JP2000081407A - バイオセンサ,その製造方法及びバイオセンサを用いた測定方法 - Google Patents

バイオセンサ,その製造方法及びバイオセンサを用いた測定方法

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JP2000081407A
JP2000081407A JP11180423A JP18042399A JP2000081407A JP 2000081407 A JP2000081407 A JP 2000081407A JP 11180423 A JP11180423 A JP 11180423A JP 18042399 A JP18042399 A JP 18042399A JP 2000081407 A JP2000081407 A JP 2000081407A
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biosensor
electrode system
reaction layer
enzyme
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Satoshi Nakajima
聡 中嶋
Seiji Kuki
清次 九鬼
Yusaku Sakota
勇策 迫田
Masato Arai
真人 荒井
Toshihiko Ogura
俊彦 小椋
Muneo Tokita
宗雄 時田
Koichi Takizawa
耕一 滝沢
Akihiro Fukao
明広 深尾
Shinya Tanaka
伸哉 田中
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成又は製造工程の簡略化により高精度で廉
価なバイオセンサを提供する。 【解決手段】 バイオセンサ1は、基板2の片面上に作
用極3と参照極4、及び試薬層5が積層して形成され、
保持材6で補強されている。作用極3と参照極4からな
る電極部7はいずれも同じカーボンを主とする材料から
なる一体の導電性部材の端部に設けられている。測定装
置に接続される端子部9,10と作用極3,参照極4と
を接続するリード部11,12をポリエチレンテレフタ
レートからなる保持材6により覆い、端子部9,10が
露出している。作用極3及び参照極4上には、少なくと
も酵素と保持剤としての低分子化合物を含む溶液を1回
塗布,乾燥し、試薬層5を形成する。血糖の定量時に
は、血液試料を試薬層5に滴下する。試薬層中に赤血球
とほぼ同じ大きさの微小片を分散させてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、さまざまな物質が
混在する液体試料中の特定成分を定量するバイオセン
サ、特に、微量な試料で簡便に測定ができ、量産容易で
廉価な小型のプレーナ型のバイオセンサ、その製造方法
及びバイオセンサを用いた測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、血液や尿等の生体の液体試料から
特定の成分を定量するためにバイオセンサが提唱され、
例えば、特定成分として血液中のグルコース(以下、
「血糖」という。)を定量するために用いられている。
近年では、個人が自分で血糖をチェックするために、操
作が簡単でランニングコストが安く高精度の血糖用バイ
オセンサが求められており、その結果、微量な血液を希
釈等の前処理操作が不要で短時間に定量でき、測定ごと
の使い捨てタイプの血糖用プレーナ型バイオセンサが提
案されている。
【0003】(第1の従来技術)このようなバイオセン
サとして図12に分解斜視図で示すものがある。図13
(a)〜(e)はこのバイオセンサ101の製造方法を
示す。
【0004】まず、絶縁性基板102を用意し(図13
(a))、端子部109a,110aと電極接触部10
9b,110bとを有するリード部109,110を銀
や金等の金属含有導電性ペーストで形成し(13図
(b))、次にリード部109,110の電極接触部1
09b,110b上にカーボンが好適である電極10
3、104をスクリーン印刷法等で形成する(13図
(c))。
【0005】次に、リード部109,110及び電極1
03,104の一部を絶縁膜106で被覆し、電極部1
07と端子部109a,110aを露出させる(図13
(d))。当該絶縁膜106としては、熱硬化型あるい
は紫外線硬化型のものがよく用いられる。
【0006】次に、露出した電極部107を少なくとも
酵素あるいは酵素と電子伝達物質を含む試薬層105で
被覆し(図13(e))、プレーナ型バイオセンサ10
1を得ていた。
【0007】試薬層105の一般的な構成としては、電
極部107側の第1層として、セルロースで代表される
親水性高分子層を形成し、次に当該親水性高分子層の第
1層上に第2層として、酵素、または、酵素と第1層と
同じ親水性高分子の混合、あるいは、必要により酵素と
電子伝達物質の混合、酵素と第1層と同じ親水性高分子
と電子伝達物質とを混合させた層を形成させたものとな
っている。
【0008】さらに、上述の第2層上に第3層として両
媒性脂質や高分子物質を塗布したもの、上述の第2層を
第1層とし第2層に両媒性脂質や高分子物質を塗布した
もの、酵素と電子伝達物質とを異なる層に含有させたも
の、酵素と電子伝達物質との間にさらに高分子層を設け
たもの、その他これらを組み合わせたものが工夫され、
4層から5層の試薬層も提案されている。これらの試薬
層の形成は、積層すべき物質を溶解させた溶液を調整
し、当該溶液を塗布し乾燥させている。
【0009】このような親水性高分子層を形成する主な
目的は、試料中の異物、例えば血液中の血球や蛋白質な
どが電極上に吸着することを防ぐ、あるいは吸着するま
での時間を遅延させることにある。
【0010】(第2の従来技術)また、このようなバイ
オセンサとして特開平9−159644号公報に記載さ
れているようなものがある。
【0011】図14(a)は分解斜視図、図14(b)
は外観図、図14(c)は図14(b)のF−F線断面
図である。
【0012】同図のプレーナ型バイオセンサ111は、
2枚の絶縁性基板112及び113がスペーサ114を
介して酵素を含む試薬層115が面する空間部116を
構成しており、試薬層115の下層には互いに入り込ん
だ櫛歯状の2対の電極117が設けられ、リード118
と露出する接続端子119を有している。導入孔121
から血液等の液体試料を空間部116に導入し、空間部
116内の気体を排出孔122から排出する。
【0013】図15はバイオセンサ111の製造方法を
示す。
【0014】まず、図15(a)のように絶縁性基板1
12を用意し、接続端子119も兼用する一対のリード
118を形成する(図15(b))。次に、一対のリー
ド118の上に電極117を形成する(図15
(c))。さらに、絶縁層120(図15(d))、電
極117上に試薬層115(図15(d))、スペーサ
114(図15(f))、カバーシートである絶縁性基
板113(図15(g))を順次形成、装着し、プレー
ナ型バイオセンサ11を得る。試薬層115は上述のバ
イオセンサと同様に形成する。
【0015】(第3の従来技術)また、このようなバイ
オセンサとしては、特公平6−10662号に記載され
ているようなものがある。
【0016】図16はバイオセンサ131の分解斜視図
である。
【0017】バイオセンサ131では、絶縁膜136か
ら露出する対極133a,測定極134a,参照極13
5a上に酵素を含浸させた多孔体138を保持枠137
によって保持しており、血液等の液体試料を多孔体13
8に滴下して定量する。図17はバイオセンサ131の
製造方法を示す。
【0018】まず、絶縁性基板132を用意し(図17
(a))、基板132上にカーボンを主体とする導電性
樹脂をスクリーン印刷によって印刷し、対極133a,
測定極134a,参照極135aとそのリード部133
b,134b,135b、さらに端子部133c,13
4c,135cを形成する(図17(b))。さらに電
極上に絶縁膜136をスクリーン印刷により形成し、該
絶縁膜136の窓より対極133a,測定極134a,
参照極135aからなる電極部の一部が露出している
(図17(c))。
【0019】次に、電極部上に孔を有する保持枠137
を絶縁層136に接着し(図17(d))、保持枠の孔
に酵素を含浸させた多孔体138を保持させて電極部を
覆う(図17(e))。
【0020】(第4の従来技術)また、特公平6−10
662号公報には、バイオセンサ141も記載されてい
る。
【0021】図18はバイオセンサ141の分解斜視図
であり、バイオセンサ131とほぼ同様の構成である
が、電極部の構成が異なる。バイオセンサ131と同様
の構成については同様の符号を用いて説明を省略する。
【0022】図19はバイオセンサ141の製造方法を
示す。
【0023】まず、絶縁性基板132を用意し(図19
(a))、基板132上にスクリーン印刷により導電性
の銀ペーストにて、対極のリード部133b,測定極の
リード部134b,参照極のリード部135bを形成
し、同時に入出力端子の対極端子133c,測定極端子
134c,参照極端子135c及び対極の電極接続部1
33d,測定極の電極接続部134d,参照極の電極接
続部135dを形成する(図19(b))。電極部とし
て、スクリーン印刷によりカーボンペーストを印刷し、
対極143,測定極144,参照極145を形成する
(図19(c))。
【0024】絶縁膜136をスクリーン印刷により形成
し、該絶縁膜136の窓より対極143,測定極14
4,参照極145の一部を露出させ(図19(d))、
以降はバイオセンサと同様に形成する(図19(e),
(f))。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
バイオセンサ101のような試薬層の構成及び製造方法
には、次のような問題点がある。
【0026】まず、カルボキシセルロースがよく用いら
れる親水性高分子層の形成は高分子であるがゆえに一様
に溶解するのに時間を要し、その溶液は粘性があり扱い
にくいだけでなく、塗布時に気泡を混入しやすく、一旦
混入した気泡は除去困難である。また、乾燥後も緻密で
平坦な「膜」状ではなく、触れると粉末が離脱してしま
う再結晶状態のような感があり、製膜後も容易に剥離し
やすく、その後の取り扱いも煩雑である。このような理
由から膜厚のコントロールは非常に困難であり、このこ
とは試料中の異物が電極上に吸着することを防ぐ効果に
もセンサ間で差異を生じることにもなり、結果としてバ
イオセンサの精度の悪化につながる。従って、このよう
な試薬層の形成には、膜厚を一定に製造するためのノウ
ハウの蓄積と熟練を要し、乾燥時等は厳重な管理が必要
とされる。当該試薬層膜の工程チェックの検査経費も決
して無視できないものになっていた。
