のように、先に添加した前記処理液を、
そのまま緩衝液として用いることが好ましい。
【0035】前記酸化還元反応において、例えば、発色
性基質を用いた場合は、その発色(反応液の吸光度)を
分光光度計で測定することにより、過酸化水素の濃度を
測定でき、これから試料中の糖タンパク質濃度を知るこ
とができる。
【0036】この測定方法において、前記試料の前処理
工程は、前述のように、酸化還元反応前であれば、特に
制限されないが、前記FAOD処理後に過酸化水素が発
生することから、前記FAOD処理の前に行うことが好
ましい。
【0037】また、この測定方法において、各処理工程
は、前述のように別々に行ってもよいが、同時に行って
もよい処理工程がある。例えば、FAOD処理と酸化還
元処理は同時に行うことができる。すなわち、プロテア
ーゼ処理済みの試料に、例えば、FAOD、PODおよ
び発色性基質を同時に添加し、一定時間反応させたの
ち、反応液の吸光度を測定してもよい。この他に、界面
活性剤による溶血処理と、プロテアーゼ処理とを同時に
行うことも可能である。
【0038】このように、本発明の方法を適用すれば、
還元物質を含む試料であっても、酸化還元反応等を用い
て、測定対象物を高精度で測定できる。本発明の方法を
適用できる試料は、前記血球に限定されず、この他に、
ジュース等の飲料水、醤油、ソース等の食品類等があげ
られる。
【0039】また、本発明の方法において、その影響が
排除の対象となる試料中に存在する還元物質は、特に限
定されず、例えば、GSH、AsA、ジチオスレイトー
ル、システイン、N−アセチル−システイン等があげら
れる。
【0040】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について、比較例と
併せて説明する。
【0041】(実施例1および比較例1)この実施例
は、GSHにヨード酢酸ナトリウムとBicineとを
添加して、前記GSHの影響およびヨード酢酸ナトリウ
ムの影響を排除した例である。この実施例で用いた試薬
等の組成および酸化還元反応を用いた測定の操作方法を
下記に示す。
【0042】(GSH溶液)純水に、GSH(G−42
51、SIGMA社製、以下同じ)を0.1mmol/
リットルの濃度になるように添加して調製した。
【0043】(ヨード酢酸ナトリウム溶液)純水に、ヨ
ード酢酸ナトリウム(アルドリッチ社製、以下同じ)を
1.0mol/リットルの濃度になるように添加して調
製した。
【0044】(過酸化水素溶液)純水に、過酸化水素
(三徳化学社製、以下同じ)を60μmol/リットル
の濃度になるように添加して調製した。
【0045】(酸化還元反応溶液A)純水に、下記試薬
を下記濃度になるように添加して調製した。 POD(東洋紡社製) 28.6KU/リットル DA−64(和光純薬社製) 0.246mmol/リットル
【0046】(処理液)0.5M Bicine処理液
(pH8.0:同仁化学社製、以下同じ)
【0047】(操作方法)前記Bicine処理液0.