【0027】また、絶縁性基板上にカーボンを主体とす
る導電性樹脂のスクリーン印刷によって電極部とそれぞ
れのリード部,端子部を一体に形成した測定極と対極と
の2電極方式とすると、カーボン電極の抵抗が高く、電
極部に実際に印加される電位が不安定となり易いため、
バイオセンサ131のように対極133a,測定極13
4a,参照極135aからなる3電極方式を採用して電
極間の電位を補正したり、バイオセンサ141のように
リード部及び端子部を電極部とは異なる低抵抗材料にて
形成している。
【0028】しかしながら、3電極方式とすれば、セン
サ自体のサイズが大型化するとともに電圧補正用アンプ
の追加等により回路構成も複雑化してコストが高くなっ
てしまう。一方、リード部及び端子を電極部とは異なる
材料にて形成しても、別材料の使用や工程の追加によっ
てコストが高くなってしまう。
【0029】また、バイオセンサ101,111,13
1,141はいずれも、絶縁膜を不可欠な構成としてお
り、製造工程中にも絶縁膜の製膜工程を有している。当
該絶縁膜の形成は、コストアップになるだけでなく、セ
ンサの製造工程を極めて煩雑にし、細心の注意を要する
ものにしている。すなわち、当該絶縁膜によって反応に
関与する電極の面積を規定しているので、電極間の出力
のばらつきが少ない高精度のバイオセンサを得るために
も、電極間の反応面積に差異があってはならず、形成時
の絶縁膜の欠け,「ずれ」やピンホールを皆無にしなけ
ればならないだけでなく、リード部を電極反応に関与さ
せないために僅かでもリード部を露出させることなく被
覆しなければならない。さらに、当該絶縁膜は熱硬化型
あるいは紫外線硬化型であるが、形成時に発生するガス
などの揮発物が電極露出部に付着しないよう厳重な管理
が必要とされる。当該絶縁膜の形成工程のチェック検査
費用も決して無視できないものとなっていた。
【0030】本発明は、かかる従来技術の課題を解決す
るためになされたものであって、その目的は、製造工程
及び構成の簡略化により高精度で廉価なバイオセンサを
提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は、少なくとも作用極と参照極とを備えた
電極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを備え、前記
電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供給
し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現象
を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の濃
度を測定するバイオセンサにおいて、前記反応層を形成
するために低分子化合物を添加したことを特徴とする。
【0032】このように少なくとも酵素を含む反応層を
形成するために低分子化合物を添加すれば、反応層を容
易に層状あるいは膜状に形成することができる。従っ
て、製造工程の簡易化による量産の容易化,効率化のみ
ならず、個体間の差異の少ない高精度のバイオセンサを
生産でき、これを廉価で提供することができる。また、
低分子化合物は反応層を固化して形成する以前の液体の
状態で溶解し易く、反応層を形成したのちでも血液等の
液体試料の溶解が高分子化合物を添加した場合に比べて
早いので測定に要する時間を短縮することができる。
【0033】低分子化合物としては、分子量がほぼ10
00以下の化合物から、酵素との反応性等を考慮して適
宜選択することができる。
【0034】第2の発明は、第1の発明において、前記
反応層は、少なくとも前記低分子化合物を含む層を有す
ることを特徴とする。
【0035】反応層を低分子化合物を含む1層に形成し
てもよいし、反応層を複数の層から形成し、そのうちに
低分子化合物を含む層を含むようにしてもよい。
【0036】第3の発明は、第1又は第2の発明におい
て、前記低分子化合物は、単糖類,二糖類,三糖類及び
アミノ酸のいずれかから選択された1種の化合物又は2
種類以上の低分子化合物の混合物であることを特徴とす
る。
【0037】低分子化合物としては、酵素や液体試料等
に応じて適宜選択すればよいが、このようなものとし
て、単糖類,二糖類,三糖類及びアミノ酸のいずれかか
ら選択された1種の化合物又は2種類以上の低分子化合
物の混合物がある。但し、反応層に添加できる低分子化
合物はこれに限られない。
【0038】第4の発明は、少なくとも作用極と参照極
とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを
備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試
料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気
化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定
成分の濃度を測定するバイオセンサの製造方法におい
て、低分子化合物を含む前記反応層を1回の工程で形成
することを特徴とする。
【0039】このように低分子化合物を含む反応層を1
回の塗布や印刷等の工程により形成するようにすれば、
製造工程を簡略化することができる。低分子化合物を添
加すれば、反応層を容易に層状あるいは膜状に形成する
ことができるので、1回の工程で反応層を形成すること
ができ、製造工程の簡易化による量産の容易化,効率化
のみならず、個体間の差異の少ない高精度のバイオセン
サを生産でき、これを廉価で提供することができる。ま
た、低分子化合物は反応層を固化して形成する以前の液
体の状態で溶解し易く、反応層を形成したのちでも血液
等の液体試料の溶解が高分子化合物を添加した場合に比
べて早いので測定に要する時間を短縮することができ
る。
【0040】第5の発明は、少なくとも作用極と参照極
とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを
備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試
料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気
化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定
成分の濃度を測定するバイオセンサであって、前記電極
系は少なくとも外部に開放された開口部を有する空間部
に配置されており、前記開口部から毛管現象によって前
記液体試料を空間部内に吸引するバイオセンサの製造方
法において、前記電極系を備えた空間部を形成した後
に、前記反応層の成分を含む液体を前記開口部から毛管
現象によって吸引し固化させて反応層を形成することを
特徴とする。
【0041】このように、開口部を反応層の成分を含む
液体に接触させて、毛管現象によって吸引させて固化さ
せれば、反応層を容易に形成することができるので、製
造工程を簡略化して、廉価なバイオセンサを提供するこ
とができる。また、電極系や空間部等の部分を形成した
後に反応層を形成することができるので、反応層が熱や
薬品等の影響を受けることがなく、高精度のバイオセン
サを提供することができる。
【0042】このような製造方法によって製造できるプ
レーナ型バイオセンサとしては、絶縁性のフィルム等の
膜状部材を空間形成部材を介して微小間隙を隔てて対向
して配置し、この膜状部材の対向面の少なくともいずれ
か一方に電極系を設けたものがある。このとき、空間部
は電極系が形成された対向面間に形成され、この空間部
を構成する膜状部材の端部が開口部を形成する。開口部
は微小間隙を隔てて対向する膜状部材から構成されるの
で、開口部を液体に接触させれば、この液体を毛管現象
により空間部内に吸引することができる。従って、膜状
部材及び空間形成部材を接合等することにより、電極系
を含む空間部を予め形成しておき、開口部を反応層の成
分を含む液体に接触させれば、毛管現象により空間部内
に吸引することができるので、これを固化させることに
より、空間部内に電極系と反応層からなる感応部を簡易
に形成することができる。
【0043】第6の発明は、少なくとも作用極と参照極
とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを
備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試
料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気
化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定
成分の濃度を測定するバイオセンサであって、前記電極
系は少なくとも外部に開放された開口部を有する空間部
に配置されており、前記開口部から毛管現象によって前
記液体試料を空間部内に吸引するバイオセンサにおい
て、前記電極系を備えた空間部を形成した後に、前記反
応層の成分を含む液体を前記開口部から毛管現象によっ
て吸引し固化させて反応層を形成したことを特徴とす
る。
【0044】このように、開口部を反応層の成分を含む
液体に接触させて、毛管現象によって吸引させて固化さ
せれば、反応層を容易に形成することができるので、製
造工程を簡略化して、廉価なバイオセンサを提供するこ
とができる。また、電極系や空間部等の部分を形成した
後に反応層を形成することができるので、反応層が熱や
薬品等の影響を受けることがなく、高精度のバイオセン
サを提供することができる。
【0045】このような構成のプレーナ型バイオセンサ
としては、絶縁性のフィルム等の膜状部材を空間形成部
材を介して微小間隙を隔てて対向して配置し、この膜状
部材の対向面の少なくともいずれか一方に電極系を設け
たものがある。このとき、空間部は電極系が形成された
対向面間に形成され、この空間部を構成する膜状部材の
端部が開口部を形成する。開口部は微小間隙を隔てて対
向する膜状部材から構成されるので、開口部を液体に接
触させれば、この液体を毛管現象により空間部内に吸引
することができる。従って、膜状部材及び空間形成部材
を接合等することにより、電極系を含む空間部を予め形
成しておき、開口部を反応層の成分を含む液体に接触さ
せれば、毛管現象により空間部内に吸引することができ
るので、これを固化させることにより、空間部内に電極
系と反応層からなる感応部を簡易に形成することができ
る。
【0046】第7の発明は、作用極と参照極とを備えた
電極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを備え、前記
電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供給
し、前記参照極に対して前記作用極に所定の電圧を印加
した場合の両極間の電流を検出することにより、前記該
液体試料と前記酵素との反応による電気化学現象を検知
して前記液体試料中の特定成分の濃度を測定するバイオ
センサであって、前記作用極及び参照極と、前記作用極
及び参照極に電圧を印加するとともに電流を取り出すた
めの端子部と、前記作用極,参照極とそれぞれの端子部
とを接続するリード部とを同一材料からなる薄膜状の部
材によって形成したバイオセンサを用いた測定方法にお
いて、前記参照極に対する作用極の所定の電圧に、前記
端子部及びリード部の抵抗によって生じる電圧降下分を
加えて、前記端子部に印加することを特徴とするバイオ
センサを用いた測定方法。
【0047】作用極,参照極,それぞれのリード部及び
端子部をカーボンペーストのスクリーン印刷等のように
同一材料からなる薄膜状の部材によって形成すれば、リ
ード部及び端子部の抵抗が高く、作用極及び参照極にか
かる電位が不安定となり、測定精度に影響が生じるが、
液体試料と酵素との反応による電気化学現象を検知する
ために必要な所定の電圧を端子部に加えるのではなく、
この所定の電圧に端子部及びリード部の抵抗によって生
じる電圧降下分を加えて、端子部に加えることにより、
作用極・参照極間には所定の電圧が安定して印加される
ようになり、装置を複雑化,大型化させることなく、高
精度の測定が可能となる。また、作用極,参照極,それ
ぞれのリード部及び端子部を同一材料からなる薄膜状の
部材によって形成すれば、製造コストを低減することが
できるので、廉価で高精度のバイオセンサを提供するこ
とができる。
【0048】第8の発明は、絶縁性の支持部材上に、少
なくとも作用極と参照極とを備えた電極系を一端に有す
る導電性部材と、少なくとも酵素を含む反応層とを備
え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料
を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化
学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成
分の濃度を測定するバイオセンサにおいて、前記支持部
材を補強するための保持部材を有し、前記導電性部材の
うち前記電極系に隣接する部位を前記保持部材によって
液密に覆ったことを特徴とする。
【0049】このように、少なくとも作用極と参照極と
を備えた電極系を一端に有する導電性部材のうち電極系
に隣接する部位を保持部材によって液密に覆うようにす
れば、液体試料を感応部に供給しても、導電性部材の電
極系以外の部位に接触して電気化学現象の検知に影響す
ることはないので、従来必要であった絶縁層,絶縁膜が
不要となり、製造コストを低減することができる。ま
た、製造工程の簡易化による量産の容易化,効率化のみ
ならず、個体間の差異が少ない高精度のバイオセンサを
生産でき、これを廉価で提供することができる。
【0050】センサの小型化等のために絶縁性の支持部
材を薄肉化する場合に、支持部材の補強が必要となるの
で、補強のための保持部材に絶縁機能を持たせることに
より、絶縁層,絶縁膜の形成を不要としているが、バイ
オセンサの構成に応じて、他の機能を有する部材に絶縁
機能を持たせることにより、同様の効果を得ることがで
きる。
【0051】第9の発明は、絶縁性の支持部材上に、少
なくとも作用極と参照極とを備えた電極系を一端に有す
る導電性部材と、少なくとも酵素を含む反応層とを備
え、前記支持部材を補強するための保持部材を有し、前
記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供給
し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現象
を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の濃
度を測定するバイオセンサの製造方法において、前記支
持部材上に形成された前記導電性部材のうち前記電極系
に隣接する部位を前記保持部材によって液密に覆うこと
を特徴とする。
【0052】このように、少なくとも作用極と参照極と
を備えた電極系を一端に有する導電性部材のうち電極系
に隣接する部位を保持部材によって液密に覆うようにす
れば、液体試料を感応部に供給しても、導電性部材の電
極系以外の部位に接触して電気化学現象の検知に影響す
ることはないので、従来必要であった絶縁層,絶縁膜の
形成工程が不要となり、製造工程を簡易化し、製造コス
トも低減することができる。これに伴う量産の容易化,
効率化のみならず、個体間の差異が少ない高精度のバイ
オセンサを生産できる。
【0053】保持部材によって電極系に隣接する部位を
覆う場合に、接着剤による接合したり、保持部材を支持
部材に、あるいは支持部材を保持部材に圧入したりする
ことにより、液密に覆うことが可能となるが、このよう
な方法に限られない。
【0054】第10の発明は、少なくとも作用極と参照
極とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層と
を備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体
試料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電
気化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特
定成分の濃度を測定するバイオセンサにおいて、前記反
応層に微小片を含むことを特徴とする。
【0055】このようにすれば、反応層に微小片を添加
することによって、電極系に試料中の異物が付着して反
応電流が小さくなることを一様に防ぎ、基質の濃度に比
例した反応電流を精度よく検知することができ、個体間
の差異を極めて小さいものとすることができる。
【0056】第11の発明は、少なくとも作用極と参照
極とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層と
を備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体
試料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電
気化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特
定成分の濃度を測定するバイオセンサにおいて、前記反
応層に微小片及び低分子化合物を含むことを特徴とす
る。
【0057】このように少なくとも酵素を含む反応層を
形成するために低分子化合物を添加すれば、反応層を容
易かつ一様に形成することができる。また、低分子化合
物を添加した反応層は、血液などの液体試料による溶解
が高分子化合物を添加した場合に比べて早いので、測定
に要する時間を短縮することができる。さらに、反応層
に微小片を添加しているので、電極系に試料中の異物が
付着して反応電流が小さくなることを一様に防ぐことが
でき、基質の濃度に比例した反応電流を精度よく検知す
ることができ、個体間の差異を極めて小さいものとする
ことができる。従って、製造工程の簡易化による量産の
容易化,効率化のみならず、個体間の差異の少ない高精
度のバイオセンサを生産でき、これを廉価で提供するこ
とができる。低分子化合物としては、分子量がほぼ10
00以下の化合物から、酵素との反応性等を考慮して適
宜選択することができる。
【0058】第12の発明は、第10又は11の発明に
おいて、前記微小片が、血球とほぼ同程度の大きさを有
することを特徴とする。
【0059】例えば、血液中の赤血球とほぼ同程度の大
きさの微小片を用いることによって、血液試料中の赤血
球が電極系上に吸着されるのを有効に防止することがで
きる。但し、液体試料中の電極系上に吸着されやすい物
質の大きさに応じて、微小片の大きさを適宜選択できる
ことは当然である。
【0060】第13の発明は、第10又は11の発明に
おいて、前記微小片は、球形またはこれに類する形状を
有することを特徴とする。
【0061】このようにすれば、個々の微小片の大きさ
や形状を容易にそろえることができ、電極系上への異物
の吸着防止効果をさらに高めることができる。球形に類
する形状としては偏平球形、楕円球形等があるが、これ
に限られない。
【0062】第14の発明は、第10又は11の発明に
おいて、前記微小片は、比重が1.0以上であることを
特徴とする。
【0063】このようにすれば、微小片を反応層内にあ
るいは電極系上に均一にかつ安定的に分散させて形成す
ることができる。
【0064】第15の発明は、第10又は11の発明に
おいて、前記反応層に含まれる微小片は、少なくとも2
種類以上であることを特徴とする。
【0065】例えば、異なる大きさを有する2種類以上
の微小片を用いて微小片間の隙間を密にすることによ
り、あるいは複数の微小片層を形成することにより、電
極系上への異物の付着防止効果をさらに高めることがで
きる。
【0066】第16の発明は、第11の発明において、
前記低分子化合物が、単糖類,二糖類,三糖類及びアミ
ノ酸のいずれかから選択された1種の化合物又は2種類
以上の低分子化合物の混合物であることを特徴とする。
【0067】このように、低分子化合物としては、前記
低分子化合物が、単糖類,二糖類,三糖類及びアミノ酸
のいずれかから選択された1種の化合物又は2種類以上
の低分子化合物の混合物を用いることができるが、これ
らに限られるものではない。
【0068】第17の発明は、少なくとも作用極と参照
極とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層と
を備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体
試料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電
気化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特
定成分の濃度を測定するバイオセンサの製造方法におい
て、微小片を含む前記反応層を1回の工程で形成するこ
とを特徴とする。
【0069】このようにすれば、反応層を形成する以前
の段階で、予め微小片を均一に分散させてから反応層を
形成することができる。従って、一回の工程で微小片を
含む反応層を形成することができ、しかも反応層中に含
まれる微小片の数や分布状態を一定にすることができる
ので、試料中の異物の電極系上への吸着を防止する効果
も一定となり、極めて高精度のバイオセンサを効率的に
大量に、かつ廉価で提供することができる。
【0070】第18の発明は、少なくとも作用極と参照
極とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層と
を備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体
試料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電
気化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特
定成分の濃度を測定するバイオセンサの製造方法におい
て、前記電極系上に予め微小片を含む層を形成させた後
に、前記反応層を形成することを特徴とする。
【0071】このように微小片を電極系上に予め形成し
ておくことにより、試料中の異物の電極系上への吸着を
防止する効果を向上させることができ、より高精度のバ
イオセンサを供給することができる。
【0072】第19の発明は、第17又は18の発明に
おいて、前記反応層に含まれる微小片は、少なくとも2
種類以上であることを特徴とする。
【0073】例えば、異なる大きさを有する2種類以上
の微小片を用いて微小片間の隙間を密にすることによ
り、電極系上への異物の付着防止効果をさらに高めるこ
とができる。
【0074】第20の発明は、少なくとも作用極と参照
極とを備えた電極系と、少なくとも酵素を含む反応層と
を備え、前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体
試料を供給し、該液体試料と前記酵素との反応による電
気化学現象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特
定成分の濃度を測定するバイオセンサの製造方法におい
て、前記電極系上に少なくとも1種類の微小片を含む層
を形成した後に、、前記微小片とは異なる、少なくとも
1種類の微小片を含む前記反応層を形成することを特徴
とする。
【0075】このようにすれば、複数の微小片層を形成
することにより、試料中の異物の電極系上への吸着を防
止する効果をさらに向上させることができる。
【0076】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施形態に
基づいて説明する。
【0077】(第1の実施形態)図1に本発明の第1の
実施形態に係るプレーナ型バイオセンサを示す。図1
(a)は分解斜視図、図1(b)は外観図、図1(c)
は図1(b)のA−A断面図である。
【0078】バイオセンサ1は、ポリエチレンテレフタ
レート製の絶縁性フィルムからなる基板2の片面上に作
用極3と参照極4、及び試薬層5が積層して形成され、
保持材6で補強されている。作用極3と参照極4からな
る電極部(電極系)7はいずれも同じカーボンを主とす
る材料からなる一体の導電性部材の端部に設けられてい
る。測定装置に接続される端子部9,10と作用極3,
参照極4とを接続するリード部11,12をポリエチレ
ンテレフタレートからなる保持材(保持部材)6により
液密に覆い、端子部9,10が露出している。作用極3
及び参照極4上には、少なくとも酵素と保持剤としての
低分子化合物を含む溶液を1回塗布あるいは滴下して,
乾燥し、試薬層(反応層)5を形成する。血糖の定量時
には、液体試料としての血液試料を試薬層5に滴下すれ
ばよい。本実施形態では、保持材6によって基板2の電
極部7側に露出した領域に電極部7及び試薬層5からな
る感応部が形成されている。
【0079】なお、バイオセンサ1の形状は図示のもの
に限定されず、基板2,作用極3,参照極4,保持材6
の材料及び形成方法は、公知の材料,形成方法より適し
たものを適宜選択することができる。
【0080】例えば、基板2及び保持材6の材料として
は、上述のポリエチレンテレフタレート以外に、ポリエ
チレンナフタレート,ポリエチレンサルファイド,ポリ
カーボネイト,ポリアリルレート,ポリエーテルサルフ
ァイド,ポリイミド等からなる樹脂シート、さらには、
プラスチック,セラミックス,ガラス薄板,紙等から選
択することができる。
【0081】また、作用極3,参照極4は量産に適した
スクリーン印刷法で形成したが、白金,金,銀,塩化
銀,鉄,亜鉛,ニッケル,パラジウム等の電極材料を蒸
着法,スパッタリング法,メッキ法,イオンプレーティ
ング等の薄膜形成法でも製造できる。本実施形態のよう
に作用極3,参照極4,それぞれのリード部11,12
及び端子部9,10を同一部材にて形成すれば、形成工
程を簡略化して製造コストを低減することができる。
【0082】また、試薬層5の酵素は、被定量物質によ
って適宜選択する必要があり、グルコースオキシダー
ゼ,コレステロールオキシダーゼ,ウリカーゼ,ピルビ
ン酸オキシダーゼ等が挙げられる。試薬層5を容易に層
状に形成するための保持剤は低分子化合物で、好ましく
は、単糖類,二糖類及び三糖類から選ばれる1種の化合
物または2種以上の混合物、あるいは、アミノ酸から選
ばれる1種の化合物、または2種以上の混合物である。
なお、言及するまでもないが、酵素反応に関与する物
質、例えば、グルコースオキシダーゼを酵素に用いた際
のブドウ糖(グルコース)は保持剤には採用できない。
また、試薬層5へは、電極反応によっては酵素だけでな
く、フェリシアン化カリウムやフェロセン化合物,p−
ベンゾキノン等の電子伝達物質の添加が必要である。当
該試薬層5の形成は、通例、滴下した試薬液の乾燥によ
って行うが、スクリーン印刷法等も適宜選択可能であ
り、さらに強固な膜化のために適切な低分子化合物を添
加することも可能である。
【0083】保持材6は、本実施形態では接着剤にて装
着した。保持材6によってリード部11,12を液密に
覆うことにより、リード部11,12が酵素と試料との
反応による電気化学現象に関与して測定に影響を及ぼす
ことはない。
【0084】上述のように、本発明においては、基板
2,保持材13,電極の材料,形状,厚さ等は限定され
るものではなく、プレーナ型酵素電極の用途,使用態様
に応じて適宜選定,設定すればよい。電極部7,リード
部11,12,端子部9,10の少なくともいずれかを
別材料にて形成するようにしてもよい。
【0085】(実施例)第1の実施形態の実施例とし
て、血糖用バイオセンサについて説明する。
【0086】まず、基板2として長さ20mm, 幅6
mmで、一端が台形状となる略矩形状に裁断したポリエ
チレンテレフタレート厚さ180μmを準備し、片面上
に作用極3,参照極4を形成する。
【0087】次に、ポリエチレンテレフタレート厚さ2
50μmからなる保持材6を接着剤で基板2上に装着
し、電極部7及び端子部9,10を露出させる。保持材
6は、電極部7側が切り欠かれ、切り欠かれた端辺は、
基板2の電極部7側の台形状の各端辺とほぼ平行であ
り、略六角形の空間を形成する。
【0088】次に、電極部7上に少なくとも試薬液5μ
lを滴下し、50°C1時間乾燥させて試薬層5とす
る。試薬液の組成は、酵素グルコースオキシダーゼ0.
2%,電子伝達物質フェリシアン化カリウム1.0%,
支持材トレハロース2.0%である。
【0089】図2は、バイオセンサ1を用いて測定を行
う測定装置の主要部の概略構成を示すブロック図であ
る。
【0090】作用極3に接続する端子部9は、出力を抵
抗21を介して反転入力端子に帰還させ、非反転入力端
子を接地したオペアンプ22からなるI−V変換部23
の反転入力端子に接続されている。作用極によって検出
された電流はI−V変換部23によって電圧に変換され
る。この電圧はA−D変換回路24によってディジタル
信号に変換されて、CPU,メモリ等からなる制御回路
25に入力される。
【0091】参照極4に接続する端子部10は、出力を
反転入力端子に帰還させたオペアンプ26からなるバッ
ファ回路27の出力に接続されており、非反転入力端子
に入力される電圧はスイッチ28により28a,28b
に切り替えられるようになっている。このスイッチ28
は制御回路25からの信号により電圧の切替を行う。
【0092】制御回路25には、バイオセンサ1の測定
装置への装着の有無を検出するセンサ検出部29及び測
定結果等の情報を表示する表示部30が接続されてい
る。
【0093】上述のように製造した血糖用プレーナ型バ
イオセンサ1を測定装置に装着し、スイッチ28を28
aに切り替え、予め参照極4に接続する端子部10に対
して作用極3に接続する端子部9に0.1Vの電圧を印
加しておき、試薬層5に血液を滴下する。酵素反応が開
始し電極反応電流が検出されるとスイッチ28を切り替
えて非反転入力端子に電圧を印加しない状態とする。酵
素反応開始から10秒後に端子部10に対して端子部9
に電圧0.6Vを印加し、印加してから5秒後又は10
秒後の電極出力により血糖を定量する。
【0094】測定条件は、酵素や液体試料に応じて適宜
設定することができ、上述の条件に限られるものではな
い。
【0095】このように試薬液に低分子化合物を添加す
ることにより、試薬層を容易に層状あるいは膜状に形成
することができるので、1回の工程でも緻密で平坦な試
薬層を容易に形成することができ、従来必要であった膜
厚のコントロール等も不要となり、製造工程が簡略化さ
れる。また、均一な面積の試薬層を容易に形成すること
ができるので、個体間のばらつきの少ない高精度のバイ
オセンサを提供することができる。また、試薬層を1層
とすることによっても、複数層の試薬層を形成する場合
に比べて煩雑で時間を要する工程を省略できるので、製
造工程が簡略化され、製造コストを低減できるととも
に、量産を容易かつ効率的に行うことができる。さら
に、試薬液に低分子化合物を添加することにより、血液
の溶解も早くなるので、測定時間も短縮することができ
る。
【0096】(第2の実施形態)図3(a)は本発明の
第2の実施形態に係るプレーナ型バイオセンサ31の上
面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B断面図で
ある。図4はバイオセンサ31の製造方法を説明する図
である。
【0097】第1の実施形態と同様の構成については同
様の符号を用いて説明を省略する。
【0098】まず、バイオセンサ31の構成及び製造方
法について説明する。
【0099】このバイオセンサ31では、ポリエチレン
テレフタレートからなる絶縁性のフィルムの基板2上に
スクリーン印刷法によりカーボンペーストを印刷して熱
乾燥又はUV照射により硬化させて電極部7,端子部
9,10,リード部11,12を一体に形成している
(図4(a))。端子部9,10は測定装置に接続され
て検知信号の出力等を行う部分であり、作用極3及び参
照極4からなる電極部7は試薬と液体試料との反応によ
る電気化学現象を検知する部分であり、リード部11,
12は端子部9,10と電極部7とを接続する部分であ
る。
【0100】基板2は一端が半円形状に形成された略矩
形をなす。電極部7は半円形状の端部近傍に形成され