4mlに対して、前記酸化還元反応溶液A0.35m
l、前記GSH溶液0.1mlおよび前記ヨード酢酸ナ
トリウム溶液0.1mlをこの順序で添加し、この混合
液に前記過酸化水素溶液0.05mlを添加することに
より、酸化還元反応を開始した。そして、20秒間反応
させた後、この反応液の波長726nmの吸光度を、日
立U−3300分光光度計(日立製作所製)を用いて5
分間測定した。また、比較例として、ヨード酢酸ナトリ
ウム無添加の場合の吸光度を測定した。これは、前記ヨ
ード酢酸ナトリウム溶液のかわりに、同量の前記Bic
ine処理液を用いた以外は、前述の操作方法と同様に
して測定した。これらの結果を下記表1に示す。
【0048】また、前記操作方法より得られた吸光度
と、添加した過酸化水素量に相当する吸光度の理論値と
を比較することにより、前記操作方法による測定の精度
を評価した。前記理論値は、下記の式から求めた。下記
式において、Aは吸光度、εは発色物質のモル吸光係
数、cは反応液中の測定対象物のモル濃度(mol/リ
ットル)、lは、吸光層の厚み(cm)をそれぞれ示
す。
【0049】
【数1】A=ε×c×l
【0050】前記測定条件において、発色物質DA−6
4のモル吸光係数(ε)は90000、過酸化水素のモ
ル濃度(c)は3μmol/リットル、吸光層の厚み
(l)は1cmであり、これらの数値を代入し、前記式
より求めた前記吸光度(A)の理論値は、0.27であ
る。
【0051】
【表1】 時間(秒) 吸光度(Abs.) 実施例1 比較例1 0 0.240 0.184 50 0.238 0.170 100 0.237 0.160 150 0.235 0.147 200 0.234 0.134 250 0.232 0.126 300 0.230 0.118
【0052】前記表1に示すように、実施例では、ヨー
ド酢酸ナトリウムおよびBicineを、GSHに添加
することによって、安定した吸光度を得ることができ
た。また、反応後300秒経過した時点での実施例の吸
光度(Abs.=0.23)は、前記吸光度の理論値
(Abs.=0.27)に近い値であった。この結果か
ら、ヨード酢酸ナトリウムとBicineとを用いた処
理により、試料中のGSHおよびヨード酢酸ナトリウム
の影響が十分に排除され、正確に測定できたことがわか
る。これに対し、比較例では、GSHの影響が排除され
ていないため、その吸光度は時間の経過に伴なって減少
し、正確な測定ができなかった。
【0053】(実施例2および比較例2)この実施例
は、還元物質を含む溶血試料に、ヨード酢酸ナトリウム
およびBicineを添加した例である。なお、測定対
象物は、過酸化水素である。この実施例で用いた試料お
よび酸化還元反応を用いた測定の操作方法を下記に示
す。
【0054】(試料)健常者の全血を3000rpmで
30分間遠心分離し、その血球画分を分離した。これを
1%TritonX−100(和光純薬社製、以下同
じ)溶液で10倍(v/v)希釈し、室温で攪拌するこ
とにより溶血処理を行った後、これを前記Bicine
処理液で20倍(v/v)希釈し、溶血試料とした。
【0055】(操作方法)前記試料1.0mlに、前記
1.0mol/リットルのヨード酢酸ナトリウム溶液
0.2mlおよび実施例1と同じ酸化還元反応溶液A
0.7mlをこの順序で添加し、37℃で2分間インキ
ュベートした。そして、この混合液に240μmol/
リットルの過酸化水素溶液0.1mlを添加することに
より、酸化還元反応を開始し、3分間の吸光度を測定し
た。なお、測定は、同試料について、5回(n=5)行
った。また、比較例として、ヨード酢酸ナトリウム無添
加の場合の吸光度を測定した。これは、前記ヨード酢酸
ナトリウム溶液のかわりに同量の前記Bicine処理
液を用いた以外は、前述の操作方法と同様にして測定し
た。これらの結果を図1のグラフに示す。同図中のa
は、実施例の各吸光度(n=5)を示し、bは、比較例