る。
【0101】次に、電極部7及び端子部9,10を除く
リード部11,12を絶縁膜32で覆い、各領域を明確
化した(図4(b))。この絶縁膜32は、絶縁性ペー
ストを印刷し、熱乾燥又はUV照射により硬化させて形
成する。絶縁膜32によって電極部側は半円板状に基板
面が露出している。
【0102】次に、絶縁膜32上に空間形成膜(空間形
成部材)33とカバー膜(膜状部材)34を接着する
(図4(c))。図4(d)に絶縁膜32上に空間形成
膜33とカバー膜34とを接着した状態を示す。空間形
成膜33は略矩形状であり、カバー膜34は基板2とほ
ぼ同形・同大であり、基板2と同様の材料で形成する。
空間形成膜33は、基板2の半円板状に電極部7が露出
するように接着する。カバー膜34は基板2に対向する
ように接着する。カバー膜34の端子部側端部は空間形
成膜33の端部に合わせて切断する等して端子部9,1
0を露出させる。空間形成膜33及びカバー膜34の端
子部側端部は測定装置本体の構成に適合するよう適宜形
成すればよい。
【0103】基板2及びカバー膜34の先端部はともに
ほぼ同大の半円形状に形成されており、基板2,空間形
成膜33及びカバー膜34によって形成される空間部3
5は高さ約0.15mm,半径3mmの扁平な略半円柱
形状の空間であり、基板2及びカバー膜34の半円形端
部2a,34aとの間に形成された開口部36の開口長
は約10mmであり、測定に必要な試料量は約2μlで
ある。
【0104】次に、開口部36の一部を試薬液37に接
触させる(図4(e))。試薬液は毛管現象によって開
口部36から空間部35へと吸引され、空間部35内に
充填される。このようにして空間部35に充填された試
薬液を乾燥させることにより、試薬層5を形成する。試
薬液37はグルコース酸化酵素(グルコースオキシダー
ゼ,GOD)0.1%と電子伝達物質のフェリシアン化
カリウム2%と親水性低分子のフルクトース1.0%の
混合溶液であり、温度23°C,湿度50%の環境下で
乾燥させた。本実施形態では、電極部7と空間部35に
形成された試薬層5によって感応部が構成される。
【0105】このようにすれば、試薬層の形成工程を簡
略化することができ、廉価なバイオセンサを提供するこ
とができる。また、バイオセンサの他の部分を組み立て
た後に試薬層を形成するので、試薬層が熱や薬品等の影
響を受けることもなく、高精度のバイオセンサを提供す
ることができる。
【0106】以下に、バイオセンサ31を用いて測定を
行う場合の測定手順について説明する。測定装置は図2
に示す第1実施形態と同様の装置を用いる。
【0107】まず、センサ検出部29がセンサ31の装
着を検出すると制御回路25からの信号によってスイッ
チ28を28a側に接続し、端子部9・端子部10間に
電圧0.1Vを印加する。この電圧が印加された状態
で、開口部13のいずれかの場所に微量の血液や体液等
の試料を接触させると、毛管現象により試料が吸引され
て空間部12内に直ちに広がる。液体試料に接触した試
薬層9は直ちに溶解して、酵素反応を開始する。この酵
素反応の開始によって、電極反応電流が検出されるとと
もにフェリシアン化カリウムが還元されてフェロシアン
化カリウムへの変化を開始する。
【0108】制御回路25は電極反応電流を検出すると
スイッチ28を切り替えて非反転入力端子に電圧を印加
しない状態とする。
【0109】酵素反応の開始から10秒後に、スイッチ
28を28b側に切り替えて端子部9・端子部10間に
フェロシアン化カリウム酸化電位である電圧0.6Vを
印加する。電圧を0.6Vに変更してから5秒後から1
0秒後の酸化電流量を測定する。酸化電流量はフェロシ
アン化カリウム量に、フェロシアン化カリウム量は酵素
反応量に、酵素反応量は基質量(試料中のグルコース
量)にそれぞれ比例するので、酸化電流量の測定によっ
て試料中のグルコース濃度を測定することができる。酵
素反応開始から0.6V印加までの時間は、フェロシア
ン化カリウムの蓄積を待つためのものなので、試料,酵
素の種類等に応じて適宜設定すればよい。また、電圧変
更後の電流測定期間も反応に応じて適宜設定すればよ
い。
【0110】本実施形態は、作用極3と参照極4の2電
極で構成しているが、さらに対極を設けて3電極で構成
してもよい。このようにすれば、血液等の高抵抗の液体
試料を定量する場合でも高精度の測定が可能となる。対
極を設ける場合には、図2でオペアンプ26の非反転入
力端子側に接続すればよい。作用極と参照極とを基板と
カバー膜とに微小間隙を隔てて対向するように配置して
もよい。
【0111】また、本実施形態では、基板及びカバー膜
の開口部側の端部を半円形状としているが、このような
形状に限られず、開口部から電極系が形成された空間部
に試薬液を毛管現象により吸引できるような構成であれ
ば、上述の方法により試薬層を形成することができる。
開口部を構成する基板やカバー膜がいずれかに平行な方
向にずれて配置されていてもよい。
【0112】基板,作用極,参照極は第1実施形態と同
様の材料,形成方法を用いることができる。また、酵素
及び電子伝達物質についても第1実施形態と同様の材料
を選択することができる。 絶縁膜32は独立の部材と
して形成する場合に限られず、空間形成膜33の接着剤
や空間形成膜の溶着で兼ねることもできる。また、絶縁
膜32の形成方法もスクリーン印刷に限られるものでは
ない。
【0113】(第3の実施形態)図5に本発明の第3の
実施形態に係るバイオセンサ41を示す。
【0114】図5(a)は分解斜視図、図5(b)は外
観図、図5(c)は図5(b)のC−C断面図である。
【0115】第1の実施形態と同様の構成については同
様の符号を用いて説明を省略する。
【0116】バイオセンサ41は、ポリエチレンテレフ
タレート製の絶縁性フィルムからなる基板2の片面上に
電極系として作用極3と参照極4、及び試薬層5が積層
して形成されている。作用極3と参照極4はいずれも同
じカーボンを主とする材料からなり、それぞれ電極部5
及び端子部9,10を絶縁性ペーストからなる絶縁層4
2により露出させている。電極部5上には、酵素を含む
試薬液を塗布,乾燥し,試薬層5を形成する。血糖の定
量時には、血液試料を試薬層5に滴下すればよい。
【0117】なお、バイオセンサ41の形状は図示のも
のに限定されず、基板2,作用極3,参照極4,絶縁層
42,試薬層5の材料及び形成方法は、公知の材料,形
成方法より適したものを適宜選択することができる。
【0118】基板2,作用極3,参照極4は、第1実施
形態と同様の材料,形成方法を用いることができる。
【0119】絶縁層42は紫外線硬化性あるいは熱硬化
性の絶縁性ペーストから選ばれる。
【0120】試薬層5の酵素は、被定量物質によって適
宜選択する必要があり、グルコースオキシダーゼ等第1
実施形態と同様の物質を用いることができる。また、電
子伝達物質としても、第1実施形態と同様に、フェリシ
アン化カリウム等を用いることができる。
【0121】上述のように、本発明においては、基板,
電極の材料,形状,厚さ等は限定されるものではなく、
絶縁層と試薬層5もその材料や組成,形状,厚さ,形成
方法も適宜選定でき、プレーナ型酵素電極の用途,使用
態様に応じて適宜設定すればよい。
【0122】(実施例)第3の実施形態の実施例とし
て、血糖用バイオセンサ41について説明する。図6は
バイオセンサ41の製造方法を説明する図である。
【0123】まず、基板2として長さ20mm, 幅6
mmで、一端が略半円形状となる略矩形状に裁断したポ
リエチレンテレフタレート厚さ180μmを準備する
(図6(a))。基板2の片面上にスクリーン印刷によ
りカーボンペーストを塗布して焼成し作用極3,参照極
4,リード部11,12及び端子部9,10を形成する
(図6(b))。
【0124】次に、紫外線硬化タイプの絶縁性ペースト
により絶縁層42を形成し、電極部7及び端子部9,1
0を露出させる(図6(c))。絶縁層42は略半円形
端部近傍に略円形状の孔42aを有する。
【0125】次に、孔42aから露出する電極部7上に
少なくとも試薬液5μlを滴下し、50°C1時間乾燥
させて試薬層5とする(図6(d))。試薬液の組成
は、酵素グルコースオキシダーゼ0.2%,電子伝達物
質フェリシアン化カリウム1.0%,支持材トレハロー
ス2.0%である。本実施例では、孔42aから露出す
る電極部7及びこの上に形成される試薬層5により感応
部が構成されている。
【0126】このように製造した血糖用プレーナ型バイ
オセンサ41を測定装置に装着し、スイッチ28を28
aに切り替え、予め参照極4に接続する端子部10に対
して作用極3に接続する端子部9に0.1Vの電圧を印
加しておき、試薬層5に血液を滴下する。酵素反応が開
始し電極反応電流が検出されるとスイッチ28を切り替
えて非反転入力端子に電圧を印加しない状態とする。酵
素反応開始から10秒後に端子部10に対して端子部9
に電圧0.6Vを印加し、印加してから5秒後又は10
秒後の電極出力により血糖を定量する。
【0127】リード部や端子部に低抵抗の材料を用いた
場合やカーボンを含む材料でスクリーン印刷等ではなく
低抵抗となるような形状に電極部,リード部,端子部を
形成した従来技術と同様に、参照極に接続する端子部対
して作用極に接続する端子部に0.5Vを印加した場合
に比べて、このように端子部10に対して端子部9に
0.6Vの電圧を印加しておけば、高抵抗の端子部9,
10及びリード部11,12における電圧降下分が見込
まれているので、作用極3・参照極4間には所定の電圧
を印加することができ、正確な測定が可能となる。
【0128】作用極3及び参照極4を同一の材料で一回
の製造工程で形成すれば、製造コストの低減や製造工程
の簡易化による量産の容易化、効率化だけでなく、電極
間の差異が少ない高精度のプレーナ型バイオセンサを生
産でき、廉価なプレーナ型バイオセンサを提供すること
ができる。上述のように、リード部11,12及び端子
部9,10によって生じる電圧降下分を加えて端子部
9,10に電圧を印加することにより、廉価なプレーナ
型バイオセンサを用いても高精度の測定が可能となる。
【0129】バイオセンサ41を用いて測定を行う測定
装置についても図2に示す第1実施形態と同様のものを
用いることができる。
【0130】(第4の実施形態)図7に本発明の第4の
実施形態に係るプレーナ型バイオセンサ51を示す。
【0131】図7(a)は分解斜視図、図7(b)は外
観図、図7(c)は角型キャピラリ54の外観図、図7
(d)は角型キャピラリ54に血液試料を充填した状態
を示す図、図7(e)は測定時のバイオセンサ51の外
観図、図7(f)は図7(e)のD−D断面図である。
【0132】第1の実施形態と同様の構成については同
様の符号を用いて説明を省略する。
【0133】本実施形態では、図7(a)に示すよう
に、略矩形状の基板(支持部材)52上にカーボンを主
とする材料によって電極部7,リード部11,12,端
子部9,10からなる導電性部材が一体に形成されてお
り、リード部11,12を保持材(保持部材)53によ
って液密に覆い、電極部7及び端子部9,10を露出さ
せる。保持材53はリード部11,12とともに基板5
3の側面をも覆う断面略コの字形である。
【0134】図7(b)に示すように露出した電極部7
上に試薬層5を形成する。本実施形態では保持材によっ
て露出した電極部7及び試薬層5によって感応部が構成
される。
【0135】角型キャピラリ54は、図7(d)に示す
ように断面略ロの字形で、2つの開口部54a,54b
によって外部と連通する中空内部54cを有する筒状体
である。
【0136】本実施形態では、血糖定量時に、血液試料
を試薬層5に滴下するのではなく、図7(d)のように
別途角型キャピラリ54の中空内部54cに血液を充填
しておき、図(e)のようにプレーナ型バイオセンサ5
1の試薬層5部分を角型キャピラリの開口部54bから
中空内部54cに挿入することにより、血液試料55と
試薬層5とを遭遇せしめる(図(e))。角型キャピラ
リ54の中空内部54cは試薬層5部分の基板52の大
きさに合致するように製作されており、また、保持材5
3に当接することによって試薬層5の挿入部分の挿入方
向の長さを規定している。なお、角型キャピラリ54の
中空内部54cへの血液試料の充填は、いずれかの開口
部54a,54bを血液試料に接触させれば、いわゆる
毛管現象により角型キャピラリ54の中空内部54cへ
血液試料が容易に充填される。
【0137】(実施例)第4の実施形態の実施例とし
て、血糖用バイオセンサについて説明する。
【0138】図8(a)〜(d)はバイオセンサ51の
製造方法を説明する図である。
【0139】まず、基板52として長さ20mm, 幅
6mmに裁断したポリエチレンテレフタレート厚さ18
0μmを準備し(図8(a))、片面上に作用極3,参
照極4,リード部11,12,端子部9,10をカーボ
ンを主たる材料とする導電性部材のスクリーン印刷によ
り一体形成する(図8(b))。
【0140】次に、ポリエチレンテレフタレート厚さ2
50μmからなる保持材53を接着剤で基板52上に装
着し、作用極3,参照極4及び端子部9,10を露出さ
せる(図8(c))。
【0141】次に、電極部7上に少なくとも試薬液5μ
lを滴下し、50°C1時間乾燥させて試薬層5とする
(図8(d))。試薬液の組成は、酵素グルコースオキ
シダーゼ0.2%,電子伝達物質フェリシアン化カリウ
ム1.0%,支持材トレハロース2.0%である。
【0142】このように製造した血糖用プレーナ型バイ
オセンサ51を測定装置に装着し、スイッチ28を28
aに切り替え、予め参照極4に接続する端子部10に対
して作用極3に接続する端子部9に0.1Vの電圧を印
加しておき、試薬層5を血液試料55が充填された角型
キャピラリ54に挿入する。酵素反応が開始し電極反応
電流が検出されるとスイッチ28を切り替えて非反転入
力端子に電圧を印加しない状態とする。酵素反応開始か
ら10秒後に端子部10に対して端子部9に電圧0.6
Vを印加し、印加してから5秒後又は10秒後の電極出
力により血糖を定量する。測定には、図2に示す第1実
施形態に係る測定装置を用いることができる。
【0143】このように、保持材53によってリード部
11,12を液密に覆うことにより、絶縁層を設けなく
ても、リード部11,12が酵素と試料との反応による
電気化学現象に関与して測定に影響を及ぼすことはな
い。従って、絶縁膜の印刷やそれに伴う加熱,UV照射
の絶縁層あるいは絶縁膜の形成工程を省略することがで
き、製造コストの低減や製造工程の簡易化による量産の
容易化、効率化だけでなく、個体間間の差異が少ない高
精度のプレーナ型バイオセンサを生産でき、廉価なプレ
ーナ型バイオセンサの提供が可能である。
【0144】(第5の実施形態)図8に本発明の第5の
実施形態に係るプレーナ型バイオセンサを示す。図8
(a)は分解斜視図、図8(b)は外観図、図8(c)
は図8(b)のE―E線断面図である。
【0145】バイオセンサ61はポリエチレンテレフタ
レート製の絶縁性フィルムからなる基板62の片面上に
作用極63と参照極64が形成され、電極部67を規定
するために絶縁層68をさらに形成し、電極部67上に
試薬層65が積層して形成されている。
【0146】作用極63と参照極64からなる電極部6
7は、いずれも同じカーボンを主とする材料からなる一
体の導電性部材の端部に設けられている。測定装置に接
続される端子部69,70と作用極63,参照極64と
を接続するリード部71,72を絶縁層65により被覆
し、端子部69,70が露出している。作用極64及び
参照極64上には、少なくとも酵素と保持材としての低
分子化合物及び試料中の異物が電極部67に吸着して出
力が低くなるのを防ぐための微小片73を含む溶液を塗
布あるいは滴下乾燥し、試薬層65を形成する。
【0147】血糖の定量時には、図9(a)に示すよう
に、液体試料としての血液試料74を試薬層65に滴下
すればよい。本実施形態では、絶縁層68によって基板
62の電極部67側に露出した領域に電極部67及び試
薬層65からなる感応部が形成されている。
【0148】血液試料74が試薬層65に滴下される
と、図9(b)に示すように微小片83以外の試薬成分
は血液試料によって溶解されるが、微小片73だけは電
極部67近傍に残留する。血糖測定の場合、一般的には
血液試料中の血球75が電極部67に付着するため、血
球の多少(すなわちヘマトクリットの高低)によって電
流値が変動する問題があるが、電極部67近傍に残留す
る微小片73の作用によって血液試料中の血球75が電
極部67に付着することを防ぐことができるので、ヘマ
トクリットの高低による電流値の変動を抑制することが
できる。
【0149】なお、バイオセンサ61の形状は図示のも
のに限定されず、基板62,作用極62,参照極63,
絶縁層68の材料及び形成方法は、公知の材料、形成方
法より適したものを適宜選択することができる。
【0150】例えば、基板62の材料としては、上述の
ポリエチレンテレフタレート以外に、ポリエチレンナフ
タレート,ポリエチレンサルファイド,ポリカーボネー
ト,ポリアリルレート,ポリエーテルサルファイド,ポ
リイミド等からなる樹脂シート、さらには、プラスチッ
ク,セラミックス,ガラス薄板,紙等から選択すること
ができる。
【0151】また、作用極63,参照極64は量産に適
したスクリーン印刷法で形成したが、白金,金,銀,塩
化銀,鉄,亜鉛,ニッケル,パラジウム等の電極材料を
蒸着法,スパッタリング法,メッキ法,イオンプレーテ
ィング法などの薄膜形成法でも製造できる。本実施形態
のように作用極63,参照極64,それぞれのリード部
71,72及び端子部69,70を同一材料にて形成す
れば、形成工程を簡略化して製造コストを低減すること
ができる。
【0152】また、試薬層65の酵素は、被定量基質に
よって適宜選択する必要があり、グルコースオキシダー
ゼ,コレステロールオキシダーゼ,ウリカーゼ,ピルビ
ン酸オキシダーゼ等が挙げられる。試薬層65を容易に
層状に形成するための保持材は低分子化合物で、好まし
くは、単糖類,二糖類及び三糖類から選ばれる1種の化
合物または2種以上の混合物である。あるいは、アミノ
酸から選ばれる1種の化合物または2種以上の混合物で
ある。なお、言及するまでもないが、酵素反応に関与す
る物質や酵素反応を阻害する物質、例えば、グルコース
オキシダーゼを用いた際のブドウ糖などは保持材には採
用できない。また、試薬層65へは、電極反応によって
は酵素だけでなく、フェリシアン化カリウムやフェロセ
ン化合物,p−ベンゾキノン等の電子伝達物質の添加が
必要である。当該試薬層65の形成は、通例、滴下した
試薬液の乾燥によって行うが、スクリーン印刷法なども
適宜選択可能であり、さらに強固な膜化のために適切な
低分子化合物を添加することも可能である。
【0153】さらに、試薬層65中に添加する微小片7
3は、血液試料中の血球75が電極部67に付着するこ
とを防ぐことによって、ヘマトクリットの高低による電
流値の変動を抑制する作用があり、その材質は、ジビニ
ルベンゼン樹脂,ナイロン樹脂,ウレタン樹脂,メラミ
ン樹脂等が挙げられる。しかし、これらに限定せずとも
試薬層の形成方法や溶媒、試薬成分等との関連から最適
な材質を選択すればよい。また、微小片73の形状につ
いても、好ましくは球状または偏平球等適宜選択すれば
よい。微小片73の比重については、その材質に依存す
る面もあるが、試薬層の形成方法やプロセスに見合った
比重のものを選択すればよい。さらに、2種類以上の異
なる微小片を添加するようにしてもよい。
【0154】絶縁層68は、レジストペーストをスクリ
ーン印刷することにより形成した。絶縁層68によって
リード部71,72を覆うことにより、リード部71,
72が酵素と試薬との反応による電気化学現象に関与し
て測定に影響を及ぼすことはない。
【0155】上述のように、本発明においては、基板6
2,電極の材料,形状,厚さ等は限定されるものではな
く、プレーナ型酵素電極の用途,使用態様に応じて適宜
選定、設定すればよい。電極部67,リード部71,7
2,端子部69,70の少なくともいずれかを別材料に
て形成するようにしてもよい。
【0156】(実施例)第5の実施形態の実施例とし
て、血糖用バイオセンサ61について説明する。図11
は、バイオセンサ61の製造方法を説明する図である。
【0157】まず、基板62として長さ20mm、幅6
mmに裁断した厚さ250μmのポリエチレンテレフタ
レートを準備し(図11(a))、片面上に作用極6
3、参照極64を形成する(図11(b))。次に、作
用極63及び参照極64の面積を規定して電極部67を
形成するために絶縁層68を形成する(図11
(c))。
【0158】次に、少なくとも電極部67上に少なくと
も試薬液10μlを滴下し、摂氏40度下で乾燥させて
試薬層(反応層)65とする(図11(d))。試薬液
の組成は、酵素グルコースオキシダーゼ200U/m
l、電子伝達物質フェリシアン化カリウム0.02g/
ml、支持材トレハロース0.55g/mlであり、こ
の液に微小片としてジビニルベンゼン樹脂を主成分とす
るマイクロビーズを0.05g/ml相当添加・分散さ
せる。
【0159】上述のように製造した血糖用プレーナ型バ
イオセンサを、例えば図2の概略構成を有する測定装置
に装着し、スイッチ28を28aに切り替え、予め参照
極64に接続する端子部70に対して作用極63に接続
する端子部69に0.1Vの弾圧を印加しておき、試薬
層65に血液を滴下する。酵素反応が開始し電極反応電
流が検出されるとスイッチ28を切り替えて非反転入力
端子に電圧を印加しない状態とする。酵素反応開始から
110秒後に端子部70に対して端子部69に電圧0.