の吸光度を示す。
【0056】図1のグラフに示すように、実施例では、
反応終了後、時間が経過しても安定した吸光度が得られ
た。これに対し、比較例では、還元物質の影響が排除さ
れていないため、その吸光度は時間の経過にともなって
減少し、安定した吸光度が得られなかった。
【0057】(実施例3および比較例3)この実施例
は、実施例2と同様に、還元物質を含む血球試料に、ヨ
ード酢酸ナトリウムおよびBicineを添加した例で
ある。なお、測定対象物は、糖アミノ酸であるフルクト
シルバリン(以下「FV」という)および血球中の糖タ
ンパク質である。この実施例で用いた試薬等の組成およ
び酸化還元反応を用いた測定の操作方法を下記に示す。
【0058】(FAOD溶液)純水に、FAOD(2
7.8U/mg:旭化成社製、以下同じ)を1.0KU
/リットルの濃度になるように添加して調製した。
【0059】(FV溶液)純水に、FVを2.0mmo
l/リットルの濃度になるように添加して調製した。
【0060】(操作方法)実施例2と同様にして調製し
た溶血試料0.8mlに、前記0.1mol/リットル
のヨード酢酸ナトリウム溶液0.2ml、実施例1と同
じ酸化還元反応溶液A0.7mlおよび前記FAOD溶
液0.15mlをこの順序で添加した。そして、この混
合液に前記FV溶液0.15mlを添加し、この反応液
の726nmの吸光度を、前記分光光度計により30分
間測定した。また、比較例として、ヨード酢酸ナトリウ
ム無添加の場合の吸光度を測定した。これは、前記ヨー
ド酢酸ナトリウム溶液のかわりに同量の前記Bicin
e処理液を用いた以外は、前述の操作方法と同様にして
測定した。これらの結果を図2のグラフに示す。同図中
のcは、実施例の吸光度を示し、dは、比較例の吸光度
を示す。
【0061】図2のグラフに示すように、実施例では、
反応終了後、時間が経過しても安定した吸光度を得るこ
とができた。これに対し、比較例では、還元物質の影響
が排除されていないため、その吸光度は低かった。
【0062】(実施例4)この実施例は、ヨード酢酸ナ
トリウムおよびBicineを3つの順序(a、b、
c)で試料に添加した例である。まず、添加順序aは、
ヨード酢酸ナトリウムおよびBicine存在下で血球
の溶血を行った例、添加順序bは、溶血試料をヨード酢
酸ナトリウムで処理した後、Bicineで処理した
例、添加順序cは、溶血試料をBicineで処理した
後、ヨード酢酸ナトリウムで処理した例である。これら
の添加順序a、bおよびcにおいて用いた試薬の組成お
よび酸化還元反応を用いた測定の具体的操作方法を下記
に示す。
【0063】(FAOD溶液)純水に、前記FAODを
2.0KU/リットルの濃度になるように添加して調製
した。
【0064】(添加順序a)実施例2と同様にして分離
した血球画分0.01mlに、前記Bicine処理液
0.65mlを添加した後、この混合液に、前記Tri
tonX−100溶液0.04mlおよび1mol/リ
ットルのヨード酢酸ナトリウム溶液0.2mlを同時に
添加し、前処理を行った。この前処理後の混合液に、実
施例1と同じ酸化還元反応溶液A0.7mlおよび前記
FV溶液0.2mlをこの順序で添加した。そして、前
記FAOD溶液0.2mlを添加し、この反応液の72
6nmの吸光度を、前記分光光度計により測定した。前
記反応開始12分後および20分後の吸光度を下記表2
に示す。
【0065】(添加順序b)添加順序aと同じ血球画分
0.01mlに、前記TritonX−100溶液0.
04mlおよび前記ヨード酢酸ナトリウム溶液0.2m
lを同時に添加した後、前記Bicine処理液0.6
5mlを添加して前処理を行った以外は、添加順序aの
操作方法と同様にして測定を行った。この結果も下記表
2に併せて示す。
【0066】(添加順序c)添加順序aと同じ血球画分
0.01mlに、前記TritonX−100溶液0.