8Vを印加し、印加してから10秒後または30秒後の
電極出力により血糖を定量する。
【0160】なお、測定条件は、酵素や液体試料に応じ
て適宜設定することができ、上述の条件に限られるもの
ではない。
【0161】本実施例では、微小片を含む試薬層65を
1回の工程で形成しているが、電極系67及び絶縁層6
8を形成した基板62上に(図11(c))、微小片3
5を添加・分散させた溶液を塗布あるいは滴下して乾燥
させて微小片層76を形成し(図11(e))、微小片
層76上に酵素を含む試薬液を塗布あるいは滴下して乾
燥させ試薬層77を形成するようにしてもよい(図11
(f))。このとき、微小片層76に2種類以上の微小
片を添加・分散させてもよいし、試薬液に微小片76中
の微小片と異なる種類の微小片を添加・分散させたもの
を用いることもできる。
【0162】
【発明の効果】第1の発明によれば、少なくとも酵素を
含む反応層を形成するために低分子化合物を添加すれ
ば、反応層を容易に層状あるいは膜状に形成することが
できる。従って、製造工程の簡易化による量産の容易
化,効率化のみならず、個体間の差異の少ない高精度の
バイオセンサを生産でき、これを廉価で提供することが
できる。また、低分子化合物は反応層を固化して形成す
る以前の液体の状態で溶解し易く、反応層を形成したの
ちでも血液等の液体試料の溶解が高分子化合物を添加し
た場合に比べて早いので測定に要する時間を短縮するこ
とができる。
【0163】第2の発明によれば、反応層を低分子化合
物を含む1層に形成し、あるいは反応層を複数の層から
形成し、そのうちに低分子化合物を含む層を含むように
しても第1の発明と同様の効果が得られる。
【0164】第3の発明によれば、低分子化合物とし
て、単糖類,二糖類,三糖類及びアミノ酸のいずれかか
ら選択された1種の化合物又は2種類以上の低分子化合
物の混合物を選択することにより、第1又は第2の発明
と同様の効果が得られる。
【0165】第4の発明のように低分子化合物を含む反
応層を1回の塗布や印刷等の工程により形成するように
すれば、製造工程を簡略化することができる。低分子化
合物を添加すれば、反応層を容易に層状あるいは膜状に
形成することができるので、1回の工程で反応層を形成
することができ、製造工程の簡易化による量産の容易
化,効率化のみならず、個体間の差異の少ない高精度の
バイオセンサを生産でき、これを廉価で提供することが
できる。また、低分子化合物は反応層を固化して形成す
る以前の液体の状態で溶解し易く、反応層を形成したの
ちでも血液等の液体試料の溶解が高分子化合物を添加し
た場合に比べて早いので測定に要する時間を短縮するこ
とができる。
【0166】第5の発明によれば、開口部を反応層の成
分を含む液体に接触させて、毛管現象によって吸引させ
て固化させることにより、反応層を容易に形成すること
ができるので、製造工程を簡略化して、廉価なバイオセ
ンサを提供することができる。また、電極系や空間部等
の部分を形成した後に反応層を形成することができるの
で、反応層が熱や薬品等の影響を受けることがなく、高
精度のバイオセンサを提供することができる。
【0167】第6の発明によれば、開口部を反応層の成
分を含む液体に接触させて、毛管現象によって吸引させ
て固化させることにより、反応層を容易に形成すること
ができるので、製造工程を簡略化して、廉価なバイオセ
ンサを提供することができる。また、電極系や空間部等
の部分を形成した後に反応層を形成することができるの
で、反応層が熱や薬品等の影響を受けることがなく、高
精度のバイオセンサを提供することができる。
【0168】第7の発明によれば、作用極,参照極,そ
れぞれのリード部及び端子部をカーボンペーストのスク
リーン印刷等のように同一材料からなる薄膜状の部材に
よって形成した場合に、所定の電圧に端子部及びリード
部の抵抗によって生じる電圧降下分を加えて、端子部に
加えることにより、作用極・参照極間には所定の電圧が
安定して印加されるようになり、装置を複雑化,大型化
させることなく、高精度の測定が可能となる。また、作
用極,参照極,それぞれのリード部及び端子部を同一材
料からなる薄膜状の部材によって形成すれば、製造コス
トを低減することができるので、廉価で高精度のバイオ
センサを提供することができる。
【0169】第8の発明のように、少なくとも作用極と
参照極とを備えた電極系を一端に有する導電性部材のう
ち電極系に隣接する部位を保持部材によって液密に覆う
ようにすれば、液体試料を感応部に供給しても、導電性
部材の電極系以外の部位に接触して電気化学現象の検知
に影響することはないので、従来必要であった絶縁層,
絶縁膜が不要となり、製造コストを低減することができ
る。また、製造工程の簡易化による量産の容易化,効率
化のみならず、個体間の差異が少ない高精度のバイオセ
ンサを生産でき、これを廉価で提供することができる。
【0170】第9の発明のように、少なくとも作用極と
参照極とを備えた電極系を一端に有する導電性部材のう
ち電極系に隣接する部位を保持部材によって液密に覆う
ようにすれば、液体試料を感応部に供給しても、導電性
部材の電極系以外の部位に接触して電気化学現象の検知
に影響することはないので、従来必要であった絶縁層,
絶縁膜の形成工程が不要となり、製造工程を簡易化し、
製造コストも低減することができる。これに伴う量産の
容易化,効率化のみならず、個体間の差異が少ない高精
度のバイオセンサを生産できる。
【0171】第10の発明によれば、反応層に微小片を
添加することによって、電極系に試料中の異物が付着し
て反応電流が小さくなることを一様に防ぎ、基質の濃度
に比例した反応電流を精度よく検知することができ、個
体間の差異を極めて小さいものとすることができる。
【0172】第11の発明のように少なくとも酵素を含
む反応層を形成するために低分子化合物を添加すれば、
反応層を容易かつ一様に形成することができる。また、
低分子化合物を添加した反応層は、血液などの液体試料
による溶解が高分子化合物を添加した場合に比べて早い
ので、測定に要する時間を短縮することができる。さら
に、反応層に微小片を添加しているので、電極系に試料
中の異物が付着して反応電流が小さくなることを一様に
防ぐことができ、基質の濃度に比例した反応電流を精度
よく検知することができ、個体間の差異を極めて小さい
ものとすることができる。従って、製造工程の簡易化に
よる量産の容易化,効率化のみならず、個体間の差異の
少ない高精度のバイオセンサを生産でき、これを廉価で
提供することができる。
【0173】第12の発明によれば、例えば、血液中の
赤血球とほぼ同程度の大きさの微小片を用いることによ
って、血液試料中の赤血球が電極系上に吸着されるのを
有効に防止することができる。
【0174】第13の発明によれば、個々の微小片の大
きさや形状を容易にそろえることができ、電極系上への
異物の吸着防止効果をさらに高めることができる。
【0175】第14の発明によれば、微小片を反応層内
にあるいは電極系上に均一にかつ安定的に分散させて形
成することができる。
【0176】第15の発明によれば、例えば、異なる大
きさを有する2種類以上の微小片を用いて微小片間の隙
間を密にすることにより、あるいは複数の微小片層を形
成することにより、電極系上への異物の付着防止効果を
さらに高めることができる。
【0177】第16の発明のように、低分子化合物とし
ては、前記低分子化合物が、単糖類,二糖類,三糖類及
びアミノ酸のいずれかから選択された1種の化合物又は
2種類以上の低分子化合物の混合物を用いることができ
る。
【0178】第17の発明によれば、反応層を形成する
以前の段階で、予め微小片を均一に分散させてから反応
層を形成することができる。従って、一回の工程で微小
片を含む反応層を形成することができ、しかも反応層中
に含まれる微小片の数や分布状態を一定にすることがで
きるので、試料中の異物の電極系上への吸着を防止する
効果も一定となり、極めて高精度のバイオセンサを効率
的に大量に、かつ廉価で提供することができる。
【0179】第18の発明のように微小片を電極系上に
予め形成しておくことにより、試料中の異物の電極系上
への吸着を防止する効果を向上させることができ、より
高精度のバイオセンサを供給することができる。
【0180】第19の発明によれば、例えば、異なる大
きさを有する2種類以上の微小片を用いて微小片間の隙
間を密にすることにより、電極系上への異物の付着防止
効果をさらに高めることができる。
【0181】第20の発明によれば、複数の微小片層を
形成することにより、試料中の異物の電極系上への吸着
を防止する効果をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るバ
イオセンサの分解斜視図、図1(b)は同外観図、図1
(c)は図1(b)のA−A断面図である。
【図2】図2は本発明の第1の実施形態に係るバイオセ
ンサを用いて測定を行う測定装置の主要部の概略構成を
示すブロック図である。
【図3】図3(a)は本発明の第2の実施形態に係るバ
イオセンサの上面図であり、図3(b)は図3(a)の
B−B断面図である。
【図4】図4(a)〜(e)は本発明の第2の実施形態
に係るバイオセンサの製造方法を説明する図である。
【図5】図5(a)は本発明の第3の実施形態に係るバ
イオセンサの分解斜視図、図5(b)は同外観図、図5
(c)は図5(b)のC−C断面図である。
【図6】図6(a)〜(d)は本発明の第3の実施形態
に係るバイオセンサの製造方法を説明する図である。
【図7】図7(a)は本発明の第4の実施形態に係るバ
イオセンサの分解斜視図、図7(b)は同外観図、図7
(c)は本発明の第4の実施形態に係る角型キャピラリ
の外観図、図7(d)は同角型キャピラリに血液試料を
充填した状態を示す図、図7(e)は測定時のバイオセ
ンサの外観図、図7(f)は図7(e)のD−D断面図
である。
【図8】図8(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態
に係るバイオセンサの製造方法を説明する図である。
【図9】図9(a)は本発明の第5の実施形態に係るバ
イオセンサの分解斜視図、図9(b)は同全体斜視図、
図9(c)は図9(b)のE−E断面図を示す。
【図10】図10(a)は本発明の第5の実施形態に係
るバイオセンサに血液試料を滴下する状態を示す図、図
10(b)は同バイオセンサの試薬層に血液試料が供給
されたときの試薬層中の微小片及び血液試料中の血球の
状態を模式的に示した図である。
【図11】図11は第5の実施形態に係るバイオセンサ
の製造方法を説明する図である。
【図12】図12は第1の従来技術に係るバイオセンサ
の分解斜視図である。
【図13】図13(a)〜(e)は第1の従来技術に係
るバイオセンサの製造方法を示す図である。
【図14】図14(a)は第2の従来技術に係るバイオ
センサの分解斜視図、図14(b)は同外観図、図14
(c)は図14(b)のF−F断面図である。
【図15】図15は第2の従来技術に係るバイオセンサ
の製造方法を示す図である。
【図16】図16は第3の従来技術に係るバイオセンサ
の分解斜視図である。
【図17】図17は第3の従来技術に係るバイオセンサ
の製造方法を示す図である。
【図18】図18は第4の従来技術に係るバイオセンサ
の分解斜視図である。
【図19】図19は第4の従来技術に係るバイオセンサ
の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1,31,41,51,61 バイオセンサ 2,52,62 基板 3,63 作用極 4,64 参照極 5,65,77 試薬層 6,53 保持材 7,67 電極部 9,10,69,70 端子部 11,12,71,72 リード部 32 絶縁膜 33 空間形成膜 34 カバー膜 35 空間部 36 開口部 37 試薬液 42,68 絶縁層 54 角型キャピラリ 55,74 血液試料 73 微小片 75 血球 76 微小片層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 迫田 勇策 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内 (72)発明者 荒井 真人 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内 (72)発明者 小椋 俊彦 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内 (72)発明者 時田 宗雄 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内 (72)発明者 滝沢 耕一 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内 (72)発明者 深尾 明広 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内 (72)発明者 田中 伸哉 京都府京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株式会社オムロンライフサイエンス研究 所内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも作用極と参照極とを備えた電
    極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサにおいて、 前記反応層を形成するために低分子化合物を添加したこ
    とを特徴とするバイオセンサ。
  2. 【請求項2】 前記反応層は、少なくとも前記低分子化
    合物を含む層を有することを特徴とする請求項1記載の
    バイオセンサ。
  3. 【請求項3】 前記低分子化合物は、単糖類,二糖類,
    三糖類及びアミノ酸のいずれかから選択された1種の化
    合物又は2種類以上の低分子化合物の混合物であること
    を特徴とする請求項1又は2記載のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 少なくとも作用極と参照極とを備えた電
    極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサの製造方法において、 低分子化合物を含む前記反応層を1回の工程で形成する
    ことを特徴とするバイオセンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも作用極と参照極とを備えた電
    極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサであって、 前記電極系は少なくとも外部に開放された開口部を有す
    る空間部に配置されており、前記開口部から毛管現象に
    よって前記液体試料を空間部内に吸引するバイオセンサ
    の製造方法において、 前記電極系を備えた空間部を形成した後に、 前記反応層の成分を含む液体を前記開口部から毛管現象
    によって吸引し固化させて反応層を形成することを特徴
    とするバイオセンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも作用極と参照極とを備えた電
    極系と、少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサであって、 前記電極系は少なくとも外部に開放された開口部を有す
    る空間部に配置されており、前記開口部から毛管現象に
    よって前記液体試料を空間部内に吸引するバイオセンサ
    において、 前記電極系を備えた空間部を形成した後に、 前記反応層の成分を含む液体を前記開口部から毛管現象
    によって吸引し固化させて反応層を形成したことを特徴
    とするバイオセンサ。
  7. 【請求項7】 作用極と参照極とを備えた電極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、 前記参照極に対して前記作用極に所定の電圧を印加した
    場合の両極間の電流を検出することにより、前記該液体
    試料と前記酵素との反応による電気化学現象を検知して
    前記液体試料中の特定成分の濃度を測定するバイオセン
    サであって、 前記作用極及び参照極と、前記作用極及び参照極に電圧
    を印加するとともに電流を取り出すための端子部と、前
    記作用極,参照極とそれぞれの端子部とを接続するリー
    ド部とを同一材料からなる薄膜状の部材によって形成し
    たバイオセンサを用いた測定方法において、 前記参照極に対する作用極の所定の電圧に、前記端子部
    及びリード部の抵抗によって生じる電圧降下分を加え
    て、前記端子部に印加することを特徴とするバイオセン
    サを用いた測定方法。
  8. 【請求項8】 絶縁性の支持部材上に、 少なくとも作用極と参照極とを備えた電極系を一端に有
    する導電性部材と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサにおいて、 前記支持部材を補強するための保持部材を有し、 前記導電性部材のうち前記電極系に隣接する部位を前記
    保持部材によって液密に覆ったことを特徴とするバイオ
    センサ。
  9. 【請求項9】 絶縁性の支持部材上に、 少なくとも作用極と参照極とを備えた電極系を一端に有
    する導電性部材と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記支持部材を補強するための保持部材を有し、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサの製造方法において、 前記支持部材上に形成された前記導電性部材のうち前記
    電極系に隣接する部位を前記保持部材によって液密に覆
    うことを特徴とするバイオセンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも作用極と参照極とを備えた
    電極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサにおいて、 前記反応層に微小片を含むことを特徴とするバイオセン
    サ。
  11. 【請求項11】 少なくとも作用極と参照極とを備えた
    電極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサにおいて、 前記反応層に微小片及び低分子化合物を含むことを特徴
    とするバイオセンサ。
  12. 【請求項12】 前記微小片は、血球とほぼ同程度の大
    きさを有することを特徴とする請求項10又は11記載
    のバイオセンサ。
  13. 【請求項13】 前記微小片は、球形またはこれに類す
    る形状を有することを特徴とする請求項10又は11記
    載のバイオセンサ。
  14. 【請求項14】 前記微小片は、比重が1.0以上であ
    ることを特徴とする請求項10又は11記載のバイオセ
    ンサ。
  15. 【請求項15】 前記反応層に含まれる微小片は、少な
    くとも2種類以上であることを特徴とする請求項10又
    は11記載のバイオセンサ。
  16. 【請求項16】 前記低分子化合物は、単糖類,二糖
    類,三糖類及びアミノ酸のいずれかから選択された1種
    の化合物又は2種類以上の低分子化合物の混合物である
    ことを特徴とする請求項11記載のバイオセンサ。
  17. 【請求項17】 少なくとも作用極と参照極とを備えた
    電極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサの製造方法において、 微小片を含む前記反応層を1回の工程で形成することを
    特徴とするバイオセンサの製造方法。
  18. 【請求項18】 少なくとも作用極と参照極とを備えた
    電極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサの製造方法において、 前記電極系上に予め微小片を含む層を形成させた後に、
    前記反応層を形成することを特徴とするバイオセンサの
    製造方法。
  19. 【請求項19】 前記反応層に含まれる微小片は、少な
    くとも2種類以上であることを特徴とする請求項17又
    は18記載のバイオセンサの製造方法。
  20. 【請求項20】 少なくとも作用極と参照極とを備えた
    電極系と、 少なくとも酵素を含む反応層とを備え、 前記電極系と前記反応層とを含む感応部に液体試料を供
    給し、該液体試料と前記酵素との反応による電気化学現
    象を前記電極系で検知して前記液体試料中の特定成分の
    濃度を測定するバイオセンサの製造方法において、 前記電極系上に少なくとも1種類の微小片を含む層を形
    成した後に、前記微小片とは異なる、少なくとも1種類
    の微小片を含む前記反応層を形成することを特徴とする
    バイオセンサの製造方法。
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