04ml、前記Bicine処理液0.65mlおよび
前記ヨード酢酸ナトリウム溶液0.2mlをこの順序で
添加して前処理を行った以外は、添加順序aの操作方法
と同様にして測定を行った。この結果も下記表2に併せ
て示す。
【0067】
【表2】 吸光度(Abs.) 添加順序 12分後 20分後 a 1.25 1.60 b 1.40 1.60 c 1.60 1.60
【0068】前記表2に示すように、添加順序a、bお
よびcの反応20分後のそれぞれの吸光度は、ほぼ同じ
値が得られ、その吸光度も安定していた。これらの結果
から、十分な反応時間をとれば、血球の溶血処理、ヨー
ド酢酸ナトリウムによる処理およびBicineによる
処理は、その順序に特に制限されないといえる。また、
これらの添加順序の中でも添加順序cの吸光度は、反応
12分後において、反応20分後と同じ吸光度に達して
いた。この結果から、添加順序cのように、まず溶血試
料をヨード酢酸ナトリウムで処理してからBicine
で処理すれば、迅速に測定でき、特に好ましいといえ
る。
【0069】(実施例5)この実施例は、試料に対し
て、3種類の濃度のヨード酢酸ナトリウムと一定濃度の
Bicineとを添加した例である。この実施例で用い
た試薬等の組成ならびに酸化還元反応を用いた測定の操
作方法を下記に示す。
【0070】(ヨード酢酸ナトリウム溶液)純水に、前
記ヨード酢酸ナトリウムを、0.2775mol/リッ
トル、0.4mol/リットルおよび0.6mol/リ
ットルの3種類の濃度になるように添加して調製した。
【0071】(操作方法)実施例2と同様にして分離し
た血球画分0.01mlに、前記TritonX−10
0溶液0.04mlを添加し、室温で攪拌したものを、
溶血試料とした。前記各濃度のヨード酢酸ナトリウム溶
液0.02ml各々と前記溶血試料0.05mlとを混
合した後、これらの各混合液に、前記Bicine処理
液0.65ml、実施例1と同じ酸化還元反応溶液A
0.70mlおよび前記FV溶液0.2mlをこの順序
で添加した。そして、これらの混合液各々に実施例4と
同じFAOD溶液0.2mlを添加して、これらの反応
液の726nmの吸光度を、前記分光光度計により測定
した。各ヨード酢酸ナトリウム濃度において、前記酸化
還元反応が終了し、吸光度が安定した前記反応開始12
分後の吸光度の結果を下記表3に示す。
【0072】
【表3】 ヨード酢酸ナトリウム濃度 吸光度 (mol/リットル) (Abs.) 0.2775 1.35 0.4 1.35 0.6 1.35
【0073】前記表3に示すように、前記各濃度のヨー
ド酢酸ナトリウム溶液および一定濃度の前記Bicin
e処理液により前記溶血試料を処理した結果、各吸光度
は、均一な値を示した。
【0074】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法によれば、
還元物質が存在する試料であっても、前記試料の測定対
象物を高精度で測定できる。このため、本発明の方法
を、例えば、赤血球中のHbA1cの測定に適用すれ
ば、従来より測定精度が向上し、HbA1cの糖尿病診
断等の指標物質としての重要性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において、酸化還元反応時間
と吸光度との関係を示すグラフである。
【図2】本発明のその他の実施例において、酸化還元反
応時間と吸光度との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01N 1/28 G01N 1/28 J Fターム(参考) 2G042 BB11 BD19 BE03 BE04 CB03 DA03 DA08 EA01 FA04 FA05 FA11 FA17 FB02 GA01 GA05 2G045 AA01 BA13 BB01 BB10 BB18 BB29 BB39 BB50 BB51 CA02 CA25 DA36 DA44 DA48 DB04 DB21 FA11 FA29 FB01 FB11 GC10 GC18 2G054 AA07 AB10 BA01 BB01 BB10 BB13 CA21 CA25 CB03 CD01 EA04 EB01 GB01 4B063 QA01 QA19 QQ03 QQ16 QQ67 QQ68 QQ79 QQ89 QR16 QR41 QR48 QR64 QR66 QS20 QX01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の還元物質の作用を消去するため
    に添加した酸化剤による影響を排除する方法であって、
    Bicine、TES、HEPES、HEPPSO、D
    IPSO、POPSO、EPPS、グリシルグリシン、
    トリス、TAPSO、PIPES、TAPS、Tric
    ine、MOPSO、ACES、MOPS、ADA、B
    ESおよびリン酸塩からなる群から選択された少なくと
    も一つの処理剤を前記試料に添加することにより、前記
    酸化剤による影響を排除する方法。
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